マー坊とせっちゃん、「バカ夫婦」のエッチな体験談に何時もながら多数の続編希望のお声を頂き、感謝感激雨あられで御座います。m(__)mペコリ
相変わらず拙い乱文では有りますが、マー坊とせっちゃんの結婚生活物語をお楽しみ下さいませ。
登場人物スペック
誠人(マー坊)→レストランで働いている、仮性包茎でちっぱい好きなコックさん。せっちゃん命のクソ真面目な一穴主義者。
節子(せっちゃん)→16歳でお母さんになった、輪姦被害経験の有るアニメ顔のちっぱい幼妻。マー坊命のちょっぴりヤキモチ焼きな一棒主義者。
鉄さん→誠人が働いているレストランの先輩コックにして、節子の父親。厳つい強面で、仕事には滅茶苦茶厳しいが、根はいい人。
・・・
「もう良いかな、せっちゃん?」
「ハイ、どうぞー♡」
の声に振り返って見ると。
「お帰りなさいませ…御主人様っ♡」
黒を基調としたメイド服を着たせっちゃんが、しおらしく頭を下げている。
此処はせっちゃんの家の菩提寺近くの、俺達バカ夫婦行きつけのラブホテル。
俺達は月に一回お袋やお母様に美花子を預け、こうしてラブホテルで思いっ切り愛を育んでいた。
今日はせっちゃんの「メイドさんやってみたいな、誠人さんっ♡」のリクエストに応え、自前のメイド服でコスプレセックスと言う訳だ。
「ただいまー、せっちゃん」
「あの…御主人様。お風呂になさいますか?それとも…御飯を御召し上がりになりますか?」
「いーや、それよりも…」
「それよりも?」
「せっちゃんと一発ヤリたい♡」
「もぉー、御主人様ったらぁ…♡」
と可愛らしく膨れるせっちゃんの唇に、先ずは自分の唇を重ねる。
「ん…んんん~、んーっ…」
ディープキスしながら俺はメイド服の上から、せっちゃんのちっぱいを優しくもみもみ。
「ああん、御主人様ぁ、いけません…」
と形だけ抵抗するせっちゃん。
俺はスカートを捲り上げてパンティーの中に右手を突っ込み…忽ちラブジュースでベタベタになった指を見せびらかす。
「本っ当にいけない…イヤらしいメイドさんだね、せっちゃんって…」
「ああん、だって、御主人様の愛撫がイヤらし過ぎるんですぅ…」
「こんなエッチなメイドさんには…お仕置きしないといけないね…」
と言いながら俺は胸元のボタンを外して肩口からメイド服をずらし、いつ見ても可愛らしいせっちゃんのちっぱいをさらけ出すと、ツータックチノのポケットからカプセル型のバイブレーターを取り出した。
「フッフッフッ…こんな淫乱なせっちゃんに、お仕置きだぁっ!」
自分でもミョーなテンションだと思いながら、俺はせっちゃんの勃起した薄茶色の乳首にバイブレーターを押し当ててスイッチ・オン。
「あ…あっ、あっ、あああっ…なぁっ、何これぇ…す、凄い、しゅごい、しゅごい、あああっ、駄目、ダメ、イク、イク、イクイクイクイクー!!!」
バイブレーターの電源を入れて本当にほんの数秒で、せっちゃんは全身を激しく痙攣させながら呆気無く果ててしまった。
「せっちゃん…」
「御主人様ぁ…御免なさぁい…」
「いや…いいんだよ、せっちゃん。まだ、エッチなお仕置きは…始まったばっかりだから(笑)」
と言うと次は、メイド服を更にずり下げ、可愛らしいおへそにバイブを当てる。
「いやぁ、くすぐった…いや、いやぁ、ああっ、ああん、ダメ、駄目えっ、感じる、ああっ、こんな変な感じ…ああん、ああん、ああっ、あああっ、いい、いい、うんっ、ああん、ああーん…♡」
「せっちゃん…いいの?駄目なの?どっちなの?」
「駄目だけど、気持ち良い…あっ、ああっ、あああーーーっ!」
と一際大きな喘ぎ声を上げながら、せっちゃんは二度目の絶頂を迎える。
「御主人様…次は、節のアソコをいじめて下さいませ…」
「アソコって…何処?」
「ですから…アソコ…」
「ハッキリ言わないと分からないよ…せっちゃん…」
「あ…あの、御主人様…せ…節の、イヤらしいオマンコを、いっぱいいじめて下さいませ…♡」
「分かったよ…せっちゃん…」
と呟くと、今度はせっちゃんの純白のパンティーをずらして、ラブジュースがとめどなく溢れ出している陰唇にバイブを挿入して電源投入。
「あああっ、ああっ、す、しゅごい、節…感じる、感じる、感じちゃうっ、あああっ、駄目、ダメ、あたまが、あたまがおかしくなっちゃうっ、もうイッちゃう、イッちゃう、イッちゃうーーー!!!」
と赤らめた顔を両手で覆い隠しつつ、凄まじい叫び声を上げながらせっちゃんは潮を吹きながら三度イッてしまった。
「駄目だ、せっちゃん…」
「…え?」
「俺、もう…我慢出来ねぇ!」
と叫ぶや否や。
俺はツータックチノをトランクスごとずり下げ、ガチガチに硬直して尿道からカウパーが滲み出している、戦闘態勢に突入した我が愚息をセルフ手コキ。
すると。
「でしたら、御主人様…イヤらしい節を、御主人様の❝赤ちゃんの素❞でいっぱい、汚して下さいませ…」
と言いながらせっちゃんは、メイド服半脱ぎの裸身をベッドに横たえるとパンティーを足元まで下ろし、ラブジュースでズブ濡れのキツキツオマンコを自ら御開帳。
そしてオマンコからバイブレーターを抜き取ると自らの指をオマンコに差し入れ、相互オナニーを開始した。
「あっ…あああっ…イヤらしい節のオナニーを、御主人様に見られちゃってるぅ…」
「せっちゃん…何時もこんなイヤらしいオナニー、してるんだ…」
「…節、何時も御主人様にベッドに押し倒され…メイド服を無理矢理脱がされ…そして最後は御主人様の❝赤ちゃんの素❞で全身を汚される…そんなふしだらな事を想像しながら…ああっ、あああっ…」
「だ…駄目だせっちゃん、も、も、もう出るううっ!」
と叫びながら。
俺はせっちゃんに馬乗り状態になると、おへそ目掛けて多量の❝赤ちゃんの素❞を発射。
うっすらと正中線が刻まれたせっちゃんの平たいお腹とちっぱい、そして黒いメイド服を俺の愚息から放たれた❝赤ちゃんの素❞がみるみるうちに白く汚していく。
「御主人様…スッキリ、されましたか…」
「いや…まだ何か、モヤモヤしてるかも…」
「実は…節もまだ、満足出来てないんです…」
