その日、私は美容院へ行き忌々しい癖っ毛を少しはマシにすると
デパートで流行りのセーターとスカート、黒色の下着とガーターベルトを買った。
諭吉さん三人分の出費、無職になってから最大の無駄使いである。
眼鏡も何とかしたかったが、自分の地味顔を思い出し
財布にブレーキをかけた。
家に飛んで帰るとお風呂に入り、念入りに洗うや値札を剥ぎ取りながら買ってきたばかりの下着を身につけた。
あの日以来、私はエロ同人誌ではイケなくなってしまった…
お気に入りのキャラクターの絡みを眺めながら股間をまさぐっても
知らぬ間に心は、あの真っ暗な山奥の資材置き場に飛んでしまう。
そんなこんなで悶々と過ごしていた私に
件の彼から電話が入った。
行きずりの相手だとしか思っていなかったので彼からの電話は意外だったが
体の火照りを鎮めたい私からしたなら好都合だった。
また会いたいんだそうだ。
彼から電話が無ければ風俗にでも再就職を考えたが鏡台に映る自分を見て再就職の夢は終わった。
が、少しでもメリハリのある顔にすべく化粧もしてみる。
どうせ、都合の良い性欲処理の相手だとでも思ってるんだろう。
なら、私も精々楽しませてもらうとしよう。
お菓子を用意しお茶のお湯が沸いた頃に彼は来た。
いや、彼等は来た。
「あ、突然すいません…」
一人は、彼である。
普通と言う字を擬人化させたような男だ。
だが、オチンポは大きい…
彼等の方は、如何にもスポーツマンでガタイの良い男だった。
もしや、二人に輪姦されちゃったり…な期待は三人目で崩れた…
「はじめまして、皆子と言います」
可愛らしい女がそこに居た。
気紛れで抱いただけの女に友人紹介とか
コイツ何を考えてるんだろう?
私は彼をジトッと見る。
「いや、温泉行こうって話でさ」
いやいやいやいや、そんな恋人の関係じゃないだろ?
私はアンタの名前、運転手さんとしか記憶してないゾ?
「コー君の実家、温泉宿なんですよ~」
スポーツマンはコー君
多分、彼女さんが皆子さん
で、君が運転手な。
「しっかし、お前にこんな可愛いい彼女居たなんてな!」
コー君が運転手君の肩を叩いた。
「で、温泉なんだけど来ませんか?」
皆子さんが愛くるしい顔で聞いて来る。
いや~今さっきお風呂入ったばかりなんで風呂は間に合ってますわぁ。
「佳奈子さんが一緒にモデルやってくれたら心強いんで~」
モデル?
何の話だろう?
「なんだよ、お前言ってないのかよ?」
コー君が不満気に運転手を見た。
君らが来るってのすら聞いてないからね。
スポーツマン、コー君の実家は山奥の温泉宿だが知名度が低く
今一、客の入りが良くない。
そこでパンフレットを一新する事にしたそうだ。
特に温泉の写真は、かなり冒険したいらしく
息子の彼女に白羽の矢が立ったわけだ。
際どい写真となるようで参加してくれるなら宿泊費は無料。
それどころか謝礼金も出る。
「あ、別に良いですよ…うん、暇ですから」
私は目を輝かせて快諾した。