この度は私の投稿をお読み頂き、また、多数のコメントと、続編希望を頂きました事を心より感謝致します。
長きに渡りお送りした中学・高校時代編でしたが、現在は大学生時代のちょっとしたエロ話をお送りさせて頂いております。
文中にて時代背景が前後する事がございますし、誤字脱字も多く有るかと思いますが、予めご容赦願いたいと思います。
さて、先ずは投稿に間が開いてしまった事をお詫び申し上げます。拙い投稿を楽しみにお待ち下さった読者様へ感謝を申し上げます。
私こと珍苗字、前回の投稿後に社内の人事異動になりまして、営業畑から事務畑へと畑違いの部署に異動となって四苦八苦しておりました。
投稿は帰宅後の時間を観ながらポチポチと進めてはいたのですが、次編投稿予定の主人公となる人物へお話の聞き取りを行っておりました。
ちょっと立場がある人物故に多忙を極めており、現在も空いた時間を利用して思い出して貰いながら聞き取りをして纏めております。
大学時代編も終盤の10話目となり、本来であれば前話で予告した「トモ」のお話となるのですが、諸般の理由により予定を変更させて頂きます。
思いの外多くのご評価を頂いた前話のサユリ編。エロさはいつもの如く少ないとは思いますが、今回もサユリにまつわるエピソードをお送りします。
物語は衝撃的な事実が発覚した成人式から2週間後から始まり、私とサユリ、妹のチヒロ、そしてユウコの関係を再構築していく様なお話となります。
いつもの如く、長文のクセにエロ要素は少ないと思いますので、次編への「続編希望ボタン」をポチっとして頂けると幸いでございます。
———-本編開始————
【Episode①バイバイ!サユリ!】
成人式から早いもので2週間。お互いにショックさは有れど、妹のチヒロが間に入り、私とサユリとの関係は・・・合いも変わらずで、性行為以外は元通り。
幼馴染の垣根を越えて「友達」から「恋人」へ変わり、「男」と「女」として愛し合い、今後もサユリとは良い関係を保てると漠然と思ってました。
そんな時に迎えた成人式。長年秘められてきた過去の秘密をお互いの親から教えられ、恋人からまたも幼馴染となり、20年振りに実の姉弟に戻りました。
・・・とは言え「双子の姉弟」と言われても空白期間が長過ぎて現実味がある訳でもなく、失恋とは違う胸の痛みとショックさが私とサユリには色濃く残っておりました。
「姉弟」に戻って私とサユリは大人しくなったと思うでしょ?弟である私とは言えども、男を知ったサユリとの肉体関係は切れそうも有りませんでした。
サユリ:「中に出しちゃダメって言ったでしょ!妊娠したらどうするのよ!(怒)」
私:「何言ってんだよ!イクって言ってんのにオマエがオレの身体を押さえ付けて、腰を動かし続けるから身体を放せないんだよ!」
サユリ:「あ・・・ゴメン・・・(汗)」
私:「ゴメンじゃねぇよ!ナマが良いって速攻でまたがって来たのはオマエの方だからな!ゴム付けるって何回も言ってんのに・・・。」
サユリ:「だって、ナマの方が気持ち良いんだもん・・・(恥)それに生理前だからムラムラしちゃって・・・。」
私:「ムラムラって・・・。普通はイライラするもんだろ?せめてイクって宣言した時は素直に腰を放してくれよ・・・。」
サユリ:「・・・解かった。でも、最高潮になってる時にそれは無理ってもんでしょ(笑)」
私:「あのなぁ・・・。オレらは姉弟に戻ったんだ。肉体関係はもうしないってユウコと約束したろ?」
サユリ:「そんな事を言って(笑)私はユウコちゃんと同じで門番役なんだよ!Yだって本当は私としたいでしょ?(笑)」
私:「え!?いやいやいや!それは違う!サユリはオレの姉貴なんだ!弟のオレじゃなく、新たにちゃんとした彼氏を作れ!」
サユリ:「それは無理よ!私もユウコちゃんと同じでYで男を知っちゃったし、他の男に抱かれる気は無いわ!それにYが居るから彼氏を作る気も無いし♪」
私:「作れよ!それに門番役だからって(SEXを)ヤル事は無いんだよ!ユウコとはもう2年もしてないし、サユリはオレの姉貴として・・・。」
サユリ:「解ってるって!さすがにマズいな?とは思ったけど、今日は(SEXを)したくなったの!(恥)」
私:「・・・ったく・・・。双子の姉弟だって知らずにこういう関係になったけど、近親相姦は絶対にマズいだろ・・・(汗)」
サユリ:「マズいよねぇ・・・。やってる所を親にバレたら殺されるかもよ・・・(呆笑)」
私:「はぁ・・・(溜息)親もだけど、チヒロにもバレたらどえらい事になるぞ・・・。」
いつもの如く、大学終わりにサユリを迎えに行って家まで送り届けていたのですが、この日は共通の用事も有ったのでサユリの部屋にて時間を潰してました。
何を切っ掛けにしたかは判らないけれど、悪戯っぽく笑ったサユリに突然キスをされて驚き、身体を傾けた瞬間、私はものの見事にサユリに押し倒された。
近親相姦はマズいって事はお互いに解かってはいるけれど、10数年間に渡って片思いをし続けてくれたサユリにとって、私は弟でも人生初の恋人である。
性格も似ていて、ケンカをしても自然和解。普通の恋人同士ならば別れに発展する様な場面になっても我々は双子の姉弟である。居心地だって良い筈です。
私:「なぁ、今何時だ?」
サユリ:「ん?18時を過ぎたとこだよ。そろそろユウコちゃんを迎えに行かなきゃないんじゃない?」
私:「あぁ、服着なきゃ・・・。オレのパンツどこだよ?女に押し倒されるなんてごめんだぜ・・・(呆)」
サユリ:「フフフッ!だね!もうしない!あ、はいパンツ!シャワー浴びてったら?いっしょに入ってあげよっか?」
