私は、そのまま少しだけ湯に浸かっていましたが、頃合を見て洗い場へと移動し、簡単に体を洗うとそのまま風呂から上がりました。
フロントの正面に簡単な作りのロビーがあります。30帖ほどのその空間にはちょっとした売店と自販機があり、中央にはいくつかのテーブルと椅子が置いてあります。テーブルはさほど大きくない真四角のもので、椅子は肘掛のない背もたれだけがついた1人掛のものがテーブルの四面にひとつづつ置いてあります。ロビーの最奥には小さな小上がり座敷があり、ふたつの和式テーブルが置いてありました。
美樹の姿はそこにはありませんでした。どうやら、まだ、風呂から出てきていないようです。
中央よりやや奥のテーブルの売店側には、先ほどの審査員のオヤジ達が数人座っており、小上がり座敷の売店側には老夫婦が座っていましたので、私は、その隣の小上がり席に座って美樹を待つことにしました。
テーブル席でだらしなく体を崩して座っているオヤジ達が、さっきの品評会の話をしているのが分かります。何故ならば、どう聞いても、美樹の話をしているからです。デカパイがどうだとか、毛がどうだとか、そんな単語を含んだ言葉が聞こえてきているのです。
ところが、そのオヤジたちの視線がその後、ある一点に集中しました。
「おい!あれじゃあないのか?」
「そうだよ。あの女だよ。」
そうです…美樹が日帰り入浴用の廊下からロビーの方に歩いて出てきたのでした。大きめのタオルを頭に巻いて…
「しっかし…服着ていても、乳のでかさがわかるよな。」
そんなオヤジ達のひそひそ話が聞こえてきますが、全くその通りです。
服を着ていも美樹が持つている、その大きさがわかります。
美樹は、ロビー入り口すぐのテーブル席に座りました。自販機を背にしてフロント側が見えるように。
恐らく、ロビー内を簡単に見渡し、私がまだいないことに確認し、私が廊下から出てくるのを確認できる空いた席に座ったのだと思われます。
なにせ、私は美樹の死角となるであろう、自販機の影にいたのですから、気が付かれなかったのは当然です。
美樹の着席を確認したその直後でした。ヒステリック状態の女性が恐らく宿の従業員と思われる男性に付き添われるようにロビーへと入ってきました。そして、先ほど目が合ったオヤジに気づいたのか、彼に近づき食ってかかっていきます。
「あんた!何考えてんのさ!」
そう言いながら、オヤジに詰め寄ります。
従業員は「奥さん落ち着いてください」と一生懸命なだめています。
40代か50代の女性。こういうのもなんですが、普通のおばさん。
誠に申し訳ないのですが、艶やかさとかセクシーさとかには無縁と感じる方でした。
そのおば…いえいえ、その女性は、すごい剣幕で、オヤジ達を侮蔑します。
「この、変態オヤジ」
「どスケベ野郎」
など、数々の悪口を言い放っています。でも、それって、ほぼ全部当たっているのですよね。(笑)
この女性は、いいだけ騒いだ結果、気が済んだのか、またまた全く悪びれないオヤジの態度に諦めたのか
「もう、二度とこの温泉には来ないから!」
と言い放ったかと思うと、プリプリしながら旅館を出て行きました。残されたロビーの人たちは、その彼女の後ろ姿を静かに追っていました。
「あのババアの裸なんて、誰も見ねえよ。だいたい、俺が見て喜ぶってものかぁ?なあ?」
その静寂を破ったのは、先ほど女性に詰め寄られたオヤジのセリフでした。
既に彼女の姿は旅館内にありませんでしたので、話をぶり返す必要は全くなかったのですが、責められっぱなしで面白くなかったのでしょう。でも、全く懲りないオヤジです。
「だよなぁ。あんなくたびれたもの見たってな。」
「俺も、あのババーの体なんか覚えちゃいねえ。記憶容量がもったいないってな。ははは。」
そのオヤジの言葉に他のオヤジも同調します。
