盗撮カフェ第2話 夢の店のからくり

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3年前にオープンしたうちの店はようやく会員数が2000人を超えた。

このビルは祖父からの遺産と私がサラリーマン時代に貯めてきたお金で、建てたものだ。

まあほとんどが祖父の遺産だが、JRと私鉄が乗入れている駅から数分の場所で10階建てのビルを一括で建てられたのだから、私は運が良いんだろう。

この町は都心から電車で30分ほどで。駅周辺には大型のマンションや学生が多いせいか、若者が集まるようなお店も多い。

うちの店からほど近いところには、有名女子大とその付属高校がある。

その他にも私立大学や専門学校のいくつかの最寄り駅にもなっている。

こうした立地からカフェのターゲットは若い女性に狙いを付けたが、今のところはこれが上手くいっている。

開業するにあたり、昔からオシャレなカフェをやりたかったが、流行りに敏感な若い女性向けで成功するには、相当な強みが無いとならない。

一時的には流行っても、継続するのは非常に厳しい、成功させるには固定客の確保だが、その為には他には無い強みがなければ、情報の多いこの時代に、情報が集まる若い世代の女性を引き留めておくのは難しい事です。

どんな店にするべきか悩んでいた時、ある人物との出会いが、全ての始まりだった。

その男の名はオチというニックネームで呼ばれている。

ニックネームの由来はそのうち話すこともあろうが、この男とはある趣味で知り合ったのだ。

オチの本業は大手アパレルの社員で、若い女性のファッションには詳しい。

その関係からカフェとファッションを組み合わせたコンセプトが生まれたのである。

趣味で一緒に活動してたある日のこと、オチに相談のような雑談をした。

「今度、カフェ始めようと思うんだけどさ、うちの地元は若い子多いし、若い子に受けるような店にするにはどんなのが良いかな」

若者に人気のアパレルチェーンに勤めているオチならそういうのも詳しいんじゃないかと思い、オチにこんな話を切り出した。

「簡単だよ、今の子は情報に敏感だからね。自分にメリットがあればほっといても来るよ」

「そうだけど、メリットなんてみんな違うだろ。好みも違うし」

こんな当たり前な話じゃなくて、具体的にアドバイして欲しかったのになあと私は思っていると、

「そこが分かってないんだよ」

オチは馬鹿にしたようにこう言った。

私はカチッとしながら「何がよ」と返す。

「いいか、例えば今はこんなのが流行りだから、こういうコンセプトで店を開くとかだろ。

そんなの流行りが変わったりしたら、その度に店を変えるの?。

そんな事出来るわけないだろ。

それに流行ってる店は、すぐに他に真似されて客の取り合いになるぞ」。

確かにな。

流行りが変わるたびに改装するわけにはいかないし、うーん難しいなあと考えこんでいると、

「いいか、店のコンセプトをオシャレとか流行りだとか言ってる時点で、経営がわかっていないよ。

店を継続していくのに大事なのは何か分かるか。

新規の客を増やし続けることと、新規の客を固定化することだろ」。

「そんなのは分かってるよ、みんなそうしたい

けど出来ないから潰れるんだろ」。

「そうだよな、じゃあどうしたら良いと思う?」

「やっぱり客が望む商品を・・・」と言いかける途中から、オチが私の言葉をさえぎる。

「あのな、客が望むものをずーと分かるのか?。

しかもお前はカフェだろ、どんだけ他の店と違う商品を、真似もされずに出し続けることが出来ると思うか」。

最初はカチッと来たオチの言い方も、だんだんと鋭く切り返されることで、オチの話を真剣に聞くようになっていく。

「新しく客を増やす、それを固定化する、これは分かるよな。

カフェで固定化は比較的しやすいだろ」。

「ああ、まあ値段と味が不満なければな」

「でもさ、カフェってさ一番の強みって立地だろ。

確かにあの場所は駅から近いし、学校の帰りに立ち寄りやすいから、一定の

客は来るだろうよ。

でもさ特別な何かがなければ、わざわざ行かないだろ」。

「スタッフに超イケメンを揃えるとか、どこかのスイーツとか」

「まずカフェはカフェでも品ぞろえとか一旦置いとけ。

それにイケメンだとぉ、お前はホスト風カフェにでもするのかよ」。

そう言ってオチは話を切り出した。

「俺がGQの本社で企画やってるのは知ってるよな」

「ああ、だからこそ若い子の事をよく知っていると思って聞いてるんだよ」

「だよな、でな今の若い子のことを教えてやる。

まず時代を問わず若い子が重視するのはファッションだろ。

男はとりあえず恥ずかしくないレベルなら何でもいいやってのも多いけどさ、

女の世界は違うよな」。

「そうだな、女の子と服を買いに行ったら大変だよな。

もうどれでも同じじゃんとか思うわ」。

「だよな、それはなぜか、簡単だろ、予算に制限があるからだよな」

そりゃ大金持ちなら悩まないよなと思うけど、

「お前、今時の子が毎月洋服に掛ける費用がそれくらいか知っているか」

オチはニヤニヤしながら私に聞いてきた。

「どうだろう、まあ人にもよるだろうけど、女はファッションには金使うから月に2、3万かな」

「まあ働いている、実家住とかで違うけど、調査では50%は月5000円、1万掛ける子も30%くらいなんだよ。

ようは女の子の8割は月に1万以下しか使えてないんだ」。

そんなもんなんだとビックリしたが、まあ1万でも年間12万か、たしかに学生とか一人暮らしのOLとかならそんなもんなのかなと思ったが、

オチはここで重要なことを話し始めた。

「でもうちなんかは比較的安くて可愛いの多いから人気あるけど、それでも1着3000円から5000円はするんだよ。

それに女は服以外も靴だカバンだ、帽子だもあるだろ。

つまり毎月1万の予算でもせいぜい1か月で2,3着しか新しい服は着れない

んだよ」。

「それに女は俺らの好きなショーツやブラとかも必要だもんな」

大笑いしながらオチも、

「それに俺らのせいで下着見せなくする重ねとかもいるだろ」

「うんうん。俺らが居なければJKなんか、あれ要らないものだよね」

そう私たちは同じ趣味で知り合ったのだが、その趣味とは靴に仕掛けたカメラで女性のスカートの中を拝見するのが、何よりも好きな仲間たちなのだ。

店名のティップカルセウスというのもラテン語で靴の先という意味なのだ。

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