金曜ならミズキは間違いなく出勤するはず。
そこそこの人気もあるから、1週間前に同伴の申し込みが間に合うかどうかくらいのタイミングだ。
さっそくメッセージを送ると、来週の金曜OK!だけど、どうしたの?あたしを誘って……またナンカしたの笑笑ときた。
それに対して時間と場所を決めて返信した。
あそこなら、と仕掛ける場所にも目星はつけてある。
燻る思いを次の週末まで、逆に楽しんでいた。
仕事を切り上げ、赤坂のホテルへ向かった。
珍しい場所を指定してきたので、なんで赤坂なの?と言ってきたミズキ。ウマイモノ食わせると言ったら、リョと納得してる。
フツーの同伴より、1~2時間は早めだ。待ち合わせはわかりやすいラウンジにした。
約束の時間を少し過ぎてミズキが到着した。
初夏の装い、青系のさまざまな色のストライプのワンピース。
いかにも仕事終わりの港区女子という感じだ。パーマをあてたのか、いつもよりウェーブがキツい。ミズキ自慢のバーキンではなく、別ブランドのロゴ入りトートを持っていた。
「待った?」「いや、さすが時間通りだ」
「ダッシュしてきたよ、ナニもなかったら赤坂は近いけど、夜の出勤前は遠いんだから……」
「ありがとう」
「で、ナニ?またナンカした?」
「ナニもないよ、ミズキにウマイモノ食わせてやろうと思ってな」
「ふーん……ありがたいけど……ナンカありそう」
ウエイターが水を持って来た。すぐ出ると伝えて席を立った。オレの飲んだコーヒー代を支払う。
庭園へ抜ける通路を歩いた。
夜の部の営業時間、はじめたばかりの日本料理店。
ここまで来ると、赤坂にいることさえ忘れさせてくれる。
どこかの格式ある旅館に赴くようだ。
庭園の木々のそよぐ音。時折鳴り響く車のクラクションがそれを否定する。
「おお!こんなトコロあったんだ……すごい」
「よかった、オマエなら、都内の名だたる店は全制覇してると思った」
着物姿のスタッフに予約を伝えると、ふたりでは広過ぎる個室に通された。
窓の外の日本庭園、さらにここがどこか忘れさせる。
料理は予約の際、既にオーダーしてある。ミズキはナニ飲む?
「ビールっていきたいとこだけど、ここはやっぱり日本酒でしょ」
最初だけビールにして、日本酒にしよう、酒の銘柄をスタッフに伝える。
すぐにビールと涼やかな切子細工の徳利と酒盃、それに酒肴が運ばれてきた。
「それじゃ、後で声を掛けますから」スタッフには前もって入室を控えるよう伝えてある。
はい、こちらでお呼びください、とコールボタンを指してくれた。
「なに?何の話しさ?怖いんだけど」
ビールで喉を潤すと、オレは座布団をミズキの隣に運んで座る。
「いろいろオマエには助けられたから、感謝している……それに、オマエ、魅力的過ぎる」
「ん?」ミズキが気配を察知して身構えたが、剣道の有段者のオレが彼女の動きを捕らえた。
「……チョチョ……ナニ?……どうしたのよ」
「最近、オマエが頭から消えない……」
「えっ……ナニそれ……」
ミズキの口を塞いだ。途端にミズキの身体の力が抜ける。口を離しその顔を見た。
「声出しちゃいけないよね……、でも欲しいなら、言ってくれれば……こんなとこわざわざ来なくても」
「いや、こういうとこで、仕事帰りのオマエの姿をみたかった」
「……やっぱ…ド変態には敵わない……」
座布団の上にミズキの頭を付け尻だけ高く上げようとすると、呑み込みの早いミズキは望む姿勢をとってくれる。ジーンズやパンツも履くことも多いミズキ、今日はめくりやすいワンピである。
スカートを全部めくった。そのツルツルの白い裏地をミズキの腰のベルトに挟んだ。
パンストの中に黒いTバックの尻が見えた。
そのパンストの上からミズキの尻に顔を埋めた。
鼻はTバックの尻紐がイチバン姿を消してめり込んでいる辺りを目掛けた。
パンストがその侵入を拒否してる。だが、初夏の1日の仕事を終えたミズキの尻は、その日の成果を匂わせていた。その匂い……これほどの切ない香りはない。胸の奥がキューンと締め付けられる。その匂いの発生源への期待。すぐ会えるのに、己自身を焦らして敢えてすぐそこを触れない。その方が興奮度をより高めてしまう。
