(あれ?俺って、こんなに簡単に、流れるように、女の人にキスできるような奴だったっけ?)
「え、と、もう1回…」
そんな私の間の抜けなセリフを聞いた彼女。さっきまでの困ったような表情は少し影を潜めたように思えた。そうして、なんだか可愛らしい愛玩動物でも見るような目で微笑む。
自然に、本当に自然に、最初から私たちはこうあるべきだったと、そんな思いをその時の2人は重ね合わせていたのだと思う。
彼女、いずみとの、10年に及ぶ物語がここから始まった。
…
18歳の秋、北海道小樽でのアルバイトは、運河沿いのホテルレストランでのウエイター業務。忙しいけれど楽しく、私は充実した毎日を過ごしていた。
とある事件を起こして高校を中退することになり、実家を追い出されて半年近くになる。独り暮らしにも慣れ、あとは彼女ができれば言うことはない。先のことは分からないけれど、まあ、なんとかなるだろう。
(事件というのは、現在平行して書いているJS5年生2人への~…というものなので、興味があればそちらも読んでください)
若さゆえの視野の狭さだったのか、ただただ能天気だったのか、それとも、このころから自信過剰過ぎる性格が現れていたせいなのか、おそらくはそれら全部だったのだろう。アルバイトを続けていても、これだけ稼げるならどうにでもなると、毎月40万円ほどの振込額を見ながら、私はタカを括っていた。
(高校中退がどうした。その辺の正社員よりも稼いでいるじゃないか)
そんな根拠のない自信というものは、得てして同年代の女性からは魅力的に映るものなのかもしれない。
新人アルバイトとして入ってきた彼女。年齢は1つ上の19歳。きれいなロングヘアーは腰まで届きそうだ。ネームプレートには“いずみ”と書いてあった。姿勢よく、礼儀正しく、ハキハキとして、明るく笑顔を振りまく。私は、当時の彼女の全身の様子をあまり覚えていない。それほどに彼女の表情に囚われ、彼女の笑顔を毎日、毎時間、毎秒、追い掛けていたように思う。
1ヶ月ほどたっただろうか。あるとき、調理場で働く先輩アルバイトのAが私に声をかけてきた。他愛もない話だ。
仕事で困っていることはないか。
休みが少ないが大丈夫か。
彼女はいるのか。
…やめておけば良かった。今でも、そう、後悔している。
「彼女はいないですけど、最近入った、いずみさん、なんか気になってるんですよね」
「ああ、あの女は駄目だ。やめておいた方がいい」
表情を曇らせたAは、そう吐き捨て、休憩所を後にした。そのころにはすっかり彼女の虜になっていた私には、なんだかとてもAの言葉が腹立たしく、絶対に駄目な女性じゃないことを証明したいとすら、思ったほどだ。
…
このレストランは、ランチが終わると夕方まであまり客が入らない。ホールには1人で十分だ。2人で休憩入ってきて、とマネジャーから指示を受ける。私と、いずみさん、だった。同時に2人での休憩は初めてで、なんなら仕事以外の話も初めてだったかもしれない。
軽く食事を済ませ、ホール横の休憩所に移動した。休憩所といっても、階段スペースに椅子を置き、立ち仕事で疲れた従業員が足を休ませる程度のものだ。
狭い休憩所で、彼女の好感度を上げるべく話を続けた。話術もへったくれもない子供のようなトークだったと思う。彼女はそんな私の話に耳を傾け、時折笑ってくれた。初めて話す年上の気になる女性が、私に笑顔を向けてくれる。その状況に舞い上がっていた。
「いずみさんは、彼氏とかいるんですか?」
直前の話は思い出せないが、切り出し方がいかにも不自然だったことを覚えている。“しまった”と背中に冷たい汗をかきながら返事を待つ。
「えー、私はいないですよぉー笑。でも、いますよね?彼女さん」
ああ良かった。何も問題なかったようだと、その返事を聞いて、私は胸を撫で下ろしていた。そして私は、安心したのか、もう、その話を止められなかった。
「いないですいないです!ぁ、でも、気になる人ならいます」
「ええ~?誰です?あ、聞いていいのかな?」
「いずみさん、の…ことが気になってます。きっと初めて見たときから」
「え??わたし?あーそっかー、でも、わたしは…そんな風に思ってもらえるような女じゃないですよ?」
驚いたような、でも予想していたような、そして、少し困ったような表情。なぜか脳裏には、Aの「あの女は駄目だ」という言葉浮かんでいた。
「でも俺は、あなたが良いんです」
