眼鏡っ娘後輩の夕子ちゃんは、一年間、その身体を俺に捧げた

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もうすぐ60歳の中年の思い出話にたくさんの続編希望ありがとうございます。

結局、俺(桂木三月《かつらぎみつき》)は高校三年間を放送委員会に捧げた。

俺だけじゃない、同期の成井が平田が三年生になっても活動を行った。

そして一年後輩の錦野夕子《にしきのゆうこ》ちゃんが部活型放送委員会の最後の一人になった。

(夕子ちゃん三年生の時に、竹田先生は放送委員会を各文化部《電気部や合唱部など》から代表と言う名の生け贄を集める活動に舵を切った。その年、放送委員会の希望者は現れなかったんだ。)

高校三年間を振り返った時、最も長く俺のそばにいてくれた女の子は、桂木先輩でも劉ちゃん(劉《りゅう》秀美ちゃん)でも無かった。

夕子ちゃん、、、。

長い黒髪を緩い三つ編みに纏めた、童顔で黒眼鏡がトレードマークの女の子。

劉ちゃんの回復を俺は、俺たちは待った。

そんな日々の中、どちらかと言うと成井と平田は俺の心配をしてくれていた。

あの二人には一生感謝しかない。

もっとも完成されたカップル(こいつら結婚しよった)である二人だ。

俺が平田ちゃんと何かが起こる訳もなく、いや、俺、平田ちゃんの女友達軍団、本気で怖かったし(笑)。

夕子ちゃんは逆。俺のことなんか二の次。

もっぱら劉ちゃんを心配して、彼女の回復を待っていた。

夕子ちゃんは俺にとって、同じ目的の同士だったんだ。

劉ちゃんは香港の病院だったので、俺たちとのやり取りは基本手紙。

手紙の交換は、放課後劉家に入り浸る俺の役割だった。

俺は劉家のじいさんが心配だった。

劉ちゃんの入院からめっきり弱気になったじいさんを元気づける為に、俺は劉家に通った。

、、、しまいには、中国拳法まで習う羽目になって、おかげ様で俺は今でも肉弾戦なら、空手っ子の優(うちの一人息子)がぎゃーぎゃー言ってきても負ける気がしない。

、、、関係無い話だな(汗)。

劉ちゃんは「回復するまでは弱った姿を先輩には見せたくない!」と頑張った。

超有力華僑の劉家の全力サポートだ。

劉ちゃんは、何度か寛解に近いところまでは回復したことがあり、その時は元気そうな写真を手紙に携えてきた(お化粧など相当無理したらしい)。

俺はあいつが帰ってきたら、本気で結婚するつもりで、その時は(まだはっきり何かになりたいとかの希望があった訳じゃなかったけど)少しでも良い生活をさせてやれるよう、俺の出来そうな一番良い大学を目指して、受験勉強に勤しんだ。

俺たちは、放送室を私物化して、時折やってくる劉ちゃんの手紙に一喜一憂しながら、受験勉強を頑張っていたんだ。

俺は、調布の電○通○大学に合格して、そしてすぐ、劉ちゃんは力尽きた。

それはちょうど、新生活に向けて、大学そばにアパートを借りて生活道具を揃えていた時だった。

「三月くん、ごめん、ごめんよ、、」

劉ちゃんのお父さんの電話。

そこからしばらく記憶が無い。多分、電話さえ切って無かったと思う。

新しいアパートは俺が引きこもるには最高で、何日経ったかも分からなくなっていて。

その静寂は、狂ったように叩かれるドアの音で破られた。

ふらふらとドアを開けた瞬間、俺は思いっきり引っぱたかれて、しばらく飯も食って無かった俺は無様にぶっ飛んで。

「何やってるんですか!あなたは!!」

涙でぐしゃぐしゃの夕子ちゃんが仁王立ちしていた。

夕子「劉ちゃんのお葬式にも出ないで、あなたは何をやってるんですか!!」

「、、、、」

夕子「劉ちゃんは誰よりもあなたを待っていたはずなのに、、、」

「待たないよ」

夕子「、、、え?」

「死体は誰も待たないよ、、アイツは死んだんだ!!」

夕子「うわ~~ん」

この瞬間だった、俺は唐突に理解した。

劉ちゃんが死んだってこと。

気がついたら、俺は夕子ちゃんと抱き上って泣いていた。

今まで一滴の涙も流してなかった。

俺は泣いて泣いて、、そして、最悪の間違いを犯した。

俺は夕子ちゃんを押し倒したんだ。

夕子「先輩!?いや、いや~~!!」

どれくらいの時間が流れたのか、俺の腕の中から、どろどろの夕子ちゃんがふらふらと離れて、夕子ちゃんは何も言わず服を来て部屋を出て行った。俺は今度こそ動けなくて。

ああ警察かな?その前に餓死かな?

