うちの妻は、いまだに街を一人で歩いていると結構ナンパされるらしい。
顔立ちがちょっとハーフっぽくて、普段からいつもにこにこしているような表情なのに加え、体形がちょっとぽっちゃり気味でなんだか気軽に声かけやすい雰囲気なのかも。
いきなり、どこの国の人?と聞かれたり、それでいて人から道を尋ねられることも多らしく、なんでかなあ、と言ってたけど、要はそれもそういうことじゃん…本人全く自覚なし。
久し振りに帰宅して、晩飯食べてると、あはは、今日も2人から声かけられたよ、といつものおばちゃん声であっけらかんと報告してくれた。
まあ、心配しないでもいいよ、あたし性欲強くないし、だって。
それでも、絶対変な気を起こしてくれるなよ、と、長期出張先から帰る度にタマタマが空っぽになるまで全力でやっている。もちろん、こちらの”やりだめ”もあるけど…
ぼちぼちと寒くなる季節だったので、久し振りに、と狭いお風呂にふたりで一緒に入った。
なんか、お店みたいだね、と晩酌のほろ酔いも手伝って、いたずらっぽい笑顔になった優香。
「じゃあさ、久し振りに、あれ、やってくんない?」
「あれって、何?」
「立ち素股」
「え~、やだよ、なんか照れくさい」
お店みたい、って言ったの、優香じゃん。
結婚して以来、というか付き合うようになって以来、セックスはほぼ正常位、クンニすら滅多にさせてくれない。なんか、気恥ずかしくてイヤなんだと。
「でも、まあ、いいか、今日だけ、ね」
いきなりひざまずいたかと思うと、ぱくり、れろれろとフェラを始めた。
上目づかいでこちらの表情をうかがいつつ、絶妙の舌遣いで根元から先っちょまで舐めあげられ、いきなりフル勃起。
立ち上がり、ボディソープを両手にとって二人の体に塗り拡げ、もうギンギンになっている分身に手を添えると、泡まみれになった自分の股間に導いていった。
入っているわけじゃない、股間に挟んでるだけ。つまり素股なんだけど、肉付き豊かなすべすべの太もも+結婚してからもずっとパイパンにしているあそこ、の魔のトライアングルにぎゅっと締め付けられ、そのまま対面立位で腰をグラインドされると、
「あっ、ダメ!」
腰から背骨を貫くような強烈な快感に包まれ、あっという間に放出してしまった。
「早かったね~ふふっ」
久し振りのプロの技。初めて会ったとき、お店でやってもらって以来の立ち素股。あれはホント衝撃だった…初めての体のつながりを持つこととなった2回目の本指名訪問も、会話の楽しさだけじゃなくその鮮烈な記憶があったせいだし、その意味じゃ、これが結婚のきっかけづくりとなった二人の記念プレイと言っても言い過ぎじゃないかも…。
すごい圧での締め付け、すっぴんだとさらにハーフっぽい顔立ち…ん、なんか不意に遠い昔の記憶がフラッシュバックしちゃったぞ。
…社会人になったばかりのとき。それは、バブル経済最盛期の頃だった。繁華街は盛況で、深夜残業してタクシーで帰宅しようにも、終電を気にせず飲み歩く人たちが多くてなかなかタクシーがつかまらなかった。
繁華街近くでは、流しのタクシーをわれさきに確保しようと、車道に飛び出して手に持った数枚の一万円札をこれ見よがしに振り回す輩もいたなあ。
さて、この時期、だいたい日付が変わるまで仕事が終わらなかったし、加えてタクシーはだいたい未明までつかまらなかった。
なので、特に週末は帰宅するのをあきらめて朝まで徹夜で仕事する(ブラック企業なんて言葉はなく、こんな会社、ざらにあった。毎月毎月、基本給より高い残業手当…)か、さもなきゃ街に出て誰か一晩共にしてくれる子を探すか(後者はごくごく稀)どっちかにしようということにしていた。
さてその日、というかその夜、珍しく仕事が0時過ぎに終わったので、おっ、今日は久しぶりに電車で帰れるかな、と思ったものの、昼飯抜きで仕事して激烈に腹がすいていたので、会社の近くのラーメン屋で炒飯と餃子とビール2本。まあ20代前半だから全部胃袋に収まった。