「・・・」
「だから、御主人様…御主人様のおちんちんを、節のオマンコに、突っ込んで下さいませ…」
と言いつつせっちゃんはワンワンスタイルになるとスカートを捲り、一回り丸くなった形の良いお尻を俺の目の前に突き出す。
「それじゃせっちゃん。挿れるよ?」
「は…ハイ、御主人様…♡」
俺とせっちゃんは後背位でドッキングすると、ゆっくりピストン運動を開始する。
「ああっ、ああっ、あああっ…御主人様のおちんちん…気持ち良い…」
「せっちゃんのオマンコも…何回セックスしても、刺激的で良い感じだよ…」
「ああっ、御主人様…突いて…突いて下さいませ…節の淫乱なオマンコをいっぱい突いて、お仕置きして下さいませ…」
「勿論だよ」
と言いながら俺は、腰をひねる様にピストン。
「ああん、御主人様のピストン、気持ち良くって蕩けそうですぅ…♡」
「だって…せっちゃんのキツキツオマンコがとても気持ち良いから…もっともっと、せっちゃんをいじめたくなっちゃうんだよ…」
「御主人様ぁ…もっと、もおっとぉ…♡」
せっちゃんもすっかりノリノリで、子宮の入口に俺のズル剥けおちんちんがぶつかる様に大きく腰を振っている。
「ああん…御主人様ぁ…節、もうイキそうですぅ…」
「ぐうっ…俺も、ボチボチ出そう…」
「御主人様…節にいっぱい、ぶっかけて下さい…節をもっと、汚して下さぁい…♡」
「…ぐ、ぐおっ、おおおーっ!」
獣の様な声を上げつつ、俺はズル剥けおちんちんを引き抜いてせっちゃんのお尻に本日二度目の射精。
白い液体で汚されたせっちゃんのお尻、そしてメイド服がとてつもなくエロすぎる。
「ああん…御主人様の❝赤ちゃんの素❞、滅茶苦茶熱い…節、お尻を、火傷しちゃいそうですぅ…♡」
「あ…せっちゃん、御免ね…せっちゃんのメイド服に、俺の精子がついちゃった…」
「御主人様…この際です、節をもっと、御主人様の❝赤ちゃんの素❞で、ぐちゃぐちゃに汚して下さいませ…」
俺は無言でせっちゃんを再び仰向けに寝かせ、正常位でせっちゃんとドッキング。
「あ、ああん…誠人さん…だいしゅきぃ…♡」
「せっちゃん…愛してる、愛してるよ…」
「あああっ、気持ち良い…誠人さんの皮被りおちんちん、物凄く感じちゃう…♡」
せっちゃんは最早、演技も忘れてひたすら俺のズル剥けおちんちんを堪能している様だ。
「せっちゃん…俺はせっちゃんを、誰よりも愛してる…俺はせっちゃんを、誰にも渡さない…」
俺もせっちゃんのキツキツオマンコの締め付けを堪能しながら、ズル剥けおちんちんをピストンする。
「誠人さん…節、またイキそう…」
「せっちゃん…身体は、大丈夫?」
「多分…大丈夫…あっ…ああん、あああっ、ああっ…ダメ、イキそう、イク、イク、イッちゃうよおーーー!」
と言いながらせっちゃんはまたもや潮を撒き散らしながら絶頂に達してしまった。
「せっちゃん…ちょっと早く動くけど、良いかな?」
「…うん♡」
せっちゃんの了解を取り付け、俺はピストンのスピードを徐々に早めていく。
俺のズル剥けおちんちんをせっちゃんのキツキツオマンコに突き入れる度に、膣内のヒダヒダはキュンキュンと優しく、且つギューギューとキツく俺のおちんちんを刺激する。
「せっちゃん…こんな、こんな最高の名器に出会えた俺は、世界一の幸せ者だよ…」
「節も…♡幸せ…♡」
「ぐ…ううっ…だ、出すよせっちゃん!」
「誠人さん…節をいっぱい汚して…」
「うぉぉっ!」
俺はせっちゃんのキツキツオマンコからズル剥けおちんちんを引き抜くと、せっちゃんのちっぱい目掛けて今日三回目の射精を敢行。
学生時代に比べたら流石に出る量は少なくなったが、それでもせっちゃんのちっぱいの浅い谷間は俺の愚息から吐き出された❝赤ちゃんの素❞で白く染まっている。
「ハァ…ハァ…」
「・・・」
「…せっちゃん、立てる?」
「今は、駄目っぽいかも…誠人さん、先にシャワー浴びて良いよ…」
見ると、せっちゃんが横たわるベッドのシーツはペットボトルの水でもこぼしたんじゃないかって思うくらい、キツキツオマンコから溢れ出したラブジュースでびしょ濡れになっている。
俺は腰に軽い倦怠感を抱きながら風呂場に入り、シャワーで汗と尿道に残った精液を洗い流す。
バスタオルで身体を拭き清めながらベッドに戻ると、精液まみれのせっちゃんが上半身を起こして精液を拭い取っているところだった。
「あ…誠人さん…♡」
「せっちゃん今日…何回イッた?」
「四回目からは…全然覚えてない…今日の節、頭と身体が、全然違う感じだった…」
「そ、そうなの?」
「うん、上手く言えないけど…誠人さんに身体をいじられる事自体に、興奮しちゃってたみたい…」
「夫冥利に尽きる言葉だね…せっちゃん、有難う」
「どういたしまして、誠人さん♡」
「それじゃせっちゃん…シャワー浴びてきちゃいなよ」
「うん♡」
と笑顔で頷くと、せっちゃんはバスルームで汗と精液を洗い流す。
その様子を俺は、ガラス越しに眺めていた。
17歳にしてはかなり小振りなちっぱいに、一児の母親にしてはまだまだ細めのウエスト。
その代わりと言ってはなんだが、丸みを増したお尻にカモシカの様な凛としたふともも。
まるでエロ雑誌のヌードグラビアを思わせる、せっちゃんの美しい裸身に俺はしばし時を忘れて見入ってしまっていた。
「誠人さん…もしかして、節の事、ずっと見てました…?」
水分を拭い取った裸身にバスタオルを巻き付けたせっちゃんが、恥ずかしげにベッドに腰掛ける。
「…うん。せっちゃんの身体を見てたら…本当に❝一児の母親❞の身体じゃないなって思ってね…」
「ほ…本当ですか?誠人さん…」
「俺とお知り合いになった頃は…なんて言ったら良いのかな、ガリガリと言うか、痩せ過ぎっぽい感じだったじゃん」
「うん…節、あの頃は一日三回食べても全然体重が増えなくて…」
「それが美花子が産まれてから、少し良い感じにふっくらしたな、って…」
「そう…ですか?誠人さん…」
「…うん。俺的には…この体型をキープしてくれたら嬉しいな、って思ってる…」
「誠人さん…」
