波乱の教育実習が続きます。そして夜、一生の不覚をやらかしました。

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教育実習編をお読みいただきありがとうございます。

また、たくさんの評価をいただきまして光栄です。

では、これから教育実習2日目のエピソードになります。

前回、初日から色々あった教育実習で疲れ果てた私は、疲れ果てて自室のベットの上で気を失ったようにスーツも脱がずに寝てしまいました。

今回の話はそこから始まります。

教育実習の2日目となる今日は朝8時までに学校に出向くことになっていましたので、7時30分には出掛ける予定にしていました。

しかし朝7時になっても食堂に姿を表さない私を心配した下宿のおばさんが、娘であるふたばに声を掛けたところそのふたばが私の部屋までやって来て、いつものようにドアをいきなり開けました。

「あ〜、そのまま寝ちゃってる!スーツなんてグチャグチャだよ。」

「すぐ起きて!今起きて。いいから起きろ。」

そしてなかなか起きない私にイライラして、私の朝勃ちをむんずと掴んでグリグリ回し始めました。

コレに耐え気なれなくなった私がようやく起きると

「コッチは起きてるのに!なんで起きないのよ!」と言って頭からツノが生えたように怒っています。でも、カーテンの隙間から照らされるふたばの表情は、なんとなく明るく色艶が良いように見えました。

しかも、いつも切れ毛の目立っていたその髪も心なしかツヤツヤしています。

でも私は、昨晩風呂について例の場所ではふたばと一緒に入っていて問題なかったのですが、夕食後気を失ったように寝てしまっていたので着ているスーツがグチャグチャですした。

するとふたばが「アンタ、着替え持って一緒に来て。」と言って私を叩き起こして手を引きます。

目が半分しか開いていない状態でとりあえずシャツとパンツだけを握りしめ、上下スウェットというラフな格好のふたばに引っ張られながら行った先は、下宿の隣に建っている母屋にあるふたばの部屋でした。

その部屋に入った瞬間、ふたばの匂いというか女子の香りがします。その部屋はふたばらしくきちんと整頓されていましたが、ふたばに似合わずやっぱり女の子の部屋って感じです。これって、中学生の時に初めて同級生の理央の部屋に入った感じによく似ています。

するとふたばがいきなり「脱いで。」と急かします。私が「えっ?」という顔をすると

「朝から何勘違いしてるの!わたし、服のシワを取るスチーム持ってるから・・早く脱いで」と言っています。

誤解の解けた私はスーツを脱いでふたばに渡しました。今度はそれを受け取ったふたばが私のスーツを一度自分の顔に押し付け、匂いを嗅いでいます。

「この匂いってオトコの臭いだよね。ヤッパリアンタの匂いってコレだよね。でも、アンタの匂いってなんか安心するっていうか、なんて言ったらいいかわかんないけど、わたしがネコだとしたらマタタビの匂いを嗅いだような感じっていうのかな・・・・?」

「あ〜ダメダメ。これ以上嗅いだら変になっちゃう。」と、そのふたばが今度は本気とも冗談とも取れる事を言いながらそのアイロンみたいなスチームマシンを私のスーツにあててシワ取りをしています。

そして、「時間がないからここで着替えちゃって。恥ずかしがることもないでしょ。」と言われ、一応後ろ向きになって素っ裸になって着ていたパンツをシャツを着替えました。

すると、後ろで作業をしていたふたばが「あっ、ごめ〜ん。背中痛くない?」と聞いてきました。

私は特に違和感がなかったので「なんかあった?背中がどうしたって?」と聞き返しましたが、「大丈夫ならいいの。でもやっぱりごめんね。」といつものふたばらしくもなく謝っています。私はなんのことかさっぱり分かりません。

そして、ふたばのやっていたシワ取り作業が終わったスーツを着てみると目立つシワがなくなっていました。

「ふたば。ありがとう。しかし、そのマシーンってすごいんだな。」

「うん。わたしも時々やらかしちゃって。」

「えっ?ふたばでもそんなことあんの?」

「アンタ・・・わたしのことどういう風に見てんのよ?」

「どう見てるかなんて・・・・」

「アンタはどう思ってるか分かんないけど、わたし結構だらしないんだからね」

「僕ってさ。ふたばって時々ラフな格好するのを除けば完璧な女子かと思ってた。」

「へえ〜。そんなふうに見てたんだ。でもね、女子って生き物はオトコに見せる部分って完璧に見せたいもんなんだよ。アンタ、姉さんいたからわかるでしょ?」

「残念ながら、僕の姉さんって浮いた話が全くなくって、そんなこと全くわからなかったよ・・・・。でもわかる気はする・・・。」と、スラックスを履きながら答えました。

すると、「あっ、もう時間ないや・・・。今度はわたしが着替えするから出てって。ほれほれ。」と言って私を部屋から追い出しました。追い出された瞬間、先ほど脱いだ下着を忘れてきたことに気づきましたが、おそらくふたばは後で生ゴミみたいな扱いで届けてくれると思い気にも留めませんでした。

そして部屋に戻った私が苦労しながらネクタイを締めていると、今度も部屋のドアがなんの前触れもなくガバッと開き、「アンタ。どうしてくれんのよ。」と言いながら、そのふたばが自ら自分のブラウスのボタンを外し乳房を見せました。

やってしまいました。たくさんのキスマークです。私は夢中になるといつもこうです。夏帆との時も気をつけてはいましたが結局水着で隠れないところにまで付けていました。しかし、ふたばの乳房にはソレの数倍付いています。

「ふたばゴメン。夢中になっちゃって。あまりにも気持ち良くって・・・・」まで言ったところで頭を叩かれ、

「朝から何言ってんの!・・・まっ、私もやっちゃてるからオアイコってところね。まっ、きちんとボタンしてれば隠れるところだからコレはこれで良しとしよう。あとアンタも、爪はきちんと切っておきなさいね。」とふたばは言っています。

私は、この時何がオアイコかは分かりませんでした。爪はいつもきちんと切っています。でも、コレが何かは今日の夜判明することになります。

その後、ふたばと揃って下宿を徒歩で出発して近くのバス停に向かいました。するとそこに見覚えのある女性がバスを待っています。

その女性が私とふたばの姿を見つけると・・・

「あれっ?おはよう・・・。もしかして二人って同棲中?」と不思議そうに聞いてきました。

するとふたばが「小林先生おはようございます。それ、すごい勘違いです。このマドカ先生は私のところの下宿生で、昨日は車に便乗させてもらっていました。」

「先生。先生っていつもバスなんですか?」

「違うよ。いつもはクルマなんだけど・・・・今日は夜、あるからね。」

「わたしたちと一緒ですね。」

「そういえば、さっき言ってた下宿ってあの豊浜下宿?。そこってふたば先生の実家だったんだ。ふ〜んソレは偶然。私ってすぐそこのアパートなんだよね。」

「その下宿、わたしの部屋から見えるよ。そういえば、いつだったか部屋のカーテン閉めようとした時、その1階の角部屋に女の子連れ込んでイチャイチャしてたのバッチリ見えちゃって・・・。あっ、ゴメンね。余計なこと・・・」と言っています。

ふたばは心当たりがあるようで、私に目で何か合図して変な汗をかいています。

下宿での私の部屋は1階の角部屋になります。そういえば、いつかふたばにベットに押し倒された時カーテンが開いていたような気がしました。もしかするとその時見られていたかもしれません。不用心でした。

その小林先生は、広めに空いたブラウスの胸元から微妙に胸の谷間が消え隠れしており、その胸元にドキッとさせられます。しかも、ブラウスの胸元のボタンが胸の大きさで千切れそうになっていて、ボタンとボタンの間が微妙に開いて中の黒い何かも見えてしまっています。

また胸の大きさとウエストの細さとお尻の大きさを強調する服装も相待って、ものすごい色っぽいというかエロっぽいというか、オンナという香りをプンプンさせているような感じを受けます。

バスの乗ると、身長の高いふたばはいろんな障害物を屈むように避けて進みます。そして吊り革ではなく、ほぼ自分の頭の高さにある鉄パイプを掴んでいます。隣にいる私と私より身長の低い小林先生は、ふたばの掴んだ鉄パイプから吊り下がっている吊り革を掴んでいて、ここでもその身長差に驚かされます。

すると、そのふたばが隣に並んで立っている小林先生を見下ろしヒソヒソと何か話していました。

「小林先生。見えてます。上から見ると谷間と黒ブラ、バッチリ見えてます。」と小声で小林先生に話しかけているのが聞き取れます。

しかも「先生。いつもそんなセクシーなの着けてるんですか?」なんてヒソヒソ話しが聞こえます。更に私が聞き耳を立てると・・・

「さすがにいつもはこんなの着けてないよ。今日はね夜、あるでしょ。何があるか分からないから。女のたしなみってところかな?」

「あれ?先生って誰か狙ってるんですか?」

「ソレはね秘密。チョット気になってはいるんだけど・・・」と言った瞬間、小林先生が私をチラッと見たような気がしました。なぜか私の背中に悪寒が走ります。

私はいくらなんでも自分に向けられた視線ではないと思い、「オトナの女性が自分みたいなガキに興味があるはずはない。のぼせ上がるのもいい加減にしろ。」と自分に言い聞かせました。

その後学校に到着し職員室で朝礼を済ませて、実習生の控え室まで戻って来ました。

今日の教育実習は2時限目に私の担当である道路計画の授業があります。そこで昨晩できなかった資料のまとめをしていました。

この時までに分かったのは、1時限の45分間に教える内容を整理するのに約3時間かかるということでした。

授業は基本的に教科書に沿った説明で進めて行きますが、生徒が生徒だけにそんな普通のやり方では絶対に飽きて寝てしまうはずです。せっかくの実習です。生徒の反応も見てみたいと思っていろいろ考えました。

そこで教科書のここの部分まで説明したら関連する別の話をして、次に私の手作り資料を見てもらってからまた教科書に戻って・・・・なんて作戦を立てて挑みます。

そして一番重要なのが「雑談タイムです。」コレは、生徒たちに最も年齢の近く、同じような感性を持った大学生の話が聞けるということで、結構真剣になって話を聞いてくれます。

もう、こうなるといい加減なことも喋れないので、最終的にその雑談タイムのための予習にも時間を割くようになっていました。

その資料をまとめるのはもちろん全て手書きです。今では考えられませんが、当時はパソコンなんてもんは学校にしかありません。またその時代マックやウィンドウズなんて言葉すら聞いたこともありません。

しかも学校にある最新パソコンも、プログラムを組まないと何も動かないPC9801なんていう今じゃ化石みたいなモノでした。

そしていよいよ私の授業が始まりました。実際に自分が教える科目で教壇に立つのは生まれて初めてです。昨日もこの生徒たちを前に話をしましたがそれは単なる雑談にすぎませんし、コレから私が喋ることはこの生徒たちがこの土木という道でこれから生きていうえ必要とされる教養です。

私はこの時身震いを感じました。ここにいる生徒たちは、コレから私の喋る一言一句を正しいこととして聞くことになります。間違った事なんて言えません。それはもしかすると一生記憶に残るかもしれません。たかが1時限ですがされど1時限です。

