院生時代、僕は女癖が悪かった、の続き

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「前略、相変わらず元気に自由人か大学生。先日親父と話し合って、俺も親父の仕事と合流することになったわ。

心配せんでも、俺もお前くらいの時は継いだりするもんかって思っとったで。でも人間不思議なもんで、今やこの有様や。まるでこうなることが始めっから決まっとったみたいな結末やな。

宿命に収束する、とでも言うんやろか。

まあでもお前は、俺や兄貴と違って美形やしなあ。

もうしばらく女や文学とやらと遊んで、ゆっくり考えたらええんとちゃうか。

お前にはそういう時間が足りてへんと思うで。

平成28年5月5日 一樋 コウ」

重たい旅行カバンを抱えながら郵便受けを覗くと、フランスから届いた小包の中に、下の兄のメッセージ付きポストカードが入っていた。

ちなみに僕が専攻しているのは日本語学で、文学ではない。

僕には兄が二人いる。

双子で、顔はそっくりだが、経歴はまるで違う。

開成中学に合格して東大に進み、一度は官僚になったものの、しばらくして辞め、一樋商事の専務となった上の兄――ユウ――と、絵に描いたような放蕩っぷりで、地元の公立高校を卒業後、数年海外を放浪し、いつの間にかアパレルで起業してそれなりにやっている下の兄、コウがいる。

