②
僕を乗せた早川先生のフォルクスワーゲンは学校から20分ほど離れた隣町のカフェへと向かった。
車を下りた先生は足早に店内へ向かい、席が空いている事を確認してにっこり微笑んだ。
「よっしゃ!沖田くん、早く早く」
「子供じゃん」
「うるさい」
僕達は案内された席へ腰を下ろす。
「何でも好きな物頼みなよ、今日は先生の奢りだから」
「いいんすか?…けど何か悪いなぁ」
「いいの!いくら薄給とはいえ生徒とのお茶代ぐらい出せるわよ」
「はぁ…じゃあレモネードとチーズケーキを」
「おっけい、私はホットコーヒーとチーズケーキにしよ」
注文した品が運ばれてくるまで僕達は受験の話題で盛り上がった。といってもほとんど先生が一方的に「いやぁ、懐かしいなぁ」と思い出話を聞かせていただけだったのだが。
「受験ってさ、精神的に辛いししんどいけど大人になって振り返った時に大半の人が、ああ、経験してて良かったなぁ…って思える事の一つよ」
「そうですか?僕はただただ煩わしいだけですけど。それに何か蹴落とし合いみたいで嫌です」
すると先生は「うーん」と何かを言おうかどうか迷っている素振りを見せた。
「沖田くんはその…蹴落とし合いのような競争事は苦手?」
「んー、どうだろ?けどそういうのって結果によっちゃ人間関係がギスギスするじゃないですか?それは嫌ですね」
「なるほどねぇ。まぁたしかにそれはあるわね。私も何度も経験したよ。特に女同士って男性みたいにさっぱりしてない事が多いから厄介だった」
「だけど」と先生は一呼吸置いて付け加える。そして「人生の先輩として厳しい事を言うと生きる上で何かしらの競争は必要だし避けては通れない事だっていうのは分かってるでしょ?」と言った。
そこは教師としてではなく人生の先輩としてなんだぁ…と呆気に取られながらも僕は頷く。
「ま、やるやらないと好きか嫌いは違いますから。心配しなくてもきっちり志望校受かってみせますよ」
「言うねぇ。受験の次は就活の競争が待ってるけど頑張りな」
そして結局先生はチーズケーキを食べるだけ食べて特にこれと言って僕から話を聞く事もなく、店を後にする事になった。これだと本当にチーズケーキを食べる為だけに誘われたようなもんだ。
店を出るとすでに日も暮れていて、まだ18時半だというのに外は真っ暗だった。
「うう、寒いねぇ」
「やばいっすね」
「あーちべたっ」そう言って先生は僕の首に冷えた手を差し込んだ。
「わぁ!?…ったく!」
眉間に皺を寄せながら振り返ると先生は「ね?冷たいでしょ?」と笑った。良くも悪くも先生は日頃からこんな調子だから余計に先生と生徒という壁が低く感じる。
僕はこれ以上からかわれないようリアクションしない事を心に決めて、先生のフォルクスワーゲンに乗り込んだ。先生は僕に家の住所を訊く事なく車を走らせる。
「先生?どこ行くんすか?帰るんじゃ…」
「ん?ついでだから夜景見に行こうよ!それとも帰りたい?急用でもできた?」
「いやそういう事なら…暇だしお供しますよ、ケーキもご馳走になったし」
「沖田くんノリノリだね!」
「いや、それはアンタ」
「あはははっ。良いじゃん夜景」
僕は初めて来たのだが、本当に近くに夜景スポットがあった。国道から逸れて住宅街に入るとしばらくしてすぐ比較的整備された山道があった。下ってくる対向車に気をつけながら山道を走る先生の顔はいつにもなく真剣で、僕はバレない程度に何度も横目で先生の表情を観察していた。
山道に入ってから10分ほどで駐車場に到着し、先生は適当な所で車を停める。どうやらここは車の中からでも夜景を見れるスポットらしく、周囲を見渡すと車の数と外に出ている人間の数が全然合わなかった。
「寒いからね。中から見よう」
