香織はその頃、42歳の人妻だった。
単身赴任の旦那と、大学生と高◯生の子ども二人。そして、義理の両親と同居する。もっとも、専業主婦だったわけではなく、正社員として働いており、その職場で香織と私は出会った。
好みもあるだろうが、40代で子どもが二人もいるにも関わらず、香織は可愛い印象を残した女性だった。なにより素直で、物事に一生懸命なところが健気で、見た目も山本梓似で綺麗だったし、私が意識するようになるのにそんなに時間はかからなかったと記憶している。
二人が深い仲になったのは、ちょっとやっかいな案件を二人でやり遂げてからしばらく経ってからだった。それまで、普通の同僚に過ぎなかったわけだが、明らかに私に好意を持つようになったことが伺えた。なので、ちょっとカマをかけたら、すぐにひっかかったというわけだ。
仕事終わりに香織を自分の車に乗せ、人影の少ない公園の駐車場で、「引き返すなら、引き返していいんだよ」と言うと「いや!」と香織。その返事を受けて、唇を彼女の唇に重ねた。最初は大人しく口づけしていたが、香織は次第に激しく私の唇を求めるようになった。さすがに人妻である。明らかに肉欲に火がつくのに時間がかからない。次にそっと彼女の下着の隙間から陰部に指を忍ばせた。すると、ちょっと引くほどの量の愛液で濡れており、私の指の動きに耐えかねるように、合わせ続けている唇の隙間から嬌声が漏れる。
そんな感じで、香織は人妻でありながら、私の女に成り下がったのである。
それから2年。
香織は病を得た。乳がんだった。しかし、ステージ2ということで、全摘する必要はなく、左の乳房の部分切除で済んだ。だが、放射線治療や女性ホルモンを抑える薬など、しばらくの療養生活を余儀なくされたのはいうまでもない。その間、もちろん二人で会えるはずもなく、メールやLINEで言葉を交わす程度のことが続いた。やがて治療の一段落がついた頃、香織からLINEが入った。
「もう、会っても大丈夫みたい」
そこで、出勤土曜の一日に有給を取り、その日はまるまる香織との時間に当てた。
会って、すぐにホテルに入った。そして手術からの日々のことを堰を切ったように話す香織。私は香織の髪を撫でながら、話の一つひとつに相槌を打ち、がんと必死に闘った香織の心に寄り添った。話を聞くに従って、セックスしていいのか悪いのか、半信半疑になったのも本当だった。
「多分、大丈夫。でも、左のおっぱいはそんなに責めないでね。まだ、旦那とはしてないし、わからないけど、多分、大丈夫」と香織。
今まで、少なからずいろいろな女性を抱いてきたが、がん闘病患者とのセックスは初めてだった。しかし、正式な伴侶ではなく、愛人である男とのセックスを優先した香織の心情を裏切ることはできない。
私は覚悟を決めた。
これまでも何度となく逢瀬を重ねた二人だから、ごくスムーズにセックスに移行した。しかし、これまでよりも必ずしも反応がいいわけではない香織だったが、一生懸命、私の愛撫に応えてくれた。そして濡れ方もさほどではなかったが、香織の膣に挿入し、ゆっくりと接触を楽しんだ。そろそろ射精感が募ってきた頃、香織は言った。「私、ずっとピルを飲んでるの。だから、中で出してもいいよ」と。
乳がんの治療では、女性ホルモンを抑えるために男性ホルモンを処方される。それこそがピルであり、香織はもう何ヶ月も生理のない状態が続いていたのである。
これまでは生挿入、膣外射精の関係だったが、ついに、生挿入、膣内射精の関係を求められることを実感しつつ、それゆえ高まる興奮を抑えつつ、香織の膣内を楽しんだ。しかし、それも長くは続かない。やがて射精感がピークを迎え、私は精子を香織の膣深くに射精した。
「まだしばらくピルは飲まないといけないから、これからも中に出してね。それから旦那には“具合が悪いから”って、セックスもフェラもしないからね」
その後、香織も私も別々の会社に転職したが、二人の関係は途切れることなく今も続いている。