狩で捕らえた獲物をライオンが手の内で、もて遊ぶようなものだ。
だが今は、いろいろと制約が多い。早めにコトを進めねばならない。
オレはミズキのパンストを膝まで下ろして、Tバックの尻紐を左の尻たぶにズラシそのまま押さえた。谷間を開けば馴染みの、しかし長らく会うことがなかったミズキの肛門に再会を果たした。
谷間に鼻先をこじ入れる。当然ながら、パンストの上から嗅ぐより、もっと濃厚でもっと猥褻な香り。
いつ会っても、美しく、セクシーで、ちょっと生意気な、マリとオレのイチバンの理解者。
ミズキはエロの心意気を持っている。心を許した相手へのやさしさと愛。
いつまでも嗅いでいたいが、そこに舌を触れ、舐めるよりも唾液を塗すことに目的を持たせる。
夢中でしていたが、ふとミズキに目を落とすと、両手で口を押さえて顔を座布団に埋めている。
オレはミズキの肛門の近くで唾を垂らし、流れぬうちにすぐ指先で肛門に押し込む。
ミズキは、どうすれば良いのか知って、そこの緊張を少しでも緩めてくる。
熟練の肛門。ナニも待つことはない。オレは股間のチャックを下ろして、ショーツを潜らせ気張りきった勃起を取り出し、ミズキの肛門に押し進めた。ニュルと亀頭を楽々と呑み込み咥えてくれる。
興奮しきったモノをミズキの尻に擦り付けた。
ミズキを楽しませるためじゃない。
オレが少しでも早く白濁した粘っこい欲望を吐き出しすため、ガンガン腰を突いた。
自分のためにそうしたのに、結果的にミズキにもめくるめくような快楽を与えていた。
口を両手で押さえているのに、ミズキから、フンッグゥアと嗚咽が漏れている。
早くしないと……楽しんでいる時間はない、右手の人差し指を嗅いでみた。
今の今までミズキの肛門をほぐしていた指、残香というには、ほど遠い。
余りあるミズキの最もプライベートな匂いがあった。
ミズキが今日一日を過ごした証、メスの尻の匂い。
このエロい臭の源にオレの勃起が顔を沈めてる。
ミズキの匂いを全部オレの亀頭に擦り付けてくれ。
そう思ったら、ジンジン込み上げてきた。
「……いい尻だミズキ…いい尻だよ…イク…ガマンできない……ほら……」
ミズキの尻の奥に樹液を放った。
顔を座布団に押し付けミズキもウウゥーウゥーと戦慄いていた。
ミズキのパンストを下ろしてから10分は経っていない。
ビールが運ばれて来た時、オレは腕時計を見た。
ミズキから勃起を抜く、それから先に起こることまでオレは考えていなかった。
動かないミズキの尻が、小さくブチュゥと音を立てた。
ヤバい出てきた。目の前のテーブルのおしぼりを取り、尻にあてがう。
様子を見てみると、ミズキの肛門はジュルゥーと制限きかぬまま、濃度の高いオレの樹液を吐き出した。なんとか全部おしぼりに含ませた。
ミズキと声を掛ける。顔を伏せたまま、ミズキはウンとうなづいたが、姿勢はそのままである。
尻の始末に使ったおしぼりを置いて、オレはミズキのTバックの紐を尻の谷間のセンターに合わせ戻してやる。膝のパンストを元に戻そうとしたが、それはムリだった。
太ももから膝までの細くなる方向ならすんなり下ろせるが、逆に戻すには本人の意志なしでは到底難しい。女の子のパンストなんて履かせたことはない。
それを察知してようやくミズキが起き上がる。パンストを上げて、スカートも下ろした。
その動きをしている間、ミズキはなんともいえない表情でオレを見ていた。どことなく鼻の穴が膨らんで見えた。
身支度を終えてミズキは大きなため息をついて、座布団に座った。コンパクトを出して顔を確認してる。
ミズキの差し向かいに座布団を戻して、畳の上のおしぼりを拾った。
周囲をひと回り観察してみる。何の違和もない。
「大丈夫?」ミズキに問う。
「うん…」
コールボタンを押して、トイレへ向かった。手の中に丸めたおしぼりを隠していた。
トイレでおしぼりを洗った。精液をくるんである中を裏返して蛇口にあてた。
布地からアッサリ白濁が流れていく。両手で揉みながら、水をかけると痕跡はすぐ消えた。
