脱ぎ役をやっていた子役時代の話。

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もう随分昔の話です。

私は小学校3年生から6年生までの約3年間、子役として活動していました。

活動していたといっても所属していたのは地元の小さな事務所で、売れっ子とはほど遠い、掃いて捨てるほどいる子役のうちの一人です。

ネットで名前を検索しても当然出てこないし、私が子役をしていたのを知っているのは家族や小学校の同級生くらいのものです。

私自身も芸能界に興味があったり目立ちたがりだった訳ではなく、ややステージママ気質だった母親に強引にやらされていただけで、やりたくて子役をやっていた訳ではありません。

そんな端くれの端くれのような子役の私でしたが、実は何回か映画やテレビに出演したことがあります。

テレビに出演するには子役といえど、演技力や人前に出ても堂々としている度胸が必要で、またレッスンに熱心に参加していたりやる気がある子でないといけません。

しかし、私はそのどちらでもありませんでした。

生来の人見知りで、すぐに顔が赤くなってしまう恥ずかしがり屋。

かつ、私は他にも塾やピアノなどの習い事を掛け持ちしていたため、忙しくてレッスンを休むこともしばしばでした。

そんな私でも日の目を見ることができた理由はなにか。

それは誰もやりたがらないような仕事、将来的には何のキャリアにもならない、いわゆる汚れ仕事を引き受けていたからです。

汚れ仕事というのは具体的には怪我をしてしまうような危険を伴う仕事、そして『裸を見せる仕事』・・・

もちろん私自身が望んでいた訳ではありません。

私をどうしても子役として表に出したい母が、私の了承なしに勝手に引き受けた仕事でした。

私が初めて裸を見せる仕事をしたのは、小学校4年生のときです。

それは地方局が制作した、いわゆるご当地映画に主人公の家族の妹役で出演したときのことでした。

チョイ役に分類される役ではありましたが、今までは『劇団〇〇』と一括りにされていたエンドロールに、自分の名前が乗っているのを見た時は嬉しかったです。

ただ、演技の下手な私の出番はほとんどありません。

唯一目立ったシーンは、父親や主人公たちと一緒に銭湯に入るシーンで、セリフは「おにいちゃ〜ん、待ってよ〜」ただこれだけでした。

父と一緒に浴場に向かう主人公をスタスタと小走りで追いかけて、その一言を言う。

ただそれだけのシーンでしたが、問題はその露出度にありました。

カメラは男湯の脱衣所を映します。画面の手前で主演の俳優さんたちが演技をする中、その後ろで私やエキストラの男の人たちが服を脱ぎ始めます。

服を次々に脱いでいくエキストラの人たちですが、巧妙にカット割りをすることで本当に全裸になる人はいません。せいぜい下着までです。私を除いては。

エキストラの人たちは徐々にカメラの前から居なくなります。実際に放映されたシーンを見れば、脱衣を終えて浴場に入っていくように見えます。

まあ、わざわざエキストラの動きまで見る視聴者なんていないでしょうが。

そして主演の俳優さんたちが長いセリフを終えようとしているところで、スタッフの合図がかかると私は最後の一枚、つまりパンツを勢いよく脱ぎ捨てて、すっぽんぽんになります。