そして、初めて先生として黒板に文字を書くとき、最初の一文字めで思いっきりチョークが折れ、爪で黒板を引っ掻いてしまいました。

するとその不快な音に生徒たちから「先生、オレたちまだ寝てないんだけど。それやるのチョット早くね?」と抗議の声が上がりました。

このとき分かりました。何か気に触ることを言えば何をされるかわからない雰囲気のこのクラスの生徒たちに、この不快な音をわざと立てて抵抗した先生がいたってことを。

このとき私は「あっ、ゴメン。先生チョット緊張してしまって・・・」と正直に伝えたところ「勘弁してよ・・・」と言う声が帰って来ました。

そして、「声が小さい」から始まって、私の書く「字が小さい」とか「書くうち段々右上がりになってしまう」とか、終いには「誤字脱字」まで、寝ずに私を指導する生徒たちがそこにはいました。

私のほうも、何事も人にうまく伝えるのが苦手だったので、あらかじめ厚手のスケッチブックに紙芝居の様なものを準備して説明したりしてその生徒たちに応えました。

この時教室後方で私の授業を腕を組んで聞いていた担任の佐藤先生も時々うなづいたり、「へえ〜」みたいな顔もしてます。ここで行ったスケッチブックを使った説明は生徒に好評で、ソレから数十年たった現在でも事業の説明なんかにあえて手書きのものを作って挑んだりします。ソレの原点がこの教育実習でした。

今、日曜日の朝のニュース番組で女子アナが手作り資料で説明するコーナーがありますが、まさしくあんな感じです。毎週それを見るたび、なんか教育実習のその場面が思い出され懐かしい感じがしています。

残念ながら、私は最終的に「教師」という職業を選ばず別の道に進みました。しかし、この時の教育実習といういうものを経験していなければ今の職業についていなかったと思います。

その最初の授業のその瞬間は多分一生記憶から消えないでしょう。一生のうちで一度きりしか経験できない教育自習というもののその最初の一コマです。今考えても、私の人生の何かがそこで動いたような気がします。

そしてその後就いた仕事の内容は、奇しくもその時教育実習で担当した「道路の計画」というものです。それは全く何も計画の入っていない地図の地形条件と睨めっこしながら、将来の道路の計画線を入れるという仕事です。

それは言わば初雪に初めて自分の足跡をつけるようなものです。そして私は教育実習でやったように、あえて最初はにフリーハンドやカーブ定規を用いて、まず「自分の手で自分のコンセプトを持って」で線を手で描いて計画します。

そこにいろんな条件を加えて修正し、最終的にはそこに自分の描いた線の通りに道路が出来上がるという、まさに「地図に残る仕事」です。

本当に今の生活の基盤となったのがこの教育実習であり、ふたばの言った「自分の意思を持って取り組む」という事を実践した結果かと思います。

私はなんとかその教育実習の最初の1時限を雑談も含め予定通りやりとげ、実習生の控え室まで戻ってきました。「人にものを伝えるってこんなにも大変だったんだ。」と、自分の考えているコトやイメージを伝えることの難しさを改めて痛感しながらも心地よい疲労感に包まれています。

教育実習の2日目のその日は結構空き時間もあり、同じ実習生の平野と話したりしてリラックスした日となっていました。そして昼前になって実習生の控え室に戻って来たふたばが、部屋に入るなりガッツポーズをしています。

「なあ、ふたば先生。なんかいいことあったんだな。どうだった?」

「うん。昨日、面倒くさい質問してきた子に出した宿題の答えを教えてもらうって時に、その子みんなの前でなかなかうまく説明できなくって。答えは直ぐ解けたみたいなんだけど、その解き方がどうしても言葉にならなくってとっても悔しい顔をしてたの。」

「わたしがその子に資料見せてもらって、一緒になって考えて説明の仕方をアドバイスしてあげたら、最後にありがとうって言ってくれたの。」

「私の勝ち・・・だよね。もう、気持ちが晴れ晴れしたって感じ。」と言って爽やかな表情をしています。

「なあ、ふたば。教育に勝ち負けってないと思うんだけど、多分その子ふたばに物凄いものもらったと思うよ。」

「ソレはどうやれば自分の思っていることを伝えられるかって。ソレがどんなに難しいかって。そして、何よりそのやり方を一緒に考えてくれた実習生の先生がいたってこと一生忘れないと思うぞ。」

「アレ?アンタ。昨日、アノ時もそんなこと言ってなかった?ん?わたしが言ったんだっけ?」

「いや、ふたば。ソレは自分のして欲しいこと。いや、自分の意思を相手にちゃんと伝えてるかってことだったんじゃないか?」

「でも、アンタ・・・ソレとコレって結局同じじゃない?どうやれば自分の思ってること伝えられるかって。ソレがどんなに難しいかって・・・・。アレ?アッチもコッチも結局おんなじ?」

「ふたば。ひとにものを伝える。いや、自分の考えをきちんと言葉にして伝えるって、人が生きていくうえで最も身近で最も重要で最も難しいことなんじゃないか?」

「僕さ、さっきやった授業でソレを思い知らされたよ・・・。でも、答えが見つかんない時、一緒に考えるってことが一番重要・・・・」と言ったところで一瞬私とふたばが顔を見合わせ、お互いにお互いを指差し同時に「それだ!」と言って二人で笑っていました。

そんな話を今まで傍観していた平野が、「いや〜。最初、お前たちなんかアレとかソレとか夫婦みないな会話してるなって思っていたら、なんかだんだんと哲学的な話になってきて、オレビビっちゃったよ・・・。」

「でも、俺たちはまだまだ大学生。世間的にはまだガキなんだからそんな難しい答え今すぐ突き詰めなくてもいいんじゃないか?そんなのはコレからの長い人生で見つけりゃいいの。」

「楽しみはとっておきなって。でも、最後の一緒に考えるってところはオレも同感だ。」と言いい放して、意外にもこの難しい話に平野がピリオドを打ちました。

その後、私が高校併設の食堂で260円の味噌ラーメンをサッと食べ、例の控え室に戻り今後のスケジュールを確認している時、制服服姿の女子高生2人が「失礼しま〜す。」と言って控室に入ってきました。

この学校は、セーラー服のタイの色が学年で分かれており、見た瞬間3年生と1年生であることが分かりました。しかも、その1年生の方がちょっと前にやっていた「スケバン刑事」というドラマで鉄仮面をかぶっていた女優とよく似ていたので、思わず二度見してしまいました。

そして「左手にヨーヨーを持っていたら決まりだな。」なんて思っていたところ、3年生の女子が「あの〜、わたし放送部長の矢萩と言います。放送部で毎日昼休みに音楽流しているんですけど、その時間を使って毎年恒例になってる教育実習生のインタビューしたヤツ流したいと思っているんです。マドカ先生チョットいいですか?」と声をかけてきました。

「ヨシ。分かった。オレまとめるから、その段取り相談しよう。」と、呼ばれてもいないのに名乗りを挙げたのは控室奥のテーブルでさっきまで昼寝していた平野でした。

その時先ほど矢萩と名乗った女の子が「あの〜、なんかリクエストの多いマドカ先生からやってもらおうとしてるんで・・・・去年もやってるんで段取りとかは特に相談しなくっても・・・・」と言ってましたが、その平野が「いいから、いいから」と言って二人の背中を押すようにして控え室を出て行きました。

この時、「今時の女子生徒って押しに弱いのかな?」と思いましたが特に気に留めることはしませんでした。しかし平野に背中を押されながら部屋から出て行くとき振り返って私を見たその1年生の不安そうな表情がなんとも印象的でした。

そしてその昼休みの終わり、放送部の部室に行って何か打ち合わせをして来た平野の様子がどこと無く変です。私は何か揉め事か何かあったのかと思い平野に聞きましたが「いたって普通の打ち合わせだった。」の一点張りです。

その日の午後は2時限連続で小テスト立ち合いの指示が出されていました。私は職員室に行きその担当の先生と普通科3年4組の教室に入り、その先生がテストの説明をしている間にテスト用紙を配布していました。

すると、先ほど平野とインタビューの打ち合わせしていた放送部の女子生徒が窓際の後ろの席にいたのが分かりました。私がその生徒にテスト用紙を配ろうとした時「後でチョット相談があるんですが・・・」と声をかけられました。

私は「ソレじゃ休み時間に・・・」と言って目配せして用紙を配り続けました。

そしてその時間が終わりテスト用紙を回収し終わり廊下に出たとき、先ほどの女子生徒が走って来ました。

「あの〜。先ほど先生のところに伺った放送部長の矢萩です。昼休みにインタビューの打ち合わせってことで平野先生と部室に行ったんですが、その時平野先生に後で個人的に話ししたいって、一緒に居た1年の優子ちゃんがしつこく誘われてたんですが・・・どうしたらいいですか?。」

「もし、断れないようだったらマドカ先生も一緒に来て欲しいんですが・・・。」という相談でした。どうやらその優子ちゃんと言うのは、昼休み実習生控え室に一緒に来た1年生のことのようです。

教育実習中、「実習生と生徒が個人的な話をするのは厳禁。ましてや校外に誘い出すなどの行為は言語道断。」と、初日に注意を受けていたのでこの時今後この話は進展しないと思い、「言えば分かるだろう」ぐらいに考え・・・

「そもそもそう言うことは禁止されているからそんなの気にしなくっていいよ。平野先生には僕から伝えておくから。」とその矢萩さんに伝え、テストの回答を持って職員室に戻りました。

するとどこかの教室から同じくテストの回答を回収して来たと思われる平野が教頭先生から何か注意を受けていました。聞き耳を立てると・・・・

「平野先生。女子生徒から苦情が出ています。校内のあちこちで先生が女子生徒に声掛けているっていうものです。必要なことでしたら仕方ありませんが、私からするととてもそうとは思えません。このままですと実習を中断していただくことにもなりかねませんので自重してください・・・・。」という厳しいものでした。

私はそれを聞かなかったことにして平静を装い、次のは時間あの小林先生と一緒に1年6組に向かいました。その教室に入ると、今度は廊下側に先ほど「優子ちゃん」と言われていた生徒が座っていたのが分かりました。

すると突然その生徒が私を見て目が合い、急に目を逸らしたかと思うと今度は俯いてどことなく赤くなってモジモジしています。

私は「まさか、ズボンのチャックでも空いていた?」と思い、平静を装いつつチャックを確認しましたがキチンと閉まっていました。

「たとえ、目くそ鼻くそが付いていてもこの距離では見えない筈だ」と自分に言い聞かせ、平静を貫き通し、前の時間と同じく小テストの立ち合いをしてその時間が終わりました。

するとテストを回収して廊下に出た時、前の時間と全く同じように別の女子生徒が走って来ました。

「あの〜。わたし剣道部の兵藤と言いますが、昨日の部活の時平野先生に部活内容について個人的に教えて欲しいって言われて、学校帰りにどこかでって言われていたんです。」

「昨日は用事があるって言ってごまかしたんですけど、多分また誘ってくると思うんです。もし、そうなったらマドカ先生も一緒に話し聞いて欲しいんです。」

2時間連続で違う女子生徒から受けた同じ相談でした。全く平野ってヤツは苦情が出るほどあちこちで声をかけているようです。こんな感じでしたので性犯罪に発展する前になんとかしなければなりません。