私:「それは遠慮しとく(苦笑)」
サユリ:「ふんっ!つまんない!姉弟だって解った時からドライだよね!」
私:「当たり前だろ!いつまでもこういう関係を続ける訳にもいかないし、ユウコとも約束したんだから切り替えなきゃ・・・。シャワー借りるぞ?」
サユリ:「どうぞ~。」
私はシャワーを浴びながら今後の事を考えていた。サユリの事、ユウコの事。そして、一応の再会まで5年を切った許嫁のカオリの事だった。
どんなに相性が良くて居心地が良くても、サユリは血の繋がった私の姉だ。女として愛せなくなっても、家族として姉の事を愛し続けて行けば良い。
ユウコはどうだ?サユリの様に血の繋がりは無いけれど、私にとっては家族も同然である。妹?姉貴?違うな・・・。男でも女でもない、ユウコはもう相棒だ。
切っても切り離せない身体の一部で大切な存在。そんなユウコに「門番役の代理彼女」としていつまでも依存するなんて申し訳なさで胸が痛くなる。
ひと先ずのゴール地点に居るはずのカオリ。そろそろゴール地点に向かって集中して進んで行くべきなんだろうか・・・。でも・・・ユウコの事は・・・。
サユリ:「ちょっと~!いつまで入ってる気?ユウコちゃんから電話来たよ~!」
私:「・・・お・・・おぅ!今出るよ!(ガラガラ・・・)・・・ユウコなんだって?」
サユリ:「1本乗り遅れたらしくて、次の新幹線乗るって!私の携帯に電話よこして来たよ!ほい、バスタオル!」
私:「あ、サンキュ。でもなんでサユリに??」
サユリ:「かけ間違えたみたいよ!私が出たからびっくりしてたけど、Yと一緒に居るって言ったら伝えといて!って(笑)」
私:「伝えとけってか(笑)間違えといて伝言頼むとはユウコらしいな!」
サユリ:「だから電話番号を選ぶ時に一桁違いは止めようって言ったのに・・・(呆)」
私:「仕方ないだろ?一桁違いの方が覚えやすくて良い!ってユウコが聞かなかったんだから・・・。」
この1996年はアナログからデジタルに移行したドコモの携帯料金が安くなった時節。私とユウコ、サユリの3人はポケベルを止めて同じ携帯を契約し、番号の下一桁が一番違い。
まだ携帯電話なる物を使い慣れて居なかったって事も有って、今回のユウコの様に番号の覚え違いから電話を掛ける相手を間違える・・・なんて事が偶に有ったのでした。
サユリ:「ねぇ・・・これからどうすんの?」
私:「ん?どうするって?ユウコを迎えに行って・・・」
サユリ:「そうじゃないわよ!私との関係よ!」
私:「どうするも、こうするも無いだろ?オレとサユリは姉弟!同じ血で繋がったな。」
サユリ:「はぁ・・・(悲)やっぱり失恋なんだな・・・。姉弟じゃ無ければ最高の相手だったのになぁ・・・。」
私:「オレもそう思ってたけどな・・・。でも、姉弟に戻ったんだし、オレは失恋なんて思っちゃいねえぞ!」
サユリ:「Yは良いよね!私と別れて姉弟になったって、ユウコちゃんの許へ恋人として戻れば良いだけだし!」
私:「なんだよそれ?」
サユリ:「私はYと別れたら一人ぼっちよ!また大学でチャラけた連中の彼氏話に巻き込まれるのかと思うとウンザリ!」
私:「ウンザリねぇ・・・。どうせもうちょいで大学休みに入るんだし、自分磨きでもしたらいいんじゃないのか?」
サユリ:「自分磨き?エステにでも行けっての?休み期間中は略々店の手伝いよ!」
私:「お!若女将!気持ちを入れ替えて寿司屋を継ぐ決心をしたのか??」
サユリ:「そうじゃないけどさ・・・。仲居さんと板さんが高齢で辞めちゃうから、手伝い位はしてあげなきゃって思って・・・。」
私:「そっか・・・。サユリは手先が器用なんだし、魚だって綺麗に捌けるんだから調場でも十分に戦力になるだろうな!」
私:「オレ、サユリが作っただし巻き卵とか鰺のたたきって好きだけどな!刺身盛だって綺麗に作るし!」
サユリ:「えぇ~!板さんになれっての?女の板さんなんて聞いた事ないよ!仲居の手伝いだけで充分!」
私:「そうなのか?でも女の板さんってカッケエじゃん!サユリは英語ペラペラだし、外人相手に商売したらイケるんじゃね?」
サユリ:「えぇ・・・勘弁してよ・・・。調場に入ったとしても陰でひっそりやりたい・・・。気が散るし・・・。」
私:「あ、手伝いのバイト代って出るんだろ?それを当てにして、車の免許をいい加減取りに行ったらどうだ?」
サユリ:「あー、取らなきゃないなぁ・・・って思ってた所だったし、お父さんに相談してみるか・・・。」
私:「良いんじゃね?料理は無理だけど運転なら教えてやれるし・・・。あ、教習所って出会いも有るらしいぞ?丁度良いじゃん(笑)」
サユリ:「出会い??それに丁度良いって何よ!教官と仲良くなれってか?」
私:「なんで教官なんだよ・・・(-_-;)」
サユリ:「仲良くなったらオマケしてくれそうじゃん(笑)店に出る時の仲居の着物で行こうかな?オヤジ連中にウケるんだよねw」
私:「オヤジキラーか?オマエは・・・。着物と草履なんかで運転出来ねーぞ!」
サユリ母:「サユリー?お店混んで来たから手伝ってー!」
サユリ:「えー!今日はこれからまた出かけるんだけどー??」
サユリ母:「そんなの聞いてないわよー!19時から宴会も入ってるし、早く手伝って!!」
私:「あれ?オマエ、今夜の事、おばさんに言ってないの??」
サユリ:「言うの忘れちゃったのよ・・・。私が居る前提で仲居さんのシフト作ってるから今更サボれんわ・・・。」
私:「・・・ったく、どうすんだよ?おまえの分、キャンセルで良いのか??」
