バイトをしながらピアニストを目指す音大生の僕は、ある日の早朝、深夜のバイトを終えて帰宅した。
マンションの一階に住んでいた僕は、バッグの中から部屋の鍵を出そうとしていたがなかなか見つからず、少し部屋のドアの前で鍵を探しているとコツコツと階段を下りてくる足音。
何気なく音の方に視線を向けると、僕の目はその音の主に釘付けになった。
育ちの良さそうな品のある顔立ち。清楚なロングスカート。
目を離せないでいる僕に彼女は
「おはようございます」
と挨拶をした。
イメージ通りの綺麗な声と、輝く笑顔・・・一瞬で僕は彼女に惚れていた。
仲良くなりたい・・・付き合いたいとかおこがましくて、ただ時々マンションで会った時にお話できるくらいの関係にはなりたい。
そんなささやかな願いも叶うはずなく、僕の気持ちはだんだんと歪んでいった。
ある日の朝、久しぶりに彼女を見かけた。
彼女はそんな僕の思いなど知る由もなく、またあの輝くような笑顔で挨拶をしてくれた。
その時、彼女は小さなビニール袋を持っていた。
そしてマンションのゴミ捨て場にそのゴミを捨ててからどこかに出かけて行った。
僕は、心がゾワゾワと揺れるのがわかった。
そして、高鳴る心臓を抑えながらそのゴミ捨て場に向かった。
震える手でそのゴミ袋を自分のバッグに詰めると、急ぎ足で部屋に帰った。
罪悪感と興奮入り混じる中、僕はゴミ袋の中を広げてみた。
レシートやティッシュのようなゴミにまじって、宅配便の伝票が出てきた。
それを広げてみると、あの清楚な、綺麗な彼女の名前が判明した。
篠田史子(仮名)、彼女の名前だ。
すぐにインターネットでその名前を検索すると、たくさんの彼女の写真が出てきた。
なんとプロのピアニストとして活躍しているようだった。
Facebookなどからたくさんの画像を集め、じっと眺めていると、なんだか彼女と少し近づいた気がした。
味をしめた僕は、それから毎回史子さんのゴミを持ち帰り、漁るようになっていた。
使った後の生理用のライナーや、パンストなどを収集し、狂ったように自慰に耽る毎日。
そんなある日、史子さんの実家からと思われる荷物の伝票がゴミに紛れていた。
送り主はお母様。
そこには見慣れた篠田史子という宛名ではなく、斉藤史子と書かれていた。
ん?どういうことだ?
事態がつかめない僕は、インターネットなどを駆使してその真相を知る。
彼女は結婚してしまったようだった。
彼女のTwitterにはその事を報告するようなツイートがあった。
もちろん、自分のものになるなどとは思っていなかったが、どこかでワンチャンスくらいはあるのではないかという淡い期待もすべて砕け散り、歪んでしまっていた僕の史子さんへの思いはもう、取り返せないほど壊れていた。
もはや憎悪の対象ですらあった。
しばらくして、史子さんのゴミの中に引越しの見積もりを見つけた。
つまり、旦那さんの元へ引っ越す準備をしている、ということだった。
僕はこの頃、いっそ史子さんに死んで欲しいとすら思うようになっていた。
完全にイカれていた。
ある日の夜、僕は自分の部屋でぼーっと空間を眺めていた。
恐らくこの部屋と史子さんの部屋の間取りはほぼ同じ、ということは、玄関のドアから正面にリビング。
その間に防音の重いドアが一枚。
この防音のドアは、本当に重いので、楽器を弾く時以外は開けっ放しの人が多いだろう、史子さんもきっと開けっ放しのはず。
史子さんの部屋を覗きたい!
そう思った僕は、自室のドアをくまなく調べ、ドアの外から中を見ることができないか考えた。
普通、そんな隙間や穴などあるはずもない。
だがしかし、1つだけ可能性があるものがあった。
ドアスコープである。
中から外を見るためのスコープだが、それならば外から中だって見えるんじゃないか・・・そう考えた。
引っ越してしまうまであまり時間がない・・・それまでにどうしても・・・旦那さんしか見ることが出来ないであろう彼女の裸を見たい・・・あまりにも歪んだ欲望に突き動かされるまま色々な方法を試した。
双眼鏡を逆さまに使うと、顕微鏡のような効果を得られ、少しは中が覗ける事を発見した。
しかし、ワンルームのマンションなら充分な効果を得られるとしても、玄関のドアから部屋まで少し距離のある史子さんの部屋では無理だろうという結論にいたった。
そこで、とてもリスキーではあるが、ドアスコープを外してしまおうと決心した。
何度も自分の部屋のドアスコープで練習をし、素早く取り外せるようになった僕は、史子さんの帰宅を待っていた。
彼女がお風呂に入っている間にドアスコープを外して、出てきたところを肉眼で見る。
ビデオカメラも用意していた。
そして、その日の深夜2時ごろ、史子さんが帰宅してきた。
心臓が高鳴る・・・手も震える・・・史子さんの部屋の前でしばらく待つと、ガス給湯器の動き始める音。
ついにその時がきた。
震える手では、練習ほどスムーズに外せなかったが、お風呂に入っている間には問題なく外せた。
なんとも言えないドキドキを感じながら、ドアスコープがついていた穴に目を近づける。
少し近づくと、いつも彼女のゴミ袋からしていたラベンダーのような匂いがした。
おそらく彼女の好きな匂いなのだろう。
そしてついに、彼女の部屋を覗くことに成功した。
ほどなく、タオルで髪を拭きながら史子さんが出てきた。
僕の部屋と同じならば脱衣所もあるはずで、もしかしたら服を着てでてくるかもという懸念を抱いていたが、彼女は全裸だった。
清楚な顔なのに胸は大きく、意外にしっかりとした乳首や乳輪まではっきりと見えた。
陰毛も清楚な雰囲気とは似つかわしくないほど、しっかりと茂っていた。
ものすごい興奮で、ノータッチでも射精しそうなほどであったが、なんとか震える手で映像にも収めた。
夏の暑い日であったので、しばらく全裸のまま化粧水や乳液などを塗っていた。
時間にして5分ほどだっただろうか、下着を穿き、パジャマのようなものを着て、僕の視界から消えた。
なんとか録画ボタンを止め、勃起で歩きにくい中自分の部屋に戻った。
僕のパンツはぬらぬらと我慢汁で濡れていた。
信じられないくらい興奮していたようだ。
史子さんの旦那しか今は見れないであろう裸を目と映像に焼き付けた僕は、自分の男根を触ってみた・・・触った瞬間、ものすごい勢いで射精した。
ここ何ヶ月かの欲望を満たした満足感と、とんでもないことをした罪悪感、複雑な気持ちのままその日は寝た。
あれからもう4年ほど経つが、今でもその時の映像ほど興奮するものはない・・・。
Twitterなどを見ると史子さんには子供が生まれ、とても幸せそうな人生を送っている。
でも彼女は知らない。
こんなに歪んだ感情で、未だに彼女の事を愛し、毎日射精している男がいることを・・・。