私はのそ兵藤さんに「うん。分かった。もう、兵藤さんを困らせることのないようにきつく言っておくから。とりあえず今日は実習生の懇親会があるから誘ってくることはないから安心して。」と伝え職員室に戻りました。

その後、回答用紙を担任の小林先生まで届けると「ありがとね。マドカ先生。」となんか色っぽい言い方でお礼を言われた時ドキッとしました。

小林先生が色っぽく話をすると、その声が私の姉さんそっくりなのです。本当に驚きです。

しかし、そんな驚きはどうでもいいことでしたので特に深く考えず、私は先ほど女子生徒から相談を受けたことについて相談しました。

「あの、ちょっとハナシがあるんですか・・・。さっき3年4組の生徒と小林先生のクラスの女子生徒から同じ相談を受けまして・・・・」と言いかけたところ、

「あれ?先越されちゃった?やっぱりねキミってなんか女子に人気あるんだよね。結構女子生徒にキミのこと聞かれちゃってさ・・・。多分、もう一人の男の子がパッとしなかった分、初日の全校集会のアレ、目立ったんだね。」

後で知りましたが、初日の全校集会の実習生紹介の際、私の直前に言った平野のその一言がとてもつまらなかったようです。私は緊張のあまり全く聞いていませんでしたが・・・。

「でも、ダメよ。いくら実習生とはいえ、先生が生徒に手を出すと犯罪だからね。生徒には手、出してダメよ、生徒には。」と、小林先生は何か大きな勘違いをしています。

でも、その言い方が「相手が生徒じゃなかったら手を出してもいいんだよ。」と言っているような気がして、違和感を感じつつ

「あの、相談というのは小林先生が期待しているようなことではなくって、今ちょっとした問題になっている平野のことなんですが・・・」と伝えると、

「あっ、あれね。たまに実習生でやらかす子いるんだよね。でも、今まで実害は出てないから大丈夫じゃない?そんな度胸ある感じじゃないし・・・」

「でも、女子生徒が不安になっています。多分噂があっと言うまに広がると思うので、学校側としても、早めにこれみよがしの対応した方がいいと思うんです。そのほうが生徒が安心すると思うんですが・・・」

「うん。そうよね・・・。分かった。でもちょっと今日はこれから懇親会あるでしょ?。じゃ、明日・・・・・」

「あっ、せっかく今日親睦図るんだからその時相談しましょっ。」とウインクされそのハナシはとりあえず`先送りして一旦終了しました。

今日の懇親会は、実習生6名と先生10名の参加となっています。

その参加者はお酒を飲まない先生のワゴン車3台に分乗し会場になっている小料理屋に到着しました。

そして実習生担当で幹事の小林先生の司会のもと実習生の経歴が紹介され、校長先生の挨拶と教頭先生の乾杯で懇親会が開始しました。

その会場は畳敷の細長い個室で、長いテーブルの両側に分かれ先生と実習生に分かれて座っています。

この時小林先生は幹事と言うことで出入り口に近い私の隣に座っていましたが、私はその小林先生が正座で座る黒ストッキングから透けたムチムチの太ももがスカートが捲れるたびに露わになるので無意識にチラチラ見てしまっています。

そしてこの時気づきました。本当だったら一緒に座っているはずの平野の姿がありません。私は中ジョッキ片手に平野のことを小林先生に尋ねました。

「あの〜、平野って・・・」

「あっ、あの子?自力で来るって言ってたけど・・・、それから何も連絡ないのよね。コレじゃ社会人失格ね。」とその小林先生は言っています。

今ではドタキャンと言いますが要は無断欠席です。まっ、会費は事前徴収していたので実害はありませんが、なんか妙な胸騒ぎがします。

そして、いいくらいにアルコールが回った頃実習生の挨拶となりました。そして、正座してビールを飲んでいたトップバッターのふたばがジョッキを「ドン」とテーブルに置いておもむろに立ち上がると、向かいに座っている先生方がそのふたばを見上げその身長185cmに驚きの声をあげます。

そしてふたばがこれからの意気込みなどを挨拶として述べると拍手が湧きましたが、それに続いて今でこそセクハラと非難されるよう下品な質問が飛び交います。

その時周りの先生方は特に止める事もなく「また始まった・・・」的な顔をしていました。

それはふたばの身長やスリーサイズ関することからオトコ関係まで様々で、「まさか処女じゃないよね。」なんて事まで聞かれています。なぜか酔っ払いの扱いに慣れているふたばは臆することなくうまくかわしながらその質問に答えましたが、最後にふたばが左手薬指にしている指輪に関して馬鹿にされたことに対してカチンときたようです。

「ふたば先生。君は左手に指輪してるけど、それってカレシの趣味?見え張ったり、おしゃれしたい年頃って言うのは分かるんだけど、ここって学校だからね。どうかと思うよ。それにその指に合うサイズの指輪ってあるんだね・・・」と無神経に言った校長の言葉でした。

するとそのふたばは天井から見下ろすような角度で校長先生を睨みつけると「あの、校長先生。わたしこう見えても婚約しています。結納も済ませています。決しておしゃれでしている指輪ではありませんので、申し訳ありませんが外すつもりはありません。」

「あと、この指輪はご心配の通り特注で作っていまして、大卒公務員の初任給ぐらいの値段がしたって聞かされています。ですので、決して軽いものではありませんので申しあげます。」

「あとわたしが教育実習に来る際、大学から事細かな報告を求められております。それは実習に関することに限らずって指示されていまして、それは教育委員会に提出するとも聞かされていますので申し添えます。」

と、何かを読むような一本調子のドスの効いた低い声で言い切るとそのまま腰を下ろして先ほどテーブルに置いたジョッキをおもむろに持ち上げ一気に飲んでいます。

その雰囲気に圧倒され、参加者一同が静まり返りふたばがビールを飲み干すのを呆然と注目しています。

そして、そのジョッキが再度テーブルに「ドン」と置かれた瞬間、幹事の小林先生の「あっ、ふたば先生・・・お代わりよね?」と言う言葉で歓談が再開されました。

そして次の実習生の挨拶となりましたが、もう校長のチャチャは入りません。

この時私は他の実習生が挨拶している中、四つん這いでふたばのところに行き「さっきの怖かったぞ。なんかあったのか?」と尋ねると

「もう、飲み始めてから下品なことばっかり喋り続けてるんで腹立っちゃって。もう、堪忍袋の緒が切れたって感じ。あんなオヤジには一回ガツンと言ってやらないと分かんないでしょ。実習生なめんなよ!。って感じ。」と怒り口調で言います。

「でも、相手は校長だぞ。」と私が心配すると、

「そんなの関係ない。所詮私立校の雇われ校長。経営サイドから無能って判断されてクビ切られるだけでしょ。」

とふたばは言い切ります。しかしふたばのすぐ向かい側に座っている校長に聞こえないか私はハラハラしました。でもそう言い切ったふたばの表情はなんとなく晴れ晴れしています。

そしてその挨拶の番がいよいよ私のところまで回ってきて、初めは差し障りのないことを話して終わろうかとして喋り始めました。しかし話しているうち、脇で私を見ていたふたばと目が合い、ふと先ほどのふたばの件が頭を過った瞬間自分でも全く想定しない内容を喋っていました。

「あの・・私は教員免許がほしくって教育実習に来たわけではありません。実家で営んでいた建設会社が廃業する中、私は将来が見通せない状況で自分の可能性を試そうと大学に入学しました。そして自分に与えられた選択肢は捨てずに試そうと教育課程も取っていました。」

「ソレでやれることは全てやってきましたが、その中にたまたま教育実習が含まれていただけです。」

「でも、今、私は自分の思ったこと考えたことを言葉にしてヒトに伝えるって言うことがどんなに難しいか痛感しています。そのようなことはここに居らっしゃる先生方はプロですから簡単かと思いますが、私にはなかなかできなことばかりです。」

「その言葉って言うものはヒトを幸せにしたり不幸にしたり、喜ばせたりキズつけたり、武器にだってなり得ます。言ったほうは一瞬かもしれませんは、それを聞いたほうは一生その言葉が心に残るかもしれません。」

「私は初めて教壇に立った時身震いを感じました。それは、私が言った言葉の一つ一つが一生この生徒の記憶として残るんだ。いい加減なことは決して言う事はできないって、その生徒の目を見た瞬間感じ取ったからです。」

「ですので私はヒトを揶揄(やゆ)することが一番嫌いです。また、ものには言い方ってあるのだと思います。だって、人の心に僕の言葉が記憶として残るんですよ。いい加減なこと言えないじゃないですか。」

「僕は今、曲がりなりにも・・・先生なんです。」

「コレが教育実習の2日目を終えた私の感想です。コレからも実習は続きます。その間、お手本となる先生方からいろんなものを吸収させてもらいますので、短い間ではありますがよろしくお願いいたします。」

と、大演説をうってしまいました。

すると、一瞬の沈黙の後先生たちの間から拍手が起き、立ち上がった教頭先生が

「いや〜びっくりしたよ。確か風谷先生って高校も大学も土木だよね。進む道間違ってないか?」と聞いてきました。

「お褒めいただきまして光栄です。でも、私は根っからの土木屋ですからその方面以外の道は考えていません。しかし、コレからの技術系たるものは昔ながらの寡黙な職人になってはいけない気だけはしています。」

「また、学術論文や技術的資料など結果を世に知らしめるのもコレからの技術系大学卒の使命と考えております。それで今、自分の思ったこと、考えたこと、イメージをきちんとした言葉として伝えることに苦慮していると言うところです。」と一気に話すと、その教頭先生は

「いや〜参りました。なんか私たちが日頃忙殺してしまっていた大切なことを思い出させてくれたような気はしませんか?先生方。どうです?校長先生。」

急に答えを求められた校長先生は「なんか最近の若者を馬鹿にしていた自分が恥ずかしくなってきました。こんな私も若い頃はこの風谷先生のような志を持っていたことを今思い出しました。」と、先ほどとは全く違ったトーンで答えました。

この後しばらく沈黙が続きました。そして襖を隔てた全く関係のない隣の部屋から「アレって最低だよね〜。あんなこと言われたら立ち直れないよね〜」なんていう女子の会話だけが聞こえてきます。

すると司会の小林先生は「そ、それでは時間の許す限りご歓談ください。」とこの話題を締め、歓談が再開しました。

そしてその小林先生は私の向かいに正座し前かがみになって話しかけてきました。私からはその豊かな乳房の谷間とセクシーな黒いブラジャーがバッチリ見えます。

「ねえ〜。ヤッパリキミって凄いね。なんか怖いもの知らずっていうか・・・。若いっていいよね。私なんていつも間にかおばさんになっちゃって。潤いも何にも乾き切っちゃって・・・・・」