「せっちゃん…」
呟きながら俺達バカ夫婦は軽く唇を重ねる。
「それじゃ誠人さん…来月は、何しましょうか♡」
「看護婦さんは確か…まだやった事無かったかな?」
「うふふ…❝大人のお医者さんごっこ❞ですか?誠人さんの…エ・ッ・チ♡」
「せっちゃん…その言葉、熨斗を付けて返してあげるね(笑)」
…と言う俺達バカ夫婦のおバカな会話を、俺の携帯電話の着信音が遮る。
「もしもし、もしもし…あ、お袋?満さんは…元気だった?」
「ええ…元気だったわよ。久し振りに美花子の顔を見て、こっちが恥ずかしくなる位テンションアップしてたわよ」
「そりゃ良かった…」
「そうそう。お父さんから誠人、それにせっちゃんに伝言よ。❝二人目の曾孫を、楽しみに待ってるよ❞って…」
「…お袋(汗)」
「それじゃ…今から帰るから。誠人とせっちゃんも…気を付けて帰って来なさいよ」
「もういい歳の大人に言う台詞かよ、それ」
「あー、ちょっと待って…ホラ美花子、お父さんでちゅよ」
「ばーば…もちもち…おとーたん、おかーたん…あたち…みかこ…」
「もしもし…美花子。お父さんだよ、美花子…」
「おとーたん…みかこ、おとーたんだいしゅき…」
「美花子…」
「それじゃね…誠人」
「ああ…それじゃな美花子…お袋」
「おとーたん…ばいばい…」
俺は通話が途切れた携帯電話の電源を落とすと、せっちゃんに向き直った。
「それじゃ…せっちゃん。ボチボチ、帰ろっか?」
「そうですね、誠人さん…あ、今夜の晩御飯、何か食べたいものは有りますか?」
「なんか今日は、魚食いたい気分だな…」
「だったら…鯖の切り身で何か作りますね♡」
・・・
「すいません!店長、失礼します!」
翌日。
俺がレストランの事務所でパソコンに向かい、ホームページの「リレーコラム」を書き込んでいたところに、紙筒を抱え込んだ信彦が入室してきた。
「ハイ…信彦クン、要件は何でしょう?」
「すいません、コレ…俺が所属する劇団のクリスマス公演のポスターなんですけど…店内に貼らせて貰って宜しいでしょうか?」
「構いませんよ。出来れば目立つ場所…そう、出入口のところに貼っておいて下さい」
「店長!有難う御座います!」
「…ノブノブ。で、演目は何?」
「ベタですけれど…ディケンズの❝クリスマス・キャロル❞ですね」
「あー、アレね…で、ノブノブの役は?」
「スクルージおじさんに未来を見せる❝三番目の精霊❞です」
「へー、良い役貰ったな、ノブノブ!」
「ええ…スクルージおじさんに改心を決心させる、肝心要の役どころですからね…プレッシャーも有りますけど、❝やってやるぜ!❞ですよ、先輩!」
「うん、頑張れよノブノブ!」
「有難う御座います!それじゃポスター貼ってきます、失礼しました!」
信彦は頭を下げると、意気揚々と事務所から退室して行った。
「信彦クン…張り切ってましたね…」
「…そうですね」
「…誠人クン」
「…何でしょう?店長…」
「舞台も、料理も…主役が一番なのは勿論ですが、主役を引き立てる他の役がしっかりしていないと、駄目なんです」
「・・・」
俺はパソコンのディスプレイから目を離し、店長の言葉を静聴する。
「主役と対立する悪役…主役を助ける味方役…主役に絡む脇役…物語の大筋には絡まないが、強烈な印象を残すモブキャスト…良質な物語には、その全てが必要不可欠なんです…」
「ハイ…」
「料理も同じです。メインディッシュを引き立てる美味しいスープに個性的な付け合せ、そしてライスが全て揃って、初めて❝セットメニュー❞が成立するのです…」
「…ええ」
「誠人クン。料理は、実に奥深いものです。アイデア次第で、単純な料理も全く別物に変身してしまう…」
「…ですね。月並みですが、❝料理は一生勉強❞なんですよね…」
「その通りです。料理も演劇も、❝勉強すればするほど奥深い世界❞なのですよ、誠人クン…」
「そうですね…」
…と話し込んでいるところに。
「失礼します!店長、面接の方がいらっしゃいました!」
と信彦が、三十代前半位の冴えない男性を事務所に招き入れてきた。
「それじゃ…店長。すいません、書き込みの最終チェック御願いします」
「分かりました」
「それでは、厨房に戻ります!」
「誠人クン。気を引き締めて、頼みますよ!」
「了解ですっ!」
と力強く返答すると俺は信彦共々、厨房へと引き返して行った。
・・・
「あの…宜しければ、どうぞ。利章さん…」
そして一週間後。
晴れて面接に合格し、この店で働く事になった❝とっちゃん❞こと利章さんに、俺は休憩室で声を掛けていた。
「あ…誠人さん、すいません。頂きます…」
利章さんは俺から手渡された、紙コップに注がれたミネラルウオーターで喉を潤す。
「利章さん。非礼を承知でお伺いしますが…何故、このレストランの面接を、お受けになったんですか?」
「・・・」
「…その、お話したくなければ、話したくなったその時に…」
「息子達の親権を…取りたいんです」
「…親権、ですか?」
利章さんの思いがけない言葉に、俺は身を引き締めていた。
母子家庭で育った俺にとって、決して他人事に聴こえなかったからだ。
「それって、もしかして…」
「…ええ。夫婦生活は一年近く拒絶され、共働きの嫁の帰宅は早くて午後十時、朝晩の御飯はコンビニ弁当…。こんな嫁に親権を奪われて不幸な人生を送る位ならば、困難を承知で自分で育てた方が、遥かに息子達の為になると…」
「・・・」
「それで、会社の顧問弁護士さんから…離婚問題に強い弁護士さんを紹介されて相談してみたところ、❝親権を取りたいのならば先ず、養育実績を重ねなさい❞と助言されまして…。恥ずかしながら、家事は殆ど嫁任せだった自分が親権を取る為には、何をすべきかと考えて…」
「・・・」
「そんな時に、このレストランの求人広告を目にしまして…面接を受けて今に至る、と言う訳です…」
「そう、でしたか…」
「はい…。親権を取る為には先ず家事、とりわけ料理を作れる様にならなければ、と思いまして…。そこで思い切って直属の上司に相談して、兼職を認めて貰い…」
