【番外編】夕子ちゃんとの再会の夜、劉ちゃんは俺の腕の中で逝き続けた

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ガタンゴトンと音を立てて、電車は二人を乗せて一路四国へ。俺たち(俺、桂木三月と俺の高校時代の恋人でつい最近再会を果たした劉秀美ちゃん)は、高校の放送委員会の仲間だった夕子ちゃんとの再会を目指して旅行中なんだけど、、、。

「なあ、劉ちゃん」

秀美「秀美と呼んでください」

「劉ちゃん」

秀美「秀美です」

「、、、、」

秀美「、、」

「、、秀美、色々聞きたいんだが」

秀美「はい!あなた」

「何故、この車両には俺たち以外人がいないんだ?」

秀美「、、、、」

こほん!と劉ちゃん。

秀美「ねえ?先輩?」

「先輩呼びに戻った!」

秀美「先輩はもっと自覚するべきなのです。自分が劉家の身内であることを」

「それと車両に人がいないこと、関係無いよね!?」

秀美「あなたと私が乗っている車両に、他の人なんか乗って良い訳無いじゃないですか」

「出たよ、劉家、トンでも理論!!」

それが怖いんだよ!あの家は!!

華僑有数の実力は本当に伊達じゃない!

「この旅行って、元々、沙織(俺の奥さん)も入れて3人で行こうって話だったよね?それが突然、大口の契約が入りそうとかで、あいつ泣く泣く仕事優先になって」

秀美「夫との旅行を袖にして、仕事を優先するなんて妻の風上にも置けませんね」

「お前、なんかやってない?」

秀美「、、、、」

「、、、、(ジト目)」

秀美「、、、あなたと私が乗っている車両に、他の人なんか乗って良い訳無いじゃないですか!」

やったなこいつ!沙織の会社に客を回したな。

「お前、高校生の頃は、普通だったじゃん」

秀美「あの頃とは違うのですよ。あの頃とは」

「俺は普通のお前が好きなんだが」

秀美「!、、即、善処致します!」

ピロピロ、ガチャ

沙織「もしもしパパ~?なんか突然仕事無くなったから、今からそっち追いかける~」

「、、、そ、そっか、大変だなあ」

沙織「じゃ~明日合流するね~ガチャ」

「、、、、」

『福山~福山~』

車両に人ぞろぞろぞろぞろ、、、、ワイワイ

「、、、、、」

秀美「このボックス席だけは確保しました、お許しください」

「分かった、、もう良い」

本当にお金持ちってやつはさ~!!

なんだかんだで俺たちは目標の駅に着いた。

ここで、夕子ちゃんのお嬢さんと待ち合わせ。

夕子ちゃんは、、、、入院中だった。乳癌で。

秀美「すみません、もう少し早く情報を入手出来ていれば、、、」

「劉ちゃんのせいじゃない。これも運命なんだ。」

改札口に、夕子ちゃんがいた。いや、大人になった夕子ちゃんはきっとこうだろうという女性がいた。劉ちゃんが隣で息を飲む。

女性「桂木さんですね?」

「きみは、夕子ちゃんの娘さんだね?」

女性「はい!錦野真夜と申します。」

「失礼ながら、ご結婚なされたと伺いましたが」

真夜「主人を事故で亡くしまして、今は、母と娘と3人で暮らしておりました。」

「、、、、」

真夜「桂木さん、お見舞い本当に感謝しています。母は常々、桂木さんに会いたい。でも会っちゃいけないと。」

「夕子ちゃん、ご主人は?」

真夜「母は生涯独身です」

「え!?」

秀美「え!?」

「し、しかし、成井の結婚式で再会した夕子ちゃんは、左手の薬指に指輪を!」

真夜「男避けです。母は誰とも付き合う気は無かったようですから」

秀美「そ、、そんな、、」

真夜「あなたは?」

秀美「私は劉と申します」

真夜「ああ!母の親友だった劉秀美さんの関係の方ですね!ありがとうございます。私と同い年くらいですね。秀美さんの姪子さんあたりでしょうか?あ!すみません、よけいな事を伺がって失礼致しました」

秀美「いえ、こちらこそ、、失礼を承知で伺います、、それで、あなたのお父様は?」

真夜「わかりません、、母はシングルマザーで私を産みました」

大学に通いながら、夕子ちゃんは出産。

父方の実家の協力で子育てをしながら、大学を卒業して、地元で教師をやっていたらしい。シングルマザーの先生、風当たりは厳しかったかもしれない。

真夜「母には、劉さんはもちろんですが、桂木さんの名前も伝えてないんです。ただ私の知らない昔の母さんの知人だと言う方がお見舞いに来ると伝えてます。びっくりさせてやってください。」

「夕子ちゃん、、、」

夕子「か、桂木先輩ですか?」

「夕子ちゃん!!」

夕子「先輩!!会えるなんて、もう一度会えるなんて思ってなかった!」

夕子ちゃんが泣きじゃくる。

こんな、こんな状況だったなんて、考えもしなかった。夕子ちゃんごめんよ!

