①
「ねぇ?旬はさ、私達このまま結婚すると思う?」
学校帰りに寄ったショッピングモールのフードコートで、カップに入ったアイスクリームをスプーンでちびちびとすくいながら彼女の夏海が言う。
「さぁ?どうだろうな。そんなのまだ分かんねぇよ」
「だからぁ、普通こういう時は思ってなくても結婚しようねって言わないと」
夏海は冗談ぽく笑いながら言った。しかし彼女はわりと本気で言っているのが僕には分かる。彼女は機嫌の良し悪しが目元に出るから分かりやすい。
季節も秋から冬へと移り変わり、僕と夏海は付き合って半年が経とうとしていた。
志望する大学は違うが、受験が終わるまでカップルらしい事を控えようと夏海が提案し僕も乗った。それで今日はそろそろ半年の記念日が近付いているから久しぶりに一緒の時間を過ごそうとなった。
やや機嫌が悪くなった夏海と沈黙のまま居るのが辛く思えた僕は話題を記念日の方へ向けた。
「もうすぐ半年の記念日だな」
「そうだね。あっという間だった」
「だけど付き合った年が悪かったな」
「年?」
「だって今年俺ら受験生じゃん、我慢しなきゃいけない事も多いしつまんねーよ」
「そういう事ね。進学するならこればっかりは仕方ないもんね。もし受験の年に付き合ってなかったら私達どんな感じだったかな~」
「そりゃあもうセックス三昧でしょ。学校の内外でヤりまくり」
「ちょっと!こんな所でそんな話しないでよ」
当然の事ながら夏海が控えるよう提案したカップルらしい事にはセックスも含まれていた。まるで獣のように膨らんだ18歳の僕の性欲は毎晩のマスターベーションで何とか制御していた。
「夏海はムラムラしねーの?しばらくしてねーけど」
「そりゃあ私も人間だし多少は…だけど今はそんな事言ってる場合じゃないじゃん」
僕は考え方の違う夏海に対して徐々に苛立ちを覚える。それに日々のストレスも加算されていく。
「受験、受験って…そこまで気を張る事かな?僕らは別に難関大学を目指してるわけでもないんだし。相応の学力の大学だしもう少し肩の力抜いても良いと思うけど」
「で、力を抜いた結果がセックス三昧に繋がる。と?」
「極端に言えばね。その方がかえって学力も上がると思う」
「どんな理屈なのよ。けどまぁ考えといたあげるっ」
夏海はアイスクリームを食べ終わったようで「帰ろっか?」と呟いて僕が頷くと席を立ち歩き始めた。ウィンドウショッピングしながらゆっくりと歩く夏海の後ろを僕は歩く。
正直な話をすると、一般的に夏海の容姿は中の上で特段美人ではない(僕は美人だと思う)が、脚は本当に美しい。短いスカートから伸びる白い脚は見ていて心を鷲掴みにされる。紺のソックスを履く事で夏海の白く美しい脚はより一層際立つし、脚フェチの僕にはそれがまたたまらない。
付き合いたての頃は僕が脚を褒める度に気が済むまで触らせてくれた。苦笑いしながらもスカートに顔を入れた僕の顔を太ももで挟んでくれた事もある。そしてそのままセックスをする流れは鉄板だった。しかしこれも三ヶ月目でピークを迎えた。
要するに僕と夏海は身体の相性が合わなかった。僕のペニスは夏海の膣のサイズと合わなかったし、どれだけ丁寧に愛撫をしても、状態によっちゃ濡れていない事もあった。それにいざ挿入をしても夏海はひどく痛がる事も多々あった。臭いが気になる日もあった。
僕達は互いに初めて同士じゃなかったしひどく戸惑った。身体の相性の話なんて何となく僕にはまだ関係の無い大人の話なような気もしてたし、そもそも18歳の僕にはまだ何かと経験値が足りなかった。だけど性欲は日に日に増す一方だった。
ショッピングモールを出て僕達は自転車を押しながら帰路についた。夏海はまだ話足りなかったようで、僕を近くにある公園へと誘った。入口にある自動販売機でホットのカフェオレとコーンポタージュを買い、一番奥の空いているベンチへと腰掛けた。
僕はネットで見たコーンポタージュのコーンを上手く食べれる方法を試してみようと、缶の両側をベコッと凹ませて一口で半分ほど飲み込んだ。夏海はそれを不思議そうな顔で見ながらカフェオレの蓋を開ける。
「さっきの話ってほんとなの?」
「さっきの話?」
「うん…その…セックスで学力が上がる話」