とその小林先生が話していると、私のそばにふたばがやって来て「アンタ。人のこと言えないよね。なんかいっぱいやらかしちゃってるよ・・・・」まで言ったところで

「キミって、いつもあんなこと考えてるの?さっきの大演説、とてもとっさに考えたとは思えないんだけど・・・」と小林先生が首を傾げます。

「すいません。さっきのって、昨日の夜ふたばが言っていたことの受け売りです。さすがに自分じゃ思いつきません。」と私が言うと、隣のふたばが

「わたし、そんなこといつ言った?アノ時?お風呂?それとも帰りの車・・・・」とまで言ったところで、

「あっ、あなた達ヤッパリそう言う関係?豊島先生って婚約中だよね。まさか相手ってキミ?」と小林先生は私を指差します。

そう言われた私と隣のふたばは全く同じタイミングで「違いますっ!」とキッパリ言い切りました。

「そうよね〜。キミってマコちゃんの彼氏だもんね〜。そんなことないよね〜。」

「小林先生。その言い方ってなんか意味深です。なんか誤解してません?。」

私が反論しますが、その小林先生が今度は私の顔をその大きな胸に抱き寄せ「誤解も六回のないの。そんな浮気者は先生がお仕置きしちゃうから・・・」と言っています。

この時初めて気づきましたが、小林先生は周りの先生よりもの凄いハイペースでビールや焼酎を飲み終え、今飲んでいるのはロックのウイスキーでした。と言うことはすでに出来上がっているということになります。

そこでちょっとコレから面倒くさそうなことに巻き込まれるような気がした私は次のマコトとの約束を思い出し、「ちょっと時間が早いけど合コンの会場にこっちから行けば良いや」と思い、必死に小林先生から逃れるとそこに立ち上がり

「あの〜、先程は生意気言って申し訳ありませんでした。基本的に私はただの若者ですので明日からビシビシやってください。ちょっと明日もありますんでお先に失礼しますっ。」と挨拶と深いお辞儀をしてその会場を後にしました。

そしてその小料理屋から外に出た瞬間ものすごい汗が吹き出して来ました。自分では気づいてはいませんでしたが極度に緊張していたようです。

私は小料理屋の入り口脇に建っていた電柱に寄りかかって、星空を見上げながらハンカチで汗を拭き息を整えました。

そして、明日からどんな顔で実習を受ければいいか考えていた時、なんか重要な相談をしそびれていたことに気づきました。それはあの平野の一件です。

でもコレから会場に戻ったとしても、その相談相手が酔っ払いでは仕方かありません。仕方がないのでそれは明日に先送りすることにしてマコトが参加している合コンが行われている居酒屋へ向かいました。

ちょっと込み入った路地の先にあった居酒屋の暖簾をくぐると「らっしゃいませ〜」の声に被るように聞き覚えのあるような笑い声が聞こえます。私は店員に「ちょっとそこ迎えに来たんで。」と声をかけその笑い声に場所をのぞいて見ました。

すると、「アレ?ドカどうした。ちょっと早いんじゃないか?。しかもそんな学校の先生みたいな格好して。生徒指導か?」と声をかけて来たのは友人の織田でした。

その織田は先日行われたオリエンテーリングには関係ない学生でしたので、ここにいることは全く想定外です。

「織田。なんでお前がここに?」

「この前、あの写真部長に相談されてオレが仕組んだ。」

「仕組んだって、どういう・・・?」

「なんか、写真部長がオリエンテーリングで撮影した写真を現像していたら、夏帆ちゃんの笑顔が可愛くって惚れちゃったっていうんだよ。オレの彼女の妹が夏帆ちゃんの同僚だって言ったら、せめてもう一度話したいからなんとかって頼まれて。」

「世話好きのオレとしちゃ動かずにはいられなかったってこと。」

その時、話がその部屋の一番奥で何やら話ししている写真部長の滝沢と夏帆の楽しそうな表情が見えました。

「そうだね。なんかお似合いかも・・・。僕としても夏帆ちゃんには幸せになってほしいし」

と言ったところで、私の前の織田が「アレ?お前、保護者同伴・・・・?」と言って私の後ろを見ています。

私が振り返ると、私のすぐ後ろで「ごめんね〜。追っかけて来ちゃった。」と言って、さらに「そうです。マドカの保護者で〜す。」と、手を振ってものすごいハイテンションで言ったのはあの小林先生です。

その小林先生が「コレってキミの友達?・・・あっ、合コンだ。ゴメンね〜こんなおばさん入り込んじゃって・・・・」と言ったところで部屋の入り口でなんか揉めていると

「あっ、エンちゃ〜ん。こっち〜。」と会場の中心でマコトが手を振っています。そして、「アレ?、小林先生まで・・・?。まっいいや、一緒に飲もうよ。」と未成年のはずのマコトが上機嫌で呼んでいます。

するとそれを見ていた織田が「ちょうどよかった。マコちゃん、ちょっとコッチ」と言ってマコトを手招きしています。すると、「ちょっと。みんな聞いてくれ。」と言って会席していたみんなを注目させました。すると

「改めて紹介します。ここにいるマコちゃんは今度義理の妹になることになりました。」とその織田が発表しましたがみんなには理解できないようです。

私は「織田。お前、いつの間に・・・・おめでとう。」と言って織田の手を取って声を掛けました。

マコトは姉のアキラから事前に聞いていたのか「そうです。義兄さんをよろしくお願いします。」と言って挨拶しました。

すると会場は大騒ぎです。

でも私はチョット気がかりだったので、その騒ぎの中「織田。まさか出来ちゃった・・・とか?」と聞いてみましたが、

「オレがそんなヘマすると思うか?子供なんていつでもできるもんだから、そんなのはキチンと結婚してからだって。それに、その前にも婚約やら手順ってもんがあんだろ。オレって順番ひっくり返すの好きじゃないから・・・」と言っています。

その側ではさすがに状況を察した小林先生が「アレ?、ということはマコちゃんのお姉さんと・・・結婚するってこと?」とマコトに聞いています。

「そうなんです。ただ、正式な結婚は後になるようなんです。まだどこの支社に配属になるか分かんないみたいなんですが、織田さんの卒業に合わせてついて行くって言ってました。」

「だって、織田さんの就職先って株価急上昇のあの通信会社なんですよ。安泰じゃないですか。」とマコトが小林先生に説明しています。

するとその小林先生が織田の前に立ちはだかり「ちょっと年上なんだけど、私でよかったらいつでもウェルカムなんだけど」と言って、さらに自分の胸を持ち上げる仕草をして「どう?」なんて言っています。

「小林先生。ちょっと飲み過ぎです。落ち着きましょう。」と、私が言ってそこに座らせると今度は急に「うわーん」と泣き出し

「そうよねこんなオバさん、誰も相手してくれないよね。30前まではみんなチヤホヤしてくれて選び放題だったのに。でも選びそびれちゃって、気がついたら20代終わっちゃってて・・・。」

今じゃ危険物みたいに扱われるようになって、オトコなんて誰も寄っても来ないのよ〜・・・・」と私の膝の上に泣き崩れて、終いにはそのまま寝てしまいました。

するとまた織田は「みんな聞いてくれ。発表することがもう一つ。さっきの発表に続いてドカがオレの義弟になる予定だ。」と爆弾発言をしました。

すると今度は部屋で写真部長を顔を突き合わせるように話し込んでいた夏帆が急に立ち上がり、「えっ?エンちゃんいつ決めたの?わたしに断りもなく?チョットひとことあってもいいんじゃない?」と抗議して来ました。

それを制したのは、その発表をした織田でした。

「夏帆ちゃんゴメン。今の話はオレが決めて、ドカには事後通告ってカタチてことにしたんだ。だって、このオトコって多分最後は自分じゃ決められないんだ。ひとにはああだこうだ言ってるクセして最後の最後は自分のこと決められないって、オレ、知ってるから・・・。」

「どうせ義兄になるんだったらさっさと決めてやりたくって・・・・。それでいいよな?・・・ドカ。」

何もかも急展開している状況で私は混乱しています。酔っていてもココでハッキリさせなくてはならないことだけは理解できました。

大学に来てから最も古い友人で、実験やレポートなどでいつもペアを組んで一緒にやって来ました。織田と組んでさえいればなんとかなるっていつも思っていましたし、現になんとかなっていました。

しかも、マコトに引き合わせてくれたのもその織田です。

そして話を振られた私は意を決して、小林先生の頭を膝に乗せた格好のまま

「夏帆ちゃんゴメン。そう言うことだから・・・」と伝えると、夏帆は少しの沈黙の後、意を決したように

「いいよ・・・・わたしは。さっきこっちに乗り換えたから・・・」

と言って、たった今まで話し込んでいた写真部長の滝沢の頭を小脇に抱えました。

「滝沢・・・。お前いつの間に・・・。」

「うん・・・。なんか、たった今そう言うことになったみたいだ・・・。」

「それでね、タッキーにハダカの写真撮ってもらって、写真集にしてもらうことになったの。タッキーの実家のスタジオで・・・しかもボカシなしの本格的な奴ね。わたしの全て撮ってもらうの。でもゴメン。恥ずかしいからみんなには見せられなくって・・・」

するとその会場は大盛り上がりです。「やったな、写真部長。お前の自慢の腕。初めて試せるんじゃないか?」なんて言われてみんなに小突かれたり首を絞められたりしていますが、なぜかその本人の滝沢は放心状態で魂が抜かれたようでした。

以前、その写真部長の滝沢はオリエンテーリングの時、実家は写真スタジオを営んでいると話していました。

その滝沢本人は、実家で昔から行っている建設工事現場の記録写真撮影のため、土木工事の内容を学ぶのも兼ね私と同じ大学に来たとも言っていたような気がします。

滝沢中心に騒がしいその時、織田が「コレから二次会行こうと思ってたんだけど、さっきアキちゃんに電話したらなんか急に話したいことあるから迎えに行くって言われて。」

「なんかマコちゃんも一緒に。ってことだからお先にマコちゃんと失礼するよ。ドカ、その保護者おまえなんとかしろよ。」と言ってきました。

そばにいたマコトも「エンちゃんゴメンね。なんかお姉ちゃん話があるって言うから・・・。チョットゆっくり話ししたかったんだけど、もし明日の仕事早く上がったら部活に顔出すね。でも、チョット時間の読めないヤツだから行けなかったらゴメンね。」と言い残し織田と居酒屋を出て行きました。

すると残された私は何をしていいか分かりません。すると寝ていた小林先生がムクッと起き上がり、

「アレ〜?なんでここにソフト部の・・・?姉?妹?まっ、どっちでもいいけどなんでいるの〜?」と夏帆を見て言っています。

「先生。わたしはとりあえず姉のほうです。ピッチャーです。早坂の同僚のバスガイドです。」

「ん?早坂?」

「先生。ソレってマコちゃんのことです。」というところまで話したところで小林先生のカラダがクタクタになって私にもたれかかってきました。

「エンちゃん。今、タクシー呼んでもらうから小林先生を家まで送って行ってくれる?」

と言って夏帆が店員に声をかけました。

「夏帆ちゃんゴメン。小林先生は連れてきちゃった僕が責任持って送り届けるよ。」

「あと・・・僕は夏帆ちゃんのこと幸せにすることは出来なかったけど、夏帆ちゃんはアイツと一緒に幸せになってほしい。コレは僕の本心。」

「今度は思いっきり、アイツを夏帆ちゃんの好きな色に染めちゃって・・・」

「そんなの分かってるって。でも・・・・でもね、本当はね、本当ならわたし・・・エンちゃんと・・・」

「ううん。もういいの。エンちゃんに勝手に片想いしてたのはコッチだし。わたしの初めてもキチンと受け取ってもらったし。あんないい思い出も作ってもらったし。ソレにこれも・・・」

