悪魔の使いがやって来た。急転直下でまさかの再会。

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※注意※エロ話些少

正直に言おう。

前回俺は完全に書き捨てのつもりだった。

そもそも自部屋で晩酌の暇潰しにサイトを見つけ、酔った勢いでよし俺も!という経緯。

推敲もせずに勢いで直接打ち込んだ。

よく考えてないからフェイクも最低限、興が乗った俺は感動を追体験してもらおうとばかりに恥をかなぐり捨て赤裸々。文章も酷い。

投稿完了した時には一仕事終わらせたような達成感ですっかり終わった気になっていた。

とある事情で頭が忙しかった俺は、一箇所マキちゃんとミホちゃんの名前を間違えて書いているのだが、それに気がついたのもずいぶん後なくらい読み返しもしていない。

まさかそれが悪魔の使いを招くとは思いもしなかった。

事の始まりは書き込んだ翌々日、月曜に起こった。

職場は盆休みの前準備で慌ただしく、俺も担当得意先からの駆け込み対応が定番。休暇に入るまで内勤続きの予定になっていた。

「よう、昼飯行かね?」

同期に声をかけられ、近くの定食屋へ行った。

透明な衝立を挟んで向かい合わせの席に着き、2人で日替わり定食をつつく。

この店はスペースにゆとりがあるので昼時でもまあまあ会話ができる。

「連休中帰省すんの?」

「いや、面倒だから帰らん」

「俺もだわー」

この同期も俺も転勤組。

30代半ばで独身となると、実家なんて結婚の話で嫌味を言われに帰るようなものだ。

面倒の意味は同じ状況で通じたらしく、同期も何か思い浮かべて遠い目をしている。

俺もコイツも別に相手がいないわけではない。

ウチの会社は見た目重視で営業を取るらしく、好みはあると思うが押し並べて営業部の外見の受けはかなり良い方と思う。

それに加え、ワーカホリックが多い為か恋愛は長続きしないという共通点がある。結果的に独身者ばかりだ。

「逆に帰ると変な期待される」

「あるな、それ。用もないのに帰ってきた、もしかして大事な話が!ってな!」

「親も女いるのは知ってるから、まさか息子が残念イケメンの類だとは思わないんだろうよ」

「言ってくれるな、おい」

「俺の話だよ」

「最近は彼女=結婚とは思わなくなってきたみたいだけどな」

やはり似た状況らしくしたり顔で頷いている。

「ところでさ…これなんだけど」

「なんだよ」

唐揚げに食いつきながら顔を上げたらスマホを突き出している。

口から唐揚げが落ちた。

俺の投稿したやつが表示されている。

「これの話なんだけど?」

血の気がざあっと引いた音がした気がする。

今頃思い出したがこの時の転勤先がここで、こいつは俺の前にその勤務地からここへ転勤になっている。

当然会社の行きつけのその店も知っていたから、女子高生3人と飲んだくだりまでネタでしゃべったんだった。(やましいことは省いた)

未成年淫行?

強制猥褻になるのか?

未成年飲酒もか?

