迷ったあげく家出中のJKを保護した話⑩

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「じゃあ、また」

「うん、一条さんも気をつけて」

彩を送り届ける為に待ち合わせ場所にした駅前のファミレスまで車を走らせた。すぐに済むからコインパーキングではなく、ロータリーにハザードランブを灯しながら車を停車させる。

彩は車から降りようとしたが、一旦留まった。

「どうした?何か忘れ物?」

「ううん、何でもない」

僕は運転席に座ったまま、目だけを彩に向ける。

「今更だけど、何かごめんね。告げ口みたいになっちゃって…」

「別に気にしなくていいよ。知ってると知らないとでは全然違うからさ。むしろ教えてくれてありがとう」

「まだ瑠花の事好き…?」

「うん、気持ちはまだあるよ。そりゃ聞いた時は驚いたけど。けど子供じゃあるまいしそんな急に気持ちの変化はないかな」

彩は口を曲げ「なーんだ、つまんねっ」と冗談っぽく笑う。

「ごめんって言ったそばから!?」

彩の方を見ると彼女は笑いながら「冗談だって!」とさらに笑った。

すると彼女は突然「じゃあ最後に…おっぱい触る?」と訊いてきた。

「今度は何だよ!怖いよ」

「ならやめとく?」

「……いや、触っとく…」

僕が頷くと「雄だねぇ」と彩は笑った。

「はいっ、どーぞ」

彩は触りやすいようなブレザーの前を広げた。眼前のシャツからはほどよく膨らんだ胸が触られる事を待ち構えている。

「じゃあ…」

僕は彼女の胸を包むように数回揉んだ。

「んっ…てか揉んでるし。触っていいとしか言ってないかんね?」

「触るも揉むも大差ないだろ」

「あーやだやだ。これだからおじさんは」

「うるせぇ、まだ二十代だ」

「顔とか雰囲気は三十代に見えるけどねぇ」

彩は言いたい事だけを言って車から降りた。僕は呆気なく去ろうとする彼女に溜め息混じりに手を軽く振って車を出そうとする。すると彼女は何かを思い出したようで、助手席の窓をコンッコンッと叩いた。

「んだよ?」

「ねぇ、また私とエッチしたい?」

彼女の僕が首を縦に振ると見透かした笑みはやや不快だったが、そこは正直に「まぁ…うん」と答えた。

「じゃあ一回一万円ね!手と口なら五千円。交渉成立?」

「おいおい、まじか。君も瑠花ちゃんとそんなに変わらないじゃないか」

「バーカ。私のはれっきとしたサービスよ。詐欺ではないから」

「瑠花ちゃんからはまだ何の被害も受けてないから、こっちの方が悪徳なような気が…」

「何よっ、ネチネチうるさいなぁ。別に嫌ならいいよ他あたるから」

「ま、待て待て!じゃあ今度お願いしようかな…?最近の女子高生は恐ろしいな」

「そう?今時こんなの当たり前じゃない?店だと身バレの可能性もあるし、時間の融通も効かないじゃん。それにこっちの方がある程度相手を選べるし…わりとバイト感覚でしてる子多いよ?」

「噂とかでは耳にするけど実際に行われていると知ると複雑な気分だよ」

「世の中には知らない事がたくさんあるのよ。じゃあね!」

今度こそ彩は駅の方へ歩みを進めた。彼女とすれ違ったサラリーマン数人が振り返って彩の後ろ姿をまじまじと見ている。彼女とセックスをした僕としては悪い気分じゃなかった。

自宅に戻り、玄関のドアを開けると彩の香水の香りが鼻を抜けた。そのまま自然と寝室へと向かい、荒れたベッドを見て彩とのセックスの余韻に浸る。顔と身体は申し分ないのだが、やはり彼女の性格というかキャラは僕は苦手だ。でも嫌いではない。

しかし、今やるべき事は彩との関係を深める事ではなく瑠花との関係をはっきりさせる事だ。年齢的にも好きだという気持ちだけでは何ともならない事があるのも分かっている。

仮に瑠花が本当に僕を欺いて搾取するつもりで近付いたのであったとしても、僕はそれを咎めるつもりはない。まだ被害に遭っていない分、安易に近付いた自分が悪いと開き直る余裕はある。

しかしどうやって確かめる?瑠花が家に帰ってくるのを待って話を切り出そうとも考えたが、それだとなぜ僕がその話を知っているのだとなる。セックスをした罪悪感からか彩を保護してやりたい気持ちも強い。

しばらく考えた末、瑠花の働くピンサロに直接行ってみる事に決めた。偶然を装って瑠花と出くわして徐々にメッキを剥がせばいいと思った。早速ネットで恐らく瑠花であろう女性(あんず)の次の出勤日を確認する。次の出勤日は二日後だ。

時間はあっという間に経過し、ピンサロに出向く日が訪れた。相変わらず瑠花は僕の前に姿を現さず、彼女に貸していた物置部屋から荷物が無くなっている形跡もない。合鍵も返されていないし、まだ彼女は僕の元に帰ってくると淡い期待を寄せる自分もいる。