「…利章さん。人間、その気になれば…なんでも出来るんです」
「・・・」
「恥ずかしながら、自分も母子家庭で育ちまして…。ですが、お袋は親父の分までも俺に愛情を注ぎ込んでくれたんです…」
「そう、だったのですか…」
「…ハイ。どんなに遅く帰宅しても、朝御飯はきっちり手抜きせずに用意してくれたり、土日そして休日は時間の許す限り俺の傍に居てくれたり…」
「素晴らしい、お母様ですね…」
「…えぇ。そんなお袋を見て育つうちに、❝少しでもお袋を楽にさせてやりたい❞と、自己流で包丁を握る様になりまして…」
「そうでしたか…。どうりでお若いのに、手慣れた包丁捌きだと思っていましたが…」
「いえいえ…店長や鉄さんに比べたら、自分なんかまだまだですよ」
「誠人さん…お恥ずかしい話を聞いて頂き、本当に有難う御座いました…」
「おーいとっちゃん、ボチボチ休憩時間終わりだぜぃ!早いとこ、厨房戻って来てくんな!」
「分かりました!」
鉄さんの声に促され、利章さんは紙コップをゴミ箱に投げ捨て、手洗いとアルコール消毒をして厨房に戻って行った。
俺は携帯電話をロッカーから取り出し、鉄さん宅へと電話をかける。
「もしもし…もしもし?」
「もしもし…あ、誠人さん?」
「あ、せっちゃん…美花子は元気にしてる?」
「うん…チョー元気だよ!朝に誠人さんが作った離乳食、ぱくぱく食べてたよ!」
「そりゃあ良かった…あ、せっちゃん。美花子は…起きてる?」
「あー…ごめんね。美花子、今おねんねの真っ最中なんだ…」
「そうかぁ…でも美花子には沢山眠って、すくすくと成長して欲しいよね」
「…うん、そうだね」
「…それじゃ、せっちゃん。帰るまで、美花子を宜しくね」
「うんっ!誠人さん、お仕事頑張ってね♡」
と言う、元気いっぱいの返答と共に通話が途切れる。
俺は携帯電話をロッカーに放り込むと、手洗いとアルコール消毒を行って厨房へと戻って行った。
・・・
「皆さん今日は!」
「おう、今日はトッシー!悪いけど早速、そこのピーマン輪切りにしてくれ!」
「ハイ!分かりました!」
「先輩!コンソメスープ上がりました!」
「…ちょっと濃過ぎだな。水を半カップ追加してくれ」
「分かりました!」
「おっ、とっちゃん!息子さん達のお出ましだぞ!」
との鉄さんの呼び掛けに。
厨房を清掃していた利章さんはモップを定位置に戻し、レストランの出入口でランドセルを背負った息子さん達を出迎える。
「利行、利徳!お帰り!」
「パパ、ただいまー!」
「ぱぱ、ただいま!ねーねー、おやつはできてるー?」
「誠人さんが今作ってくれてるからな…カウンター席で待ってなさい」
「はーい」
と言いながら小学校から下校してきた利章さんの二人の息子さん達は、カウンター席であたかも餌を待つ雛鳥の様に、俺に三時のおやつを催促する。
「こんにちはー!オイマー坊、今日のおやつはなんだ!?」
「コラッ、利行!何回❝誠人さん❞って呼びなさい、と言えば分かるんだ、オイッ!」
「まーぼぅ、こんにちは!ねーねー、としのりとあそんでよー」
「コラッ!利徳までっ!」
「ちょっと待ってろよ、利行クンに利徳クン…ホレお二人さん、マー坊特製の❝揚げたてフライドポテト❞一丁上がりだぞ!」
俺は❝小さな親分❞状態の利行クンと利徳クンに、揚げたてアツアツのフライドポテトをカウンター席に配膳する。
「それじゃ、いただきます!…うんっ、すっげーおいしい!」
「おう、どうだっ!?マー坊の事を、見直したかぁっ!?」
「うんっ、みなおしたよおっ!なぁまーぼぅ、これからはまーぼぅのことを、❝まーにいちゃん❞ってよんでいいかな?」
すると。
利行クンがフライドポテトを頬張りながら、涙ぐみ始めた。
「ん、利行クン、どした?口ん中、火傷しちまったか!?」
と言いながら俺は、カウンター席に冷水を持って行くと。
「ぐすっ…マー坊、違う…給食以外でこんな出来立てアツアツのお料理を食べたの、久し振りだったから…」
「え…まさか、お父さんが言ってた…アレって…」
「うん。まま、ぜんぜんおりょうり、つくってくれないんだ…」
「朝御飯と晩御飯はいっつも冷え切った、コンビニ弁当ばっかり…だからこんな作り立てのお料理を食べたの、久し振りなんだ…ううっ…」
「利行クン…利徳クン…」
「まーにいちゃん…つくりたてのおりょうりって、こんなにおいしかったんだ…」
「マー坊…マー坊…」
利行クンと利徳クンはカウンター席で、人目もはばからずひたすら泣きじゃくっていた。
よほど温かい料理、そして母親の愛情に飢えていたのだろう。
「利行…利徳…」
「パパ…」
「今はまだ、見習い期間だから包丁を握らせては貰えないけど…でも包丁を握れる様になったら、二人にいっぱい美味い料理を、作ってやるからな…」
「ぱぱ…」
「パパ…頑張って…」
「…あぁ」
と言い残すと利章さんは息子さん達の頭を撫で、厨房へと戻って来た。
見るとその目には、うっすらと光るものが。
俺は思わず、利章さんに語り掛けていた。
「利章さん…良い息子さん達じゃないですか…」
「ええ、私には過ぎたる位の、良い子供達ですよ…」
「…とっちゃん。で、コレからどうするんだい?」
「…正直、まだ迷っています。子供達の未来を考えると…別れるのがベストなのか、仮面夫婦と言われても、同居を続ける方がベストなのか…私には、分かりません…」
鉄さんの質問に、利章さんは神妙な表情で返答する。
「利章さん…奥さんの携帯は、チェックしましたか?」
と、今度は信彦が質問をぶつける。
「いえ…妻は最近、携帯を肌身離さず、風呂場にまで携帯を持ち込むもので…」
「そりゃあ…❝限りなく黒に近い灰色❞、っすね。取り敢えず…貯金と通帳のチェック、それに印鑑の確保は必須ですよ」
「そうなんですか…我が家の資産の殆どは嫁に任せていたもので…」
「もし…家探しついでに見た事が無い派手な下着や大人のオモチャが出て来たら…証拠として写真を撮るべきっすね。後…奥さんとの会話は、必ず録音しとくべきですよ」
「信彦さん…貴重なアドバイス、有難う御座います…」