時刻は午前1時。
電車も終わっちゃったし、明日は休み。これまた久しぶりに、誰かひとりでいる女の子がいれば声かけて一緒に飲みに行っちゃおうかな、と会社のすぐ近くの繁華街へ足を向けることとした。
うちの会社は、首都圏有数のターミナル駅近くの高層ビル街にあった。んで、これまた日本有数の繁華街が駅の反対側にある。
まあ、そんなに都合よくこんな深夜に一人でうろうろしている女の子なんかいないよな、と思いながら駅の改札付近を歩いていたら…あら、いた。
切符の自動販売機付近で、路線図を見上げている小柄な黒髪の女性が一人。向こう向いているので後ろ姿だけだけど、お尻がきゅっと締まって足もすらりと長い。でもちょっと猫背気味。
「どうしたの、何か困ってるの?」
と声かけてみた。
振り向いた彼女、おや、日本の方じゃないね。
「ちょと、こまてる」(※誤入力じゃありません、以下同じ)
「電車なくなったから?」
「うん、友達と飲んてたら、わたしたけ帰れなくなた」
「どうするの、どうせ今の時間じゃタクシーもつかまらないし、とりあえず軽く飲みながら善後策考える?」
「ゼンゴサク?、??、」
「あ、ちょっと飲みながら、どうするか相談しようか」
「え、え?ナンパ?」
「あはっ、いきなり声かけて飲みに行こうって言ったら…そりゃそうだよね、そう、ナンパだ、はは…でもここで突っ立っててもしょうがないから、お酒もういらないんなら、喫茶店でも行こうか」
人畜無害っぽい外観のおかげで、だいたい女性からはあまり警戒されない。もうすこし、危険な香りをまとった男になりたかったんだけど。
「そうたね…いくか」
バブル期の繁華街は、深夜でも満席の店ばかり。いい時代だったなあ。
前からちょいちょい利用していた駅東口のショットバーで席が空いていたので、そこに入って、お話しすることにした。
友達と飲んでて終電逃した、と言ってたけど、なんてことはない、駅に戻る途中、友達とはぐれて道に迷ってしまい、ひっきりなしに声を掛けてくる男どもをかいくぐり、やっとたどり着いたら終電後だった、ということらしい。なんて可愛いお間抜けぶり。
おうちはどこ?と聞いたら、庶民感覚バリバリの下町の地名を口にした。
へー、そこの生まれなの、としれっと聞いたら、ううん、ヨコハマ、と。嘘つけ~。
彼女、見た目も明らかに日本人じゃない。浅黒いというか褐色に近い肌、少しパサつき気味の癖のある黒髪、くびれた腰にきゅっと締まったお尻、長い手足…薄いまぶたにちょっときつめだけど澄んだ瞳と濃い眉(これはバブル期の流りのメークでもあったけど)
「ところで、名前、なんていうの」
「タカハシアキコ」
ほう、そうきたか。漢字でどう書くの、なんて意地悪なことは聞かない。
「へー、アキコちゃんか、いいね、あ、もう3時か…アキコちゃん、ぼちぼちタクシーつかまると思うから、なんだったら送ろうか、うちに帰る途中だし」
「おくてそのままうちにくるの、なんかやらし」
「んなことしないって、まあ、始発が動き出すまであと2時間くらいだからこのまま朝までここにいてもいいけど…つきあうよ」
「…やぱり、かえろう」
店を出た。
タクシーはすぐに乗れた。
「△△経由○○までお願いします、あ、チケットで(これ、わかる人はもう少ないかな)」
やれやれと思っていたら彼女、
「あなたのうち、お風呂ある?」
学生時代の貧乏アパートはめでたく卒業し、その時住んでいたのは1DKのバストイレ付。木造だけどね。
「あるよ、入ってく?」
「うち、お風呂ないから、いてもいい?」
なんで断る理由がありましょうか。
「運転手さん、△△行かなくていいので○○でお願いします」
急に眠くなったのか、彼女の上半身がぐらぐらし始め、やがてこちらの肩に頭を乗せてすーすーと寝息を立て始めた。
