愛と憎悪と感動の復讐(生い立ちと違和感)

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今俺は女を抱いている。

この人の歳は52歳。

顔は少しシワはあるが整った顔立ち。

肉付きのいい、丁度良く弛んだ身体。

胸は柔らかくて少し垂れた大きいFカップ。

ベッドに仰向けになり、

覆いかぶさる俺のモノを大粒の涙を流し受け入れている。

腰を前後させる度、可愛い声で喘ぎながら

それでも涙を流している。

こうなったのは先日のある出来事がきっかけだった。

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俺は現在30歳の独身サラリーマン。

開発エンジニアとして10年前にここに就職をしてから現在も勤めている。

元々他人と関わるのを嫌っていた俺は、

出来る限り人と関わらない仕事に就くことも目標に、

専門的な技術職であり常にPCと向き合えるこの仕事を選んだ。

勉強は出来たし対人関係以外、

特に苦しんだ覚えはない。

というより苦しむことを避けて生きてきたと言った方が正しいだろう。

10年間で関わった人と言えば、

不動産屋、コンビニの店員、会社の上司である佐々木さん。

大袈裟ではなくこのぐらいだ。

唯一佐々木さんとは年に2回ぐらい飲みに行く。

仕事上打合せが必要な時は、

基本的に佐々木さんが間に入ってくれているので、

他人と関わりたくない俺はとても助かっている。

そして今日はその佐々木さんと飲みに行く約束をしている。

正直行かなくていいのであれば行きたくはない。

しかしこの人は俺の中で仕事を続ける上で必要不可欠な人。

無下に断ることもできない。

まぁ年に2回で職を守れると思えば、

俺も大人だ、それぐらい我慢は出来る。

業務終了時間の18:00となり、

いつもであれば当然のように残業をするが、

今日はすぐに帰り支度を始めた。

家に帰ってもいつもコンビニに寄って寝るだけなので、

残業があることは有難いとさえ思っている。

そして会社の受付前まで降り、

佐々木さんの到着を待っていた。

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「おつかれー」

佐々木さんだ。

歳は46歳、営業部の係長を務める彼は、

開発サポートとして知識も豊富でとても優秀な営業マンだ。

「お疲れ様です」

下を向き聞き取れるかどうか分からない程の声で言う。

「お前相変わらず声小せーなーw」

爽やかな笑顔で茶化す。

いつもの光景だ。

「いつものところでいいよな?」

「はい・・・」

会社を出て駅に向かう道に、

毎回行く一軒の居酒屋がある。

そこに向かう。

道中言葉はなく佐々木さんの後を着いて行く。

店へと入り生ビールを2杯注文。

料理は佐々木さんが適当に頼む。

とりあえず乾杯をし雑談。

と言っても俺は9割佐々木さんの話を聞く側だ。

佐々木さんの仕事の話、子供の話などなど。

飲んで話し出すと止まらないのがこの人。

でもお酒が入っているせいか、

いつもそんなに嫌な気はしない。

話が上手いからなのか、

少しだけ俺もこの人には心を開いているからなのか。

時折この俺が笑顔を見せる程だ。

1時間ぐらい経った時だろうか。

急に佐々木さんが言った。

「お前さ、もう会社入って10年だろ?俺とこうやって飲むのも20回以上なわけだ。」

「そ、そうですね・・・」

「もういい加減なんかお前の話聞かせてくれよwいっつも俺ばっか喋ってるじゃんかよw」

そう、さっきも言った通り俺はいつも聞くのみ。

自ら何かを話すことはない。

佐々木さんだけでなく、誰にでもそうだった。

というか思い返してみても自分のことを知りたい!と

言われたことが今まで一度もなかった気がする。

それぐらい興味を持たれない人間なのだ。

佐々木さんは言った。

「別に何でもいいんだよ!子供の頃の話とか家族の話とか何でも!」

俺は俯いてしまった。

何故なら俺がこうなったのは今挙げた2つが大きく関わっているからだ。

「なぁ!聞いてんのか?」

ふざけ半分での催促だったが、

俺には地獄の時間だった。

顔を上げると佐々木さんは微笑みながらこちらを見ている。

当然だが悪気はない。

そんな笑顔を見ていると、お酒の勢いもあったせいか、

話すしかないと思えてきた。

いや、本当は誰かに話したかったのかも知れない。

そして俺は口を開く。

「実は俺、小学1年生の時に両親に捨てられたんです。」

動揺を隠す話し方をしてしまうと思いきや、スラスラと言えた。

当然佐々木さんは驚き戸惑っている。

更に続ける。

「いつものように学校に行って、いつものように勉強して、いつものように友達と遊んで、いつものように帰ってきました。全てがいつも通り。

でも家に帰るといつもの光景はそこにはなくて。

家には何もなくって誰もいなくって。

ただ立ち尽くしてたのを覚えています。」

黙って聞く佐々木さん。

「その日から小さい頃の記憶とか家族の記憶とか、一切残ってないんですよね。多分忘れたかったんでしょうね、自分でも分からないけど。」

照れなのか悔しさなのか。

下を向き頭を掻いた。

「そっか。それは悪い事聞いちまったな・・・すまなかった。」

「いいんですよ全然!もう昔のことですし、今更なんとも思ってませんからw」

「覚えているのは母の笑顔と、残っているのは多分ですけど母と撮った1枚の写真だけです・・・」

そう言って顔を上げた。

佐々木さんを見るとぐにゃぐにゃと歪んでいる。

ん?

