前回の拙い体験談に早々と、数多くの続編希望のお声を頂き、このシリーズの愛読者の皆様、そして激裏GATE-エロティカを訪れる皆様には感謝してもしきれません。m(__)mペコリ
遂に結ばれたマー坊とせっちゃんの「バカップル」ですが、まだお話はもうちょっと続きます。皆様、生暖かい目でお楽しみ下さいませ。
登場人物スペック
誠人(マー坊)→レストランで働く、仮性包茎で早漏気味の19歳。せっちゃん命の一穴主義者。
節子(せっちゃん)→理不尽に処女を奪われて、引きこもり中の中学三年生。誠人との同居で、徐々に生きる気力を取り戻しつつあるちっぱい美少女。
鉄さん→誠人が勤務するレストランの先輩にして、節子の父親。厳つい強面で、仕事には滅茶苦茶厳しいが、根は超いい人。
・・・
「誠人くん、これで如何ですか?」
「ハイ、これで結構です」
此処はせっちゃんの同級生、瑠璃子ちゃんのご両親が経営する理容店。
俺とせっちゃんのバカップルは、瑠璃子ちゃんのご両親に、散髪をしてもらっていた。
以前なら「男の人が怖い」「外に出たくない」の一点張りだったせっちゃんも、俺との❝愛の有るセックス❞をきっかけに、俺との同伴付きならば外出出来る様になっていた。
「それでは、二人合わせて丁度四千円ですね」
「それじゃ…すいません。コレでお釣り下さい」
と俺は、瑠璃子ちゃんのお母様に五千円札を手渡す。
「ハイ、お釣りです。ご利用、有難う御座いましたー!」
「それじゃ誠人くんにせっちゃん。お気を付けて!」
俺とせっちゃんは瑠璃子ちゃんのご両親の声に送られて、晩秋の寒空の下、理容店から外に出る。
「うわぁっ、寒ーい!」
せっちゃんはお母様のお下がりの、ちょっとぶかぶかのダッフルコートにキャスケット帽を目深に被り、口元を真っ黒なマフラーで隠した出で立ち。
矢張りトラウマは簡単には拭い去れないのか、見知らぬ男性には絶対に目を合わせず、人混みの中ではひたすら下を向いている。
そして何より。
トレンチコートを羽織った俺の左腕に自分の両腕をしっかりと絡み付け、俺にピッタリと寄り添って離れない辺り、心の傷の根深さが感じられた。
「せっちゃん、大丈夫…いざとなれば、防犯ブザーが有るから、さ」
あの忌まわしい❝リア充狩り事件❞以来、俺は携帯電話とキーホルダーに防犯ブザーを取り付けていた。
腕力も武術の心得も無い俺が、身を守る手段は❝大音量による威嚇❞、そして❝逃げ足の速さ❞、コレしか無いのだ。
「誠人さん…」
せっちゃんは怯えた様な眼差しで、俺を見上げてくる。
些か不謹慎ではあるが、その眼差しに俺は、本能的な保護欲を掻き立てられていた。
「せっちゃん…大丈夫、俺がせっちゃんを守ってあげるから」
と言うと、俺は右手でキャスケット帽の上からせっちゃんの頭を優しく撫でてあげた。
「えへへ…誠人さん、節ね…頭ナデナデされると、なんだかホッとするの」
「有難う…俺を信用してくれて」
「あ…ウェディングドレス…」
せっちゃんが指差すショーウィンドウの中では、純白のウェディングドレスを着せられたマネキン人形が飾り付けられている真っ最中だった。
「本当に綺麗だなぁ…節も早く、ウェディングドレス着てみたい…」
「う、うん…」
あの日、セックスした勢いで❝オモチャの指輪❞をせっちゃんに手渡して以来。
せっちゃんは明らかに、俺との結婚を意識したかの様な発言が多くなった。
「節、高校なんか行かない。このまま、家事手伝いで良い」
「誠人さんと節のお部屋、防音工事してくれないかなぁ?」
「誠人さん…貯金って、どれくらい有るの?」
…等々。
無論。
結婚には勿論、愛は必要だが、先立つモノがなければ、愛どころでは無い。
加えて。
結婚式に新婚旅行と、結婚にはやたらとお金のかかるイベントが付き物。
俺はレストランの正社員に登用されてからは極力無駄な出費は避け、給料の約半分は貯蓄に回しているのだが。
それでもここまでの貯蓄額は、半年分の給料に、やっと届くかと言う程度だ。
閑話休題。
「あのね…せっちゃん。俺…あの事件の前に、鉄さんにこう言われたんだ。❝俺は節の花嫁姿が見てぇんだ、もしお前が節とくっついたら、地味婚で構わねぇから式だけは挙げてくれよな❞って…」
と俺は、鉄さんの口調を真似てみる。
「アハハハハ、誠人さん、お父さんソックリー!」
と、せっちゃんは屈託なく大笑いする。
「せっちゃん…そんなに似てた?」
「うん、チョーソックリ!」
「あ…有難う」