「うーん、適当に言っただけだし改めて聞かれると困るなぁ。実際どうなんだろう。けどしないよりはした方がスッキリするし良いんじゃない?一時的にだけど」
「そっか、そうだよね。だって旬は男の子だもんね」
「そこ男女関係ある?」
「ははは!分かんない!」
夏海は口元に手を当てながら静かに笑った。
「そんな事訊くって事はヤらしてくれんの?」
「どうしよっかな…外だし。全部は無理かな」
夏海の言う全部とは挿入の話だろう。
「じゃあ何だといいの?」
「手でなら…いいかな」
「口は?」
「えぇ~、口も?」
僕はぐるりと周囲を見渡す。
「いいじゃん、人も居ないし。誰か来たら言うから」
「んー…分かった。誰か来たらすぐ教えてよ。口でしてたら見えないんだから」
「おう、任せろ」
僕は大げさに胸を叩いた。夏海はクスッと笑みを浮かべ「じゃあ…」と言いながらゆっくりペニスへ手を伸ばした。傷一つ無い夏海の指がズボン越しに僕のペニスを包み込み、膨らんだ部分を指で優しくなぞる。
「もう硬くなってる…」
「そりゃなるだろ、久しぶりなんだし」
「久しぶりならすぐに硬くなるの?」
「さぁ?知らね」
「どっちよ」
夏海は呆れながらも僕のペニスを撫で続ける。頃合いを見て「ベルト外しなよ」と言った。僕は周囲に人が居ないか再度確認してベルトに手を掛ける。ボタンとチャックを開けてズボンを下げると、冷えた外気が太ももへ直撃しヒヤリとした。
「パンツ破れそうだね」
夏海は微笑みながらパンツをずらすと、勃起したペニスを表に出した。勃起のせいで亀頭がパンツに引っ掛かかってスムーズに出なかったが、夏海は直に手を入れて、少し強引に掴み出してくれた。
「じゃあ…」と言いながら夏海は亀頭の先端に指を当て、優しく包皮を剥いた。剥けた途端に反り立った亀頭から独特の異臭が鼻に付いた。高校生の僕はセックスの度に大人みたいに毎回ラブホテルに通える訳もなく、大半をこの臭いと付き合いながら何かしらの性行為を行っている。
この臭いを嗅ぐ度に夏海に申し訳なく思う。出来る事なら毎回ラブホテルでシャワーを浴びて清潔な状態でしてやりたかったし、それにクンニとやらもしてあげたかったし、してみたい。
シャワー無しですれば良いだけの話だが、やや潔癖症の僕にその勇気は無かった。けど夏海は嫌な顔ひとつせず僕が望めばわりと何処でも(人目が無ければ)フェラをしてくれた。僕達は全然フェアじゃない。
皆、チンコ蒸れたらこんな臭いすんのかな?もしかして僕だけかな?とかくだらない事を考えていると、亀頭を被うようねっとりとした夏海の口と舌の感触を感じた。
「おっ…!」
「んん?」
「ううん、何でもない。続けて」
「ん…」
夏海が丁寧に舐めて唾液と一緒にすすってくれたおかげで、次第にペニスの臭いが鼻に付かなくなった。僕の為に一生懸命頭を上下に動かし、顎が疲れるのか時折手コキを挟んで息継ぎをしながらも懸命にフェラをする彼女が愛おしく思える。
だからたまにペニスに歯が当たってピリッと痛みがはしっても僕はリアクションせず我慢したし、行為中何度も髪を耳に掛け直す夏海の頭を優しく撫でた。
風俗に行ってプロにフェラをされた経験が無い僕には未知だったが、恐らく夏海はそこまでフェラが上手くないし、好きでもないはずだ。だけど彼女なりの僕に気持ち良くなって欲しい努力というか、気遣いがひしひしと伝わってきて僕は一層興奮した。
「ああ…そろそろ出そうっ…いい?」
「んっ…はぁ…ん!…出して…」
彼女が返事をすると同時に僕はいつも通り彼女の頭をグッと鷲掴みし、射精しながら振り乱れるペニスを夏海の喉奥へと突き込んだ。
夏海は目を閉じながら僕の射精が終わるまで我慢強く姿勢を保ち、ペニスの痙攣が収まると舌を大きく二周ほど円を描くように這わせて精液を残さぬよう舌で絡め取ってくれた。
ペニスを喉奥まで突っ込まれ、涙目になりながらも夏海が開いた口の中にはドロドロの精液がたっぷりと収まっている。彼女は自分の精液を見て怪訝な表情を浮かべる僕を見て笑いながらそれを飲み込む。これもいつも通りだ。
「ふぅー…いっぱい出たねぇ」
彼女は乱れた髪を手ぐしで整えながらベンチにもたれる。