おしぼりを蛇口の水に晒して洗い、しっかり絞ったモノを洗面台の端に置いて、用を足した。ほんの少し前、興奮の絶頂期をむかえたオレのモノは、何事もなかったように尿を出した。
手洗いで右手を嗅いでみた。まだ匂いは残っている。興奮させてくれたミズキの匂い……。
消してしまうのが惜しまれたが、ソープの入ったポンプのアタマを押してその指を念入りに洗った。
部屋に戻ると、前菜の品がテーブルにあった。
「美味しそう……やっぱスゴイね、ここ」何事もなかったようにミズキが言う。
漆盆の上に3品が載せられている。どれもが見目麗しい。キツく絞られたおしぼりを竹の台に載せた。食べよ、注いで時間の経ったビールで乾杯した。グラスを飲み干し、2杯目からは冷えたままだった。
「……なんか……あんなのはじめて」数分前の快楽のことをミズキが言う。
「オレもスゲー興奮したよ」
「ほら、時代劇でよくあるじゃん、悪代官に女の子が襲われるシーン…」
「はははっ…ああ、わかる」
「アタマの中で、それ浮かんでた。オヤメください……オヤメくださいって……」
「ワルかった、襲って」
「襲われるって、興奮するもんだね……あのね、マリから言われてたの…」
「ナニを?」
「アナタがするかもしれないって……」
「ん?」
「モシそういうことあったら、よろしくって言われてた」
背中を打たれた。
「どういうこと?」
「マリいなくなって帰って来たじゃない……そのあと、マリのとこに遊びいったときに言われた」
「心配させてごめんねって、マリ。……でもマリいないとき、相談くれてマリの実家へも行ったじゃない……そんな話しいろいろしてた」
「帰り道、ラブホ寄ってエッチしたのも言った。マリはそれもありがとうって…前に3人でしたじゃない、ほらキメて……そん時から、ミズキ並んアタシはOKなんだってマリ言ってた」
昔は子を産めぬ石女の本妻が、子を孕んだ妾に心から感謝したというが、そんなことが浮かんだ。
次の料理が運ばれて来た。吸物、蓋を開けると、上質なダシが香る。
せっかくの料理に集中できずにいた。
「で、これからも、そういうことあると思うけど……そん時はよろしくって」
「………」
言葉が出ない。釈迦の掌の上の悟空にでもなった気がした。マリはオレを全てお見通しだった。
吸物腕の中の世界を、よく見もせずに汁を啜った。豊潤な味が舌を覆い、少しは気を取り直させてくれた。
「オマエはどう思った?」
「……うん、さすがマリだなぁ、アタシの好きなマリ……ってキュンと抱きしめたくなった。あ、そん時はエッチしてないよ、ずっとお茶してたから」
ミズキとマリの絡む姿、あの時が浮かんだが、目の前のミズキ、それにマリ、ふたりともオレの常識などからは、遥かにかけ離れている。奔放に羽を伸ばしている。
性への向き合い方は、特に圧倒されることが多かった。
アブノーマルな行為を平然と楽しんでいる。単なるスケベではない。このふたりに共通するのは、交わりの最中から、終えたあとまで、強いやさしさを感じることだ。大きな母性とでもいうのか、全てを許容してくれる包容。それは、まさに釈迦の慈愛と言ってもいい。
「ミズキは、オレのことどう思ってる?」
「……好きじゃなけりゃ、さっきみたいなことされたら、蹴飛ばすでしょ」素直に嬉しい。
「マリと、どっちが好きだ?」
オレは目の前のおしぼりで口を拭いてしまった。拭いてから、あ、と思ったが、特に違和感ない。
「……ははは、ヘンなの……どしたの?」
たしかに、どうしたんだろうオレは。最近ミズキが頭から消えない、その思いを今日、吐き出した。
マリへの愛は何も変わらない。ただ肉欲だけでないモノがミズキに芽生えていた。
「オレはマリとオマエの両方を愛してしまった気がする」
「……」
「どうしたらいいか、わからない」
「……どうもしなくていいよ……アタシもおんなじだから……アタシの場合、マリも大好きだから、女と男の両方になっちゃうけどね……だから、もっとややこしくなる」
刺身が運ばれて来た。殻付きのウニがある。殻の上の鮑が包丁仕事されて細かい切れ目を入れられていた。
