新しい年を迎えた1月。
私とまみちゃんは、加奈ちゃんと加奈彼さんも加えた4人で初詣に行きました。
○○城の近くにある神社の敷地は、たくさんの人たちでごった返していました。
私とまみちゃん、加奈ちゃんと加奈彼さんはしっかりと手を繋ぎ、まみちゃんと加奈ちゃんも離れないように手を繋ぎました。
まみ「加奈ぁ・・・、手を離さないでね」
加奈「まみ、私たちは妊娠してるんだからね。焦ったらダメよ」
まみ「分かってる」
・・・この時、まみちゃんは妊娠4か月目。
加奈ちゃんは妊娠3か月目に入っていました。
まみちゃんが苦しんでいたツワリはようやく落ち着きましたが、加奈ちゃんは激しいツワリに悩んでいました。
そして、今日も・・・。
「あっ・・・ダメ・・・」
加奈ちゃんは近くのトイレに駆け込みました。
激しい嗚咽が聞こえました。
まみ「加奈あ・・・大丈夫?」
加奈「ツワリでずっと部屋に籠りっぱなしだったから、今日はいい気分転換になるわ。まみ、ありがとう。やっぱり、友達は大事にしなきゃあ。それに、まみが妊婦の先輩なんだからあ」
まみ「私だって初めてだし・・・不安だらけだよ。だけど、彼の存在が大きいの。一緒にいたら、ものすごく気持ちが落ち着くの」
加奈「お互いに、彼は大学受験だね。しばらくは辛いけど、まみと一緒にいたら元気になれそう」
まみ「それに、私たち・・・お腹に愛の結晶があるし、1人じゃないって実感できるの」
加奈「ねえ、名前は決めた?」
まみ「女の子だったら、彼が決めてくれるの。【みどり】とか【のぞみ】とか・・・」
加奈「いいなあ。性別って、いつ分かるのかなあ」
まみ「妊娠7か月前後みたいよ。その頃になったら、お互いに大きなお腹を抱えることになると思うけど」
まみ「ねえ、その頃になったら春になるね。二人で彼と一緒に高校に行こうよ。テニ大学の彼氏を紹介してあげたいな」
加奈「まみ彼さんみたいに、私の彼は人気がないよ」
まみ「だーめ!大会の男子シングルスで圧倒的な強さで優勝したんでしょう?みんな、びっくりするよ。きっと」
・・・4人でおみくじを引き、1人ずつ折って枝に縛っていきます。
そして、神社の本殿の前に行き、4人で手を合わせます。
今年は、まみちゃんも加奈ちゃんも出産という大きな仕事が待ち受けています。
実は、24歳になる加奈ちゃんのお姉さんの明美さんが2月に出産を控えていました。
結婚3年目にして、待望の妊娠です。
まみ「明美お姉さんが来月出産よね。きっと、私たちも同じ道を通るはず。不安を吹き飛ばすには、先輩ママと触れあわなきゃ」
加奈「じゃあ、お姉さんのところに行く?」
まみ「うん!」
初詣を終えて加奈ちゃんのお姉さんのところに向かいます。
加奈「お姉ちゃん、明けましておめでとうございます。突然なんだけど、今からそこに行こうと思うんだけど、いいかなあ・・・」
明美「いいですよ。あっ、加奈・・・妊娠したんだって?」
加奈「うん。実はね・・・私の友達のまみちゃんも妊娠しているの」
明美「まあ♪あのまみちゃんが?私も会いたいな」
加奈「ありがとう。じゃあ、お互いの彼氏も連れて4人で行くね」
明美「あら♪賑やかになるわねえ」
加奈「ごめんなさい。急遽、行き先変更です」
バスに乗って、加奈ちゃんのお姉さんのところに向かいます。
神社からは30分くらいの距離。
部屋は10階立てマンションの4階にありました。
加奈「お姉ちゃん」
明美「うわあ、加奈。可愛くなって」
明美さんは、今でいうと吉瀬美智子さんに似ています。
背が165もあり、4人は圧倒されていました。
加奈彼「はじめまして、加奈と付き合っている○○です」
