神に嫁いだ修道女に忘れていた女の喜びを思い出させたら、神を捨ててボクのもとへとやってきた

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入社から三年。

今や伝説の営業マンになりつつある田中さんの指導の下、瞬間風速でボクは営業成績トップの座を辛うじて手に入れた。

会社の営業成績トップグループの中でボクは最年少。

コンプライアンスも守っている。

ズルもしていない。

とは言え、田中さんのお蔭で得られている売り上げも実は少なくない。

正直なところ、内心忸怩たる思いもなくはないが、先輩の恩恵にありがたく感謝。

そんなわけで、社長直々にご褒美をいただくことになった。

先輩の話では、ご褒美は毎年違うらしい。

社長室に呼ばれ、秘書の田之倉さんに案内される。

ふぅん、社長になるとこんな美人が秘書につくんだ。

そんな風に心の中で思いながら、社長の前では神妙にしてみせる。

有難いお祝いの言葉のあと、大きく『目録』と書かれたご祝儀袋を貰った。

おぉ、ちゃんとあわじ結びになっている。

って、当たり前か。

だが、そんなことも知らなかったボクに営業のイロハを教えてくれたのが、指導員の田中さんだった。

それにしても…。

金一封じゃないのか…。

そう思ったが、贅沢を言ってはいけない。

有難く頂戴しよう。

まぁ、金一封だとしても、現金で渡されることはないだろう。

今の時代、全部銀行振込みだ。

「おぉ、ついにやったな」

席に戻ると田中さんからの軽い膝蹴りを食らいながら、営業部の荒っぽい祝福を受けた。

先輩たちも過去に表彰を受けていたが、ご褒美が出るのは初めてトップになったときだけらしい。

それで、それで、肝心のご褒美はというと…。

…半年間のイタリア研修だった。

旅行ではなく、研修というところが会社のご褒美だ。

ボクの勤める会社では、仕入先との提携で、年に一度お互いの社員を交換で受け入れているらしい。

部署はさまざまだ。

ただ、これまでボクのような若輩者が選ばれたことはないという。

そうすることにどれだけの意味があるのかはわからないが、そういう制度のようだ。

海外経験などゼロに等しいボクには、どちらかというとありがた迷惑なご褒美だ。

だが、仕方がない。

何事も経験だ。

行けば行ったで何かいいことがあるかもしれない。

そう思いなおして、準備を始めた。

だが、それからが大変だった。

業務の引継ぎ。

渡航の準備。

二つを同時進行で慌しく済ませる。

バタバタだ。

この忙しさは、本当にご褒美なのか?

イジメじゃないの?

そうゴチている暇もないほど、猛烈に忙しかった。

そして、気がついたときにはもう空の上だった。

渡航準備と言っても会社がしてくれることは限られている。

殆ど自力だ。

通常業務を終えてから、現地で必要となる最低限の語学研修を受ける。

「グラッツェとプレーゴとペルファボーレ」

「?」

「この三つさえ覚えておけば、イタリアでは何とかなるわ」

「そんな乱暴な!」

幾らなんでもそれはないだろう。

会社で通訳と調達のサポートを務めているクラウディアさんの指南はアバウトだった。

流石、ラテンの血。

研修先の仕入れ先企業との調整はやってくれたが、あとは自分で何とかしろと人事には言われた。

「現地では、駐在の人が空港まで迎えに来てくれるわ」

「それだけですか?」

「それだけです」

「そんな…」

「これも研修の一環なので…」

クラウディアさんはそんなボクを気の毒がってくれたが、それ以上のことはするなとの指示を受けているらしい。

やっぱり、イジメ?

こんなことなら、ご褒美なんかもらわない方がよかった…。

本気で後悔し始めた。

そんなボクを慰めるように総務の島田さんが言った。

「飛行機のチケットはビジネスクラスですよ」

ビジネス?

エコノミーにも殆ど乗ったことがないのに?

うーん。

ちょっとだけ、テンションが上がる。

こんなことでもなければ、ボクたち下っ端がビジネスクラスに乗ることなんてない。

喜ぶべきか?

喜ぶべきだよな…。

あぁ、でも言葉もおぼつかないのに…。

複雑な思いに駆られながらも搭乗の日はやってきた。

そんな気分ではいたが、飛行機に乗り込んで再びテンションが少し上がった。

機内では、CAさんごとに受け持ちの座席があるらしい。

美人のCAさんの受け持ちパートでラッキー!