俺達バカップルは電車に乗り込み、せっちゃんの家の菩提寺へと向かう。
そして二人は境内のお地蔵様、そしてせっちゃんの双子のお姉さんの季美子さんに祈りを捧げていた。
(季美子さん…やっとせっちゃんと、一緒に生きて行く決心が着きました。コレからも…俺とせっちゃんの事を極楽浄土から見守っていて下さいね…)
「誠人さん…何をお祈りしていたの?」
「…わざわざ、聞く?」
「…うん。誠人さんの口から、直接聞きたい…」
「俺とせっちゃんの事を、極楽浄土から見守っていていて下さいね、って…」
「奇遇だねー!実は節も、同じ事お祈りしていたの!」
「聞く必要…いや、何でもない…」
「それより誠人さん。また、あのラブホテル行かない?」
「あ…アソコね…」
俺達は去年のせっちゃんのお誕生日に、一度利用させてもらったラブホテルに向かってみた…が。
「申し訳ありませんが、只今改装工事中です」
の貼り紙。
「あーん、残念…」
「…せっちゃん。そんなに今、エッチしたかったの?」
「そういう訳じゃない、けど…」
「けど…」
「・・・」
「・・・」
二人の間の不穏な沈黙を、俺の携帯の着信音が掻き消す。
「ハイもしもし、誠人ですが。…今?せっちゃんのお家の菩提寺。…そうなんだ、分かった。じゃあ、俺が働いているレストランで、良い?それじゃ、また後で…」
「…お母様?」
「うん。お袋のお父さん…要は、俺の母方のお爺ちゃんが今日、こっちに来るんだって。だから、俺が働いているレストランで待ち合わせしようって…」
「そうなんですか…」
そして俺達バカップルは、再び電車に乗り込んだ。
座席に座っている間も、せっちゃんは俺にピッタリと寄り添って離れない。
まるで❝アズールレーンの如月❞を思わせる不安気な眼差しに俺は、せっちゃんの肩に左手を回し、軽く抱き寄せる。
そこへ。
杖を付き、左足を引き摺るスーツ姿にソフト帽の渋いお爺さんが、俺達の乗る車両に乗車してきた。
昼過ぎにしては結構な乗車率で、座席の殆どは人で埋まっている。
俺は思わず、
「宜しければ、どうぞ…」
と、席を譲るべく立ち上がった。
「いや…次の次の駅で降りるから、構いませんよ…」
「いやしかし、その足では…」
と譲り合いをしているうちにドアが締まり、電車が動き出したその途端。
お爺さんは思わずよろめき、せっちゃんへともたれかかる。
「お…お爺ちゃん、大丈夫ですか?」
「す、済まない…可愛らしいお嬢さん…」
「お爺さん…せめて、この一駅だけでも…」
「で、では…御好意に甘えさせて貰おう…」
と言うとお爺さんは座席に座る。
「今どきの若者にも中々、優しい人は居るんだな…有難う」
「いいえ…❝こう言う時は、席を譲りなさい❞と躾られましたから…」
「そうだったのか…」
とか言っているうちに、電車は目的地の駅のホームに滑り込む。
「もう着いたのか…お爺ちゃん、どうぞ」
と俺はお爺さんの手を引き、ホームへと誘導する。
「いや、色々済まなかった…せめてお名前だけでも、聞かせてくれないだろうか…」
「誠人と言いますが…」
「誠人…マサト!?❝誠実の誠❞に、❝人物の人❞と書いて、マサト…では?」
「ハイ、その通りですが…それが何か?」
「もしかして、君のお母さんの名前は…美佐代じゃないかね?」
「お爺ちゃん…何でお袋の名前を知っているんですか!?」
「おぉ…すると君が、美佐代の息子の誠人くんか…あぁ、自己紹介が遅れて申し訳無い。私は美佐代の父親の満と言います。以後、お見知り置きを…」
「こんなテレビドラマの様な出来事って、本当に起こるんだ」と俺は思わず、呆気にとられていた。
せっちゃんにいたっては、ポカーンとした表情でひたすら立ち尽くしている。
「…ところで、こちらの可愛らしいお嬢さんは?」
「俺…いえ、自分の彼女の節子さんです。どうか、宜しく…」
「あの…始めまして、節子と言います。宜しく…」
せっちゃんは伏し目がちではあるが、満さんの顔を見ながら御挨拶する。
見ず知らずの、しかも初対面の男性相手にキチンと挨拶出来たのは、あの❝忌まわしい事件❞以来初めての事だ。
「満さん…もしかして、その左足…」
「察しが良いな、誠人くん。夏の交通事故で、左足の自由が以前程、効かなくなってしまってね。本当に、申し訳無い…」
「いえ、お気になさらず。せっちゃん、左肩を持ってあげて…」
「うん…お爺様、どうぞ…」
「節子さんと言いましたか、本当に申し訳無い…」
「いえ…そんな…」
俺達はラグビーのスクラムの様な態勢を保ちながら、ホームから駅の改札へと出た。