「××さん。もう、いい加減にしてくださいよ。今日はこれで済んだから良いけれど、変な噂でも立てられたらこっちが困るのですからね?」
宿の従業員がそう、女性に詰め寄られたオヤジに言います。
どうやら、この従業員とオヤジたちはある程度の顔見知りのようです。
「なーに、あんなのがひとり二人来なくたって何も変わらねえって。だいたい、腐れババアの分際で、だぞ…」
「そういうことでなくってね。俺が言いたいのはね…」
いい加減にやめてほしいという従業員と堅いこと言うなという客との押し問答が展開されています。
そういえばと思い、美樹の様子を伺ってみると、この押し問答をじっと見ていました。
恐らく、女性とオヤジの一件も見ていたに違いありません。
すると、そこに、一人の小さいオヤジと言いますか、小さい体のじいちゃん?が現れました。
こともあろうにその小さいじいちゃんは、美樹に向かってこう言い出したのでした。
「お姉さんのおっぱいかなり大きいねえ。」
さすがに、これには俺も唖然としました。
本当に小さい人畜無害そうな爺ちゃんがニコニコしながら尋常ではない声掛けを美樹にしたのですから。
「あ、ええ?」
これには美樹もたじろいでいます。
「おいおい、○○さん。やめろよ。」
他のオヤジのひとりがこのじいちゃんを止めようとします。
「なーに言っているんだい。お前だって、この姉ちゃんのおっぱい見たろうが。お相手してみたいって言っていたじゃないか。」
そう言って反論します。
「ちょ…ちょっと、○〇さんも、まじでさぁ、やめてくれよー。いやあ、お客さん本当に申し訳ないです。このおじいちゃん、ちょっとね…」
このじいちゃんの台詞を聞いた従業員が二人の間に割って入り、爺ちゃんを美樹から遠ざけます。
そして、美樹には、「このお爺ちゃんは、ちょっとおかしいのです」と言わんばかりのジェスチャーをしながら、謝っています。
「あ、はい。大丈夫ですよ。」
美樹は、従業員にそう答えましたが、やはり気にしたのだろうと思います。すぐに席を立つと、飲み物を買いに自販機の前に来ました。
「あ、上がっていたんだね。」
ここで、俺が初めて気が付いたかのように声をかけます。
「あ、ここにいたのですか。まだ上がっていないのだと思っていました。」
「うん。俺も、ここで美樹を待っていたら、さっきトラブルがあってね。美樹が出てきたのに気づかなかったよ。」
「トラブル?ああ。さっきの女の人?」
「うん。あ、美樹も見ていたんだ。」
「ええ、ちょうどお風呂から出てきた時に」
「そうかそうか。」
500円玉を入れた自販機が買うものを指定してくれとプッシュボタンがピカピカ光っています。
「ところで、何を飲みますか?」
美樹が尋ねてきます。
「お!ご馳走してくれるの?じゃあ、そうだね。コーラにしようかな。」
「コーラですね。あたしは何にしようかな…」
まずは、コーラが先に商品搬出口にガランと落ちてきました。
続いて乳酸菌飲料が落ちてきます。
美樹はそれを取り出し、コーラを私に向けて差し出してきます。笑顔で…
「はい。ご要望のコーラですよ。」
周囲のオヤジたちの視線を感じます。
(こいつが、この女の連れだったのかよ。)
まるでそう語っているような視線でした。
私たち二人はフロントの方を向いて小上がり座敷の端の床に軽く腰をかけて座ります。
(そうだよ。お前らが相手にしたいだの、抱きたいだのと言っていたエロい身体をした女は俺の女なんだよ。)
と、思わず口にしたくなるようなとてつもない優越感が体の中から込上がってきます。それを言葉にしてしまわないように必死に抑える必要がある位のものです。
美樹に買って貰ったコーラを飲みながら、自分に羨望の視線を向けてくるオヤジ達に視線返しをします。おおよその人は目線を外してしまいますが、それがまた私の優越感を上昇させるのです。
