菜々花とセックス、もとい菜々花に精子提供をした翌朝、瑠美が朝食を作ってくれていたので、三人でそれを食べていた。
あんなことをした後でどんな顔で二人と話せばいいのかよくわからなくて、綺麗な部屋なのにどこか居心地が悪い。
たぶん菜々花はあのあと瑠美と話をしてたはずで、しかし俺のしたことがどんな風に瑠美へ伝わっているのかわからなかったのも気まずく感じた。
とはいっても、菜々花は取り立てて怒った様子や悲しんでる様子があるわけでもなく、瑠美も俺に対しては至って親切だから、すぐに追い出されるということはないだろうとも思っていたが。
「明日、買い物行く?」
「そだね、いろいろ買い足さないといけないし」
なんて調子で自然に会話している菜々花と瑠美は仲の良い姉妹か友達のようだった。俺は会話にわざわざ割り込むのもなんだと思って口数は少なかった。
「あ、そうだ。瑠美」
不意にそう言った菜々花が目を閉じると、
「え……」
少し恥ずかしそうに目を泳がせた瑠美は、そのまま菜々花とキスをした。情熱的な、とまでは言わないけれど、しっかりと唇を押し付け合うキスを俺は呆気なとられたまま見ていた。
あんまり急なことだったので、一体何が起こったのかという感じだ。いや、二人は恋人なのだから、キスくらいしてもおかしくはないのだが。
数秒のキスが終わって、身体を離した菜々花は、
「じゃあね、行ってくる」
と言って、そのまま仕事に出掛けてしまったのだけど、部屋を出る前に俺の方を向いて笑ったように見えた。
「愛を確かめたかった、とかですかね」
瑠美はそんな風に言って笑っていたのだが、俺はどんな表情をして良いのか困ってしまった。
その日俺は休みだったから、例の取り決めのルールの上では家に帰ってゴロゴロしていてもよかったのだが、二人の部屋に残って瑠美の手伝いをすることにした。とはいっても、やったのは本当にちょっとした掃除とか、買い物の荷物持ちくらいのことだが。
「昨日、菜々花は何か言ってました?」
俺が聞きたかったのは要するにそれで、瑠美を手伝ったのもそのためだった。結局、いい感じのタイミングを見つけた時にはもう昼過ぎだったのだが。
「ん、そうですね……ちょっと困ってたみたいです。男の人は喜んでるのか怒ってるのかわからなくて難しい、みたいなことを言ってました」
瑠美はそう言いながらと笑っていたのだけど、俺には意外な内容だ。
「怒ってる?そう見えるようなこと、したかな……」
「トモヤスさんは、昨日の菜々花ちゃんをどう思いましたか?」
そう聞かれて、俺はちょっと困った。どう答えても失礼な気がして、考え込んで、
「いや、最高でした……こんなに興奮するんだってくらい」
そんな感じで正直に答えると、瑠美は大笑いし始めた。
「あはははっ!菜々花ちゃん、興奮した男の人を見るのが始めてだからビックリしたんじゃないですか?」
あんまり遠慮なく笑うものだから、からかわれたような気がして、俺はちょっとムッとした。でも、レズビアンの女性からしたら自分に興奮する男が怖いというのは当たり前かもしれないとも思った。
「興奮したっていうことは、菜々花ちゃんが可愛くて、エッチで、嬉しかったんでしょ?じゃあ、そう伝えてあげてください」
そんな風に言う瑠美の視線はなんだか艶っぽくて、まるで小学生か中学生の女の子が急に『女』になったような、不思議なエロスを漂わせていた。
それで、その日の精子提供は瑠美が受けることになった。瑠美は下着姿でベッドに横たわると、
「私のことは、どうですか?」
と聞いてきた。これは、菜々花に自分の気持ちを伝える練習。そんな風に言っているのだと思った。
「えっと……すごくかわいくて、エッチで……興奮する」
頑張って言葉にしてみるとやっぱり恥ずかしくて、すぐに顔が真っ赤になってしまった。
「ありがとうございます。じゃあ、今度は態度で示してください」
笑ってそう言う瑠美はなんというか、いかにも魔性の女のようで、でも俺はその言葉の通り態度で示すことにした。
