「あなたのこと、、、愛してる!」
15年前、なる美が交通事故にあったあの日の夜、携帯で僕に言った最期の言葉だ。
なる美を殺したのは僕だ。僕があの日の夜、なる美に肝試しをしようなどと言わなければ彼女は死ななかった。
これは僕が高校一年の時の話。
僕はその県内では偏差値の高い共学の私立高校に入学した。
僕の家からはかなり遠いため僕はその高校にある寮に入っていた。
入学当初、知り合いなどは一切おらず知らない人たちばかりで、人見知りの性格もあってか僕はなかなかクラスに馴染めないでいた。
僕の高校の裏門から出てすぐの所に墓場広がっている。
そこにはネコがたくさんいたので友達のいない僕は昼休みになると裏門から出てネコにエサをやりに行っていた。
ある日の昼休み。僕が墓場に行くと、
「あれ?〇〇君じゃん!」
女の子に声をかけられた。
「あ、〇〇さん、、」
この子はなる美。同じクラスの女子で明るく活発な女の子。
いつも髪をポニーテールにしていて見た目もけっこうかわいい。
「何してるの、、、こんなところで、、、?」
「墓の探索だよ!私怖いところ好きなの!」
「そうなんだ、、、さらっと言ったけど墓を探索ってなんかヤバいね、、」
「まあまあ(笑)いいじゃん!〇〇くんは何をしてたの?」
「僕はいつもここにネコにエサをやりにきてるんだ。」
「ネコがいるの?」
「うん。ほら、あそこ。」
「あ、かわいい!」
ネコを見つけた僕となる美はネコの近くに行った。
「こうしてパンをあげてると次から次にネコが寄ってくるんだ。」
僕がエサをあげていると気づけば10匹くらいのネコがにゃーにゃ―と寄ってきた。
「かわいい~♡ねね!私にもエサ分けて!」
僕はなる美に半分エサのパンを分けた。
「いつもここへエサをあげに来てるの?」
「うん、僕友達いないから。」
「そっか。じゃあ私と友達になろうよ!」
「え、〇〇さんと?」
「なる美でいいよ!それともいや?」
「ううん全然!僕なんかでいいのかなって。」
「謙遜しなくていいよ(笑)いつもネコにエサをあげてるなんて春翔(はると)は優しい人だと思うよ!だから友達になりたいの!」
「あ、僕の名前、、、」
「クラスメイトだもん(笑)よろしくね、春翔!」
話したこともない僕の名前を覚えていたなる美に僕は心を開いた。
ある日の休み時間。なる美が僕の所に来た。
「昨日さ、〇〇ってホラー映画見たんだけど面白かったよ!春翔も見たら?」
僕は声の大きいなる美に周りを気にしながら話した。
「あ、僕怖いの苦手なんだ。」
「ふ~ん、私は好きなんだけど趣味合わないのかな。」
僕はなる美が離れていくんじゃないかと心配した。
「まあ、いいや!今日昼までで終わりだからマック行こうよ!」
「あ、うん。そうだね!お、おごろうか?」
「気使わなくていいって(笑)それじゃあまた後でね!」
なる美が僕の机を離れた。僕は少しドキドキしていた。
座っていた僕の目の前には立って話していたなる美の胸が目の前にあった。
活発な印象だったから気づかなかったがけっこう大きい。
不純であったが僕は高校生活は青春できるなと勝手に思っていた。
それからもなる美とよく話したが、なる美は僕がビビりなのを面白がってわざと怖い話をしたりした。
僕は迷惑そうにしていたがそれでも気さくに接してくれるなる美のことが好きになっていた。
ある日の日曜日。僕は週末は自宅に帰っていた。
それで夜に家族でショッピングモールに出かけ食事をし買い物をしているとき。
「あ、お母さん。これ買ってもいい?」
「ブレスレット?でもこれって女物じゃない?」
「うん、友達にあげたいんだ。」
「ふ~ん(笑)いいわよ、頑張ってね(笑)」
「ちょっとちょっと(笑)まだ何も言ってないけど(笑)」
月曜日の朝、教室で。
「おはよう、春翔!」
「なる美、おはよう。これあげるよ。」
「何?わ!ブレスレット!きれい!」
「昨日、お母さんに買ってもらったんだ。」
「ありがとう!でもどうして?」
