既に18年も昔の話だけど、俺の屈辱的な体験談を聞いてくれ。
俺、俊は婚約者の郁子とともに大学の先輩に誘われ、湘南の瀟洒な別荘にいた。
当時勤めていたのはTV番組制作会社の下請けで、偉ぶった業界では大物とされる連中に扱使われる日々だった。
けど、多士済々の業界でも、大手広告代理店の営業職にいたその人―――ここでは亀頭さんとしよう―――ほどの変態はざらにはいないだろう。
マジで女好きということから、彼にはこの綽名がついていたらしいが、俺はその日、彼の猟奇的な性的趣向を思う存分に知ることとなる。
亀頭さんはかなり名の知れた政治家のセガレで、女には大変モテたし、結構有名な女優との交遊もあったと聞く。
仕事の方では、彼がオフィスにいたのを見たことがないというほど、仕事熱心…なはずもなく、ほぼ朝から女の家を渡り歩いたり、夜は乱交パーティと、色ゴトに人生を捧げていた。
その一方、信じられないほど大口の仕事を取り付けてきたり、業界の大物同士の接着剤となってフィクサー的な存在として持ち上げられたりと、不思議な人でもあった。
嫌味なところはなく、イケ面っていうわけでもないけど、ソフトな語り口と低めの声が印象的だった。
また、口八丁で彼の弁舌を聴いただけで、その相手を酔わせる、そんなところがあった。
そんな彼がTVマンをしている俺の先輩と、夏忘れをする、というので、後輩として参加したのだ。
「ねえ、俊。すっごいね、マジでこういうトコ、別荘にしている人っているんだね…」
郁子は素直に切れ長の瞳を大きく見開いて、ガラス張りのフロアに広がる太平洋をまぶしそうに見つめる。
「俊も頑張ってね。目指せセレブ婦人とか?くふふふ」
郁子は地方のそれなりに名の知れた厨房機器メーカーの社長令嬢で、情が深く、気の良いマイルドヤンキーだった。
カノジョが音大にいるとき、合コンで知り合い意気投合したわけだけど、その結構な我儘ぶりに翻弄されつつも、愛嬌のある態度に俺は惚れた。
彫りの深い美人で巨乳というのも、俺にはストライクだった。
郁子の方も、跡取りを連れて帰って来いという親父殿の命に背いて、俺と一緒に神奈川に暮らすと宣言してくれた。
俺たちはいろんな意味で相性がよく、新婚生活を夢見ていた当時はラブラブで、まあ相思相愛だったわけだ。
目立ちたがり屋で、大のミーハーな彼女は俺がTV業界の先輩に会うというと、一緒に行きたいとせっついてきた
まあ、郁子を片時も放したくない俺はその好奇心旺盛な性格に便乗し、先輩に招待を頼んだんだけど。
「美人のゲストなら大歓迎だぜ、並の女はノーサンキュウだけどな」
その先輩は屈託なく笑った。
――――夕暮れ時から始まった夕食を兼ねたパーティは盛り上がった。
何せ、当時結構人気だったタレント―――ここではTとする―――が飛び入りで参加したからだ。
Tは芸能人の横柄さと人たらしぶりを発揮し、その場にいる面々を虜にした、けど、それをコントロールしているのは亀頭さんだったと思う。
「こちら今宵のスーパー・ゲスト、郁子ちゃん。俺の後輩のフィアンセで、S音大出のお嬢様で、声楽家の卵、ってわけ。CDも出す話があるって聞いたけど?」
と、亀頭さんは郁子を紹介する。
「そ、そんな、ちょっこっとだけね、音楽スタジオの先生からお話をもらっただけですよう」
と、郁子は満更でもない様子で、持ち上げられたことを素直に喜んでいる。
まあ、CDを出す話はもらっていたし、その後、実際彼女は声楽家として一時売り出されている。
「郁子ちゃんは、Tさんの大ファンですって」
と、瞳がハートマーク状態の郁子をさらに、タレント氏に披露するようにエスコート。
「おお、共演者でもなかなかいない美人さんだ。どこの事務所に所属?」
