『猫ブリーダーとの性記録』

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独身貴族の俺はある日突然思い立った。

「よし、ペットを飼おう!」

というのも現在37歳で独身の自分に少し寂しさのようなものを感じていた。まだ30代前半の頃は優雅に独身を満喫していたのだが、35を過ぎた辺りから急に寂しさというか孤独感を感じるようになった。

同僚や親も初めは顔を合わす度に「いつ結婚するんだ?」と口うるさく聞いてきたが、30代も後半に差し掛かる頃にはほとんど何も言わなくなった。要するに客観的に見て俺はこのまま独身でいるのだろう、と諦められたのだ。

正直老後が不安ではあるが、独身であるから生きづらいと感じた事はほとんどない。現代人にとって生涯独身というステータスはさほど大した影響を及ぼさない。唯一寂しいのは、家庭を持っている同僚の話の輪に入りづらい事ぐらいである。

そんな俺も歳と共にとうとう孤独感に負けそうになり、何かペットを飼う事を考え初めた。犬や猫は昔から大好きではあったが、親の反対もあって俺には飼育経験が無かった。だからまずは何から初めて良いか分からなかったので、ペットを入手する方法を改めて調べる事にした。

夜な夜な一人でペットについてネットで調べているとペットを迎えるには3パターンある事を知った。

①ペットショップから購入。

②保健所や里親からの譲渡。

③ブリーダーから購入。

①と②は以前から認識はしていたし、ある程度定番の迎え方だと思う。ただ③はあまり詳しく知らないカテゴリーだった。

調べてみるとブリーダーというのはその種類の繁殖のプロだという。例えば柴犬のブリーダーなら、柴犬の繁殖や育成に特化した専門家だ。全ブリーダーがそうではないが、そこからペットショップに卸しているケースもあるらしい。

魚で例えると切身をスーパーで買うか、魚市場で買うかぐらいの差だと思う(あくまで個人的意見だが)

となれば当然同じものでも価格に差が開くし、エンドユーザーに届くまでの道のり(流通)が長ければ長いほど価格は上がる。学生の頃に経営学部を専攻していた俺にとっては容易に想像できたシステムだった。余談だが、血統などが関係してブリーダーから購入する方が価格が上がるケースもある。

もちろん俺は自分でブリーダーになって繁殖させようなんて毛ほどにも思っていなかったから、血統なんて気にはしなかった。だから良いか悪いかは別にして損得勘定し、コストを重視した。

②のケースなら譲渡だからコスト面では完璧だ。選挙の投票と同じで、キリが無いと分かっていても少なからず社会貢献に繋がる。だけど里親からの譲渡は家を留守にしがちな独身男性にはなかなか難しいとあった。要するに独身だと譲渡してもらいにくいそうだ。

保健所からの引き取りも、しっかり考えたら厳しかった。なぜなら保健所に行くペットは何かしらの欠陥があるから。もちろん責任を放棄した飼主に問題があることか多いだろうが、たとえ欠陥が無くても一度捨てられた経験を持つ犬猫を飼育素人の自分が飼い慣らす自信は無かった。

それに費用が少なく済む分、手放すハードルも低い。自分の性格上そこを根気強くいける気がしなかった。

飼わない方がいいかも?と数日間悩んだが、結局猫を飼う事にした。犬でも良かったが、どうしても日中は仕事で家を空けるから犬だと可哀想な気がしたのだ。その点猫なら悠々としてられる。だから猫に決めた。

そして早速次の休日に、まずはペットショップに行く事にした。そこで俺はベンガルという種類の猫を見つけた。まだ子猫であったが、何といっても柄がすごく綺麗だったのだ。まさに豹柄でカッコ良かった。しかし価格を見ると43万円とあった。

(ベンガルってむちゃくちゃ高けぇな……)

もちろん諦めざるを得なかった。他の種類も見たがここでベンガル以外に決めるのは妥協したようで納得がいかなかった。そこで俺は思い立つ。

(ブリーダーだ。ブリーダーからなら少なくとももう少し安く手に入るかもしれない)

思い立ったが吉日で俺はすぐにネットでベンガルのブリーダーを探した。すると何名かのブリーダーがヒットして、価格を見ると20数万円と少なくともショップで購入するよりは安かった。

自宅に帰って改めてブリーダーを探すと、とあるブリーダーが繁殖させた一匹のメスのベンガルの写真に胸を打たれた。柄もかなり綺麗だし、瞳も綺麗なグリーンだった。

(この子だ…!)