「いや、とんでもないっすよ!今のは殆ど、2ちゃんねるで仕入れた知識なもんで、どんだけ役に立つかは保障出来無いっすけど…」
「いえ…今の私は例えれば、海図も望遠鏡も無く、羅針盤が壊れた難破船の様なものです。どんな情報でも、参考になりますよ」
「あざっす!」
「…とっちゃん。少なくともこの厨房のスタッフは皆、とっちゃんの味方だ!困った事が有ったら、遠慮なく頼ってくんな!」
「皆さん…こんな若輩者に、有難う御座います!」
利章さんも何時の間にか、人目もはばからず大粒の涙を流していた。
そんな利章さんを見ながら、俺は内心、腸が煮え繰り返っていた。
夫と息子達を顧みない、まだ見ぬ利章さんの❝汚嫁❞に。
・・・
「なぁお袋…済まない、話良いか?」
夕食を終えて、リビングのソファーでファッション誌を読みながら寛ぐお袋に、俺は声を掛けていた。
今回の利章さんの騒動を目の当たりにして、俺はどうしても聞いておきたい衝動に駆られていたのだ。
俺の両親の、「離婚の真相」に。
「あら誠人…何?どうしたの?」
「お袋…単刀直入に言うぜ。お袋と親父は…どうして離婚したんだ?」
「…そうね。誠人ももう一児の父親だし…この際、話しておいた方が良さそうね…本当の事を」
と言うとお袋は、俺と向かい合う様に座り直す。
「いい、誠人?今から話す事は…ネタでもなんでもないわ。正真正銘…本当に起こった事実よ。それは予め、心に留めておいて」
「分かった」
「あ…お母様。節も…お話しを聞いて、良いですか?」
と、洗い物を終えたせっちゃんが俺の横に座って、会話に加わる。
「ええ…この際だし、せっちゃんにも知って貰っておいた方が…良いかもしれないわね」
と言うと、お袋は話し始めた。
「先ず最初に…話しておかなければならない事が有るわ。実は…私は、レズビアンなの」
「え…」
「それじゃ…」
「…無論、今では男性をあからさまに憎悪したり、軽蔑したりする事は無いわ。でも…学生だった頃の私は、男性に全く興味を抱けず…寧ろ、汚らわしく感じる様な女の子だったわ」
「それじゃ…どうして…」
「もう時効でしょうから、言っちゃっても良いと思うけど…高校時代、クラスメートに今で言うところの❝JKリフレ❞を持ち掛けられてね」
「お母様、それって…」
「その時に出会ったのが…誠人のお父さんだったの。正直…最初は全然関心も興味も無かったんだけど…」
「…けど?」
少々不機嫌な声で、俺が続きを促す。
「私に充てがわれた、誠人のお父さんから…今までの男性とは全く違う、そう…カリスマみたいな雰囲気にすっかり、魅了されちゃってね…レズの私が、初めて男性に惚れちゃったのよ」
「レズが惚れる男って…」
「それまで私の前に現れた男の子はみんな、❝一発ヤリたい❞のがミエミエでね…でも、あの人は違った。自分からエッチな事は一切要求せず、学校生活やプロのハスラーへの夢、両親の愚痴なんかも…全く嫌な顔一つせず、まるで自分の悩みの様に、真剣に聞いてくれたの」
「じゃあ…エッチは…」
「手を繋ぐ…腕を組む以外の肉体的接触は全く無し。なのにあの人は、律儀にお金を渡してくるのよ。最初はお断りしていたんだけど…そのうちに、貯めたそのお金で何か…プレゼントを買ってあげようと思ってね」
「・・・」
「それで…高校二年生のバレンタインデーに、チョコと腕時計を渡して告白したのよ…❝実は…私はレズだけど、こんなに心惹かれた男性は…生まれて初めてです。こんな私でよかったら、お付き合いして下さい❞って…」
「…それで、お父様は?」
「❝君がレズビアンならば…女性に心惹かれるのは仕方ない。もし、僕以上に素敵な女性が現れたら…潔く身を退く。その代わり…それまでは真摯に、君を愛する❞って…」
「正直…気障ったらしいけど、格好良いな。悔しいけど…」
「そんな生活をしているうちに…ハスラーも進学も、どうでもよくなっちゃってね。❝一分一秒でも長く、この人の隣に居たい❞って…まぁ今にして思えば、❝完全にラリってた❞のよね、うふふふふ」
「それで…駆け落ちに至る、と言う訳か…」
「当然、お父さんは大激怒。❝そんな男と交際するなら勘当だ!❞って言われた腹いせに、❝なら、私も駆け落ちするわ!❞って…まぁ、❝売り言葉に買い言葉❞って奴よ」
「お母様…それで…」
「で、高校を卒業してから二人してあのボロアパートに身を潜めていたら…暫くしてお母さんがやってきたのよ、婚姻届を持って」
「おいおい…お袋、本当にネタじゃ無いんだろうな?」
「さっきも言ったけど、コレは実話よ…お母さん曰く、❝お父さんは私が説得しておいたわ、後は彼の御両親に証人になって貰いなさい❞って…」
「お母様…」
「❝その代わり…絶対に添い遂げるのよ❞って、釘も刺されたけどね…」
「じゃあ…どうして…」
「そんなこんなでお父さんに処女を捧げて、籍を入れて…誠人を身籠って、そして出産して…」
「・・・」
「誠人の一歳の誕生日に…あの人に提案したのよ、❝たまには細やかな贅沢しない?❞って…」
「…それで?」
「❝プチ贅沢なお食事しましょ❞、って事になって…近場の高級ホテルでちょっと高めのお食事をしてたら…」
「してたら…どうなったんですか?」
「見知らぬ女性が突然、私達のテーブルにやってきて…お父さんと私に土下座を始めたのよ…❝今でも私はお父さんを忘れられない❞って…」
「なんだよ、それ…どういう事だよ!」
「誠人さん…落ち着いて…」
「お父さんが言うには、ね…❝この女性は自分の幼馴染で、美佐代さんと入籍する時に事情を全て話して、納得してお別れした❞って…」
「・・・」
「でも…幼馴染さんはそれでも…どうしてもお父さんを諦められなくて…それで駄目元で再度アタックして来た、って訳なの。それを見た時…」
「…なんだ?」
「アタシ…猛烈な罪悪感に苛まれちゃっててね。❝もしかしたらアタシが…この二人の仲に割り込んで…結果的に二人を不幸にしてしまったんじゃないか❞って…そもそもの馴れ初めが馴れ初めだし…」
「それで…お袋の方から身を退いたのか…」