「わ、私タレントじゃないですっ、ね、ねえ、俊?」
と、完全に浮足立っている。
「女優さんになりたいな、とかって思ってた時期はありまーす!」
なんていう大胆告白もして見せる郁子は悪戯っぽい笑みを浮かべて俺を見る。
そんな郁子が可愛くてたまらない俺、まあ惚れた弱みってやつだ。
「俊、お前の嫁にしておくのは勿体無くね?事務所紹介するから、結婚止めてタレントデビューしたら?」
「おお、そうそう、いいねえ」
「グラビアとかもいけるよ、絶対」
口々に先輩と、取り巻きたちから賛美の声が、我がフィアンセに起こる。
「えへへ、どうする、俊?」
郁子は少々酔いの回った甘い声音で、俺に美貌を向けて首をカックンと傾げて見せる。
「水着撮影とか抵抗ない?」
と、またも先輩から質問が飛ぶ。
「ぜっんぜんっないですぅ!実はね、くふふふ」
郁子は可愛く微笑む。
「昼間海岸で泳いだんですけどね…。結構、人生初、みたいなエッチな水着で泳いでみたいんです。そしたらね、浜辺の人が結構、私を振り返るんですよぉ」
と、目立ちたがり屋の自己顕示欲大爆発、という感じの発言。
笑いが起こったが、その場の男らはみんな、俺のフィアンセの魅力にくぎ付けって感じだ。
俺も心地良かったし、昼間お披露目した、少々当時としても時代遅れだけど、アソコに食い込まんばかりのハイレグ水着姿に、俺も激しく興奮したことは事実だ。
「でも、一番、コーフンしてたのは、彼ですけど」
郁子が愛らしく失笑しながら、俺の頬を突っつく。
「郁子、お前ちょっと酔ってるんじゃないか?」
と、言う俺。
だけど、俺自身なんか呂律が回らない。
そればかりか、目が回る。
よく漫画の一場面で、視界が回って周囲の音が遠のいていくような表現があるけど、まさしくそれだった。
俺は、郁子にもたれかかる。
「ど、どうしたの、俊、だいじょぶ?」
郁子の温かい太腿の感触を頬に感じつつ、俺は急激に意識を喪失していった―――――。
俺は夢を見ていた。
郁子が先輩たち、そしてタレントのTに凌辱される夢を…。
「ア、 アン、アァ…やめて…」
郁子は喘ぎ悶える。
「じゃ、止めようか、郁子ちゃん、結構気持ち良さげな声出してるじゃないか」
と、亀頭先輩。
「え、そ、そんな…」
郁子が未練がましい声を上げ、恨みがましそうに艶やかな瞳を男たちに向けている。
郁子は縛られていた。
と、いってもSMみたいな緊縛ではなく、マジックテープ式のソフトな拘束具で後ろ手にまとめられているだけだが、抵抗は不可能の様子。
そして郁子は裸ではない。
パーティで着ていた、大胆なデニムのホットパンツやTシャツ姿ではない。
一見全裸と見まがう肌色の水着、いやボディスーツだろうか。
妙に薄地である。
「ホレ、もーみもみもみ…」
「い、いやんっ」
タレントTが抵抗不能の郁子の背後に回り込んで、揉んでるとき俺を至福の時間にしてくれる巨乳を揉みしだいているじゃないか。
「いやですったらぁ」
と、甘い喘ぎを漏らしつつ、難を逃れる郁子。
だけど、すぐにほかの面々に捕まり、そのナイスバディを容赦なくペッティングにさらされてしまう。
恋人がソフトな輪姦をされている…そんな夢…いや、夢ではなかった。
俺は次第に目の前の光景が夢ではなく、まぎれもない現実だと知る。
「って…俺、縛られてる!」
俺は手首に走る柔らかだが、頭上で俺の動きをきっちり封じる拘束具の感触に狼狽した。
拘束具は郁子を縛っているものと同じようで、その手首の間のチェーンが、天井の太い梁に結ばれている。
さらに言うと、そんな事態は夢ではなかった。
次第に意識がはっきりするにつれ、俺は目の前の現実に驚かされることになる。
「お目覚めかね、王子様ぁ?」
と、耳元でささやくのは亀頭さんだ。
