真面目で実直な川口俊也は、教師という職業に大変なやりがいを感じていた。結婚してからも妻一筋、一人娘は目の中に入れても痛くないほど可愛がっていた。道を外れたことはない。
そんな川口が、あの女装した上原光の写真を見てからというもの、苦悩している。その苦悩は、やがて川口の精神を蝕み始めているようだ。
夜、書斎で一仕事を終えると、川口は上原の写真を取り出し、自慰行為に耽るようになった。
“教育者がこんなことでいいのか?”
川口は悩んだ。しかし、どうしても自分の気持ちを抑えることは出来ない。
真面目一筋の教師に限って、浮気や不倫に走るケースが多いという。
そんなことは、自分には当てはまらないと川口は思っていた。
第一、上原光は女性ではなく少年なのだ。浮気ではないのではないか?
上原の元に、メールを入れようかどうか迷っている。
しかし、それをしてしまったら後戻り出来ないような気もする。
その先の禁断の恋?それはだめだ。
そんな理性で、ぎりぎり踏み止まっている状態なのだ。
その頃。
上原光は自部屋で女装していた。
この頃は、部屋では女装で過ごすことが多くなっている。
決して、女装趣味があったわけではないのだが、尊敬する?川口先生から「君は美少年だから、女装したら似合うと思うよ…」と、言われて以来、“本当だろうか?”と、ちょっとした好奇心から女装してみたのだ。
自分でもゾッとするほど、美しい女の人になっている。
これが本当にボク?
嬉しくなった上原は、川口にその画像を送った。一度目は清楚なワンピース姿の少女。二度目は先生とランチをした日の夜に三枚送った。
その三枚は、一度目とは違い、セクシーで刺激的なものだった。
先生からの返信を期待して待っていたのだが、あれからニ週間も経つというのに、未だ連絡はないまま。
“あんな挑発的な写真、、先生に嫌われてしまったのだろうか?”
少し後悔もしたが、上原光には自信もあった。きっと、先生は連絡してくれるはずという確信もある。上原光という少年は、相手の表情、仕草から、その心を読む。つまり、読心術に悪魔的な才があるのだろう。
“川口先生の言動、表情、仕草等を見ていると、ボクに魅惑されているような気がする。否、それは確信がある。きっと、今は自分自身と戦っているのだろう。仕事や家族に影響を及ぼさないか?ということよりも、ノンケで保守的な先生は、少年?に恋してしまった自分を許せないのかもしれない”
男とか女とか、そんなことを超越する美しさ?それが人を惑わすことがあることを上原光は体験上知っている。
自分の女装した姿を、直に先生に見せれば?女の姿で先生の前に立てば?きっと、先生はボクのものになる。
上原光は遠い日のことを思い出す。
幼い頃から上原は、その美少年の片鱗を見せていた。彼は大抵女の子と間違えられていた。
「うわぁ~!かわいい女の子ね。いくつになるの?」
そうやって、寄って来る女の人は多かった。それを母は苦笑いしながらも、得意気に眺めている。
母の友人の中には、抱き上げてきたり、頬を寄せてきたり、中には額に軽くチュッとキスするものもいた。
女の人は無遠慮に身体を触ってくるので、幼いながらも上原は面倒くさく感じると警戒するようになった。
「ひかる。女の子みたいだけど、オチンチンあるの?」
親戚が集まった時、そうやって幼い上原のパンツを下ろした伯母がいた。皆、酔っ払っていたので、大笑いされたことはトラウマになっている。
あの頃から上原は女性嫌いになっていったのかもしれない。
その点、男の人はやたら触ってくることはないし、上原を男の子として扱ってくれるのが嬉しかったのだ。
父の弟、つまり上原の叔父でトオルおじさんが、近所のアパートに一人暮らしをしていた。上原が小学校一年の時だったか?あのことがあったのは。
当時父は32才位だったので、トオルおじさんは27~8だったと思う。
上原はこのおじさんのことを、やさしいおじさんと言って、大変懐いていた。その柔和な笑顔に安心感があったのだ。本当にやさしかった。
トオルおじさんは、うちに遊びにくると、必ず上原の頭を軽く撫でてくれる。そして、ゲームをしたり、本を読んでくれたり遊んでくれたのだ。
「ヒカル、男の子なんだからサッカーぐらいやらないとな!」
そうやって、近所の公園でサッカーボールを蹴って遊んだことは忘れられない。上原は運動音痴の子どもだったが、トオルおじさんも文学青年風情の運動が似合わない大人だった。そんな二人が日が沈むまでボールを蹴った。
そんなある日。
トオルおじさんの住むアパートへ、一人で遊びに行った時のこと。
「おお!ヒカル、よく遊びにきたな。食べたいものあるか?」
そう言うと、トオルおじさんは、いつものように上原の頭を軽く撫でてくれたのだ。あの柔和な笑顔で…。
お菓子をご馳走になったり、ゲームをしたりして遊んでくれた。
甥っ子の突然の訪問に、本当に嬉しそうだったのを記憶している。
子供向けDVDを一緒になって観ていた時のこと。
「ヒカルは本当にかわいいな…」
トオルおじさんは、そう言うと、上原を抱き上げ自分の膝の上に乗せた。叔父の膝の上は心地良かった。そうやって、二人でDVD鑑賞をしている。
暫くすると、上原は自分のお尻の下に違和感を覚えた。
お尻の下、、トオルおじさんの股間の様子がおかしいのだ。
お尻に何かが当たっていて、それが時折ピクピク動くのを感じるのだ。
まだ7才?性の知識は全くない。
「おじさん、なんか変だよ!」
上原は立ち上がり、トオルおじさんにそう言うと、その股間に手をやった。
ガチガチに硬くなっていた。
幼いながらも、それがオチンチンであることは分かっていても、なぜあんなに大きく硬くなったのか?そこまでは理解できなかった。
あの時の叔父の慌てぶりははっきり覚えている。
本当にやさしい叔父だったので、それ以上のことはなかったし、上原もすぐ忘れ、後年、叔父がアソコを硬くした理由を知っても誰にも言うことはなかった。それは今でもそうだ。
トオルおじさんのことを思い出していると、あの柔和な笑顔が蘇った。
“あの笑顔は川口先生に似ている”
上原光は部屋の窓に寄ると、外をぼんやり眺めた。
少し離れた塀の脇に、一台の車が目に入った。何処かで見覚えがある。
“あの車は?川口先生の…”
スマホから電話の着信音。
「もし、もし…」
「あ!川口です。今、近くにいるんだけど、いきなり迷惑だろうけど、ちょっと遊びに行っていいかな?」
「嬉しいです!ちょっと車の中で待っていて下さい。30分ほどしたら、迎えに行きます」
上原光は磨き上げたメイクをすると、セクシーなミニスカートを穿いて、初めて女の姿で外へ出た。
車の中では、緊張の面持ちで川口俊也が待っていた。
「」#ブルー