そして「おにいちゃ〜ん、待ってよ〜」と唯一のセリフを言いながら画面から消えていきます。

カメラは小走りで向かっていくその正面にありました。

チョイ役の割にはセリフもあるし顔もはっきり映る、いわばおいしい役でした。しかし、それと同時に自分の裸の身体、股間までもがはっきりと映ってしまうのです。

このときの撮影で、私は汚れ役を引き受けさせられたのだと気づきました。

いざ本番になると、私はあろうことかNGを出してしまいました。

テンポよく進めるシーンなので、勢いよくパンツを下ろさなければいけません。しかし私は躊躇し、葛藤してしまいまったのです。

はやく脱がないといけない。恥ずかしいことをはやく終わらせたい。

脱いだあそこを見られてしまう。恥ずかしいところを見られたくない。

仕事をこなさなければいけない使命感と、大事な所を見られたくない気持ちが重なって、パンツを下ろすのに手間取ってしまったのです。

NGが出た瞬間、現場はピリピリとした雰囲気になりました。撮影は中断です。もう一度、長いセリフを最初から撮り直さなければいけません。

たかがチョイ役のNGなんてもっての他です。

お父さん役の俳優さんは「女の子だから恥ずかしいよなあ。しょうがないしょうがない」なんて言って慰めてくれましたが、主人公役の人には冷ややかな視線を送られました。

私は頭が真っ白でした。

付き添いで見に来ていた事務所のスタッフの人を見ると、腰を低くして監督や撮影スタッフの人たちに頭を下げていて、胸がキュッと締め付けられるような気持ちになりました。

罪悪感に苛まれながら、素っ裸のまま呆然と立ち尽くしていると、「本番ヨーイ」の声が掛かりました。私は慌ててパンツを穿き戻して、元の立ち位置に戻りました。

本番を終えた私に待っていたのは、事務所スタッフからのカミナリでした。

「恥ずかしがってるからそうなるんだ」「なんの価値もないんだ。勘違いするな」

と頭を叩かれました。本番直後のことです。私は撮影を終えた姿のまま・・・つまり、素っ裸の格好で怒鳴られました。

子供とはいえ、当然ながら羞恥心はありました。

大勢の大人の前で怒られる。しかも、上から下まで隠すもののないすっぽんぽんで。

けれど私にとって悲しかったのは、裸をさらけ出していることではありませんでした。

こんなに恥ずかしい自分の気持ちも、女の子が裸をさらすという行為も、現場のスタッフにとっては何の価値もないのです。

スタッフたちは忙しそうに各々の作業に取り組んでいます。裸の私の側を通り過ぎるスタッフもいました。けれど、誰一人としてこちらのことなんか気にも留めません。

それは私にとってある意味では救いでしたが、自分なんか価値も興味もないと言われているようで悲しく、惨めで悔しかったです。

今回の撮影にしても、必要とされているのは裸を見せれる子役というだけであって、私自身はまったく必要とされていない。そう考えると、ますます気持ちが沈みました。

しかし、この撮影を契機に、そういった仕事はさらに私に舞い込むようになりました。

一度脱ぐ仕事を引き受けてしまうと、その子役は脱ぎOKだと判断されてしまうのです。

例えばバラエティ番組でのお仕事です。

バラエティ番組といっても様々な種類があると思いますが、私はドッキリ番組には仕掛け人側として出演したことがあります。

当時のドッキリ番組は今よりも過激で、乱雑なものが多かったです。

私が出演したものの一つに、当時は非常に人気があった大阪のある芸人さんが混浴温泉をレポートするというニセ企画で、混浴だと聞いてウキウキになった芸人さんがいざ浴場に入ると、真っ裸の幼い女の子たちが出迎えるというドッキリがありました。

「おーい!なんでやねんアホ!」と大げさに残念そうなリアクションを取る芸人さんに、スタジオの演者さんたちが「混浴って嘘じゃないでしょ」と煽るやり取りがあって、最後は「大成功〜」で締めくくるというものでした。

恥ずかしいのを我慢して裸を見せているのになんでガッカリされなきゃいけないんだろう、と少し不満はあったし、スタジオの笑い声がまるで自分の裸を馬鹿にしているように感じて、良い気分ではありませんでしたが、テレビで見る人気の芸人と会えたのは事実で、その時は喜びの方が勝っていました。

しかし後日オンエアされテレビに流れた映像を見てみると、自分のお股のワレメがはっきりと映っていて、ああこの番組を見ている人はみんな私のアソコの形を知ってるんだ、と悲しい気持ちになったのを覚えています。

他にもクイズ番組にも出演したことがありました。

もちろん回答者としてではなく、出題VTRの中での出演です。

簡単に言えば、どの親が一番子供に服を多く着させられるのかという問題で、私はその子供の一人でした。

私たち子供(番組の募集で集まった素人の子がメインでしたが、私含め子役も中にはいました)は先にシャツとパンツの下着姿でコースにいます。スタート地点から20メートルほど走っていくと、そこに高価なブランド物の服が山積みにされていて、待ち構える母親に次から次へと服を着させられるのです。

一番多い枚数を着させた親子が優勝です。

優勝すると子供に着させたブランドの服はそのまま持ち帰ってOKなので、母親はとにかく多く着させようと必死です。その様子のおかしさが、このクイズの肝でした。

そして競技を終えて答え合わせのときは、まるで運動会の玉入れのように「一枚~」「二枚~」と数えて、ふたたび服を脱がされます。

そしてこのとき、私はスカートを下ろされる勢いのままに、間違ってパンツまで一緒にずり下ろされました。

オンエアではスタジオで「キャー」「おいおい!」と演者さんたちが囃したてて騒ぎますが、あくまでこれは演出で、番組を少しでも盛り上げるために、最初から女の子の私のパンツを下ろしてしまうというのは段取りとして決まっていました。