また、ついでに言っておくと、母は僕を出産する時に亡くなった、らしい。

出産時はまるでその場で生まれ変わるように、兄らと違って母似の僕が生まれたそうだ。

実際僕は二人の兄と違って頭が悪い。計算が凄く遅い。

小包の中には、エルメスのブレスレットが入っていた。

コウらしい趣味の良い、この春の最新作の物だった。

南仏トゥールーズのものらしいポストカードには、美しい橋が描かれていた。

地元で知らぬ者はいないほどの問題児だった下の兄が、喧嘩ばかりしていた父と上の兄の会社に入る。

これは僕にとって極めて衝撃的なニュースだった。

…どうして父は教えてくれなかったのだろう。

この日は学校をサボって、一日中東京から届く荷物を受け取っていた。

「お前にはそういう時間が足りてへん」

何度もこの下の兄の言葉を反芻(はんすう)していた。

どうしてそんなこと、長年会ってもないのに見透かされたのだろう。

いやそもそもこの兄の言葉は正しいのか。

…分からない。僕には時間が足りなさ過ぎる。

そのうちにバイトに出る時間になっていて、僕は慌てて外へ駆け出した。

「あーーー!!!遅刻ーーー!!二分遅刻ーーー!!!」

岩村夏帆は騒ぎ立てて僕の遅刻を責めた。

「うんうんごめん。ちょっとボーッとしててさ。さあ始めよう?」

「先生遅刻したよ?」

「してないよ。」

「えーー!何言ってるのズルいーー!!」

発達グラデーションの話を聞いたことがあるだろうか。

発達に問題がある子どもというのが、学校現場で先生を苦しめているという話が昨今よくある。

ADHD、注意欠陥・多動性障害というやつだ。

まだあまり研究が進んでいないのか、比較的最近認められた障害のようで、定義が曖昧なところがある。

9つくらいある項目に幾つか以上当てはまれば認定されるのだが。

しかし例えば、認定までに1足りないくらいでは、やはり色々支障があるだろう。

人には個性がある。

障害と認定されている子は、それが顕著なだけだ。

我々も注意力不足な時がある。

ただ、彼らと比べると幾分かマシというだけ。

僕らは、グラデーションの薄いところだから許されている。

どの濃さからを「障害」と認定するか、僕らの言う普通と障害との間には、それだけの差しかないという考え方だ。

岩村夏帆は怪しい色合いをしているが、友達はかなり多い方だと思われる。

「ズルくないよ。……今日は不定詞だっけ?」

「うん!!」

言い遅れたが、僕のバイトは塾講師だ。

「ねえ先生。」

「なに。」

「なんかこの間ね、伊藤が―――」

「それでね、史乃が―――」

「そしたら先生に―――」

支離滅裂な感じは無くて、何ならちょっと面白いくらい。

彼女はいつも笑っていた。

箸が転がるのも、というが、彼女はそんなレベルではないくらいに笑い上戸だった。

「あ、どうしよ、また喋り過ぎちゃった笑笑」

そうしてまたケラケラ笑いだす。

岩村夏帆には、許されてしまう愛嬌があった。

滑舌は少し悪いが、まあ可愛らしい顔をしているし、愛想も良い。

「私、筆箱とか触られるの嫌いなんですよ!」

「なに急に。」

「シャーペンとかボールペンは先がこっち向いてないとダメなんですけど、それ以外の鉛筆とかはこっち側向いてないともう、わーー!!ってなっちゃうんですよ!」

その決まりになんの意味があるのか分らないが、どうしてもダメらしい。

「え、なにそれは。どっち向いてても一緒じゃない。」

「ぜんっぜん違いますよ!!」

「え?」

「とにかく、そんなだから筆箱とか触られたくないんです!!でもっっ!!友達とかへーきで触っちゃうんですよ!!」

「まぁ、君がそんな神経質だって知らなかったら、そういう子もいるかもね。」

「やめて欲しいんです!!」

「僕に言っても仕方ないよ。…直接言えばいいじゃん。」

「それが出来ないんですよぉぉーー!!」

「え、なんで?」

「そんな事言ったら後で私の知らないところでウザいとか言われちゃうじゃないですかーー!!」

「えええ…そうかな。」

「そうですよ!」

「僕なら言っちゃうなあ…」

「私もそれが言えたらな、って、思いますよ!もう言いたいこと言えない自分の性格が本当嫌いなんですよ…」

これはいわゆる、『変わった子』である。

でも『良い子』でもある。この二つは、背反しない。

「そういえば先生、今日も面白いカッコしてますね!」

「なに今度は。ニヤニヤしちゃって。馬鹿にしてるでしょ。」

「えっ!?全然そんなつもりはないですよ!ただおしゃれだなーって笑」

「サスペンダーって意外と便利なんだよね。ベルトしなくて良いから楽チンで楽チンで。」

「柄シャツも変わってますよ。なんの柄ですかそれ?」

「なんだろね。面白いでしょ?古着屋で買ったんだけど。生地もテロっとしてて涼しいんだ。洗濯大変だけど。」

面白い事に、岩村夏帆はお洒落だった。

本当に笑えるのは、なんというかちょっとセクシー路線なことだ。

中二にセクシーというのも変だし、別に色っぽいわけではないのだが、シースルーや切れ込みのあるデザインを好んでいて、それなりに雰囲気は出ていて笑える。

それでも歳の割にかなり洒落込んでいる部類だが。

「面白いです…笑」

バレー部らしいのだが、背も高くてスタイルもまあまあだ。

…顔がちょっとおぼこいが。

「まあ岩村さんも歳の割にお洒落だよね。歳の割に。」

「ホントですか!?お洒落な人に言われると嬉しいです!」

「まあ歳の割にね。」

「…先生って、上げて落とすの得意ですよね。」

「上げてっていうか、最初から歳の割にって言ってるよ。」

「えー」

「お洒落な生徒っていうのは大抵お母さんもお洒落なんだけど、当たってる?」

「お母さん…どうだろ…エステティシャンなんですけど…」

想像以上に美意識の高そうな地位で焦った。

ダサいエステティシャンなんているのだろうか。

「エステティシャン。凄いね。」

「そう、お母さん凄いんですよ!二年前から自分のお店やってるし…!」

「え、オーナー店長ってこと?」

「あ、えっと、そうです。オーナーで店長…そうそう、そうです。」

言われてみれば、岩村夏帆は歳の割に髪がテロっとして整っていたり、肌も艶やかでいたりする。