「そうそう、この前、すごいことあったの……インドのお客さん店に来たのよ、女のヒト3人連れて……」
ナマステ、これしか知らないけどね。ミズキは箸を置いて手を合わせた。
で、ひとり日本語のうまい子がいて、その子通訳だと思ってたの。
インドのおじさんは英語は話してくれたけど。ほとんど通訳の子に頼ってた。
他のふたりの子も美人で、ひとりは白人の子、国の名前は忘れたけど、みんなスゴイ美人。で、その席、女の子だらけだから、アタシひとりだけ着かされてた。
その日、女の子足りなくてね。
おじさん、楽しんでくれて、高いシャンパンをポンポン空けてくれた。
女4人いるから、1杯2杯飲んだら、すぐボトル空いて。店の在庫のアルマンド全部なくなって黒服買いに行ってたもん。
通訳なんですね、ってその子に聞いたら、いいえアタシ、ツマですって言うの。
ここの全員ツマデスって。
そういうのあるの知ってだけど、アタシ、みんなの顔見ちゃった。
なんか、このおじさん、スゲーなって……。3人相手にどうしてんだろ‥‥グフフってね。
で、今回仕事で日本くるおじさんにみんなついて来たんだって。
ひとりインドに残ってる留守番の奥さんもいるって、言ってた。
で、その日ね、アタシの売上最高記録も更新!1本だけ店にあったアルマンドの黒も出て、もうアルマンドだらけ。色んな色のボトル並んでて、うわーって見てた。
お会計ね、700いった。700だよ…おじさんね、なんか見たことないAMEXで支払いしてた。フツーの黒じゃないの、黒服も見たことないって言ってた。
おじさん、ご機嫌になって、帰り際、お財布から万札鷲掴みしてkeep…thisってチップくれたの。
ガサって取って、お財布の万サツ全部だよ、あとから数えたら88万もあった。
もう、さすがにアタシも舞い上がって、おじさんのホテルまで見送りしようか、と思っちゃった。ハハハ。
それに飲んでた途中ね、アナタも妻になるか、と言ってます、って通訳されて、そんなの、間にウケるワケないじゃん。アタシ辛い料理苦手ってこたえたのよ、でも最後、んーアリかなってインドの衣装着た自分を想像しちゃった……。
なんとも豪快過ぎる話し、オレはよく動くミズキの口を見ていた。濃いピンクのルージュ。
銀座ならフリーでまともな店に入れぬが、六本木なら世界中から色んな客が店にくる。
日本の女の子の「おもてなし」は日本に来る海外の金持ち連中には有名になっている。
ミズキならきっと間違いない接客をしたであろう。
あの店のつけ回しは、いい判断をした。
次のミズキの給与はポンと机に厚く立つだろうが、月が代わって10日あまり、それでも店のナンバーワンになれてないと、悔しがっていた。
煮物、焼き物と出てきたが、ミズキのおもしろい話しを聞いていたらスッカリ腹が膨れてしまった。
「そん時の臨時収入いっぱいあるから、ここはアタシご馳走するから、いつもご馳走なってるからね……」
またミズキが度量のいいところをアッサリ見せつける。
稼ぐためにOLしたあとに六本木に来ていたミズキが、オレたちの前で、金に執着する素振りを見せたことはない。それは家族への対応に近かった。
「このお酒お代わりしよ……スゴク美味しい、店行く前に気分良くなりそうだけど……」
ミズキを味わい、食事を楽しむつもりだったが、何を食べたか覚えていない。
マリの大胆な寛容さを強く感じる。驚嘆しつつも裡に浮き足立つものがある。
ミズキが支払いの金額を見て、言葉にはせぬが、驚く顔をしていた。10万を超えた金額。
「美味しかったけど、予想よりちょい高かったね……」笑っている。
オレが支払いしようとしても、頑として跳ね除けられた。
それが自分をもてなすための料理としてオレが選んでいたことを知っていたからであろう。
酒が無性に飲みたくなった。この前、同伴して食事のあと、ミズキから帰宅を強いられたが、今日は飲みたい。
インドの大富豪に競うつもりはない。
マリの気遣い、嬉しくもあったが、どこかで、釈迦の掌の先に飛び出してみたいと思っていた。それを酒を飲むことでしか、ほかに試すことが見つからなかった。マリにはミズキのとこで久しぶりに飲んでくる、と言ってある。