目を擦ると手の甲が濡れている。

その時まで気付かなかった。

自分が泣いていると。

その事実を自分で知った瞬間、

感情を抑えることができなくなった。

実は悲しかったのだ。

実は苦しかったのだ。

実は誰かに寄り添いたかったのだと。

声を押し殺しながら泣く俺を、

佐々木さんは優しく微笑みながらじっと見ていた。

どのぐらい時間が経ったのであろう。

ある程度落ち着き考えることが出来るようになっていた。

「すみません、こんな話してしまってwもう大丈夫ですから!」

今まで人に見せたことのない笑顔だと自分でもわかった。

「気にすんなよ!嫌な事思い出させちまったな。」

「全然大丈夫です!話して良かった気がしますw」

佐々木さんとまた一つ近付いた気がする。

それから佐々木さんは何もなかったかのように飲みだし、

いつもの佐々木さんに戻っていた。

そして俺はいつもとは違い、

自ら佐々木さんに聞いたり自分のことを話したりしていた。

こんな楽しいと思える時間はなかったと思う。

時間が経つのも忘れて更に2時間程が経っていた。

「佐々木さん、結婚してるんですよね?」

「おっ、言いにくいこと言ってくれるじゃねぇか!バツイチだよ!文句あるかw」

「あ・・・すみませんw」

「大丈夫だよw元嫁と子供とはもう10年以上会ってないしなぁ。忘れられちまってるよw」

「そうだったんですね!今は彼女とかいないんですか?」

「いや、この前出来たばっかりなんだけどよ、年上のお姉さまと付き合い始めたんだよねぇ♪」

「へぇー。いいですね楽しそうで!」

「お前はよ?彼女とかいないのか?」

「いませんいませんwさっきも言った通り人と関わらないように生きてきたんでさっぱりw」

「そっかー。まぁまだ若いしこれからだな♪」

他愛もない会話が飛び交い、

楽しい時間はあっという間に過ぎて行った。

話がひと段落したところで終電の時間が迫っていたため、

その日は解散することにした。

佐々木さんと別れ家路についた俺は、

人生で初めて”楽しかった”と充実感で一杯だった。

人と話すこと、自分をわかってもらうこと。

大切なことだったんだと初めて思った。

佐々木さんは言ってくれた、また行こう!と。

こんな俺を気にかけてくれて、

失っていた時間を取り戻させてくれた。

もう感謝しかない。

布団に入り今日は幸せな夢が見られるかもしれないと、

柄にもなく思いながら眠りについた。

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翌日以降、俺の人生は大きく変わった。

まずは顔を上げて歩くことから始め、

挨拶も自分からするように心掛けた。

周りはなんだなんだ?と変化に戸惑っているようだったが、

俺は気にしなかった。

自分が変わることに何の躊躇いもなかったからだ。

今までの人生を否定する気もないし後悔もしない。

ただ捨てられたことで下を向き生きることを、

勿体ないと思うようになった。

捨てた親への恨みはまだ残っているし、

何で捨てたのか今での聞いてみたいとは思う。

でももうそれは叶わないし、振り返っても仕方がない。

今までの人生では考えられない前向きさだった。

そうしているうち仕事にも張り合いが出てきて、

仕事を楽しいと思うようになっていった。

自然と佐々木さんと会話をする機会も増え、

今まで彼に任せっきりになっていたお客様との打ち合わせにも

積極的に参加をするようになったことで、

一緒に行動することが多くなっていった。

そして今日も佐々木さんと打ち合わせに向かっている。

しかし気のせいだろうか、いつもと様子が違う佐々木さん。

「佐々木さん、テンション低いですね?何かあったんですか?」

最初はそうでもないぞ?と言っていた佐々木さんだったが、

次第に話したくなってきたのであろう、話始めた。

「あのさ、前に話したことあったよな、新しい彼女。」

「あ、はい。52歳の年上の方って言ってましたよね?」

「そうそう。その彼女がさ、実はバツイチだってこの前告白されたんだよ。」

「えっ、でも佐々木さんも同じじゃないですかw」

冗談半分に答えた。

「いや、そうなんだけどさ。子供もいたって話だから、そんなこともっと早くに教えて欲しかったと思って・・・」

「何か言えない理由でもあったんじゃないですか?佐々木さんに嫌われたくなかったとか。」

「だったらいいんだけどなんか訳アリっぽくて、詳しく聞いても教えてくれないんだよ。俺は結婚するつもりだから、今後のためにも詳しく知りたかったのに、凄く嫌そうな顔するからそれ以上聞けなくてな。それからギクシャクしちゃってるんだよね・・・」