二人きりならニ、三分少々のところを、満さんを誘導して、改札まで辿り着くのに約十分近く。
「誠人くんに節子さん…本当に有難う…」
「どういたしまして、困った時は御互い様ですよ。それじゃタクシー乗り場まで、ご案内しますね」
俺達三人はタクシーに乗り込み、俺が働くレストランへと向かった。
「いらっしゃいませ!…って、先輩!?確か、今日は休みっすよね?どうしたんですか?」
「今日は、ノブノブ。今日は客として、来させて貰ってる」
「そうですか…それじゃ、こちらのテーブルにどうぞ!」
と俺達三人は、四人がけのテーブルへと案内された。
「此処は…?」
「俺が働いているレストランです。高校三年間のアルバイト期間を経て、今年の春から正社員として働かせて貰っています」
「そうでしたか…」
「あ…すいません。ちょっと、電話かけて宜しいですか?」
と断りを入れ、俺はお袋に、レストランに到着した旨を告げる。
「うん…分かった。出来るだけ、早く来てくれよ。それじゃ…」
「…美佐代は?」
「…一時間位なら、仕事抜けられるそうです。ところで…不躾を承知でお伺いしますが、今日、こちらに来られたご用件は何でしょうか?」
「うむ…実を言うと、用件の大半は、既に済んでいるんですよ…」
「…まさか、俺の顔を見る為に、わざわざこちらまで来られた…とか…」
「ハイ…当たりです」
俺は内心、ズッコケそうになっていた。
もっと深刻な相談事が有って、此処までやってきたとばかり、思っていたからだ。
「しかし…誠人くん。素敵な彼女さんを、見付けましたね」
「い…いえ、そんな…」
「・・・」
「節子さん、と言いましたか。誠人くんを、しっかり支えてあげて下さいね」
「…ハイ」
そこへ鉄さんが、注文を取りにやってきた。
「らっしゃい、マー坊に節!注文は決まったかい?おっ、コチラのダンディーな御仁はどなただい?」
「コチラは…俺の母方のお爺様の満さんです」
「どうも、始めまして…満と申します。以後、お見知り置きを…」
「始めまして!アッシは節の父親の鉄と言いやす。コチラこそ、宜しく頼みます!」
「ほう…つまり、誠人くんの未来の義理のお父様になる方ですか…コチラこそ、宜しく」
「み…満さん!」
「・・・・・・」
俺達バカップルは、満さんの思いがけない発言に、思わず赤面していた。
せっちゃんにいたっては、俯いたまま顔を上げようとしない。
「へへへ…ところでお二人さん、ご注文は決まったかい?」
「それじゃあ、豚テキ定食をお願いします」
「せ…節、オムライス食べたい…」
「それでは…無難にハンバーグ定食にしておきましょう」
「ハンバーグ定食に豚テキ定食、それにオムライスそれぞれ一つづつ。ご注文は、以上で宜しいですか?」
「ハイ、それでお願いします」
そして。
俺達三人は、お袋を待ちながら出された料理に舌鼓を打っていた。
「うむ…上々のお味ですね」
「有難うごぜぇやす!」
「コチラの料理は…テイクアウトは出来ないのですか?」
「申し訳有りやせん…ウチはそういうサービスは、していないんですよ…」
「そうでしたか…妻に、持って帰って食べさせてあげようと思ったのですが…そういう事なら、仕方無いですね…」
「本当に、申し訳有りやせん…❝出来立て熱々を食べて欲しい❞って言うのが、ウチの店の方針でしてね…」
「いやいや、そういう拘りを持つお店は今どきお珍しいですよ…」
と話し込んでいるところに、お袋がやってきた。
「お父さんに誠人、待たせて御免なさい。あれ…せっちゃんも?」
「あぁ…散髪ついでに、ちょっと菩提寺にね…」
「美佐代…立ち話も何ですから、ひとまず、座りなさい」
「分かりました。すいません鉄さん、エビピラフとオニオンスープをお願いします」
「ご注文は以上で?」
「それでお願いします」
鉄さんがテーブルから離れたのを確認して、満さんはお袋に話し始めた。
「美佐代。今日、来たのは…ウチの事だ」
「本当に…本当にプールバーを閉めるの…?」
「残念だが…年末に閉める事にした。備品や器具はオークションサイトで競売に掛けて、落札者も出始めた。お酒は…常連さんに少しずつ分配してる。後は、店舗の再利用法だが…」
満さんの話では、プールバーは閉店後、お袋の弟さんがコンビニに改装する予定なのだそうだ。
そして満さんご夫妻はお知り合いが経営する老人ホームに入居して、余生を過ごす腹積もりなのだと言う。
「美佐代…本題は、ここからだ。私達は老人ホームで暮らしていけるだけの資金が有れば充分だ。そこで…」
