私が罪を償っていた頃に何度も聞かされた話です。
ああいう世間から隔絶された空間でも、ヤクザが恐ろしいのはそのままで、ヒエラルキーみたいなのがあったんです。
刑の長さはそれぞれで、いろいろなタイプの人間がいたのですが、特にそのヤクザから目の敵なのかエロ話要員なのか、ターゲットにされている男がいたんです。
私とそのヤクザの後に入って来た男で、ヤクザは最初から気に食わなかったらしく。
曰く、
「俺らを騙って舐めた真似しやがったな」
という事でした。
その男は、大人しい印象の中年男で、どうも強姦で捕まったらしい、というのは当初から噂になっていましたけれども。
私とヤクザと、その男は同じ部屋になりました。
ヤクザは、男を冷遇し、いびり倒し、労働中もどついたりしていました。 そのうえ、
「おい、お前の話聞かせろ」
こうして上下関係を作って、話させるのです。
男が話し出すと、ヤクザが男を気に食わない訳が分かりました。
男はヤクザの振りしてカタギの何も悪くない女性を脅し、性の奴隷にしていたのです。
話を聞きながら、私もヤクザと一緒にシコシコしていましたっけ。
「風俗嬢にもなかなかいないような美人に、風俗嬢でもなかなかしてくれないプレイを、風俗と違って時間制限も無く、逆に金を出させる。しかも、プロではなく素人の女に、させているのだ、そう思うと、やめられませんでした……」
男はちょっとニヤついたかと思うと、すぐに項垂れました。
男の手口というのが、街を巡って、美人で可愛い店員を見つけたら、名札を見て店に電話をかけるのだそうです。それで、女性が出たら話を始め、そうでなければ客を装って変わってもらったそうです。
「案外、他の店員は気づかないんですよ。それに、プライベートならヤクザの脅しもガチャ切りする女がいたとしても、店員という立場だと切りにくいんです」
曰く、
「ヤクザの誰それがアンタに貢がされたので組が総力を挙げて復讐しようとしている。金も動いているので攫いに行く。助かりたければとりあえず会え」
と呼び出す。そして、
「助けて欲しければ、幹部である俺とホテルに行ってセックスしろ」
と脅すのです。会ってそう言う場合もあれば、電話口で何回かやり取りするうちに伝えるケースもあったといいます。
「自分で言うのも何ですが、優秀な営業マンだったんで口は達者なんですよ」
男は自慢げでした。一度目電話が掛かって来た時に無視できなければ、女性達はずるずると脅しに屈していくのです。もし誰かに言えば、酷い目に遭うぞ、家族や彼氏もタダではすまないぞ。このままでは攫われ売り飛ばされるぞ。だから俺の言う通りにした方がマシだぞ。早く決めろ。チャンスはこれっきりだぞ。そうやって、女性達はどんどん追い詰められていったのでしょう。身に覚えが無くても、男と会わなければならないと思い詰めるまで追い込む。それがこの男のやり口でした。
「身に覚えがなくたって、お前がやったって事になってる。お金も動いてる。闇風俗も人身売買ブローカーも出てきてるから、本来だったらもう逃げ場なんて無い。雲隠れしたら次はお前の身内や知り合いに迷惑がかかるぞ」
本当に最低の脅し方です。
呼び出して会った女達は青ざめていてそそった。そうでない女も困惑顔から恐怖に染まっていくのがたまらない。男は言っていました。
ホテルの部屋で、紙を見せるのだそうです。その内容というのが、プレイ内容が書かれていて、出来ないものに〇を3つまで、あとは拒否してはいけない、というやつで、
「本番 キス 安全日の中出し 口淫 手淫 全身リップ パイズリ 精飲 小便を飲む 父親と寝てそれを撮ってくる ビデオ撮影 写真撮影 危険日の中出し……」
確かこういった内容で、
「絶対に拒否するであろう項目を幾つか作っておいて、その代わり残りはしてもらうぞ、とこういう訳で」
男は言っていました。
そうして念書という形で、女性を雁字搦めにしてしまうのです。
「生気がない顔でも毅然と選ぶ女と、震えながら選ぶ女と、泣き出す女と、いろいろいましたね」
念書の中には、行為の評価があると記されていて、ABCDEの5段階での評価で、C以下だと大変な事になる。との文面に女性はさらに怯えていたそうです。
「行為の評価が良ければ、呼び出される回数も期間も少なくなる。俺が毎回報告を上げて判断を仰ぐ形だ。言いたい事は分かるよな?」