救いは店の話が通じるコイツにしか話してないことくらいだ。

「俺こんな楽しい話聞いてないんだけど?」

イイ笑顔で首を傾げてる。

そうだ、コイツはこういうヤツだった。

引いた血が戻ってきた。

「誰にも言ってないだろうな?」

「言うかよ」

ハッと笑ってヤツはスマホをしまい、にこやかにグーサインを出して宣言した。

「今日お前んち行くからな!」

あああ…。

俺は午後の仕事を唐揚げが喉に詰まったような気分で片付け、追い込みは明日明後日だし!と言いながら珍しく定時で帰った。

そして現在。

俺は矢継ぎ早にねちっこい尋問を受けている。

誰にって悪魔の使いにだ。

「この臨場感、これ絶対本当にやってるよな?」

「なあなあ、ホントは最後までヤッちゃってんじゃないの?なあ、こんなんヤらずに済ませられるもんか?」

「お前って処女にこだわる性癖だったっけ?むしろ面倒くさがる方だと思ってたんだけど。ロリに目覚めた?それともレイプに萌える性癖?」

「なんで最後いきなりおざなりになってんの。ここまで書いたら友達が起きた後の反応とかも詳しくやらしい目で書けよ」

「なんで投稿する気になったんだ?記念ってなんだよ」

言いたいことを先にぶちまけてくるので口が挟めない。

気分は物証持ったまんま職質に捕まった下着ドロだ。

俺らは今、俺の部屋でチーカマとポテチを肴に缶ビールを開けている。

コイツの持ち込みだ。

何時間居座る気なんだか、500mlの6本パックを2パックも買ってきやがった。

今まで見たこともないようなキラキラした笑顔でさらに言おうとするのを俺は遮った。

「ちょっと待て。落ち着け。お前今聞き捨てならんことを次々言いやがって…まず俺はロリ趣味はねえ。レイプ願望もない!」

「ヤッてんじゃん」

「ヤッてねえし。…最後までは。それに最後の方は嫌じゃないって触らせてくれてたから合意!」

「あ、やっぱこれ実話なんだ?」

しまった、そこを飛ばして肯定しちまった。

否定すれば良かったか。

…無理だな。

俺は頭を掻きむしってそのままローテーブルに突っ伏した。

誰かコイツを止めてくれ…。

「なんでお前そんなに読み込んでるんだよ…」

「そりゃ読むっしょ?長年の友の隠れた才能?っつか、お前がこんな性癖持ってるとか意外すぎてさー」

「性癖言うな。こんな文章書いたのは初めてだ。お前の中の俺は一体どんなヤツなんだよ…」

「結構秘密主義なヤツだと思ってるよ。お前当たり障りのないことしか言わねえもん」

「会社のヤツに打ち明け話なんかするかよ」

「あー、まあな、そうそう素は出さないよな」

わかる、と言いながら脚を投げ出してくつろぎ始めた。

ヤツの勢いが収まったのがわかったんで、俺も気を取り直して胡座を崩す。

「まあ大学の時からの付き合いだしな。ただの同僚ってよりは近いよな」

同じ大学からの同期はコイツだけだ。

「だろ?今の俺は大学ん時のツレの頃に戻ってるわ。仲間の知らない顔なんて知りたいじゃん」

俺は心の底からため息をついた。

コイツが引っかかっている記念だから書き込んだ、ってのは、投稿の冒頭に何気に書いてしまったものだ。

実はあの日の俺は落ち込んでいた。

付き合って1年の彼女の部屋で、立ち上げたままのノーパソを何気なく触ったところ、違う男とのハメ撮り画像を見つけてしまったのだ。

ファイルの日付は前の週。

前日の晩にいたしたばかりの俺にはかなりのダメージだった。

追及するような気分じゃなく、そのまま週末デートの予定だったが仕事のトラブルと言い訳し、そそくさと帰ってきた。

その夜気晴らしを求めて書き込んで、うっかりコイツに見つかったという次第だ。

女子高生3人と飲み会なんてネタになると書いておいて、当時コイツに話したのを思い出さなかったあたり、普通の状態でなかったことがよくわかる。

そんなこんなをポツポツ説明した。

「はあ、なるほどなぁ。そんでその彼女どうすんの?」

同情を滲ませながら、まあ飲めとジェスチャーしてくる。

「どうもしねえ。ハメ撮り画面に出したまま放置してきたからわかってんじゃねえ?」