「そこで?」
「君達に…細やかではあるが、生前贈与をしておきたいのだ」
「でも、お父さん…私は、お父さんに勘当された身なのよ。今更、生前贈与なんて…」
と、重苦しい空気が立ち込めるテーブルに、ノブノブがお袋が注文したエビピラフとオニオンスープを運んで来た。
「ご注文の品物、お持ち致しました!それでは、ごゆっくりどうぞ!」
「有難う御座います。それでは、頂きます…」
「美佐代、食べながら聞きなさい。確かに…あの男との結婚生活は、奴に落ち度が有ったとは言え、最終的には破綻した。お前は…妻としては、残念ながら落第だったと言わざるを得ない」
「・・・」
「しかし…誠人くんを此処まで立派に育て上げたのは大したものだ…妻としては失格でも、母親としては満点だぞ、美佐代…」
「お父さん…」
「それに…誠人くんには、なんの罪も無いし、まして節子さんを巻き込むのは気が引ける。よって…本日をもって、勘当を解除する。美佐代…今まで、本当に済まなかった…」
「いいえ、お父さん…私こそ、若さ故の過ちを許して下さって、本当に有難う御座います…」
「ぐすっ…」
いつの間にか、せっちゃんは大きな瞳から、大粒の涙を流していた。
「せっちゃん…」
「お母様、壮絶な人生を歩んで来たんですね…」
「せっちゃん…勘当なんて、せっちゃんに比べたら、メッチャ可愛いものよ」
「ん?美佐代、節子さんに…何か、有ったのか?」
「掻い摘んで話すわね、お父さん。実は…」
お袋は真相をぼかしつつ、せっちゃんが輪姦されたあの、❝忌まわしい事件❞の一部始終を満さんに語った。
「そうだったのか…節子さん、大変な目に、会われましたね…」
「い、いいえ…そんな…節、誠人さんが着いていれば…大丈夫です」
「せっちゃん…」
「うふふ。さすがせっちゃんの❝自慢の彼氏❞よね、誠人?」
「やめてくれ、お袋…照れるじゃねーかよ…」
「うおっほん!話を元に戻すぞ、美佐代。さて、先程の生前贈与の話だが。誠人くん…君はこれからが有る身だ。少額だが、受け取って欲しい」
と言うと満さんは、ポケットから小切手と一枚の紙を取り出した。
「ひ…百万円!?」
「しっ!声が大きいわよ、誠人」
「それと…コレも受け取って欲しい…」
満さんは再びポケットから、油紙に固く包まれた小さな塊を取り出す。
その形から、恐らくは小さな金塊だと想像出来た。
「コレは…本当にお金に困った時に、役立てて欲しい。受け取って下さい、誠人くん…」
「…有難う御座います!」
俺は思わず、満さんに深々と頭を下げていた。
「それではこの…❝生前贈与契約書❞に、サインして欲しい…」
俺は手渡された、❝生前贈与契約書❞にサインすると、満さんに手渡す。
「ハイ、結構です…では、誠人くん。君と節子さんの人生に、幸多からん事を…」
「お父さん…本当にすいませんでした」
「何、現金はどう足掻いても、天国には持っては行けないからね。生きているうちにこうやって、活用しなければ失礼だろう?」
「本当に、有難う御座います…」
「誠人くん。その代わりと言っては何だが…もし結婚式を挙げるのならば、私の妻共々、出席させてはくれないかね?」
「あ…も、勿論喜んで!」
「うむ…これでまた、生きて行く為の動機付けが出来た、と言うものだ…」
「それでは、満さん。せっちゃんとの結婚式で…また、お会いしましょう!」
・・・
「それじゃ、私は仕事に戻るから。二人は、コレからどうするの?」
「…買い物してから帰る。ちょっと、二人で選びたいモノが有るんだ…」
「…分かったわ。そうそうお二人さん、こんな言葉知ってる?」
「…何?」
「❝愛情は金額に、必ずしも比例しない❞って言葉。どんなに高価で、美しいデザインのブランド物を買っても、別れる人は別れるの。逆に、安物でも愛情を保つ努力をして、長続きしている人も居るし…」
「お袋…」
「ま、誠人とせっちゃんにこんな事言うのは❝野暮❞って分かっちゃいるんだけど。素敵な品物、選んできなさいよ」
お袋は所謂❝女の勘❞で、ある程度事情を察したのであろう、それだけ言い残して仕事へ戻って行った。
「…それじゃせっちゃん。行こうか?」
「…うん♡」
俺達バカップルは再び、駅前の商店街へと向かう。
まだ晩秋ではあるが、商店街は派手なイルミネーションに彩られ、山下達郎の「クリスマス・イブ」やワムの「ラストクリスマス」、マライア・キャリーの「恋人たちのクリスマス」が引っ切り無しに流れており、すっかりクリスマスムード一色だ。