実際はハプニングでもなんでもない訳です。

私は自分の気持ちを押し殺して、露わになった股間を隠し「ちょっとママやだあ!」と、おどけて恥ずかしがるような演技をしました。

実を言うとこのとき私の母親としてVTRに出演した女性は私の本当の母親ではなく、事務所のスタッフの人でした。

本当の私の母親はテレビに映るのを渋ったので、その代わりです。まあ、この程度の調整はテレビでは珍しいことではありません。

ちなみにこの回には、スタジオに当時売れに売れた有名子役の女の子がいました。

VTRで股間をさらけ出され、笑われる自分。そしてスタジオでそれを見て笑う人気子役。

後日番組を見た私は、自分がとても惨めに感じました。

私が子役をしていることは、通っていた小学校でも話題になっていました。

最初は身の回りのごく少数の友達だけの話でしたが、その輪は徐々に大きくなり、いつしかクラス中に、そして学年中にと広がっていったのです。

そして、テレビ番組でアソコを見せたことは学校中に広まりました。

男子たちは正面からいじめてきました。黒板に私の性器の絵を描いたり、「お前のあそこ、見てやったぞ」「本当は見せたがりなんだろ?」とか言ってからかいました。

女子たちは表面上では慰めたりしてくれたものの、陰ではなんと言っているのか恐ろしくて聞けませんでした。

私は学校でいじめられていることを母親に伝え、仕事をやめたいと相談しました。しかし母親は途中で投げ出すのはありえないと断固反対をし、我慢していればいつかいい仕事に巡り会えると強く言い聞かせてきました。

私もそんな母親の言葉を頼りに、いつか報われると信じながら仕事をするようにしました。

しかしそれも学年に上がるにつれて、限界に近づいてきました。

私が最後にテレビで裸をさらしたのは、小学校6年の夏のことでした。

最初はその仕事を断りました。なんでもいいからテレビに出て目立ちたいという子役はいっぱいいるし、何よりその頃にはもう私自身は子役をきっぱり辞めるつもりでいて、私がまったく子役としての才能がないことに勘付き始めた母親とも、ある程度その話をするようになっていたのです。

自分が断れば別の誰かがその役をやるだけでしょう。

何人かの子役仲間の女の子の顔を思い浮かべました。

その子たちが全裸になってワレメをカメラに見せている様子を想像しました。

以前は母親は他の誰かに仕事を譲ることを絶対に許さず、どんな役でも強引に引き受けさせてましたが、今は違います。

しかし、予想に反して事務所の人は私を説得し続けました。

小学校6年生です。身体つきはまだ子どもでも、思春期に入って心は大人になりかけています。学校で冷やかされるのがつらいです。

とりあえず、一応は話を聞いてみました。

どうやら今回の役どころは、低学年などの幼い子では替えが利かないとのこと。小学校の4年生以上、できれば高学年の子が必要なんだそうです。

もっと正確にいえば、高学年の女の子のワレメが必要なんでしょう。私は心の中で毒づきましたが、あながちそれも間違いではありませんでした。

事務所の人は、出演してくれれば小さいかもしれないけれど名前付きの役を用意するとまで言ってきました。

どうせ引退するなら、最後くらいいい役をやりたいだろう、と。

私は色々と考えました。

6年生になってからは早く辞めたいとばかり考えていましたが、その提案を聞くと子役の仕事に対して未練のようなものを感じました。

私の意思ではなかったにしろ、3年間子役を続けさせてきた母親に対して、最後くらいいい役をする自分を見せたいという思いが生まれました。

私は、絶対に顔を映さないなら出演してもいいと答えました。

子役としてはあり得ないことです。みんな自分の顔と名前をアピールするためにこの世界にいるのですから。

翌日、その担当者から顔は見せないから出演してほしいと言われました。

それを聞いた私はとてもホッとしました。

これで確定しました。必要なのは私という子役ではなく、高学年の女の子のワレメなのです。

私の名前も顔も要りません。ワレメさえカメラに映れば、それでいいのです。

その番組は地方ローカルの番組で、深夜の情報バラエティ番組という分類でした。

今はもう引退された関西のある有名芸人の方が司会で、比較的真面目な話題について、出演者がクイズやVTRを交えながら思い思いに語っていくというものでした。

例えば料理や健康といった身近な話題のときもあれば、日本経済や世界の紛争などの取っつきにくい話題のときもあり、時には専門家を呼びながらみんなで議論していくといった感じでした。