胸のネームプレートには、H. FUJIKAWAという文字が刻まれている。

そう言えば、現地支社でボクを出迎えてくれることになっているのも藤川さんだ。

ラッキーネームならいいのに。

そんなことを思った。

ボクは気を取り直し、一生に一度かもしれないビジネスクラスを楽しむことにした。

「お飲み物は如何ですか?」

美人に差し出されたトレイを見ると、シャンパンとオレンジジュースの入ったグラスが並んでいた。

ここは、シャンパンでしょ。

子供じゃないんだから。

今頃、みんなは仕事をしてるんだろうなぁ。

営業時間中にアルコールを口にするホンの少しのささやかな喜び。

乗り心地は悪くない。

悪くないどころか、頗る快適だ。

隣の席と仕切りがあるのがいい。

漫画喫茶みたいだけど。

ボン、ポン、ポンと機内に電子音が響き、身体にGがかかる。

テイクオフ。

少ない語彙の中から横文字の単語を選んで心の中で囁く。

口にしてしまったら、それこそ田舎者だ。

離陸して直ぐに機内食。

離陸前のシャンパンが効いている。

それでもボクは、更にビールを頼む。

うーん、大人の海外旅行。

もとい、短期研修か。

柄にもなく食後酒まで頼んでしまった。

ところが、それが仇となった。

食事を終えたボクは、猛烈な睡魔に襲われた。

だめだ…。

ロードショー前の映画が見られるはずだ…。

これからなのに…。

だが睡魔には勝てなかった。

気を失うように寝落ちした。

そして、そのまま爆睡。

渡航準備と引継ぎで、満足に寝ていなかった。

そのツケが回ってきた。

一服盛られたように、ボクは夢の中へと落ちていった。

目を覚ますと、機内は既にザワつき始めていた。

「当機は間もなく着陸態勢に入ります」

アナウンスに飛び起きる。

「えっ???」

しまった。

映画も見ていないし、朝食も食ってない。

いつの間にかブランケットが掛けられていた。

それがいっそう睡魔に力添えしていた。

フルフラットになる筈なのに、椅子のまま長時間眠ったので、身体の節々が痛い。

これではエコノミーと同じだ。

「座席とテーブルの位置を元に戻し、シートベルトをお締めください」

再び機内アナウンスが流れた。

おい、おい、どうすればいいんだ…。

せめて顔だけでも洗いたい。

けれども、トイレは生憎混雑している。

踏んだり蹴ったりだ。

ガッカリしていると、美人のCAさんがお絞りを持ってきてくれた。

「税関を出て左に真っ直ぐ進むと、空港の駐車場に繋がるエレベーターがありますよ」

何の話をしているのか、咄嗟にはわからなかった。

だが、現地支社のスタッフとの待ち合わせ場所が駐車場だったことを思い出した。

会社の人が連絡しておいてくれたのだろうか。

ビジネスクラスは、そんなサービスまでやってくれるのか。

ボクはただ感心していた。

そのうち、どんどん高度が下がっているのがわかった。

窓の外を見ると、地面がどんどん迫ってくる。

ドンと軽い衝撃を受けて着陸すると、いよいよ異国の地に着いたのだと感慨深かった。

シートベルト着用のサインが消えると同時に、機内の乗客が一斉に立ち上がる。

慌しく手荷物を手にし、美人のお姉さんに黙って会釈をしながら飛行機を降りた。

そこは将に異国の土地だった。

空港内の表示板を見てもよく解らない。

取り敢えず、ボクは人の流れに身を任せた。

入国ゲートは黒山の人だかりだった。

そうか、これでみんな急いでいたのか。

見よう見真似で自動ゲートをとおり、前の人に遅れないようについていく。

やがて、預け入れ荷物の受取所に辿り着く。

まぁ、ここはどうなっているのか察しがつく。

国内線でも同じだ。

暫くして、ターンテーブルが回りだした。

ボクの旅行カバンは随分早く出てきた。

だが、待て。

単独で動くのは危険だ。

しばらくその場で待って、他のビジネスマンらしき人の後に続いた。

「ドガーナ?」

表示板をみてもよくわからない。

カスタムと併記されているので、きっと税関のことだろう。

空港職員に呼び止められることもなく、ボクはシレッと通関した。

さて、ここからだ。

駐車場…、駐車場…。

CAのお姉さんによると、ここを左だ。

信じていいのか?

怖々キャリーバッグを引きながら進む。

あった!

エレベーターだ!