「あ…この曲、前にカラオケで歌った曲だ…」
「そうだったね…」
「また慎也さんや千夏さん、瑠璃ちゃん達とワイワイと騒ぎたいなぁ…」
「そうだね…たまにはハメを外して大騒ぎしても、罰は当たらないよね…」
そして俺達は、駅前の貴金属専門店の窓際に陳列された、指輪やネックレス等を二人して眺めていた。
「とてもキレイ…」
「・・・」
俺は正直、気が気でなかった。
指輪に付いている値札に書かれている価格は、どんなに安くても最低六桁。
せっちゃんがどんな贅沢な指輪を要求してくるのかと、内心ソワソワしていると。
「あの…お客様?店内にも、豊富にお品物をご用意して有りますよ。宜しければ、中へどうぞ…」
俺達は声を掛けてきた女性の店員さんに促されるままに、店内へと入って行った。
「改めていらっしゃいませ。今日は、どの様なご用件でしょうか?」
「あの…実は、二人で結婚指輪を買いにきたんですが…」
「節…、指輪や貴金属にあんまり興味が無いからどんな指輪を買ったら良いのか、全く分からないんです…」
「そうでしたか…おめでとうございます!」
「あ、有難う御座います…」
「指輪はデザインや材質、それにブランドも大事ですが…先ずは指に合わなければ、何にもなりません。すいませんが、お客様の指のサイズを測らさせて頂けますか?」
「分かりました…お願いします」
俺とせっちゃんは、左薬指のサイズを店員さんに測って貰うと、店内の様々な指輪を見て回る。
「結婚指輪は婚約指輪と違って、❝結婚している事の証❞ですから、それほど高くなくても大丈夫ですよ。ウチのお客様には五年毎、十年毎に指輪を買い換えるご夫婦の方もいらっしゃいますから…」
との店員さんの説明に、俺は内心、胸を撫で下ろす。
「俺…いや、自分はレストランでコックをしているんですが、やはり衛生上指輪をはめたまま料理…はマズいですからねぇ」
「そうでしたか…それでしたら、コチラなど如何でしょうか?」
「節、もっと地味な指輪が良いなぁ…」
「そうですか…あ、コチラのカタログも、良ければご参考になさって下さいませ…」
俺達バカップルは店内に用意された椅子に座り、カタログに隅々まで目を通す。
「せっちゃん…欲しいデザインの指輪が有ったら、遠慮しなくて良いよ」
「誠人さん…結婚指輪って、結婚式で交換する物、だよね?」
「…あ、そうだね」
「節…誠人さん一人だけに、負担を掛けたく無いんだ。例え安くても、気に入ったデザインの指輪だったら節、それで良いよ…」
「でも、せっちゃん…オモチャの指輪を渡してプロポーズした事をこの間千夏に話したら、❝せっちゃんだから受け入れてくれただけで、一般的には非常識な行為❞って、メッチャ叱られたんだよね…」
「大丈夫。誠人さんと節の愛は、指輪のお値段なんかで変わらないでしょ♡」
「だからその分を、指輪で穴埋めしようと思っていたんだけど…」
「誠人さん…無理したら駄目ですよ。指輪以外にも、コレからいっぱいお金が必要になるんだから…」
「あ…せっちゃん、コレ…どうかな?」
俺が指差したのは、❝シャザーンの指輪❞の様に二つの指輪をくっつけると、「キューピットの矢に射貫かれたハート」が出来上がる様に刻印がされたペアリング。
「節…このデザイン大好きなの!誠人さん、これにしよっ!」
「せっちゃん。一つ、確認して良い?本当に…コレで良いの?」
「節…本当にこの指輪が欲しいの。それじゃ…駄目?」
「…分かった」
俺は手を上げて、店員さんを呼び寄せる。
「あ…すいません店員さん。この指輪…お願い出来ますか?」
「ハイ…承りました。ただ…お客様の指のサイズですとサイズ直しのお手間がかかりますので、お手元に届くのは早くて年明けになってしまいますが…」
「別に構いませんよ。それでお願いします」
「それでは…お支払い方法は、如何なさいますか?」
「勿論、現金でお願いします!」
と言うと俺は、二つ折りの財布から札束を取り出す。
「こんな事もあろうか」と、少し多めに銀行から引き出しておいたのだ。
俺は現金で会計を済ませると、店員さんにお礼を述べて店を出た。
「あー指輪、早く手元に来ないかなー♡」
「…正直、結婚式までこの指のサイズをキープ出来るか、マジで不安になってきたな…」
とか話しながら駅前を歩いていると。
「…誠人さん。なんか…変な人、着いてきてない?」
「え…?何処?」
「気のせいかなぁ…今、変な人が、節を見て笑った気がしたの…」
「…せっちゃん。俺から、離れないで…」