立ち上がって彼女に正対した。組んでいた脚を戻し、私をじっと見つめる彼女。困ったような表情はその色をさらに強めていく。
「わたしなんかやめておいた方がいいですって」
「そんなことないです。それに、それは俺が決めることだから」
少し下を向いて、困ったように笑う彼女。強めに息を吐き、私を見上げた。
「わたしなんかで良いの?」
返事をする代わりに顔を近付けると、彼女は静かに目を閉じた。
5秒ほどのキス。
2人とも息を止めていたことを覚えている。
…
次の休みにデートの約束をしたが、待ち合わせ場所のことで笑われてしまう。小樽に来てまだ3ヵ月ほどしかたっておらず、近くのケンタッキーくらいしか目ぼしい場所が思い付かなかった。
「中学生か!」
容赦のない彼女のツッコミに内心は深く傷付きながら、”適度な”待ち合わせ場所を設定してもらった。地元の人がよく使う少し歴史のあるような喫茶店だったが、18歳の子供にとっては、その大人の雰囲気に飲み込まれそうだったことを思い出す。
そこでお勧めの食事をとり、これまた彼女お勧めの店に入る。
「わたしの彼氏」
なんだか、自慢気に、店にいた常連客に紹介する彼女。それが少し恥ずかしく、とても心地良く、何よりも誇らしかった。1秒1秒、どんどん彼女を好きになっていくのが分かる。こんなに楽しそうに笑ういずみさんが、俺の彼女になってくれたことを実感できた、夢のような時間だった。
…
楽しい時間はすぐに過ぎ去る、彼女は実家暮らしで、21時には帰らないといけないと話していた。時計を見ると、あと30分くらいしかない。
ほぼ酔いつぶれていた2人。まだ秋とはいえ、小樽の夜は一桁台の気温になる。2人は足元をフラつかせながら歩いた。酒の匂いを白い吐息に変えつつ、なんとか私の間借りしている寮に到着した。3DKほどのアパート。部屋には電気が点いていた。
忘れていた。そういえば今日から入寮する人がいたはずだ。独り暮らしは今日で最後かと思いつつ、2人で挨拶を済ませた。だが彼は気を遣ったのだろう、いくら止めても、2時間ほど食事と買い物に出かけてくると言って聞かない。ごゆっくり、と関西独特のイントネーションで言われ、ドアが閉められた。
「初めてのデートとか言ったら、そりゃあ気を遣うよね」
「悪いことしちゃったね」
少し酔いが醒めてしまった。
時間もない。彼女に、今日のお礼と、またこうして会いたいことを伝え、キスをして玄関から見送った。もちろんタクシー代も忘れない。
一通りカッコウを付けたつもりだったが、心の中では小躍りしていた。自分の中で彼女を好きな気持ちが爆発しそうだ。明日からの彼女と一緒の仕事が楽しみで仕方がない。
そんな気持ちを胸にベッドに倒れ込む。10分くらいたっただろうか。玄関が開き、誰かが部屋に入ってきた。ああ、新人君が帰って来たのか。早いな…。
「ちょっと!寒いんだけど!」
仁王立ちの彼女が、怒っているのか笑っているのか、よく分からない顔をしてベッドの上でダウンしている私を見下ろしていた。
「信じられない!そのまま帰す?2時間くれたんだよ?バカじゃないの?」
「え…門限があるって…怒られるって…帰らないと…」
もう、何を言われているのかよく分からなかった。
「…帰らない」
「え…」
「だから!帰らないって言ってるの!」
やっと分かった。彼女にここまで言わせないと分からないだなんて、どうしようもなく私は鈍かった。
「ごめん。寒いだろ?おいで」
ベッドに彼女を座らせ、冷えた体を抱きしめた。どちらからともなく唇を重ね、それは少しずつ互いを求め合うものに変わっていく。そのまま、ゆっくり、この瞬間を惜しむかのように、ゆっくり、2人はベッドに体を預けていった。
…
……
………
「嘘つき!嘘つき…!」
1時間後、彼女は私にそう言い放っていた。なんのことだか分からない。きょとんとしている私に、彼女が更に口を開く。
「童貞だなんて、ぜんっぜん嘘じゃない…あ!あっ!ほんと、すっごい…んだからぁ…!あっ!くぅ…あっんっ!」
そういえば、そんな冗談を言ったっけ。
「ん?童貞だよ?」
ニヤニヤしながら答えつつ腰をぶつけてやる。
「もう…っ!」
わりと本気で首筋に噛み付かれ、痛みでさらに射精感が遠のく。すでに40分以上は彼女と一緒になっていただろうか。何度も絶叫を上げさせられ、彼女は息も絶え絶えになっていた。
「ねえお願い休ませて」