秀美「夕子、、、」

夕子「え、、、?」

秀美「夕子!」

夕子「り、、劉ちゃん!?、、、う~ん」

「ち、、ちょっと!夕子ちゃん!?先生~大変だ~~!!」

夕子ちゃんは気絶した。そりゃそうだよね?

心臓止まらなくて良かったわ。

夕子「お迎えが来たかと思ったわ」

秀美「ごめ~ん」

夕子「本当に秀美なの?」

秀美「本当に私なんだ。もっとも記憶が戻って本来の私に戻ったのは最近(嘘をつくことにした)なんだけどね」

夕子「それですぐ先輩のところに行ったのが、劉ちゃんらしい!でも残念、先輩はご結婚されましたもんね」

「、、なんで、夕子ちゃんが知っている」

夕子「え?年賀状で」

「嘘だ」

夕子「、、、、」

「あの年の年賀状は夕子ちゃん住所不定で戻ってきて、成井と一緒に夕子ちゃんの行方探したけど分からなくて。今回、劉ちゃんが探してくれたから分かったけど。なんで姿を消すようなことを!」

夕子「先輩が結婚するって噂で聞きました。それで思ったんです。私がシングルマザーだってどこかで先輩が知っちゃったら、先輩ならどうするだろうって。気がついたら、誰にも言わずに引っ越ししちゃってました(笑)」

夕子「先輩なら、別れたときの約束を引っ張り出しかねない」

夕子「私、先輩の足かせだけにはなりたくなかったんです」

『でも先輩と劉ちゃんに会えて良かった、おかげで心残りが無くなりました』と笑う夕子ちゃんに、俺も劉ちゃんも何も言えずに病室を後にした。

今、劉ちゃんと劉ちゃんの手配した医師が、夕子ちゃんの主治医と病状の話をしている。

俺は真夜ちゃんと二人で対話室にいる。

「こんなのって、こんなのってない、、」

真夜「桂木さん」

「夕子ちゃんは誰よりも幸せになってないといけなかったのに」

真夜「桂木さん、母が不幸せなんて誰が決めたんですか?」

「え?」

真夜「私も母も幸せでしたよ?まわりの人々に支えられて、毎日楽しかったですよ?」

「、、、」

真夜「桂木さんが嘆くようなことなんて無いのですよ?」

「、、、」

秀美「先輩!!」

「劉ちゃん!どうだ?」

秀美「うん!ステージⅢ。大丈夫!何とかする!!」

「うん!」

「真夜ちゃん、良く聞いてくれ。俺たちは夕子ちゃんを治したい。協力してくれ。」

真夜「母は、母は治るのですか!?」

俺たちは、夕子ちゃんを大阪の劉家の息の掛かった病院に転院させて真夜ちゃんとお孫さんの家も近くで確保することにした。

真夜ちゃんの保育園も確保して、真夜ちゃんが本来やっていた保育士としての仕事も確保した(このあたり、劉家は凄い)。

夕子ちゃんも真夜ちゃんも喜んで、転院や引っ越しに賛同してくれて、夕子ちゃんはもう一度元気になって、俺たちと母校を訪問することを約束してくれた。

その夜、俺は劉ちゃんを抱いた。

もう俺には劉ちゃんにすがり付くしかなかったんだ。

真夜ちゃんに同い年に見えると言われるほどの若々しさを保もったままの劉ちゃんの身体は、あの最後の夜を思い起こさせるには充分な魅力を備えていて。

俺たちは狂ったようにお互いを求めていた。

俺には、ほぼ初めての劉ちゃんの身体中を俺の指がはい回る。劉ちゃんが俺の指で半狂乱になって悶えている。正常位からの寝バック。俺は劉ちゃんが何度達しても許さなかった。

秀美「あ!あ!あ!駄目!駄目!もう、もう、動かないで、先輩!あ!あ!当たって!駄目なのに、、駄目、駄目、ああ!逝く逝く逝く逝く、、、っくう!、、、ああ!逝ってる!逝ってるからあ!駄目、駄目、っくう~~~」

その夜、寝物語で劉ちゃんが話してきた。

秀美「先輩、、真夜ちゃんって、先輩にはどう見えた?」

「、、夕子ちゃんにそっくりに見えた。夕子ちゃんが大人になったらきっとこうなるだろうなあって姿、そのままだった。」

秀美「そうなんだ、あなたにはそう見えるのかもね」

「え?」

秀美「私の印象は違うんだよ。あの子は、あの子はあなたにそっくりだよ」

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