本科の9月。人によってはもう来年の事務所所属オーディションのために動く時期だ。
すうも注目されていて、それ故に彼女の20歳の誕生日に飲み会が開催されることになった。
なぜかSは来ていなかった……この時は思いもしなかったが、あたるちゃんを抱いていたのだろう。
あたるちゃんと会ってる会ってないで、すうと揉めていることがあった。結局そのまますうを犯してそそくさと帰るのでナアナアだが。
すうは酔うと案の定ふにゃふにゃで、エッチな話題も返すようになった。
中学の時に太っていていじめられたので自分磨きをがんばり、高校入学時には自分をいじめていた男の子に告白されてフッてやったこと。
高校の電車通学で毎日痴漢されていたので卒業したら電車使わないようにすると決めたこと、先生にセクハラされていたこと、高3で同級生にレイプされそうになったこと、誘拐されそうになったこと……。
芝居の話より明らかに男子の食い付きがいい。
すうの揺れまくる胸やフリフリのミニスカート越しに分かる大きなお尻を、近くで呑んでいた土方っぽい、ガラの悪い20~30歳くらいの4人組のヤンキーがじっと見ていた。
そして俺たちが帰り支度をしている時に、リーダー格と思われる、30歳くらいのヤンキーが何かを話しながらすうの顔をじっと見て店を出た。
「大丈夫だよ〜。すう1人で帰れるも〜ん」
千鳥足のすうは心配だったが、とにかく人が家に来るのを極端に嫌がるので誰も送らなかった。歩いて10分もかからない距離なのもある。
ただ、俺はなんとなくみんなと別れたあと、すうのマンションに向かって歩き出した。
本当になんとなくだが、すうが近道となる一方通行の路地に入ったのを見て、周囲を見渡せる雑居ビルの非常階段を駆け上がった。
そして、見た。
ゆっくりとすうに力づく黒のワンボックス。
それがすうの横を通り過ぎる瞬間に、ドアが勢いよく開き、中からあの4人組にいた金髪が飛び出し、すうをワンボックスの中に引きずり込んだ。
「え、あ」
すうはそれしか言えなかった。
走り去るワンボックスを追おうとして一旦待ち、ビルの1番上から車の行先を見極めようとした。
すぐ先の山に向かっているようだった。
俺は全力疾走し、たぶん1時間くらいかけて山に入った。どう探せばいいのか分からず虱潰しに探した。
勃起が痛くて邪魔で、どうせ誰もいないと思ってテントを張ったズボンからチンコを取り出し、生温い風に揺らしながら走った。
日付が変わったくらいに、ようやくあのワンボックスを見つけた。
そっと、慎重に、木の陰に隠れて近づく。
窓から中が全く見えない。ただ、ギシギシと揺れていることだけは分かった。
……周りが明るくなり始めた頃、いきなり扉が開いて、胸をはだけ、パンツが片足に引っかかった状態のすうが降りてきて、四つん這いになって倒れ込んだ。
彼女の髪は白い液体にまみれてカピカピになっており、顔も、肩も、胸も、脚も、ベットリと白いモノがこびり付いていた。
そして濡れたお尻の内側……マンスジはパックリ開いて、中から「プピッ、プリュッ」と、白濁液が噴き出していた。
「おえええ!」
すうの口からも、同じく白い粘液が大量に吐き出される。
「ギャハハ!」
と笑って、金髪ヤンキーがドアを閉めると、車は走り去っていった。
俺は呆然としていたが、人の気配を察したのか、すうがゆっくりとこちらを振り返った。
「……………………」
眠そうな、怠そうな、もうどうでも良くなったような顔で俺を見て何かパクパクと言い繕おうとしたようだったが、俺の丸出しの股間とそこから垂れる精液を見て、汚物を見る目で顔を歪めると、パンツを履き直して歩いていなくなった。
それ以降、すうが俺に話しかけてくることは二度となかった。
ただ、あの黒いワンボックスをよく見かけるようになったし、Sが「またオーディションかよ!」と怒鳴るくらい、すうはオーディションがあると言って家を空けることが増えた。
週に3回もオーディションがあるものだろうか、まだ学生なのに。
そして、すうがずっと何か悩んでいるような顔になって……あの山での事件から3ヶ月ほどが経って、冬休み目前。
すうの部屋に、ツナギを着たあの金髪ヤンキーが入ってきた。
「おーっめっちゃいい匂いすんじゃん」
「ちょっと……Sみたいなこと言うのやめて」
2人は恋人のようにピッタリくっついていて、俺は何が何だか理解できなかった。
「じゃあ書こっか」
男がカバンから何か書類を出した。小さくて画面ではよく分からない。
「……本当にSを消して、あたるちゃんのこと助けてくれるの」
「おう」
男は面倒臭そうに答えるとタバコを吸い始めた。
「あと、もう輪したりしないで。本当にキツいの」
「分かってるよ。お前が俺だけの物になるならもう手は出させねぇ。アイツらは他のセフレくれてやってるから。Sの野郎潰す報酬込みでな」