「うん、気持ち良かった。ありがと」
僕は夏海の歯がかすって少し赤みを帯びた亀頭をズボンを穿いてサッと隠した。賢者タイムに突入し、しばらくボーッとしていたが夏海はそんな僕を無視してあれやこれやと話をしてくれた。
最近の観たい映画や流行りの漫画、大学に入ったらしたい事など。その会話は淫らな行為の後だという事を感じさせないほど、いたって健全な高校生そのものだった。
「もうこんな時間だね」
夏海が青白く光るスマホのディスプレイを見て呟いた。また知らない外国人が待ち受けになっている。
「20時か…腹減ったし帰ろっか」
「うん!スッキリもしたしね?…旬だけ」
「嫌味かよ。次一緒に帰る時はヤらせろよ」
「んふふ、考えとくっ」
返事を濁されても特に何も思わなかった。僕としてはマスターベーション以外の方法で性欲が解消されてばそれで良いと思っていた。それがセックスではなく、フェラや手コキであっても。彼女には悪いが彼女の身体を求める気持ちが薄くなっているのは確かだった。
いつも通り、互いの家との分岐点になっている交差点で僕は夏海を見送った。少し前までなら夏海の姿が見えなくなるまで後ろ姿を見ていたが、今となってはそんな事はしない。
自転車を漕ぎながらあれこれ原因を考えた。夏海は彼氏の僕から見れば本当に良い子だし、好きという気持ちは本物だ。価値観もおおよそは近いものを感じるし、一緒に居ても比較的疲れない。多少気持ちの浮き沈みが激しい所を除けば夏海に目立つ欠点は無かった。
このまま付き合いが続いていずれはゴールイン。と想像した事ももちろんある。だけどそれは想像の範疇を越えはしなかった。以前父親が言っていた「結婚相手になる女性は出会った瞬間にビビッ!とくる」と言っていた感覚が何一つわかなかった。
別れる事を想像するとそれはそれで胸が痛くなる。僕が寂しいとか辛いとかより、単に夏海が可哀想だと感じる。しかしこのままこんな気持ちで付き合っているのも申し訳なく感じるし夏海が不幸になる気もする。
いっその事振られた方が気が楽だな。
僕は少しずつだが、どうすれば夏海が僕に愛想を尽かして離れていくかを考え出した。
翌日も朝からずっとその事について考えた。結論としては浮気しかないと思った。しかし学内ではほとんどの人間が僕と夏海が交際している事を知っているし、そもそも特段男前でもない僕の浮気相手になる相手なんて居なかった。
浮気が駄目なら大学に入って自然消滅するのを待つか…と教室で机に頬杖を突きながら外を眺めていると首筋辺りにひんやりとした何かが触れた。現代社会を受け持つ隣のクラスの担任の早川先生が僕の首を手で挟んでいた。
「沖田くん、なにボーッとしてるの?」
「…っっ!?びっくりした~!別に何もないですよ」
「そう?なら良いけど。ちゃんと授業聞いといてね」
「はぁ…すんません」
早川先生は何かと僕に絡んでくる。僕だけというよりも若いからか生徒に対して距離感が近い先生だった。歳は27、28だろうか?多分30までいっていないと思う。
基本的にいつもニコニコしているし、親身になって話を聞いてくれるし、ノリも良い。わりとざっくばらんに何でも話してくれるし男子だけではなく、女子からも支持されている。もっぱら女子からは恋愛相談の駆け込み寺的存在になっていた。
それに早川先生はお洒落でスタイルも良い。さすがに生脚は見た事が無いが、脚の綺麗さはパンツスーツやたまに穿いてくるジーンズ越しにも分かる。身長は他の女子と大差なかったが、胸の形というか膨らみ方が全然違ったし、そこはやっぱり大人だった。
顔も美人で可愛いし、すれ違った時にはいつも良い匂いがする。もちろん他の男子同様に僕も早川先生が大好きだった。恥ずかしい話、早川先生をおかずに何度もマスターベーションをした経験もある。
友人達とも早川先生とセックス出来るならいくら払えるか?という話で盛り上がった事もある。ちなみにその価格は20万だった。芸能人かよ!と笑い合った。とにかく、早川先生は人間的にも性的にも魅力があった。
グレーのパンツスーツ姿で教壇に立つ先生の全身を可能な限り透視しようと試みる。どんなパンティなのかな?紐パンとか?柄物とか穿くのかな?
