私が大学生の頃、とある田舎の自動車学校に、免許合宿に行っていた時の話です。時期は確か11月頃だったと記憶しています。(大学生がそんな時期に?と思うかもしれませんが、留年していたのでちょうど暇な時期でした)
中途半端な時期なので若い人はあまり多くなかったですが、専門学校を卒業したばかりという20歳くらいの女性が一人いました。とりたてて美人という感じではありませんでしたが、愛嬌があり教官や他の合宿生にも気さくに話しかけてくれる可愛らしい子でした。縄跳びが得意な某芸人さんに似ているのでアンちゃんとでもしておきます。
合宿も第二段階が終盤に差し掛かったある日、自主経路教習というものがありました。これは教習生2~3人と教官1人が同じ車に乗り、運転を交代しながら2時間半ほど公道を走るというものです。
通常は同性の教習生どうしで組むのですが、私がとろうとしていたMT車の教習生は少なく、同じくMT免許をとっていたアンちゃんとペアを組むことになりました。その日はとても寒い日で日も落ちており、教官と3人で寒い寒い言いながら車に乗り込み、学校を出発しました。
教習は私の運転から始まり、公道に出ました。その日の教官が私の担当教官であったことと、私の方がアンちゃんより運転が下手だったこともあり、だいぶ長い間、私が運転を続けていました。バックミラーで確認すると、後部座席に座っているアンちゃんも暇なのか、窓の外をチラチラ見ながら落ち着き無さそうにしていました。
1時間半ほど運転を続け、運転を交代するために教官の指示で空き地横の道路脇に車を駐車させました。運転を代わろうと私が運転席から降り、アンちゃんが後部座席から降りたとき、アンちゃんは運転席に向かわずに教官の乗っている助手席の方へ向かいました。
どうしたのかな?と思っていると、アンちゃんは教官に恥ずかしそうに「この近くにトイレありませんか?」と囁きました。どうやら落ち着き無く窓の外を見ていたのも、トイレに行きたくなったからだったようです。
しかし、ここは人もほとんど通らない田舎道で、近くにあるのは畑と工場くらいのものです。その工場もすでに就業時間後で閉まっていました。教官も困った様子で周辺を探していましたが、アンちゃんを見ると小さく足踏みしており、けっこうオシッコを我慢しているみたいです。
しばらくすると、アンちゃんは近くにトイレが無いことを悟ったのか、はたまた我慢が限界に近くなってしまったのか、意を決したように「……そこの空き地でしてきてもいいですか?」と教官に尋ねました。教官も我慢しろとは言えず、小さく頷きました。
アンちゃんはバッグからポケットティッシュを取り出すと、茂みを掻き分けながら小走りで空き地の奥に消えていきました。
アンちゃんが野ションを済ませ運転席に座るやいなや、私たちの教習車の後ろに別の教習車が停まりました。それを確認すると、アンちゃんは「もう少し戻ってくるのが遅かったら後ろの車に見られちゃうところでしたね。」と恥ずかしそうに笑いました。
オシッコをしているところを直接見ることはできませんでしたが、いつも気さくなアンちゃんの恥ずかしそうな笑顔が見れただけで充分満足できる経験でした。