仕事を終えて例の店に直行する。あんずの勤務時間は17時から22時なっている。僕は19時を少し回った頃に店に到着した。人目を気にしながら見覚えのある雑居ビルに歩みを進め、階段で1フロア下の地下に向かう。

「いらっしゃいませ。ご予約はされておりますか?」

店前には安っぽいシャツに安っぽい革靴を合わせた少し年配のスタッフが立っている。

「いえ、予約はしてません」

「当店をご利用された事は?」

「何度か…」

「ありがとうございます!本日はご指名などございますか?」

「あんずさんでお願いします」

「かしこまりました。コースは30分で宜しいですか?」

「はい、それでお願いします」

この店は30分、45分、60分、90分とコースが用意されており、30分がスタンダードなのだろう。店員は決めつけるようにコースを確認して嬢のタイムスケジュールをインカムを使って確認する。

その間店員をじっと見てるのも気まずく思い、目のやり場に困った僕は視線を落としてインカム越しの会話は聞こえない振りをした。

「あー…オッケ。はい」

年配の店員の声が少し曇った。反応した僕は視線を戻し店員に目を向ける。

「お客様申し訳ございません。あんずさんは只今プレー中でして10分ほどお待ちいただかなければなりません。もしあれでしたら他の子を…」

「いえ、それぐらいなら待ちます」

「左様でございますか。ではこちらの待合室にてお待ち下さい。時間が来ればお声掛けいたします」

年配の店員のインカム越しに小さな声で何かを呟いて僕を待合室に案内した。二人掛けのソファーとスタンド灰皿のみ用意された簡素な待合室だ。一人でも息が詰まりそうなほど狭い部屋に先客がいた。

キャップを深く被ったその男は一度だけ僕に視線を向けた。しかしすぐに自分への用事でない事を察し、手に持つスマホに視線を戻した。僕もスマホを取り出して煙草に火を点ける。個室で知らない男と風俗店で順番待ちするほど長い10分はそうそうない。

「お待たせ致しました」

先程の年配の店員が仕切りのカーテンをシャッと開けて声を掛ける。順番的にキャップの彼だろうと無視していると「あんずさん、どうぞ」と店員はにこやかに言った。

「ああ…」キャップの彼に少し悪い気がして数センチだけ頭を下げて軽く会釈し、僕は店員に続いてその場を出た。

「こちらでお待ち下さい。すぐにあんずさんが参りますので」

「ども」

八番の札が付けられたブースへと通されソファーに腰を下ろした。店内に流れる聞き覚えのある洋楽を耳にしながら心臓が高鳴るのを感じる。

薄暗い店内の暗闇の中、通路奥のカーテンがはらりと開いて一瞬光が漏れる。近付いて来る人影に目を凝らすとお盆におしぼりを乗せた女性が僕の待つ八番ブースへと近付いて来た。

「お待たせしましたぁ。あんずでーす」

僕の隣に腰掛けたあんず。彼女は間違いなく瑠花だった。僕は目を閉じて天を仰いだ。

「まじかぁ…」

そして溜め息混じりに目を開けて隣に座る瑠花を見た。

「よろしいですか?…じゃあおちんちん拭きますねぇ」

「…っ!?え…あ、おい!」

想定外の彼女のリアクションに戸惑う。気が付いてないのか?いや、この距離でそれはあり得ない。それに経験上、嬢は軽い会話を済ませてからプレーを開始する。

「何ですか?」

ヒヤリとした彼女の冷めきった目付きが全てを物語っている。

「いや、別に。…じゃあお願い」

僕にはもう彼女の考えが分からなくなった。ベルトを外してパンツから性器を出すと、彼女はそれを手に取りおしぼりで入念に拭いた。それも少し痛く感じるほどに。

あれだけ毎日のようにセックスしていた彼女にそこまで汚いもののように念入りに拭きあげられると少々へこんだ。彼女は性器を一切しごかず、拭き終えると早々に口に咥えた。

態度や手順は違えど、舐め方は僕の知ってる舐め方だった。イキそうになるにつれて自然としゃぶるスピードを上げ、最後は舌先を性器に巻き付けるように刺激を与えて絶頂を迎えさせられた。

彼女は口内に出た精液をおしぼりに吐き出すと、新しいおしぼりを取り出して汚れた性器を亀頭から順にさっと拭いた。

「まだ気になる所あれば拭いて下さい」

瑠花は淡々とした口調でそう告げると、奥へと姿を消した。気分は下がり気味でも快楽を味わった僕は今日ここに来た目的を忘れかけながらパンツとズボンを穿く。

「あんずさんフラワータイムです!」

店内に店員のマイクパフォーマンス響く。

(もうそんなに時間経ったのか?)