たまに拝める尻辺りに浮き上がるパンティのラインを凝視する。しかし何度試みても夏海が持っている下着と同じものしかイメージ出来なかった。
放課後。ホームルームを終えた生徒達がぞろぞろと群れをなして廊下を歩いている。僕は鞄に忍ばせていた週刊少年誌の続きが気になったのでキリの良いところまで読んでから学校を出ようと思った。教室にはまだ三分の一ぐらいの生徒が残っていた。
担任も生徒と話をしていたが、話が終わると教室内を一瞥し、そそくさと職員室へと姿を消した。担任が姿を消したのを確認してから、少年誌を取り出しページを開いた。周囲の騒音が多少気にはなったが、漫画の世界に意識が溶け込むまでそう時間は掛からなかった。
読み始めてから15分ぐらい経っただろうか。もったいないから好みの漫画だけを読むのを嫌う僕はあまり知らない作品だろうが順番に一つ一つ読み進めていっていた。
すると突然、早川先生の匂いが鼻をかすめたのを感じた。驚いて顔を下げたまま目だけを前方に動かす。だれどやはり早川先生は居なかった。幻覚や幻聴ならぬ幻臭?そんな事あるか?どれだけ早川先生が好きなんだよ、と自分で呆れた。
「ふぅー…」
同じ姿勢が続いていたから軽くストレッチをしようと身体をのけ反るように伸ばす。すると何か柔らかいものが背中に当たり、同時に僕の耳の真横に早川先生の顔があって「おもしろかった?」と先生は言った。
驚きすぎたせいでリアクションが出来なかった。「まぁまぁかな」と答えた。
先生の顔が近過ぎて僕は前方を向いたまま動けなかった。驚いた勢いで下手に振り返りでもしていたら唇が触れていたかもしれない。だが先生はそんな僕には構わず耳元で囁くように言う。
「漫画持ってきたらダメじゃん。まさか授業中読んでたんじゃないでしょうね?」先生の髪が僕の首筋に垂れてこそばゆい。
「読んでないっすよ」
「ほんとー?先生なら気になるから読んじゃうけどなぁ」
「……ちょっとだけ読んだ」
「バカタレ」
そう言って先生は僕のほっぺを優しくつねった。これも優しすぎて痛い痛い!とリアクションが取れなかった。
そして先生はケラケラ笑いながら僕の隣の席にドカッと腰を下ろした。
「職員室戻らないんですか?」
「んん?戻って欲しい?」
「どっちでもいいっすけど」
「なになに?沖田くんはツンデレだねぇ」
「いきなりなんすか?つか先生にデレを見せた覚えはないっすけどね」
「デレは上原さん限定かぁ」
先生の言う上原さんとはもちろん夏海の事である。
「そんな事もないけど」
「ん?もしかして照れてんの?」
「照れてないです!」
「あははっ、かーわいっ」
先生はニコニコしながら僕を見ている。単純に僕は恥ずかしかった。辺りに目を向けるが、まだ教室に残っている生徒も特に気にしていない。早川先生はいつもこんな感じなのだ。誰にでも。
それを知っているからこそ僕はまだ冷静さを保てた。一生徒ととしてからかわれているだけだって。
「そういうの良くないと思います」
「そういうのって?」
「なんつーか、誰にでも優しいっていうか…フレンドリーすぎるって感じが。まるで幼稚園の先生を見てるような気分になりますよ」
「別にいいじゃん。それとも沖田くんは迷惑なのかなぁ?」早川先生は僕が絶対に迷惑がっていない事を分かりながら言っている。
「僕は大丈夫ですけど。ほら、やっぱ勘違いする生徒も出てくるだろうし」
「うふふ、一体何をどう勘違いするのよ」