俺は迷う事なくそう決めた。そして高橋と名乗る男か女かも分からないブリーダーに購入の意思を伝えるメッセージを送った。

するとすぐ返信が来て高橋は、まずは一度見に来るようにと答えた。早とちりしてしまって少し恥ずかしかったが、高橋が言う事はもっともだ。俺は次の休みの日に高橋とアポを取って見学させてもらう約束をした。

そして待ちに待った約束の日。

俺は見学してすぐに購入する気満々だった。見学は午後からだったが、午前中の間にペットショップへ行き、お迎えのケースやケージ、トイレなど必要な物を全て揃えた。そして空のケースを持参して高橋が指定した場所へと向かった。

てっきり俺はブリーダーがいるのは小規模なペットショップの様な場所だと思っていた。いくつかのカゴがあってそこに何匹ものベンガルがいて、表現は悪いがそれこそ保健所の様な場所だと。

だけど高橋が指定した見学の場所は高橋の自宅だった。それは何の変哲もない一軒家で、言うならばかなり金持ちそうな自宅だった。間違ってないか自宅前で何度も地図を確認したが間違ってはなそうだった。それに高橋と表札も出ていた。

俺は息を呑んで恐る恐るチャイムを鳴らす。するとすぐにインターフォンから女性の声で返事があった。

「はーいっ」

「あ、すいません。13時から見学の約束をしていた村上ですが…」

「あーっ、ありがとうございますぅ。すぐ出ます」

「はい」

(奥さんかな……?)

玄関のドアの向こうからドタドタと足音が聞こえ、人が近付いて来る空気の揺れを感じた。そしてガチャっと玄関のドアが勢い良く開いた。

「どうぞーっ!」

そこには俺と同世代ぐらいの綺麗な女性がいた。スレンダーな女性が好みの俺に言わせると、ほんの少しだけぽっちゃりとしていたが、見る人によれば標準体型だ。目もパッチリとしていて、まさにアジアンビューティ。いかにも明るそうな人だった。ちなみになかなかの巨乳だった。

「ありがとうございます、じゃあお邪魔します」

立派な掛軸がある客間へと通され、彼女がお茶を淹れてくれた。そして少し待ってて下さいと席を外した。

(あぁ…誰か呼ぶ感じ?親父とか旦那がブリーダーなのかな…家の感じからしてちょっと怖そうだな)

俺はそわそわしながら待った。するとすぐに彼女が客間へと戻ってきた。その手には俺が胸を打たれたベンガルが抱かれていた。

「お待たせしましたぁ。この子ですよね?」

「はいっ!…うわっ…すげー可愛い」

ついうっかり心の声が漏れてしまった。彼女はにこっと笑い「抱いてみます?」と言った。

「いいんですか?」

「もちろん!ほらっ」

そして俺は猫を抱かせてもらった。まだ子猫なだけにむちゃくちゃ軽かった。俺の目をじっと見ながら大人しく抱かれたその子に癒された。

「むちゃくちゃ可愛いですね…やばいです」

「ふふっ、気に入ってもらえて良かったです」

この時すでに俺の意思は固まっていた。

「この子…頂けますか?」

俺が言うと彼女は一瞬驚いた顔をしたが、すぐに人懐っこさを全面に押し出した笑顔に変わった。

「ええ、もちろんです!幸せにしてあげてくださいね」

そして俺は高橋さんからこの子を購入する事にした。高橋さんにはあらかじめ猫の飼育経験が無い事を伝えていたので、フードやワクチン、去勢手術について詳しく説明を受けた。

「では代金が22万8千円になります。あっ、でも今日はわざわざお越し頂いたので22万円で結構です」

「えっ、いいんですか?じゃあお言葉に甘えて……カード使えますか?」

俺は諸費用分も含め少し多めに現金を持って来てはいたが、それが今すぐ無くなるのに抵抗が出た。

「大丈夫ですよ。一括で?」彼女は簡易的な決済端末を取り出し笑顔で聞いた。本当は分割にしたかったが彼女の前でつい見栄を張り「一括で」と言った。もちろん翌月の引き落とし日に後悔する事になるのだが。