サユリ:「ゴメン!ユウコちゃんには後で謝っとくからさ!今夜は二人で楽しんで!」
サユリ母:「サユリー!!(怒)」
サユリ:「はぁ~い!着替えたら行くー!」
サユリ母:「早くしてよー!(怒)」
サユリ:「ハイハイ・・・。あ!そうだ!コレ・・・ユウコちゃんに!」
私:「ん?なんだ?」
サユリ:「私からユウコちゃんに渡そうと思ってた誕生日のプレゼントよ!渡しといて!」
私:「あ・・・サンキュ・・・。良いのか?本当に来なくて・・・。」
サユリ:「手伝えって言われてるし、行ける訳無いでしょ!・・・ユウコちゃんと二人で仲良くやんな!」
私:「・・・サユリ。」
サユリ:「姉弟って解かった時からずーっと考えてたんだけど、アンタの門番役はやっぱりユウコちゃんじゃなきゃダメ!私は・・・血の繋がったア・ネ・キだから!(Wink!)」
私:「・・・フンッ(鼻笑)・・・コレ、ありがとな・・・姉ぇちゃん・・・。」
サユリ:「ふふっ!早く行きな!道路の雪、凍ってると思うから運転気を付けてね!」
私:「あぁ・・・。じゃあ、またな・・・。」
にっこりと笑ったサユリは自分の部屋へ着替えに戻って行ったけど少し寂しそうな後ろ姿だった。この後、サユリは仲居の着物に着替えながら大泣きしてしまったらしい。
1996年(平成8年)1月26日、本日はユウコの20歳の誕生日。卒業まで後僅かとなった短大帰りのユウコと合流して誕生日を祝う予定だったけど、サユリは手伝いを口実に辞退した。
サユリ宅を後にし、中央駅の新幹線改札前でユウコを待つ。サユリが居ない事を不思議がって居たけれど、来れなくなった理由を伝えたら呆れ顔をしつつも残念がっていた。
隣接するターミナルホテルのフレンチレストランを予約していたので、ユウコと二人で食事をして、その後は仲睦まじくユウコの部屋でゆっくりとした時間を過ごしました。
ユウコ20歳の記念で盛大にエッチでもすると思ったでしょ?私とユウコの恋人関係はまだ休止中。エッチなんかしなくても、二人で居られるだけでも十分嬉しいのです。
勿論、今日のサユリとの出来事はユウコに報告して怒られたし、私とサユリの関係に一先ずピリオドを打てた事も報告しました。呆れ笑顔のユウコが側に居てくれました。
この日を境にして私とサユリは、恋人時代に築いた信頼関係はそのままに色恋沙汰とは無縁な姉弟関係と友達関係に戻り、所帯を持った今も尚、良好な関係を続けています。
その後もサユリは我が家にしょっちゅう遊びに来ては妹のチヒロを弄り、我がオヤジとオフクロに頼りにされ、私とユウコを顎で使い、珍苗字家の元・長女としても君臨。
以前よりも積極的に店を手伝い、その合間を見て教習所通いを続けてました。女としての自信も付いたのか、サユリの顔に笑顔と愛想が「少しだけ」沸く様になりました。
———-時節変更・2月———-
【Episode②サユリとチヒロ、姉妹でバズる??】
大学入試期間の休講を経て、長ーい春休みに突入。サユリは寿司屋のランチ営業の手伝いを終えると毎日の様に自動車教習所に通い、帰宅後は再び店の夜営業の手伝いを続けてた。
連日店に出る様になったサユリの事が常連客は元より、一見客からもちょっと評判となり、噂を聞き付けた地元タウン誌の誌面企画だった「店の看板娘」に取り上げられる事になった。
超・人見知り癖が有るサユリ。昔ほど仏頂面ではなくなったけれど、人前に出て緊張すると(-_-)←こんな絵文字の様な顔になる。取材撮影時もカメラを向けられるとその顔になった。
何度も撮り直しを受けて、奇跡的に写った優しそうな笑顔(メガネっ子w)が誌面を飾った。女優の小西真奈美と橋本愛を足した感じの色白で黒髪ボブの長身美女+仲居の着物姿が評判を呼んだ。
お使いに出掛けて商店街を歩けば、商店主達から「よ!看板娘!」と声を掛けられ、買い物客からの視線を一気に浴びて赤面困惑。タウン誌を読んだ若者読者がサユリ目当てに店へ押し掛け始めた。
おかげで店は繁盛したけれど、今度は噂を聞き付けた地元テレビ局が取材に来る事になり、夕方のニュース情報番組内で飲食店を紹介するコーナーにて「若女将」としてサユリが出る事になったのだ。
・・・とある日の日曜日。買い物に出掛けたオフクロとチヒロは、サユリ宅の寿司屋にてお昼を食べていた。料理を持って来たサユリがどっかりと客席に座り込んでオフクロにボヤキ始めたらしい。
サユリ:「ねぇ、どうしたら良いと思う?私、テレビになんか出たくないよ・・・。」
オフクロ:「出たくないって言ったって、取材の申し込みを受けちゃったんでしょ?協力してあげなさいよ!」
サユリ:「雑誌の時みたいにただ写るだけってならまだしも、テレビは喋んなきゃ無いんだよ!店の紹介とかお寿司の事とか・・・。」
チヒロ:「お姉ちゃんは喋ると言い回しがキッツいもんね!お母さんと同じで!(笑)」
サユリ&オフクロ:「なんですって??(怒)」
チヒロ:「あ、いや(苦笑)・・・お兄ちゃんが言ってたけど、そう言う取材って予め喋る事を書いた台本があるんでしょ?ただ読めば良いじゃん!」
サユリ:「台本??ただでさえ緊張思惟なのにスラスラ喋れると思う??しかも生放送だよ!私を甘く見るなよ!」
チヒロ:「あぁ・・・さすがはお姉ちゃん・・・私と一緒だ・・・(^_^;)」
サユリ:「オマエもか!多少は似てるから替え玉にしようと思ってたのに・・・。」
サユリ母:「こら!(ポカッ☆)客席に座り込んじゃダメって言ってるでしょ!仕事に戻んなさい!」
サユリ:「痛っ!ちょっと!生みの親が居る前で叩かないでよ!しかもお客さんが他にもいーっぱい居るのに!」
