妻、沙織の薬物レイプ事件 その顛末

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今更だけど、この話は還暦間近な男の昔話だ。

当時の仲間もみんな年食って、一番若い香緒里ちゃんだって遥か前に50を超えてしまってる。この時の達也との話なんてあれから15年くらい経ってから、やっと本当のことっぽい話が聞けたようなもんだ。

実際、次の日の朝、秋男が二人の泊まったラブホを訪れたら、香緒里ちゃん、見事に「一睡もしてません」って風情で目の下にうっすら隈作ってたみたいで、思わず達也に「そこまで頑張らなくても、、、」って言っちゃったらしいんだけど、二人とも声を揃えて、

「何もやってません!」

「夜通し話していただけです!」

って。

そりゃ無理があるだろうって話だよね(笑)。

それでも、秋男は携帯電話で、常務に張り付いていた直哉に「朝一で合流した香緒里ちゃんと一緒に今、達也を確保した(大嘘)」って連絡入れて、真面目な直哉が達也に思いっきり怒って、誤り倒してる達也とそれを見ていた香緒里ちゃんはどことなく安堵の表情を浮かべていたらしい。

達也は思っていたより素直に「役員三人くらいの首が本当に飛ぶなら見てみたい」と軍門に下ったらしく、そんな達也と香緒里ちゃんを引き連れて、秋男は淡々と、野田夫人、野田本人と仕事をこなしてくれた。

しっかし野田は思いもしなかっただろう。

数日前に退職と離婚協議を完了して、立件を待つだけだったあいつにとって、再び秋男の訪問を受けることになるとは。

秋男「野田さん、舐めてるんですか?」

野田「な、何をだね、、話すことは全て」

秋男「早見の名◯屋のアパートに残っていた留守電の話ですよ」

野田「、、、、、」

野田の怯えかたは相当で、秋男が先日展開した交渉のエグさの片鱗が見えるようだった。

(そのエグさについては、後で達也と香緒里ちゃんが心底うんざりした顔で教えてくれた。)

秋男の後ろには、先日も同行した達也と香緒里ちゃん、そして興信所の職員に扮した周さんと、、、、俺。

こればかりは、出張らない訳には行かなかった。沙織を周さんの奥さんに託してでも。

留守電には、レイプの映像を撮ったもう一つのカメラがあることと、映像と引き換えにもう一度沙織に行為を要求する内容が入っていたんだ。

秋男「あんたバカですか?よくこんなことを早見のアパートの留守電に」

野田「、、、、、」

秋男「その映像とやら、出していただきましょうか?」

野田「無い」

秋男「は?」

野田「そんなものは無い。早見君を誘き寄せる為の方便だ」

秋男「家宅捜索させて貰いますよ」

野田「構わない。無いものは無いが証明は出来ん。もう妻も出て行った家だ。私も逮捕されるのだろう。好きなだけ探せば良い」

周さんの指示で俺と達也が家捜しをはじめる。この手の荒事に精通する周さんが、見落とすことは無い。

香緒里「こんなことしたって、聡明な早見先輩は映像なんか存在しないことにすぐ気がついたでしょうに」

野田「かまわん、早見君にもう一度会うことが重要だった」

秋男「それで?」

野田「会ってしまえば、一般人の彼女にもう一度薬を使うことなど容易い。それで彼女は墜ちるはずだった」

香緒里「酷い、、、」

野田「墜としてしまえば証拠隠滅など容易い。確かに早見君の行動力は凄かった。まさか私の荷物を奪ってそのまま旦那の元に逃げ込むとは。おかげでこのざまだ」

秋男「、、、、」

野田「だがな、早見君がいくら傑出していても所詮女性だ。もう一度薬を使って抱いてしまえば彼女は逆らえなくなってただろう」

野田は狂ったように話す。

野田「早見君に持って行かれたビデオカメラ、あれは残念だった。あれには薬で蕩け切った彼女が俺に抱かれて喘ぎまくる姿が入っている。結婚生活は知らないが、独身時代は鶴姫とか言われて、本社一のプレイボーイだった真弓君にも靡かなかったお堅い早見君が俺の下で蕩けてるんだ。あれこそが女の本性、、、」

