今回の話は、あまりHではありません。
宜しくお願いします。
中学生最後の夏休みが始まりました。
平日、お父さんとお母さんが出かけると、お兄ちゃんと2人きりになります。
朝からお兄ちゃんとイチャイチャしたいところですが、一応受験生です。
午前中90分、夕方90分はお勉強の時間。
お兄ちゃん先生の時は、私の部屋で勉強に集中します!
(ウソです。本当は結構な頻度で朝からイチャついていました。)
勉強を頑張り、お兄ちゃんテストが終わると当然甘えたくなります。
でも、そんな今日に限って、お兄ちゃんは大学へ課題をしに出かけてしまいました。
私は退屈になると、だいたい図書館や古本屋さんへ行くのですが、その日は何となくお兄ちゃんを尾行したくなりました。
こっそり後を追って驚かせる作戦です。
気分は探偵。名探偵ケームズ。
私は暢気にお兄ちゃんを尾行しました。
陽射しが強く、暑さが厳しいです。
(変装の為に帽子を持ってきて良かった。)
私がそう思った瞬間、改札口の近くでお兄ちゃんが立ち止まりました。
私は見つからない様に、自販機の横に隠れました。様子を伺うと、お兄ちゃんと女の人が話をしています。
(誰だろう?)
(年齢はお兄ちゃんと同じ位かな?)
背が高くて、とてもキレイな人でした。お兄ちゃんの隣にいるのが、ごく自然な感じに見えました。
(大学の同級生かな?)
2人は同じ電車に乗るようでした。
私はお兄ちゃんの後を尾行するのを辞めました。
1人でトボトボと歩いて帰りました。
家を出る時は、お兄ちゃんを驚かせて、一緒に笑うつもりでした。ワクワクして、楽しい気分だったのに。。。
家に帰ると、1人ぽっちで麦茶を飲んで、テレビをつけて。何だか悲しい気分です。
もしも、あんなキレイなお姉さんがお兄ちゃんの彼女だったら、小学生みたいな私じゃ絶対に勝てません。
しかも、私は実の妹です。
テレビがついていても私の頭には何も入ってきませんでした。
夕方、お兄ちゃんが帰って来ました。
兄:「○○ちゃん、ただいま。遅くなってゴメンねー。」
私は自分の部屋の机で突っ伏してました。
私:「、、、あ、お兄ちゃんおかえり」
兄:「○○ちゃん、机で寝てたの?」
お兄ちゃんは、いつもと同じく私の頭を優しく撫でながら言いました。
兄:「、、、泣いてたの?」
お兄ちゃんは、私の目蓋が腫れてるいのに気付きました。
私:「ち、違うの。怖い夢みちゃって、それで。。。」
何か、ぎこちない空気が流れました。
いつもなら、お兄ちゃんが帰ってきたら全力で甘えるのに、今日は何だか遠慮しなくちゃいけない気がしたのです。
兄:「○○ちゃん、勉強の前にお風呂にしよっか?」
私:「え、あ、きょ、今日は大丈夫!今日は別々で、、」
涙が落ちました。
(別々なんて嫌だよ。無理だよ。)
小学生よりもっと昔からお兄ちゃんと一緒にお風呂に入ってました。
お兄ちゃんがいないなら、お風呂に入らない!!と、言ってお母さんを困らせました。
お兄ちゃんの胸に抱きつきました。
私:「私、お兄ちゃんが好き!大好き!」
兄:「○○ちゃん、俺も大好きだよ!大丈夫だよ。」
兄:「お風呂入ろう?」
私は黙って頷きました。
お風呂の中で私はお兄ちゃんに謝りました。
実はこっそりと尾行していた事を。
お兄ちゃんは、それまでの様子にようやく納得したようでした。
兄:「○○ちゃんが近くにいたの、全然気付かなかったよ。声をかけてくれたら良かったのに」
私:「お兄ちゃん、あの女の人はお兄ちゃんの彼女なの?」
兄:「あの人って、一緒に電車に乗った人?」
私はうんうんって頷きます。
兄:「あの人は若く見えるけど、俺のゼミの先生だよ。駅の北口側に住んでるんだ」
兄:「今日はたまたま電車の時間が一緒だったんだよ」
私:「そうだったんだ。」
兄:「ちなみに、結婚してるよ!」
私:「えーっ!!見えなーい」
兄:(ケイちゃんの方が、ずっと見た目のギャップが大きいよ!)