何とか乗り込んでPと書かれたボタンを押す。

パーキングのPだ。

天性の営業センスで勘を働かせる。

って、誰でもそう思うか…。

古くてゆっくりなエレベーターが動き出す。

やがてエレベーターの扉が開き、藤川さんの姿を見つけた時には、心底ホッとした。

赤いフィアットで迎えに来てくれていた藤川さん。

「こいつは、前任の奥さんが乗ってたヤツを格安で譲ってもらったんだ」

そう言いながら、ボクの長旅を労ってくれた。

「もう一人来るから」

藤川さんはそう言いながら、ボクの大きいほうのキャリーバッグを天井の上のラックに乗せた。

「小さい車だから」

言い訳するでも説明するでもなく、藤川さんが独り言のように言う。

だが、誰だろう。

ボクの他に出張者がいるとは聞いていない。

研修先に一緒に行ってくれる人がいるなら心強い。

暫く待っていると、グリーンの制服を身に纏い、小さなキャリーバッグを引いたCAさんが姿を見せた。

「あっ!」

それは、機内でボクの座っていたエリアを担当してくれていた美人のお姉さんだった。

「家内のハルミです」

「えっ!?」

藤川さんに紹介されて、ボクは二人の顔を交互に見比べた。

「ずっと眠っていらっしゃったので、自己紹介できなくて…」

藤川さんの奥さんは、少しバツが悪そうに言った。

「そうか、聞きしに勝る豪傑だね」

藤川さんがそう言ったので、酒を飲みすぎたとは言い出せなくなってしまった。

ハルミさんも空気を読んで、黙っていてくれた。

藤川夫妻にはいろいろと親切にしてもらった。

ホテルまで送ってくれて、翌日の予定を丁寧に教えてくれた。

けれども、研修先には、結局一人で送り出された。

それも研修の一環らしい。

翌朝、中央駅まで送ってもらって、列車に揺られること二時間。

不安でいっぱいの二時間だった。

そして、そして。

着いてみたら、何もない田舎町だった。

駅舎の前に広がる一面のブドウ畑。

スマホの電波のつながりも悪い。

WiFiのあるお店なんかも期待できそうにない。

大きくため息をひとつ。

それから、気を取り直すと藤川さんにもらった地図を頼りに目的地へと急いだ。

舗装されていない道を歩いたので、ピカピカに磨き上げた靴が埃塗れになった。

踏んだり蹴ったりだ。

そして、漸く到着。

想像していたより遥かに小さめの工場だった。

「ボンジョルノ!」

付け焼刃で覚えた挨拶を交わす。

ツルッ禿のイタリア人が出てきて、ハグされる。

おっさんと抱き合っても何もうれしくない。

ボクは、技術部の石倉部長を思い出した。

試練は続く。

住まいは研修先が用意してくれていた。

土壁が剥き出しのアパートの一室だった。

台所は一応ついているが、バスタブがない。

シャワーだけだ。

大家さんと身振り手振りでようやくカギを受け取る。

いろいろな手続きをするうちに陽が翳る。

すると、何もない街に、漸く人が集まってきた。

夕方になると町の中央通りにどこからともなく人が集まってくるのだ。

チェントロというらしい。

ボクは中トロの方が好きだ。

そこで知り合い同士が集まって、永遠にくっちゃべっている。

そうか、これがイタリア流か。

少しだけ異国情緒に浸る。

だが、翌日からの研修初日に備え、ボクは場末のレストランで質素な夕食を済ませると早めに寝床に就いた。

研修は面白かった。

英語はできないが、イタリア語はもっとできない。

身振り手振りでコミュニケーションを図る。

言葉は通じなくてもイタリア人は陽気で、すぐに打ち解けた。

グラッツェとプレーゴとペルファボーレ。

これだけでも覚えてきてよかった。

あっという間に一週間が過ぎて、週末を迎えた。

「週末には、広場でフリーマーケットをやってるよ」

そう教えられて、早起きをする。

よくわかったな。

フリーマーケット…。

タダなのかと思ったら、蚤の市のことだった。

石畳の広場では、採れ立ての野菜や様々な雑貨を売る市場が開かれていた。

物珍しさも手伝って、隅から隅まで見学して歩いた。

すると、市場の片隅で、教会のシスターたちが何かを売っていた。

普段なら、じっくり見ることなどない筈なのに、ボクの目はそこで止まった。

シスターたちの中に、黒い前髪を垂らした東洋人の女性が一人いたからだった。

シスターたちは、お約束のように黒をベースとして、肩から胸までが白のトゥニカを身に纏っていた。

更に黒のチュニックを羽織り、黒いヴェールに白いバンドーという出で立ちだった。

絵に描いたようなシスター姿だった。

首からは大きめのロザリオをぶら下げている。

ハロウィンのコスプレでしか見たことがなかったので、本物を見てなんだか少し萌えた。

東洋人と言っても、日本人とは限らない。

韓国人かもしれないし、中国人かもしれない。

けれども、この町で東洋人はボクと彼女だけのような気がして、見入っていた。

暫く見ていると、シスターたちは寄木細工の木箱を売っているようだった。

「あの…、日本の方ですか?」

どこの国の人かわからないのに、ボクは思わず東洋人のシスターに日本語で話しかけていた。

すると、彼女はニッコリと笑い短く答えた。

「はい」

日本人だ!