覆い被さるようにして、ちょっと強引にブラを外して(とはいっても、もちろんそれも瑠美は協力してくれたのだが)みると、菜々花のそれよりも大きな膨らみが、ぷるんと弾みながらあらわになった。あおむけでつぶれた状態でも大きく見えるんだから、こういうのを爆乳と言うんだなとまじまじと見つめながら思った。
揉みしだきたいのはやまやまだったのだけど、態度で示せと言われたのを思い出した俺は思い切り乳首に吸い付くことにした。
「あぁあっ……」
瑠美の喘ぎ声はちょっと大袈裟で、わざと喘いで見せてるんだろうなと思った。でもそうは思っても興奮してしまうのが男というもので、しばらくは俺は両方の乳首を吸ったり、大袈裟な動きで鷲掴みにしてみたりと、自分の興奮を精一杯表現してみた。
「あっ、あっ……あっ……あんっ!……すごく、いいですよ……次は、こっちですね」
瑠美は俺の身体をゆっくり押し退けると、自分からショーツを脱いで正真正銘裸になった。
背の低い身体は、胸が大きいだけでなく腰がきゅっとくびれていて、幼げにも見える雰囲気に反したとても女性的なスタイルだった。
「女の子は何回もイっちゃえますから、指だけでもイかせてあげるくらいの気持ちでいいと思います」
「どこをどうしたらいいとか、コツみたいなの、ある?」
「どこが感じるのか、聞きながらやるのが一番いいでしょ」
クスクス笑って言う瑠美に促されて、手マンの練習が始まる。
女の子はゆっくりでも十分感じるから、最初は丁寧に。『気持ちいい』の間はまだ優しく。『もっと』と言い出したらイきたい合図だからちょっと激しく。『ダメ』でやめてはいけない。『やめて』は本当に嫌な時だから止めた方がいい。
そんな感じのことを、実際に指でクリトリスを撫でながら教えてもらった。
「あっ、あっあ、もっと、もっと……ん、そこ、そこ好きぃぃ……っ♡」
媚びるような甘えるような、そんな声で喘ぐ瑠美はものすごくエッチで、ひょっとしたら男とのセックスにも慣れてるんじゃないかと何となく思った。
「かわいい、すごくエロいよ、瑠美……」
「あっ♡嬉しいっ、あんっ、あうっ、イきそうっ、ぁ、あっ、もっと……」
お互い全身に汗をかきながらどんどん興奮が高まると、欲も高まっていく。ぐしょぐしょに濡れて指を締め付ける膣の感触。
「チンポでイかせたい、瑠美、入れていい?」
俺は思わずそんなことを聞いてしまったけど、
「あんっ、あんっ、ダメ、今は指で……」
この『ダメ』は『OK』の意味じゃないか?そう思った俺は、興奮に背中を押されるように、ギンギンに勃起したペニスを強引に挿入した。
「あっ、入って、もうっ、ぁん、あんっ……」
瑠美が自分で感じると言った部分、たぶんGスポットにあたるそこを擦るように、しゃくりあげるようにピストンする。
「瑠美、かわいい!めちゃくちゃ可愛いよ、エロすぎ……」
俺が貧相な語彙で精一杯褒めながら腰を振り続けると、瑠美はとうとう笑い出す。
「あはは、もう、バカ……っ、あん、あっ、あっ、あ……ふぁあ♡」
そう言った瞬間に、ギュッと膣が締め付けてきて、瑠美がイッたんだと思った。射精とタイミングが合わなくて焦った俺は、慌ててピストンの速度を速める。
「あんっ!あっあっ、ダメぇ、あっ、あーっ!」
急げばすぐにでも出るかと思ったら案外そうでもなくて、もどかしく思いながらガンガン腰を振っていると、
「手っ、手にぎってぇ……」
と、甘えるように瑠美が言うから、俺は言われるまま手を握る。その握りかたは指を互い違いに組み合わせる、いわゆる恋人繋ぎ。
それがきっかけになったのか、俺は、もう一度深く突き入れた瞬間に思い切り射精してしまった。
菜々花にした時と同じか、もっと激しいかもしれない射精が終わると、俺はやっぱり瑠美に覆い被さるようにして抱き締めた。
「ありがと、いろいろ……うまく出来た?」
「うん。80点ってとこですかね~」
俺の背中に手を回した瑠美は笑いながらそう言った。
その後は確か『イくタイミングは合わせる必要はない』とか『イかせようと考えるな』とか『後戯も大事にしろ』とか、そんなことを教わったと思う。
思う、というのは、いつの間にか寝てしまって、記憶が曖昧だからだ。