「美樹、そろそろ出ようか。」
コーラを半分程飲み終えて、それなりに喉を潤した私は、美樹にそう提案しました。
「そうですね。」
「あ、そうだ。今日はちょっとしたプレゼントがあるんだよね。車に行ったら渡すよ。」
「え、本当ですか?何だろう…何か楽しみ~」
そんなことを話しながら、フロントの前を通り旅館を出ていきます。
「有難うございました」
と、従業員の方から声を掛けられたので、(こちらこそ、どうもありがとう。)という意味を込めた会釈を一度して宿を出ました。背後には相変わらず皆からの視線を感じていました。
車に乗り込むやいなや、助手席から美樹が抱きついてきます。
「どうしたの?」
「うん。何か、ぎゅーってしたい気持ちになっちゃって…」
そうでしょう。彼女から聞いた話によると、中学時代から成長が華々しく、中学、高校時代におっぱいお化けと陰で言われ続けていたていた美樹です。こと、148cmのこの小さな躰に似つかわしくない豊か過ぎるバストにコンプレックスを持っています。風呂を覗かれてその品評を受けていたという事は知らないとしても、宿のロビーで、自分の胸の事を指摘されたわけですので、それを気にしていない訳がありません。
「でね?車に乗ったら無性にあきさんとチューしたくなって…」
「あはははは。相変わらず美樹は言い方が可愛いねえ。」
そう言いながら、私はSUV車のエンジンをかけます。
「でも、今ここでチューなんてしたら、他の人に見られちゃうかもよ。出口の正面だし。」
「あきさんは嫌ですか?見られるの。」
「いいや。美樹は平気なの?」
「うーん。平気じゃないかもですけれど…でも、見られちゃうのも、ちょっといいかも。」
そう言いながらも頬を赤らめている気がします。
(本当にもう、もうすぐ30って歳なのに甘え口調で…第一、いいかもって何だよ。)
そう思いながらも私も男、相変わらず積極的な美樹の台詞に半勃起しながらチューなるものをします。
でも、最後まで美樹には翻弄されません。何故ならば、今日はこちらから仕掛けるものがあるからです。
しかし美樹の最近のチューはチューなどという代物ではなく、必ず濃厚に舌を絡めるディープキスになっています。よって、瞬間的に簡単に終わるものではありません。
幸運な事にと言いますか、残念な事にと申しましょうか、美樹風チューの最中には誰も人は来ませんでした。
「あー、おいしかった。」
美樹が助手席でそう言いましたので、私は、
「美樹のチューで俺の生気吸われている気がしてくるなあ、特に最近。」
と言ってみると
「そんなあ、精気吸っちゃったら、このあとH出来なくなるじゃないですかあ。」
と返されます。
「おいおい、そっちの精じゃねえよ。生きている気の方だよ。」
「あはは。そっちでしたか。でも、後で、私が言った精気も吸っちゃうかもですよ。」
そう悪戯っぽい笑顔を浮かべて言います。
「それはそうと、美樹。プレゼント、プレゼント。」
そう言って、茶色に着色された厚手のビニール袋に入れたものを渡します。
中身はピンクのシースルーショーツです。股間には、それを脱がずに肉棒や器具などを入れることができる様に中央に布の合わせ目があるものです。
「すっごいスケスケですねえ。いやらしいなあ。」
興味津々で見ています。
「美樹それさ?」
「はい?」
「今、履き替えてよ。」
「ええ!今ですか?」
「そう。スカートだから簡単でしょ?」
「そうですけれど。」
返答にちょっと時間を置いた美樹でしたが、スカートの中に手を入れて腰を浮かせるようにしながら、今履いているショーツを脱ぎ、それをくるくると丸めてバッグに入れると、今私が渡したセクシーショーツに履き替えます。また、同じように腰を浮かしながら。
「どう?」
「あー、やっぱり生地が薄いからかなあ、何かスースーしますね。でも…」
「でもなに?」