明美「聞きましたよ。テニスの大会で優勝したんでしょう?私・・・見てたのよ」
加奈彼「うわあ、見てたんですか?」
明美「さあ、入って♪」
私は、明美さんを見つめてしまいました。
もちろん、加奈彼さんも。
ソファーに座り、明美さんが私たちにジュースやお菓子を持って来てくれました。
長いソファーには、中央に私が。
そして両側に加奈ちゃんとまみちゃん。
反対側には明美さんと加奈彼さんが座っています。
そこに明美さんのご主人がやって来ました。
年齢は28歳。
175センチはありそうです。
どちらかといえば、KinKiKidsのお兄さんに似ています。
ご主人の名前は悠一さん。
ご主人が勤める会社に明美さんが短大卒で入り、悠一さんの猛アタックが始まったそうです。
そして、交際が始まり、わずか6か月で結婚したのです。
でも、明美さんは隣に来た悠一さんの手をしっかりと握っています。
そして、悠一さんに体を預けていました。
明美「皆さん、1人ずつ自己紹介お願いしますね。もちろん、加奈も」
加奈「えー!?あっ、お久しぶりです悠一さん。明美の妹の加奈です。今年、高校を卒業します。実は、テニスが縁で○○さんとお付き合いして・・・実は・・・赤ちゃんができました」
悠一「加奈がお付き合いしているのは、明美から聞きました。明美の方が先に出産するから、何でも相談するといいよ」
加奈「男の子ですか。女の子ですか?」
明美「女の子よ。加奈ちゃんみたいに可愛くなってくれるとうれしいな」
加奈彼「はじめまして。加奈とお付き合いしている○○です」
悠一「あなたのことは、明美や加奈から聞いています。加奈を妊娠させたのだから、しっかりと最後まで面倒を見てあげてくださいね。もちろん、子供もね」
加奈彼「はい、加奈をずっと大事にします」
悠一「ありがとう。頼んだよ。ところで、あなたは?」
私「は・・・はじめまして。隣にいるまみちゃんとお付き合いしている○●です。まみちゃんと加奈さんが仲良しなので、一緒にやって来ました」
悠一「ああ、まみちゃん」
まみ「お久しぶりです。明美さんと結婚してからは初めてですよね」
明美「実はね、まみもおめでたなの。加奈より1月早いけど」
悠一「えっ!?ウソだろ!?でも、優しい人で良かった。そうか、まみちゃんも加奈もおめでたかあ」
明美「私は2月。まみちゃんは6月。加奈は7月よ」
悠一「そうだったんだ。でも、妊娠して終わりじゃあない。これからはもっと大変なことが起きるだろう。ましてや、加奈もまみちゃんもまだ結婚していない。大学に行くと聞いていますが、しっかりと子供も見てあげることは忘れないようにね。もちろん、加奈やまみちゃんの結婚式には行かせてもらうよ」
私・加奈彼「はい。分かりました。もちろん、彼女と結婚します」
悠一「じゃあ、私はこれで・・・」
というと部屋に戻っていきました。
しばらくは、誰も声を出すことができませんでした。
30分ほど沈黙が続きました。
「お姉ちゃん!」
加奈の一言で、緊張感が吹き飛びました。
私たち4人は明美さんに妊娠した時や今の気持ちを聞きました。
「不安はあるわ。でも、そんなことばかり考えたら、気持ちが押し潰されそうになると思うの。お腹の赤ちゃんが初めて動いた時、今までにない幸せな気持ちになったの。我が子を育て、一緒に成長して行くの。だから、来月出産だけど、私からすればお腹の赤ちゃんに会える訳でしょう?10か月、待って待って待ちわびたんだもの。さあ、いらっしゃい♪そんな気持ちよ。あっ、また動いたあ」
明美さんは大きなお腹に両手を当て、そっと撫でています。