そっと頭に顔を寄せ、彼女の髪の匂いを嗅いでみる。
ちょっと脂っぽい皮脂の匂い…
襟元からはお酒でちょっと火照った彼女の体の匂いが立ち上ってくる…甘ったるいミルク臭にちょっぴりクミンのような香りと、汗の酸っぱい匂いが混ざり合ったような複雑な体臭に、下半身がぴくぴく反応してしまう。先走りがトランクスを濡らし、ズボンまで染み出しそう。
うちに着いたので、もはや熟睡していた彼女を起こし、タクシーから降りた。
ふらふらとした足取りの彼女に。
「すぐそこだよ、もうひと踏ん張り…あれ、よだれ出てんじゃん、しょうがないね」
彼女の口許を手でぬぐってやると
「あぁ、恥ずかし、ごめんね」
いいよ、さ、ここだから、と鍵を開けで彼女を招き入れた。さっき、彼女のよだれをぬぐった手を嗅いでみたら、濃厚な唾液の匂いがしてまたしても下半身がピクっと反応し、先走りがにじみ出るのが自分でもはっきり分かった。
「先にお風呂入れば」
と言ったら、子供のようにうれしそうな笑顔を見せてバスルームに向かった。
鼻歌を歌いながらシャワーを浴びている。いったいどこの歌だ?明らかに日本のものじゃない。
「お先に、気持ちよかた、ありがと」
長い髪にバスタオルを巻き付け、用意しておいたスウェットを着て出てきた。
湯上りの女の子って、ほんとにいい匂いがする…もう、我慢できない…けど
「じゃ、俺も風呂行くわ、ドライヤーはそこにあるから使って」
とりあえず、先走りでべたべたになった分身は一回洗ってこよう。
お風呂から上がってくると、だぶだぶのスウェット姿でソファに体操座りしてる。なんだかとっても可愛い…
「朝までいていいの?」
当たり前じゃん、それとももう帰りたいの?聞いたら、かぶりを振って
「ここで寝ていい?」
「布団は一つしかないよ」
「いしょに入る、いい?」
「いいよ、じゃ、布団敷こか」
横になると、彼女も横に身を滑り込ませてきた。
布団の中に充満する、彼女のぬくもりとなんだかエキゾチックな濃い体臭。
もう、言葉を交わすこともなく向き合うと、いきなり唇を重ねあった。
ちょっと厚めに見えけど、とても柔らかく、べとっと貼りついてくるような彼女の唇。唾液で濡れていて、そっとすりあわせるとそれだけでぞくぞくするほど気持ちいい。
そのまま激しいディープキスに…舌を絡め合わせ、お互いの口の中をなめ回す。
彼女とのキス、なんだかすごくねっとりした感触で、今まで日本人の女の子と交わしたキスと全然違う感じがした。彼女の息遣いも激しくなり、こちらのトランクスを荒々しくずり下げると分身を握りしめ、激しくしごき始めた。
「おおきい…おぅ、あぅ…かたい、あん、×××!」
ん、最後、何語だ?
「これ…ほしいよ…いれる、いい?」
前戯省略でいきなり挿入まっしぐら。
「ちょっと待って、ちゃんとアキコ可愛がりたいよ」
「はやく、はやく、おぅ」
このまま入れたらすぐ暴発してしまう。いったん落ち着くために彼女を仰向けにさせ、上から覆いかぶさって、優しくキス…舌をチロチロ触れ合わせてからそっと首筋から胸、脇へと舌をはわせていく…フェロモンたっぷりの匂いを胸いっぱい吸い込むと、さらに分身がビクンと反応し、もはや痛いくらいに勃起している。
全身を密着させて局部同士をすり合わせていくと、
「…つけて」
しまった、ちょっと落ち着いちゃったのか。さっきそのまま勢いで入れちゃえばよかった。人生初の生挿入のチャンスだったのに…
ともあれいつかはこんなこともあろうかと、いやあったらいいな、と思って買っておいたコンドームが役に立つ時が来た。
あそこをギンギンにしたまま取りに行き、裏表を確認するのももどかしくくるくると装着すると再び彼女に覆いかぶさる。
手で触れて、ゴムがかぶせられているのを確認した彼女、また、肉食獣モードになって荒い息遣いとともに腕を首に絡め、情熱的に唇を押し当ててきたと思ったら激しく舌を絡めてきた。