ぶはっとビールを吹き出しかけて慌てて手で受けてるんでティッシュを放り、俺も一気に流し込む。酔える気分ではない。

「あっちから連絡は?」

「ないね。今頃女友達にでも相談してるんじゃね?」

「あるあるだな。それで記念か。浮気の?破局?」

「どっちもだ。まあすぐ終わるよ」

「だなあ。え、ハメ撮りってどんなん?」

俺は自分のスマホの画像出して放ってやる。

別れるのにグダグダは嫌だったんで、念の為証拠写真を撮ってきている。

寝取られ趣味はない俺は吐き気を催すが、第三者からしたらAV動画のサムネイルばりでなかなかのアングルだ。

よくある感じのから、姿見の前で結合部から2人一緒の全身から写っているものまである。

俺が相手じゃない証拠になるんで撮ってきた。

「すげえな、おい。しかも自分がやった直後とか…大丈夫かよ、お前」

「食った後に羊の脳味噌だったって聞かされた気分だわ」

うへぇ、と声を上げたから想像したんだろう。

「それで清らかな乙女に色々した記憶で消毒してたわけか」

言い得て妙である。

実際あんなに詳細に思い出しながら書き込んでいたのに、結局1人でする気にもならなかった。

あれから夜はひたすらリッちゃんのうなじに顔を押し付けた感触と甘い香りを思い出している。

「現実逃避もあったと思うけどな。思い出して文章にするのに没頭してるのが楽しくてさ」

「なるほど…お前、連休予定ないんだよな?」

「ないなー。アイツから連絡あるかもと思うと憂鬱だわ」

ふむ、と何か考えこんでいる。

そのうちスマホをいじり出した。

しかしよく飲むな。

俺は酔えない気分だから半ばヤケクソ気味に流し込んでるが、コイツも次々空けている。

500ml12本は消費できないだろうと思っていたが、よく見たら2時間弱でもう7本空いている。

当然出すものは飲んだだけ出しているのだが。

ボケっと天井を見上げて話題に出たリッちゃんを思い浮かべると、外見はあまりはっきり出てこない。

薄暗い中でしか見ていないからかもしれない。

俺のことなんか犬に噛まれたと思って忘れてるだろう。

と、感傷気味に浸っていたら、パシッと音を立ててスマホを両手で挟んでいる。

「よしっ!この連休、△△行くぞ!」

「はあ?」

△△って前の勤務地じゃないか。

何しに行くんだ?

それなりに酔いが回って来ていたのか、ダルい俺はわけわからんという表情でヤツを眺めた。

するとヤツは爆弾発言をした。

「お前も行くんだよ!リッちゃんに会うぞ!」

なんだと!?

俺は酔いも吹っ飛び覚醒した。

「…なに言ってんだ!お前!」

「リッちゃん今彼氏いないってさ」

「はあ?!」

どういうことだ、と口に出す前に俺はヤツの襟首を掴んで締め上げた。

「わっ、ちょっとたんま!絞め技かけんな、有段者だろ、洒落になってねー!」

「…説明しろ。なんでお前がリッちゃんを知ってるんだ。どういう関係なんだ」

我ながら殺気立っていたとは思う。

浮気女の一件から、腹の底で攻撃心と猜疑心が渦巻いていたのが全開になった感じだ。

この時まで自覚はなかったが、リッちゃんは俺の中で一種の聖域というか、逆鱗になっていた。

「待てって!今説明するから!俺はリッちゃんとは知り合いじゃねえよ!」

「わっけわからんわ!言え!」

「わかったから放せって!」

ゲホゴホ言ってるヤツが落ち着く間に、新しい缶を冷蔵庫から取って来てヤツに渡し、自分も開けて腹立ちまぎれに流し込む。

冷たい刺激でやや頭が冷えた。

12本飲み切る予感がして来たな…。

聞いてみれば簡単な話で、コイツは俺の1年前に転勤したんだが、未だに店の客だった。

なんでもママさんにめちゃくちゃ可愛がられてて、転勤してからもあの街に行った時には顔を出してたんだと。

俺が転勤してきて、あの飲み会の話をしてたんで、行った時にたまたま話題になり、ママさんがヒマしてた娘のマキちゃんを呼んだんだそうだ。

その時LINEを交換し、なんと今まで細々とした交流があったらしい。

やらかした俺からしてみると冷や汗ものだが、ヤツ曰くマキちゃんは何も知らないようで、同じくそんなことがあったと知らないヤツが女子高生に囲まれて飲み会羨ましい!ってネタになっていたそうだ。

