震災があった日、俺の地域は震度6強。
1年半にも及ぶ争いで、互いに離婚という結論に決まり、朝に市役所で離婚届を俺がもらいに行って、夜お互いに印鑑を押す手筈だった。
そして大地震。
俺は鞄に離婚届を入れたまま仕事していた。
妻は自宅で出ていく荷造りをしていたと思う。
だが地震直後、咄嗟に妻の顔が浮かんで電話。
「大丈夫か!?」
と電話口で叫ぶと、妻はガタガタと震えた声で
「大丈夫、私は大丈夫だから、今、うちの前に出てる、屋根が落ちてきて…でも大丈夫、外に出れて無事。貴方は大丈夫なの、貴方は大丈夫?怪我は?どこも…?無事?」
と明らかに動揺した声で繰り返した。
自分の事より俺の身を案じているのが分かる電話だった。
その後電話はプツッと不通になり、どこの避難所にいるかも分からず、妻と遭遇できたのは次の日の夜中。
人混みの中に妻を見つけると妻もこちらを見つけて、その顔は泣き顔になった。
思わず走っていって抱き締めた。
「あなたが無事でよかったよ」
と妻は泣いてた。
それから離婚届は破り捨てた。
全てが丸く収まったわけではなく争いの原因となった問題は1年かかってるが、解決に向かってる。