「おぅ、おぅ、んっはっ、×××、あぅ」
こちらの目を見つめ、口を半開きにして求めてくる。
外国人は初めてなので、あそこはどんな感じなのか、もっとよく見たりなめたりしたいんだけど、とにかく一刻も早く入れてほしいモードの彼女は、こちらの分身を握りしめて自分の中にねじ込もうとしている。
彼女のあそこ、陰毛は薄め…というかほとんどないくらい。ちょっと厚めで小さいビラビラ、いかにもタイトそうな割れ目から、もうお尻の穴まで愛液を滴らせて、ぬらぬらしている。
布団にもぐりこみ、彼女の秘所に顔を近づけようとすると、
「あ、イヤ!汚い、恥ずかしいよ!」
全力で拒否された。
羞恥心を刺激されたせいか、上気して汗ばむ彼女。
ネギたっぷりのみそ汁の鍋を開けた時のようなほんわりとした匂いにちょっとだけカレー粉を混ぜたような、なんとも言えない本能をくすぐる香りが彼女の体からたちのぼり。布団の中に充満する。もう限界まで張り詰めた分身を彼女のあそこにすりつけると、そのままぬるっと先端が入ってしまった。
「おうっ、あっ、ああっ」
いきなり派手な声をあげる彼女。
がそこからするりとは入っていかない。
彼女の中はタイトで熱く、ぐっと押し込むように腰を沈めていった。
うわわ、ものすごく気持ちいい。
彼女が嬌声をあげるたび、あそこの入り口がぎゅっと痛いほど根元を締め付けてくる。
さらに中はうねうねと絡みついてくるような感触で、もし生で入れていたらあっという間に暴発していただろう。巾着+ミミズ千匹、というまさに名器、セックス初心者マークの若造には刺激が強すぎた。
「あぅ、おぅ、△×△」
ちょいちょいと知らない言葉が混じる。
快感が高まるほど濃くなる体の匂い、強烈な締め上げにもう辛抱たまらず、
「ああっ、出ちゃう、出るっ!くっ…」
コンドームが破れそうなほど大量のザーメンを放出してしまった。
まだイッていなかった彼女、不満げな声を漏らし、コンドームを抜き取ると、名残の体液を垂れ流す分身を握り、激しくしごいてきた。乱暴なんだけどしなやかな指使いに、あっという間に硬さが復活。
ひときわ息遣いを荒くした彼女は、そのまま自分のあそこに押し当て、ねじ込んでしまった。
「え、生だよ、つけてないけど大丈夫なの?」
「いい、このまま、きもちよくして‼」
ブレーキが壊れてしまったおかげで、はじめての生挿入体験。
ゴム越しではわからなかった、粘膜同士がふれあい、くっつき、とろけあってひとつになるような感触…根元はひくひくと締め付けられ、中は熱くうねってさらにちょっとざらついた感触の粘膜に包まれる強烈な気持ちよさ。締め付けられるたび、名残の精子が絞り出されて少しずつ彼女の中にこぼれていくのがわかる。
あっという間にまた出そうになったけど、ぐっとこらえて息を整え、ゆっくり腰を動かし始めると…
「あぅ、くっ、うっ!もっと、あっ、はうっ、はうっ!」
どんどん声が大きくなり、やがて悲鳴にも近い声と共に体を硬直させた。同時にこちらにも限界が訪れ、腰から下全部が持って行かれるような快感と共に大放出。生で中出し、ってこんなに気持ちいいものなのか…天国のお花畑が見えた気がした。
なおもびくっびくっと体を震わせ、切れ切れの声をあげている彼女、そのたびにあそこが強く締め付けてきて、半勃起のまま、抜け落ちる気配もない。
荒い息がやっと収まった彼女、目を見つめあうと、激しいディープキスをしてきて、
「ほれたよ~」
ぎゅっとしがみついてきた。
名残汁を搾り取るように何度もきゅっきゅっと締め付け、うねうねと絡みついてくるような粘膜の感触がたまらず気持ちいい。
連続で2回も出したのに、またむくむくと大きくなってきた。その感触を感じとったのか、淫靡な笑みを浮かべる彼女。
抱き合ったまま体を回転させて自分が上になると、両手でこちらの頬を抱え、むしゃぶりつくように鼻からまぶた、耳と所かまわず甘噛みしてきた。