達也「黙れゲス!」

「国見様、いけません!」

な~んて、俺の記憶はここまでだ。

気がついたら、俺は周さんに抱えられてみんなと外にいた。

激昂した俺は、野田に飛びかかろうとして、秋男に投げ飛ばされてあえなく気絶。

秋男「お前に人殺しさせられないからな。かわりに後で俺を一発殴って良いからさ」

秋男には感謝しつつ、もちろん殴りましたよ目の周りに隈が出来るくらいは。

「ああ言っとけば殴らないと思ったのに~」とか泣いてたけど、寝言言うな!殴るに決まってんだろ~が!!

本件の大立ち回りはこれで終わりだ。

その後、これで落ち着いていくと思われた沙織の妊娠が発覚(ほぼ野田の種と思われた。事件の夜、沙織を抱かなかったことを俺は後悔した)。

自分の中に宿った命を消し去ることに躊躇する沙織とさんざん話しあって、産んで育てることにしようとしたのは、また別の話。

⬜桂木沙織、薬物強姦事件

本社役員二名解任

名◯屋現地役員一名解任

実行犯及び社員三名逮捕立件。

全てが終わった後、本社部長職社員が依願退職。

数年後、この会社は外資に吸収合併されて消滅した。

・秋山秋男、、、退職する松下部長に請われて、その後、部長代理として本社に復帰。

外資との吸収合併後も出世頭として奮闘していたが、潰瘍性大腸炎が悪化、大腸摘出手術を受けて、会社を退職。福島で暮らしている。その際に看護師の奥さんをゲットしたらしいが俺には会わせてくれない(笑)。

・国見達也、、、結局、そのまま退職した達也は、「国見達也探偵事務所」を設立。十数年後、直哉と離婚した香緒里と結婚。子供はいない。

・田仲→国見香緒里、、、約十年後、大学時代の事件に端を発したトラブル等によりうつ病を発症。直哉と離婚。さらに数年後、うつ病を治癒した彼女は、支えとなった達也と再婚した。

・田仲直哉、、、妻、香緒里の大学時代の事件に端を発したトラブル等により香緒里と離婚。退職。さらに数年後、伊香保の老舗旅館にて働いているとの情報が入っている。

【エピローグ】

秋男「三月、早見!久しぶりだな!」

沙織「お久しぶりです。秋山先輩。でも未だに私のこと早見とか言ってるの、秋山先輩と国見達くらいですよ!」

「おじさん!俺のこと覚えてる?」

秋男「三月の一粒種の優(ゆう)君だろ?保育園以来か。大きくなったな~!学生結婚したんだって?」

「はい!紹介しますね」

「はじめまして!優君の妻の秀世と申します!」

だいぶ後になって授かった一人息子の優の結婚を機に、俺たちは秋男のところを尋ねた。

まあ、俺も秋男ももうそろそろ還暦、、、年取ったよな~。

秋男「しっかし、早見は言わずもがなとして、秀世ちゃんといい、お前ら面食い一家だな」

「まてまて、恋愛結婚ならともかく、俺らは紹介結婚だぞ?誰かさんの」

「実は、俺と秀世も似たようなものでして、恋愛結婚とは言えないんですよ」

秋男「それで学生結婚?よくわからんな(笑)」

「それで?病院内で大恋愛を繰り広げたっていうお前の奥さん、いい加減紹介してくれよ」

秋男「やだ!!」

「なんでじや~」

秋男「お前は知りすぎている。絶対嫌~!」

「そんな失礼なこと、言うものじゃありませんよ?」

いつの間にか、若いころの白衣の天使を彷彿とさせる聖母のような女性が近寄ってきていた。

「初めてお目にかかります。秋山の妻の律子と申します」

そう言った彼女はとても綺麗な仕草で、俺たちにペコリとお辞儀をしたんだ。

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