マユミは高校三年生のとき同じクラスで、席が近かったこともありそれなりに話したことがあった。他愛もない話だ。ほとんどが思い出せないような話だった。マユミと僕との間に、恋愛的な雰囲気は全くと言っていいほどなかった。
一個だけ覚えているやり取りがあって、それは彼女が授業と授業の間の休み時間に、いきなり、「君ってAV見たりするの?」と僕に言ったときのやり取りだ。僕は嘘を付く必要もないと思って、「見るよ」と簡単に答えた。ふうん、とマユミは言った。それっきりでそのやり取りは終わり、あとはもう、印象に残らない話ばかりした。
彼女はどちらかと言うと陽キャで、顔も可愛く、服の上からでもわかるくらい胸が大きかったので、モテた。
でも進学校で男子はみんな真面目だったから、告白されることはあまりなかったみたいだった。高校三年のころ、一度だけ別のクラスのサッカー部の男子(高身長で好青年、勉強もでき、コミュ力も高いイケメンだった)と付き合ったが、一ヶ月くらいで別れていた。実を言うと、僕はそのサッカー部の男子と仲がなぜか良かったから、なんとなく気まずかったのだった。
そして時は過ぎ、僕たちは高校を卒業した。
僕はそれなりに勉強して、大学受験をし、それなりの大学に受かり、そこに入学することになっていた。
卒業式が終わって、マユミとなんとなく話していた流れで、マユミが「大学どこ行くの?」と訊いた。僕はそれなりな大学の名前を言った。
マユミは驚いて「私もそこ行くの。また一緒だね」と言った。僕は嬉しさ半分、知り合いがいるとキャラが変えられないなという気持ち半分だった。でもそのときは笑顔で「そうだね、よろしくね」と返した。
そして大学に入学し、僕たちは新しい環境に適応しようとした。大学は思ったより高校とは違う場所で、だから適応するのに結構時間がかかった。僕とマユミは適応するためにお互い情報交換をして、なんとか大学に通っていた。
それなりに慣れたころ、一人暮らししている僕の部屋に、マユミが来ることになった。何か準備する必要があるのだろうかと思ったけれど、特に思いつかなかった。何せ女性を自分の部屋に招待したことがない。しかし、一応、片付けるべきものは片付けておいた。
マユミは、僕の部屋に入るなり、「AVはどこにあるの」と言い出した。「AVなんてないよ」と僕は言った。本当のことだ。僕は制作側には申し訳ないけれど、ネットで検索して、出てきた適当なAVでいつも済ませている。「そっかそっか。パソコンの中か」とマユミは僕の言葉を解釈して、丸テーブルの前に座った。そして隣にカバンを置いた。
「それで、何の用?」と僕は言った。
「別に、暇だから来てみただけだよ。君はどんなところに住んでるのかなって思って」
「特徴のない部屋だと思うけれど」
「そうね。でも良いな。私は実家暮らしだから。憧れる」
「女の子の一人暮らしは危ないだろ」
「まあね。実家は安全っちゃ安全かもね」
そんな話をしながら、僕はテレビの電源をつけた。何か見る?とネットフリックスを開きながら訊いた。適当な洋画、とマユミは言った。僕はランキングに載っていた適当な洋画を選んで、再生した。薬にも毒にもならなさそうな、王道パニック映画だった。
二十分くらいして、僕は映画に飽きてスマホをいじり始めた。するとマユミが突然「ねえ、不感症の女ってどう思う?」と言った。「……、それは彼女としてってこと?」僕は言った。
「そう。まあ簡単に言えば、私、彼氏とそういう展開になったんだけど、まったく濡れなかったの。ほんとに、全然興奮しなくて。それでなんだか悪い気持ちになって別れたんだけど」
「それってあのサッカー部の男の子?」
「うん」マユミは言った。
「ヘタくそだったんじゃないの」僕はそう言った。
「そうだったのかもしれない」とマユミは言った。
それからまた十分くらい、僕たちは会話をしなかった。あまり面白くもない洋画の、くだらない演出の音だけが、部屋の中を流れていた。
「ねえ、君は私を感じさせることはできる?」マユミはそう言った。
「知らない。僕は童貞だし」
「まあそうだね。君のようなチキン童貞にマグロが捌けるわけないわよね」マユミは言った。僕はその煽り文句にめんどくさくなって、「そうだね」と適当に返した。
すると少し間をおいて、マユミが僕の方に近づいてきて、座ったまま寄りかかってきた。僕の鼻に彼女の香水の香りが入ってきて、僕の左肩は彼女の体温を感じていた。