すうは考え込んでいる。いや、もう決めているのに腕が重いのか。
「なぁ、すう。俺は本気なんだ。セフレ全員切ってでもお前を他のヤツに渡したくないんだ。母ちゃんからもいい加減落ち着いて欲しいって言われてるしな。結婚なんて面倒なだけだと思ってた。お前に出会うまでは」
男が服を脱ぎながら、すうを後ろから抱きしめる。股間を擦り付けているようだ。
すうの顔が赤くなり、大きく息を吐くと、書類に何かを書き込んで、棚から印鑑を取り出し書類に捺印した。
「あんたのモノになる……私をKくんのお嫁さんにして」
あの書類は、婚姻届だったのか。
Kくんと呼ばれた男は、ニヤッと笑うと何か錠剤を取り出した。
「もっかい飲んどけ」
「え……オーバードーズになるんじゃ」
「いいだろ、結婚記念だよ」
すうは逡巡した後、その薬を一気に飲んだ。
そして男が、Sと全く同じように……すうの唇と生殖器、2つの粘膜で密着した。
「この顔も!この胸も!この尻も!このマンコも!全部俺のモノだ!」
どちゃどちゃと、肉がぶつかり粘液が糸を引く卑猥な音が続く。ただSの時と違ったのは、
「あんっ♡あっ♡あぁん♡好きぃ、好きぃ、中に出してぇ」
すうがひたすら甘えていたことだった。
「俺は中出ししかしねぇって分かってんだろ!おおおっ!」
「あっ、あぐぁぁぁ……出てる……ビュクビュク出てる……」
Sのように6回も7回もはしなかったが、抜かずの3連発をした後、たっぷり30分くらい繋がったまま余韻を楽しみ、小さな声で2人だけのお喋りをして、「ぬちゃ……」と湯気が出そうなチンコをすうの中から引き抜いた。
「待ってろ。Sぶっ殺してあたるちゃん助けてやるから」
そう言って仰向けに寝るすうのおっぱいの谷間に腰を下ろす。
すうは何も言われずとも胸でKのチンコを挟んでパイズリしながら先っぽを咥えて吸い上げた。
「ちゅるるる……ぢゅるっ」
……そして、冬休み目前。12月23日。
あたるちゃんからLINEが来た。
「あたるのことどう思ってますか」
俺は、今考えてもなんでそう思ったのか、ガッついてると思われたくなくて「どしたん笑」と返してしまった。
既読はすぐについた。返信は3日後、12月26日の昼だった。
「女の子は特別扱いしてあげなきゃダメだよw」
あたるちゃんじゃないと直感で分かった。それからすぐに、1分弱の動画が届いた。
暗くてよく分からないが、腰のクビレを左手で掴まれた女の子の丸いお尻に、岩のような肌が叩きつけられている映像のようだった。
「あっ♡あっ♡好き♡好き、Kくん大好き、すうちゃんと別れてあたると付き合って♡」
「そうだなー、あたるちゃんが先に俺の子供産んでくれたら考えよっか」
「Kくんの赤ちゃん欲しい♡ずっと一緒にいてっ♡」
「家族になろうね〜、愛してるよあたる」
「あああ、あたるも愛してる、愛してる♡あたるを助けてくれた王子様♡大好き♡」
そこで動画は終わった。
すうの部屋にSが来ることは無くなり……学校に来ることも無くなり、年明けすぐにすうは引っ越した。俺の盗撮カメラ入りのぬいぐるみも、捨てられて2時間ほどで充電が切れた。
冬休み明けにすうが退学したことはちょっとしたニュースになり、彼女と仲の良かった数人だけは多少話を聞いていたようだ。
…………それが10年前のこと。
俺はPAとなり、声優アーティストのそこそこ大きいライブの班を纏めるポジションになった。声優にはなれなかったけれど、これはこれで満足している。
同窓会には、今も俺みたいに色んな形で業界に関わっているヤツがいた。そんな数人で二次会に行き、すうの話になった。
特にすうと仲の良かった子だ。子、といっても俺やすうと同じ、もう30歳になるけれど。
彼女の聞いた内容と、俺のあの出来事をまとめて、推察も大いに混ぜるとこうだ。
…………すうは10歳上の彼氏と電撃結婚した。束縛の強い彼なので学校も辞め、夢もあきらめて主婦になることにした。
子供が7人できて、かなり生活は苦しかった。
そんな折に、旦那が別の女……しかもすうより7歳も歳下の女に2人も子供を産ませていたことが発覚。借金苦ですうの親に泣きつくことになり、すうの両親は大激怒。
揉めに揉める内に、すうが結婚してすぐに産んだ女の子が、旦那と血が繋がらないことが判明した。
どういう話し合いになったかは不明だが、1人だけ違うのは可愛そうだからと旦那がその娘を引き取り、離婚。
旦那はすうと離婚して早々にその不倫相手と再婚したらしい。
つまり……Kは40歳にして、30になった妻のすうを捨て、血の繋がらない10歳の娘と、あたるちゃんという23歳の新しい嫁を手に入れたのだ。
すうは精神を病み、入退院を繰り返しながら実家暮らしをしているという。
俺は、2人のLINEを久しぶりに見た。
すうに「好きでした。ごめんなさい」
あたるちゃんに「好きだ」
と、送った。
既読は、今もつかない。