風俗店では時間の経過が普段よりも早く感じる。本当に25分経過しているのかは不明だが、何度も経験した事がゆえに驚きはしない。コールと同時に瑠花は席へと姿を現した。

彼女は両手を膝に置いて座る。僕はこの上ないほど居心地の悪さを感じていたが、彼女はそうでもなさそうでむしろ露骨に退屈そうな顔をしていた。

「ここで働いてたんだな…」

震える声を押し殺し、絞り出すように言った。

「来といて何?指名までしてんじゃん」

「いや、それは……」

彼女は僕を貶したり、睨んだりするわけでもなく、ただ口を閉ざす。上手く言葉を繋げない僕には嫌な時間だった。それにまだ当たり障りのない会話をしようとしている自分が嫌になる。

「あんずさん、お時間終了!あんずさん、お時間終了!」

結局僕は彼女に言いたい事を言えずにタイムアップを迎えた。コールを聞いた彼女は僕に無言のまま立ち上がるように促して、出口へと導いた。そしてお見送りのボーイの姿が見えた辺りで歩みを止めて一言僕に言った。

「あーあ…ほんと残念だな。後ちょっとだったのに」

「後ちょっと?何が?」

「気付いてるくせに。さよなら」

「ちょ!ちゃんと説明しろって!」

そう言って僕は彼女の腕を掴んだ。彼女はすぐ僕の手を振り払った。まるでだだをこねる子供のように。

「お客様?どうされましたか?」

一連の流れを見ていた店員が怪訝な表情で僕に近付く。

「あっ…いや、何も。すいません」

「本日はありがとうございました。さ、出口はこちらです。暗いのでお気をつけ下さい」

店員に誘導されながらも振り返ったがそこに瑠花はもう居なかった。店を出て外気に触れると、とてつもなく今の自分が馬鹿らしく思えた。

(もういいや。しばらく瑠花の事は考えないようにしよう。30前の僕が未成年を好きになっている事自体どうかしてる)

金輪際二度と女子高生や大学生、つまり自分がまだ子供だと感じる女性と接する事はよそうと決めた。本当にろくな事がないし、こちらが不利になる事が多すぎる。若い肉体を求めた時は風俗で済ませばいい。

今回はたまたま大きな被害に遭わなかったから良かったものの、もし関係を続けていたら何かしらの罰を受けていたような気もしなくはない。多少の金を瑠花に使った事を後悔したがそれはそれで授業料だと思えば良い。

(彩…あの子はどうしよう…?)

彼女とは先日援交してもいいと話していたが、思い切ってそれも断ち切る事にした。悪い子ではなさそうだったが関わらないに越した事はない。

着信拒否まではしなかったが僕は瑠花と彩の連絡先を消去し、自宅に残されたままの瑠花の私物も忘れない内に処分した。

その日以降、彼女達から連絡が来る事はなかったが、僕は心に空いた穴を埋めようとマッチングアプリに登録した。暇さえあれば同年代の女性を中心に片っ端からアプローチした。もちろん課金してポイントも買った。

サクラに引っ掛かり、ポイントを失う事も多々あったが、それでも何人かの女性と同時進行で連絡を取り続ける事に成功した。彼女達とはまだ会った事はないが、瑠花と彩より劣るのは確かだった。だけどその方が僕の身の丈に合っているような気もする。

最後に瑠花を見た日から二週間が経過し、徐々に気を取り直し始めた頃に僕は地に堕とされた。

仕事から帰宅し、駐車場からマンションのエントランスに向かい歩いていると、スーツ姿の見知らぬ三人の男に声を掛けられた。

「あの、すいません。一条さんで宜しいですね?」

「え…?ああ、はい。そうですけど…何か?」

「突然すいません。わたくしこういう者でございまして…」

話し掛けて来た男が名刺を差し出す。僕はてっきり何かの勧誘だと決めつけて片手で乱雑に名刺を受け取った。

(疲れてるのに勘弁してれよ……)

受け取った名刺に視線を落とすと、そこには川口探偵事務所と小さく遠慮がちに表記されていた。

(川口探偵事務所の川口さん…?)

「はあ?探偵の方…ですか?僕に何か?」

すると川口は僕の問い掛けを無視し、背後の二人に向かって軽く頷いた。二人の内の一人が川口を押し退けて前に出る。

「僕ら児相ですわ」坊主頭で強面な関西弁の男はそう言った。

「じそう?」

僕が首を捻るともう片方のメガネを掛けたやせ形の男が付け加える。

「児童相談所です。赤木瑠花さんをご存知ですよね?その件でお話がありまして」

ここでようやく僕の背筋が凍った。とっさにシラを切ろうと口を開けると横から川口が言葉を挟んだ。

「僕らあなたが彼女と何をしたのかを全て知っています。彼女に全て聞いてますから」

「ま、待ってください。聞いてるって何を?何もしてませんよ」

僕が声をうわずらせながら抗議すると、三人は顔を合わせ(どうする?)といった感じでアイコンタクトを取り合った。そして坊主頭の男が前に出た。

「何をって…淫行ちゃいますの?そんなんええからちょっとこのまま一緒に来てもらえます?彼女の親御さんもお待ちですし。警察が来るまでに話も聞いときたいし」

「け、警察!?」

「ささ、こちらです」

川口が僕の腕を掴む。僕は身をよじりながら抵抗した。すると坊主頭の職員が僕の肩をガチッと掴んで「今更あきませんよ」と耳元で囁いた。

僕は三人に囲まれて来客用の枠に停められた、彼らが乗って来たであろうバンに乗せられた。

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