と、左手薬指にしていたシルバーのリングを外しました。

「でも、コレ返さないからね。捨てないで一生とっておくんだ。だって・・・あんなに好きだったエンちゃんからもらったものなんだもん。わたしの宝物。」

この時私の目から涙が溢れてきました。

「何泣いてんの?エンちゃん・・・」と声をかける夏帆の目にも涙が溢れています。

すると騒ぎの収まった連中から逃れてきた滝沢が近付いてきて

「オレさ・・・。夏帆ちゃんを初めて見た時から夏帆ちゃんが風谷のこと好きなの知ってた。そんなの夏帆ちゃんの目を見りゃ一発だよ。」

「オレってさ、工事現場で写真撮るために工事のなんたるかを勉強するのにここに来てるんだけど、本当は人物を撮るのが得意なんだ。それで、その被写体の目を見れば何考えてるのが分かるっていうか・・・・。」

「でも、さっきさ・・・夏帆ちゃんから聞いたよ。オマエ、さっきの娘と1年以上離れ離れになってたんだって?でも、ソレでも健気に待ち続けたんだって?そこに土足で割り込んじゃった。申し訳ないことしたって夏帆ちゃん言ってたよ。」

「後は任せてくれ。オレ女性経験ないけど、根拠もないけど、なんか夏帆ちゃんを幸せにする自信だけはあるから。」

すると顔を赤くして話を聞いていた夏帆が突然滝沢の首に抱きついて

「えっ、ソレってプロポーズ?いきなり?タッキーちょっと飲み過ぎじゃないの?」

「オレ、飲んだの乾杯の1杯だけで、後はずっとジンジャーエールだけど・・・」

「タッキー、わたし手強いよ。ソレでもいい?」

「いいよ。おれも相当しつこいから。」

と言いながら、みんなの目の前で夏帆は滝沢にキスをしました。

幸いソレは会席していたみんなには気付かれませんでしたが、私は物凄い重い印籠をその滝沢に渡した気分で少しだけ気が軽くなっていました。

そうしているうちにタクシーが到着し、私が小林先生を担いでタクシーに乗り込むと、「エンちゃん。クルマの相談はしてもいいんだよね?電話していい?」と夏帆から声がかかりました。

私は「うん。もちろん。僕の本職は車屋だから・・・夏帆ちゃんのレックス、そろそろ点検整備しなくっちゃね。」と冗談を言って夏帆とその場を別れました。

私はタクシーの運転手に「とりあえず湊町の豊浜下宿までお願いします。」と声をかけると、無言のままそのタクシーが出発しました。

「エンちゃんか〜・・・。若いっていいな・・・。わたしも若い頃、君みたいなオトコに出会っていればちょっとはわたしの人生変わってたのかな・・・」と、膝の上で寝ていたはずの小林先生が呟きました。

「ゴメンね・・・。さっきの話全部聞いちゃった。キミってさ、すごく優しくってオンナの気持ち引きつけちゃうけど、時にはそれがオンナを不幸にしたりするんだよね。特に女の子の初めてをもらっちゃったキミは特に。」

「土木の教室を静かにしちゃったり、さっきみたいに校長先生の前でタンカ切っちゃったり、その後みんなに立派なこと言っちゃったり、でも最後は自分の彼女譲っちゃったり・・・・」

「キミは何がしたいの?どうしたいの?キミってオトコはなんなの?」

「多分、キミは優しいオトコだから最終的に一緒になるオンナは幸せになるんだと思う。でも、その他にソレによって不幸になるオンナも出てくるんだよ・・・。」

「だから・・・キミみたいなオトコは早く身を固めたほうがいいと思う。早く、収まるべきサヤに収まるべきだと思う。不幸になるオンナを出す前に・・・。」

と言ったところで、急に「あっ、運転手さん。豊浜下宿の手前の白いアパートの前でお願いします」と小林先生が運転手に声をかけました。

すると間もなくそのタクシーが停車しました。そのアパートの階段下には青白のホンダのVT250というバイクが止めてあり、私がソレを見ながら私が財布を取ろうと自分の尻に手をやった時「ここはわたしが・・・」と言って小林先生が財布をバッグから取り出そうとしました。

しかしその引っ張り出した財布から小銭がバラバラと出てきました。やはり相当酔っ払っているようです。

私は、「先生、酔っちゃってるので僕が出します。」と言って、小林先生が小銭を回収している間に支払いを済ませました。

そしてヨロヨロする小林先生をタクシーから引っ張り出し、「今日はお世話になりました。では明日・・・・」と言ったところで、

「お世話になっちゃったのはコッチ。タクシー代まで出してもらっちゃって・・・。」

「ここで、このまま返すわけにもいかないから、わたしのところでチョットだけ飲み直さない?今、カクテルにハマってて、チョット感想聞きたいやつもあるし・・・」と小林先生が言っています。

そこで私は「無下に断るのは失礼にもなるし、せっかく誘ってくれているし・・・」と思い、「ではチョットだけお邪魔します。」と答えました。

すると小林先生が「ちょっと待ってて。今、部屋準備するから・・・」と言ってアパートの階段を駆け登ろうとした瞬間、その階段1段目で見事に足を踏み外し転んでしまいました。

私が駆け寄り小林先生を見ると見事に右足の膝のストッキングが破れ太ももの奥まで伝線しています。

「先生大丈夫?」と声を掛けると膝を押さえながら、「ゴメン。なんか脇腹も階段にぶつけちゃって・・・」と右手で膝、左手で左脇腹をさすっています。

そしてもう一度膝を見直すと出血はしていないようでしたが、何やら色合いが悪く痛そうです。

「先生。僕が部屋まで連れてきます。」と言って背中を出すと「本当にゴメンね・・・」と言って私の背中に体重を預けました。

小林先生は見ての通りグラマラスな体型をしており決して軽くはないはずです。しかし、小林先生のカラダを支える私の手に伝わる太ももの肉感はとてもふくよかで、胸の辺りはなんか風船で押されているような感じがして、緊張したせいか重さは全く感じませんでした。

そして階段を登り201号と書いてある部屋の前で「ココ」と声が掛かったので背中から下ろすと、今度は「バッグの中にあるはずの鍵が見つからない」と言って、ここでもバッグをひっくり返してしまいました。

そこで私がその散乱したものを拾い集めました。ソレはハンドクリームだったり化粧ポーチだったり、中にはナプキンまで・・・・。

そして拾い集めた物をバッグにしまっていると、その中に免許証を見つけました。私は無意識にそれを見ると、その備考欄に「自二は中型に限る」の文字が見えました。

「先生ってバイクの乗るんですか?」

「うん。学校には内緒。でも、最近練習でしか乗ってないの。今階段の下にあるのって、アレわたしの・・・・」

「練習?・・・でもアレって、250Zの方ですよね。ブレーキも外付けディスクで、カウル外しただけの250Fじゃないってすぐに分かりました。先生。凄く渋いです。」

「ヤッパリ詳しいね。そうなの。練習の時、転ぶとカウルやっちゃうでしょ。ソレならって、初めからカウルがついてないやつにしたの。ソレに、あのおっきなディスクブレーキに魅せられちゃって。だって、インボードディスクってカッコ悪いでしょ?」

当時大流行していたそのVT250Fと呼ばれたバイクには標準でアッパーカウルが付いていました。しかし、そのモデルに途中追加されたノンカウルのものはZという記号が付され、カウルなしの軽快さとブレーキ性能で走り屋の中では密かな人気です。

またVT250自体、当時沢山いた女性ライダーの間でもその乗りやすさでとても人気のあるバイクでした。

「先生。ちゃんとワイヤーで繋いでおかないと盗まれちゃうよ。」

「盗まれると、次に見つかった時にはフレームとナンバーだけになっちゃってるかもよ。」

「ハイッ。分かりました、先生。」と言って、その小林先生はやっと見つけた鍵でドアを開けながら私に向かって敬礼をしました。

「先生。まだ酔ってる。大丈夫?」と聞いた瞬間、ドアの中から「キャッ」っという悲鳴と「ドサッ」という音が同時に聞こえました。

ドアの中を覗くと小林先生が案の定ひっくり返っています。

やはりアパートの玄関です。靴が何足か置いてあると足の踏み場もありません。そして、今ひっくり返っている小林先生は、バイク用のブーツについているマジックテープがストッキングにくっついて、ソレにつまづき転んでしまったようです。

その小林先生は「ゴメ〜ン。足にチカラ入んなくって・・・」と言って手を伸ばして助けを求めてきました。

「先生。ヤッパリ飲み過ぎです。じゃ、起こしますんで僕の首に手を回して下さい・・」

と言って私は小林先生の前にかがみました。

すると、後ろでドアが「カチャ」っと閉じた瞬間私は小林先生に引き倒され、急に酒臭いキスをされてしまいました。それも、何かを貪るような激しいヤツです。

私は昨日の夜にも、あのふたばにこんなキスをされてしまっていました。

この時「自分って、とことん節操のないオトコでどうしようもないヤロウだな。」と反省しましたが、相手は酔っ払いです。

そして「気が済むまでそのままにしてあげよう」とそのキスを受け入れました。

すると突然そのキスが終わり、私の目の前で「抱いて・・・」と囁きます。

「小林先生。酔ってますね?。カクテル作ってくれるんじゃないんですか?味見させてくださいよ。」

「ねえ、エンちゃん。舞衣って呼んで。ココ、学校じゃないんだよ。ソレに、カクテルより先にわたしを味見しない?」

「はいはい。分かりました。舞衣先生。」

「先生は無し。」

「ハイ。分かりました。舞衣さん。」

「ハイ。よろしい・・・。エンちゃん。」

「アレ?エンちゃん?確かさっきもエンちゃんって呼んでましたけど、どうして・・?」

「あっ、あのソフトボール部だった、あの・・・・・娘。キミの元カノが、そう呼んでたでしょ?」

「夏帆ちゃんですね。小比類巻夏帆。ちなみに双子の妹は里帆って言います。」

「ああ・・そうだった。やっと繋がった・・・」

その後部屋の中で小林先生の膝を手当をしてあげました。

しかし、先ほどその小林先生はストッキングを脱ぎましたが、その仕草はさすがオトナの女性です。物凄くドキッとさせられました。

またさすがバイク乗りです。しかも時々転倒してしまうらしく救急箱が結構充実しています。最後に包帯を強く巻いてテープで止めた時、今度はスカートの奥の黒いパンツが目に入りました。