隠されていたこと、多くを語らないことが相当ショックなのであろう。

いつもの佐々木さんとは思えない沈んだ顔。

対人関係を嫌ってきた俺には当然気の利いたアドバイスや慰めの言葉も浮かばず、そうなんですか・・・としか言えなかった。

すると佐々木さんが突然言ってきた。

「頼む、今日彼女と会うんだけど一緒に来てくれないか?」

余りの唐突さに声が出ない俺に、こう続けた。

「なんか今日お別れを言われそうなんだよ・・・そんな空気を感じるんだ、頼む!」

目をギュッと閉じて頭を下げる佐々木さん。

流石にそんなところに俺が行ったところで、

何も出来ずただ黙って座っていることしか出来ないことは

容易に想像できたし数か月前に人生が変わったといえど、

誰ともコミュニケーションを取っていなかった俺。

役に立つとは思えない。

しかし助けてくれたのは他でもないこの佐々木さん。

何とかしてあげたいとは当然思っている。

あれこれ考えた結果、こう答えた。

「僕なんかでも居て役に立つのであれば行きますよ!でも何もできないですよ?居るだけになるだろうし。それでも良ければ!」

佐々木さんはバッと顔を上げて行った。

「ホントか!?助かるよ、本当にすまないな、こんなこと頼んで。」

よほど安心したのか少しだけ笑顔が戻った。

そして俺は今日一緒に行くことを約束し、

先方から会社へと続く道を、複雑な気持ちで車を走らせていた。

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18時。

いつも佐々木さんと飲みに行く集合時間。

集合場所へと急ぐ。

すでに佐々木さんは待っていた。

「ワガママ言ってすまなかったな!じゃあ行こうか!」

無理矢理テンションを上げているのであろうか。

それが伝わってくるほどの引き攣った顔だ。

当然だ、今日別れを告げられるかも知れないのだ。

無理もない。

俺は最大限元気よく言った。

「まぁ後はなるようになりますよ!行きましょう!!」

「コノヤロウ、他人事だと思いやがってw」

少し元気が出たようだった。

会社を出て電車に乗り二駅。

とある駅で下車しまだ薄明るい道を歩く。

ふと周りを見ると見慣れない景色は当然なのだが、

何処を見渡しても居酒屋や食事が出来るお店がある雰囲気を一切感じない。

団地や戸建てが立ち並ぶ住宅街を歩いている。

「佐々木さん?どこの店に行くんですか?」

「店?今日は彼女の家に行くんだぜ?」

俺は焦った。

未だかつて女性の家に上がり込んだことなど一度もない。

それだけでドキドキしてしまった。

今更引き返すことなど出来るはずもなく、ただ佐々木さんの後に続く。

数分歩くと佐々木さんが一棟のアパートの前で足を止めた。

「ここだよ」

4世帯が住めるコーポというのであろうか。

古くもなく新しくもなくといった感じだ。

彼女の部屋は2回の角部屋らしい。

少し重い足取りで玄関ドアの前に立った。

「ふぅーーー・・・」

大きく深呼吸した佐々木さんは、