「えーと、、、なる美はいつも怖い話してばかりで悪い霊が憑いてそうだから魔除け。」
「もー、何それ(笑)悪い霊なんて憑いてないよ、ひどいなあ」
そう言ったがなる美はすぐにブレスレットをつけ、嬉しそうにしてくれた。
「春翔がそんなこと言うんだったらもっと怖がらせるから覚悟しなさいよ!」
「へいへい(笑)」
僕は軽く流したがなる美は本当にエスカレートした。
後ろから急に驚かせるのは当たり前、ホラー映画の本などを持ってきて臨場感たっぷりに話したり、学校の外で見つけた僕が怖がりそうな場所に連れて行ったり。
でも僕はなる美が好きだったので全然気にならなかった。
それからも僕はなる美と一緒に過ごし三か月ちょっとの間に心を許せる親友になった。
夏休み前のある日の休み時間。
「わっ!」
「のわ!」
「あはは!春翔いつも反応が新鮮だねえ!」
「くそ、なんでいつも気づかないんだ。」
「鈍感だから(笑)春翔は小心者のビビりだし扱いやすいんだよ」
「ひどい言われようだな(笑)そんなこと言うんならいつか仕返しするよ?」
「いつか、ね(笑)今できないんだったら一生できないよ!」
僕は悔しかったがなる美は隙がない。普通にしててもなる美を驚かせるのは僕には無理だ。
僕はどうしようかと考えた。そして閃いた。
「ねえ、なる美。今日の夜肝試ししない?」
「肝試し?いいけどどこで?」
「旧高校寮」
前述したとおり、僕の学校には寮があって僕はそこから学校に通っている。
その寮は一回場所を移動しており昔使われていた寮が廃墟になり今でも残っている。
立ち入り禁止だが、生徒たちは好奇心で入るやつがけっこういて僕も数回入ったことがある。
もちろんルール違反の上にしかも夜中だから断られると思った。
「そこ入ったらいけないんだよね?」
「うん。でも昼間でもすごく怖くて夜ならなおさら」
「・・・」
「なる美に仕返ししようと思って。ほら君がビビるとこ見たいからさ」
「ふ~ん。私は別に大丈夫だけど。あなたが怖いんじゃない?」
「怖いけど、、、でもやってみたい気持ちはあるんだよね」
「う~ん、、、よし、その話乗った!じゃあ今日の夜中裏門に集合ね!直前になって逃げるなよ!」
「望むところ!」
僕は怖かったがなる美と夜の学校を楽しめるのかと思うと胸が高鳴った。
・・・目の前には真っ白な壁。
僕はベッドに寝そべりながらなる美を想像した。
「春翔、愛してるよ♡」
なる美からの愛の告白。
「なる美、僕も♡」
僕は何もない壁に向かってそうつぶやいた。
その日の夜。
消灯時間になった。この時間を過ぎても生徒は普通に起きていた。
ゲームをしたり雑談をしたり。好き勝手にやっていた。
でもまさか寮を抜け出し、旧高校寮で肝試しをするやつがいるなんて思いもしないだろう。
僕は部屋に持ってきていた靴を持って一回の窓から抜け出した。
僕は携帯でなる美に電話をした。
「なる美、僕もう裏門に向かってるよ。」
「私ももうすぐ自転車で着くから!」
なる美の家はこの高校の近くにあった。
裏門に向かうときいつもの見慣れた校舎を通るが夜中だと薄気味が悪かった。
僕はすでにびくびくと怯えながら裏門へ急いだ。
裏門につくと自転車が一台止まっていた。しかしなる美はいない。
「なる美、、、?」
「うわあああ!」
「ぎゃああああ!」
「あはははは!めっちゃビビってる!」
「なる美、、、マジで心臓止まるかと思った、、、」
「どうせここまで来るのにもビビってたんでしょ?肝試し大丈夫?」
僕は正直怖気づいていたがここでやめたらなる美は帰ってしまうし、それになる美を驚かせるよりも頼もしいところを見せたかった。
「行くよ。行こ!」
「お!いい度胸じゃん、見直したよ!」
僕はうるせーよとか言っていたがとてもうれしかった。
僕たちが旧高校寮に向かう途中で
ピーポーピーポー、、、
「救急車だ。夜中に聞くとやっぱり怖いな」
「そう?私は平気だけど」
「ほら、聞いて?救急車が離れていくときの音が変わっていくのが僕すごく嫌いなんだ」
「そっかー。でもまあ誰にだって苦手なものはあるよね」