俺とせっちゃんは、ピッタリと寄り添いながら駅北口のオブジェに差し掛かった…その時。
何処からどう見てもホームレスにしか見えない異様な雰囲気の男が物陰から現れ、俺達の後に着いて来るではないか。
「せっちゃん、逃げるよ!」
俺はせっちゃんの左手を掴み、一目散に目の前のシティホテルのフロントに飛び込む。
「いらっしゃいませ!」
「すいません…部屋、空いてます!?」
「シングルなら、一室空いてますが…」
「そこで一時間休憩させて下さい!お釣りはいいです!」
俺は書類に急いで必要事項を書き込むと、千円札三枚を受け付けに突き出し、鍵を受け取ってエレベーターに乗り込んだ。
「早く…早く…」
目的階までに到着するまでの数十秒が、俺にはとてつもなく長く感じられた。
そして目的階に到着すると、俺達バカップルは部屋へと一目散に駆け込む。
「ハァ…ハァ…此処まで来れば…取り敢えず、大丈夫なはずだ…」
と呟いてせっちゃんを見ると。
あの❝忌まわしい事件❞を思い出してしまったのか、シングルベッドに腰掛けてブルブルと震えている。
「怖い…誠人さん、怖いよぉ…」
「せっちゃん…」
俺はせっちゃんの両肩に手を置き、せっちゃんの視線に合わせる様に腰を落とす。
「大丈夫…せっちゃん、俺が着いてる」
「ま…誠人さん…」
それだけ言うとせっちゃんは、俺の唇にディープキスしてきた。
「誠人さん…したい…」
「休憩だから、あんまり時間掛けられないけど…良い?」
「うん…良いよ…」
あの初セックス以来、肌を合わせる機会が無かった俺達バカップルは立ち上がり、重いコートを床に脱ぎ捨てる。
先ずは俺がせっちゃんのセーターを慎重に捲り上げ、ブラウスのボタンを一つ一つ外していく。
そしてスポブラをめくって、ちっぱいのピンク色の片方の先端にむしゃぶりつき、もう片方の先端を左手で優しく摘み上げる。
「あっ…ああっ…」
たちまちせっちゃんの可愛らしい唇から、艶っぽい喘ぎ声が漏れ出す。
そして空いた右手をせっちゃんの股間に充てがうと、既にせっちゃんのオマンコは大洪水を起こしていた。
「すげぇ濡らし方だ…」
「誠人さん…こんなに、お預けさせてぇ…節、本当は…誠人さんとしたくて、仕方が無かったんだよぉ…」
「俺も…せっちゃんと、やりたかったんだ…❝愛の有るセックス❞を…」
俺は右手をせっちゃんの股間から放すとせっちゃんの右手を、自分の股間に誘導した。
「あ…誠人さんの皮被りおちんちん…カチコチになってるぅ…」
せっちゃんはツータックチノの上から、俺の愚息を優しく愛撫すると、ベルトを外してチャックを下ろし、愚息をトランクスから引っ張り出した。
そのまま俺の愚息の亀さんを右手でナデナデし、更に尿道を人差し指でぐりぐりと愛撫する。
「せっちゃんのエッチ…こんなすげぇテクニック、持ってたなんて…」
「ああんっ…女の子だってぇ、男の人を喜ばせるテクニックが無いと駄目だって、瑠璃ちゃんに言われたのぉっ…」
(あの子…大人しそうな見かけによらず、結構大胆なんだな…)
そして俺はベッドにせっちゃんを寝かせると、せっちゃんの純白のパンティーをそっと、ゆっくり脱がせていく。
「誠人さん…ゆっくり脱がされると、節、却ってドキドキしちゃう…♡」
「せっちゃん…」
俺はせっちゃんのズブ濡れのオマンコに右手の中指と薬指、そして小指を差し入れ、余った親指と人差し指でクリトリスをコリコリと摘む。
「あ…ああんっ、誠人さん、それ、節、い…いちばぁん、感じるぅ…」
正直。
コレをやるには結構な指の筋力が必要不可欠で、前回のエッチの後は右手の指が暫く、強張って動かなかった程だ。
しかし。
快感に酔い痴れているせっちゃんを見ていると、そんな事がどうでも良く感じられてくる。
俺はせっちゃんのオマンコとクリトリスを攻め続けながら、左手でちっぱいの乳首を片方ずつ摘み、そしてせっちゃんの唇をディープキスで塞ぐ。
「んんん~、んんんんんん~っ…」
せっちゃんの切ない喘ぎ声が、俺の口の中へと口移しされていく。
「せっちゃん…可愛い…」
「誠人さぁん…節、もう、我慢出来ないよおぉ…」
「もうちょっと。もうちょっとだけ、我慢して…」
「誠人さんの…意地悪ぅ…♡」
「女の子って…焦らせば焦らしただけ、おちんちん挿れると快感が倍増するんでしょ?せっちゃん…まだ我慢だよ、我慢…」
とせっちゃんの耳元で囁きながら、俺は指マンをピストンから円運動へと切り替える。