加奈ちゃんもまみちゃんも、明美さんのところに行きました。
そして、大きなお腹を撫でています。
その時です。
まみ「ああ・・・赤ちゃん・・・動いたあ・・・」
加奈「本当だあ・・・。私も・・・いつかはこんな体験ができるんだあ・・・」
私「ごめんなさい、明美さん・・・いいですか?」
明美「どうぞ。優しくね・・・」
おそるおそる、明美さんの大きなお腹に手を当てます。
その直後・・・私「ああ・・・動いた・・・動いたあ・・・すごい・・・凄すぎる・・・」
明美「あなたは優しいから、まみちゃんが好きになったんだと思うの。そして、その優しさが、私の赤ちゃんにも伝わったんだと思うわ」
加奈「まみ彼さんは、女子のテニス部員から大人気なの。だって、由美ちゃんが言ってた。まみ彼さんが来たらみんな練習どころじゃないって」
私「そんなに、顔は良くないって感じているんですが・・・」
明美「きっと、誰にも優しくしてくれるからじゃないかな♪私も、まみ彼さんとは初めてだけど、なんだか・・・この身を捧げてもいいかなって感じるわ」
まみ「だからかな・・・。美奈子ちゃんも由美ちゃんも、みんなの前で彼にキスしてきた。みんなが彼を狙っているように感じるの・・・。彼と一緒にいたら、周りから冷たい視線を感じるの」
明美「きっと、嫉妬しているのよ。まみちゃん、最近、彼に肩を抱かれて歩いていない?」
まみ「そう言えば・・・、2週間前かな。彼にお願いして駅までの道を彼に抱かれて帰ったの。友達が後で、どうしたの。まみ、ものすごいラブラブじゃん♪って・・・。黒板に、私が彼に肩を抱かれたイラストを書かれて・・・必死になって消したの・・・」
加奈「そうそう。まみが初体験した次の日も大変だったね。○月○日、まみちゃんは校舎の踊り場でクラス公認の彼とエッチしましたあって・・・」
明美「そんなことがあったんだあ。加奈が他のテニス部員とまみちゃんの初体験を見てたって言ってたけど、私も見てあげたかったなあ」
まみ「もう・・・明美さんまで・・・恥ずかしいよお・・・」
加奈彼「じゃあ・・・私も・・・失礼します」
加奈彼さんが、明美さんのお腹に手を当てました。
ところが、お腹の赤ちゃんは反応しません。
加奈彼「あれ・・・どうしたんだろう・・・」
明美「おどおどしてはダメよ。赤ちゃんは知っているの。もう一度やり直し!」
加奈彼「はい」
すると
「うわあ・・・感動したあ」
明美さんの赤ちゃんが反応したのですね。
明美「加奈、まみちゃん。もし良かったら、来月の出産に立ち会ってくれない♪あなたたちにも大きな経験になると思うから」
加奈「お姉ちゃん!ありがとう」
まみ「明美さん。うれしいです。素敵なお姉さんですね。予定日はいつですか?」
明美「2月18日よ。まみちゃんは、小さな頃から知っているわ。そんなまみちゃんが、ママになるんだもの。しっかりサポートしますね」
まみ「明美さん!」
まみちゃんは、明美さんに抱きつきました。
明美さんは、まみちゃんの髪を優しく撫でていました。
その日の夕方、私たちは明美さん夫婦のマンションを出ました。
そして、それぞれのカップルに別れて帰ります。
まみちゃんは私に寄り添って来ました。
私はまみちゃんの肩を抱き、ゆっくりと歩き始めました。
まみ「私も、明美さんみたいな、素敵な奥さんになりたいな」
私「明美さんって凄いな。出産って大変なのに、あと2か月もないのに、あんなに堂々としている。初めての妊娠なのに、どっしりと構えてる。うろたえた感じがない。女性ならではの強さなのかなあ」
まみ「そうよね。私も加奈も、初めての妊娠でうろたえているのに・・・」