ミズキが閉店間際のケーキ屋のウインドウに駆け寄っていく。
定評のあるパティスリー。何品か箱に詰めてもらっていた。
「やった、少し残ってた。ラッキー、これ店で食べよ、ね」
ブランデーになら合わないこともないが、食指は動かされない。
エントランスを出て、タクシーで六本木へ向かった。
「男の性の能力は一夫一妻制を遥かに超えており、不自然な姿である」
というイスラムの教え。大学の宗教学の授業で、唯一オレがノートに記した。
強く印象を受けたので覚えて諳んずることができる。
生殖のために多妻が許されるイスラム教、より多くのメスと繁殖のためのエネルギーを費やす。
妾がすっかり潜んでしまった現在、一夫多妻は、日本では消滅した言葉である。
ホントにスケベな男は、女を尊敬し畏怖する。
フェミニズムなどというのも世の中をつまらないものにしている。
芸能人のつまらぬ不倫さえ大騒ぎする風潮、「性」を語ることさえタブー視されている。
人間はほかの生き物と違う、地球の環境問題も、人間がなんとかしようとしているが、それも驕りにみえてしまう。それはどこか性をタブー視する風潮に似ている。尊大な態度。
人間なんて、臭くて汚いもの、肛門は臭いし、1日を終える頃には髪も脇も匂う。
不潔を忌み嫌うことが、「性」をも遠ざけてしまっている。
だが、女の中には、性を求めるあまり、メスの本質を知っていたり、知らされたりして、臭くて汚いものこそメス本来の自然な姿だと理解している少数派もいる。そんな女は賢く、たまらなくエロティックだ。
薄い緑の胸元が開いたワンピースに着替えたミズキが隣に座った。
「なんか……こうしてるの照れクサイわ……」
週末の夜の賑わいを店内はみせてくれてる。
「マリに来てるよ、ってメッセしたら、知ってる、お世話になります。よろしくねって」
「マリとオマエはスゴク似ているな」
「そ?タイプゼンゼン違うけどね、ね、1本入れていい?」
「おう、飲む気で来たんだ、アルマンドは勘弁してくれよ……」
ミズキが好きなシャンパンを頼んでいた。その瓶が空く頃、ミズキは他のテーブルへ呼ばれた。大学生だという女の子が代わりに着き名乗っていた。
ミズキが頼んだシャンパンと同じモノを追加して飲ませた。
テーブルの脇を通ったミズキが、そのオジサン、ド変態だから気をつけるのよ、と言いVIPに消えた。
女の子は、クスクス笑っていたが、アタシもけっこう変態ですから、と話しを盛り上げる。
「へーどんな風に変態なの?」
「高校まで剣道してたんですけど、練習終わると、夏なんて臭くて、身体じゅう汗クサイんです」
「オレも剣道してたよ」
「え、じゃ剣道のお話できますね」目を輝かせる。
「……それで、その汗クサイの、つい嗅いじゃうんです、コテ外した掌も、すごいクサイのに……わかりますよね……」笑っている。
「ああ、オレ、あんまりクサイから、皮のとこ、ハイターかけて水洗いしたことある」
「え!ダメでしょ…それ」
「うん、真夏の太陽の下に干してたら、皮が思い切り縮んでしまった。
「でしょ…ははは」可愛い笑顔になる。
「結局、手に馴染まなくて使いものにならず、親に怒られ、新しいコテ買ってもらった」
「……そう、夏の剣道は匂いとの戦い……アタシ、でもその匂い、いつも嗅いでました。クサイのになんかクセになる匂いで……」ちょっとオレは想像を膨らませた。
「オレは、キレイな子のコテの匂い嗅いでた。仲間とみんな帰ったの確認して、女子更衣室に入って……防具袋の名前みてさ……しまってある、コテとか面とか取り出して」
「ヤダ、やっぱり変態ですね……ミズキサンに言わなきゃ」
「……でも……その匂い嗅いで……それで終わりじゃないんでしょ……」
この子は、新人だというが、六本木に残る気があるなら残っていくだろう。
「それは当然、自然な反応を示してしまうから、男ふたりでお互い見ないように壁の反対側見て、この辺の膨らみをなくすよう鍛錬してた…」股間を指差してみた。ほろ酔いになっているがまだ言葉は選べた。