そして俺は支払いを済ませ、あらかじめ用意したケースを車から取り出して猫を入れた。彼女はそれを見て特段笑う事もなく、最後まで丁寧に見送りをしてくれた。

「失礼ですが…村上さんってお一人ですか?」

「え?一人?」

「いや、あの…独身って意味の」

「ああ、そうですよ。それが何か?」

「もし良ければですけど、一人じゃ何かと不便な事もあるだろうし私で良ければいつでも相談して下さいね。ブリーダーサイトの問い合わせからではなく、直接メッセージか電話もらえれば」

彼女はそう言ってメッセージアプリの画面を開いた。

「いいんですか?じゃあ何かあった時はすぐ相談します」

俺は彼女のメッセージアプリのQRコードを読み取り連絡先を交換した。彼女のアカウントには綾と表示されていた。

(綾っていうのか)

可もなく不可もなく相応の名だと思った。これまでの経験上、俺の知る限り字は違えどアヤと言う名に不細工は居なかった。それに元カノで一番美人だった彼女も彩だった。(元カノの彩はとうの昔に結婚して子供も何人かいる。これはSNSで知った)

「綾さん…素敵な名前ですね」

普段どちらかと言えば根暗な俺はこんなイタリア人の様な台詞は絶対に吐かない。多分無事新たな家族を迎え入れる事ができた事でテンションが上がっていたのだと思う。

「えぇ~ありがとうございます。そんな事初めて言われましたよぉ」

一見社交辞令としかみれないやり取りだが、この時の綾さんは本気で照れていたように見えた。もしこれが彼女の男性をその気にさせるだけの悪い癖ならば俺は騙されたと素直に認める。ここで俺はカマを掛けてみた。

「えっ、旦那さんに付き合いたてとかで言われた事ないですか?」

「いやいや、本当にそんな事一度も言われなかったです」彼女はそう言って爆笑した。だけど俺はあんまり笑えなかった。

(なーんだ、旦那いるのか。まぁ考えればそうか。こんな広い家で一人で住んでいる方がおかしいもんな)

「私は基本家にいますのでご連絡お待ちしています。それじゃあまたっ」

「ええ、宜しくお願いします」そして彼女に頭を下げ帰路に着いた。自宅に帰ってから用意していた猫用品を広げ、とりあえず無事トイレでおしっこをさせる所までは順調にいけた。

(名前付けないとな…)

俺は某ゲームのソフトのヘビーユーザーだったから、そこから名前を頂いてこの子をジルと名付けた。ジルはひたすら俺が振るオモチャで遊んでいた。

ジルを迎え入れてからいくつか疑問が生じた。

猫ってどのぐらいの頻度で風呂に入れるんだ?

爪切りの頻度は?ってかどうやって切るんだ?

耳掃除とかもするのか?

猫初心者の俺は考え出したらキリがなかった。ネットで調べても色々な意見があってどれも参考にならない。まぁ本来ならネットで得た答えたのどれか一つを参考にしたら良いだけの話なのだが、早速綾さんと連絡を取れる口実できた。どうせなら美人妻に教えてもらいたいと思うのが男ではないだろうか。

俺は早速綾さんにメッセージを送った。文頭には今日のお礼と決まった猫の名前を入れて、自分の疑問点を打ち込んだ。すると案外早く返事が帰ってきた。綾さんの文面は俺の素朴な文とは違い、絵文字やら顔文字がいたる所に散りばめられたキラキラとした文章だった。

久しぶりにこんな派手な文章を送られて来たので、慣れるまで何度か読み返さなければならなかった。てっきり長文で全ての質問に答えてくれるのかと思っていたら、以外と短文だった。要約すると後日実践で教えるから都合の良い日を教えて欲しいとの事だった。それに余っている爪切りとかもくれるそうだ。

俺が思うに綾さんは親切で良い人なのだろうが多分ガードが緩い。これだけで欲求不満だと決めつけるのは早計だけど普通不必要に異性を家に招きいれるか?それも旦那がいるのに。俺としてはラッキーだがこんなのも長文が面倒なら電話で済ませばいいだけの話だ。

期待しすぎだと言われたらそれまでだが、あながち間違ってはいないと思う。ワンチャンあるというやつだ。スケジュールが常に空白の俺は早速次の休みの日を綾さんに伝えた。そして次に訪問する日が決まった。