「誠人さぁん…節、イッちゃいそう…あっ、ああんっ、ダメ、節、イクぅーーー!!!」
と凄まじい叫び声を上げながら、せっちゃんは派手に潮を吹き散らかしながら果ててしまった。
「すげぇ潮吹き…」
「誠人さん…もう…良いでしょ…?意地悪しないで早く…節のオマンコに挿れてよぉ…」
「せっちゃんって悪い子だ…❝オマンコ❞なんて卑猥な言葉を、軽々しく口にするなんて…」
「だって…挿れて欲しくて仕方が無いんだもん…誠人さんの皮被りおちんちん…」
「せっちゃんって…本当に淫乱な女の子なんだね…❝オマンコ❞とか❝おちんちん❞とか、平気で口にしちゃって…」
「だぁってぇ…エッチな事言って、皮被りおちんちん挿れてくれるんだったら…節、いくらでも淫乱でイヤらしい、悪い女の子になっちゃうよぉ…だから早くぅ…お願ぁい…」
「…せっちゃん、有難う。その代わり…俺以外の男の人には…そんなエッチな一面、見せちゃ駄目だよ?」
「分かってるよ…だって節、誠人さんの皮被りおちんちんが大好きだもん…節のオマンコ、誠人さんの皮被りおちんちんととっても、相性が良いんだもぉん…♡」
「せっちゃん…それじゃ、挿れるよ…あ…その前に、ゴム、着けないと…」
俺はせっちゃんのオマンコに、コンドームを被せたズル剥けおちんちんを下半身全体をフル活用してグイッと捩じ込んだ。
「あ、相変わらずキツい…けど、暖けぇ…」
「あんっ、誠人さんの皮被りおちんちんだぁ…♡」
「せっちゃん…ゴムの着いたおちんちんは…どう?」
「気持ち良い…節、コレはコレで良いかも…♡」
「せっちゃん…ゆっくり、動かすね…」
俺はゆっくりと、コンドーム着きのズル剥けおちんちんを動かし始めた。
「あん、ああっ、あんっ…♡」
せっちゃんの可愛らしい喘ぎ声を気にする余裕も無く、俺はせっちゃんのオマンコをゆっくりとピストンする。
すると。
俺のズル剥けおちんちんの亀さんが、何かにぶつかった感触。
「ああぁーーーんっ!」
せっちゃんは一際、大きな喘ぎ声を上げる。
「なんだ?今の…」
「誠人さぁん…多分っ、節の子宮をぉ、誠人さんのおちんちんがノックしたのぉ…ねぇ…誠人さぁん、もっと、もっとぉ…節の子宮、ノックしてよぉ…」
「…うん」
俺は尚もピストン運動を続けるも、中々あの感触に出会えない。
それどころか、徐々に射精感が込み上げてくる。
するとせっちゃんが、自分の両足をV字型に持ち上げ、焦る俺の両肩に乗せてくる。
所謂、「屈曲位」の変形バージョンだ。
俺はせっちゃんの両足を両手で抱え込み、再びピストン運動を再開する…と。
また亀さんが、せっちゃんの子宮をノックするあの感触。
そしてその感触は、徐々に回数が増えていき、それと共にせっちゃんは激しく悶え狂う。
「あん、ああんっ、誠人さぁん、もっと、もおっとおっ…」
せっちゃんは激しく喘ぎながら腰を振り続ける。
それと共に、ぷるぷると小さく揺れるちっぱいが、俺の劣情を更に煽る。
「せっちゃん…せっちゃん…」
俺もせっちゃんのオマンコに何度も何度も、ゴム着きのズル剥けおちんちんを突き入れる。
我が愚息の亀さんは何度も何度も、せっちゃんの子宮をノックし、その度にせっちゃんの喘ぎ声はヒートアップしていく。
「あああっ、駄目ぇ、あんっ、節っ、ああんっ、もうっ、イキそうだよぅっ…」
「俺も…もうっ、出そうだぁ…」
「誠人さぁん…もうちょっと…もうちょっとだけ、我慢してよぉ…」
「うぅっ…ぼ…ボチボチ、限界だぁ…」
「せ…節も…もぉ…もうイキそう…」
せっちゃんの目は固く閉じられ、その表情は文字通り「快楽を貪る淫乱娘」そのもの。
約三年前、始めて知り合った時のあどけなさは殆どそのまま変わらないだけに、そのギャップが却って劣情をそそる。
「ああんっ、誠人さぁん…節、もう駄目ぇ…!」
「せ…せっちゃん、で、出る…!」
せっちゃんの身体がビクビクンッと激しく痙攣を起こした次の瞬間、俺はコンドームの中に大量の❝赤ちゃんの素❞を発射。
俺はそのまませっちゃんのちっぱいに、顔を埋める様に果ててしまった。
「ハアッ…ハアッ…ハアッ…ハアッ…」
「・・・」
バカップル二人は暫く、快感の余韻に酔い痴れる。
「ハアッ…せっちゃん、気持ち…良かった…かな…?」
俺はせっちゃんのツンと尖ったちっぱいの先端を、玩びながら囁く。
「もう…誠人さん、節のおっぱいで遊ばないでよぉ…♡」
せっちゃんも口では文句を言いつつも、その表情は満更でもないご様子。
「それより誠人さん…何だか…外が騒がしく…ない…?」
せっちゃんに指摘されて、初めて俺は気が付いた。