「あー、なんか、Hっぽくっていいです。」
「そうかい。でも、まだあるんだよ。」
私は、更にもうひとつの厚手のビニール袋を渡しました。
その中には、セクシーブラジャーが入っているのです。色は、ショーツ同様薄いピンクです。
「これもすごいですねえ。なんか布の面積がものすごく小さいですし。」
美樹がまた目を輝かせながら手に取りそれを見ています。
「美樹、今ブラジャーしているの?」
「え、ええ。していますよ。普通に…」
私が渡したセクシーブラを手にしながら私の方を見つめます。
「ブラもそれに着替えてよ。」
「ええ!ここで、ですか?」
「そうだよ。だって、それを着た美樹を見てみたいもの。」
恐らく、先ほどショーツを替えさせられた時にこれは予測していたと思われます。
そして、今現在の美樹ならば、私が言うこの言葉を断ることはしないはずだと思っていました。
「はい。わかりました。でも、あきさん。車走らせてもらえませんか?」
はい、私はそのセリフも予測しておりました。
本当ならば、美樹の負担を軽減させるために車を走らせたいところですが、それをしてしまっては、今回のこの流れに反してしまいます。
「ダメダメ。こんな山道を運転しながら美樹の着替えを見ていたら、事故っちゃうじゃない。だから、ほら、早くぱっぱと着替えちゃおうよ。」
こう言ったのでした。
美樹は、今つけているブラのバックホックを外したあと、一生懸命ブラウスの中からブラジャーを引っ張り出そうとしています。ブラウスを脱がずにブラ抜きをしようと思ったのでしょう。
しかし、今の美樹は風呂上がりであり、まだまだ体が湿っています。そう簡単にブラウスからブラジャーが抜ける訳がありません。
「ああ。脱ぎづらい」
そう美樹が呟きました。
「美樹、ブラウスを脱いじゃったほうが早くないか?」
そう提案します。
美樹はそれを聞いて覚悟を決めたのか、ブラウスの前ボタンを外し始めました。そして、それを脱ぎにかかりますが、やはり体が湿っている分だけ、脱ぐのに手間がかかります。
面白いほどブラに包まれた豊かすぎる両乳が揺れています。
「ほら、美樹、早くしないと、宿からお客さん出てくるかもよ。」
そう声を掛けたのは、美樹がブラジャーを脱ぎ、セクシーブラを付け始めた時です。
セクシーブラのカップ中央にはスリットが入っており、両方から引っ張りすぎると乳首を隠すカップがスリット沿いにパックリと口を開け乳首が露出してしまうシロモノです。それを一生懸命付けようとしています。
「ダメェー。このブラ、小さい…」
美樹が騒ぎます。
そうです。美樹の標準ブラは65のGかHの大きさです。
今、つけようとしているのは以前に付き合っていた65Eだった彼女が、付けたあとに「これちょっと小さいかも」って言っていた代物とほぼ同型のものなのです。
アンダーは若干大き目のものとは言え、カップが小さく設定されている分、納まり辛い筈です。
しかも、事前にバックホックの留め金をちょっと細工して変形させることによって入りづらくしています。
「あーん、ホック留まらない。」
美樹が必死でブラを締めにかかったり緩めたりとしている作業で、時折そのセクシーブラから乳首が見え隠れしています。
そんな美樹の苦悩をよそに、私が待っていたものが来ました。そうです。あのオヤジ達が出てきたのでした。
「美樹、さっきのオヤジ達が出てきたぞ。」
「えっ!」
美樹は私の言ったことを確認するように、顔を上げました。
「早く早く。早くしないと、バレるぞ?」
その時、恐らく、宿の出入口から出てきた彼らの目に入ったものは、真正面の位置に宿に向かってエンジンをかけながら停車していたSUVであり、その車内の助手席では、ほぼ裸同然の女がこちらを向きながら一生懸命怪しげなブラをつけようとしているという光景だったのだと思います。
(続きます。)