「き、亀頭さん、これは一体?」
「余興だよ、余興…。でも、いいねぇ、君のフィアンセ。心もカラダもHな娘だねぇ」
郁子が結構エッチな娘だってことは知っているに決まっている、そこにもホレたんだから。
が、亀頭さんは淫靡な口調でこう付け加える。
「それに、絶対、カノジョMだよ、M…」
「な、何のことですか?」
「マゾッケがあるってことさ、試してみるかい?」
亀頭さんはほくそ笑む。
「郁子に何をするんだ、止めてやってくださいよ、冗談じゃない!!」
俺は憤怒の表情で亀頭さんに迫る。
「でも彼女、悦んでるって、絶対。見ろよ、あのスケベな表情。酔いしれてるじゃないか」
郁子は、またもTに捕まり薄い下着のようなコスの上からペッティングをされる。
「ああ、イ、イ、イひぃ…いやん、あっ、ああぁぁ~~~~~っ…ああぁぁ…」
郁子の狂おし気な声と、彫りの深い美貌の眉間に大きなしわを寄せる表情。
眼の前でいずれ妻になる女をいたぶられている屈辱。
しかし一方で郁子の甘やかな表情を見るに、明らかにタレントに肉体を貪られ愉しまれていることに、性的な快楽を見出しているという事実が俺を打ちのめした。
「まあ、そう深刻に考えなさんな。コレは君たち未来の夫婦の前途を祝したイベントだよ。お互いの性癖を知っておくことは大切だろ?」
亀頭さんが顎をしゃくる。
「将来のご亭主がお目覚めだ。あんまし刺激的な場面を公開すると、嫉妬に狂って余興が台無しになるからね。次のコーナー、行ってみよう」
Tは名残惜しそうに郁子の肉体を手放す。
代わりにほかの先輩や、いつの間にやら現れたまるでスタッフみたいな若い男らが郁子を捕らえ、その背後の拘束具を解く。
彼女を解放してもらえるのかと思いきや、そうではなかった。
郁子の手首を繋いだ拘束具にも短いチェーンが付いていて、左右それぞれを分離させると、俺の真正面に鎮座増すT字型のモニュメントの前に郁子を連行する。
すると、あらあら不思議、郁子のハリツケ絵図が完成したというわけだ。
「えぇ~~、ハ、ハリツケとか聞いていないですけどぉ」
と郁子は、甘えたような困惑したような声で、俺を悩ます。
「当たり前だろ、そうそうSMプレーなんて強要されるかよ」
男たちから失笑が漏れる。
暴行を受けているわけでもなく、凌辱されているわけでもないが、男たちの虜の身、という状況は事実だ。
裸じゃないけど、それに近い卑猥なコスを強要され…って生着替えさせられたのか未だ疑問だが…そんな破廉恥なスタイルで、フィアンセの前でハリツケの刑。
「あぁんっ、俊、助けてよぉ」
と、困惑顔で美貌を甘くゆがめる郁子。
こいつ、嫌がっているのか、あるいは喜んでいるのか、図りかねない、緩い監禁劇という感じ。
しかし、じっくりと郁子と相対する形で彼女を見てみるとどうも様子がおかしい。
瞳は赤みを帯びていて兎みたいだ。
浅黒い肌をしている郁子だけど、その素肌も妙に紅潮している。
結構危ない薬を使われているかもしれない、と気づかされたのは後日のことだ。
とはいえ、この時は、妙にコケティッシュな表情に俺は生唾ごっくんだったし、郁子も性癖を剥き出しにされることに、快感を覚えているようで、先輩たちの危険な宴の生贄にされる羽目になった。
「どう、郁子ちゃん、結構エロい気分にならない?」
「……ちょっとだけ…?」
郁子の反応に一同爆笑。
「そうでしょ、そうでしょ、乳首完勃ちだもんねぇ」
取り巻きの一人が、郁子の乳首を指さす。
「ああん、止めて、恥ずかしっ!」
と、縛られた不自由な肉体を悶えさすさまがまたエロい。
そんな郁子の様子を楽しげに眺めていた亀頭さん。
「いいねえ、郁子ちゃんはなかなかノリがいいよ。芸能界向きだ。実はね、僕の知り合いが深夜のお色気枠の企画を練っているんだけど、素人サン参加型の…僕もプランを出してね」