高校寮と校舎は同じ敷地のそれぞれ少し離れた場所にあり、その間に広い駐車場があった。
その駐車場の奥に旧高校寮が立っていた。
旧高校寮は横に長い三階建ての建物が前後ろに二つ並んで立っていて裏には山があった。
僕たちは駐車場を歩き建物の中央の正面扉ではなく建物の横にある柵へと向かった。
「ここから入るんだ」
正面の扉は施錠されており、二つの建物が向かい合った内側のそれぞれ中央の扉からしか入れなかった。
僕たちは柵を超え、二つの建物の間を歩き内側の扉へと向かった。
前の方の建物の扉の前に来て、
「この扉のすりガラス割られてるじゃん」
「うん。たぶん最初に入った人が割ってカギを開けたからだよ」
そういって扉を開けようとしたその時、
「ぎにゃああ」
「うわああああ!」
僕は突然の鳴き声に悲鳴を上げてしまった。
「あはは!ビビりすぎ(笑)ネコだよ。」
「はっ!ネコか!こんなところにもいるんだ。」
「そりゃ墓にあれだけいるんだからここにいてもおかしくはないでしょ。」
「そうだよね、、、」
僕は気を取り直して扉を開いた。
「うわ、なにこれ。入れないじゃん。」
扉を開けると中は人が入れないように布団の下に敷くマットが積み上げられていた。
「うん。だから上に少しある隙間から入るんだよ。」
僕は積み上げられたマットの上の隙間を指さして言った。
「なるほどね!じゃあ私から行くね!」
なる美は積極的に登っていった。
僕はドキッとした。なる美は制服を着ていた。だから下はスカートだ。
「うー、うまく登れない!春翔下から押し上げてくれない?」
「え?分かった!」
僕はとにかく当たり障りのないところを押そうと思ったが、
「きゃっ!そこお尻!エッチ!」
「ご、ごめん」
「でもいいや。思いっきり押し上げて!」
僕はためらったがこんなチャンスもうないと思って思いっきりなる美のお尻を押し上げた。
「よし!あとはもういける。ありがと!」
そう言って下半身をばたばたさせながらなる美が隙間から建物に入っていくとき、
「うお、、、」
思わず声が出てしまった。暗くてよくは見えなかったが純白のパンティが見えた。
おしりに少し食い込み僕はなる美が入っていく間ずっとお尻を凝視していた。
「いいよ!春翔も来て!」
「う、うん!」
僕も続いて登って行った。
あそこが勃起していて、マットにあたり少し快感を感じた。
中に入って高いマットの上を通りその先で降りた。
「ふー、やっと中に入れたね。」
マットが積み上げられていた部屋から真っ暗な寮の廊下へ出た。
「それはそうと春翔さっきさ」
「ご、ごめん!お尻触る気はなかったんだ!」
「いやそうじゃなくて」
「え?」
「見てたでしょ、パンツ」
「へ?み、見てないよ!」
「嘘ばっかり。分かってたんだから。春翔のエッチ。」
「ご、ごめん」
「まあいいや!春翔とは仲いいから少しぐらいね!じゃあこれからどうする?」
「えーと、決めてない」
「おいおい(笑)誘っといてそれかい。まあいいや、探索しよ!」
僕は正直予想外に怖くて震えていたがなる美は平気そうだった。
「あ!春翔、来て!この部屋電気がつくよ!」
「本当だ。昼間は明るいから気づかなかった。」
「二段ベッドもある!昔の生徒はここで過ごしてたんだね。」
なる美はそう言って二段ベッドの上の段に登っていった。
「春翔、今度はスカート覗かないでよね。」
なる美は僕の目線を警戒しながら登った。そして上に登ると
「わー!このベッドギシギシ言うよ!」
そう言ってなる美は体を上下に動かした。
「そ、そうだね」
僕はその姿を見て、裸のなる美が騎乗位で喘ぐ姿を想像してしまった。
「春翔も登ってきなよ!」
僕はなる美に言われ上に登った。
「ねえ、私たちすごくない?今めっちゃルール破ってるよ!」
「なんでそんなにうれしそうなの(笑)」
「だってドキドキするじゃん!それに春翔も一緒だし楽しいよ!」
僕はそう言われ好きな女の子と二人きりなんだと意識してしまい緊張した。
