大学生になったばかりの頃、少しの間だけオタク系のサークルに入っていたことがあります。女子部員は少なくて、一年生は私の他に一人だけ。先輩には五人くらいいますが、ほとんどは幽霊部員でした。
最初は同性が少なくて不安でした。しかし徐々に、ちやほやしてもらえるし良いこともあるなあ、と思うようにもなっていました。
そんなある日、部長が私に提案しました。
「コスプレの衣装があるから、ちょっと着てみない?」
部室には、学園祭で出し物をした時に使った衣装がしまってあるとのことでした。その衣装は、私の好きなアニメキャラが着ているものでした。
コスプレに興味はありましたが、私は少しためらいました。なぜなら、その衣装はかなり露出度が高かったからです。
魔法少女風のドレスで、肩から背中にかけて素肌が見えています。
「絶対似合うと思うよ! 可愛いから着ようよ」
と、部長が言いました。
「……うーん、じゃあ、ちょっとだけ」
私はおだてられることに弱く、了承してしまいました。高校までずっと女子高に通っていたので、男子に耐性がなかったのです。
着替える段階になってから、私は困惑しました。
背中や肩が空いているので、下着が見えてしまいます。それは恥ずかしいので、ブラも脱ぐことにしました。胸の部分にはカップが付いていたので問題はないと思ったのです。
今思えば、下着が見えるくらいは我慢しておけば良かったです……。
私が着替えてから出てくると、
「おおーっ!」
と男子たちが歓声を上げました。
正直、その反応は気持ち良かったです。部室にはまだ女子が来ていなかったので、私以外には男子だけ。
男の子たちの視線を独り占めすることは、今までに体験したことのない快感でした。
「ポーズを取ってみて」
というリクエストに、私はノリノリで応えました。
その時でした。
私の背中で、ぱきっ、という音がしました。
えっ? と思ってしばらくは、何が起きたのか分かりませんでした。私がそれに気づいたのは、男子たちがみんな、私の体のある一点を注視していたからです。
なんと、私の着ていたコスプレ衣装の背中の留め具が壊れ、服が胸の下までずり落ちてしまっていたんです。
男子は私の胸をじっと見つめていました。
「きゃあああっ!」
すぐに胸を隠して後ろを向きましたが、後の祭り。大勢の男子に見られました……。その後、私は急いで私服に着替えると、すぐに帰宅しました。
翌日、女の先輩から驚くようなことを言われました。
私の着た衣装の部品は、かなり前から壊れていたということです。ポロリの危険性があるから誰も着ないまま放置されていたのだとか。
男子たちはそれを知った上で私に着せたということです。そうとも知らずに、私はまんまと策にはまり、ポロリしてしまったということです……。
その件について部長に問い詰めても、
「ああ、忘れてた。ごめんごめん」
と、はぐらかすだけでした。
そんな出来事もあって、私は不信感からサークルを辞めてしまいました。これからの大学生活に胸を膨らませていた頃の、苦い思い出です。