初めてのバイト先で経験した忘れられない出来事がある。
そこは潰れないのが不思議なくらいの小さな書店だった。
足の悪いおじいさんが店長で、店番というよりは棚整理や運搬などのためにバイトが雇われていた。
バイトが働くのは、平日夕方の1時間ちょっとだけ。
時給も高いわけではなかったが、簡単に働けるというところが良かった。
なのでバイトが辞めることはほとんどなく、卒業などのタイミングぐらいだった。
しかもすぐに誰かの紹介で人が入ってくるので、おそらく募集みたいなことはしていなかったと思う。
そんな良い職場だったが少しだけ問題もあった。
そのひとつが、たまにやって来る小太りの中年客だ。
この中年男は店にやって来ても数十分間ぐるぐると店内を見て回るだけで出て行ってしまう。
俺がシフトに入っている時で、この男が商品を買ったところは見たことがない。
それだけならただの買わない客なのだが、俺はこの男の犯行を2度目撃していた。
1度目は、よく店に来る眼鏡の女子中学生がいた時だった。
大人しそうな子で(本当はあまり良くないのだが)文庫本を立ち読みしていることが多かった。
そこへ例の中年男が現れ、いつも通りに店内を巡り始めた。
巡ると言っても狭い店内なのですぐに眼鏡女子のいる通路にやって来る。
棚と棚との間の通路は狭く、普通の人でもギリギリすれ違うことが出来る程度の広さだ。
小太りの中年男ならぶつからずに通り抜けることは不可能だ。
案の定あの男は、棚に向かって立ち読みしている眼鏡女子の後ろを完全に接触しながら通っていった。
その時俺は見逃さなかった。
男の手が眼鏡女子のお尻の方へ不自然に伸びていたのを。
彼女は驚いた顔で一瞬振り返りかけたが、結局そのまま立ち読みを続けた。
男は店に入ったばかりだというのに、その日はそのまま去っていった。
2度目は学生バイトが2人の日だった。
普段は、店長とバイトが1人でやっている。
たまに店内清掃と棚の総点検をする日があり、その時だけバイトが2人になるのだ。
珍しくシフトが重なったのは、同じ高校の真面目女子だった。
どちらかというと真面目過ぎて逆にちょっと抜けている子だ。
バイトに制服は無いが、作業のためにジーパンと決まっている。
その日は棚の上段を俺が担当していたので、彼女は下段を中心に作業していた。
一度手を付けると没頭してしまうようで、しゃがみ込んだ彼女はジーパンの腰部分から盛大にパンツが見えてしまっていた。
それをどう指摘しようかと思案していると、奴が現れたのだ。
すぐに真面目女子の斜め後ろに陣取った中年男は、明らかに彼女の腰パンチラを凝視していた。
そんなことに気付かず、真面目女子は黙々と作業を続けていた。
下段を終えて中段に取り掛かると、しゃがみ込んでいた彼女は立ち上がった。
中腰になったおかげでもうパンチラしてしまうことはない。
すると男は彼女の後ろを通って店を出て行った。
後ろを通る時に奴は、完全に手のひらを向けて真面目女子のお尻を触った。
男がわざと触りに行ったのは間違いないのに、触られた真面目女子が必死に頭を下げて謝っていたのを見て少しモヤモヤした。
そんな要注意人物に一矢報いる絶好の機会がやってきた。
その日は珍しく店長が1日不在だったのだが、店を開けないといけなかったのでバイトが呼ばれることになった。
土曜日だったが急なこともあり、出勤可能と答えたのは俺とカナコさんの2人だけだった。
カナコさんは大学生で、俺がバイトを始めた時の教育係だった。
最初は2人シフトで手取り足取り教えてもらったりで、バイトメンバーの中で一番関りがあった人だ。
午前中に荷物の受け取りと予約物の対応があり、それで大きな仕事は終わりだった。
あとは惰性で店番をしていると、まさかの中年客が姿を現したのだ。
もともと警戒していた俺とは別に、カナコさんも中年男をマークしていた。
実はごくまれに本が消えていることがあり、誰かが万引きしているのではないかというのだ。
怪しい期間は長く、常連客で一番怪しいのはあの中年男ということらしい。
ただし監視カメラをつける余裕もないので犯行の証拠はひとつもないという。
それならばと俺たちは奴を徹底的に監視することにした。
店内の整理をしているフリをして入り口側から俺が、レジ側からカナコさんが男を見張る。
グレーのダボっとしたパーカーを来た男は、いつも通り店内を回りながら一番奥の棚へと向かった。
そこで男の姿が消えた。
それまでの移動ペースならとっくに棚から戻って来るはずなのに出てこない。
俺とカナコさんがこっそり近づいていくと、男は棚の前で立ち止まっていた。
その手には珍しく文庫本が握られている。
男はそれをもう片方の手に持ち替えながら、左右を軽く見渡した。
棚からさらにもう1冊抜き取ると、同じように別の手に持ち替える。
そしてパーカーをゴソゴソと不自然に触り始めた。