「ゴメンね。見えちゃった?こんなオバさんの見たって仕方ないよね。あと、ありがとうね。今日は何から何まで・・・」

「麻衣さんて、よく転ぶんですか?膝が物語ってますよ。」

「うん。よくやっちゃう。昔、元のカレシがよくツーリング連れて行ってくれたんだけど、その先々でもやらかしちゃって・・・ソレで愛想尽かされちゃったんだよね。」

「悔しくってさ。ソレから練習したんだよね・・・。上手くなりたいって。」

「それでアレ。」

と言って、本棚に置いてあるヘルメットの脇に飾ってあったトロフィーを指さしました。

「麻衣さん。アレって?」

「うん。二輪車安全運転大会っていうバイクの運転技術を競うヤツがあって、最終的には全国大会に行くんだけど、わたしって実は県大会の選手なの。上手くなりたいって練習していたら声かけられて、いつの間にか選手になっちゃって。」

「わたしは自動2輪の排気量400クラスで出てるんだけど、女性選手ってことで結構目立っちゃって。でも、ツメが甘いのね・・・。いくらやっても県大会2位止まり。2位のトロフィーばっかりたまっちゃって・・・1位にならないと全国には行けないのよね〜。」

「ツメが甘いって・・・。そんなことないですよ。2位って凄いじゃないですか!しかもオトコどもを差し置いてですよ。」

「でもね・・・。バイクって走るように造られているじゃない?目的がハッキリしてるの。ソレでそのバイクが走りたいようにうまく扱ってあげると手足のように動いてくれるのね。まっ、それまで意思疎通するまでにはいろんな苦難があったけど・・・」

「やっぱり、普段から大会車両とおんなじ400に乗らないとダメなのかな〜。」

「ソレでね。ソレと比べてオトコってヤッパリ生き物でしょ?それぞれ見てる方向考えてる方向や趣味なんてものがあるのね。わたしって普段高校生見てるでしょ?でもいざ自分と向き合うのはオトナの男でしょ?コレって練習が250で本番が400みたいなもの?」

「やっぱりそうよね。アレもコレも、思ったように手足のようにってはいかないわよね〜。」

「舞衣さん。僕は舞衣さんは素晴らしい女性だと思います。バイクに対しての目標がハッキリしています。250だって400だって関係ないじゃないですか。」

「僕の姉さんは剣道でいつも大会に向けた練習をやっていました。相手がオトコだろうがオンナだろうが剣道の目指すところは変わらないって言ってました。」

「僕はソレをずっと聞かされて、その練習に打ち込む姿をずっと見てました。なので僕には分かります。」

「あっ。ソレでか。キミには姉さんがいたんだね。なんか年上の扱いに慣れてるなって思ってたの。どうりでね〜。」

「舞衣さん。僕って女系一家の中の唯一の男子なんです。父親は労災事故で早くに亡くなっていますし、従姉妹も3姉妹です。」

「ソレじゃ、何?小さい頃とかオモチャになっちゃってた?」

「結構いじられました。親戚の家に泊まりに行くと従姉妹がいつも一緒にお風呂入ってくれて、ソレが楽しみでした。母さんと姉さんは、高校生の僕の前でも風呂上がりに目の前を全裸でウロウロしてました。」

「ヤッパリね。どうりでオンナの扱いに慣れてている訳だ。決して上手っては言わないわよ。慣れているだけ。ほら、下着とかいっぱい干してあるのに全然気づかないよね。」

そう言われてみると、窓際に2〜3日分の洗濯物が干してありました。その中にが決して派手でないパンツやブラジャー。そしてバイクの練習で着けていたスポーツブラなんかも含まれます。

そして「あっ、カクテル作ってあげるんだった。ちょっと着替えるからそこで待ってて・・・」と言って、右足を引きずりながら襖を開け居間から寝室へ入って行きました。

小林先生の部屋は2DKの間取りで、これぞアパートという間取りです。先ほど玄関から来る間の左右には小さいキッチンとトイレやお風呂がありました。

すると、先ほど小林先生が入っていった部屋の中から「イタタタ。」と声が聞こえました。

「舞衣さん。どうかしましたか?」と襖越しに声をかけると

「驚かせてゴメンね。ヤッパリ脇腹もやっちゃってる・・・。後で湿布貼って・・」

「ハイ。分かりました。でも、無理しなくっていいですよ。カクテルは後日ってことで・・・」

すると短パンひとつで片手にTシャツを持った上半身ハダカの小林先生が、持っているTシャツで胸を隠しながら襖から出てきました。

「ゴメンね。こんな格好で。今日着けてたブラジャー、キツくって外したら今度は脇腹が痛くってシャツも着れないの。ゴメン、着せてもらえる?」

「ヤッパリ舞衣さん、今日は飲みすぎましたね。次からは注意してくださいね。」

そして私が舞衣さんにTシャツを着せてたあと脇腹に湿布を貼っていた時、その舞衣さんが今日飲み過ぎてしまった経緯を話してくれました。

「飲みすぎちゃったのはね。エンちゃん・・・。あなたのせいなの。なんかキミを見てるとヤキモキするっていうか、落ち着かないっていうか、要は目が離せないってこと。・・・・ソレで、気がついたらいっぱい飲んじゃってたの!」

「僕ってそんなに頼りないですか?でも、ただの学生ですので大目に見てください。」

「でも、キミってやっぱり頼りないっていうか・・・そう、そこに母性をくすぐられるっていうか、放っておけないって言うか・・・そんなところがオンナを惹きつけちゃうってところかな?・・・ちょっと姑息よね。」

「オトコならオトコらしく・・・って言いたいところだけど、オンナって母性くすぐられるのに本当に弱い生き物なの・・・・結局はどこまで行っても哺乳類なのね。」と言いながら舞衣さんが立ち上がり

「喉乾いちゃったよね。ソレに試したいカクテル作るからソレ飲んでみて。」

と言いながら、ヤッパリ足を引き摺って台所に行って冷蔵庫を開けたりしています。そして食器棚から可愛いグラスと、バーなんかでよく見かける銀色のシェーカーを取り出しお盆にのっけて持ってきました。

そのお盆の上には、今でいう巨乳というヤツがTシャツ越しにハッキリと見え、さらにチョンと上を向いた乳首がハッキリ分かります。

そして、コタツに腰掛け薬品を調合するようにシェーカーに液体を入れ、シャカシャカと上下に振って「これ試してみて・・・」と言いながらその可愛いグラス2つに銀色の容器から注ぎました。

「舞衣さん。コレってすごくピンクで可愛い色ですけど、なんて名前なんですか?」

「コレ?わたしが考えたんで名前なんてなんでもいいよ・・・。それじゃ、舞衣スペシャルってことで。」

「舞衣さん。ソレ安直すぎません?」

「そうかもね。でも・・・」

とその麻衣さん何かを言いかけましたが、ソレを飲み込むように「乾杯」と言いながらグラスを持ちました。

私は「今日の舞衣さんに・・・」と言いながら「カチン・・」とグラスを合わせ二人で味わうように飲み始めました。

それは、ほのかにフルーティーで甘い口当たりの中にもどこか苦いようなものが混じり、真の通ったまるで一緒に飲んでいる舞衣さんそのものでした。

「舞衣さん。コレって舞衣さん・・・・ですよね。」

「あれ?そう?甘いだけじゃすぐ飽きちゃうし、苦いと口当たりも悪いし、結構苦労したんだよ。これがわたしっていうんだったら、わたしの見立てたエンちゃんっていうのも作っちゃうかな?」と言って2杯目を作り始めました。

そして飲んだほんのり水色のその2杯目はとっても甘いカクテルです。

「僕ってこんなに甘いんですか?。」

「いいの。わたしに対してはこうであってほしいなって、想いも込もってるの。」

「でも美味しいです・・・。」

「じゃ、名前つけてよ。」

「ソレじゃ、マドカスペシャル・・・」

「ソレってわたしのパクリじゃん。」

「だって・・・、名前つけるのって難しいじゃないですか。物語のタイトルとかとおんなじで・・・」

「中身と違っちゃいけないし。ネタをバラしちゃいけないし。当たらずしも遠からずって感じの名前でいいんです。」

その後、その舞衣さんや私の過去の思い出を題材にいろんなカクテルを作ってもらい、ソレに名前をつけるという楽しい時間が過ぎて行きました。

その話の中で、マコトの経緯について触れ、小林先生が暇潰しで近くの中学校の定期演奏会を見に行った時、ユーフォニアムの上手い女子生徒がいて、その後気になって仕方なくなってしまい、最終的に学費免除の特待生として向かい入れたということでした。

その時、姉の短大進学で経済的余裕のなかったマコトの母親は逆に有難いと言って送り出してくれたということです。

そんなことから責任感を感じていたマコトは、後輩の指導なんかを買って出ていたようですが、そのマコトが転校してしまった後、吹奏楽部は大混乱だったようです。

そのような話をしているうちに、舞衣さんがカクテルの材料を台所まで取りに行った帰り、カーペットの縁につまずいて私の背中に炭酸水をこぼしてしまいました。

シュワシュワと言いながらソレが背中を濡らして行きます。そして所々ピリピリ滲みる部分があります。

「エンちゃん。脱いで。サッと洗っちゃうから・・・」と言われ、着ていたYシャツとTシャツを脱ぐと、舞衣さんが干してあったタオルを洗濯バサミから外して拭いてくれました。そしてその動きが止まったかと思うと

「アレ?エンちゃんのマコちゃんって情熱的なのね。エンちゃん凄かったよ。って背中に書いてあるよ。」

「えっ、どうかしました?」

「アレ?こんなに引っ掻かれていたのに気づかない訳?よほど夢中になっちゃったのね。」

ソレって、朝ふたばが言っていた「おあいこ」のことだとすぐに分かりました。それで「爪は切っておきなさい」ということだったようです。でも、やはり舞衣さんは背中を引っ掻いたのは私の彼女であるマコトであると信じて疑っていません。

そして、とりあえずそのシャツを洗濯してしている間、ちょうどバイク雑誌の懸賞で当たったというサイズの大きいライムグリーンのTシャツがあったので、ソレを貸してもらい助かりました。ちょっと予想はしましたが、胸にKAWASAKIの文字があります。

その後もいろんなカクテルを作ってもらい楽しく飲んでいましたが、どう言う訳か急に胸がムカムカしてきて吐き気を催してきました。ちょっと飲み過ぎたようです。

そこで私は「舞衣さん。すいません。ちょっとトイレ・・・・」と言って玄関前にあるトイレに向かいました。

しかし、そのトイレのドアノブに手を掛けた瞬間、何ということか足元に吐いてしまいました。

後ろから舞衣さんがドタドタと足を引きずりながら走ってくるのが分かります。

「あらあら、大丈夫?と言って便器で吐き続ける私の背中をさすってくれています。」

「舞衣さんゴメンなさい。落ち着いたら僕が片付けますんで、新聞かなんか掛けて置いてください。」

と言っている間にも胃袋が痙攣しています。

「いいの。心配しないで・・・。こんなにしちゃったのはお姉さんの責任。」

「キミのお姉さんは、キミのことなんて呼んでたの?」

「姉さんはまーくんって呼んでました。ウチの親類はみんな同じく呼んでます。」

「じゃ、まーくん。今からわたしはまーくんのお姉さん。兄妹なんだからあなたの粗相を片付けるのは当たり前のことよね。」

と言いながらトイレから出ると、ドアの外で私の吐いたモノを片付け始めました。

「すいません・・・舞衣さん。」

「いいの。いいの。だってわたしはまーくんのお姉さんなんだから・・・」

と、私に話しかける舞衣さんの声は私の麻美子姉さんに本当にそっくりでした。

そして胃液まで出し切ってなんとか吐き終えると今度は胃がキリキリ痛みます。私が腹を押さえながらトイレから出るとドアの外の片付けが終わっていて、舞衣さんがタオルを持って待っていてくれました。

