ー芸能事務所ー
それは弱小の芸能事務所。
学校が終わって、沙織ちゃんの家でメイクして貰いウイッグ(かつら)を被り、白の膨らみ袖のブラウス、ブレザー、ヒラヒラした黒のミニスカートに黒タイツにモッコリ防止のショートパンツを履いた。
沙織ちゃんの母親は「あー。沙織ちゃんより可愛くなっちゃったけど?」
自分を見て、美少女は「ちっ」と舌打ちをした。
沙織ちゃんは不機嫌になった。
車に乗って沙織ちゃんは、自分と一言も口を利いてくれなくて街の雑居ビルの3階にある怪しい芸能事務所に入った。
社長は不在らしく、事務のオバサンが自分を品定めした。
「なに?沙織ちゃんママ。新人のスカウト?良い子じゃない」
沙織ちゃんは、プィっとそっぽを向いた。
社長が戻ると、自分のお尻をポンと叩き
「だれ?この娘。新人?」
沙織ちゃんの母親が説明をした。
「おいおい。このべっぴんさん。男?凄いね。沙織ちゃんより・・・」
言いかけた口を押さえた。
沙織ちゃんは、泣き出してしまう。
暫くして、自分は週末のイベントは眼鏡を掛けて地味な格好で目立たない脇役という事で、沙織ちゃんを納得させた。
ー週末ー
北関東の山奥にあるペンション。
非合法。
まず、自分を含めて沙織ちゃんや小学生を、深夜に働かせている段階でアウトだ。そして、単に陰部を晒さないだけで殆ど全裸での深夜撮影会を実行するのは、確実に事務所が摘発され逮捕される案件だ。
目立たない服を着る筈が、事務所に所属していた小学生アイドルの父親が非常識だと怒り出しドタキャン。
ある意味では、普通の親だと安心した。
おかげで、自分は人数あわせで脱がないけど、少しでも女の子が多いように見せる演出で、カワイイ系の衣装を着せられていた。
深夜10時。
ペンションの駐車場に参加者が車でやってきた。
驚いたのは、予想していたオタクっぽいデブでスケベそうな奴ではなく結構紳士的な男性や真面目そうな中年層の男性達だ。
相手の個人情報は記入しないで、ハンドネームみたいな名前で呼び合うらしい。
自分は受付をする。
自分も、本名ではなく当然”みいな”と名乗るように言われた。
なにやらメイド服みたいなカワイイ衣装。
胸元にピンでくくりつけられたネームプレートにはピンクの丸文字で”みいな”と書かれている。
「はい。奥にどうぞぉ」
むしろ、如何にもオタクというタイプを探す方が難しい。
どうやら30人くらい来るらしい。
受付が終わると、事務所の挨拶と所属アイドルの紹介、トークに進む。
沙織ちゃん達はニコニコ笑い、手を振ったりポーズを取ったりする。
懸命に声援を送ったり、無言でローアングルから写真を撮影したりしている男性陣。
(スゲーな)
一人男性で、何処かの大学の教授みたいな風格のあるオッサンが近くにきた。
「みいなちゃんは参加しないの?」
「えーと、小学生や中学生にはかないませんよぉ。高校生なんてババアですから」
「そうだな。失敬。高校生になると脱ぐかケツだしでもしないと相手にされないからな」
(うわっ。マジでスーパーロリコンだよ。高校生以下しか相手にしないのかよ)
事務所のオバサンが「みぃなちゃん。撮影用衣装の準備を手伝って」と言う。
「はい」
オバサンの方に歩き出し、ペンションの2階にある寝室に衣装の入った段ボール箱を持って行くときだった。
なにか階段の下から視線を感じた。
2人の男性が寝転んで階段したから、自分のスカートの中を盗撮している。
段ボール箱を持って居るので、スカートを抑えられない。
(見せパンだから良いけど。あまり気分の良い物じゃないなぁ)
図々しい事に男達は
「みぃなちゃん。笑って」
「みぃなちゃん表情が固いよ。スマイル」
(おいおい!盗撮野郎がぁ。笑えるわけないだろ!)
でも、事務所のオバサンに怒られたのは自分だ。
「みぃな。スマイル。微笑んだりできないなら恥ずかしい顔よ」
ジュニアアイドルって、意外と過酷だ。
セクハラされて笑ったり、恥ずかしい顔って何処まで露出狂女子だよ。
段ボールを部屋に運ぶと、事務所のオバサンに注意された。
「あのね。ジュニアアイドルって見えそうで見えない。陰部もお尻もギリギリが勝負だったのよ。でも規制が掛かってアウト。あとはファンの男性を満足させるは、男に都合の良い身近な女の子を演じるだけなのっ。この業界は生き残る為にはサービスしかないの。嫌でも笑ってね」
自分は、あくまでも華を添えるだけだ。
でも、社長が来て「悪い。みぃなも水着になってくれ」
(マジかよ)
このあと、どんな展開になるのだろうか。(つづく)