「……なんか、剣道女子として、イマ凄いリアルに想像できました……」
「その鍛錬終わった時、練習の成果ってどうなるんです?」そこまできいてくるとは、イマジネーション豊かなアタマのイイ子だ。スケベ。
「………ははは…おもしろいね、…成果はね、そのまま壁に飛ばしてた」
「……ヤダ!マジ、変態ダァ……はははは、」
「壁白かったから、目立つことないんだ、これが、しばらくしてそこ行っても、そのまま。べつにどうってことなかった。壁に少し固まったまま付いてだけど……」
「ウウっ……そこで、女子たち着替えてたんでしょ?ありえない……」
剣道部アルアルが盛り上がる。その子が抜かれそうになったので場内を入れて、3本目のシャンパンを入れて上げた。オレは自分のウイスキーを舐めていた。
またミズキが、脇を通る。ずっと同じ子がいるのを見て、あら、と言っていた。
今日、こんな忙しくなると思ってなかったよ、と嬉しそうにしていた。
黒服がケーキを持ってきた。
ミルフィーユとチーズケーキ、それぞれにデザートフォークも添えてある。
白皿にチタンの黒いフォークが洒落ていた。
「こちら、ミズキサンからですが、お召し上がりになりますか?」
頷くと黒服は、うやうやしくテーブルにケーキを並べた。
「うわ!美味しそう…お店でケーキもあるんですね……」
「いや、この店にはないけど、ミズキが買ってきたんだ」
「え、そうなんですか……じゃ食べていいのか…」
「いいんだよ、食べて、差し入れなんだから、どっち食べる?」
ミズキはいつも心憎いことをしてくる。客に人気あるのもわかる。
テーブルに付いてなくても店じゅうの自分の客に目を光らせてる。
「アタシ、ミルフィーユ食べていいですか?」どうぞ。
ケーキなら食べられる腹になっていた。ウイスキーでもチーズケーキなら合うだろう。
「ウンッ、おいしい……ナニこれ……」目を丸くしている。
ホテルの名とパティスリーの名を教えてやる。
「あ、知ってます、テレビでみた。アタシ指咥えて見てました。これがそこのなんだ……」
チーズケーキにフォークを入れる前に、彼女に味見をすすめた。
じゃ、ひとくちと食べていた。うん、これも……トロケル~っとおどけていた。
オレも口にした。たしかに、名店だけのことはある。チーズの香りがふくよかだ。
「これも食べてみてください」勧められ、ひと口、ミルフィーユも美味い。
「いいですね…….オトナの世界って感じで…」
「いくつ?」「ハタチです」
剣道の話から、彼女の生い立ち、大学のことなどをツマミにして話しをしていた。
初々しいのに、しっかりハナシをしてくれる。水割りを作る時の真剣な表情が可愛い。
ウイスキーのボトルが空きそうだった。ついでに炭酸も頼む。口直ししたい。
お気に入りの国際ウイスキー、王道の銘柄だが、癖なく口に合う。中国人の買い占めで、品薄や値を上げることもあった。半分より下に残っていたがもうない。
「これから、いろいろ見て行けるよ、楽しんでいける」オレはセンパイ風を吹かせた。
「はい……色んなことを経験したいと思ってます」
「そういうスナオな気持ちを大事にね」
いつのまにかミズキが後ろにいて、聞き耳を立てていた。女の子の視線の動きでそれがわかった。
「ナニ…話してんだろって聞いたけど、マトモでつまんなかった」
「ああ、やっとはけた」ミズキが周り見ながら伸びをした。
「お、チーズケーキ残してるじゃん」言うが早いか、ミズキは口にする。
やっぱ、ウマイわ。ここの…それ残してたんじゃない。イマ食べようとしてたのに。
はい、じゃ、アーンして。口開けたら、寸でのとこで、フォークの向きを変えられてミズキは自分の口に入れた。ベタなやり取りを若い子が大ウケしていた。2回目にチーズケーキを口に入れてくれる。ホントにウマイ。
「ね、いつから入ったの?ここ」ミズキが若い子にきいた。
「先週の週末からで。今日で3回めです」
「名前決められたの?」
「ええ、ナギサって」
「なんかフルくね?誰、チーフきめたの?」
「はい」
「オマエなんだっけ?名前」オレはミズキにきいた。ミがついていたはず。