俺は次の休みまでの5日間、ずっと不倫について考えていた。けれど結婚した事が無い俺にとって不倫とは想像もできない未知の領域の話だった。そもそも俺が想像する不倫なんてものはドラマの中だけの事なんじゃないか?とさえ思った。

そして約束の日。綾さんにジルも連れて来るように言われた俺は昼頃に一緒に高橋家に訪れた。

「久しぶり~少し大きくなったねぇ」

ジーンズにピチッとしたTシャツ一枚で現れた綾さんはジルを見てそう言った。一瞬自分に言われていると思ったがそうではなかった。それよりも目のやり場に困った。Tシャツはブラの柄が浮いて見えるほどピッチリとしていた。

(無防備だなぁ……)

挨拶もほどほどに俺はリビングに通された。前回の客間とは違い、リビングはある程度生活感を感じさせ、それにかなり広いリビングだった。

「コーヒーかお茶か…どうします?」

「ええっと、じゃあお茶を頂きます」

「はーいっ」

綾さんはジルをケースから出してあげるよう言ったので、俺は頼むから悪さするなよと祈りながらリビングへと出した。しかし、意外にもジルは何一つ悪さをせずダイニングテーブルの椅子を陣取って早々に昼寝を始めた。

「うわ、寝た…何かすいません」

「いいのいいの。ジルちゃんは疲れちゃったんだねぇ」

それから俺達は小一時間猫の飼育について話し合った。というよりも俺が一方的に教えてもらっただけだが。とりあえずは綾さんと同じ頻度で入浴や爪切りをする事にした。もしかなり拒絶する様であればそれはその時考えようといった感じだ。

聞きたい事も聞けて、そろそろおいとました方が良いと思っていたら綾さんが言った。

「村上さんこの後何かご予定でも?」

偏見だろうが、フラフラと気の向くまま休日を過ごしている独身男性に予定なんてあるわけなかろう。あるとしたら美容室の予約ぐらいだ。もちろん今日ではないが。

「いいえ、特に。帰りにスーパーによって食材の買いだめするぐらいです」

「そうなんだ。もしよろしければ一緒にお昼どうですか?今日はパスタにしようと思ってるんだけど…」

俺はチラッと時計を見ると時刻は13時5分だった。

「いいんですか?」

「全然!作る側としては一人分も二人分も変わらないしね!」

「ありがとうございます。じゃあお言葉に甘えて」

「じゃあパスタが茹で上がるまでテレビでも見ていて下さい」

俺は遠慮がちにテレビのリモコンを手に取って、適当にチャンネルを入れた。そこには最近まで宣伝していた新番組のワイドショーが流れた。俺は初めて見たがあまり面白そうではなかった。番組内では政界を取り上げ、司会者が感情的にズバズバ意見を言っていた。

心底興味が無かったのでチャンネルを変えようとしたが、所詮平日の昼はこんなもんか。と考え直しリモコンを置いた。その間、綾さんは忙しそうにガチャガチャと音を立てて台所から出ては来なかったから一人番組を見る事になった。

「はーいっ、お待たせしましたぁ」

綾さんはニコニコしながら台所から姿を表し、ダイニングテーブルに皿を置いた。その音でジルが一瞬だけ顔上げたが、再び丸くなって眠った。

俺はトマトソース系が好みだったが、綾さんが作ったのはジェノベーゼ?みたいなグリーンのソースのパスタだった。

(ああ、多分苦手なやつだ…)

食べてみると、バジルが得意ではない俺は案の定苦手な味だった。顔を上げると綾さんは心配そうにこちらを見つめていた。その目は普段より一段とクリッとしていてめちゃくちゃ可愛いかった。普通の男なら、こんな目で頼み事をされたら死ぬ事以外は請け負ってしまうだろう。もちろん俺もそうだ。

「どうですか?お口に合うかなぁ」

「むちゃくちゃ旨いです」

俺は鼻を抜けるバジルの風味を我慢しながら言った。

「ほんと!?良かったっ」

「毎日食べたいぐらいです。ほんと旦那さんが羨ましい」

「それは褒めすぎっ!」

俺は彼女より一足先にパスタを平らげ、一息ついた。そこでふと棚に置かれていた写真立てに目が行った。その写真立てには綾さんともう一人、お世辞にも男前と言えない旦那であろう人物と、その二人に挟まれる形で笑顔で写る小学校低学年くらいの男児が写っていた。