私の出演する回は、『ジェンダー』というテーマが掲げられていました。実際にあった性差別、男らしさや女らしさとはなにか、あるいは同性愛の是非といった話題についてあれこれ話し合っていました。

その話の中で、男女の身体の違いはいつ、なにから始まるのかという議論に移りました。これもあくまで台本の流れなのですが。

ある著名な評論家は体の違いと心の違いについて話し出しました。あるコメンテイターは男女の成長速度の違いに着目。若手の芸人が「ついてるか、ついてないか。それだけ」と言い下品な笑いを誘うと、真面目な評論家が「見た目の問題なのか」と批判をし、そもそも男とは何か、女とは何かという定義の話をし始めました。

そのやり取りを私はうんざりしながら聞いていました。

なにしろ長い議論が行われているセットの裏で、パンツ一丁の格好で待たされていたからです。

せめて何かタオルみたいに羽織れるものがあればとは思いますが、たかが子役にそんな配慮があることはあり得ません。両腕をクロスさせて、胸を隠して待機していました。

セット裏には私だけでなく、他に5人のパンツ一丁の子どもが身を寄せ合っていました。

ただし、いずれの5人もみな男子です。女子は私一人だけ。全部合わせて6人のパンツ一丁集団です。

男の子たちは同じ事務所に所属する見知った顔でした。学年は5年生と6年生が混じっていました。

私とは少し離れた場所で固まって待機していましたが、チラチラとこちらを見ているのに気が付きました。

男子に裸を見られるなんて、普通の女の子ならイヤ以外の感情は湧かないでしょう。しかし素っ裸でいるのに無視されるという経験がある私は、気にしてくれているというだけで、どこか嬉しく感じてしまうのです。

そんな自分が、なんだか情けなくなりました。

「そろそろ準備入りまーす」

スタッフの掛け声がしました。準備といっても、私たちはパンツを脱いで裸になるだけです。

私は男の子の集団の方をチラッと見ました。互いに目配せをしながら、いそいそとパンツを下ろし始めているようです。

それを確認すると、私もパンツをゆっくりと下ろし始めました。

片方をずり下げ、もう片方もずり下げ、現れてきたのっぺりとした恥丘を手で覆い隠し、片手だけでパンツの前後を下ろしていきます。

彼らに背を向けて下ろしたので、おそらくお尻は丸見えだったでしょうが、お股を正面から見られるよりはマシです。

パンツを下ろし切って足から引き抜くと、隅っこの方にこっそり置きました。もう手で隠さないと、すぐにでも見えてしまいます。

手をその部分に密着させて隠します。そこは汗をかいて蒸れていて、温度が手のひらに直接伝わってきました。人前でそこを触るなんて気持ち悪かったですが、そうするより他はありません。

スタッフの指示で、私は身体を縮こませながらパネルの裏に立ちました。

パネルの裏にはズラッと並ぶすっぽんぽんの6人。

パネルは全身を隠すように2メートルくらいあり、ちょうど胸と股の部分の2ヶ所が簡単にくり抜けるような仕掛けがありました。

「さあクイズの時間です。男の子、女の子、どっちでしょ〜か?」

軽快な音楽と共に、司会者のおどけた声が響きます。同時に6人とパネルを乗せた台車がスタジオに移動し、カメラの前に現れました。

スタジオの出演者には、パネルの裏の6人は見えていません。

司会者のルール説明が終わると、パカッとタイミングよくパネルの胸の部分が外されました。

子どもの胸だけを見て、男の子か女の子か当てるというクイズです。

スタジオの人たちは、これは男だこれは女だと言い始めます。

迷うのもしょうがない。私はそう思いました。だからこそ、自分に出演依頼が来たのでしょう。

私の胸は6年生にしては小さめ、というかほぼ膨らんでいませんでした。

クラスの中でも一番性徴がおそく、男の子みたいにペタンコな胸は、思春期に入りかけた私の見られたくないコンプレックスでした。

そんな自分のコンプレックスを、たくさんの大人の前でさらしている。

それどころかカメラを通して、もっと色んな人に見られてしまう。

私は股間に置いた手をギュッと押さえつけました。大事な場所の臭いが手に染み込んでしまうくらいに。

「ちょっと難しいですね。では下もくり抜いてみましょうか」

司会者が言うと、若手の芸人が「エッ、そっちもですか?」と大げさなリアクションを取りました。「またまた〜最初っからパネルの切れ込みが見えてるでしょ」とすかさずツッコミが入ります。