「あら……お客さま……アタシの名前、忘れるほど久しぶりだったのよ、だったら飲ませていただいてよろしいかしら……飲んで思い出させてあげる」ミズキは過剰な色気の演技をした。
ミズキは同じシャンパンを頼んだ。
ナギサは、スゴク勉強になりました。と真剣に感心していたが、えっ、こんなこと覚えたらダメだよ、冗談、シャレだからね、とミズキが言ってる。
またシャンパンを付き合わされ、ウイスキーと混ざっていた。
ナニ話してたの、通るたび盛り上がってたけど、ミズキの問いかけにオレは剣道部アルアルをもう一度、話してやる。
「うわァ、ね、言ったでしょ、ド変態って…あんまり近寄るとヤバいよ」
下ネタで、ミズキが場を和ませ続けた。オレには新人へのデモンストレーションにしか見えなかった。ミズキは上手に酒を飲ませてくれた。ミズキのやさしさが伝わった。
ミズキが黒服に厨房の冷蔵庫にケーキの箱あるから、持ってきてと頼んでいた。
同じチーズケーキとチョコレートケーキ、さっきの皿に乗せてミズキとナギサがシェアして食べている。はい味見とチョコレートケーキを口に入れられた。濃厚で美味い。
「ホントはメロンとか乗ったフルーツ系食べたかったんだけど、ほとんど残ってなかったの」
ミズキがナギサに教えていた。
「おふたり、仲いいんですね、ホント……恋人……お付き合いしてるみたい」
ミズキがちょっとだけ吹き出しそうになる。新人は天然のとこある。素直と言ってもいい。
「このヒトね、アタシの親友のカレシなの……前にこの店にいたコ」
「なるほど、それで仲いいんだ……ずっとアヤシイなって見てました」ナギサが膝を叩いた。
久しぶりに、キャバ飲みしている。酒、なに飲んでも美味い。
「ね、もうラストまでいて、大した時間じゃないし、アタシも今夜飲みたい」
そうミズキが言うと、黒服が来て、またミズキが抜かれる。
「マジ、誰来たんだろ、行ってくるね」ミズキは忙しい。
ナギサはすっかり打ち解けていた。酔いも回っていたのだろう。
夜の仕事についての話しを聞きたがる。わかることを教えてやっていた。
その話しをしながらのウイスキーが進んだ。
間もなく店が終わろうとする頃、ミズキが戻ってきた。
「飲まされた……」客の入れてくれたシャンパンをひとりで飲んできたという。
「いや、アナタだいぶ飲んでると思うけど……」オレも心配した。
「大した飲んでないよ、シャンパン3~4本ぜんぶまでいってないかな」あちこち客のところ回っていた。
「あ、ここの忘れてた、5~6本は飲んでるね、フルで」
えっとナギサが驚いていた。「アタシなら倒れてる」
ミズキがグラグラに酔っているのを見たことない。マリもそう、酒が強い。
「こんな長いこと、ひとつの席につかせてもらったのはじめてです」そのまんまのこと言う。
ミズキから、そういう時はああだ、こうだと言い方を指摘されてる。
夜の店のロープレをオレはおもしろおかしく冷やかしていた。ミズキも少し酔っているのを感じた。
結局、ミズキに同伴してラストまでいた。キャバにお気に入りを見つけたばかりの男のような飲み方をしてしまった。ミズキが着替えてくるから、面倒だからここで待っててと消えた。
オレはマリに電話すると、ワンコールで、はい、とマリちゃんの声がした。
「もしもし…マリちゃんですか?」「ヤダ、酔っ払い。」
「まだ店いた、今からミズキと飲み行きま~す」「珍しいね、ミズキ飲みいくなんて」
「ミズキ飲みたいんだと」「うん、付き合ってあげて、アタシもう寝るから」
マリ!オレとミズキ……ヘンナコトシテイイノカ、そこだけ小声でケータイを囲う。
「もう何度もしてるでしょ」
「してたな……たしかに」「ミズキならアタシ、ゆるしてるから」
「いいから、アタシもう寝るよ、気をつけてね、じゃ」
あー、マリちゃん電話切った。
誰だっけ、ナギサちゃん、飲み行くか?大丈夫です。お邪魔しちゃ悪いし。
ンー、お邪魔ね。納得する。ミズキが黒服と戻る。会計する。間違えないようにカード渡す。
「ミズキ、ナギサちゃんはお邪魔だってさ」ナニ言ってんの?いきなり酔ってない?