「先生に好意を寄せられてる、的な?何せ僕ら思春期ですから。モテない男子の欲望は怖いですよ」性欲を欲望と変換して僕は笑いながら言った。現に僕はカースト上位に位置するいわゆる陽キャ男子が先生にアプローチをしているのを何度も見ている。
その都度、先生は思わせ振りな返事をして上手くそれをかわしていた。正直、見ている僕としては少し不愉快だった。
「要するに沖田くんは私を取り合うライバルが増えるのが嫌なんだ?」
「…はい?え…?ええ!?」
「ふふっ、なにその顔。冗談よ。…で、話変わるけど最近調子どうよ?受験勉強の方は」
「あ、ええ…まぁ、ぼちぼちです」
「よろしい。上原さんとは?」
「うーん。まぁそれなりに仲良くしてますけど…」
「けど?…もしかして受験シーズンだしちょっとギクシャクしちゃってる?」
僕は適当にあしらっておこうと考えたが、先生が想像以上に心配そうな顔で訊くので正直に話した。
「ギクシャクっていうか…別に好きな気持ちに変わりはないんすけど、最近夏海とこのまま付き合っていて良いのか分からなくなってきて」
「なんでよ、仲良さそうじゃん」
「まぁ…。もしですよ?もし、夏海と結婚って話になると僕はすぐ首を縦に振れない気がするんです」
「私はそれを倦怠期と言うんだと思うけどねぇ」先生は腕を組ながら言う。
「ま、なるようになるだろうし大丈夫ですよ!忘れてもらって大丈夫です」
「でも全然そんな事ないって顔に書いてあるよ?…てかもうこんな時間か」
先生は壁掛け時計に目を向けながら言う。つられて僕も時計を見た。時刻はもうすぐ16時半になろうとしている。
僕が仕事しなくて良いんですか?と訊く前に先生の方が先に口を開いた。
「ねぇ、この後時間ある?」
「え?まぁ…ありますけど」
今日はバイトも塾も休みだった。
「じゃあさ、先生とお茶しに行かない?新作のチーズケーキ食べたいんだけどなかなか行けてなくてさ」
「ええ!?別に僕はかまわないですけど…先生の方こそ良いんですか?その…生徒とそんな事して」
「別に何の問題も無くない?単に生徒の悩みを聞いてるって事じゃん。別に悪い事してる訳じゃないし」
「けど本当はただチーズケーキが食べたいだけ…?」
「それはシーッ!」
先生は僕の唇に人差し指を立てフッと当てた。
「帰りは家まで送ってあげるから気にしないで。学校出たとこにあるコンビニで待っててくれる?仕事片付けたらすぐ向かうから」
話がまとまると先生は教室を出て小走りで職員室へと消えた。現金な人だなぁと感心しながら僕も言われた通りコンビニへと向かう。
意外にも先生は早く、僕がコンビニに到着するのとさほど変わらない時間で迎えに来てくれた。先生は丸みを帯びたボディーの真っ赤フォルクスワーゲンに乗っていた。
「沖田くん歩くの遅くない?」先生はにやにやしながら言う。
「いや、早すぎでしょ。どんだけチーズケーキ食いたいんだよ」
「うるさいわねぇ、早く乗って。行くよ」
「お邪魔します」
車内は先生の匂いで満たされていた。変態だと思われたら嫌だから悟られないように何度も深呼吸する。
「おっけ?じゃあ行くよぉ」
先生がアクセルを踏んで車が動き出す。僕は前方よりもハンドルに掛かる先生の手に視線を向けた。先生の手は細くて綺麗な指をしていた。結婚指輪と婚約指輪の位置は今一つ分からなかったがどの指にも指輪がついていない事を確認して安心する。
それにカバーを着けたハンドルは従来よりも少し太めになっていて先生の手がペニスを握っている想像をした。徐々に股関に熱がこもり膨れてくるのを感じる。僕は無邪気にチーズケーキを楽しみにしている先生の横で卑猥な想像をし勃起した。