「春翔、私ちょっとトイレに行ってくるから」
「あ、うん。じゃあここで待ってる」
「覗くなよ!でも春翔はビビりだからこの部屋から出られないか(笑)」
そう言ってなる美はその部屋から出て行った。
僕はビビりと言われたが気にしなかった。
なぜならなる美がトイレに行ったのだ。悪いことだが本当に覗けるかも、覗きは無理でも排尿の音が聞けるんじゃないかと変態的なことを考えていた。
僕は二段ベッドを降り廊下を覗くと女子トイレであろう場所に明かりがついていた。
僕は忍び足で行ったが、残念なことにドアが閉まっていた。
ここでドアを開けたら確実にバレるだろうし、なによりなる美に嫌われるのはいやだった。
僕は部屋に戻りなる美が戻ってくるのを待った。するとその時
ぴりりりりりりり
「うわ!、、、なんだ電話か」
僕が携帯を開くとなる美からだった。近くにいるのに何でわざわざと思ったが出た。
「もしもーし。もしかして紙がないとか?」
「もしもし春翔?紙?なに紙って?」
「ご、ごめん。デリカシーなかったね。トイレに行ったからさ。」
「誰が?」
「え、なる美がだけど」
「私今自分の部屋にいるよ?」
「は?」
「ごめんけど今日調子悪いから肝試し行けないかも」
「、、、何言ってるの?今トイレに行ったじゃん、、、やめてそういう冗談」
「春翔今どこにいるの?」
「旧高校寮の中にいるけど」
「え!?なんで!?一人で入ったの?」
「なる美、本当に自分の部屋にいるの?冗談だよね?」
「いるよ!春翔大丈夫?悪いから今から私も行くよ!」
「いや、来ないで!いやな予感がするんだ!」
「行くよ!約束だもん!」
「お願い!なる美、来ないで!」
僕はなぜか分からないが必死に頼んだ。その時
ふっ、、!
電気が消えた。
「うわ、暗い!なる美!」
「え、、な、、て?聞、、えな、、」
電波が悪くなり
ツー、、、ツー、、、
電話が切れてしまった。
「冗談だよね?本当なら今まで一緒にいた人は誰?」
僕は恐怖で固まっていたがおそるおそる廊下に出た。すると女子トイレの明かりは消えていた。
「なる美、、、?いるの、、、?」
僕は女子トイレの所まで来てドアを開けた。しかし中には誰もいなかった。
僕がドアを閉めると、背中に温かい感触がした。
「春翔、うわああああ」
「ぎゃああああああ!!」
「あはは!結局ビビったのは春翔だったね!」
なる美は僕の後ろから手を回し、抱きついていた。
「なる美、、、?」
「なる美だよ!」
「本当になる美なの?」
「うん、なる美だよ、、、」
違う。なる美は僕をからかいはするがこんなに抱きついてきたりすることはない。それに自分のことを名前で呼んだりもしない。
「君は誰?さっきなる美から電話がかかってきたんだ。まだ自分の部屋にいるって」
「そうなんだ!でも私はここにいるよ?」
「正直に言って?君は本当になる美なの?」
僕が聞くとしばらくなる美は無言になった。背中に当たるなる美の胸と耳元で聞こえる息遣いに僕はドキドキした。
「、、、なる美だよ。そして電話をかけてきたのもなる美」
「全部冗談だったってこと?」
僕はなる美が冗談だったと笑っていうことを期待したが
「ううん。私は二人いるの。肝試しに行った私と行かなかった私。覚えてない?」
「何のことだかさっぱり」
「そっか。私は肝試しに来た私。どうして来たか。それはね春翔に伝えたいことがあったから」
「伝えたいこと?」
「うん、、、」
なる美は僕の体をぎゅっと抱きしめ、
「あなたが好き」
「え?」
「春翔、あなたが好きなの。ずっと好きだったよ。最初にネコにエサをあげてる優しい春翔に会った時から」
「ちょ、ちょっと待って!」
僕はなる美の手を振りほどき振り返ってなる美と向かい合った。
「ど、どうしてそんな嘘をつくの?君は確かになる美の姿だけど本当は何なの?ねえ、教えてよ!」
「春翔、あなたおかしいよ?私はなる美だしあなたが好きなのも本当だよ?」
「もうなにがなんだか」
「春翔、さっきはエッチって言ったけど本当は自分でパンツ見せたの。」