躊躇いながらもインターホンを押した。

(はぁーい)

中から女性の声がする。

佐々木さん以上に緊張する俺がいた。

ガチャ

ドアが開き女性の長い髪が見えた。

クルっと顔をこちらに向け女性は言った。

「いらっしゃい、どうぞ上がって?」

そして視線が後ろの俺に向けられる。

「あら?どちら様?」

待ってくれ・・・言ってなかったのか!?

不安で爆発しそうだった。

聞いてないから帰ってもらってなんて言われた日には、

立ち直れる自信がない。

佐々木さんは言う。

「こ、こいつさぁ。どうしても彼女に会いたいって聞かないもんだからさ!いいかな一緒に?」

コノヤロウ・・・

初めて佐々木さんを憎いと思った瞬間だ。

女性は言った。

「見ても何の得もないわよ?それでも良ければ上がって?w」

優しく中へと通してくれる彼女。

玄関へ入り先に行く佐々木さんの背中に、

憎しみの視線を送る。

ゾクッとしたのか佐々木さんは振り返り小声でこう言った。

(ごめん、てんぱっちゃってさ。)

まぁいい。

こうして受け入れてもらえたんだ、良しとしよう。

一歩一歩中へと入って行く。

ここで不思議な感覚にとらわれた。

(あれ緊張してない・・・)

さっきまでどうなることかと心臓が破裂しそうだった時と一変、

今は落ち着いて進んでいっている。

それどころか何か懐かしい感覚までする。

女性の匂いって人を落ち着かせる効果があるって聞いたことがある。

そのせいか?

それかあの表情はどう見ても別れを切り出す感じではない。

それに安心したのか?

自分の感情が理解出来ないまま、

リビングにあるソファーへ腰を下ろした。

テーブルの上には一生懸命作ったのであろう、

唐揚げやサラダ、煮物が並べられている。

「おー、うまそーじゃん♪」

佐々木さんはスーツの上着を脱ぎ彼女に手渡すと、

まるで夫婦のようにどっかりと座った。

佐々木さんも別れの雰囲気ではないと察したのであろう。

さっきまでの緊張は一切感じられない。

「二人とも、ビールで良かった?」

「はい、有難うございます。」

三人での酒、乾杯。

数か月前の俺には考えられない状況だった。

「かんぱーい」

家族での団欒の記憶、経験がない俺には、

とても新鮮で楽しい雰囲気。

二人の会話は特別なことは言っていないのだが、

とても幸せな気持ちにしてくれるものだった。

俺は二人の会話を肴に、ぐびぐび飲み進めていった。

数時間が経過しただろうか?

余りの楽しさに飲んだ量も今が何時かもわからない。

そんな時佐々木さんがお酒の力を借りてこう切り出した。

「あのさ、なんで過去のこと教えてくれないんだ?」

彼女もふっと我に返る。

佐々木さんは続けた。

「俺はさ、お前と一緒になりたいと心から思ってるよ。夫婦の間に隠し事はなしだろ?」

彼女は困った顔をした。

「言いたくないなら仕方がないし、無理に聞こうとはしない。でも親権がどうなっているとか、養育費のこととか、夫婦になるなら共有するべきことだと思うんだ。それとも俺と結婚する気ないのか?」

