駅の向こう側のホームに佇む8年前に別れた元カノを見つけた。
俺は36歳、もう、結婚して5年になるが、33歳の元カノは幸せなのだろうか・・・と思いながら見つめていたら、少し俯き加減だった元カノが顔を上げ、目が合った。
お互い、アッ!という表情をしたところに、元カノが乗る電車が入線してきて元カノが視界から消えた。
と思ったら、俺の乗る電車が入線してきて、お互い乗車したら窓越しに顔を合わせるようになった。
二枚のガラス越しに、至近距離で見つめ合った。
言葉は伝わらないけど、発車まで僅かな時間、自分が幸せだと伝えたくて、とっさに左手の薬指の結婚指輪を見せた。
すると元カノも左手を窓際へ差し出し、薬指のリングを見せた。
発車メロディが鳴る中、お互いニコッと笑って手を振って、そして電車は反対方向に走り出した。
僅か数十秒の再会だったけど、元カノが幸せそうで嬉しかった。
土曜の昼間、俺のワンルームマンションの部屋で、レースのカーテンも開け放って、向かいのマンションの外壁補修の仕事してる作業員を見ながら元カノとセックスしたのを思い出した。
「ヤダ・・・見えちゃうよ・・・」
「大丈夫、外の方が明るいから見えてないよ・・・」
「でも、恥ずかしい・・・」
「凄く濡れてるよ・・・いつもより感じてるみたいだね・・・もしかして見られてるかもって思うと、感じちゃうのかな?」
「イヤァ・・・アアン・・・」
「入っているところ、見てもらおうよ・・・」
と言って、結合部を窓側にして、腰をパンパン音が出るほど打ち付けたら、元カノは大喘ぎしてイッてしまった。
あんなに愛し合っていたのに、些細なことで喧嘩して・・・お互い意地を張って・・・
「もう知らない。さようならっ!」
俺にマンションの合鍵を投げつけて、出て行った元カノの半泣きの顔、今も忘れない。
マンションの合鍵を投げつけたということは、完全訣別したという意思表示に他ならない。
3年間付き合って、そろそろ結婚・・・と思っていた元カノに去られて、酷く落ち込んだ俺。
元カノの思い出が詰まりすぎてたワンルームマンションにいるのが切なくて、引っ越したほど辛かったっけ。
あれから妻と巡り合い、愛を育み結婚したけど、それでも元カノの事が気になっていた。
幸せでいて欲しいと思ったし、俺が結婚してからは、俺より良い男と結婚して俺を見返して欲しいと心から思っていた。
だから、元カノと8年ぶりに再会して、お互い結婚して幸せでいることを確認できたことは、本当に良かったと思っている。
元カノのと再会しして、結婚していた元カノの笑顔を見たことで、今まで、心の片隅に棲みついていた悲しげな表情の元カノが、どこかへ引っ越していった。
やっと、元カノとお別れができたような気がした。