「マリちゃんに電話しておいたからな。起きてた、はい、って出た。はい、って」
「どうもありがとうございました」マジメなヤツいる。黒服。
「はい、これお財布出して、しまって」うん、しまう。カードたしかにしまいました。
「じゃ行こう」ありがとうございました。剣道部が礼をしてる。
黒服数人が出口に立ってる。「お、みなさんお疲れ様でした」
「ナニ飲むの?」「ミズキちゃんは?」
「なんか、フレッシュ……ミズキちゃんなんて、ハハハ」
「ん、ミズキちゃん?」「大丈夫?クルマ拾おうか?」
「ンーん、オレはさっきマリに振られた。マリはもう寝るね、って電話切った」
「そりゃマリは寝るよ、この時間なんだから」
「ソーダ、ソーダを飲み行こ、ナッツを食べて」
「わかった」
どこかの店のソファーに座らされた。
メニュー見たらあった。「決まった?」「うん」
「クリームソーダ」「……ホントにソーダ?」
「1杯飲ませろ、飲みたいソーダ」「あとナッツね」
「うん食べる」「あたしはボストンクーラーをお願いします」
ソムリエみたいなカッコのお姉さんにミズキが言ってた。
甘酸っぱいクリームソーダ飲んだら、シャッキリした気がする。ミズキも飲んで、ウマイね、と言ってた。トイレで用を足したら、さらに酔いが覚めた気がする。
戻ると入れ代わりにミズキがトイレに立って戻る。
「ね、シャンパンみたいな匂いのオシッコでた……」ミズキが笑ってた。
カップルシートの隣りにミズキが座る。
泡立って甘い匂いの小便を想像した。飲んだばかりのクリームソーダ。
「うまそうなオシッコだな」「ヤダ、変態……」
ミズキがしなだれかかってきた。
「ね、イコ…ちゃんとして…今度はゆっくりがいい……」
ミズキがテーブルの下でオレのを触ってきた。おとなしく寝てたのに起こそうとしてる。
オレはミズキの顔を見た。ミズキの酔った顔、欲している顔……。
女から誘われると、ドギマギするが、ついその気がないような素振りをくれてやる。
ミズキのボストンクーラーをオレは飲んだ。ジンジャーエールの味しかしない。
カシューナッツとクルミを口に放り込む。塩気が心地よい。
ふたりで真夜中の六本木の裏通りを歩いた。どちらともなく行き先が決まっていた。
ラブホには見えないラブホに入った。そこにあるのは知っていたが、はじめて入る。
部屋に入ると、すぐミズキはワンピースを脱いで、ストッキングも脱ぎ黒の下着姿になった。
「夕方に火をつけられて、ずっとムズムズしてた……」
夕方……ああ、今日の夕方、オレはミズキの尻を犯したんだ。もうそれは、遠くなっていた。
ほんの半日前のことに思えない。
ミズキはベッドにうつ伏せに寝た。黒のTバックの尻を見せつけてやがる。その尻、懐かしく思えるが、それを見てグッとこみあげてきた。オレも服を脱ぎ捨てた。
ベッドに上がり、ミズキの尻のウエストのショーツをめくった。
Tバックがお尻の下に裏がえる。表も裏もわからない。でも、ミズキの肛門にあたっていた部分で、それが裏だとハッキリわかった。
黒い紐の細い幅の布地に白い液体が乾いた痕跡がある。カピカピになってる。
オレの精子が溢れてそのまま擦り付けられながら乾いてしまったのだろう。
ミズキは尻の谷間にオレの精子をずっと挟んで仕事してた。
かわいい女、ミズキが愛しくなる。
今度はゆっくりがいい……さっきのミズキの言葉は覚えている。
オレは、ゆっくりとミズキの尻に舌を伸ばした。
「もう……舐めてないで、きて……早くゥちょうだい……アタシに……」
ミズキは、入りやすいよう自分で尻を割ってきた。
肛門がいやというほど引き伸ばされ形をとどめてない、赤い腸壁が顔を出してる。
絶景。次のミズキが言葉を発するまでオレは眺めていることにする。
尻を横に振っている。そう長く待つことはないだろう。