彼女の中でいまだ全力でそそり立ったままのモノを抜くと、バチンと自分の下腹が打ち付けられた。
「あっ…はぁ…もー、おかしいってえ!どうなってるのよもぅ…」
冷蔵庫から飲みかけの赤ワインを取り出し、口移しで彼女に含ませる。何度か繰り返し、最後はワインに染まった互いの舌を含ませ合う。
「大丈夫?」
「うん…して?」
正常位からバックに変え、初めて見る彼女の尻を、彼女との結合部を、じっくりと堪能させてもらった。制服のタイトスカートにぴったりと包まれていた尻は、バックから眺めると思っていたよりも大きく感じられ、いくら犯しても壊れてしまうことがないように感じられた。
(これが年上の女性の包容力なのか)
などと、たった1歳違いの彼女に対して少し失礼な感想も抱いてしまったのは、まだあまり多くの女性を知らなかったからだろう。
部屋の中に肉が弾け飛ぶような音が響き渡る。彼女のイキ声がかき消されてしまうほどに、あえてその音を鳴り響かせた。お前は俺の女だと、これだけ俺のチンポで突き上げられ、情けなくイキ声を上げるお前は、これからずっと俺のチンポの奴隷だということを忘れるな、という思いを込めて突き上げた。彼女の両腕を後ろから掴み、腕を引きながら、ひたすら犯しまくった。
彼女がどれだけ絶叫してもやめない。突き上げ、抉り、突き上げた。休憩は許さなかった。どれだけ懇願されてもやめなかった。彼女を犯すことだけが、私の脳内を支配していた。
ひときわ大きい絶叫を響かせ、彼女が意識を飛ばした。暑くはないはずの室内で汗だくになっている2人。その汗を重ねた。彼女と1つになる感覚。彼女の背中と私の胸が汗でべたつき滑るが、それすらも、ただただ心地良い。彼女に覆い被さりながら、下半身の出し入れを再開した。すぐに喘ぎだす彼女。
「なあ、寒いんやけど。まだかかるー?」
玄関前から聞きなれない関西弁が聞こえる。さっき出て行った新人君だ。時計を見る。もう2時間半が過ぎていた。
「ごめん!もう終わるから!」
「はよしてやー」
「…聞かれてたかな」
「30分くらいはそこにいたかも。2時間半たってるし」
「うっそ…ぅわホントだ」
「あれだけ聞かれたならもういいよね」
「え、ちょっとまっあ!まってまってってば、あ!あ!」
遠ざかってしまった感覚を取り戻そうと、めちゃくちゃに腰を振った。
(焦ると反対になかなか射精できないものなんだな)と妙に冷静に考えている自分もいたが、なんとかゴールを目指す。それから何年もパイズリでお世話になる予定の、目の前に突き出た美しいEカップに吸い付いた。そして、すぐに達することができたのは、またもや彼女だった。
「あ、また、またイク。あ!あ!イクぅ…っ!っ!」
「あ、く!う、わ!くう!あ、た、た、た!あた!」
「ぇ…?」
「腹筋、腹筋が攣った!あった!あいたたたたったうー」
「ぇ…ぇー、だいじょうぶぅ?ん、はぁ」
「もう少しだったのに」
「…そのままにして?」
大好きな彼女にしてもらう初めてのフェラチオだった。その、形の良い、色気しか感じない唇を開き、射精寸前でヒクツク私自身をねっとりと収めていった彼女。すぐに頭を上下させ、強烈に吸い付きながら、別の生き物のように舌を絡ませる。
「あ、い、く」
3分もたたないうちに、彼女の髪を掴み、その口内に向けて一気に噴出させた。3時間近くもの間、発射準備のために溜め続けた精液が、酷い勢いで彼女の喉奥めがけて襲い掛かる。献身的に喉の奥で受け止めようとした彼女の行為は裏目に出た。
「ぶ、ぶごー!ぐ、ぶ、ブフォーッ!ぶっフォーッ!ん、ぐ!ぶふ!ぶ!ばはあ!!…まだ出るの?ん、む、んんん…」
「ごめ!大丈夫?出し過ぎたかもしんない」
「ごめんなさい…出しちゃった…。でもなにこれ…もう人間じゃないよ…?」
彼氏にも満足してもらえたことが嬉しかったのか、涙を流しながら笑う彼女。
ここまでの長時間、全力で彼女を愛してあげられたのは、実は、後にも先にもこの日だけだった。毎回この人とのセックスはこんなに重労働なのかとしばらく不安になった彼女に、できることならこの日に戻って伝えてあげたい。
…
少し休んで帰宅した彼女。すでに日付は変わっていた。
そして、新人君は、その日帰って来なかった。
それどころか、次の日には退職していた。
「寮の先輩が女を連れ込んでいて、部屋を使わせてくれなかったから」
マネジャーに伝えられた退職理由はそんな内容だった。
……