「これってー…ご家族の写真ですか?」

彼女はフォークを持つ手を止めて、俺の視線の先を目で追った。

「ああ、そうなんですよ。息子は今年で二年生なんだけどやんちゃ坊主で手に負えないの」

そう言って彼女は静かに笑った。

「ははっ、まぁ男の子ってそんなもんですよ。ご主人はどんな方なんですか?」

「んー…どんな人ねぇ?」

綾さんは数秒考えた。そして1つずつ思い出しながら言った。

「優しくて真面目でー。そこそこ家庭的かな?あ、それに凄く仕事熱心ね!」

「へぇ、良いご主人だなあ。そりゃあこんな美人な奥さんがいても不思議じゃない」

「ははは!そんな事ないですってばぁ。主人とは気が合わない事もたくさんありますよ」

「例えば?」

「んー、猫の事とか?ほら私はブリーダーじゃないですか。けど主人は猫に興味は無いんです。何なら犬派なんで。だからその辺の価値観とか全然合わないですよ」

「それは意外ですね」

「欲を言えばブリーダー業をもう少し気に掛けて欲しいな~って感じです。まぁこれは私が好きで始めた事だからあんまり強く言えないんですけどね」

「ブリーダーってのも何かと大変そうですもんね」

「そんなんですよぉ、健康管理とかめっちゃ大変で…それより村上さんてお酒飲めますか?」

聞いた彼女の手にはすでにシャンパンが握られていた。

「ええ、お酒は好きですよ。けど今日は車なんで…」

「そこは私の奢りで代行呼びますから。付き合ってくださいよぉ」

彼女はお得意であろう上目遣いで頼んだ。恐らく旦那は何度もこの手にやられているのだろう。もちろん俺もまんまとやられた。それに彼女は俺の返事を待たずグラスにシャンパンを注ぎ始めていた。

「えぇ~。じゃあちょっとだけ」

「やったあ!はい、かんぱーいっ」

グラスを重ね合うとチーンッと上品な音が鳴った。案の定ちょっとだけでは済まず、俺達は夕方まで話をしながらシャンパンを嗜む事になった。

「あ、もうこんな時間か…そろそろ失礼します」

俺が立ち上がると綾さんは引き留めた。

「ええー!もう帰んの!?やーだ~」

シャンパンを飲み始めてから薄々勘づいてたが、どうやら彼女はあまり酒癖がよろしくないみたいだった。

「いやいや…ほら、お子さんも帰ってくるだろうし夕食の準備もしなくちゃダメですよ」

「息子はまだ帰ってこないから大丈夫~今日は英会話の日だから学校終わってそのまま行ってるわ。夕食は何かデリバリーでも頼むからぁ」

「それでもダメですよ。…ったく。飲みすぎですって」

「待ってよぉ!もうちょっとだけぇ」

俺は彼女の押しに負けて再び椅子に腰を下ろした。独身の俺は時間を持て余している。別に帰っても誰も待っちゃいないし、最近できた唯一の家族のジルもここで優雅にくつろいでいる。だから俺はすぐに帰らなければならない理由はなかった。

彼女は俺が座るのを確認すると、空いたグラスにシャンパンを足して一気に飲み干した。

「綾さんっ、飲みすぎですよ!」

俺はどさくさに紛れて高橋さんではなく、綾さんと呼んでみた。彼女は特に変わった反応を見せず、「大丈夫だってぇ、いつもこうなの」と言った。

(いつもこうなのか?それにしてもえげつないほど酒乱だな…)

俺は注がれたシャンパンに少しだけ口を付けた。そしてとある想像をした。それは男ならではの想像だった。

(今なら綾さん酔ってるし、胸ぐらい揉めるかも…)

彼女は俺がそんないやらしい事を考えているとは知らず、つまみのチーズを食べながら黙々とシャンパンを口に流し込んでいる。俺は立ち上がり、テーブルの対面に座る彼女の横へ移動した。

「ん~?どったのぉ?」

俺が座ると彼女は聞いた。心なしか上機嫌な気がする。

「あんまり飲みすぎたらお腹たぷたぷになっちゃきますよ」

そう言って俺は彼女のお腹を触った。それほど贅肉を感じなかったが、確かにたぷたぷだった。

「村上さん、それセクハラですよぉ?しかもそこ胃じゃなくて腸だよ?」

「あ、そっか…てゆーかセクハラじゃないですし。セクハラってのはこういうのですよ」

俺はついに彼女の胸に手を伸ばした。そして柔らかい彼女の胸を掴むと、ぎゅっと揉んでみた。

「あんっ……ちょっと……っ!」

俺は手を止めて、ドキドキしながら彼女の顔色を伺った。彼女は頬を赤らめて感じていた…とエロ漫画の様な展開ではなかったが、不快そうな表情でもなくわりと受け入れてくれていた。