「あっ、やっと落ち着いた?・・ごめんね。飲ませすぎちゃったみたいだね。カクテルってさ、口当たりが良いし一杯あたりの量が少ないから、ついつい飲み過ぎちゃうのよね。でも、なんか楽しくって・・・・ゴメンね。」

「そんな・・・。僕も凄く楽しかったです。舞衣さんの意外な一面も見ることできて・・・」

と言ったところで胃がキリキリ痛み出しました。

「そうようね、あれだけ吐けば胃も痛むよね。ちょっと横になっていって・・・」

と言われ、襖の奥にあった舞衣さんのベットに横になりました。そのベットは舞衣さんの匂いがして凄く心地よい場所でした・・・・・そしてその舞衣さんに介抱してもらいながらしばらく会話していたと思いますが、いつの間にか寝てしまったようで内容は覚えていません。

でも、その舞衣さんが何故か泣いていて私が背中をさすっていた。そんな記憶だけは微かながら残っています。

そして気が付くと、いつの間にか下宿の駐車場に泊まっているハチロクの傍で星空を見上げている自分がいました。

「そうだよな。ちょっと飲み過ぎちゃって記憶が飛んじゃったな・・・。舞衣さんに申し訳ないことしちゃったな。ちゃんとお礼言って玄関出たのかな?明日、改めてお礼言おう。」

「でも、今日はいろんなことがあったな。それに舞衣さんの意外な一面見られて楽しかった・・・」と思いながら下宿の玄関に入りました。

すると、玄関脇の食堂に何故か今日はいらないと言っていたはずの私の夕飯が冷たくなってテーブルに残されていました。そして折角だからと思いソレを食べ部屋まで戻ると急に睡魔に襲われベットに倒れ込んでしまいました。もう、カラダが動きません。

そして「あっ、そういえばコレって昨日と同じだ・・・。スーツ脱がないとふたばに怒られる・・・」と思いつつ脱ごうとしましたが、なぜか既にハダカになっていました。

そして「アレ?いつ脱いだんだっけ・・・?ダメだ。まだ相当酔ってる・・・」と思いながら眠りに落ちると何故か急に私の前に麻美子姉さんが現れました。

ソレを見た瞬間、コレが夢であることに気づきました。

その場面は、麻美子姉さんがレイプされてしまった後、着替えやお風呂、果てはトイレまで目を離すなと母さんに言われていて、24時間麻美子姉さんを見守りつつ添い寝までしていた高校3年生の時の記憶が夢となって再現されています。

そしてその麻美子姉さんがいつの間にか私に抱きつくように布団に入っていました。

「あっ、ゴメンね起しちゃった?。マーくん。姉さんのお願い聞いてほしいの。姉さん、まーくんに抱いて欲しいの。まーくんを想い出したいの。だから・・・」

と言ってベットの中で私を求めています。その声はものすごく懐かしい麻美子姉さんの聴き慣れた心地よい声です。

麻美子姉さんはレイプされてしまってそのことを忘れたいはずです。その記憶を私との行為で上書きして忘れたいと思っていると理解しました。そして今になって気づきましたが、布団の中の麻美子姉さんも全裸です。

私はその夢の中で「高校3年生の時、姉さんと添い寝していた時もこんな感じだったかな?でもその温もりが懐かしいな。」なんて考えていると、そのムワっと来る体臭がすごく心地よい匂いであることに気づきました。

「アレ?姉さんって確かワキガだったような・・・?そうだ、治療して治ったって喜んでいたんだった。」と夢の中の自分が納得しています。

すると麻美子姉さんが私の上になりキスをして来ました。私もソレに応えるようにキスをすると、それが段々激しくなってきました。

「ねえ、姉さんのおっぱい吸って。思いっきり・・。」

「姉さんのおっぱいって、大きいだけじゃなくって綺麗で魅力的だ。言われなくたって・・・」とその硬くなった右の乳首を吸いました。

「ああ・・・まーくん。ソレ、凄くいい・・・。こっちも・・・」と言って今度は左の乳首を私の口のあたりの押し付けます。

すると大きくため息を吐いたような呼吸をしたかと思うと、いつの間にかカチカチになった私のモノを掴んで自分のワレメに擦り付けています。

私のモノの先からヌメッとした凄くいやらしい刺激が伝わってきます。この時「凄いリアルな夢だ。このままじゃゼッタイ夢精しちゃうな・・・昨日ふたばとあんなにしたばかりなのに。でも、夢精なんて久しぶりだな。」なんて夢の中で考えています。

そして今度は、ソレがヌメッというかズルッという感覚で姉さんのアソコに割り込むように刺さった感覚が伝わってきました。しかしソレはすんなりとは入らず、まるで夏帆の処女をもらった時の感覚によく似ています。

すると、ソレはやがて狭いところをやっとの事で通り抜けヌルッと奥まで刺さりました。私の上で姉さんが大きなため息を吐いています。

「まーくん。姉さんとこんなのといつもしてたの?」

「いつもだなんて・・・。だって姉さんがあんなことになっちゃって、姉さんが嫌なこと忘れるんだったら、姉さんが望むのなら、僕何でもするよ。一生姉さんと一緒でもいい。だから・・・」

と言って姉さんのカラダを強く抱きしめ、腰を浮かせて姉さんと繋がっている部分に強く深く、下から腰を打ち付けました。

「ゴメンねまーくん。姉さん汚れちゃってて。婦警さんがレイプされちゃうなんて最低よね。あんなに剣道やってたのに、何の役にも立たなかった・・・・。わたし何やってたんだろう?」

「姉さん。そんなに自分を責めないで。人生の中にはどうしようもできないことってあると思うんだ。ソレがたまたま・・・・」

と言ったところで自分の眼から涙が溢れてきたのがわかりました。そして泣きながら

「姉さんはそんなことになっちゃっても前と変わらず魅力的な姉さんだよ。だって、僕、小さい頃から姉さんのことが好きだった・・・。剣道に打ち込んでる姿。交通取り締まりをしていた姉さんの姿。うちに帰って来て疲れてこたつで寝ちゃう姉さんの姿全部好きだった。・・・・」

「もっと言って・・・・。」

「姉さんの声だって好きだし、ちょっとうねった髪だって、姉さんが悩んでいた脇の匂いだって・・・・。あと、アソコがパイパンなことも・・・・」

「だから、だから・・・・・、そんな大好きな姉さんを汚したアイツが殺してやりたいくらい憎かった・・・・」

「姉さんゴメン。守ってあげられなくって。せめてアイツの色に染まる前に僕の色に染まって・・・・」

と言いながらも私は腰を姉さんに激しくぶつけました。

麻美子姉さんの純血を奪った男がその姉さんに刻んだ記憶が消えるくらい激しく打ち付けました。

そうしているうち、「まーくん。姉さん気持ちいい。凄くいい。もう何もかも忘れそう・・・。もう、どうなってもいい・・もっと・・もっと・・まーくんの色で染めて・・」と言いながら私の顔に乳房を押し付けています。

私は上になっている姉さんの乳首を吸いながら腰を掴んで引き寄せるようにして、さらに強く激しく腰を打ち付けました。

「まーくん。姉さん、まーくんと今一つになってるんだよね。もう、ずっと繋がってたい・・・。終わらないで・・・終わらないで・・・これが夢なら一生覚めないで・・・あっ、ああ・・まーくん・・・・姉さんの中で・・・」

と言いながら、私が逝くのと同時に姉さんが果ててしまいました。

そして、その後麻美子姉さんの上になったり、もう一度下になったり、後ろからだったり、そういう断片的な場面が幻想的に夢に現れて来ました。

その麻美子姉さんと汗だくになって抱き合った時間がとても懐かしくて、これが夢なら一生覚めないでと思ったくらいでした。

この時何回も姉さんと逝ってしまった私は、「姉さんの中に何回も思いっきり出しちゃった・・・。この記憶って多分一生消えないんだろうな。」なんて考えているうちその夢が終わりを告げました。

高校3年生の時、麻美子姉さんとそんなことがあった後、麻美子姉さんが再度同じ男にレイプされてしまいました。私はその現場に鉢合わせになり、逃げる犯人を取り押さえて自分の指が骨折していつのも気がつかず殴り続け、最後には警察のお世話になっていました。

当然この犯人は救急搬送されることとなりましたが、このことが私の起こした「病院送り事件」の真相です。

しかしこの事件には後日談があり、その後麻美子姉さんの妊娠が発覚し結局堕胎手術をしました。でも、ソレがきっかけで麻美子姉さんが失踪してしまっていました。

そこで私はその後ずっと、麻美子姉さんが妊娠したのは私の子供だったのではないか、失踪してしまった原因の一因は自分だったのでは・・・と、心のどこかで気に病んでいました。今となっては確かめようもないこととは分かっていましたが・・・。

そして私は次の瞬間一緒にいる姉さんに抱きついて泣いていました。

この時、その夢がバイク事故で入院していた病院を退院する頃に時間軸が飛んでしまったようです。多分、麻美子姉さんに謝りたかった自分の中の意識がそうさせたのかと思います。

「姉さんごめんなさい。姉さんを守ってあげられなくって。しかも2回もあんなヤツに汚されちゃって。」

「ソレに・・・・堕胎したのって僕の子だったのかも・・・・。」

「姉さんの人生めちゃくちゃにしちゃってゴメンなさい。ずっと、ずっと謝りたくって。」

「僕が事故でこの病院に搬送された時も多分心配してくれたよね。意識が戻るまでずっと心配かけたよね。その時も謝れなくって・・・・・」と麻美子姉さんの胸で泣いていました。

すると麻美子姉さんは私の頭を撫でながら「良いのよ。そんなに自分を責めなくっても。」

「コレからはそんな優しい気持ちを自分の想った女の子にかけてあげて・・・・」と言っています。

私は「姉さんごめんなさい。ごめんなさい・・・・・。」と泣きながら麻美子姉さんの胸に顔を埋めながらまた眠りについてしまいました。

その後、ソレからどれくらい時間が経ったのかは分かりませんが、カーテンからうっすらと光が差し込む中、物凄い頭痛で目が覚めました。

そして、そのカーテンの色が自分の部屋のカーテンの色ではないと理解した瞬間、私の腕の脇の下に誰かが埋もれるよう眠っていることに気づきました。

この時私はさっきまで見ていた夢が本当に夢だったのか、現実だったのか、またこうしている自分が目覚めているのか、また夢の中なのか分からないまま頭の中が混乱しています。