ボクの心は躍った。

そのとき、別のシスターが彼女を呼び、何かを話しかけた。

「いま、何て呼ばれたんですか?」

すると彼女は少し恥ずかしそうに答えた。

「ソレッラ・チリエージャです」

ボクが怪訝そうな顔をすると、彼女は教えてくれた。

「ソレッラは、シスターのことなんです」

「あぁ…、それで、チリ…?」

「チリエージャです」

「その、チリエージャは?」

尋ねると、彼女は今度は照れ臭そうに言った。

「イタリア語で、サクランボって言う意味なんです」

ボクがただ頷いていると、彼女は続けた。

「私、本名が”桜”って言うんです」

「はい」

「でも、サクラってイタリア語でそのまま日本語で発音すると、”神聖な”っていう意味なので恐れ多くて…」

「へぇ」

「ですから、桜の木をイタリア語にしようとしたら…」

「したら?」

「チリエージョといって、これは女性の名前に聞こえないらしいんです」

ちょっと何言ってんだか、わかんない…。

どこかの漫才師のネタが思い浮かんだが、口には出さずにいた。

「やだ、私ったら」

饒舌になっている自分に気づき、桜さんは口をつぐんだ。

けれども、暫くすると、再び口を開いてくれた。

そして、彼女たちがどのようにして寄木細工の小箱を売っているのかを教えてくれた。

「木片は、近所で家具を作っている工場で余ったものを無償でもらってるんです」

ボクが世話になっている仕入れ先の工場のことだ。

シスターたちは、それを木製の小箱に加工して、バザーのように蚤の市で売っているのだそうだ。

ひとしきりしゃべってから、桜さんは言った。

「日本語で話すの、久しぶりなんです」

そして、言い訳をするように言った。

「普段は、こんなにおしゃべりじゃないんです」

そう言って、少し目を伏せた。

その仕草が何だか可愛らしくて、ボクはひと目で彼女に興味が湧いた。

もっと話をしていたかった。

けれども、シスターたちはその日の小箱が売り切れると、修道院へと帰っていった。

「また、会えますか?」

帰り際に尋ねると、桜さんは曖昧な笑みを顔に浮かべ、胸の前で小さく手を振った。

修道院に身を置く彼女とは自由に会えるわけではないと知った。

シスターたちは、一日の殆どを院内で過ごし、ボクたちの住む下界との接点は限られていたのだった。

週に一度、修道院から木片を貰いに工場へやってきて、週末にはフリマで小箱を売る。

そのうちの一人が桜さんだった。

日本人はおろか、東洋人さえあまり見かけない異国の地で、彼女との接点はボクにとってオアシスだった。

最初は、シスターたちが効率よく木片を回収できるように集めておいた。

でも、直ぐに止めにした。

わざと木片を集めておかないで、彼女たちと一緒に集める作業をする。

その方が少しでも長い間、話ができるからだ。

限られた時間の中で、ボクは桜さんと日本語での会話を楽しんだ。

蚤の市にも毎週出かけ、そこでもボクたちは毎週のように会話を楽しんだ。

彼女たちにとって、男性と親密に話をするのは、実はご法度だった。

でも、シスターたちは皆、見て見ぬふりをしてくれた。

それぞれに、それぞれの事情と想いがあるようだった。

そのうちに、修道女見習いの彼女は月に一度、外出の許可を得られることがわかった。

「桜さん、今度の外出日、どこかへ遊びに行きませんか?」

けれども、彼女は力なく首を横に振った。

男性と外でデートをするのは流石に支障がある。

そう言って、下唇を噛んだ。

「じゃあ、聖書の話を聞かせてもらえませんか?」

「え?」

「聖書の話をしにボクのところへ来てくれませんか?」

そう言うと、彼女は目を輝かせ、自分を納得させるように小さく何度も頷いた

そうして、彼女は月に一度、ボクに会って聖書の話を聞かせてくれるようになった。

最初は、バールと呼ばれる喫茶店で会った。

けれども、東洋人というだけでも目立つので、次からはボクの住むアパートに来てもらった。

創世記に始まる旧約聖書。

聖書の話を聞かせてもらいながら、ボクは桜さんの顔をずっと見つめていた。

回を重ねる毎に、ボクたちはお互いの身の上を語り合うようになった。

桜さんの話によると、大好きだった男性に捨てられて出家したという。

修道院に入るのも出家というのかわからなかったけれど。

仏門だけかと思っていた。

修道院には日本で入ったが、煩悩を断ち切れずにいた。

そこで頼み込んで、日本から離れられるようにしてもらったという。

こんなに綺麗な人を捨てるなんて、何て罰当たりな。

どんなヤツなんだ、そいつは。

天罰が下ればいいのに。

そう思った。

けれども、それがあったから、ボクは今こうして桜さんと出会うことができている。

信心深くはないけれど、神さまに感謝。

複雑な思いが心を過ぎる。 

嘗ての桜さんを知るカレシへの嫉妬心かもしれなかった。

何度かうちで会った後のことだった。

帰り際にボクは、彼女をあすなろ抱きにした。

「いけないわ…」

半ば予期していたに違いないけれど、彼女は言った。

そしてボクも、それを予期していたかのように、腕に少し力を入れた。

桜さんは抗わなかった。

彼女の手が優しくボクの手の甲を覆う。

そこで、手の位置を少しずらして服の上からおっぱいに触れた。

その瞬間だった。

ハッとわれに返った桜さん。

「もう、行かないと…」

桜さんは優しくボクの腕を振りほどくと言った。

そして、自ら扉を開けると、部屋を出て行った。

今度はボクが我に返った。

そして、後悔した。

焦ってしまった。

タメ口になって距離が縮まったと、勝手に舞い上がってしまった。

もう来てくれないかもしれない。

そう思った瞬間、ボクはそれまでに感じたことのない締め付けを胸に感じた。

その週、桜さんが木片集めに工場を訪れたときも、ボクたちはぎこちなかった。

彼女は目を見てくれないし、話しかけても素っ気無い。

だから、彼女の翌月の外出日まで、ボクは不安でたまらなかった。

今日も来てくれるのだろうか。

そんな日に限って時間の流れが途轍もなく遅い。

そして、桜さんがやってくるいつもの時間になった。

彼女は現れない。

五分、十分と約束の時間が過ぎる。

シスターたちは携帯電話を持っていないので、連絡もできない。

その時だった。

玄関の呼び鈴が遠慮がちに音を立てた。

「ごめんなさい。出がけにマザーに呼び止められてしまって」

そう言いながら、入り口のマットの上に脱いだ靴を揃え、部屋に入ってきた。

ボクは呆然として、黙ったまま彼女を見つめていた。

「どうしたの?」

「もう来てくれないかと思った」

そう言うと、桜さんは小さくフッと笑うとボクの頬に手を当てて言った。

「バカね」

プラトニック以上のものを求めるのはやめよう。

桜さんを失う恐怖に駆られ、そう決意していた。

その日、彼女の姿を再びアパートで見るまでは。

それなのに、彼女の顔を見て、閉ざされた空間に二人きり…。

ボクは自然と彼女を正面から抱きしめていた。

「ハグだけだからね」

そう言われても、ハグだけで留まる訳がなかった。

ボクの心の暴走はもう止められなかった。

それは彼女も同じだった。

見詰め合って、唇を重ねる。

桜さんは抗わなかった。

けれども桜さんの豊かな胸に手を伸ばした瞬間、彼女は言った。

「神に嫁いだ身だから…、ごめんなさい」

そ、そんなぁ…。

心の中でそう思ったが、ボクにはそれ以上迫る勇気がなかった。

無理を言って、桜さんと会えなくなることの方が怖かった。

それまでのボクだったら、一か八かで押していただろう。

でも、そのときはできなかった。

自分じゃないような錯覚に陥るほど、心が激しく揺れ動いていた。

そんな気持ちになるのは初めてだった。

それからも桜さんはうちに来てくれた。

そして、抱きしめてキスをすることは許してくれた。

プラトニックな愛に毛が生えた程度だ。

けれども、ボクの限界も近かった。

唇を合わせるだけだったのが、舌を絡め合うようになっていた。

桜さんも同じだった。

そして、そして…。

終にその時は訪れた。

ボクの研修があとひと月ほどになったときだった。

そのことを彼女に告げる。

すると、彼女は押し黙って、ボクの部屋で固まってしまった。

「桜さん、好きだ」

真っ直ぐに目を見て告白した。

彼女が黙ったままでいるので、ボクは彼女の唇を覆った。

それからゆっくりと、彼女をベッドに押し倒した。

着ているものを一枚一枚丁寧に脱がせていく。

彼女は抗うことなく、何も言葉を発しなかった。

「私、脱いだらすごいのよ」

いつだったか、ふざけ合っていた時に彼女が口を滑らせたのを思い出した。

その言葉に嘘はなかった。

目の前にはビーナスの彫刻のような、桜さんの裸体があった。

雪のように白い肌。

細身なのに、ふっくらとした綺麗なおっぱい。

乳輪は小さめで、乳首はきれいなピンク色だった。

肋骨と腰骨が薄っすらと出ているのが時々見えるのが何ともエロい。

ボクは萌えた。

ボクも素っ裸になってベッドで抱き合う。

そして、二人でシーツに包まった。

舌を絡め合う。

あっ。

桜さん、上手い…。

脳天が痺れるようなディープキス。

少しのジェラシー。

それからゆっくりと手を胸にやった。

柔らかい。

優しく豊かなおっぱいをモミモミする。

「あぁ、ダメよ…」

力なく桜さんが呟くように言う。

けれどもボクは、乳首が硬くなったのを見逃さなかった。

すかさずそれを唇でついばんで、舌先で転がす。

「あぁ…」

小さな喘ぎを合図に身体に沿って手を滑らせ、草むらへと手をやった。

えっ!?

あるべきところにあるべきものがない!?

「神に捧げた身なので、剃ってるんです」

ボクの驚きに応えるように、桜さんは顔を背けながら言った。

ボクはいっそう興奮を掻き立てられた。

そうして、貝の合わせ目を指先でそっと開いた。

折り曲げた指で襞の中を探ると、彼女のそこはじっとりと濡れていた。

何も言わず、彼女はボクに身を任せていた。

彼女の長い脚を開かせる。

そして、さかさまになって覆いかぶさった。

舌を伸ばし、花弁を掻き分けてすっかり膨らんだ蕾を舌先で転がした。

「んんっ」

桜さんの声が思わず漏れる。

次の瞬間、彼女は口を大きく開くと、目の前で息づくボクの怒張したものを口にした。

ヌラリヌラリと彼女の唇がボクを咥えこむ。

フェラとクンニで高め合う二人。

「あぁ、いい…」

彼女の声を耳にして、ボクは身体の向きを変えると彼女に覆いかぶさった。

目と目が合う。

「挿れるよ」

そう言うと、彼女は黙って目を閉じた。

グィっと彼女の脚をM字に広げさせ、愛液と唾液でヌルヌルになった桜さんをペニスの先で探る。

そうしてボクは、柔らかな襞の中へと入っていった。

「ひぃ!」

彼女の声が小さく漏れる。

あぁ…。

ペニスが温かさに包まれていた。

声が漏れないように、桜さんは自分で自分の人差し指の付け根を噛むようにしていた。

ゆっくりと腰を動かして、一番奥にまで達する。

き、キツイ!