「はい」
僕はフロントガラス越しに見える景色を見た。せっかくだからと目に焼き付けようとしたが、変化の無い景色に30秒で飽きてしまった。横目で先生を見るとジーッと景色を眺めている。僕は先生を観察して美人がより一層美人に見える時は真顔の時なんだ、と感じた。
「沖田くん…」
「何ですか?」
眼前の夜景に目を向けながら先生は言う。
「沖田くんさ…」
「はい」
「日頃から私の事…えっちな目で見てるでしょ?」
「はぁぁっ!?なに急に!!?見てない見てない!」
僕は分かりやすいほど動揺し慌てた。別に年頃の男子なのだからそれぐらいなら全然健全だろうけども。先生は僕の想像以上の慌てように驚いた。そして笑いを噛み殺しながら言う。
「ねぇ、どんな事想像してたの?見られてる側としては純粋に気になるんだけど」
「いやいや、してませんってば!本当に」
早川先生は少し考える素振りをした。
「沖田くんは教壇に立ってクラス全員を一望した事ある?あそこって見えてなさそうで意外と丸見えなのよ。早弁してる子とかスマホを机に隠して触ってる子とかさ。私を含めほとんどの先生は見て見ぬフリしてるだけなの」
「そうなの?じゃあ何で注意しないんですか?」
「そこは先生によるだろうけど…少なくとも私は自分もそういう生徒だったし、つい見逃してしまうかなぁ。よほどの事なら注意するけど」
「で、」先生は続ける。
「男子生徒が私の事性的な目で見てる事も良く分かる。これは女性ならある程度感じるんじゃないかな?別に君達は年頃の男子だしそこは特に気にならないけどさ」
「はあ」
「だから沖田くんがそういう目で見てるのもバレバレ。お尻とかよく見てるでしょ?」先生はクスクス笑いながら訊く。
「見てるっていうか…ただ何となく見てるだけですよ。下心なんて無いです」
「へぇ、何となくかぁ。にしても真剣な眼差しなんだね、沖田くんの視線を受けるとまるでオーディションに来ているみたいた気持ちになるわ」
それに何と答えて良いか分からず僕は困惑した。そんな僕を見て先生は「ははっ、これ以上からかうのはよそう」と窓を開けバッグから電子煙草を取り出した。
「先生って煙草吸うんですね。すげー意外」
「そう?沖田くんは煙草吸う女は嫌い?」
先生は煙草を差し込んだ端末の点滅を眺めながら言う。
「どうかな。けどやっぱ吸わないで欲しいですね、色んな意味で」
「例えば?」
「まず、身体に良くないでしょ?それに金も掛かる」
「それだけ?」
「後はー…臭いで周り迷惑を掛けるし、歯も黄ばむし口も臭くなる」
僕はパッと思い浮かんだ事を言った。先生は相変わらずニコニコ頷きながら聞いていた。
「たしかにその通りね。いくら電子煙草だといえ煙草なんて吸っても良い事無いよね」
「だけど辞められないから吸っちゃう?」
「吸っちゃうなぁ」
「駄目じゃん」
先生は隣にいる僕に気を遣いながら煙を車外に出そうと窓に向かって吐き出す。それなら外に出て吸えよ、と思ったが寒いからそれは嫌なのだろう。そういう矛盾してる所がまた一つ可愛らしいと思える。
先生は煙草を吸い終えると、バッグにしまいながら言った。
「ねぇねぇ」
「なんすか?」
「キスしない?」
僕は前方に視線を向けたまま固まった。
「き、キス…?ですか?」
「そう。キス…それとも煙草吸ってる女とは嫌かな?」
「い、いやいや。そんな事はないですけど…つか僕は夏海とっ…!」
すると先生は僕の唇に指を当てて僕が話すのを制した。
「言わなくても知ってる。君は上原夏海さんと交際している。それに私も二歳年上の彼氏がいる」
「ええ…先生、彼氏いんのかよ…」
「彼氏ぐらいいるわよ!」と先生は露骨に残念がる僕を見て笑う。
