僕の名前は海野航平(うみのこうへい)、通称カイヘイ。
これは僕が一人の女性と結婚するまでの話。
僕が中村奈々と出会ったのは高校一年生の時。
たまたま席が隣になり「よろしくっ」と言われたのがキッカケで、その瞬間恋に落ちた。
僕はどうしても中村さんと付き合いたくて、夏休みに入る直前に告白!…出来たら良かったのだけど、そのタイミングで友達の和也から最悪な報告を聞く羽目になった。
「カイヘイ!小金井が奈々ちゃんとヤッたんだってよ!」
!?!?!?
僕は衝撃のあまり固まってしまった。
だが、僕の気持ちを知らない和也は容赦なく続ける。
「奈々ちゃん処女だったんだって!」
「奈々ちゃんに黙ってハメ撮りしたらしいよw」
年頃の高校生にとって普通なら絶好のエロネタになるはずなのだが…
僕は心は絶望感に支配された。
ちなみに、僕が通う高校はお世辞にも都会にあるとは言えず、そのため進学校でも半グレの生徒はいた。
小金井は正にその代表格だ。
(奈々ちゃんが何故そんな奴に!)
僕は悔しくて悔しくてたまらない気持ちになった。
それは何故か。
それは単に好きだったからだけではない。
その頃の僕と奈々ちゃんの関係はというと…
先ず!最初に連絡先を聞いてきたのは奈々ちゃんの方からだった!
それから、学級委員も誘われて一緒にして、毎日のようにラインしあって部活や勉強を“頑張ろう”って励まし合っていた。
それに、つい先日にあった一学期末テストで一緒に勉強した時に奈々ちゃんの方から
「カイヘイって好きな子とかいないの?」
とか聞かれ、それで僕が
「ん〜、え〜…内緒w!奈々さんは?」
と聞き返すと
「カイヘイが内緒なら私も内緒っw」
何てことを言い合って戯れたりもした。
だから僕はきっと奈々ちゃんも僕のことが好きなのかな?両思い?と思っていたからだ。
それが何故…
僕の思い描いた夏休みの計画は儚い夢となった。
それなのに…
毎日のようにまだラインは続いている。
それに奈々ちゃんの様子は変わりない。
“聞きたい!”
(小金井と付き合ってるんだってね?)
そう聞けたらどんなに楽になるだろう…
夏休みに入ると課外授業が始まった。
学力別の混合クラスになるので、毎日顔は合わせるが席が隣じゃないだけまだマシだ。
ただ…僕の席から黒板を向くとちょうど視線の先に奈々ちゃんがいて…
はぁ…辛い。
課外授業が終わると部活がある。
僕は陸上部で奈々ちゃんは吹奏楽部。
実は吹奏楽部にも誘われたが、流石にそこは断った。
まぁ和也に陸上部に誘われてなかったら分からないけどw
そういうわけで和也も陸上部。
この和也という奴は僕の幼稚園からの幼馴染で、本名は上田和也。
スケベで変態なくせにまぁまぁのイケメンで、僕に言わせれば女の敵。
だが根は努力家で中学の時には陸上で一緒に全国大会に出た。
そんなこんなで今日も猛暑日。
グラウンドには陽炎が揺らめいていた。
「うあー、今日もあちぃーね!」
「うん、あちぃー…」
「マジで、こんな日に走ったら倒れるんじゃねw」
そう言う割に和也の表情はニコニコ?いやニタニタ楽しそうに見える。
「てか、何か嬉しそうやねw」
「はぁっ?そんな訳ねぇやろw」
「いや、絶対嘘やん!正直に言えって!w」
「あ…今日から吉川先輩(女)がくるらしいw」
「なるほどね!w」
吉川先輩というのは、本名:吉川裕香。
学年一つ上の先輩で、種目は高跳び。身長も170cm近くあり…簡単に言えば、2年生の中でおそらく学年三本指に入るほどの美人だ。
前回の大会で足関節の靭帯を損傷して今日まで休養していた。
そんな話を体育館の下にあるウォータースタンドの前でしていると、上から聞き慣れた声がした。
「まーた二人でツルンでるw」
見上げると、そこに居たのは美波。
こいつとも腐れ縁で幼稚園からずっと一緒だ。
本名:瀧本美波
現在は女子バスケ部のマネージャーをしている。
中学ではバスケ選手であったが、膝を痛めて高校からはプレイヤーはしていない。
顔に似合わず性格は男勝り。
和也からは“顔と性格が反比例”と言われたり“顔が詐欺”とか言われている。
「はっ?てか、そこだとパンツ見えてるよ」
確かに僕の方からも美波のスカートの中が見えていた。
「げっ、ホント最悪。」
美波は手でスカートの前を抑え屋外の螺旋階段を降りてきた。
降りてきながら、
「マジでその性格直したほうがいいよ!変態。」
と和也に話しかける。
「はぁ?お前が見せつけてきたんだろうが!」
「まぁ確かに、今のは不可抗力かなw」
「げっ、カイヘイも見たと!?」
「だから、見たんじゃなくて見えたんだってw」
「はぁ〜…幼馴染が二人共変態とかマジ悲劇」
「だいたいさ、女なんだからもうちょい警戒しろよ。わかるだろ?フツー」
「わかってもフツーは言いません!」
「色までは言ってないだろw」
「そうそう!ピンクとか言ってないw」
「あっ、もうバカじゃない」
そう言うと両手にウォータージャグを持って階段を上がっていった。
「ほら、また見えてるw中に履けばいいのに」
「みぃーって無防備なんだよな…」
※みぃーは美波のこと
「絶対、男子のオナネタにされてるよな」
「見た目はかわいいからねw」
「まぁねw」
そんな下らない会話が妙に心地よく、一瞬だけど奈々ちゃんのことを忘れることができた。
しかし、音楽教室から聞こえてくる楽器の音にまた思い返してしまうのだった。
ここまで読んで頂きありがとうございます。
メインキャラが一通り出たので一旦区切ります。
画像は中村奈々です。アルバムから抽出しました。
次作は瀧本美波を載せます。
2名とも本人にバレない程度に修正してますのでご了承ください。
度重なる変更申し訳ありません。