「ぺん太、ごはんよ?」
ダイニングからママが呼んだ。
妹ももう食卓についていた。パパは今夜も帰りが遅い。
ついついママや妹の表情をうかがってしまう。ママの様子にも妹の様子にも不審な点はない。いつもと変わらない雰囲気に感じる。なんか、ママと妹が示し合わせているような気がしなくもない。
とんでもない想像だという自覚はある。でも、眠っているときの未体験の快感と目覚めたときのぼくのむき出しの下半身の状態から想像して、ぼくのおちんちんはママか妹のおまんこに入っていたのではないかという疑いが消えない。
それまで読んだ小説でも、ロリコミックでも、男女のセックスはとても気持ち良いものとして描写されていた。セックスの経験はないけど、寝ているときに感じていたあの快感、あれこそが、おまんこにおちんちんが入ったセックスの快感ではないのか。
ママや妹がそんなことをするはずがないことも頭で分かっている。
夢精したときの夢の内容は、翌朝起きたとき記憶が飛んでいたが、きっとすごい快感を感じたからこそ夢精したのだろう。あんなにリアルな快感だったが、今回も夢で、たまたま夢のなかの感覚が目覚めた後に残っているにすぎないのかもしれない。
「(それにしても・・・)」
ママや妹には関係ない勝手なぼくの夢だったとしても、まだ困った問題は残った。
その問題は、僕がオナニーの途中でおちんちんを丸出しで寝ている姿をママや妹に見られたのかどうかだ。今さら知っても後の祭りだが、幸運にも見られなかったのであれば大きな救いになる。
食事が済んで、妹と部屋に戻った。まだもやもやしていた。心に抵抗はあるが、知りたくて放っておけなくて、ぼくから切り出すことになった。
「・・・」
「?」
ためらいがちに尋ねた。
「・・・見た?」
「・・・なにをー?」
「・・・ここで」
「?」
「・・・見なかった?」
「だ・か・らー、なにをー」
妹がぼくをからかっているように見えた。ぼくは意を決した。
「おちんちんをだよ」
「おちんちん?」
「・・・?」
「えへへ、見・た・よ」
ぼくは頭を抱えた。やはり見られていたのかー・・・
「見られたねぇ、おにいちゃん。おちんちん♪」
妹はこのやり取りを楽しんでいる。でも少しは恥ずかしがってもいる。
「おにいちゃんのおちんちんは、何度も見たよ、小さい頃にお風呂場でね、あと・・・」
妹は口を滑らせたことに気づいたかのように、言いかけてはっとして止めた。
結局、はぐらかされた。あれが夢だったのか現実だったのかわからないまま、何日か経ち、ぼくはあれは夢で、妹に下半身を見られた。それ以上のことはなかった、と思うことにした。
・・・
その頃、勉強と寝る部屋は妹といっしょで、お風呂は別々だった。
その日、部活の宿泊合宿からの帰宅時刻が予定より3時間早くなった。
家に着くと、ママはいつもと同じようにパートの仕事だった。妹が帰ってくる時間までにはあと1時間ぐらいある。ぼくは、机の上に隠しているロリコミックに手を伸ばした。
ところが、カムフラージュのためにロリコミックのカバーにしていた参考書のカバーだけがあって、中身が空になっていた。
「(あれっ、この前読んだ後、戻さなかったかな・・・)」
ぼくは、前回置き場所を間違えたかと思い、机の上の参考書や問題集をチェックした。見つからないので本箱の中も学校のカバンの中まで探した。でも見つからない。
「(やばい、ママに見つかった?没収された!?)」
没収されたならと、パパとママの寝室の書棚もチェックしたが、そこにもない。
「(どうしよう。あのロリコミックは内容の半分近くが妹ものだ。絶対変な勘違いされる・・・)」
子どものころ読んだミステリー入門で、木を隠すなら森の中、人が隠れるなら人ごみの中、と書いてあった。だからロリコミックも、引き出しの奥とかではなく、わざと机の上にさり気なく置くことにしたのに・・・。
もう心当たりがない。でも何としても回収しなければならない。
「(まさかとは思うが・・・)」
ぼくは妹の机の引き出しに手をかけた。
上から順番に見ていって、一番下段にロリコミを発見した。ぼくが合宿で家に不在の間読んで、ぼくよりも早く帰るから、さりげなく元に戻しておこうとでも思っていたのだろうか。
「(うそっ、妹にばれてた・・・しかも読んでるのか・・・?)」
さらに引き出しの奥に怪しい新聞包みがあるのが気になった。
江戸川乱歩の小説だと、中には人間の手首が入っている・・・。
「(まさかね、でもひょっとして、大人のおもちゃ?まだ中学1年生なのに?)」
緊張と期待が半々で、そっと新聞の包みを開いた。
中身は、人間の手首でもなく、大人のおもちゃでもなく、なんか見覚えのある雑誌の付録の小冊子と実験キットだった。
「(あれ、・・・なんか見覚えがある・・・)」
記憶が蘇った。
「(これは、たしか、むかしせっちゃんと入った倉庫の中にいっぱいあったやつだ!)」
新たな疑問がわく。
「(なぜそれがこんなところにあるんだ?)」