「…そういう事よ。まぁ結婚期間も短かったし…結婚式も新婚旅行もしなかったけど、私の人生の仲で、あれ程充実した時間は無かったわね…」
「お母様…」
「結局…雀の涙程度の貯金を慰謝料代わりに貰ったのと…誠人を認知するのを条件に、離婚成立。それでも…市役所に緑色の紙を二人で出しに行った時は…妙に爽やかな感じだったわね」
「お袋…それで、親父は今…」
「風の噂で…事業を初めてそれなりに成功してるらしい、って事位しか知らないわ。何しろ離婚してからは…誠人を一人前にする事しか頭に無かったから、ね…」
「そう、だったんですか…」
「…離婚してから、親父に会った事は?」
「…無いわ。離婚した次の年の年賀状に、❝もうこれ以上、私達親子に関わらないで下さい❞って書いてからは養育費の振り込み以外、間接的な接触すら皆無だったわ…」
「そう、だったのか…」
親父が浮気→修羅場→離婚と言う、自分が想像していたのとは全く違う離婚の真相に、俺は些か拍子抜けしてしまっていた。
「なんだか…切ない話だな…」
「…お母様。お母様は、今でもお父様を…愛しているんですか?」
「…勿論よ。真面目な話、あの人以上に素敵な男性には…四十年以上生きてきて、今まで出会った事は無いわ」
「お袋…有難う」
「…え?」
「誠人さん…」
「俺からすれば…正直、自分勝手なクソ親父だけど…でも、親父が居なければ…お袋や鉄さん、慎也や千夏、龍に鞠子…そして…せっちゃんに出会えなかった訳だからな」
「…お母様。節も、誠人さんを産んでくれた、お母様とお父様に感謝しています…」
と言いながらせっちゃんは、ポロポロと大粒の涙を流していた。
「誠人…せっちゃん。二人はガチでラブラブだから大丈夫だと思うけど…一言言っておくわ。たまには本音で話し合わないと駄目よ」
「本音で…話し合う…?」
「そう。❝此処が嫌だ、アソコを改善して、コレを直してくれないかしら?❞って…本音でぶつかり合えない夫婦は早かれ遅かれ別れるわ。そうならない為の対策は…話し合い以外の方法は無いわね」
「…分かりました、お母様」
「分かったよ、お袋…」
「誠人…せっちゃん…もう、良いかしら?それじゃ、お風呂に入っちゃうから…」
「分かった、お袋。それじゃ早速…せっちゃんと本音で話し合ってみるわ」
「そうしてみてね…お二人さん(笑)」
・・・
「…とっちゃん。で…奥さんとは、どうするんだい?」
「…離婚します。アレを見せられたら、再構築は有り得ませんし…それ以前に自分の身体が持ちません」
…利章さんがこのレストランで働き初めてから二月後。
利章さんは俺達厨房スタッフからの問い掛けに…毅然とした表情で呟いた。
「アレって…」
「弁護士さんに紹介して貰った興信所に、調査を依頼したところ…この二月で吐き気を催す様な写真や動画を、わんさか見せ付けられました…」
「要は❝超ド真っ黒❞だった…って事ですか…」
「真っ昼間からのカーセックスに始まって…市民公園での青姦にSM紛いの行為…ラブホテルのハシゴに果ては自宅のリビングでのセックスまで、ハッキリと…此処まで馬鹿にされていたら、最早笑うしか有りませんでしたね…」
「自宅でセックスって、ガチで最悪っすね…利章さんの細やかな聖域を汚すなんて、❝汚嫁❞って表現すら生温く感じますよ…」
「それで…利行クンと利徳クンは…」
「昨日…意を決してハッキリと伝えました。❝お父さんはコレから、お母さんと別れて暮らさなければならなくなる。もしそうなったらお前達は、お父さんとお母さん…どちらに付いていく?❞と…」
「…それで、息子さん達は?」
「コチラが拍子抜けする位アッサリと…❝パパに付いていく❞と、返答されました。利行は兎も角、嫁にベッタリの利徳が自分を選んだのは、ハッキリ言って意外でした…」
と利章さんは、自虐的な表情で俺の問い掛けに返答する。
「小学校低学年の利徳クンが母親を拒絶するとか…酷過ぎるな」
「…それでとっちゃん、汚嫁と間男には…」
「当然、制裁します。間男は勿論、腹を痛めて産み落とした息子達を裏切った報いを、嫁には…絶対に受けて貰わなければなりません…」
「あの…利章さん、非っ常に聞きにくい事をお伺いしますが…息子さんは、本当に利章さんの子供さんなんですか?そこんところ、DNA鑑定をして、ハッキリさせた方が…」
「信彦さん…気持ちは良く分かります。ですが…例え血の繋がりは無くとも、利行と利徳は紛れも無く私の可愛い息子です。二人の親権は…絶対に嫁には渡しません!」
「その意気だぜぇ、とっちゃん!遠慮なく、汚嫁さんと間男にガツンと一発、鉄槌をカマしてやんな!」
「…有難う御座います!」
「それで…制裁って、具体的には…」
「今週の金曜日…嘘の飲み会を吹き込んでおきましたので、そこで間男を引き入れたところへ乗り込むつもりです。弁護士さんと、興信所の所長さんとの三人で…」
「…そうですか」
「幸いにも興信所の調査で間男の詳細は判明していますので…週明け早々に内容証明郵便を自宅と職場に送り付けてやります」
「普段大人しい人を怒らせるとどうなるか…って典型的な見本だな」
「利章さん…その、三人だけで踏み込んで、大丈夫なんですか?」
「弁護士さんからは…❝不貞行為を行っていた、言い逃れの出来無い決定的瞬間に踏み込む❞、と言われましたので…頭数が多いに越した事は無い、ですが…」
「なら…俺にもお手伝いさせて下さい」
「マー坊!?」
「丁度金曜、土曜とシフトの休みですから…それに利行クン、利徳クンを蔑ろにした事は…一児の父親として、絶対に許せません…」
「ならとっちゃん、俺も参加するぜ!こういう修羅場にマー坊を送り込んだら、何するか分からねえからなぁ!」
「鉄さん…なんかミョーに張り切ってません?」
「…ん、んな訳ねぇよ、ば、馬鹿っタレ!し、修羅場慣れしてねぇマー坊が心配なだけでいっ!」
・・・
そして迎えた、突入当日の金曜日。
俺と有給を使って店を休んだ鉄さんは、利章さんに指定された喫茶店に入って行くと。
「誠人さん、鉄さん…こちらです」
一足先に入店していた利章さんの向かいには…見覚えの有る波平頭。