オフクロ:「育ての親の愛のムチよ!サユリちゃん!先ずは仕事に戻んな!相談はその後!」
サユリ:「はぁ~い・・・。あ、いらっしゃいませ~↓↓」
オフクロ:「チヅルさん、凄い混み様ね・・・。雑誌の効果ってこんなにあるものなの?」
サユリ母:「私も正直驚いたけど、客層を見てるとサユリ目当ての若い男の子ばかりだし、手紙置いてったり、この前なんか花束よ(苦笑)」
チヒロ:「ほえぇぇ・・・花束・・・。お姉ちゃん凄いじゃん・・・。」
サユリ母:「チーちゃんみたいに愛想の一つでも振り撒けば良いんだけど、ツンツンした態度だからお客さんが引いちゃってねぇ・・・。」
オフクロ:「でも、そんな邪な気持ちで来るお客さんで繁盛しても嬉しくは無いわよね・・・。サユリちゃん・・・テレビに出させるの?」
サユリ母:「親方と悩んでた所・・・。テレビ局の要望でどうしても・・・って言われてるしねぇ・・・。」
オフクロ:「女将なんだから本来はチヅルさんよね?チヅルさんじゃダメなの?」
サユリ母:「年増には興味無いんでしょ!【若女将でお願いします(笑)】なんてヘラヘラ笑ってたわ!嫌ねぇ・・・。」
・・・なんて話になったそうで、夕食時の食卓でオフクロから聞かされた。テレビが取材に来る事自体はサユリから聞いており、緊張思惟であがり症のサユリは相当嫌がってた。
高校時代に放送委員会に所属していた私。校内放送や地元FM局の高校生製作番組にてアナウンスをしていたので、人前で喋ったり、時間通りに台本を読んだりするのは慣れていた。
取材に来るテレビ局の製作スタッフの中に、高校時代に顔見知りになっていた人が居たので、番組の企画書と凡そのセリフが入った原稿のコピーを拝み倒して無理矢理ゲット。
高校終わりのチヒロを連れてサユリ宅へ行き、ビデオカメラの前にサユリを立たせてセリフ読みの猛練習をさせました。練習の甲斐有って良い感じに仕上がったと思ったのですが・・・。
———-取材収録&放送当日———-
ランチ営業が終了した所でテレビ局のスタッフがサユリ宅の寿司屋に集合。カメラや照明を設置したり、インタビューする地方巡業芸人タレントがリハーサルを始める。
私とユウコは取材見学がてら、サユリの冷やかしと客席に座ってのお客さん役。興味津々で場の雰囲気を見渡しつつ、サユリに同調して緊張するユウコが可愛らしかった。
情報番組は16時から生放送開始。お店紹介は17時のニュースが終わった後に生中継される。放送時間はわずか15分程でサユリが喋るのはほんの数秒、長くても1分程度だった。
ディレクター:「お!珍苗字くん!久し振りだね~!大学生だって?そっちの子は彼女?」
私:「はい!彼女・・・ってか相方ですね!お互いに教員目指して頑張ってるっす(笑)」
ディレクター:「教員??そうなんだ!珍苗字くんの喋りは面白かったから、こっち(放送)の仕事に進めば良いのに!」
私:「いやぁ・・・。テレビに顔が出るのはちょっと(苦笑)ラジオだったらまだ良いですけどね(笑)」
ディレクター:「そう言えば、若女将ちゃんって珍苗字くんの姉貴なんだって?しかも双子の・・・。」
私:「はい、色々有って知ったのは最近なんですけどね・・・。ウチの妹もビックリしてましたけど・・・。」
ディレクター:「あ、珍苗字くんって妹ちゃんも居るんだ!今日来てるの??」
私:「高校終わったら見学に来るって言ってました。姉貴は緊張思惟で超・あがり症なんでハッパ掛けてやるって(笑)」
ディレクター:「あっはっはっは!姉貴ちゃん、度胸座ってそうだし大丈夫だろ!妹ちゃんにも一緒に出て貰おうかな?美人姉妹で!」
私:「はぁ??妹もですか?姉貴と一緒で笑わないと能面みたいな顔してますよ(笑)それに、姉貴の態度は見た目だけですよ(笑)」
・・・なんて軽ーい話をしている最中、肝心のサユリはうーうー唸りながら自分の部屋に閉じこもっていた。朝からずーっとテレビに出るのを嫌がってたんですよね。
サユリを交えてリハーサルをすると言うので部屋に呼びに行くと、真新しい仲居の着物に着替えてはいるものの、化粧をしてても顔色が超・悪いのが解る感じだった。
私:「おいサユリ?打ち合わせとリハーサルするから来いってさ。」
サユリ:「えぇ・・・?やっぱり行かにゃかダメ?・・・オエッ!!」
私:「嘔吐くなよ(汗)まだ本番まで時間あるし、どういう風に撮るか、話して貰うかの調整だから大丈夫だって!」
サユリ:「うにゃぁ・・・わかった・・・。・・・ねぇ、チーちゃんは?」
私:「まだ来てねぇよ。時間的にはまだ5時限目の最中だから、こっち着いて16時半過ぎって所じゃねぇか?」
サユリ:「うわぁ・・・やっぱり替え玉無しかぁ・・・。リハーサルだけで私は死ぬかも・・・。アンタが変わってよ・・・。」
私:「オレに仲居の着物を着ろってか?オマエの髪型と同じ様な、おかっぱのヅラ被れば見た目だけは行けるだろうけどな(笑)」
サユリ:「おかっぱって言うな・・・。あぁ・・・(テレビに)出たくねぇ・・・。」
ブツクサ言ってるサユリの背中を押しながら店へ連れて行き、ガチガチに緊張するサユリを交えて打合せ&リハーサルスタート。サユリの動きはロボコップの様だった(笑)
サユリのセリフはおススメの寿司紹介と営業日時の案内のみ。最後に「お待ちしてまーす♡」とカメラに向かって笑顔で手を振るだけ。素人にも簡単っちゃ簡単である。
インタビュアーの芸人タレントが勝手にしゃべり、出された寿司を舌鼓して感想を述べる感じで、あとはスタジオからのトークバックに応えてやり取りをする感じだった。
