「秋男、、、」
秋男「なんだよ~三月。こんな時間に電話してくん、、」
「沙織がレイプされた」
秋男「な!」
「相手は、沙織の課の課長らしい。分かるか?」
秋男「、、、野田か」
「野田って言うんだ。ありが、、」
秋男「待て!三月!今からそっちにいく!自宅だな!自宅なんだな!いいか!絶対に動くなよ!!」
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時代はギリギリ携帯電話が普及していなかったくらいの頃。コンプライアンスや個人情報保護がやっと頭を持ち上げてきて、企業と裏社会のつながりも問題視され始めた頃。
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異業種他社の悪友である秋山秋男は宇◯宮に、秋男の後輩で俺の妻の沙織は名◯屋に転勤となったその年の夏。遠距離夫婦になっていた俺達に最大の試練が襲いかかった。
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課の暑気払いの二次会。ウワバミなはずの沙織は突然前後不覚に陥り、気がつくとホテルで課長に身体中を弄ばれていたそうだ。
思うように動かない身体、信じられないくらい敏感になった身体に二回の中出しを許してしまった沙織はそれでも一瞬の隙をついて逃げ出した。
沙織の凄いところは課長の荷物も根こそぎ持ってきたこと、その足で躊躇無く名◯屋から埼玉の俺のところにタクシーで真っ直ぐ逃げ帰ってきたこと。
課長の荷物には盗撮用のビデオカメラが仕込まれていた。
それと、、、恐らくは薬物のものと思われる、、、
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【三月サイト自宅(埼玉)】
「秋男がこっちに向かってる。宇◯宮からだから車でももう少しかかるだろうけど、あいつになら相談しても良いよな」
沙織「みっちゃん、、、」
電気もつけないリビングで泣いていた沙織の瞳が妖しく光る。
沙織「みっちゃん、、、お願い、、、」
「さ、、沙織?」
沙織の身体から妖艶なメスの匂いが立ち上ってくる。
沙織「抱いて、、」
「沙織、、、」
沙織「お願い、、、あたしをみっちゃんで染め直して、、、」
舌を出した沙織の顔が近づいてきて、、
「駄目だ!!」
沙織「、、、みっちゃん、、やっぱり汚れたあたしは抱けないんだね(涙)」
「そうじゃない!」
沙織「じゃ!なんで!!」
再び泣き出した沙織。
「沙織、お前は、、、お前は薬物の影響下にある可能性がある。そんな時にセックスは駄目だ」
沙織「薬物って、、、薬物って何、、?」
「おそらく覚醒剤」
沙織「やだ!!」
沙織がパニックになる。
沙織「やだ!やだよ!助けてみっちゃん!」
「助ける!必ず助けるから!沙織!!」
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結論から言えば、この時の俺の判断は間違っていた。この夜、無理にでも沙織を抱いておけば良かったんだ。そうしなかったばかりに沙織は、、、。
でも、そんなこと、この時点の俺には考えつかなかったんだ。
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、、、眠れぬ夜は、始まったばかり。
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【三月サイト飯田橋警察病院看護センター】
秋男「電話して悪いな、三月」
「いや、ちょうど沙織は検査中だ。まだしばらくかかる」
秋男「じゃ、駅前に来れるか?今、松下部長と一緒だ」
仕事のあらゆるつてを使って、潜り込んだ警察病院。昨日から眠れていない沙織に鎮静剤を使って貰い、そのまま検査して貰っている。
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【三月サイト喫茶店】
「松下です。この度は本当に申し訳ない」
松下さん。秋男や沙織、達也たちの東京時代の上司。
松下さんの謝罪に右手がピクピクと震えてしまう。落ち着け!堪えろ!秋男が連れてきたんだ。この人は基本味方のはず。
だけど、事態は最悪の方向に向かってしまった。
「松下さん、秋男。ご足労ありがとうございます。でもここまでです」
秋男「三月!何言ってる!」
「あなたがたは企業人です。今回は会社を守る立場になる」
松下「何があったのですか」
「沙織の身体から覚醒剤の反応が出ました。沙織が持ち帰った野田の荷物の中からも」
秋男「な!」
「これはもう、普通の不倫とかレイプ事件の枠を越えました。こちらが本気で動く場合、あなたがたの会社の屋台骨を揺るがしかねないスキャンダルになる可能性があります」
秋男「、、、、、」
「僕は許せない、、、全てのつてを使ってでも復讐します」
秋男「三月!」
松下「桂木さん、心中お察し致します」
「痛み入ります」
松下「桂木さん、あえて、、、あえて、、お願いいたします。1日だけ私に貰えませんか?」
「、、、、」
松下「あなたのつてがどれほどのものか、私も秋山から伺っています。本来なら止める筋など無いのも重々承知しています。でも1日だけ時間を頂けませんか?あなたに納得して頂ける結果になるよう努力致します!」
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【三月サイト飯田橋警察病院】
「沙織に使われた覚醒剤な、、一発で中毒になりかねない量だったらしい」
秋男「、、、、」
「なんでこんなことになるのかな?そりゃ沙織は魅力的なのかもしれないけど一般人だぜ?そんなに他人の女が良く見えるのかな」
秋男「、、、、」
「俺達は特殊なことなんて、何も望んでいない。寝取られ?スワップ?糞食らえだ!」
秋男「三月、、、」
「秋男、、、なんか動いてないとさ、、気が狂いそうなんだよ、、、!」
秋男「三月、、、悪い!でも松下さんは信頼出来る人だ。1日だけ待ってくれ。それで松下さんがお前の納得出来ない答えを持って来たら、俺も、、俺も会社辞めてお前と一緒に戦うから!」
「、、、、、」
秋男「三月!」
「沙織に、、」
秋男「、、、」
「沙織に付き添ってくるよ」
秋男「三月、、、」
「また、、明日な、、、」
秋男「ああ、ああ三月!また明日!」
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眠れない、、、眠れない夜はまだ続く、、