こんな事言われれば、女性は男の機嫌を取るのに必死になるしかありません。
男の犯行は、数を数える事に形作られて行って、初期は電話で呼び出し、 口頭で説明し、その場でセックス。というものでしたが、だんだんと固まっていき、念書で女性をより支配させるという手を使うようになったのです。
新しい獲物には念書を見せ、
「こういうルールだ」
前々からの獲物にも見せて、
「こういう事になったから、これからはもっと頑張れ」
と脅していたと言っていました。
始めて交わる時、涙を流し奉仕セックスする女性もいれば、生気のない表情で奉仕セックスする女性など、人それぞれだったそうです。泣きじゃくってガクガク震えながら犯された女性もいました。大学生を含め、未成年から、20代後半の女性までターゲットにしたようですが、年齢が上がれば泣かないとかそういう訳でもなかったそうです。セックスの上手さも同様で、年齢に左右されるという訳でもなかったと男はしみじみ語っていました。
大人の色香湛えた美人が、慣れない様子でセックスの相手をするかと思えば、あどけない愛くるしさを湛えた可愛い子が、どエロい奉仕をしてくるケースもあったそうです。
「抱いてみていろいろ分かるんですね」
男は下品な笑いを浮かべました。
「経験豊富か否か、テクはあるのかないのか、気丈かそうでないか。抱き心地は?匂いは?見た目からも、話を聞いても、本当のところは分かりません。裸を晒させ、身体を委ねさせる事で分かる事もあるんです。どうせ、俺好みの奉仕を仕込むんで、下手でも構いません。俺に心から屈服させる事が大事なんです。実際抱いてみたら、これは違うな。と思って回数減らした女もいますよ。やっぱり身体の相性も大事ですね」
男はニヤリとしました。
呼び出して、奉仕させて、犯して、その際男はホテル代や食事代等のお金を要求していました。
「井部(もちろん偽名です)がお前を助けようとしているのに、金を出させるとは何事だ。お前が出して感謝を示せ」
と別の幹部を装ってメールをしていたようです。
気に入った女性は、特に繰り返し呼びだしたといいます。
舌遣いやストロークのリズム、などの奉仕の仕方を叩き込み、
「おら、舌もっと動かせ!」
騎乗位などで腰を振らせ、
「やる気あんのか?もっと激しく振れ!」
と怒鳴りつけ、委縮した女性がさらに必死になるのを楽しんでいたそうです。
正常位でのセックスで、
「腕回せ」
と指示し、言われた通り背中や首元に腕を回してきた女性とキスをしながら、
「抱きついてキスをせがむなんて、恋人同士みたいだな」
「は、はい」
正常位で恋人つなぎをしながら、
「彼氏よりいいだろ?」
「は、はい」
怯えながら美人がそう応えるのも興奮したと言っていました。
また、よく彼好みの服を着て来させ、着衣のままセックスに突入することもしていたそうです。
呼び出す回数が増えるたびに、女性達は男と楽しげに振る舞うようになったそうです。呼び出しても、最初の頃は怯えた様子を見せていたのに、何度も会う内に、男を見つけると微笑みながら近づいてきて、挨拶してくるようになったそうです。
そのせいかは分かりませんが、男は付き合いが長くなった結果、
「なんだか、女性に対して嘘をついた罪悪感か、それとも心許せる関係になったと思ったのか……」
男はもごもごして言いましたが。
何人かの女性に本名を明かしたそうです。(これが、後に命取りになるのでした)
そして、セックスの際は男の名前を呼ばせていたといいます。
「脅した関係なのは、分かるんですけど、彼女達と恋人気分になっていたのも事実です」
なのに、裁判の時に衝立越しに証言で、
「男と一緒にいるだけでも苦痛でした」
とか、
「楽しい訳がありません」
とか、
「2度と出てこないで欲しい」
と言われ、ショックだったと言っていました。正直、何言ってんだこいつ感はありましたね。
ヤクザも、
「馬鹿か。てめえは」
と男を非難しつつ、その目は野卑そのものでした。
男は体験を語る際、女性の名前や、どこの店員か、もしくはどこの大学生かを平然と明かし語っていましたので、私にも驚くべき事があったのです。