どうでも良いか。

しばらくして、俺は夕子ちゃんが、買い物袋を持って戻って来て、キッチンでカレーを作っているのをぼんやりと見ていた。

カレーの匂いは俺を急速に人に戻していった。

夕子「少しずつですよ?じゃないと吐いちゃいますよ」

夕子ちゃんは、カレーは食べさせてくれず、俺にお粥をよそってくれた。

久しぶりの食事は俺をますます人に戻して、俺は夕子ちゃんに申し訳なくて。

「ごめん」

夕子「、、、」

「ごめんよ、、、夕子ちゃん、、俺、最低だ、、」

夕子「今だけ、、、」

「え?」

夕子「今だけ私が劉ちゃんの代わりになります。背丈も器量も足りてませんけど」

「どうして、、どうして!!」

夕子「どうしてなんでしょうね?」

「、、、、」

夕子「劉ちゃんが泣きながら頼んできてる気がするんですよね。”先輩を助けて!”って」

「、、、、」

夕子ちゃんはそのまま、アパートに泊まった。

俺と夕子ちゃんは、一晩中一つになったんだ。

俺が平静を取り戻せたのは夕子ちゃんのおかげだった。

遅ればせながら劉家に伺った俺に夕子ちゃんは再び寄り添ってくれて(じいさんに思いっきりぶっ飛ばされた)、その帰りに俺は夕子ちゃんに言ったんだ。

どうすれば、この恩を君に返せるのかって。

夕子ちゃんは少し考えて「じゃあ受験勉強を助けてください」って。「超苦手な理数系科目を教えてください」って。

あの放送室で、先輩たちみたいに受験勉強がしたいですって夕子ちゃんは笑ったんだ。

卒業生とは言え超部外者の俺の放送室への入室を竹田先生は例によって学校に認めさせた。本当にあの人学校の何なのだろう。

この夕子ちゃんと俺の放送室での受験勉強が、部活型放送委員会の終焉だった。

来年になれば完全に放送委員会は文化部の共同運営になる。

俺たちの知ってる放送委員会は消滅するんだ。桂木先輩が、劉ちゃんが愛した放送委員会は無くなるんだ。

この頃、夕子ちゃんは、長年付き合っていた彼氏と別れていた。それが俺からの凌辱の前なのか後なのかはわからない。

たまに、本当にたまに、俺は夕子ちゃんを抱いた。

大抵は学校から夕子ちゃんを送っていくとき、夕子ちゃんが何かを思い出したように泣き着いて来て、俺たちは俺の実家に寄ったり、週末だとたまに俺のアパートに泊まったりして、俺たちは身体を合わせた。

夕子ちゃんの受験が終わるまで。

彼女は見事に父方の実家のある九州大学に合格した。

夢を見ていた。懐かしい懐かしい夢。

秀美「先輩、久しぶり!」

思い出の劉ちゃんの部屋、あのHF帯のアマチュア無線機もそのまま。

まるで日常のように俺たちは話をしていた。

秀美「夕子ちゃん頑張ったね!」

「俺の家庭教師なんかいらなかったんじゃないかな」

秀美「いや~、先輩もそこそこ頑張ったよ!」

「そこそこかよ!」

秀美「夕子ちゃん、九州に行っちゃうよ?これからどうするの?」

「きっぱり別れようと思うんだけど、どう思う?」

秀美「うん」

「俺たちの間には劉ちゃんがいる。俺たちは二人とも劉ちゃんに近すぎる」

秀美「そうだね」

「劉ちゃんのことは忘れない。でも俺たちが一緒にいて劉ちゃんをいつまでも引き摺っていてはいけないと思うんだ」

秀美「そうだね。このままじゃ私、いつまで経っても成仏出来なそうだし(笑)」

「成仏なんかするなよ!いつまでも俺のそばにいろ!」

秀美「本当に憑いちゃうぞ~」

「良いんだよ、お前は俺の奥さんなんだから」

秀美「さんざん夕子ちゃん抱いておいて?」

「ごめん(汗)」

秀美「ううん、先輩はこれからとっても良い人に出会って結婚して幸せになるよ。きっとそうなる!でも、それまでそばにいるね?ありがとう先輩!」

起きたら俺は涙を流していて、俺の背中を優しい風が触れた気がした。

夕子ちゃんは晴れやかに九州に旅立った。

実は「10年経ってもお互いフリーだったら改めて付き合おう」って約束したんだけど、その年の年賀状には彼氏とのツーショットが載っていて俺を爆笑させた。

成井と平田の結婚式で再会した夕子ちゃんの左手の薬指には、幸せの象徴がはまっていたんだ。

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