俺も彼女ほどではなかったが多少酔っていたのもあって、そのままゆっくり胸を揉み続けた。

「あっ、んんっ…もうっ」

綾さんの喘ぎ声は素人にしてはとにかくエロかった。過去にAV女優をしていたと言われても信じる。

予想外の彼女の感度の良さに調子に乗った俺は椅子から立ち上がると、彼女の背後に回って両手で胸を揉み始めた。

ゆっくりと円を描くように両手で彼女の胸を揉むと、彼女は一定のリズムで喘いだ。

「ああっ…!んんっ、村上さんっ…激しっ……」

「綾さんは激しく揉まれるのが好きなの?」

そう言って俺は手に力を込めて、一層力強く胸をがっつくように揉んだ。

「ああっ!!はぁ…はぁ…んーっ!」

それから手をゆっくりと彼女の胸元へと移動させ、少しはだけたブルーのブラの中へとスライドさせた。ブラの中へ手を入れると、すぐにビンビンに突起した乳首が手に触れた。そして人差し指と中指を使って乳首を優しく挟んで、コリコリと撫で回す。

「あんっ…もうっ!だめだっ…てぇ…はぁん」

「これももっと激しくしてほしー?」

俺はこれでもかと勃起した綾さんの乳首を加減しながらも強くつまんだ。

「はあぁっ!!」

数回きゅっと乳首を強くつまむと、綾さんは身体をビクビクっと痙攣させた。

「綾さん…もしかしてイッちゃった?」

俺が聞くと彼女は「知らないっ」とふてくされた。

「ふーん、そんな態度取っていいんだ?」

そう言って俺は再び彼女の乳首をつまんだ。

「ひゃあ!?んんっ、もうっ…またイッちゃうからあ」

「イッてんじゃん。綾さんエロいね」

「もう知らないっ」

そこで俺は自分の指が濡れている事に気が付いた。

(なんだこれ?汗?)

あまりにも不自然な濡れ方をしていたので、もう一度彼女のブラの中へと手を入れた。そして分かった、その液体の正体は母乳だったのだ。

「綾さん綾さんっ、母乳出てる」

「ええ!?見ないでっ!」

俺が濡れた指を彼女の眼前に突き出すと彼女はとても恥ずかしそうに俺の手を掴むと、自分の服でそれを拭いた。その姿がとても可愛いらしく見えた俺は彼女のTシャツをまくり上げて、ブラをずらしてから乳首を吸った。綾さんの乳首は少し茶色かったが綺麗な乳輪をしていた。酔っていたせいか母乳の味も分からなかった。

子供がたまごアイスを食べる様に俺は彼女の乳首をチューチューと吸った。もちろん彼女は抵抗した。が、その力はとても弱かった。口に含んだ乳首を舌で何回も時計回りに舐めた。彼女の乳首は一向に勃起をやめず、俺は歯で乳首を軽く挟んでガジガジとした。

「ちょっ……!!またっイッ…だめっ!あああんっ!!」

またもや彼女はビクッと身体を揺らし、イッてしまったようだった。

「またイッちゃったの?綾さんは乳首が弱いんだねぇ」そう言って俺が乳首から口を離すと彼女は俺の顔を抱き締めた。

「なに自分だけ楽しんでんの?」

「へ?」

彼女は俺の顔を胸に抱き締めたまま、股間に手を伸ばした。当然俺は勃起していた。

「ほら、何よこれ。何でこんなに大きくしてるの?」

「いや、そんな事ないけど…」

「なら、出してよ。私のおっぱい見たんだから…」

「いやいや、俺はいいです遠慮しときます」

「ほら早くっ!立ちなさいよ」

そう言って彼女は強引に俺のベルトに手を掛けると、膝をついて慣れない手つきでカチャカチャとベルトを外した。そしてジーンズを少しだけ下にずらすと、黒の無地のボクサーパンツが露になる。それはもう誰がどう見ても勃起していた。

