絶体絶命のピンチ

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登校中、突然後ろから声をかけられた。ケンジがいた。

「ぺん太、せつこと付き合ってるの?」

「・・・えっ・・・”付き合う”って?」

いきなりまさかの質問で頭が回らなかったし”付き合う”という言葉自体、意味を知らなかったのだが、ケンジはぼくが質問をはぐらかそうとしてるように解釈した。

「この前、林で手をつないでたし、原っぱでよくデートしてるらしいじゃん?ま、いい」

勝手に納得し、

「おっ、標的発見!」

ケンジはかなり前方に制服の女子中学生を見つけて、スカートめくりをするために疾走していった。

ぼくは今度こそケンジの仲間と誤解されないよう、道路の反対側に移動してわざと歩くペースを遅くした。

助走が長すぎたせいか、ケンジは今回、女子中学生に襲撃を察知され華麗にかわされて自滅、そのまま全力で逃げていった。

その日、ぼくは話しかけてくるケンジをあしらいながら、思い切り急いで帰り支度をして下校した。普段はランドセルをうちに置いてから原っぱに行くけど、そのまま倉庫に直行した。1人でコミック誌の続きを読みたかった。

いっしょに面白がるかと思ったのに、きのうのせっちゃんは興味がないどころか嫌みたいだった。退屈して途中で寝る始末だった。

おっぱいとか見たいというのもあるけど、せっちゃんを気持ちよくできるヒントが見つかると思った。

コミック誌はそのままあった。きのう見たページにも再度目を通してから続きを丁寧に見始めた。

読んでいる途中で1階の扉が開く音がした。

「(おじさんが来た!?)」

ぼくは頭が真っ白になって、とにかくケースの陰に隠れた。

でもこんなふうに隠れていても見つかるのは時間の問題だ。おじさんに見つかることは避けられそうにない。なんとかすり抜けて相手よりも先に階段にたどり着き脱出するしかない。

一番注意すべきポイントは最後の階段の登り口のところ。チェーンにランドセルが引っ掛からないよう気を付けよう。

すべての物音を聞き逃すまいと集中しながら、頭の中で精一杯、脱出作戦をシミュレーションした。

1階でなにかしているのか、シーンとしたままなかなか上がってはこない。時の流れが遅くなったように感じられた。心臓がバクバクする。

とうとうチェーンの揺れる音がかすかに響いて、階段を上がってくる足音がした。なぜか2人いるみたいだ。作戦計画の前提が狂った。

ひそひそだが聞き覚えのある声がしてきた。

「たしかにここに入ったのを見たんだけど」

ケンジの声だ。一気に肩の力が抜けて、どっと汗が出た。

一時はどうなるかと思ったが、ケンジたちになら見つかっても大したことはない。ほっとした。

ほっとはしたけど、やっぱりケンジの相手をするのは面倒だからそのまま隠れていた。

「あれっ、エロ漫画!」

きっともともとの目的はぼくを尾行することだったのだろうけど。

「ペン太のやつ、隠れてこんなの見てたんだ」

ケンジたちはさっきまでぼくが読んでいたコミック誌に気を取られた。

「おっ、めちゃ巨乳・・・」

はしゃいでいる2人に見つからずに1階に降りられる経路に考えを巡らせ、実行準備をしていた。

そのとき1階から大声が聞こえた。

「だれだっ!無断で入っているのは」

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