それを聞くと彼女は大きく首を横に振る。

彼女も本気で結婚したいと思っているようだった。

佐々木さんは彼女の手を握りだったら正直に話して欲しいと言う。

おいおい、俺がいるのを忘れるなよ・・・と思う気持ちもあったが、

何よりこの二人の行く末に興味があるのも事実。

俺は黙って見ている。

5分ぐらいであろうか。

ようやく彼女が覚悟を決めたように残った缶チューハイを一気に飲み干し、

深く深呼吸をして話し始めた。

「私ね、16の時結婚したの。相手は2つ上の高校3年生だった。」

その時点で俺たち二人はびっくり。

ただ大きなリアクションは話の腰を折ると判断し、

普通じゃない?と言わんばかりに大きく頷く。

「結婚の理由は子供が出来たからなんだ。親にも当然反対されて、迷ったんだけど、やっぱり授かった命を粗末には出来なくて産んだの。そしたら彼は子供が産まれて数か月で他に好きな人が出来たって私を捨てて行ったわ。」

「頼る人もいなくてどうしようもなかったけど、この子だけは幸せにしなきゃって頑張って働いて育てていったの。でもね、両親が亡くなった22歳の時に、親に大きな借金があったことがわかってね。」

ドラマみたいな展開だな・・・

「その時付き合えるかどうかっていう彼に相談したら、子供がいなかったら結婚して借金を肩代わりしてくれるって言われたの。もともとその時の彼は子供嫌いだったから・・・」

「私、一生懸命考えたわ。どうしたらいいか。でも16歳から一人で子供を育てて必死な毎日に莫大な借金。もうまともな判断は出来なかったの・・・」

そこまで話すと彼女は顔を両手で覆い隠し、顎から大粒の涙が滴り落ちていた。

佐々木さんは彼女の肩を抱き大丈夫、大丈夫だからと必死に慰めている。

ただ。

俺は違った感情を持っていた。

子供をどうしたんだ!と。

怒りにも似た感情だ。

数分後、彼女は話を再開する。

「子供が小学生に上がった年、私はもう限界だった。彼に・・・彼に言われるがまま・・・子供が学校に・・・行っている間に・・・家、家を・・・か、片付けて・・・出て行ったの。彼についていった・・・。」

この時、俺の拳は強く、強く握りしめられていた。

そして遂に声となって出てしまった。

「こ、子供は?こ、こ、子供はどうしたんだ?」

もう佐々木さんが居るいないなんて関係ない。

聞かずにはいられなかった。

その言葉に彼女は大声で泣き崩れた。

ごめんなさい、ごめんなさいと何度も何度も繰り返しながら。

そんな彼女に俺は問い続けた。

「小学1年生だろ?6歳だろ?一人残してどうするんだ?そ、その先どんな苦しい思いをするのかわかって捨てたのか?こ、こ、答えろ!!!!!!!!!」

今までこんなに声を荒げたことはない。

それぐらい怒っていた。

過去のこと。どうしようもないのはわかっている。

でも許せなかった。どうしても許せなかった。

俺と全く同じ思いをした子供が他にもいたなんて。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。

他にも?

怒りとは別に不思議な感覚になる。

なんだ?なんなんだ?

もう普通ではいられない俺に、

佐々木さんが言った。

「もういいだろ、少し冷静になれ。」

本当であれば初対面の彼女に対してこんな失礼はない。

俺が佐々木さんの立場なら怒り狂って追い出しているとことだ。

しかし佐々木さんはそうせず冷静に俺に言った。

これは俺の予想だが、俺の境遇を知っているからこそ、

怒りの理由を理解しなだめてくれたのであろう。

俺は冷静にはなれなかったが、

もう何がなんだかわからずそそくさと帰り支度を済ませ、

彼女の家を飛び出してしまった。

違和感の正体が掴めないまま。

そのあとのことは知らない。

俺は十数キロはある家まで歩いて帰り、

道中どういうことだ?どういうことだ?と呪文のように呟いていたことしか、

覚えていないのだった。

※長編となってしまい申し訳ございません。

しかもエロ要素が全くなく重ねてお詫び申し上げます。

続編を直ぐに書きますので、続きが気になる方は是非読んでいただきたく

思います。宜しくお願い致します。

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