「沖田くんも彼女いるじゃない」
「まぁ、そうですけど」
「だけど私に彼氏がいると残念だし、キスもしたい?」
「……」
「私は沖田くんとキスしたいなぁ。理由は君を見ていて可愛いと感じるから。君は子犬みたいでついいたずらしたくなっちゃう」
僕は返事に適した言葉を探す。が、適当な言葉が見つからず黙り込んだ。
「上原さんや私の彼氏に気を遣うなら別にしなくてもいいよ…どうする?」先生は僕を試すようにやにやしながら言う。からかわれていると分かっていても僕は正論並べてしまう。
「そんなの浮気じゃないですか。彼氏が悲しみますよ」
「そりゃバレたら悲しむだろうし怒るだろうね。けどバレなければ問題ないと思わない?知っているのは私と沖田くんだけだよ?」
「そうですけど…」
「それにね」と先生は話を続ける。
「君ぐらいの歳ならちょっと分からないかもしれないけどさ、大人の恋愛ってちょっと違うのよ。…まぁまだこういう話はちょっと早いか」
「よく分からないです。恋人意外とそういう事するなんて」
「極端な話、したければすれば良いのよ。バレなければ問題ない。これが私の考えね。だからもし彼氏が私以外の女とそういう事してても私に直接バレなければ何も言わないし思わない」
「先生、その内容は生徒に話すような事じゃないですよ」
「私も人間よ?それにここは学校じゃないんだから関係ないわよ。警官だってプライベートだと皆が皆、正義感を表に出さないのと同じ。目の前に困っている人が居ても面倒だから平気でスルーする人間も一定数いる。…君が本当に嫌がるならやめる。どう?」
「…別に大丈夫ですけど。…うーん、けど先生のイメージ変わるなぁ」
「変わるって悪い方に?」
「まぁ…。てっきりもっと純粋無垢な人だと」
「それは申し訳ないねぇ。もしかして嫌いになっちゃった?」
「いえ、そんな。嫌いとかじゃないですけど」
「そう?なら良かった。私は沖田くん好きだよ、可愛いし」
言い終わると先生は僕に身体を寄せながら、股間に手を当てて優しく撫でる。僕のペニスは動き続ける先生の手に呼応するように膨れ上がる。そしてほんの数秒でペニスの硬さは限界を迎えた。
「あはは、硬った!若いからおちんちんすごい元気ねぇ。こんな反応久しぶりに見たよ」
「ちょ、ほんとに駄目ですって…やめてくださいよ」
「あれ?本当にやめる?」
「……」
「ふふっ」先生はペニスを撫で続けた。僕はシートにもたれながら先生に身体を委ねる。先生はペニスを一通り撫でると、僕のシャツのボタンを外し中に手を入れる。それから今度は乳首を円を描きながら優しく撫でた。
「ん…はぁ…全然キスじゃないですよ」
みっともないから必死に我慢するが吐息が漏れる。先生は僕が反応する度にニコッと微笑み、乳首をコリコリといじりながらも反対の手でペニスをゴシゴシとしごきながら撫でた。
「沖田くんのおちんちん爆発しちゃいそうだね。ズボンがテント張ってるみたい…」
「はぁ…はぁ…あんまそういうの言わないで下さい」
「うふふっ、恥ずかしいの?じゃあそろそろズボンとパンツ脱ごっか?」
僕は言われた通り、ベルトを外しズボンを下ろした。パンツまで脱ぐのが恥ずかしくて手を止めると、見かねた先生が「パンツも」と乳首をいじりながら言う。そしてもうどうにでもなれ!と半ばやけくそになってパンツを下げた。そして異臭を放ちながらギンギンに勃起したペニスが露になった。
「わぁ…おっき…それにもう先っぽがすごい濡れてるねぇ」
先生はまるで新しいおもちゃを見つけた子供のように僕のペニスに見入っている。僕は相変わらず蒸れて異臭を放つペニスに嫌気が差す。けれど先生はすぐに鼻が触れるほど顔を近付けて亀頭に溜まった我慢汁を嗅いだ。
「ちょっ!」