そのタイミングで、後ろの6人は回れ右をしました。

もちろん、スタッフの指示です。

今度はお尻を見て、男女を見分けるクイズです。

成人男性と成人女性とでならお尻だけでも簡単に見分けがつくでしょう。

あるいは性徴が進んでいるなら、小学生の男子女子でも可能なのかもしれません。

しかし、腰もくびれていない未発達な私は、お尻も男子とほとんど変わりがないのでしょう。

スタジオの出演者はまたあれこれと迷い始めました。

「あんまり近づいたらあきませんよ」

司会者の言葉で私はハッと気づきました。

最初は空調かと思っていたお尻にあたる風が、実は誰かの鼻息だったんです。どうせさっきから騒いでいる若手芸人でしょう。

「隙間から見れると思ったんですが・・・」

意外にも声の主は真面目な評論家でした。

私たち6人はスタッフから事前に足を広げないように注意されていたので、ピッタリと足を合わせた気をつけの姿勢を取っています。

隙間から男子のモノが見えたら、クイズにならないからです。

「もう一度胸が見たいなあ〜。ちょっとボクたち振り返ってよ」

若手芸人の声でした。完全に調子に乗っています。けれどこれも台本通りです。

「まあそう言うだろうと思って・・・」

司会者が思わせぶりにそう言うと、スタッフから50センチくらいの棒状のものを受け取りました。

棒の先端には円形の板が取り付けられていて、さっきから騒いでいる若手芸人の顔がプリントされていました。

「ちょとちょっと〜、僕の顔やないですか」

若手芸人がわざとらしい説明口調で言うと、司会者がおもむろにパネルに近づいてきました。

つまりは金隠しです。6人の素っ裸が身を潜めるパネルは、さっきと違って胸、そして股の部分がくり抜かれています。

この状態で私たちが振り返ってしまえば、もうその時点でクイズは終了です。

先に板がついた棒は、それを防ぐためのものでした。

「一番、振り返って」

司会者の合図で私たちは次々に振り返って、胸を見せます。

すると若手芸人の顔がプリントされたモザイク棒を、司会者がタイミングよく私たちの股間にあてがいました。

股間を若手芸人の顔で隠されるという、なんとも間抜けな姿にスタジオからは笑いが起きました。

顔が見えていないのが唯一の救いでした。

「さあみなさんよろしいですか?そろそろ正解発表と参りましょう」

司会者の言葉に、私の顔は思わずこわばりました。

いよいよだ。いよいよ見られちゃう。

「正解発表って、まさか!?」

またも若手芸人が声をあげます。

「はいそのまさかです。それじゃあ、一斉に振り返ってもらいましょう」

司会者がたっぷり間を取りました。ドラムロールの音が鳴り響り出し、スタジオの照明がやや暗くなります。

丸出しのお尻に、それぞれスポットライトが当たります。

その先が、クイズの答えでした。ちなみにオンエアでは、ここでCMが挟まれていました。

「はい、回れ〜右」

私たちは、司会者の掛け声で一斉に回れ右をしました。

男の子はおちんちんを、女の子の私はワレメをさらした瞬間でした。

「こっちが女の子かあ」「ほら、私が言った通り」「これは難しい」

出演者たちが口々に言います。クイズの正解不正解など、私にとってはどうでもいいことでした。

「これホンモノか〜?」

そう言ったのは、またしても若手芸人です。

「や、やめてください・・・」

隣の男子の声が聞こえます。芸人特有の悪ノリで、男の子のおちんちんを指で引っ張っているようでした。

さすがに女の子の私のそれには触れることはありませんでしたが、すぐに別の試練が訪れたのです。

「いやちょっと待ってください。小学生の男の子なら、誰でもやったことがあるはず!」

若手芸人はそう言うと、私のパネルのすぐ横に立ちました。

「男の子は一瞬で女の子になれるんです。でしょ?」

男子たちに同意を促しました。

「ほらそこプラプラさせてる5人、女の子になりなさい!」

私は最初意味が分かりませんでした。しかし男子たちには意味が伝わったらしいです。

直後、私も言葉の意味が分かりました。