カナコさんの方に視線を向けると、彼女もこっちを見て大きく頷いた。
相手が中年男なら、ここは男である俺の出番だ。
店から出ようとした奴の腕をガッシリ掴むと、店の奥の小部屋まで連行した。
バイトの荷物置き場兼休憩場で、出入り口は店のレジ横にある1つだけなのでもう逃げられない。
俺とカナコさんは、追い詰めた怪しい男を調べ上げた。
だが、ここで予想外の状況になった。
なぜかどこを探しても盗まれたはずの本が出てこないのだ。
俺たちは男のパーカーを脱がせ、最後にはインナーシャツまで脱がせた。
俺が可能な限りボディチェックをしたが、結局何も見つけることはできなかった。
間違いなく男が隠し持っているはずなのに、魔法のように消え去ってしまったのだ。
こうなると今度は俺たちが追い詰められる番だ。
証拠を押さえられなかったということは、思い違いで誤って男を捕まえてしまったことになる。
そして最悪なことに、それまでおとなしかった男がこのタイミングで大爆発したのだ。
怒り狂った男の命令で、俺とカナコさんはその場で土下座させられることになった。
それでも男の怒りは収まることはなく、さらなる要求が突き付けられた。
「こっちは服まで脱がされ泥棒扱いされたんだぞ!」
すごい剣幕で詰め寄られ、俺とカナコさんは男にさせたのと同じように服を脱ぐことを強要された。
男に言われた通りにシャツを脱いだ俺たちは、もう一度土下座をさせられた。
カナコさんはブラジャーまで外させられ、2人とも上半身裸の状態だ。
初めてみるカナコさんの綺麗なおっぱいだったが、その時はそれどころではなかった。
その後、俺とカナコさんは名前や年齢、通っている学校などを男に調べられた。
すべて正直に答えるしかなく、カナコさんは学生証まで確認されていた。
「どうしても店長がいないって言うなら、年上のお前が誠意を見せろ!」
そう言われたカナコさんは、伏し目がちに俺の方を向いてこう言った。
「ここは私に任せて、お店のレジの方をお願い出来るかな?」
まともに考えることが出来ない状態だった俺は、言われた通りに服を着直して店の方へ出た。
レジまで行ったものの、普段通り客など来ていない。
しかし部屋に戻るわけにもいかない。
俺はもどかしい思いをしながらレジに立ち尽くすしかなかった。
小部屋の入り口には扉は無く、暖簾が目隠しのようになっている。
レジに立った俺からは暖簾の隙間から少しだけ部屋の中の様子が確認できた。
カナコさんは部屋に置かれている古い事務机に手をつくようにしてお尻を後ろに突き出す姿勢をとっていた。
それを見て僕の心臓は止まりそうになった。
なんとカナコさんのジーパンは膝まで下げられ、一緒に薄紫色のパンツまで脱げていたのだ。
立っていてもしゃがんでいても気になってしまう肉付きの良い大きなお尻が丸出しになっていた。
そんなカナコさんの白くて丸いお尻を、中年男は汚い手でピシャリと叩いた。
カナコさんの体がビクッと震えたが、男は気にせず再度尻を叩くと鷲掴みにして揉んだりもした。
抵抗することなく男に尻を触られていたカナコさんがもう一度体をビクッと震わせたとき、中年男は自らの下腹部を密着させ押し付けていた。
見れば中年男もジャージを下げていて汚いケツが露出している。
思考力が鈍っていた俺でも、今まさにカナコさんが中年男の侵入を許したことは理解できた。
それがカナコさんの男への誠意だった。
小部屋からは10分程、古い事務机の軋む音が響いていた。
あのカナコさんがあんな男と大事な部分で結合しているということを信じたくなかった。
しかし男は乱暴にカナコさんのおっぱいを掴み、荒々しく突きまくっていた。
2人の肌が当たる音の他に、かすかにカナコさんの押し殺すような声も聞こえていた。
獣のような男に食い荒らされているカナコさんを見ていられなくて、僕は目を背けてしまった。
カナコさんの悲痛な声がぱったりと止むと、1分も経たないうちに中年男だけが小部屋から出て来た。
鼻息を荒くして少し汗をかいた男は、俺の方を一切見ずにふんぞり返って店を出て行ってしまった。
小部屋ではカナコさんがのそのそと薄い紫色のパンツを引っ張り上げているところだった。
シャツだけを簡単に着直したカナコさんは、まだ頬を紅潮させたままの状態で小部屋から出て来た。
ジーパンも引き上げただけの状態で、チャックは閉じられておらずパンツが丸見えだ。
「もうちょっとだけ店をお願い・・・」
頬は真っ赤なまま涙目のカナコさんは、消えそうな声でそう言ったっきり15分ほど店のトイレに閉じこもってしまった。
その間も客は誰一人現れず、小部屋の床にはカナコさんのブラジャーだけが残されたままだった。
結局その日、カナコさんは早退した。
数日休んで復帰したものの、長続きはせずカナコさんはバイトを辞めてしまった。
あの中年客もその日以降姿を見せることはなかった。