「おや…鉄さんに誠人さん…御無沙汰しております」
そう…以前、千夏のセクハラ暴露作戦の際に、お世話になったあの弁護士さんだ。
「あ…コチラこそ御久し振りです。その節は…元クラスメートが大変御世話になりました」
「いえいえ、コチラこそ。しかし…世間は広い様で意外と狭いものですなぁ」
と弁護士さんは屈託なく笑う。
「それで…利章さん。本当に今日、事に及ぶんですか…?」
「興信所からの報告では…不貞行為は何故か、金曜日ばかりだったと…。ならば思い切って、金曜日に罠を張ってみましょうとなりまして…」
「それで…間男は何者なんだい?」
「日本人なら誰でも知っている、証券会社の独身営業マンです。…恥ずかしながら今回の一件は、知らぬ間に私が一助を担う事になっていたと思うと、気が重くて…」
「…どういう事だい?とっちゃん…」
「実は…貯め込んでおいた細やかな共有財産を、資産運用してもらおうと思い…証券会社に相談したところ、我が家の担当になったのがあの間男だったと言う訳です…」
「…利章さん、起こってしまった事は仕方ないですよ。肝心なのは❝ケジメをつけて前に進む❞事だと思いますが…」
「ケジメをつけて、前に進む…」
「そうです。こうなった以上…汚嫁と間男に関わる無駄な時間を少なくして…息子さん達と、❝本当の幸せ❞を掴みましょうよ、利章さん…」
「先生…ううっ…」
利章さんはまたもや人目をはばからず、大粒の涙を流していた。
…と、そこで。
弁護士さんの携帯電話の着信音が鳴り始めた。
「ハイ、もしもし…ハイ、了解しました。ハイ、依頼人と…助っ人の方が二人、いらっしゃいますよ。ハイ、ではまた動きが有りましたら御連絡下さい。では…」
「…何か、有りましたか?」
「ええ…間男と汚嫁さんが早くも接触したそうです」
「オイオイ、まだ三時だぜぇ…マー坊じゃねえんだし、一体どんだけ溜まってんだ?」
「…鉄さん!」
「おう…悪い悪い、マー坊…」
「兎に角今は…連絡を待ちましょう…」
と言いつつ野郎四人は、苦いコーヒーを啜りつつ時が経つのを待つ。
…そして。
日がかなり西に傾いた…真冬の午後五時。
再び、弁護士さんの携帯電話の着信音が鳴る。
「ハイもしもし…ハイ、そうですか。分かりました、では我々も移動しましょうか…ハイ何時もの喫茶店です、では後ほど…」
「…動き出しましたか」
「ええ…スーパーで、腕を組んで仲良くお買い物中だそうです。多分…間男は❝このまま直帰する❞と会社に報告したのでしょうね」
と言っていると。
喫茶店に、ガタイの良いガテン系のおじさんが入店して来た。
「利章さん、弁護士さん、と…そちらが、助っ人の方ですね?始めまして、私○○興信所の所長です…以後、お見知り置きを」
と自己紹介。
「どうも始めまして…とっちゃん、じゃねぇ…利章さんの助っ人の鉄です。コイツは…婿の誠人です」
「…誠人です。今日は…宜しく御願いします」
「コチラこそ…宜しく。では時間が有りません、詳しい話は車の中で…」
俺達は会計を済ませると、興信所のワゴン車に乗り込み、利章さんの自宅に一目散。
その車の中で、作戦の概要を聞かされた。
…とは言っても、様は間男と汚嫁が合体中に乗り込み、言い逃れの出来無い証拠となる写真と動画を所長さんと弁護士さんが撮影するので、俺と鉄さんは二人が逃げられない様にサポートしてくれ、というもの。
「後…お分かりでしょうが、絶対にコチラから手を出さないで下さい。もし殴りかかられたら…不本意かもしれませんが、無抵抗で一発殴られて下さい」
「様は…先方の❝有責カウンター❞を上げる訳です。不倫のみならず、傷害罪も追加される訳ですからね…」
と言っていると。
ワゴン車に向かって、チカ、チカ、チカと点滅する光が。
「ターゲット、そちらに向かう…か。皆さん、身を潜めて下さい」
所長さんの声に従い、俺達は身を屈めて時を待つ。
「ハイ、良いですよ…」
俺達は再び座席に座り直し、その時を待つ。
「あの…所長さん。一つ質問、良いですか?」
「出来れば、手短に…」
「今の、チカ、チカ、チカって光は…なんですか?」
「モールス信号です。良く戦争映画で❝トンツー、トンツー❞と言う電子音が飛び交うシーンが有りますよね?アレの光バージョンです」
…後で聞いた話だがこの所長さん、元陸上自衛隊の通信科員で、❝精鋭中の精鋭❞として知られるレンジャー部隊にも志願したというガチの猛者。
残念ながら最終段階で脱落したのを機に除隊して興信所に就職、先代の所長さんとの娘さんと結婚されて興信所を引き継いだそうだ。
閑話休題。
「ふぃ〜…、何でだか分からねえんだが…今、俺の頭ん中で、❝トップガン❞って映画の❝デンジャー・ゾーン❞って曲がガンガン鳴り響いてんだがな…」
と、鉄さん。
「あー、それって多分…頭の中からアドレナリンがドバドバ分泌されてる証拠ですよ」
と所長さん。
「それよりも…まだ、ですか?」
と利章さん。
「落ち着いて下さい…事に及んだ際には…❝ピカ、ピカー、ピカー、ピカー、ピカー、ピカー❞という発光信号が来るはずですから」
「それって…」
「❝GO❞のモールス信号です」
「そうですか…」
「ん?明かりが消えた…そろそろ、ですね」
…そして待つ事暫し。
ピカ、ピカー、ピカー…ピカー、ピカー、ピカーという発光信号が俺達に送られて来た。
「皆さん…行きますよ!」
所長さんの言葉を合図に俺達はワゴン車から下車し…抜き足、差し足、忍び足で利章さんの家の玄関に向かう。
「すいません、利章さん…鍵を、貸して下さい」
チェーンカッターを左手に握る所長さんに利章さんが鍵を渡すと、ゆっくり鍵を挿入し…ガチャリと言う静かな音と共に…玄関の鍵は空いた。
不用心にもドアチェーンは掛けられておらず、そっとドアノブを捻り…玄関のドアが開けられた。
所長さんは不要になったチェーンカッターを地面に置くと、ドアを半開きにしたままで俺達を室内へ促す。
そして俺達が利章さんの家内に入室したのを確認して…物音がしないようにゆっくり扉を閉めると、再びそっと鍵を掛ける。