私「まみ、こっち向いて・・・」
まみ「なあに?あっ」
私は、まみちゃんを抱きしめてキスをしました。
人通りの多い道だったけど、長く、そして何度も舌を絡めました。
まみちゃんは、今でいうと橋本環奈に似ています。
まだ18になったばかりなのに、私の子供をお腹の中に宿しています。
私にずっとついて行く。
初めてのエッチで妊娠したことが12月に分かり、うろたえながらも私に話したまみちゃん。
可愛い顔の裏では、確実に母になる覚悟を決めていたのです。
それは、加奈ちゃんも同じ気持ちだと思います。
妊婦の先輩の明美さんに会い、言葉を交わし、母はどうあるべきかを知りました。
今後に起きるであろう幾多の困難を、乗り切るために。
・・・2月17日、穏やかな天候でした。
私と加奈彼さんは、私立大学の入試を受けました。
学部は違いますが、同じ大学を受けることを知り、少し安心した私がいました。
試験が終わり、17時を過ぎた頃、加奈彼さんの携帯が鳴りました。
加奈ちゃんからです。
【ついに・・・来たのか?明美さんが・・・】
やはり、そうでした。
明美さんを陣痛が襲い、産婦人科に運ばれたというのです。
加奈ちゃんとまみちゃんも、一緒だそうです。
産婦人科に着くと、明美さんの陣痛の間隔は5分まで短くなっていました。
悠一さんは分娩室のドアの前にいました。
加奈ちゃんやまみちゃんは、どうやら分娩室にいるみたいです。
中からは、明美さんの悲しそうな声が響いていました。
「明美さん、頑張って!」
きっと、加奈ちゃんの声でしょう。
「お姉ちゃん!」
まみちゃんの声です。
出産の痛みと戦う、明美さんの声が、いつまでも響いていました。
私と加奈彼さんは、堪えきれず産婦人科を出ました。
男というものは、こんな時は無力なのか・・・・・・・・・
■続き[2016.01.06_14:07追記]
私と加奈彼さんは、近くのファミレスで食事を取りました。
気が付くと、22時を過ぎたあたり。
加奈彼さんの携帯が鳴り、5時間が過ぎていました。
でも、それ以降加奈彼さんの携帯は押し黙ったままです。
やがて17日から18日に変わりました。
ファミレスが1時で終了となり、私たちは外に出ました。
産婦人科は、依然として明かりが付いていました。
まだ、明美さんは陣痛と戦っているのでしょう。
そして、加奈ちゃんとまみちゃんも。
私たちは加奈彼さんの車に乗り、待機しました。
やがて睡魔が襲い、二人は深い眠りにつきました。
目が覚めた時は、朝の9時すぎ。
あれから16時間が過ぎました。
まだ携帯は沈黙を守っています。
加奈彼「ああ、出産ってこんなに時間がかかるのか?」
私「明美さんが心配になってきた。赤ちゃん、大丈夫かなあ・・・」
その頃、明美さんの出産は大きな山を迎えていました。
産道が広がり、お腹の赤ちゃんがいよいよそこに入ろうとしていたのです。
もちろん、加奈彼さんも私も、悠一さんも知ることはありませんでした。
幸い、今日は大学入試はありません。
2日後にもう1つの大学入試を控えていました。
11時過ぎ、ついに赤ちゃんが明美さんの産道に入ろうとしていました。
明美さんの鼻に呼吸をサポートするための管が取り付けられました。
いよいよ、明美さんの出産は最終段階を迎えていました。
そして12時。
赤ちゃんが明美さんの産道に入りました。
ゆっくりと回りながら、産道を通って行きます。
そして、13時14分。
大きな泣き声と共に、明美さんの出産が終わります。
加奈彼さんの携帯が鳴り、20時間あまりが経過しました。
加奈彼さんの携帯が鳴ったのは、13時40分過ぎ。