それに何かが絡みついてくる。

「主よ、お許しください…」

桜さんは、目を閉じたままそう言った。

それを聞いたボクは、猛烈な嫉妬にかられた。

その相手が、前のカレシなのか、神さまなのかわからなかった。

兎に角、桜さんの心に巣食う全てを追い出したかった。

そう思うと、ボクの下半身は暴走モードに入った。

初めての契りなので優しくしたかった。

けれども、込み上げる衝動を抑えることはできなかった。

最初はゆっくりと彼女の中を往復していた。

あぁ、ダメだ…。

ギュギュギュっと締め付けられて暴発しそうになる。

けれどもギアを入れ替えて、猛烈なピストンを繰り出した。

「あぁ、ダメぇ…」

思わず漏れた桜さんの喘ぎ声を聞いて、ボクはさらにシフトアップした。

「あっ、凄い!」

「そんなに動いたら、私…」

「ショウくん…、ショウくん…」

そのころには、桜さんはボクを名前で呼んでくれるようになっていた。

「あ、そんなにされたら、私…」

「あ、あ、あ…」

悶える桜さんの姿は本当にエロくって、ボクの肉棒は一層硬さを増した。

パン、パン、パン、パン、パン、パン、パン!

どことどこが当たっているのかわからないほど、激しい突きをお見舞いする。

肌と肌がぶつかり合う音が土壁に跳ね返り、アパートの部屋に響いた。

「許して!」

「あぁ、許して!」

「もう、おかしくなっちゃう!」

「ダメ…」

「イッちゃう…」

「あぁ、イッちゃう!」

次の瞬間、桜さんの脚がビーンと伸びた。

「ん゛ぁぁぁっ…」

そこへ会心の突きが重なった。

白い喉を見せて仰け反る彼女。

「あ゛ぁぁぁー!!!」

喉からくぐもった声を絞り出すように吐き出して、彼女は昇天した。

彼女の身体は、グッタリとしていた。

ギアを落とし、小刻みな動きに転じる。

暫くそうやって続けていると、彼女の身体がビクンとなった。

優しい視線を向けてくれていたが、桜さんは恍惚の表情を浮かべて直ぐに目を閉じた。

「あぁ、また、気持ちよくなっちゃう」

今度は彼女が下からボクにしがみ付いてきた。

円を描くように腰に回転を与えながら、深く奥まで抉っていく。

「あー、あー、あー」

だらしなく半開きの口をして、虚ろな目をした彼女が喘ぎ続ける。

そこで彼女の長い脚を肩に担ぐようにして、彼女への挿入角度に変化をつけた。

「うぅっ!」

「それ凄い!」

「あぅ!!!」

忽ち音を上げる彼女。

それを見届けたボクは、彼女から一旦出た。

そして、彼女をベッドの上で四つん這いにさせると、後ろから再び挿入した。

「ひぃーっ!」

挿れた瞬間、彼女の背中が仰け反った。

「き、気持ちいい!」

間髪をいれずに、後ろから激しい突きをお見舞いする。

自分の声に驚いたように、彼女は声を出すまいと、片手で自分の口を覆っていた。

それでも喉の奥から漏れる歓喜の喘ぎ声。

「んんっ、んんっ、んんっ!」

押し寄せる快感の波に呑まれそうになっている。

それを拒むかのように、彼女は耐え忍んでいた。

しかし、それも限界だった。

「あ゛ー、あ゛ー、あ゛ー…」

耐えられなくなった彼女が激しい声を上げる。

「だめ!」

「また、イッちゃう!」

その声に応えるかのように、ボクは激しく腰を動かした。

「んぁ、んぁ、んぁ…」

「あ゛ぁ゛ー!!!」

ひと際大きな喘ぎ声を漏らし、彼女は枕に顔を突っ伏すとイキ果てた。

シーツには彼女の愛液が飛び散って、大きなシミが広がっていた。

くちゃっ、くちゃっと亀裂の奥の膣口がヒクついていた。

それがボクを締め付ける。

四つん這いになった彼女の膝が、シーツをズルズルとすべって足が伸びた。

そして、彼女はベッドにペタンとカエルみたいにうつ伏せになってしまった。

それを見て更に、ボクは萌えた。

彼女のお尻の辺りに跨るボク。

ガニ股になった彼女の脚の隙間から、ビショビショの秘所を目掛けて亀頭を押しつける。

そして背後から覆いかぶさるように、ボクは彼女の中へと押し入っていた。

寝バックの体制が整った。

ゆっくりとピストンを再開すると、桜さんはもう声を押し殺してはいられなかった。

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」

ボクの動きに合わせて、激しい声が漏れる。

ボクは角度に変化をつけながら、彼女の中を往復した。

「あぁ、そこダメぇー!」

オルガを迎えそうになる。

けれども、今度は直ぐにイカせない。

身体が反り返ったところで寸止め。

仰け反った首がガクンとベッドに落ちる。

それを何度も繰り返す。

「くはぁぁぁ…」

桜さんの乱れようは凄かった。

ボクは彼女の締め付けに耐えながら、桜さんの膣内を何度も何度も往復した。

「もう…」

「もう、イカせて…」

ヘトヘトになった彼女が、懇願した。

ボクは激しい突きをお見舞いし、彼女は激しいオルガを迎えると昇天した。

彼女の中が収縮し、ボクに絡み付く。

耐え切れなくなったボクは、桜さんからジュニアを引き抜くと、彼女の背中に溜まった精子を迸らせた。

ドピュッ!!!