亀頭さんは、酔いの回った朗らかな、それでいながらも巻いてに拒否ることを許さない静かで強い口調で続ける。
「題して‘恥も外聞もあるもんか、過去の秘めゴトを根掘り葉掘り、素人女さん、弄られ大ハッスルぅ…視聴者のゲストを水着姿にしてその性生活を聞き出そうっていうコーナなんだ。ソレが本決まりで通ったら郁子ちゃん出演してみない?」
「え、えぇ、どうしようかなぁ…?」
「いやとは言わさないよぉ、今からその予行演習だ。ゲストはこうしてハリツケにされて、Hな質問をぶつけられるんだ。その回答がスタジオのタレント審査員に気に入られれば、ポイントゲット。でも気に入られなければ即刻罰ゲーム」
「ええ~~、いやだぁ、そんなのぉ」
と郁子。
「でもポイントの合計が一定の数字に到達すれば、商品賞金ゲットの可能性ありって企画なんだ」
「それは嬉しー」
郁子はどこかまでもゲンキンだ、けどそんな悠長なことを言っていられない事態にこの後陥ることになる…。
タレントTはいやらし気な目つきでハリツケにされている郁子をしげしげと眺め、質問を開始する。
「第一の尋問―――、今、エッチな姿で拘束されていい気分?」
「…結構エッチな気分ですっ!実はね、私…」
と、郁子は妙に淫靡な表情だ。
「告白しちゃいますと…よくTVのドラマとか時代劇で女の人が悪役に捕まっちゃったりとかするじゃないですかぁ?ああいう場面で縛られてる女優さんとか見ると、なんかドキドキしちゃうんですよぉ。そういう場面を自分に置き換えて妄想しちゃったりして」
「じゃ、縛られるのも平気?」
「拘束されるとか初めてですけど、すっごい恥ずかしい半面、ドキドキしちゃってますっ!」
おいおいおいぃ~~~~郁子ぉ!!
「しかも…将来の旦那サンも見てますし」
リップサービスのつもりだろうが、惚気た代償は大きかった。
「その回答は即刻罰ゲームもんだなぁ」
と亀頭先輩が顎をしゃくる。
「え、えぇ、なんで、お仕置きなんですか、罰ゲームとか嫌なんですけどぉ」
と郁子の、十の字に固定されたナイスバディが妖しく歪む羽目になる。
「あっ…ああんっ、やんああんっ、やめてぇっ、ちょっと、狂っちゃいそうなんですけどっ」
郁子が拘束具をぎゅうぎゅういわせながら、艶めかしく喘ぐもの無理はない。
SM用の大きな羽毛で、その無防備な脇の下や頸筋を存分に快擦されるのだから、くすぐったさは尋常じゃなさそうだ。
やがて、毛の先は膨張して行くおっぱいをこちょこちょ…。
次第に乳首がこりこりになってゆくのがわかる。
さらにTは敏感になりきっているであろう郁子のサクランボをつんつんと羽先で突っつきながら、弄ぶ。
「ああん、らぁ、らめぇ―――っ」
郁子は美貌をくしゃくしゃにして耐え忍ぶ。
「あはぁ…あはぁ…、もうだぁめぇ…」
郁子は唇から唾液を滴らせてヘロヘロ貌だ。
そんな郁子の感じっぷりが先輩諸氏のサド心に引火させたらしい。
もう郁子はいたぶられっぱなしとなる。
もともと、郁子は俺とのHの前、そして行為の後でも妙に従順で、マゾっぽい態度をとることがある。
この時、まさしく郁子は先輩諸氏に嬲られ、心理的に支配下に置かれた、というか、屈服させられていたのかもしれない。
「あひいぃぃ―――ッ、あんッ、おっぱい痺れるぅ!!」
郁子はまたも大悶絶。
スティック状のスタンガンで、微電流を流され、Hな尋問に馬鹿正直に性体験を白状させられる。
Tを責め役にして、亀頭さんが郁子を尋問する。
「フィアンセのSEXはうまいですかぁ?」
「は、はひッ、う、うまいと思いますッ!け、けっこう、攻め上手ですけどッ…」
「ですけど…?」
「けっこう…早漏な時があって物足りないですぅ~~~~ッ」