「んん~男の子の臭いだぁ…」
「えぇ…」
僕は少し引いたが、それ以上に興奮した。美人でスタイルも良く良い匂いがする女性が今自分のペニスを求めてる。それだけで十分だった。
先生がペニスを握り上下にしごくと、我慢汁が亀頭と包皮の間に入ってクチュクチュといやらしい音が車内に響く。
「ん~えっちな音だねぇ」
先生はペニスをしごきながら微笑む。僕はなるべく吐息を漏らさぬよう黙っていたがすぐに限界を迎えた。
「先生待って…イキそ…」
「ええ!?ちょっと早くない?まだ駄目よ」
「だって…!ちょっと待って…タンマ」
「はぁい、じゃあこれは?」
先生はしごく手を止め、亀頭にキスをした。ペニスに刺激を与えられるのをとりあえずは止めてもらい安堵する僕。しかし先生はその代わりに、亀頭に数回キスをすると断りを入れる事なく勃起したペニスを口いっぱいに頬張った。
「あうっ…!?」
驚きとあまりの快楽に声が漏れる。先生は動きを止めて僕を一瞥し、再び顔を前後に動かし始める。先生のフェラは夏海とは違ってペニスに歯を当てる事なく円滑に行われる。
とにかくフェラが上手かった。口内の温かさと舌の柔らかさ、それにほどよく力の入った手コキ。僕は再び限界を迎える。
「はぁ…はぁ…先生…?出して良い?…もう無理」
「んっ…んん…ええ?…もうちょい我慢してっ…」
「ええぇ…」
僕は目を閉じて何度も深呼吸した。だが、抑えようにも先生は徐々に顔と舌を動かすスピードを上げて、明らかに僕を射精に導いてくる。
このままでは10秒と持たない。何とか意識の方向を変えようと、僕はとっさに先生の上半身に身体を寄せて、空いている両手で先生の胸を揉み上げた。
「あぁんっ…私はだめぇ……」
僕は初めて大人の胸を揉んだ。個人差の問題かもしれないが、先生の胸は夏海と大きさはさほど変わらないにせよ柔らかく、まるでビーズのクッションを揉んでいるようだった。
「うっわ…柔らか」
「んんっ…やめて…怒るわよ…っ」
「先生だけずるいですよ。これだと公平じゃない」
「もうっ…!」
先生は嫌がるわりに身体に力を入れて抵抗しなかった。
「あぁ…挿れたい…」
「んん?挿れたい…?だけど今日はだーめっ、生理前なの」
「何で…っ?だめなんすか?」
「血が出ちゃうかもしれないでしょ?だからよ」
言い終わると先生を顔を動かすスピードを上げる。僕の方は射精が近付き自然と胸を揉む手が止まる。
「ああ…っ!もう無理っ…」
「んん!良いわよっ…はぁ…出してっ」
「…ん!…はぁあっ!!」
「んんっ!?ちょっ…!!…きゃあ」
僕はいつも夏海にするみたいに射精直前に先生の頭を掴んでペニスを喉奥まで突っ込んだ。
「はぁ…はぁ…すんません…ついいつもの癖で」
「…けほっ…ごほっ!…ちょっと!沖田くん、いつも上原さんにこんな事してるの?」
先生は口に溜まった精液を服にこぼさぬよう手を受け皿にしながら言った。
「まぁ…わりと?」
「困った子ねぇ…それにしてもすごい量…若いからかな?」
「さぁ?…つかセックスしたかったなぁ」
「それはまた今度ね」
「本当にしてくれるんですか?」
「どうかな?それは沖田くん次第。関係がバレたら出来ないよ?」
「…誰にも言いません」
「ん、よろしい」
そして先生は煙草を一本吸い、僕を家まで送り届けてくれた。僕は先生のフォルクスワーゲンが見えなくなるまで見送った。部屋に戻ってすっかり元の大きさに戻ったペニスを見る。
包皮を剥くとペニスは少し赤みがかっていたが、夏海のフェラの後とは違い痛みが尾を引く事はなかった。
余韻に浸っていると次第にペニスが大きくなる。そして僕はその夜、マスターベーションをした。もちろん夏海ではなく、早川先生をおかずにして。