「え?ああ、入るとき、、」
「うん。春翔の気を引きたくてさ。でないと女の子が簡単に下着を見せたりはしないよ?」
「そうかもしれないけど、、、」
僕はさっきのことを思い出して興奮しまた勃起していた。
「あ、私で興奮してくれてるんだね。うれしいよ。ねえ春翔?ちゅうしよ?」
「え、、、う、うん」
僕はもう思考停止していた。目を閉じてキス顔をしているなる美にゆっくりと顔を近づけていった。すると
「ぎにゃああああ」
「うわあああああ!」
「え?春翔落ち着いて!ネコだよ!」
「ネコ?確かに外にはいたけどここは建物の中だよ?」
「どこかから入ったんじゃないの?」
「そうかな。でもどこにいるのか分からない」
「ぎにゃああああああ!!」
「うわああああああ!!!」
「春翔!春翔!」
「なる美、、、もう帰りたい、、、」
「春翔、聞いて!春翔は私のこと好き?」
「なる美、、、うん、好きだよ。いや好きだったよ。ずっと」
「ありがとう。春翔よく思い出して。いーい?今から屋上に行きましょう」
「え?」
「この建物は両端にそれぞれ屋上への階段がある。私はあっち側の階段から、春翔は反対の向こう側から。」
「一緒に行こうよ。」
「ううん。一人で行かなきゃ。そして屋上でもう一度思いを伝えあうの。」
「なる美、、、もう分かんないよ、、、」
「・・・」
僕はもうビビりだと思われてもいいからすぐにでもこの場所から逃げ出したいと思っていた。すると
「やーい!春翔のビビり!」
「なる美、、、」
「臆病者!そんなんだからいつまでも昔のことから逃げてるのよ!」
「そうだ、、、僕は臆病だ」
「ねえ、春翔?また私のパンツ見たくない?」
「え?そりゃ見たいけど」
「春翔が私より先に屋上についたらいくらでも見せてあげる!それに、、、」
「それに、、、?」
「胸だって触ってもいいよ、、、春翔なら特別に、、、」
僕はなる美の巨乳をみてゴクッと生唾を飲み込んだ。
「やるの?やらないの?」
「やる!」
「よし!でも春翔はビビりで遅いだろうからハンデで私は歩いていくから!屋上でまた会いましょう!よーい、ドン!」
僕は走った。床に割られたガラスの破片が散らばっていてガシャガシャと音を立てた。
建物の端の階段についたとき、後ろを振り返るとなる美はまだ向こう側まで着いていなかった。
僕はもしかするとこれでなる美と永久に会えなくなるんじゃないかと不安になった。
しかし屋上でまた会いましょうというなる美の言葉を思い出し前に進んだ。
階段は踊り場の窓から外の月明かりが差し込み明るかったがそのことで荒れた周囲がよく見え、かえって不気味さが増していた。
僕はなぜか音を立ててはいけないと思い、ゆっくり階段を登って行った。
僕は徐々に今一人でいることを認識しだし、恐怖を覚えさらにゆっくりになっていった。
ぱきぱき、、、
「ひえっ」
僕はなんでもないような音にも背筋をヒヤッとさせた。
それでも登り続け二階の踊り場を通っているとき
「ぎにゃあああああ!」
「うわあああああ!」
僕はまたも聞こえたネコの鳴き声に怯え壁に背中を張り付けた。
周りを見渡してもネコはどこにもいない。
「ネコじゃない!ネコの鳴き声じゃない!」
「ぎにゃあああああ!!」
「うわあああああああ!!」
ネコの鳴き声を装った何かが近づいてくる、、、追いつかれたらマズい!僕はものすごい防衛本能が働き、必死の思いで階段を駆け上がった。
「屋上だ!ドア!」
外へ出るドアを開けようとすると開かない。必死にガチャガチャしていると
「ぎにゃあああああああ!!」
「うわああああ!!頼む!開いてくれえええ!!」
バタン!とドアが開いた。いや外から誰かが開けた。
「春翔!大丈夫?」
「なる美、、、、」
先に屋上に着いていたなる美が開けてくれた。
「なる美、ネコが、、、、」
「大丈夫、ネコはもういないよ」
「そっか、よかった」
「でも春翔の負けだね」
「そうだね、、、」
「パンツもおっぱいもおあずけだね。それより春翔見て!」