静寂がボクの部屋を包みこむ。

桜さんの背中に散った飛沫。

彼女の背中はいつまでもガクブルが続いていた。

その背中をティッシュで拭い、彼女を腕の中に抱きしめた。

薄らと目を開ける彼女。

そして、少し掠れた声で言った。

「凄かった…」

「ボクも」

「悪い人…」

子猫のように甘えてくる桜さん。

か、可愛い…。

軽くチュッとキスをした。

「気持ちよかった?」

敢えて尋ねると、彼女は恥かしそうな表情を見せると目を伏せた。

「知らないっ」

恥ずかしがって、拗ねたように顔を背ける桜さん。

その姿に萌えた。

おっぱいに吸い付くと、彼女もボクの股間に手を伸ばしてきた。

ボクのジュニアは忽ち復活。

彼女の長い脚を広げさせ、再び熱く滾った蜜壺へとボクは入っていった。

正常位でのドッキング。

「あぁ、凄い!」

再び、桜さんがボクに絡みついてくる。

このままではダメだ。

そのまま激しいピストンを繰り返す。

桜さんが半狂乱になって繰り返し昇り詰める。

アクメを懇願し続ける桜さん。

果てて、果てて、ボクの腕の中で眠るまで、ボクたちは愛の行為を繰り返し続けた。

「やっと、忘れていたのに…」

薄目を開けた桜さんが言った。

「私をこんな風にして…、どうしてくれるの?」

優しくも悪戯っぽい目で訊く桜さん。

「ボクのところへおいでよ」

そう言うと彼女はちょっとはにかんで、嬉しそうな顔をした。

でも次の瞬間、彼女は微かに首を横に振っていた。

「私はもう神に嫁いだ身なの…」

そして、次に彼女の口から出てきた言葉はたったひと言だった。

「ありがとう…」

そう言うとボクに唇を近づけて、チュッとしてくれた。

桜さんとの契りはその一度きりだった。

翌月には研修が終わり、ボクは帰国の途についた。

その日、外出日ではなかったので、彼女は見送りに来てはくれなかった。

桜さんは一度きりと思っていたのかもしれない。

ボクも自分で自分にそう言い聞かせた。

いい思い出になった。

そう思い込もうとした。

でも、忘れられなかった。

桜さんの吸い付くようなしっとりとした白い肌。

絡み付いてくるようなやわらかい肉襞。

日本に帰ってきてからも、その感触と温もりを思い出し、自分で自分を慰める日が続いた。

けれども、時の流れは残酷だ。

暫くすると仕事に忙殺され、彼女を想う時間はどんどん少なくなっていった。

日本に帰ってきてから数ヶ月が経ったころ、ボクの携帯に着信があった。

客先にいたので、出られなかった。

公衆電話?

桜さんの顔が真っ先に思い浮かんだ。

けれども、公衆電話では掛け直すこともできない。

それからは、携帯が再び鳴るのを待ちわびて、取引先に行っていても気になって仕方がなかった。

携帯が鳴るたびにビクッとし、彼女からではないと知っては落胆した。

ボクの携帯に待ちわびた電子音が漸く鳴り響いたのは、翌朝だった。

電話の着信ではなくて、LINEだった。

『チリエージャ』

画面には、そう表示されていた。

トキメキが一気に蘇る。

画面をタッチして、メッセージを開いてみる。

『スマホデビューしました』

そこじゃないだろ!

思わず苦笑しながら、ボクは即座に電話をかけた。

ワンコールで繋がる。

「桜さん?」

勢い込んで話しかけた。

「…」

ところが、返事がない。

ボクは全身を耳にして、返事を待った。

「…ショウくん…」

暫く待って、漸く声が聞こえた。

「私、桜…」

あぁ、夢にまで見た彼女の声だ。

「ショウくん、ごめん…」

「…ショウくんの声、聞いたら胸が一杯になっちゃって…」

話し出した彼女の声は少し涙ぐんで震えていた。

「兎に角会おう!」

そう言って、ボクの住むアパートの最寄り駅を告げた。

一時間も経たないうちに、桜さんはボクのアパートへとやってきた。

「修道院はどうしたの?」

「私は、見習いだったので、終生誓願を断ったの」

終生誓願?

耳慣れない言葉だったが、多分神様に生涯身を捧げますっていう誓いだろう。

でも、そんなことできるんだ…。

断ることなんて…。

もう言葉はいらなかった。

愛しい彼女が再び目の前にいる。

ボクは彼女の着ているものを一枚一枚剥ぎ取って、自分も素っ裸になった。

ビーナス誕生。

胸を腕で覆った彼女の姿は将にビーナスだった。

「シャワーを浴びさせて」

恥ずかしそうに桜さんが言う。

それに対して俺は応えた。

「うん、ボクと一緒に浴びよう」

ピクリと反応する桜さんだった。

そうして少女のような表情を一瞬見せた後、言った。

「恥ずかしいわ。先に浴びてきて」

その癖、何だか嬉しそうで、ソワソワしている。

無理強いはいけない。

だから、ボクは先にバスルームへと向かった。

暫く湯船に浸かっているとバスルームの扉の向こうから声が聞こえた。

「ショウくん、やっぱり私も…」

そう言うと桜さんがおずおずと扉を開いた。

煌々と明かりのついたバスルームで見る桜さんの裸は、一層綺麗だった。

アラサーとは思えないスレンダーな身体。

おっぱいの膨らみと腰のクビれがエロい。

あぁ、あの時以上だ。

「あんまり見ないで」

そういいながら、掛け湯をして浴槽に入ってくる。

浴槽が狭いので、自然とボクと桜さんの足が交差する。

「あっ、ショウくん、もう大きくなってる」

ボクの股間で屹立しているジュニアに目をやると、桜さんはエッチな眼をしてそっとボクを掴んだ。

わかっているくせに、儀式のようにそう言ってみせる。

「硬いね」

そう言いながら桜さんはゆっくりと手を動かしてボクを扱き始めた。

「桜さん、もう…」

そう言うと桜さんはボクを湯船の中で立たせると、ボクの間に顔を近づけた。

暫く硬さを手で確かめた後、ペロ◯と舌を這わせた。

「誰にでもこんなことする女だと思わないでね」

初めてボクをお口に含んでくれたとき、桜さんはそう言った。

前も上手だと思ったが、その時はプロも顔負けの舌遣いだった。

ツツツと尖らせた舌が亀頭を舐め回す。

ボクの中で少しだけ、嫉妬心が蘇る。

でも、そんなことを忘れさせる桜さんの舌遣いだった。

続けて、竿に絡めるように柔らかい舌が行き来する。

十分な硬さを確かめると、喉奥まで含んだかと思うとふぐりを舐めあげてくる。

すごい、凄過ぎる!