パネルの裏の5人の男子は身体をかがめて両足を開くと、太ももの間に自分のモノを挟み込み、そのまま気をつけの状態に戻りました。

映像には、おちんちんが消えて股間にツルンと何もないように見える5人の男子が映っていました。

私の前で芸人が続けます。

「ほらね〜。こういう可能性もあるでしょ?だからその自称女の子にも、チンチンが本当についていない証拠を見せてもらわないと」

それを聞いた司会者が、

「まあたしかにね。じゃあお嬢ちゃん、ちょと腰落として足広げて、おまたを見せてくれる?本当についていないって証拠見せてあげて」

ちょっとそこの物取って、とでもいうような軽々しい口調で言いました。さもそれが当然であるかのように。

私の股間はまだ毛は生えていなかったものの、成長の過程でワレメがやや下付きになっていて、女の子だとはっきり分かる部分は正面からだとほとんど見えなかったのだと思います。

だからこそ、証明のためにその部分をしっかり見せる。それはある意味では当然なことなのかもしれません。

しかし私は、今までにない戸惑いを感じていました。

胸を見せる、ワレメを見せる。これだって相当なハードルですが、なんとかクリアしてきました。けどワレメを見せるのと、その中身をさらすのでは訳が違います。

グリーン腰を落として足を広げるということは、その危険性を孕んでいました。

一つの番組を作るのに、どれだけのお金と大人が動いているか。

かれこれ3年間子役として活動していた私は、それをしっかり知っています。今自分がなにをすべきなのか、ちゃんと分かっています。

顔が見えていない。それだけが唯一のよりどころでした。

足を広げる。太ももの内側を生温かい風が撫でつけました。

腰を落とす。くぱぁと開く感覚が股を襲いました。

ああ、もう全部見せてしまった。

「はい。本当に女の子でしたね〜」

永遠にも思えたその時間は、司会者のあっさりとした一言で幕を下ろしました。

後日見たオンエアでは、私のワレメは当然のようにアップで映っていました。地方ローカルの、それも深夜帯の番組ともなると当時は規制がとにかく緩かったのです。発毛がまだの子供の股間なんて、たとえ女の子のだとしても、さほど問題にはならないのです。

そして、私の不安も的中していました。

収録の時は気が動転して気が付きませんでしたが、足を広げて腰を下ろしたその瞬間を、下からのアングルのカメラではっきり撮られていたのです。

そして、最後のよりどころすら失ったことに気づいたのは、オンエア翌日に学校に行ってからでした。夜ふかし好きの男子に、あの番組に映ったワレメが私のものであるとバレていたのです。

家に帰ってオンエアされた映像を見直すと、確かに映っていました。リアルタイムで見たときは自分のワレメに目が行ってしまい気が付かなかったのでした。

よく見ると、股間の奥、足元からのカメラが狙ったその先に、くり抜かれたパネルの隙間から少しだけ顔が映っていました。

足を広げて腰を下げた分、あごから口元の辺りだけではありましたが、見る人が見れば分かる程度には映っていたのです。

「まぁ、俺は顔が映ってなくても、見た瞬間に分かったけどな」

それに気づいた男子の言葉です。そいつが言うには、テレビで何回か見た私の性器の形を完全に覚えたのだとか。

男子って馬鹿なんだな。

そんなことを思いましたが、私自身も同じ子役事務所の女の子の顔を思い浮かべれば自然とワレメも想像することができたし、男子のことを思えばどんなおちんちんだったのか簡単に思い出すことが出来ました。

演者か視聴者かの立場が違うだけで、結局は私も似たようなものでした。

その番組に出演した後、私はある劇団の子役の女の子の穴を埋める形で脇役として劇に出演、その仕事を終えた後、きっぱりと子役の仕事を辞めました。

小学校もわざと誰も知り合いのいない遠い私立の中学校に入学し、子役時代の過去にも折り合いをつけたつもりでいます。

もう今の芸能界の子役は、私のような目に合う子もいないでしょう。

ただ、もしかしたら、なんて・・・

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