何度もリハーサルを受けたサユリ。引き攣った笑顔はまだしもセリフは忘れるし、やっとセリフが口から出ても「ワ・レ・ワ・レ・ハ・ウ・チュ・ウ・ジ・ン・ダ」状態。
呆れたディレクターがサユリをちょっと叱ったけど、刻々と迫って来る中継時間に合わせて、緊張度合いがMAXに上って行くサユリにはディレクターの注意は馬耳東風・・・。
私:「おいサユリ?大丈夫か?」
サユリ:「・・・エ?(冷汗)アタマノカナガ・・・マッシロダ・・・。」
私:「真っ白過ぎんだろ・・・(苦笑)ディレクターが言ってたけど、問いかけの間合いとセリフ位はちゃんと覚えておけよ!」
サユリ:「無理だ・・・。チーちゃん!早く来てぇぇぇぇぇぇ!!!(泣)」
私:「まだチヒロを変わり身にさせる気でいるのか?最悪、ユウコに仲居の着物着せて化けさせるか?」
ユウコ:「にゃ!?サユリちゃんの為でもわたしは無理だよ!」
私:「冗談だよ!(笑)」
サユリ:「あ、そっか・・・。ユウコちゃんが居たんだ!ちょっと来て!!」
嫌がるユウコの手を引いて、バックヤードの更衣室に入って行ったサユリ。暫くして出て来たのは、他の仲居さん用の着物に着替えたユウコの姿だった(笑)
ユウコ:「はぅぅぅぅ・・・(泣)着替えさせられた・・・。」
サユリ:「これで良し!(笑)」
私:「おいおい・・・。本気でユウコに替え玉をさせる気か?しかもツインテールだし・・・。別人だってバレバレだろうが・・・(-_-;)」
サユリ:「うんにゃ!替え玉にはしない!ユウコちゃんに喋って貰って、私は隣でニコニコ笑ってる!(ポカッ☆)・・・痛った!!」
サユリ母:「嫌がる友達に無理矢理着物着せてバカな事を言ってんじゃないの!しかも足元はパンプスじゃない!覚悟を決めてしっかりしなさい!(怒)」
サユリ:「だって・・・。」
・・・結局、サユリの悪策も虚しく私服に着替え戻されたユウコは私と一緒にお客さん役。ディレクターに捕まったサユリは決められた立ち位置に配置されて震えてた。
私:「間もなく本放送始まるけど、大丈夫か??」
サユリ:「わかんにゃい・・・。トイレに行って来ればよかった・・・。」
私:「まだ間に合うから行って来いよ!漏らしたらシャレにならんぞ!」
ユウコ:「そうだよサユリちゃん!一緒に行ってあげるから、トイレ行こ!」
サユリ:「無理・・・。足が動かにゃい・・・(T_T)」
私:「・・・ったく。」
サユリ:「・・・Y?私にキスして!」
私:「はぁ!?こんな時に何言ってんだよ!」
サユリ:「私に勇気をちょうだい!バレエの二の舞はゴメンよ!」
私:「バレエの二の舞?なに言ってんだよ??」
ユウコ:「むぅ~!!!サユリちゃん!えいっ!(チュッ♡)ぎゅうううう・・・。」←サユリに抱き付いてキスしたww
サユリ:「むっ!?(チュッ♡)ぎゅうううううう・・・。」←ユウコに抱き付かれてキスされてユウコを抱き返したww
ユウコ:「どう?少しは落ち着いた??わたしじゃダメ??」
サユリ:「(ぽぉぉぉぉ♡)・・・ううん・・・ちょっと勇気出た・・・。」←真っ赤な顔をして照れてたww
時刻は16時。本放送が始まり、オープニングトークで寿司屋の中継が入った。軽快にしゃべる芸人タレントと一緒にユウコにキスされて真っ赤な照れ笑顔をしたサユリが一瞬テレビに映った。
「はい!OKでーす!」の声で一旦中継終了。あとは17時以降の本中継を待つのみ。再度打合せとか最終リハーサルが始まり、客役の我々にも撮影段取りや自然に振舞う様にと指示が入る。
ユウコ:「ねぇ・・・Y?サユリちゃん大丈夫かなぁ・・・(心配)」
私:「ユウコにキスされたし大丈夫だろ?女は度胸って言うし、いざとなればヤル気スイッチ入るだろ?」
ユウコ:「男は度胸でしょ!女は愛嬌よ!」
・・・とは言え、私もサユリの事が心配だった。小6までバレエをやっていたサユリ。発表会で舞台に立つのは当たり前では有るけれど、小6最後でソロの演技が有った時にサユリはやらかした事が有った。
緊張思惟故に出番直前まで舞台袖で嘔吐いていたサユリ。いざ自分のソロの出番となって舞台へ押し出されたのですが、中央まで踊って行く間にゲロって大騒ぎ。挙句の果てにはお漏らしまでしやがった。
バレエを辞めたのは急激に伸びた身長のせいと過去に言っていたけど、本当の理由はそっち。化粧をしていても顔面蒼白、瞬きもせずに目を見開いて硬直不動のサユリを観ていて思い出したのでした。
私:「うーん・・・(-_-;)」
ユウコ:「どうしたの??Yも緊張して来ちゃった?」
私:「いや・・・緊張はしてないけど、ちょっとな・・・。」
「バレエの二の舞ねぇ・・・。何か策は無いだろうか?」なんて考えていたら、16時半を過ぎた所で高校を終えたチヒロが漸く店に到着。チャリをすっ飛ばして急いで来たとみえて息が上がってた。
チヒロ:「お兄ちゃん!お待たせ!」
私:「おせぇよ!」
チヒロ:「仕方ないでしょ!フルに6時間授業だし掃除当番!しかも部活だってサボって来たんだから!」
私:「解かった判った。それよりチヒロ?ちょっと耳貸せ!」
チヒロ:「なに?耳にフー!って息掛けたら殺すからね!」
私:「そんなんじゃねぇよ!あのな?ゴニョゴニョ・・・」
チヒロ:「・・・はぁ!?私が??無理よ!ぜーったいに無理!」
ユウコ:「・・・?なに??」
私:「良いか?今のサユリを良く見てみろ!」
チヒロ:「お姉ちゃん??・・・あ、仏像みたいになってる!菩薩様みたい(笑)面白ーい!」
私:「バカ!・・・あの通りで緊張MAXでまた直立不動だよ!あのまま生中継されてみろ!店の評判ガタ落ちだぞ!」