母親の影響で、そのあたりに気を使っているのだろうか。

「私、将来はお母さんと一緒にお仕事したいんですよ!笑」

「ふうん…。」

「あっ!ちょ、なんでそんな急に興味なさげにするんですかーもー!!」

・・・

・・

オニキスのピアスが妖しげに光る。

僕のフープピアスが、それに呼応するかのように揺れる。

イカれた美人、それがジュンの通り名だった。

その子細を確かめたことはないが、おそらく彼女はジャンキーだ。

「結局最後まで名前も教えてくれないんだね。」

「最後?」

「…そう、最後。」

「どういう意味?」

「名前も知らない人に教える義理はないよ。」

ジュンとは、昨年の冬に栄のクラブで知り合った。

パンク・ファッションを軽くミックスさせてバランスをとった、センスの良い独特のファッションが彼女のトレードマークだった。

顔色が悪く、かなり細身で小柄。

セクシーなクラッシュデニムに、黒い見せブラを大胆に透かしたシースルーを着こなす彼女。

シュプリームのキャップが、小柄な彼女と刺激的なファッションのアクセントになっている。

何か分からないが、猛烈に甘くて刺激的な匂いが、僕の中枢を冒してゆく。

「手厳しいね。」

「…もういいから、黙ってされるがままになってくれる?」

そう言って、ジュンはジッパーを齧って下ろしてゆく。

スイート(スイートと言っても、ラブホのスイートだが)しか空いて無かったのでこの部屋にしたが、地獄の拷問部屋のように仄暗いベットルームが存外素敵で気に入った。

「そうやって黙ってた方がハンサムに見えるよ?」

「黙ってるときっと君が怖がると思って、つい喋っちゃうんだ。」

「…減らず口。」

一気にずり下ろして、ジュンは僕の愚息にむしゃぶりついた。

母が我が子を抱くように優しく、僕の尻をホールドして、その小さな頭を振った。

「んっ、んっ、んっ……んぐぅ……」

僕の愚息を、暖かな唾液が包み込む。

そんなに奥まで咥えて、小さな頭のどこに呑み込んだものを仕舞っているのだろう。

「んっ、んんっっ!!……グボッッ…!!ゴフッ……!!」

「んっ……んぐっっ……ゴホッ………ググッッ……!!」

大丈夫かというくらい奥まで突っ込んで喉を鳴らしていた。

先端に、喉の奥の柔らかいところが当たっているのが分かる。

「んぐっっ……グホッッ……んぐぐっっ……!!……ゴフっ!ゴフッ…!!」

ジュンの深く黒い瞳に射すくめられると、不思議と力が抜けて、無抵抗になってしまう。

「んっ、んぐっ……ゴフッッ……んん……んちゅぅぅ……ジュルジュルぅぅ……!!」

「あっ、やばっ、ちょっ、まっ…!!」

「んんっっ!!……ジュル…!ジュルル…!!」

催した旨を発表すると、嬉々としてペースを上げてきた。

「ジュブっっ、ジュル…!!……んぐぅぅ……!んちゅぅぅぅ……!!ンフっっ、んんっっ…!!」

「あ………イ、イく!イくっっ……!!」

「……っっ!!」

口淫のみで達するのは久しぶりのことだった。

「ゴフッッ…!!ゴボッッ……!!んぐぐぅぅ……!!……ゲホッ、ゲホッ……ゲホッ、ゲホッ…!!」

「ご、ごめん……だいじょうぶ?」

さっきまでの僕の”減らず口”が、本当に惨めに思えてくるくらいに低姿勢だった。

「ケホッ、ケホッ……うん………出し過ぎでしょ…笑」

口元を軽く拭いながら、ジュンは少し笑って僕の先端にキスをした。

「まだイケるよね?」

またムクムク膨張し始めたそれに、ジュンは跨った。

「んっ……はっっ…キた……んあっっっ!!」

体格の小さなジュンの膣内は厳しく搾るようにうねる。

ジュンは僕の身体にしがみつき、対面座位の形のまま、暴れるように腰を上下に振り始めた。

「んあっっ!…!ふぁぁっっ…!!んひっっ……!!んんぅぅ…!!あっ…あっ、あっ、あっ…んっ…ぁぁぁぁぁ……!!!」

ジュンは、自分を虐めるように腰を振り回した。

激しい上下運動の中、ジュンの小さなツルツルの膣口から愚息が抜け出そうになるたび、電流が流れるような興奮に襲われた。

「ひっっ、ひっっ…!んぅぅぅ……!!ふぁっ、んやっっ…!ふぁぁんっっ…!!うっ、うっ……やぁぁっっ…!!」

小さな腰周りが、――とりわけへその下あたりが――お腹の中で激しく脈動しているのが分かった。

まるで子宮が暴れているようだった。

「あああぁぁ……ああっ………」

「だ、大丈夫?」

ガクガク震え出した。

ジュンはうんうんと何度も首を縦に振って返事をした。

膣内がキュンキュン蠢(うごめ)き、愚息を刺激する。

「んちゅぅぅぅ…」

「…っっ!?」

突然の貪るようなキスに、思わず射精しそうになるのを堪えた。

そうして唾液の交換に応じる。

「ぅぅぅん……!!んはっ、んちゅぅぅ……んっ、んぅぅ……!!んっ、んっ、んっ……ジュル……!!ジュルルルっ……んちゅぅぅ……」

ジュンは暴れ馬を乗りこなすような腰使いでピストンした。

その姿は淫乱とかそういうのを越えて、もはや神秘的ですらあった。

へその周りがポンプのように蠢き、膣内がギュルギュル締めつける。

子宮が子種を欲するのに応じて、人間が突き動かされているのだ。

「ヤバい……!!抜いてっっ!!イくっ…!!ヤバいって……!!ちょっ…!!ジュンっっ!!」

妖艶なようで、穏やかなようでもある、そんな不思議な微笑みをしていたのが記憶の最後で、気がつけば僕はジュンの膣内で射精していた。

ビクビクとした射精の動きに応じて、膣も尿道に残る精液を搾り出すようにうねった。

膣内の熱々の体温が、男根を通してはっきりと伝わってくる。

僕の意識が、背中から抜け出て今にも宙の彼方へ飛んでいってしまいそうな感じがした。

「ハァ……ハァ……ハァ……ハァ……」

ジュンはぐったりとして、肩で息をしながら言った。

「責任、取ってくれる?笑」

僕の愚息はまだ膣内で脈打っているようだった。

「え…えっと…」

「……ウソだよ。よっぽど出来ないだろうから、安心して。………今日はもう寝ちゃおっか笑」

そう言ってジュンは僕の心臓の横あたりにくっついて、瞳を閉じた。

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