彼女はパンツ越しに俺の勃起した股間を見て言った。

「ほーら。何よこれ?早く出してよ」

「いやこれ以上は。綾さん酔いすぎですよ」

「うるさいっ」

彼女はパンツに手を掛けると一気に下に下ろした。すると俺の性器がぶりんっと反り上がった状態で彼女の眼前に現れ、彼女はそれを目の当たりにした。

「うっわあ……大っき…」

亀頭がへそにくっつくほど反り上がった性器を彼女はまじまじと見た。

「ちょっと…!もういいでしょ?」

俺が言うと彼女は俺を睨んだ。

「だめっ!何言ってんのよ!」

そして彼女はいきなり俺の性器を咥えた。熱をもった彼女の口内はとろけそうなほど温かく、舌は柔らかかった。顔を前後に顔をピストンさせ、舌で亀頭をグリグリ舐め回しながら喉奥まで何度も押し込んだ。

風俗店でもめったにお目にかかれないレベルの美女にこれだけ舐め回されると、とてもじゃないが俺は耐えられなかった。情けないが数十秒程度で絶頂を近く感じた。

「あっ、やば…イキそう」

「らめよ」彼女は咥えたまま言った。そして一段と早く顔を前後にピストンした。

「ちょ!無理…ですって!…ああ!」

「んんんっ!?…けほっ!こほっ!」

ご無沙汰だった事もあり、俺はおちょこ一杯分ほどの精液を勢い良く綾さんの口内で射精した。彼女は口から溢れ出す精液を手で受け止めながら言った。

「ちょっと!溜めすぎじゃない!?しかもちょー濃いんだけどっ…」

「はぁ…はぁ…すいませんっ」

彼女は口で受け止めれた分の精液を飲み込んで、手にこぼれ落ちた分は卓上のティッシュに拭いた。

「あははっ、いつまで出してんのよ。今日はもう終わりっ!」

「あ…ああ、すいません」

「あら…もうこんな時間。そろそろ主人が帰ってくるわ、デリバリーの注文しなきゃ。あ、それと村上さんの代行も呼ばないとね……てか夕食もご一緒する?」

俺は彼女の切り替えの早さに驚いた。もちろん夕食の誘いは丁重にお断りした。こんな事をした後にどんな顔をして旦那に会えばいいのか分からなかった。俺達は代行業者が到着するまで何事もなかったのように談笑した。

「今日はどうもありがとうございました。おかげさまでスッキリしました」

「一言多いわよ。また何か分からない事があれば連絡してね。いつでも大丈夫だから」

「はい、それじゃ失礼します」

俺は到着した代行業者のオヤジと一緒に車を停めていた近くのコインパーキングへと向かった。ケースに入ったジルはニャーニャーと寂しそうに泣いている。やはり自分が生まれ育った高橋家が恋しいのだろうか?車に乗り込むと俺はジルの入るケースの扉を開けてやった。

ジルは恐る恐るケースから出ると、案外すぐ慣れたみたいで助手席で丸くなって寝始めた。

「また、寝んのかよ」

ジルは俺のツッコミを無視して眠りについた。代行業者のオヤジも聞き流した。

代行のオヤジは車を走らせると慣れた口調で話掛けてきた。

「高橋さんはお得意様でねぇ、よくウチを使ってくれるんですよ。あ、けどだいたい利用されるのはご主人なんですけどねぇ」

「はぁ…」

賢者タイムに突入していた俺には話し掛けられた事に参った。頼むから黙って運転してくれ、もう放っておいてくれ。だが、そんな俺の心の声も虚しく散り、オヤジは話し続けた。

「あそこの奥様は本当に美人ですよねぇ。愛想も良いですし。言っちゃあなんですけどこの界隈ではダントツですよ」

「まぁ…そうですね。たしかにキレイです」

「でしょう?お客さんは奥様のお知り合いなんですか?」

「ええ」

「へぇー!何と羨ましい。で?本日は一体どういったご用件でお会いに?」

(こいつ…よくもまぁズケズケと…まぁいい)

そして俺は言ってやった。

「用件?そんなの一つしかないでしょ……?不倫ですよ、不倫」

「へっ?」

「旦那さんには言わないで下さいね。この事は運転手さんしか知らないからすぐバレますからね」

運転手は返事をせず、代わりにルームミラー越しに俺を一瞥し、真っ直ぐ口を結んで黙って運転を続けた。

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