「……どういうつもり?」僕は訊いた。
「まあ、そういうつもり」マユミは言った。
「元々そういうつもりでここに来たの?」
「まあ、そう」そう言って、マユミは頬と耳をを赤らめた。
僕はもう、考えるのがめんどくさくなったし、それに彼女の柔らかさが左腕に触れていて、なんだか興奮したので彼女の顔に近づいてキスをした。彼女は抵抗せず、それを受け入れた。
僕たちはしばらくキスをした。ぎこちないながらも舌を絡めたりしてみた。やっている内にやり方がわかってきて、すこしずつ気持ちよくなっていった。
十分くらいして、彼女の吐息も荒くなってきたころ、僕は重大なことに気がついた。
「この部屋にはゴムがない」と僕は言った。
「……私のカバンの中にあるから、大丈夫」とマユミは恥ずかしそうに言った。準備はしてきたらしい。
僕はキスをしながら彼女の胸に手を伸ばした。服の上からわかるくらいに大きい胸は、触ってみても確かに大きく柔らかかった。
「脱がしていい?」僕は彼女の耳元でそう言った。彼女は一瞬ためらって、こくっと頷いた。
僕はマユミの着ていたTシャツを脱がした。あらわになっマユミの胸は本当に大きかった。僕はすぐに彼女のブラを取ろうと、彼女の背中に手を回した。しかしなかなか手こずって、見かねたマユミが自分で背中のホックを外した。彼女の乳首はきれいなピンク色だった。
僕は胸をやさしく、ゆっくりと触った。マユミも興奮しているようだった。時々乳首に優しく触れると、小さな喘ぎ声を出した。
「不感症じゃなさそうだけど」僕は言った。
「……別に、気持ちよくないし」マユミは言った。ふうん、そういうつもりなら、とことん責めようと僕は思った。
ゆっくりと、胸の表面を触って、時々乳首をなぞる。マユミの胸は柔らかくて、漏れる喘ぎ声が、僕を興奮させた。
僕は右手を沿うように下に持っていき、マユミのパンツの中に入れた。そして、穴の上の、固くなっているところに触れると、マユミは「あっ」と言い、体を震わせた。「ちょっと待って……」彼女は言ったが、僕は無視して、右手で固くなった部分をなぞり、左手で乳首に触れた。しばらく触っていると、どんどん右手が濡れていった。
僕は意を決して、マユミの穴の中に指を入れた。「だめっ」と彼女は言ったが、僕はやめず、右手の中指で中をこすり、親指で穴の上の方をこすった。そして左手で彼女の乳首をこすり、もう片方の乳首を舐めた。
「ほんとにだめ……ううう」マユミは言ったけれど、僕が指を動かすほどに、彼女のぬるぬるはあふれていった。そして小さな声で「あ……いくっ」と言って、マユミは痙攣した。右手の中指が締められて、いったんだ、と僕は思った。
僕は彼女の痙攣が終わってから、もう一度手を動かし始めた。「あっ、ちょっと、なんで……」マユミは言った。「だって、感じてないんだろ」僕は言った。
「ねえ、待って、そんなにされたら、また……あっ」マユミはまた体を震わせた。僕は手を止めて、「これで、不感症じゃないってことがわかったと思うけど」と言った。マユミは頬を膨らませて、「もう、そういうのはいいから、しよ」と言って、自分のバッグを取り、中からコンドームを取り出した。そして、僕のズボンとパンツを脱がして、僕のにゴムを着けた。
「入れて」マユミが言ったので、僕はゆっくりと中に入れた。初めから対面座位って、なかなか珍しいんじゃないかと思いながら。
僕の全部が入って、僕たちは一旦止まった。
「痛い?」僕は訊いた。「……思ったより痛くない」とマユミは言った。じゃあ動かすよと言って僕は動かし始めた。
彼女の中は思ったより気持ちよかった。ぬるぬると絡みつくような感じで、僕はすぐに達してしまいそうだった。しかし我慢して、僕は平気な顔をして動かし続けた。
マユミの息はどんどん荒くなった。僕がふと乳首を触ると、「あっ、どっちもはだめ……」と言った。僕はそれが楽しくて、乳首を触り続けた。
「またいく……あっ」と言って、マユミは体を震わせた。それと同時に、彼女の中がきゅうっと締まって、僕も達してしまった。
「気持ちよかった?」僕はマユミを抱きしめながら訊いた。「……すごくよかった」マユミは恥ずかしそうに言った。
それから僕とマユミはもう一度交わり、ベッドで寝た。
それからは、一週間に一度は、僕の家でセックスをする関係になっている。