「桜さんにもしてあげる」

ボクがそう言うと、桜さんは妖艶な目をしてボクを制すと耳元で囁いた。

「ベッドに行きましょ」

お互いの身体をバスタオルで拭きあって、裸のままの桜さんをお姫さま抱っこにする。

そして、ボクは真っ直ぐ寝室に向かった。

妖艶でむっちりしたボディなのに、重くない。

そんなことを思いながら、そっと彼女をベッドに下ろした。

桜さんは仰向けのまま、目を閉じている。

そんな桜さんを見て、ボクは少し乱暴に脚をM字に開かせた。

「やん!」

少女のように恥らう彼女。

だがボクは、ジュルジュルとワザと音を立てて、そのままクンニを始めるのだった。

「あっ、それ…」

「そう、ソコ…」

「ん、ん、ん、ん、ん、ん、ん」

「ショウくん…、いい…」

蕩けるようなメスの表情を晒し、桜さんはボクの舌戯に悶えた。

股間に顔を埋め、ぷっくらと膨らんだクリを舐め回す。

腰が浮いてきたところで腕を伸ばして、コリコリになった乳首を弄んだ。

乳首はきれいなピンクで、硬くなっている。

それを合図に身体の向きを入れ替えて、シックスナインになる。

下から桜さんがボクを口一杯に頬張った。

ボクの脳天にも快感が押し寄せてくる。

だがやがて、快楽の波が押し寄せると桜さんの口はお留守になった。

「あ、あ、あ」

「ショウくん、もっと…」

「あぁ、剥いちゃイヤ…」

「もう、ダメぇ…」

「すごい…」

「あぁ、凄い!」

軽いアクメを味わった桜さんは荒い息を吐きながら言った。

「ビショビショになっちゃった…」

そう言って桜さんはノロノロと身体を起こし、ボクをベッドに押し倒すと腰の辺りに跨ってきた。

「もう、食べちゃう」

妖艶な表情に変わる桜さん。

そう言いながらボクに手を添えて、ジュニアの先を自分の亀裂に押し当てると、ゆっくりと腰を落としてきた。

「あぁ…」

「か、硬い!」

二人同時に声が漏れる。

桜さんが髪を掻き揚げながら、腰を前後に動かし始めた。

温かく柔らかな肉襞に包まれたボク。

思わずボクは、張り出した桜さんの腰に手をやると、その蜜壺をグイと引きつけた。

「あぁ、これよ!」

白い喉を見せて桜さんが仰け反ると、ボクはピストンを早めていった。

下から猛烈に突き上げる。

耐え切れなくなった彼女は、上半身を前に倒して抱きついてきた。

「ショウくん…」

下から強く抱きしめて、桜さんの唇を吸った。

すると、彼女は自分から舌を絡めてきた。

ディープキスが続き、ボクが舌を伸ばすと桜さんはベロフェラをしてくれた。

脳内に電流が走り、腰の動きがいっそう激しさを増す。

「ダメよ、そんな…」

唇を離した彼女が言った。

「そんなにしたら、イッちゃう…」

「あぁ、イヤ、イッちゃう…」

「あ゛ー、見ないで…」

「イッちゃう…」

「どうしよう…」

「やだ…」

「あぁ…」

「イク、イク、イクぅ!!!」

身体を仰け反らせた彼女は、ブルブルと身体を震わせるとボクに重なって体重を預けてきた。

彼女の軽い体重と膨らみを胸に感じた。

桜さんは今でも自分のアヘ顔を見られるのを恥ずかしがる。

だから、顔を背けるようにして、呟くように言った。

「イッちゃった…」

彼女の中に肉棒を突き立てたまま、ボクは桜さんの身体を抱きしめた。

大きなおっぱいがボクの胸にいっそう強く押し付けられる。

そうして、ボクたちはいつまでもお互いの唇を貪り合った。

「四つん這いになって」

彼女から出て、ベッドに手と膝をつかせる。

素直に従う桜さん。

その背後に移り、中指を濡れた蜜壺に挿入した。

「あぁん、ダメよぉ…」

そう言いながら、ベッドについていた腕の肘が折れ、桜さんはベッドに膝をついたまま腰を高く突き上る格好になった。

中指を深く突っ込んだまま手のひらを下に向け、指先でGスポットを探り当てる。

「あっ、そこは…」

「あぅ!」

「ひぃーっ!」

ピチャピチャと音を立てながら、ザラつた中を擦り上げる。

彼女の背中が反り返る。

「あぁ、そこダメ…」

「あー、またイクっ…」

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」

「もう、イク…」

「あっ、イッちゃう…」

「そんなぁ…」

「イッちゃう、イッちゃう、イッちゃう…」

「あ゛ーっ、もうイク、イク、イク、イク、イクぅーっ!!!」

桜さんの背中が思いっきり反り返ったところで指を引き抜くと、股間から聖水がビューっと迸り出た。

ガクガクと身体を震わせて昇天すると、桜さんはガックリと顔を枕に突っ伏した。

シーツに広がる愛液のシミ。

「やだ…、ちょっと…」

それに気づいた彼女は、ボクの目を避けながらベッドの上で身体を丸めた。

「桜さん、見て」

引き抜いた指を舐めてみせる。

「もう…、ショウくんったら…」

恥ずかしそうに顔を背ける桜さんに萌える。

彼女の手首を押さえつけるようにして仰向けにさせ、お腹の上に馬乗りになった。

「ショウくん…」

それからゆっくりと屹立したものを桜さんの唇に近づけていった。

観念したように目を閉じて、彼女は口を開けて見せた。

半開きになった彼女の口に怒張したものをねじ込む。

舌が竿に絡み付いてくるのを味わいながら、ボクは腰を突き出した。

喉奥まで肉棒は到達し、陰毛が桜さんの唇を覆った。

「うごっ…」

苦しそうに顔を歪める彼女。

その表情に一層の興奮を覚えながら、ボクは腰を前後に動かしていった。

「あが、あが、あが…」

ひと突きするごとに、苦しそうな声が漏れる。

それを聞いたボクは、いっそう興奮した。

イマラチオを堪能したあとで、ボクは腰を引いた。

「けほっ」

口から出ると、むせた彼女が咳き込んだ。

その顔をめがけ、ボクのジュニアは精子を放出した。

顔射炸裂!