窓の外からパトカーのサイレンが響き渡り、拡声器を通した警官の怒鳴り声が聞こえてくる。
そこへ床に脱ぎ捨てたトレンチコートのポケットから、俺の携帯の着信音が鳴り響き始めた。
「ハイもしもし…あ、お袋?…何?うん…俺もせっちゃんも、咄嗟に建物の中に逃げ込んだから大丈夫だよ…あぁ、分かった。それじゃ…」
「何…?どうしたの…?」
俺は無言で室内のテレビにテレビカードを差し入れ、スイッチを入れると、丁度今まさに、眼下の駅北口の広場で通り魔事件が発生した事を報じる臨時ニュースが流れていた。
「怖い…」
「あのホームレスみたいな男が、通り魔だったなんて…でも、怪我人が出なかったのは、不幸中の幸いだったな…」
「でも…何で今まで、気付かなかったんだろうね…」
「それだけ俺もせっちゃんも、セックスに夢中になってた証拠だね…」
「もう…やだ!誠人さん…♡」
俺達バカップルは❝カラスの行水❞の様に急いでシャワーを浴びると身なりを整え、ホテルから家路についた。
・・・
「今、帰りました。遅くなってすいません」
俺とせっちゃんが這々の体で帰宅すると、時計の針は既に八時前を指していた。
「誠人、お帰りなさい。取り敢えず…無事で何よりだったわね」
「マー坊…随分遅かったな…」
「鉄さん…本当にすいませんでした」
「…まぁいいさ。それよりマー坊。何か…話が有るんじゃねぇのか?」
正直…「遂に、この時が来たな」と感じた俺は鉄さんに向き直った。
「はい…話と言うのは、他でもありません。せっちゃん…いえ、節子さんと…結婚させて下さい!」
俺は鉄さんの目を真っ直ぐに見詰め、そして深々と頭を下げてお願いしていた。
「お父さん…確かに、節は結婚するには、まだ若過ぎるかもしれません。だけど…節にとって誠人さんは、節の人生に絶対に欠かせない存在になっちゃったの!」
「・・・」
「お父さん…節の一生一度の我儘、聞いて下さい!お願いします!」
「・・・馬鹿野郎」
「…え?」
「やっと決心が着いたか、全く…決心するのが遅えんだよ、馬鹿野郎!」
「それじゃ、お父さん…」
「あぁ…お前等が初めて出会ったあの花見の日から…節を嫁にやるならマー坊、オメェしか居ねぇと思っていたからな。改めてマー坊…節を宜しく頼むぞ!」
「…有難う御座います!」
「お父さん…有難う!」
俺達バカップルは人目を憚る事無く、二人して大粒の涙を流していた。
「ところでマー坊…籍を入れたら、住まいはどうするんだ?」
「あ、あの…鉄さんさえ宜しければ引き続き、この家で御一緒に…と考えていますが…」
「ふん…分かってるじゃあねーか!」
「…え?」
「もしお前等がこの家を出るとかほざいたら…お前をぶん殴ってでも引き止めるつもりだったからな…」
「…どういう事ですか?」
「取り敢えず…コレ見てくれ」
と言いながら鉄さんは、数枚の書類を差し出す。
「見積書…リフォーム…?」
「あぁ…節を犯した野郎の親の一人がな…❝息子のした事の償いに、慰謝料を支払いたい❞って言ってきてな…」
「でも鉄さん…最終的には示談を全て蹴飛ばしたんじゃ…」
「ああそうだ。だけどその親御さんはな…❝どうしても、息子のした事の償いをしたい❞って言って聞かねぇんでな…その償いが…コレだ」
と言いながら鉄さんは、小切手を俺に差し出す。
「一、十、百、千、万…い、一千万!?」
「最初は❝こんなに貰っても仕方がねぇ❞、って感じだったんだがな…だが、お前等二人がくっついたら、今のままじゃ絶対、手狭になっちまうからなぁ…そこで、この家を三世代住宅にリフォームしようと思ってな…」
「鉄さん…本当にすいません!」
「何、構やしねーよ。それよりマー坊。節との結婚式は、やってくれるんだろうな?」
「は…はい…」
「あ…誠人。結婚式を挙げるなら、コレを使いなさい」
と言いながらお袋は、銀行の預金通帳を差し出す。
見ると預入欄には、数十万円単位の振込記録が複数。
「お袋…コレって…」
「誠人…アナタの暴行傷害の示談金よ。コレを活用すれば、地味婚だったら挙げられないかしら?」
「お袋…済まない!このお金…有難く使わさせてもらうよ!」
「なぁ母ちゃん…目出度ぇ…目出度ぇなぁ!」
「そうですね、アナタ…節に、こんな立派な旦那様が…」
「お父さん…お母さん…有難う、本当に有難う!」
「鉄さん、お母様…有難う御座います!」
・・・
こうして。
遂に俺達「バカップル」は、「バカ夫婦」へとジョブチェンジを果たしたのであった。