反撃するように、すっかり硬くなった分身で下から突き上げると、
「おぅぅぅぅ、ぐっ、ぐぐぅ、くはぁ!」
獣のようなうめき声をあげ、彼女もめちゃくちゃに腰を動かしてくる。入口の締め付けが強いので抜けることもなく、粘膜同士がぐちゃぐちゃとこすれあい、ぬめりあい、とろけるような快感に包まれる。
2回放出しちゃっているので簡単に出ないせいか、熱い摩擦感がどんどん高まり、こちらも耐えられず唸るような声が抑えられない。彼女の喘ぎもすでに叫びに近くなってきて、激しい、まるで野獣のようなセックス。
深く固くつながった部分から滴る液体がお互いの太ももまで濡らし、半開きで嬌声を上げ続ける彼女の唇からは、よだれが糸を引いて落ちてくる。それを口で受け止め、濃い味と香りを堪能して…
体を起こして対面座位になり、極限まで深く押し込むと、彼女は声にならない叫びをあげて体をのけぞらせ、びくっびくっと激しく体を震わせた。同時にこちらも体の中に残ったありったけを彼女の一番深いところに注ぎ込む…
ふたりとも、荒い息をつき、強く抱き合ったまま、しばらく動けなかった。
出し尽くしてやっと萎えたものが彼女の中から抜け出てくると、ひくっひくっとする彼女のあそこからどろどろと濃いものが流れ出してきた。放心したようにそれを眺める彼女。
ティッシュで丁寧にふき取ってあげると、こちらの目を見つめてそっと唇を重ねてきてくれた。
あんな薄いゴムなのに、それがあるのとないので密着感だけじゃなく気持ちの距離までこんなに大きく違っちゃうんだ…と実感した。
もたれかかる彼女の体をそっと抱きしめ、髪を優しくなでてあげていると、言いようもなく甘い感情がこみ上げてくる。あたりはもうすっかり明るくなっているけど、今日は休日。そのまま横になり、お互い生まれたままの姿で寄り添って心地よいまどろみに落ちて行った。
ほぼ同時に目を覚ましたときは、もうお昼に近い時間。照れくさそうに体を離した彼女は、
「お風呂、はいていい?」
昨夜と同じように、どこの言葉かわからない鼻歌が聞こえてくる。さっぱりした表情で出てきた彼女は、
「ありがと、楽しかた」
そっとこちらの頬に手を添え、濡れた柔らかい唇をそっと重ねてくれた。
冷蔵庫にあったありあわせの食材で簡単なブランチを済ませ、また優しく抱きしめる。互いの目を見つめ、二人ともすごく穏やかに微笑みあった。ふたたび押し倒したくなる気持ちをぐっと押さえ、
「じゃ、駅まで送るよ」
と身支度を整え、一緒に最寄りの私鉄の駅まで歩いて行った。腕を絡め、恋人つなぎの手を交互にぎゅっ、ぎゅっと握りあい、そのたび目を見合わせてくすっと微笑みを交わしながら。
また会いたい、連絡先でも教えてほしいんだけど、名前から出身から、明らかのウソばっかりの彼女にはいろいろ聞くのもはばかられるような気がした。
考えてみれば、自分のところに帰らずうちに来たのも、どんな所に住んでいるのか、知られたくなかったからなのかな。
駅に着くと、すっかり打ち解けた笑顔で、
「じゃね、バイバイ」
「うん、来てくれてありがとう、楽しかった」
お互い、またね、という言葉を口にすることなく改札で別れた。
なんだかとても名残惜しくて駅のすぐそばの踏切で待っていると、彼女の乗った電車が前を通り過ぎて行く。こちらに気づき、笑顔で窓越しに手を振ってくれる彼女。
胸がぎゅっと締めつけられるような感情がこみ上げ、何かが指の間からこぼれていったようなせつない気持になってしまったのはなぜだろう。
妻は、こちらの過去の女性体験、決して多いとは言えない乏しい経験話を面白がって聞きたがるし、ちょっとどうかなあと思うようなエピソードにもけたけた笑ってくれるのがうれしくて、こちらもだいたいのことは白状しちゃってるんだけど、この話だけは、どうしてもできないでいる…