マキちゃんからの返しで、もう女子高生じゃないけど今度来たら飲みましょう、って話が出ていたのだが、予定合わせるのが面倒なのと、半分社交辞令的な感じかというのもあり、具体的にはならずにいたと。

そこへ俺の投稿を見つけ、俺に間違いないと思ったヤツは確認しに来てかわいそうな俺(笑)の現状を知った。

で、なにを思ったのか飲みながらマキちゃんにLINEで連絡し(さっきスマホいじってた時)、連休ヒマだから俺と2人でそっちに行くんで、あの時の女子高生メンバーで会わないかと持ちかけたらOKだったと。

「…おい、ちょっと待て。なんでそれ俺に先に了解取らないで進めるんだ」

「え、だってお前絶対会わないって言うだろ?」

きょとん、って擬音がしそうな顔で俺を見るな。

「当たり前だろ!わかってんのか、向こうが知ってたらお前も猥褻犯のツレだぞ!」

「リッちゃんがバラしてて怒ってたらOKなんてしないよ〜。すぐ渡りつけて2人とも連休中なら大丈夫ですって返事くれたよ?」

ピタピタとスマホを自分の頬に軽くぶつけながら軽い調子で言う。

この野郎。

殴ってやろうかと睨みつける俺を、どこ吹く風な感じでスカして見てくる。

「誘き出して吊し上げる気かもしれないだろ!」

「ヤることヤる割に気が小さいなあ…大丈夫だって」

「人を強姦魔みたいな言い方すんな。なんで言い切れるんだよ。…俺はお前の脳の構造が見てみたいわ」

俺はとうとう突っ伏して頭を抱えた。

「彼氏がいたら悪いかな?って聞いたら今みんないないから大丈夫って言ってたし」

なに?!

ガバっと起き上がった俺を見て悪魔の使いはニヤッと笑った。

「会いたいくせに〜。大体お前、さっき俺がリッちゃんに手を出したんじゃないかと疑ったろ?締め方本気入ってたぞ」

ぐうの音も出ない。

確かに理屈でなく瞬間的に疑った。

浮気女の後遺症かもしれん。

「お前さあ、リッちゃんに会うのが怖いんだろ?」

「そりゃ…猥褻犯だし」

「違うね〜」

へへへん、とふざけた笑い方をしてスマホを見た。

「あ、リッちゃんもお前に会いたいって」

「な、なんだと…?」

衝撃で上手く口が回らん。

一体どういう話運びすればそんな返事が返ってくるんだ。

まさかおかしなことを言ったり…お前に禁忌はないのか?

俺の顔見て言いたいことは伝わったらしく、スマホを見せてくる。

『たしか1人大人しい子がいるんだよね?俺がいても大丈夫かな?』

マキちゃん:『リッちゃんは私が大丈夫って思う人なら平気って言ってましたよー!〇〇さんの仲の良い人ならって。〇〇さんにも会いたいって言ってました!』

〇〇さんとは俺の苗字だ。

「マジか…」

ニュアンス的には俺に会いたいじゃなくて俺にも会いたい、だったが、確かにそうは言っているようだ。

「なっ、会いに行くよな!」

「うっ…」

かくて、俺は二度と会うことはないと思っていた永遠の右手の恋人の彼女に会うことになってしまったのだった。

今回はここまで。

エロい話が浮気女のハメ撮りしかなくてすまん。

詳細を描写すべきなんだろうが見ると吐き気がするので勘弁してほしい。

痛い目に遭ったくせになんでまた投稿してるのかと思う向きも多いだろうが、実は脅された。

悪魔の使いのアイツは俺の文章がいたくお気に召したらしい。

俺に感謝しろ!恩は投稿で返せとうるさい。

リッちゃんに有る事無い事言うぞと言われると弱いのだ。

まだ恩になるかはわからんが、実はちょっとは書いてもいいかという気持ちがあったんで書くことにした。

段々フェイクがガタガタになって来ているが見逃してくれると嬉しい。

次は会ってから考えようと思っている。

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