「弁護士さん…ビデオカメラ、御願いします」
弁護士さんは無言で頷くと、ハンディカムのスイッチを入れる。
そして俺達は再び抜き足、差し足、忍び足でゆっくりと階段を上がり…二階の利章さん夫婦の寝室へ向かって行くと。
「ああん…ああん…あああっ…突いて、突いて、デカチンでもっとオマンコ突いてぇ…」
と言う喘ぎ声が聞こえてくる。
正直、こんなに興奮しない、と言うか…吐き気を催す喘ぎ声を俺は初めて聞いた。
「なぁ、奥さん…旦那のチンポと俺のチンポ…どっちが気持ち良い?」
「そんなの…間男くんの方が気持ち良いに決まってるじゃあん…」
「ハハッ…旦那ザマァですよねぇ…」
次の瞬間。
利章さんが一気に階段を駆け上り、寝室のドアをバーンとこじ開けた。
「お前達…此処は俺の家だ、ラブホテルじゃねぇ!」
「な…」
「違うの!」
次いで使い捨てカメラを構えた所長さんとハンディカムを構えた弁護士さんが寝室に入り、性器が繋がったままの二人の痴態を撮影する。
「な…てめぇ等、何撮影してんだこらぁ!」
と間男が所長さんに殴り掛かろうとするが。
膣痙攣でも起こしたのか、間男のデカチンは中々汚嫁のオマンコから引き抜けない。
それを見ながら所長さんはパシャパシャと写真を録りまくり、弁護士さんは面白そうに室内を撮影している。
暫くして漸くチンポをオマンコから引き抜いた間男は所長さんに殴り掛かるが。
流石元自衛官、一般ピープルのへなちょこパンチではびくともしない。
「間男さん…それ以上暴力を振るえば傷害罪になります。大人しくした方が身の為ですよ」
「何言ってんだこのクソハゲ!」
「あー…言い忘れていましたが、私はこういう者で御座います」
と言いながら弁護士さんは、間男に自分の名刺を手渡す。
「べ…弁護士…?」
「…ハイ。私は、利章さんにお二人の不貞行為を証明する代理人として契約した者です」
「あ?不貞行為だぁ!?なぁ旦那さんよぉ…アンタの奥さんは、アンタの粗チンよりも…俺のデカチンの方が満足するらしいぜぇ〜」
「そうよ…アンタみたいな冴えないリーマンなんかよりも…この子の方がよっぽど、将来性も未来も有るからね」
「お前…」
「あー…後、利行と利徳の親権はアンタにあげるわ。アンタの血が入ったクソガキよりも…この子との赤ちゃんの方が、遥かに将来有望だからねー(笑)」
「言いたい事は、それだけか」
「…あ?」
「週明けに二人の職場、それにアンタの自宅に内容証明郵便が届くはずだ。それを踏まえて…改めて、弁護士さんの事務所で話し合おう」
「…あ?何だ、その❝内容証明郵便❞って?」
「兎に角。今後全ての連絡事項は…コチラの弁護士さんを通してくれ。いいな!」
「ハッ…負け犬が何吠えてんだバーカ」
「そのビッグマウスがいつまで続くか見物だな…」
と言うと利章さんは踵を返し、寝室から引き上げて行った。
「利章さん…グッジョブですよ!」
と弁護士さんは、「(´∀`)b」と笑顔でサムアップ。
「しかし…❝内容証明郵便❞がどんな物かすら知らないアホが証券会社の社員とか…」
と所長さんが呆れ顔で呟く。
「ま…取り敢えず今は吠えさせておきましょう。あー言う無駄にプライドの高い輩程、手玉に取りやすいカモは居ませんからね」
と弁護士さんはニヤリと微笑む。
それを見た俺は思わず、
「この人が敵でなくて、本当に良かった…」
と内心、胸を撫で下ろしていた。
・・・
「それで…二人はどうなったんですか?」
此処はレストラン恒例のお花見の席。
利章さんは浮気現場への突入後の顛末を、俺達従業員一同に報告していた。
「間男と嫁は、懲戒解雇になりました…」
と利章さんが一瞬だけ、後ろめたそうな表情で呟く。
「ざまぁーw」
「チョーメシウマだな!」
「天網恢恢疎にして漏らさず!」
「それで…慰謝料とかは…?」
「間男からは700万円、嫁からは200万を一括で頂きました。後親権は私、且つ養育費を月々5万支払う事を公正証書として作成した上で離婚届を提出しました…」
「しかし…あの無駄にプライドが高いアホが、良く応じましたね…」
「まぁ…アイツの御両親が常識の有る人達で助かりましたよ。証拠の写真や動画を披露した途端、❝お前…人様の家族を壊した事を理解してるのか!❞ってボコボコに殴られてましたからね。しかも…」
「え?しかも、って…」
「アイツ…よりによって、中学生と援交してたんです」
「うわぁ…」
「興信所の所長さんがアイツの行動に不審なモノを感じて…契約時間外にも張っていたところ…❝たまたま❞、証拠をゲット出来たそうです」
「どんだけ猿なんだよ…そのアホ…」
「それで…汚嫁さんは…」
「何でしたっけ…❝伝説の92❞でしたか?みたいに最初は❝慰謝料ちょーだい❞ってゴネてましたが…弁護士さんが凄い勢いで捲し立てた途端に❝やっぱり愛しているのはあなただけ❞って泣き付いてきまして…」
「うわぁ…ガチクズですね、その汚嫁…」
「結局その汚嫁も、❝性器でしか物事を考えられない❞プリン脳だったって事だろ」
「ま…なんにせよ、とっちゃんが汚嫁から逃れられた事に乾杯!」
「乾杯!」
「かーんぱーい…」
と美花子が、空の紙コップを可愛らしく掲げる姿に、従業員の皆さんから笑顔が溢れる。
「それで…とっちゃん、コレからどうするんだい?」
「実は昨日…❝早期退職制度❞を利用して…務めていた会社を辞めてきました…」
「…え!」
「矢張り…汚嫁に浮気されたのは、仕事ばかりで家庭を顧みなかった自分にも責任の一旦が有ったのではないかと…」
「いや…浮気する女は…所詮、性器でしか物事を考えられませんから…そんなに気にする事は無いっすよ!」
「そうしたら…」
「ハイ、コレからは…このお店の一員として、頑張らせて頂きます…利行と利徳に恥じない親父として、美味い料理を作れる様に頑張ります!」
「とっちゃん…」
「利章さん…コレからこの店の仲間として、宜しく御願いしますね!」
「ハイ…コチラこそ、宜しく御願いします!」
・・・
この日。
俺達が働くレストランに利章さんと言う…頼もしい仲間が、加わったのであった。