なる美が空を見上げた。僕も見上げると
「うわあ、きれい!」
満天の星空だった。地上にいるときは下ばかり向いてたから分からなかった。
「すごい、全然気づかなかった」
「ねえ、春翔?」
「何?」
「私春翔のことが好き。春翔、これからもずっと一緒だよ?」
だが僕はうんとは言わなかった。
「なる美、でも君はいなくなってしまうんだよね?」
「どうして?」
「だって僕が肝試しになんか誘ったから。僕がそんなこと言わなかったらなる美は、、、」
僕は泣いていた。
「いなくならないよ」
「え?」
「私たちは一回離れ離れになった。でもこうしてまた星空の下で再開できた!私たちはいろんな不安や恐怖を乗り越えてここにたどり着いたんだよ!」
手を広げてなる美は回りながら言った。スカートがふわっと舞い上がり僕はドキッとした。
「だからさ、いなくならないよ?」
「なる美、、、」
「春翔、思い出してくれた?私の言葉。」
「うん、思い出したよ。ありがとう、なる美」
「いいえ!私は私の最期の言葉であなたの思い出の中にずっと生きるよ!」
「うん、、、」
「大好きだよ、春翔」
なる美が僕にゆっくり近づいた。
「なる美、僕もだよ」
僕もなる美に近づき、そして彼女と唇を重ねた。
想像の中の彼女の唇は柔らかくて温かかった。
しかし現実は違った。僕は固くて冷たい壁から唇を離した。
目の前には真っ白の壁。僕はなる美が交通事故で死んだショックで心を病み、数か月精神病院に入院していた。
あの日の夜、なる美は肝試しに来る途中にトラックにはねられて死んだ。
はねられた直後なる美は最後の力を振り絞り、僕に電話をかけてきていた。
「トラックに轢かれちゃった、、、」
「え!?今どこなの!?救急車呼んですぐに行くよ!」
「春翔、いいの、、、でも最期に言わせて?」
「な、何?」
「あなたのこと、、、愛してる、、、」
なる美からそう言われ電話が切れた。
僕はすぐになる美を探しに行った。救急車の音が聞こえたのでその場所まで走っていった。
学校近くの事故現場に行ったときなる美はすでに息がなかった。
僕は事情を話す気力も失い、夜中だったが寮の管理人から電話で話を聞いた親が車で迎えに来てその日は自宅まで帰った。
僕はなる美の親からは当然責められるだろうと思っていたが、面会した時彼女の親は悲しいはずなのに優しくしてくれた。
「ごめんなさい、僕のせいで、、、」
「いいえ、、、なる美も自分で行ったから。あなたを責められはしないわ」
それでもなる美の母親は泣いており、僕はいたたまれなかった。
「すごく喜んでたのよ」
「え?」
「大好きな男の子から貰ったんだって。きれいなブレスレット」
「あ、、、いえ、、、」
「ありがとうね、なる美と仲良くしてくれて、、、」
「あの、、、なる美は最期に言ってくれました」
「、、、なんて?」
「あなたのこと愛してるって」
なる美の母親は優しく微笑んでくれた。
僕は激しく後悔した。
ショックで寝込み、学校も休みが続いた。
「母さん、僕さ、なる美と肝試ししたんだ。すごく楽しかったよ」
「春翔、、、」
「また今度遊ぶ約束をしてるんだ。ね、母さんも頑張ってって言ってくれたよね?僕なる美が大好きなんだ」
僕は現実から目を背け、なる美と一緒に肝試しをし、今もまだ生きているんだという妄想に取りつかれていた。
僕は精神病院に連れていかれ、入院することになった。
数か月で退院したが、それからも長い期間学校を休んでいたので留年し復学した。
今では社会人になり普通に暮らしている。
当時のことを思い出すと今でも苦しいが、それでも事実を受け止めることができるようになっている。
本当はあの日の夜、なる美は僕に愛してるなんて言ってはいない。言ったのはまったく別の言葉だった。
ゆめだったんじゃないかと今でもたま思う。
ルールを破り肝試しに誘ったのは僕だ。
さいごになる美が言った本当の言葉を知りたい?
なら最後の五行の最初の文字を縦に読んで。
いまでも耳に残る君の言葉。「あなたのこと、、、