チヒロ:「そうは言っても私も嫌だよ!お姉ちゃんの替え玉なんて無理!お姉ちゃんの髪型はボブだし、私はロング!」
私:「替え玉なんかする事は無い!二人で出ろ!今のお前はチャリを漕いでテンション上がってるし、お気楽な女子高生だろ??」
チヒロ:「お気楽な女子高生って一言余計だよ!私だって演奏会(※吹奏楽部所属w)でド緊張してゲロ吐きそうになるんだから!」
私:「それに良いか?オマエはサユリの練習に付き合って、インタビューの内容とか喋るセリフを覚えてるだろ?」
チヒロ:「そ・・・そりゃあ覚えてるけど・・・。でもイヤ!すっぴんだし、制服だし、自転車漕いで髪の毛ボサボサだし、前髪だってグチャグチャ!」
私:「とにかく、おばさん(サユリ母)に言って仲居の着物を着させてもらえ!髪の毛やメイクはユウコにやって貰え!ユウコ?良いか??」
ユウコ:「えっ!?う・・・うん!」
チヒロ:「イヤだ!(≧△≦)」
私:「時間無いんだよ!姉ちゃんと店を助ける為だと思って!妹であるお前の力を貸してやれよ!」
チヒロ:「んん~!(-“”-)・・・わかった(怒)!もうどうなったって知らないからね!ユウコお姉ちゃん!行こっ!」
ユウコ:「え!?あ・・・ハイハイ・・・(^_^;)」
私が咄嗟に思い付いた策をサユリ母に話すチヒロとユウコ。訝し気な顔をしたサユリ母だったけど、理解してくれたのか二人を連れて更衣室へ向かって行った。
私はディレクターへ事情と策を話し、ADさんを交えて作戦会議。事情を解ってくれたディレクターがインタビュアーのタレントに設定変更の指示をしてくれた。
策はこうだ。美人若女将とその妹って事にして、サユリには笑顔で相槌を打たせて、セリフ通りの喋りはチヒロに任せる。実際に姉妹なので設定は嘘ではない。
タレントさんには台本通りに問い掛けをやって貰い、尚且つ、スタジオからのトークバックもタレントさんに請け負って貰い、サユリにはノータッチして貰う事に。
ディレクター:「なるほど・・・。生中継で失敗する訳に行かないもんな・・・。夕食時だからゲロは絶対にマズいし・・・。」
私:「妹は姉貴の練習に付き合ってセリフを覚えているし、テンション高い女子高生なんでノリで何とかなりそうかと・・・。」
タレント:「ノリでやられても困るっちゅーねん(笑)ま、兄ちゃん!任しとき!素人さん程怖いもんは無いねんけど、舞台でもいっつもそうや!」
・・・なんやかんやで本番20分前。ユウコに薄っすらと化粧をされ、髪の毛を直されて着物に着替えたチヒロが降臨。その姿を見たサユリは直立不動のまま目だけが動いた。
ディレクターとタレントと打ち合わせをするチヒロ。タレントがお笑い芸人と気付いたチヒロはテンション↑↑↑。セリフ合わせや間合いなどを確認している様だった。
肝心要のサユリにも指示が飛び、喋らなくて良くなったのが解ってホッとした顔をしてた。喋りは不要とは言えサユリには相槌や料理紹介の動きが待っている。しかも笑顔で。
17時になりニュースが始まる。本番まで15分。取り急ぎでリハーサルをして、多少のNGは生放送のご愛敬って事で本番を迎える事になった。私とユウコも客役として席に着く。
AD:「本番1分前です!ニュース明け、画面切り替わってスタジオからの呼び掛けから○○さんのトークです!」
すっげえ緊張感だった。緊張でゲロ吐きそうになっていたのはサユリだけではなく、チヒロは元より殆ど映らないはずの私とユウコも同じだった。
AD:「本番5秒前!4・・・3・・・2・・・(1・・・キュー!)」
キューを受けて軽快に話し出すタレントさん。本番前のグダグダ加減を見ていたので、キューを振られた後の切り替えはさすがだと思った。コレがプロなのね・・・。
打合せと台本通りに進めて行くタレントさん。アドリブで「デート中のカップルも来てますね~!」的に私とユウコの姿を映され、少し弄られて正直焦りました。
サユリとチヒロの2ショットをカメラが抑え、スタジオからのトークバックは「緊張してますね~(笑)」なんて言いながらタレントさんが全て請け負ってくれた。
スタジオの司会者と出演者にはディレクターから設定変更が伝えられており、トークは司会者、タレント、チヒロの掛け合いとなる。サユリは只々引き攣った笑顔である(笑)
カウンター席にタレントが座り、寿司ネタを観ながらサユリ父(親方)が握った寿司を食べて感想を述べたり、サユリ母が問い掛けに応えてる。一切サユリとチヒロを弄らない所に感謝。
思いの外サクサクと撮影が進んで行き、テレビ局が作った店の住所や電話番号、営業時間が書かれたテロップをタレントさんが読み上げ、サユリとチヒロが最後に発声する。
サユリ:「皆様のご来店・・・」←引き攣った作り笑顔だけどテンション低めの声ww
サユリ&チヒロ:「・・・お待ちしてまーす!(二人でフルフルと両手を振る)」
タレント:「以上、○○町のお寿司屋さん、△△寿司さんからでした~!(三人で手を振る)」
テレビ上の司会者:「いや~!美味しそうでしたね~!可愛い美人姉妹の若女将さんが居るお店ですよ~!」
テレビ上の出演者:「お姉さんも美人でしたけど、妹さんも負けず劣らずでしたね!ねぇ!○○さん??」
カメラがスタジオに戻ったからと言って終わりでは無い。中継枠はまだ少し有り、カメラが店に切り替わって出演者とタレントのオマケトークが始まる。
タレント:「ハイハイ!?・・・中継終わったと思って握って貰ったお寿司をバクバク食べてましたわ~!(笑)」