べっとりと顔についた精液を手で拭い、桜さんはそれを口に含むとゴクリと飲み込んだ。

「飲んじゃった」

恥ずかしそうに言う彼女が愛おしい。

そのまま身体の向きを入れ替えて再びシックスナイン。

すると、桜さんは自ら目の前の精液塗れになった肉塊に再びしゃぶりついた。

「綺麗にしてあげる」

長い時間をかけてお互いの陰部を愛し合った。

すると、ボクはムクムクと再び復活を遂げた。

愛液に溢れた亀裂をぴちゃぴちゃと舐め続ける。

すると、彼女が慌てたようにボクの太ももをタップした。

「どうしよう…」

「ん?」

「また、欲しくなっちゃった」

桜はとうとう自分から懇願した。

彼女の横でベッドに仰向けになると、桜さんははゆっくりと身体を起こし、ボクの腰の辺りに跨ってきた。

「ショウくん…、舌を出して」

貪るようにエロいベロフェラをしてくる彼女。

「どう?」

桜さんが唇を離すと妖艶な目をしていった。

「気持ちいい?」

桜さんの乳房に手をやると、コリコリに勃起した乳首に指先が触れた。

「もう、ちょうだい…」

彼女ははボクに手を添えて、再びゆっくりと腰を沈めてきた。

「あぁ、これよ」

グイと下から突き上げる。

「あ…、あ…、あ…」 

桜さんの身体に快楽の波が押し寄せる。

「あ、イッちゃう…」

「あぁ、おかしくなるぅ…」

「イク…」

「いい?」

「イッてもいい?」

肉棒を突き立てられ、よがり狂う。

「あー、イッちゃう」

「ダメ、もう我慢できない」

「もうダメ…」

「もうダメ…」

「あーダメ、イッちゃう!」

「イク、イク、イク!」

「あ゛ー、イク、イク、イク、イク、イクーっ!!!」

絶頂に震える彼女を見て、この上ない愛おしさを感じた。

「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ…」

ビクッ、ビクッっと身体を震わせ続ける彼女。

この人を手放してはいけない。

そう思って彼女をまんぐり返しにすると、舌を突き出して亀裂に差し込んだ。

その様子をワザと彼女に見せ付ける。

「いやっ!」

「恥ずかしい!」

「そんなの…、そんなの…」

「んん!んん!んん!」

続けてクリトリスにむしゃぶりつく。

「あ、あ、あ、あ、あ、あ、あ」

「んはぁ、んはぁ」

「あ、あ、あ…」

まんぐり返しを解いて組み敷くと、ボクは彼女の蜜壺に深く突き立てた。

動きに合わせて彼女の喘ぎ声が激しくなる。

「あ、あ、あ…」

「あぅ!」

「あぁ、あぁ、あぁーっ!」

感度が上がり、何度も絶頂が彼女を襲う。

「あぁふ…」

抱き合いながら、荒い息遣いを聞いた。

やがて、虚ろな目をした彼女が言った。

「また、イッちゃた…」

「うん」

「ショウくんもイッて…」

「うん」

「私の中に出して」

精神崩壊。

彼女は完全に理性を失っていた。

「いいの」

「もうどうなってもいいの!」

「いい、イッて!」

そういいながら自ら腰を前後に動かして、次のエクスタシーに浸った。

「んあ!」

「あがーっ!!!」

ボクにまたがったまま、前に倒れ込んでボクと抱き合う形になりながら、桜さんがボクの耳元で囁いた。

「私の中に全部頂戴…」

「いいの?」

ボクは自分の肩に、頷いている彼女を感じた。

彼女の身体を反転させ、ベッドの上で彼女を組み敷いた。

そして正常位でボクが上になると、猛烈に腰を振った。

「あぁ、当たってる!」

「奥に当たってる!」

ポルチオを直撃したジュニアを何度も食らい、桜さんは悶え狂った。

それにしてもスゴイ締め付けだ。

名器ってこういうのをいうのかな。

気を抜くとすぐにイキそうになる。

だから気合を入れて、グラインドを繰り返す。

異国の地で別れ、離れていた時を埋めるかのようにボクたちは肌を合わせ続けた。

「あぁん、あぁん、あぁん」

「いい?」

「凄くいい!」

「ホントに?」

「凄い!」

ボクはマシンガンのようにピストンを繰り出した。

「あ゛ーっ、あ゛ーっ、あ゛ーっ」

「もう、おかしくなるぅ!」

その声に萌えた。

ボクの限界も近づいていた。

「いいの?」

「ホントにいいの?」

「出すよ…」

「中に出すよ…」

「あぁ、出る!」

同時に桜さんも仰け反った。

「あ゛ーっ、イク、イク、イクぅーっ!!!」

汗だくになって仰け反る彼女の身体を抱きしめると、彼女は白い喉を見せたまま昇天した。

放心したように、びくりとも動かない桜さん。

薄目が開いたまま白目になっていて、半開きになった口からは涎が少し垂れていた。

ボクはそれを舌先で掬うと彼女の身体がビクッとなって正気を取り戻した。

「中で出した?」

放出するとボクは、ちょっと罪悪感に苛まれた。

でもそんなボクの気持ちを追い払うかのように彼女が言った。

「きれいにしてあげる」

そう言うと桜さんはボクの股間に顔を埋め、白濁液に塗れたボクを再びお口に含んだ。

「もう、離さない」

ボクがそう言うと、彼女はボクに抱きついてきた。

彼女の腕がボクの背中に回される。

「ずっと一緒にいてくれる?」

耳元で続けて囁くと、彼女はボクの後頭部に手をやって軽くボクの頭を抱きかかえた。

「ありがとう…」

「…でも、私、そんなことを言ってもらえる資格はないの…」

「…こうして、また会えただけで、十分だから…」

彼女から体を少し離し、ボクは彼女の目を見て言った。

「まだ、ボクのこと、そこまで好きじゃない?」

すると彼女は押し黙った。

それから、小さく頭を振るとボクの目を見て言った。

「好きよ。大好き!」

「なら、どうして?」

彼女は暫く黙っていた。

自分の中で葛藤を続けているようだった。

だが、やがてポツポツと話し始めた。

「イタリアに行く前にね、私、日本のお寺で修行をしていたの」

本当の仏門だ。

「山奥の尼寺でね…」

「…レンカって名前で修行をしていたの」

「でも、ある時、山道に迷った大学生が夜更けに尋ねてきて…」

「…私、抱かれてしまったの…」

「そうしたら、もう修行には耐えられなくなって…」

「…それで、尼寺を出て修道院で一からやり直すことにしたの」

「けど、結局こんなことになってしまって…」

「私、こういう女なの…」

「…だらしなくて…、淫らで…」

そこまで聞いて、ボクは桜さんを思いっきり抱きしめると言った。

「過去のことなんて、忘れなよ」

ボクは固い決意を胸にしていた。

目と目が合ったとき、ボクは言った。

「ボクのお嫁さんにならない?」

「私…、こんな過去を持つ女よ」

「かまわないよ」

「私のこと、全部話しておきたくて…」

支離滅裂になり始めた彼女を促して、ボクはベッドに仰向けになって寝転がると彼女を腰の辺りに跨らせた。

騎乗位になって、ボクの上で腰を前後に動かす桜。

その蜜壺がボクを締め上げていた。

脳みそを絞られるような快感が押し寄せ、ボクは彼女の中で再び放出した。

「あぁぁぁぁぁぁぁ!!!」

同時に桜さんも仰け反ると、ガクガクと身体を痙攣させて、絶頂に昇り詰めた。

ボクを咥え込んだまま、桜さんはビクッビクッと身体を震わせ続けていた。

だが、やがてそれも収まると、ボクの後頭部に手をやって優しくボクを抱きしめた。

「イッた?」

「気持ちよかった?」

「たくさん、出たね」

彼女の膣内は、まだヒクついていた。

「あっ、また別のところに当たってる…」

桜の動きに合わせ、ベッドの軋む音だけが、ボクのアパートで響いていた。

営業成績トップの一番のご褒美。

それは、桜さんとの出会いだ。

その日、聖職者だった彼女の中で何度も弾け、ボクは生殖者になった。

そして、産婦人科での受胎告知。

彼女はボクの子供を身籠った。

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