そして冷静になって状況を整理しようとしましたが、何一つ整理しようがありませんでした。そして、今一緒に寝ているのが本当に姉さんだとすればいつ姉さんが来たのか、いつから一緒に居たのかさえ分かりません。

そして私が驚いてアタフタしていると、その姉さんと思われる誰かがゆっくりとこちらを向くとソレはあの舞衣さんでした。

「あっ、まーくん。お・は・よ。もう、姉さんびっくりしちゃった。5回までは覚えていたんだけど、まーくんって体力あるね。もう負けそうだったよ。ソレにココ、こんなだよ。」

と見せてくれた乳房には、私の付けてしまったキスマークがたくさん付いていました。

「昨日の夜ね。キミを介抱して添い寝してたらキミの姉さんがレイプされちゃった話聞かされてわたし泣いちゃったのね。そしたら逆にキミが優しく介抱してくれて・・・そのまま添い寝して一緒に寝ちゃったの。」

「そしたらコレ。」と言って布団をめくりました。すると胸だけだなくお腹の当たりまでキスマークがあるのが分かりますが、奥の方は暗くてよく見えません。

でも次の瞬間、これが現実だということがわかりました。

小林先生がめくった布団を戻した瞬間、ムワッっときた匂いが私や小林先生の体臭ではなく、「むせかえるような栗の花の匂い」だったのです。

そして、私の肩に頭を乗せたままその小林先生が照れた様子で話しはじめました。

「わたしって・・・、本当はこんなことするの初めてなの。こんなオバさんなのにね。ゴメンね気持ち悪いでしょ?でも、初めてだったのに何回も逝っちゃった。わたしって変態だね。」

「わたしさ・・・高校3年生の時、当時付き合っていたカレとこういうことになりかけたんだけど最後の最後に怖くなって拒絶しちゃったの。それでそのカレに捨てられちゃって・・・・」

「次にバイクに乗るきっかけになったカレシとこういうことになったんだけど、イザっていう時カレのコレがダメになっちゃって・・・。」

「その後も試みたんだけどやっぱりダメで。わたし頑張っていろいろしてあげたのに・・・。わたしって魅力ないのよね・・・・」と言いながら、その舞衣さんが私のアレを指で弾きます。

「でもね、わたしってさ。こんなナリでしょ。オトコ喰いそうには見えても処女っては見えないのよね。外見的には・・・・。ソレでなんか敷居の高いオンナみたいに見られちゃって、チヤホヤはするけど誰も手出ししなくって。」

「舞衣さん。それは逆です。舞衣さんは魅力がありすぎるんです。ソレでみんな手出しできないんです。」

「嬉しいこと言ってくれるじゃん。でも、そんな舞衣さんに最初に手を出したのがキミってことだよ・・・・ねっ、まーくん。」

「・・・・・・・・・!」

私は言葉が出ませんでした。酔ったせいにもしたくありませんし、責任逃れもするつもりまりません。しかも、夢と現実の区別がつかなかったとしても、ヤっていた行為自体は自覚していたうえでのことでした。」

その昔、戦国武将が言っていました。「政宗一生の不覚・・・」全くその通りです。本当にやらかしてしまいました。

そこで私は素っ裸のままベットの上で土下座をして「本当にすいませんでした。自覚もないまま小林先生の初めてをもらってしまいました。本当に・・・・」と言ったところで

「本当にそう思ってる?そう思ってるんだったら今度の休日、一日デートしてもらおうかしら・・・・キミの赤いハチロクで。」

「でも、あのクルマ目立っちゃうからわたしのEPでもいいよ。」

その時小林先生の行っていた「EP」とは、当時「韋駄天ターボ」という触れ込みで販売していた「スターレットターボ」のことでした。この後、ソレを見て驚くことになります。

「あっ、誤解しないでね。決してキミを縛るつもりはないの。酔っていない本当のキミと学校以外で普通にお話ししたいだけ・・・・」

「いいでしょ・・・・まーくん。」と言って、その小林先生は凄くねっとりとしたキスをしてきました。

もう私に拒否権はないようです。

その後シーツを剥がして洗いましたが、シーツにはやっぱり処女だった痕跡がバッチリ残っていました。その時私を見た小林先生の表情からは証拠物件を見せつけているような雰囲気が読み取れます。

また、私が小林先生の胎内に放出してソレが逆流して出てきたピンクの液体も沢山付いていて、改めてその量の多さに驚かされます。何より、このシーツが私が夢の中でやってしまったことが、実が現実であったということを証明していました。

もう、私は申し訳なくって仕方がありません。しかし、そんな私に反して全裸の小林先生は鼻歌を歌ったりして、そのセクシーな腰を振りながらカーテンを開けました。そしてそのレース越しに差し込む朝日と共に見えたのは私のハチロクと豊浜下宿の1階の角部屋でした。

そして、タンスから下着を出す時「今日、どれ着けて欲しい?」と、カラフルなパンツとブラジャーを手に取り、冗談を言いながらも物凄く上機嫌です。

そして狭いバスルームで二人でシャワーを浴び小林先生のカラダをよく見ると、そのグラマーな体つきに驚かされます。なんか、前に付き合っていたカレシがビビってしまったのも納得できます。

そして、私の付けてしまったキスマークが下腹部や太もも内側にも確認できます。そして驚いたのが小林先生もパイパンだったってことです。

さっきまでシーツを剥がしたりしていた時もそれを見ていたはずでしたが、先日のふたばもその前の夏帆もそうだったのでさほど気に留めて見てはいませんでした。

「先生。コレって?」と私がその小林先生の股間を指さすと・・・・

「あっ、コレね。まーくんがうわ言で姉さんのパイパンが好きだったって言うから、まーくんが寝ちゃったときに思い切って剃っちゃったの。いつも整えるぐらいには剃ってたけど、全部剃ったのは初めて。」

「気に入ってくれた?」

と言われた私は恥ずかしくなってしまい俯きましたが、反面、自分のアレがボッキした事で返事をしたことになってしまいました。

「まあ、あんなに出したのにこんなに・・・・」と言って、小林先生は慣れない手付きながらも私のソレをしゃぶってくれて、最後には出したものを愛おしそうに飲んでくれました。

「なんかね。昔、女子大の時の友達がオトコのアレって苦いし臭いし飲むなんて絶対できないって言ってたんだけど、そんな感じしないね。味なんでほとんどしないのにね。」

なんて言っています。私は心の中で、「何回出したかは分からないけど、たくさん出せば薄くもなります。濃い時って多分こんなもんじゃありません。」と心の中で言葉をかけました。

そして、「ねえ、なんかしたくなっちゃった。学校休んじゃおっか?」なんて言い出しました。

「先生。一緒に休んだりしたらバレますよ。」

「うん。それもそうね。」

と、なんか不満げながらも納得した私は少し湿り気の残るシャツを着て、小林先生のアパートを後にしました。

先ほど小林先生の膝が思いのほか腫れていたのを見つけ、湿布を貼って包帯を巻いてあげました。そして、歩くのが大変そうだったので当面ハチロクで送り迎えもすることとしましたが、状態によっては病院に連れて行かなくてはならなかもしれません。

その小林先生のアパートの玄関を開けた時、アパートの駐車場の端に白いスターレットが停まっていました。

「舞衣さん。あれですか?」と私がその白い車を指さしました。

「うん。そうだよ。今どき黒バンパーなんてないよね。」

私が見るとスターレットの下級グレードの安いやつにしか見えませんでした。

「僕、クルマの整備が趣味なんで今度の休みに見せてください。」

「いいけど・・、アレ女の人が乗るようなクルマじゃないから、ちょっと恥ずかしいな。」

「そんなことありません。しっかり整備させてもらいます。それじゃ、後ほど迎えに来ます。」と言って階段を降りました。

私は気になってその小林先生の愛車を見てみました。するとビックリです。

下級グレードに見えた黒バンパーは、この車が競技車両のベースモデルである証でした。しかも遠くから鉄ホイールに見えたのは競技用の軽量ホイールでした。

しかもターボもついていて、マフラーも社外品です。さらにはバケットシートにロールバーまでついています。

まさしくこれは女の人が乗る車ではありません。私はますますあの小林先生の正体が分からなくなって来ました。全く謎の人です。

私の下宿は小林先生のアパートの目と鼻の先です。思い起こせば、このアパートの前を通るたび気になっていたあのバイクの持ち主が女性で、しかも学校の先生だったとは予想もできませんでした。

しかも、安っぽく見えて普段気にすらしていなかったクルマがあんなクルマで、しかも小林先生のものだったなんて夢にも思いませんでした。

私は頭の中にたくさんの疑問を抱えながらも、早朝の清々しい空気の中歩くこと数分で下宿に到着しました。

そしてコソッと玄関を開けると朝食を作っていた下宿のおばさんと鉢合わせになってしまいました。

「あれま。風谷さん。やっぱり飲み過ぎちゃった?ふたばもさっき女友達に送ってもらって、朝帰りだったんだよね。なんか、よほど楽しかったみたいで・・・」

「やっぱり教育実習っていろいろあって楽しいです・・・でも、すいません。頭痛薬ください・・・・。」

「さっき、ふたばも同じこと言ってたよ。ホント、アンタたちやること一緒だね。兄妹みたいだ」と言って笑いながら頭痛薬を出してくれました。

それから自分の部屋に帰って小林先生が洗ってくてたシャツを脱いだ瞬間、あの部屋の匂いがしました。

その匂いにあの舞衣さんの温もりと懐かしい麻美子姉さんへの想いを思い出しながらも気だるいカラダに鞭打って今日の準備を始めました。あまり覚えていませんが相当体力が消耗していたようです。

この時ベットに座ってちょっと考えました。それは麻美子姉さんのことです。

自分ではあまり気づいていませんでしたが、本当にあの夢のような時間を舞衣さんと過ごすことで、私が心の奥にしまっていた姉さんへの想いと、事故で入院した時の再開の喜びで忘れてしまっていた贖罪の深層心理が、麻美子姉さんそっくりな舞衣さんの声で呼び起こされたと思います。

この時、教育課程の授業で受けていた教育心理の中で深層心理について学んでいたはずでしたが、心理学が苦手だったためあまり興味を持って受講していなかった自分に反省していました。

その時不意にベットに横になってしまい、「冷たいベットカバーが気持ちいいな・・・」と思った時にはすで遅しです。

そして「今日こそは波乱が起きませんように」。と夢の中で誰かにお願いしている自分がいたのでした。

今回の話はここまでとなります。

秋の夜長とはいえ、回りくどい話にここまでお付き合いいただきましてありがとうございます。

また、話が長くなってしまいました。気がついたら原稿用紙100枚分を超えてしまいましたので、この辺りで一区切りさせていただきますのでご了承ください。

なお、現在作者からの返信コメントが投稿できない状況が続いております。解決いたしましたら返信いたしますのでよろしくお願いいたします。

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