テレビ上の出演者:「油断してんじゃないよ!(笑)お姉さんは大学生って事だったけど、妹さんは?普段もお店に出てるか聞いて!」
タレント:「またそんなお寿司と関係ない事を~!(笑)・・・妹さん!妹さん!!」
チヒロ:「は!?はい??」
タレント:「スタジオからなんやけど、妹さんは普段もお店出てはるの?学生さんやんなぁ!」
チヒロ:「え・・・はい!高校生です!お店には余り出ないんですけど・・・今日はお姉ちゃんの助っ人です!(笑)」
タレント:「(ずっこける素振り)なんや!助っ人かい!テレビに出たかっただけちゃうか?(笑)遊んでへんと姉ちゃん見習って店ぇ手伝わなあかんで!」
チヒロ:「はい♪お姉ちゃん見習って、お店手伝います!(ガッツポーズ+照れ笑い)」
スタジオから笑い声と「可愛い~♪」なんて女子アナさんの声が聞こえ、画面がスタジオに切り替わった。
AD:「はい、OKでーす!ありがとうございました~!(拍手)」
イヤイヤイヤ・・・みたいな安堵さが漏れ、緊張感から一気に解放される。ぶっちゃけ、生放送ってのは放送委員会時代に参加した高校生主体の放送部系イベントで経験が有った。
当地では毎年秋に街角やメイン公園を舞台にしたジャズフェスティバルイベントがある。イベント紹介や演奏中継を各高校放送部員が行うなんてのが有り、私も参加したんです。
その時にお世話になったテレビ局の人が今回のADさんとディレクター。その時の私の喋りとギャップが受けて大学卒業したら放送業界に来い・・・なんて誘いを受けていたんですね。
正直、私の声はマイクを通すと籠ってしまう質の様で、某国営放送の放送部研修会に参加した時に「向いてない」と講師からケチョンケチョンに言われて諦めた夢でもありました。
・・・余談はさておき、本来の目的とはズレてしまった感が有る生中継。サユリを狙っていたテレビ局的には肩透かし感は有ろうど、視聴者からの反応が良ければ全て良しの世界である。
中継の後は店の営業も有るので取材陣は急いで機材のお片付け。緊張感から解放されつつも、魂が抜けた様に真っ白になって立ち尽くす美人姉妹、サユリとチヒロの姿が有った。
私:「チヒロ?大丈夫か?終わったぞ?サユリ??」
チヒロ:「・・・うん・・・。終わった・・・。」
サユリ:「終わった・・・。」
私:「大丈夫か?カウンターの椅子に座れよ。」
ユウコ:「お水貰ってくる??」
チヒロ:「ううん・・・要らない・・・。お姉ちゃん?ちょっと・・・。」
サユリ:「ん?(耳を貸す仕草)」
チヒロ:「緊張して・・・緊張しすぎて・・・少し・・・ちびった・・・。」
サユリ:「・・・うん。・・・私も・・・ちびった・・・。」
私:「あん??」
チヒロ:「お姉ちゃん・・・?パンツ貸して・・・。」
ユウコ:「え?・・・パン・・・ツ??」
サユリ:「・・・うん。・・・良いよ・・・。着替えよっか・・・。」
私:「おう、着替えて来いよ・・・。店の片付けと開店準備はやっとくから!」
サユリ:「・・・うん、よろしく・・・。チーちゃん?一緒にシャワー浴びよっか?」
チヒロ:「・・・うん。お姉ちゃん?脱ぐの手伝って・・・。」
ユウコ:「・・・あ!着物脱ぐの手伝うね!二人とも!行こ!ね!(焦)」
私:「・・・??」
サユリとチヒロはユウコに付き添われ、歩き難そうにしてバックヤードに向かって行った。後からユウコに聞いたけど、姉妹揃って緊張感からちょっとお漏らししたそうです(笑)
サユリ宅の風呂場にて着物を脱がす手伝いをしていたユウコでしたが、なぜかサユリとチヒロに唆されて三人で一緒に風呂に入りながら女子トークを始めてしまいました。
私の方と言えば店の開店準備に追われ、一向に戻ってこない3人に代わって真っ白な板前ユニフォームを着せられてホール係のお手伝い。ま、お駄賃を貰えたから別に良いけど・・・。
———-本日の営業終了・なぜか酔ってる女子三人———-
サユリ父:「いいか?だし巻き卵ってのは寿司職人にとってイロハのイなんだよ!教えてやるからやってみろ!」
私:「はぁ・・・( ̄▽ ̄;)」
サユリ父:「なんだ?下手くそだな!あのサユリだって出来るんだぞ!オレが仕込んでやるから修行に来い!」
私:「Σ(・ω・ノ)ノ!えぇ~!」
サユリ母:「親方!Yちゃんを仕込んでどうすんの!Yちゃんの手を見てごらん!油が染み込んだ指、Yちゃんの手は料理人じゃなく車屋の手よ!」
サユリ父:「ん??(私の手を取り)Yちゃんの手は死んだじっちゃんの手ぇみたいだな!教師より車屋の手だな!」
私:「爺ちゃんが生きてりゃ跡を継ぐはずだったのになぁ・・・。やっぱり料理は苦手だ(笑)オレは食う専門で良いや!」
サユリ父:「はははっ!ユウコちゃんって言ったっけ?あの子は料理出来るんだろ?良い嫁さんになるぞ!大事にしろよ!」
私:「え!?あ・・・はぁ・・・。」
・・・なんて話をした後は、カウンターに座ってサユリ父が黙々と翌日の仕込みをしているのを眺めていました。サユリ母と仲居さん達は店の片付け中である。
サユリ父:「Yちゃん、なんか飲むか?ビールでもやるか?」
私:「あ、いや・・・。車だし、チヒロのチャリ積んでユウコを送ってかなきゃないから・・・。」
サユリ:「そっか・・・。じゃあ、お茶入れてやるよ。」
私:「あ、すいません・・・。」
サユリ父:「・・・サユリとの姉弟話、今まで隠してて悪かったなぁ・・・。」
私:「いや・・・。驚きはしたけど、似た者同士だったサユリと双子だって解ったら、妙に納得しちゃって・・・。」
サユリ父:「サユリにはあの後、随分と文句言われたよ・・・。付き合ってたんだよな・・・サユリと・・・。」