とある女性が私の行く店の店員でした。氏名も年齢も伏せますが、凄い美人で、スタイルも笑顔も素晴らしく、まさにこういう女性こそ高嶺の花というのだろうと見惚れていたのですが、男は彼女も奴隷にしていたのでした。
電話されると彼女は当初、疑った声で男とやり取りしていたといいます。
「何かの間違いです」
当初は毅然とした対応をしていたそうです。しかし男が何度も電話をし、ヤクザが貢がされたといって復讐しようとしている事をまくし立てつつ、さらには個人情報(プロフィール、家族構成、彼氏の有無)を聞き出してのさらなる脅迫を受け続け、ついには会う約束をさせられてしまいました。
この時点で、嘘か本当かはともかく、男にすがるしかない。そう思わせたのです。
憔悴しながらやって来た彼女は、
「さて、さっそくホテル行こうか」
の男の言葉に逆らえませんでした。
彼女はちらっと男を見て、すぐに俯いてしまったそうです。
ホテルにつくと、男は怯える彼女を押し倒しました。
男に組み伏せられ震える彼女に男は諭す口調で言ったそうです。
「こうなる事は分かっていただろ。幹部とセックスして誠意を見せれば、助ける理由になるし、俺も君が身体を捧げたって事で上に言える」
小さく頷いた彼女はそれから言いなりでした。フェラチオしたり、ディープキスの相手をしたりして、最終的には中出しセックスでした。彼女は震えるだけで抵抗しなかったそうです。
「正常位で犯してる時、最後まで何も言わなかったので中に出していいって事だと思いましたね。彼氏いるって話だったですけどね」
男は平然とそう語っていました。
男は、中に出されて空ろな表情で横たわる彼女に冷酷に言い放ちました。
「1回で終わりと思うなよ。あと4回は会ってくれないとな」
その時の彼女は生気を失った表情で頷いたといいます。
「2回目からは厳しくいきましたね」
男は笑っていました。
フェラチオをさせたり、ディープキスの相手をさせたり、身体中を舐めさせた。アナルも舐めさせたりしたそうです。
「お前、こんな事で助けてやると思ってんのか!もっと必死にしろ!」
男は時折激しくフェラチオをさせ、騎乗位でも、必死に腰を振りながら彼女は自ら必死に男の唇を求めさせられました。
「中にください。出して、精子欲しいわ」
膣内射精の前にそうねだる彼女の言葉は本心ではなかったでしょう。
4回目の呼び出しで楽しんだ後に、男は例の紙を見せて
「これからも定期的に会ってセックスする必要がある。評価が項目ごとになったから」
「本番 キス 安全日の中出し 口淫 手淫 全身リップ パイズリ 精飲 小便を飲む 黄金喰い 父親と寝てそれを撮ってくる ビデオ撮影 写真撮影 危険日の中出し……」
「出来ないのを3つだ」
彼女は初期の被害者だった為、途中から選ぶ形になったのですが、後の方になってくると、最初に選ばせていたそうです。その偽念書は、犯行を重ねていくうちに思いついたのですから。
「黄金喰いって……」
不安そうに訊く彼女に
「う〇こを食う事さ」
と男が言うと、彼女は結局「黄金喰い、父親と寝る、危険日の中出し」の3つを選びました。
それからも、男は彼女を奴隷にし続け、舌を絡め合う唾液交換を長時間続けたり、フェラチオの果てに精液を口内射精し、味わって飲み込ませたり、安全日は必ず中出し、そうでなければ、口に出し飲ませたそうです。
「おいしいです。ありがとうございます」
指示されることなく、いつの間にやら彼女はそう言うようになったそうです……。
ビデオも、写真も、撮った後に彼女に確認させたとも言っていました。
男の告白は衝撃でしたが、私はそれ以上に興奮してしまいました。
男も私がその女性と知り合いと分かり、最初は申し訳なさそうでしたが、途中からは時折ニヤつきながら、行為の細部まで語っていました。
私はもう社会に復帰しましたが、男とヤクザはそう簡単に出られる罪ではないので、もう2度と会わないと思います。男はあのままヤクザに苛められ続けるでしょう。
彼女がいた店に行ってみましたが、やはり別の店員しかいませんでした。
男の話を聞く限り、私が店に通い始めたちょっと後に彼女は奴隷にされてしまったようです。それを億尾にも出さずに、私に愛想よく接してくれた彼女。
私は前科の事だけでなく、彼女を思うと辛いやら興奮するやらで、とても居られなくて街を出て、今は遠く離れた土地でひっそり暮らしています。