兄:「ケイちゃん、嫉妬したね?」
私:(ドキ!)「お兄ちゃんゴメンなさい。」
お兄ちゃんは私を抱き寄せました。
そして、私の目を見て言いました。
「俺の彼女はケイちゃんだろ?」
私は顔を真っ赤にして頷きました。
兄:「でも、ケイちゃんには罰が必要だな」
私:「ゴメンなさい。何でも言う事を聞きます!」
私は、お兄ちゃんに何でもしてあげたい気持ちでいっぱいでした。
兄:「じゃあ、明日の夏祭りで、俺が合図を出したら、ケイちゃんは絶対に俺にちゅーをする事!!」
私「うん、分かった!」
兄:「約束だよ?」
私はうんうん、ってしました。
次の日の夕方。
私はお母さんに浴衣を着せて貰っていました。淡い桃色の浴衣です。
母:「可愛いけど、何だか七五三みたいだねぇ〜。」
私:「お母さんひっどーい!!」
母:「冗談だよ!」
お兄ちゃんも浴衣を着て2階から降りてきました。
私:「お兄ちゃんカッコイイ!!」
母:「2人とも良く似合ってるよ!」
母「あんまり遅くならないでね!気をつけて楽しんで来るんだよ!」
兄と私「行ってきまーす!!」
2人で家を出ました。
丘の上にある神社の夏祭り。
町内の数少ないイベントです。
出店がたくさん並んでいて、子供達や家族連れ、カップル達で賑います。お神輿の近くには矢倉も組まれて盆踊りもしています。
小中学生はみんな友達とお祭りに来ます。
彼氏彼女が出来るとカップルで来ます。
そして、クラスメートに見つかると揶揄われます。
分かっているけど、それが優越感だったり、私達付き合ってます、って宣言だったりします。
私はこの夏祭り、小さい頃に家族で来た事しかありません。一緒に夏祭りを楽しむ友達は居ませんでした。
小さい頃は好きだったはずの夏祭りですが、最近は家族で来る事も無くなり、あまり好きではありませんでした。
きっと神様もガッカリした事でしょう。
私はこの夏祭りにお兄ちゃんと2人で、彼氏彼女のつもりで来たかったのです。
それが、私にとって最高のご褒美なのでした。
昼間はあんなに暑かったのに、日が落ちて風に吹かれるとそれが心地良く、美味しそうな匂いも広がっています。
私はお兄ちゃんと手を繋いで、坂道を登って行きます。
水風船や金魚すくいに子供達が集まっています。ママごと屋さんは女の子に人気です。
私も小さかった時、お母さんに買って貰いました。
境内に近づくと、少し派手な女子集団と、男子の集団が話をしてました。そこを避けるように歩いて行くと、
「あ、○○ちゃんじゃん!!」と、声をかけられました。×美ちゃんとその友達でした。
私:「今晩は!」私はお兄ちゃんと手を繋いだまま×美に挨拶しました。
×美:「○○ちゃん、もしかして、彼氏?」
あっと言う間に女子達に囲まれます。
凄いカッコイイー!イケメンだー!
すると、お兄ちゃんが、
兄:「いつも○○がお世話になっています。○○の夫です」と、挨拶しました。
私は真っ赤になって、
「ち、ちょっと、お兄ちゃん!!」と言いました。
×美や女子達は大ウケです。
×美:「○○ちゃんのお兄ちゃん、マジウケる!カッコイイし!」「じゃあ、二学期に学校で!」
私:「またねー!」
挨拶もそこそこに、神社の境内へ歩いて行きます。
私:「もー、お兄ちゃん恥ずかしかった!」
私は怒ったフリをしましたが、
兄:「最高の自己紹介だったろ?」と、笑いながら言いました。
私もつられて笑ってしまいました。
お賽銭を入れて、二礼二拍手一礼をします。
(どうかお兄ちゃんと結婚出来ますように)
私の願いは合格祈願ではありませんでした。
好きじゃ無くなった夏祭り。その女の子の願いを、神様はどんな気持ちで聞いたのでしょうか?
兄:「願い事できた?」
私:「うん!お兄ちゃんは?」
兄:「大丈夫!」
境内から少し離れたところで、お兄ちゃんは私に言いました。
兄:「約束、覚えてる?」
私:「え、、、覚えてるけど、、」
私:「え、今??ここで??」
兄:「神様の前で約束破ったらダメでしょ」
私:「そ、そうだけど」
(×美に見られちゃうかも)
お兄ちゃんは、×美に背を向けました。
小さな私がお兄ちゃんに隠れるように。
私は震えながらお兄ちゃんにちゅーをしました。
そして、2人で手を繋いで帰りました。
帰り道、お兄ちゃんと話しました。
私:「お兄ちゃんは何をお願いしたの?」
兄:「ケイちゃんの合格祈願しなかった。」
私:(?????)
兄:「多分、ケイちゃんと同じ事をお願いした」
神様、ありがとうございます!!
私は一番の幸せ者です!!
初詣は、お兄ちゃんと一緒にこの神社に来ました。私は無事に志望の高校に合格しました。春からは女子高校生です。