今から十ウン年前、私の一つ年上の従姉Rの結婚式で起こった出来事。
Rには高校時代に恋焦がれ憧れていたN先輩がいて、N先輩もRの事を凄く可愛がっていたんだけどN先輩にとってRはあくまでも
「可愛い妹分」
と言う存在だった(様に見えた)。
Rにもそれが解っていたから自分の本当の想いを伝える事なく、高校卒業後は大学に進学してすぐN先輩への思いを振り切る為に、言い寄ってきたイケメンAと付き合いだした。
でも、Aは最低最悪の男で、Rの他にも二股三股も掛けてたヤツで、口癖は
「俺は女を振った事はあっても振られた事は無い」
っていうクズ男。
それでも黒髪ロングで清楚美形な上、88-59-88と言うナイスバディ(当時)なRにはそれなりに本気だったみたい。
大学時代はイザコザはあれど何とかRとAは続いてたんだけど、社会に出て世間に触れて、Aのクズさ加減にほとほと愛想を尽かしたRはサクっとAを捨ててしまった。
もちろんAは見苦しくRに纏わりついたけれど、Rは誠実で一生懸命な新しい彼氏(今の旦那)Fくんと付き合いだし、三年間の交際を経て婚約→月結婚となりました。
しかし当日、受付をしていた私や新郎友人の前に突然現れた木刀を持った元彼Aと友人らしきDQN数人。
「オラア!Rを出せやぁ!」
等と大声で怒鳴り散らし受付の机を木刀で叩いたり飾ってある花を床にぶちまけたりし、式場のスタッフもオロオロとしているばかり。
その時、DQNの一人が派手に吹っ飛んで床に叩きつけられて伸びてしまった。
色めくDQN共の前にずいっと現れたのは、到着したばかりのN先輩。
「テメエ、Nじゃねえか!?邪魔すんな!」
と罵声を上げた元彼Aは次の瞬間、N先輩の右ストレートで鼻血を噴出しながらぶっ倒れて失神。
怯むDQN達にN先輩が
「俺の大切なRの晴れの日に何してやがる……?」
と、ドスの利いた低音声で言いながらギロッと睨みつけるとDQN連はその迫力に押し黙って後退り。
その時、ようやく式場スタッフが呼んだらしい警察がおっとり刀で到着。
N先輩は私に
「Rによろしく伝えといて」
と言い、ご祝儀を置いて警察の事情聴取に同行しようとしたので思わず
「せめて披露宴に出てからにしたらどうですか」
と私が言うと
「ん……まぁ、見てると結構辛いから」
と寂しげに微笑んで、スタスタと大きな背中を見せつつ去ってしまった。
その時、私は浮いた話一つ無く硬派だと思ってたN先輩がずっとRの事を想っていたのに気付いた。
結局、N先輩は披露宴にも二次会にも姿を見せなくてRは悲しんだんだけど、私にはRが凄く羨ましく思えたな。
お互いに想いながらも結ばれる事の無かった二人の事を考えると、これも不幸な結婚式だったかなと思い出してしまったっす(笑)