私:「・・・はい。ガキん時に戻ったみたいで楽しかったっす。サユリには・・・全てを曝け出せるし、男としてカッコ付ける事も無いんで・・・。」
サユリ父:「ふんっ!(鼻笑)そうだな!知らなかった事とは言え、お前たちは姉弟だからな・・・。自然と引き合ったんだろうな・・・。」
私:「そうなんですかね?・・・気が合うって言うのか、ウマが合うってのはそう言う事だったんですね・・・。もっと早く知ってればな・・・。」
サユリ父:「・・・Yちゃん?」
私:「はい?」
サユリ父:「怒ってる訳じゃないし、変な意味で言うんじゃ無いからな?」
私:「・・・はい。」
サユリ父:「姉弟で・・・って言うのは決して許される事じゃ無い。でも、お前たち二人は知らなかった事だ・・・。オレたち親にも責任は有る・・・。」
私:「え!?」
サユリ父:「サユリから聞いたよ・・・。サユリは泣きながらオレたち親に訴えて来たよ。Yちゃんの事を本気で愛してたって・・・。」
私:「・・・サユリ・・・。」
サユリ父:「サユリを・・・【女】にしてくれたのが・・・Yちゃんで良かったよ・・・。どこの馬の骨か判らんヤツが最初の相手だったらぶっ殺す所だ・・・(苦笑)」
私:「おじさん・・・。サユリ・・・サユリの事・・・すいませんでした・・・。」
サユリ父:「なにも謝る事はない・・・。オマエたちは知らなかった事なんだ・・・。男と女が愛し合えば、そうなるのは自然な事だ・・・。」
私:「・・・でも、オレらは姉弟で・・・(涙)」
サユリ父:「(うんうんと頷きながら私の頭をポンポン叩き)・・・もう忘れろ・・・。」
私:「・・・でも、忘れろって・・・オレはサユリを・・・姉貴を・・・辱め・・・(涙)」
サユリ父:「もう忘れろ!姉弟に戻ったんだ。これからも・・・サユリとチヒロちゃん、Yちゃんの姉弟妹3人で力を合わせて仲良く生きて行け・・・。」
私:「・・・(泣)」
私は罪悪感と情けなさ、そして何とも例え様がない感情でいっぱいだった。止め共も無く涙があふれ続けて只々泣いてしまった。
チヒロ:「あれぇ~??お兄ちゃんが泣いてるー!(酔)」
サユリ:「ちょっとお父さーん??Yに何かめっちゃダメ出ししたでしょー??(酔)」
私:「グスッ!・・・ち・・・違ぇよ!お前らを待ってる間でタッチを読んでたんだよ!ちょうど達也が南に和也が死んだって伝えるシーンだったんだよ!」
サユリ:「なんでタッチなんか読んでんのよ!あ、店のか・・・。私はみゆきの方が好きだけどねぇ~♪(酔)」
チヒロ:「私もみゆき好き~♪血の繋がらない兄妹のお話よね~!私とお兄ちゃん、サユリお姉ちゃんは血の繋がった姉弟妹~!」←サユリに抱き着いたw
サユリ:「おお~!可愛い妹よ~♪」
サユリ父:「なんだ??お前たち、酔っぱらってんのか??」
サユリ:「はい~!酔っぱらってまーす!(笑)テレビ取材の打ち上げー!にゃはははははっ!」
サユリ父:「サユリ!チヒロちゃんに飲ませちゃダメだろ!チヒロちゃんはまだ未成年なんだぞ!」
サユリ:「チヒロちゃんの飲みっぷりは大したもんよ!さすがは私の妹よ!酒強い!」
私:「サユリ!オマエ!着替えに部屋へ行ったまま店の手伝いもしないで3人で酒飲んでたのか!」
サユリ:「そうでーす!女子会楽しっ!男なんかどーだって良いわい!にゃはははははっ!」
私:「・・・ったく(呆)・・・あれ??ユウコは?ユウコはどうした??」
サユリ:「まだ飲んでるわよ!ホレ!(空の一升瓶を出して)ユウコちゃんと3人でみーんな飲んじゃった(笑)おかわりボトル欲しいんだって!」
私:「なに??ユウコが??(汗)・・・3人で一升瓶空にしたのか??アイツ・・・日本酒飲んだら・・・。」
チヒロ:「ユウコお姉ちゃんって酔っぱらうとエロいよね!身体くねくねしながら抱き着いて来るし(笑)」
サユリ:「甘える猫みたいで可愛いの!私、ユウコちゃんと付き合おうっと!可愛いし、最っ高の彼女だわ♪」
チヒロ:「良い!良い!!お姉ちゃんは宝塚の男役っぽいし、ユウコお姉ちゃんは姫そのものだし!お似合い~!!(笑)」
サユリ:「でしょーん??・・・って訳でお父さん!お酒ちょーだい♪」
私&サユリ父:「はぁ・・・(溜息)」
結局、この夜はサユリ宅にお泊りと言う事になり、サユリの部屋でどんちゃん騒ぎをする女子三人を後目に、私とサユリ両親は店の大広間に布団を敷いて寝る事に・・・。
翌朝、二日酔いのユウコとチヒロを乗せて大急ぎで帰宅。クターっとなってるユウコを私のベッドに寝かせ、登校が有るチヒロを風呂に入れて大急ぎで支度をさせました。
サユリの寿司屋はお約束で大盛況。テレビの効果って恐ろしい・・・。店では勿論ですが、教習所に行った際にもサユリは写真を撮られたり、サインを強請られたりしたそうです。
そんな状況になっても塩対応のサユリは「タレントでは無いので・・・」と冷たく言い放って写真やサインを断り、言い寄って来る野郎共も巧みにスルー。ま、サユリらしい塩対応です。
一方のチヒロは二日酔いのまま登校し、テレビを観たであろうクラスメイトからバズッたらしく、態々チヒロが居るクラスを見に来る同級生は勿論の事、2年生や3年生が居たとかで・・・。
店の方ではチヒロの事を訪ねられる事も多々有った様で、後日サユリ両親に頭を下げられ、春休みに入ってからのチヒロはサユリ宅の寿司屋にてアルバイトを始めたのでした。
・・・ってな訳で、前話に引き続き私とサユリのその後のお話をさせて頂きました。
物語の継続は、温かくも有難い、読者様より続編希望を頂いた際に・・・と言う事で・・・。