「このド変態っ!!」
またも郁子のスケスケコスちゅーむの下でそそり勃つ乳首をぐりぐり虐めつつ、放電を続けるタレントT。
悔しいがいたぶり上手なタレントのTの独壇場でもあった。
「はっははは、いいね、いいねぇ、この女!こういう変態っぽい娘、最高だね。感じてるんだろ、おまえ?」
と、郁子の顎に手をかけ、美貌を引き起こす。
郁子は憔悴しつつも、妙に艶めかしい表情で瞳を伏せる。
「よっしゃ、地下のプライベートルームで、徹底的に仕込んでやろうぜ、このお嬢さん」
Tは、郁子をハリツケ状態から解放した。
「い、郁子をどうする気だ?どこへ連れて行く気ですか?」
と、ようやく俺は恋人の危機が本格的なものであることを察した。
が、俺自身も縛られてるし、助けるすべはない。
まさに、後の祭り。
「へへへ、俊、安心しろよ、別にとって悔いはしないさ。カノジョだって望んでいるんだからな」
「い、郁子!?いやなんだろ、いやならいやって言えよ」
俺はすがるみたいな声で、郁子を見遣る。
「はあ、はあ、し、俊…。恥ずかしいけど…すっごい、感じてるッ」
と、熱を帯びて火照りきった顔でこう答えた。
「郁子ぉお」
眼の前でソフトなSMプレーを見せつけられた段階だというのに、俺はなんだか、愛する女を寝取られた様な心境だった。
亭主になる予定の俺より、郁子の性癖を察し、掌中に握られたという敗北感がそうさせるのかもしれない。
「郁子ちゃん、カレシの前ではっきり言うんだ。俺たちにもう少し虐められたくないかい?」
本人の合意を取り付けようって作戦らしい。
なかなか亀頭さんは巧妙だ。
「…虐められたいですぅッ」
郁子は哀願するような口調で宣う。
俺は、絶望感に打ちひしがれた。
けど、郁子はこうも言った。
「お願いがあるんですけど…しゅ、俊にも…一緒にいてもらうって条件付きで良いですかぁ?」
「はははこりゃ参った。Mな娘はいっぱい招待してきたけれど、カレシ同伴希望とはマニアですなぁ」
と、一同大爆笑、郁子は可愛らしく赤面した。
「あとはカレシのご意向だが…」
亀頭さんはみっともなく囚われの身の俺を見返す。
情けないことに、俺のアソコはショートパンツの下で激しくモッコリしていた。
いたぶられる郁子の姿に一番興奮しているのは俺かもしれなかった。
「ははは、答えを聞くまでもないか。未来の夫婦仲良く地下室へ監禁ってか?」
と、亀頭さん。
「か、監禁とか…ほんとですかぁ?」
郁子が唇から唾液を滴らせながら言う。
「そんな、物欲しそうな顔しなさんな、さあ、決まったな、郁子ちゃん、我がプライベート地下室へとご案~~内」
亀頭さんは浮かれた口調で俺たちを促した。
「だから言ったろ、俊。お前のカノジョ、相当なMだって」
ついでのように付け加え、俺たちを地下室に連行する。
亀頭さんの地下のプライベートルームとやらは相当にマニアックな場所だった。
20坪ほどの広い部屋に、本格的な十字架は無論、手足を縛るための拘束具付きの木の枠、スプリング付きの三角木馬、怪しげな椅子と、その趣向を如実に表している。
俺はそのど真ん中でSM用の拘束椅子に座らされ、弄ばれる郁子をまざまざと見せつけられる羽目になった。
「ああん、ああぁぁんんんッ…あ、あんッ、や、やめてぇ、お、おかしくなりそう、あんッ」
先輩たちは、後ろ手に拘束された郁子をまたもSMっぽくペッティングの刑に晒す。
「ほらほら、でけぇおっぱい膨らませちまって…」
先輩の一人に捕まり、乳房を背後から容赦なく揉みしだかれ、歓喜の喘ぎを漏らす郁子。
「あ、あぁ…はあ、はあ、助けて、俊!」
郁子は涙を潤ませた瞳で俺を見つめてくる。
「カレシに助けてもらいたがってるくせして、不逞の輩の俺らに遊ばれて、もうアソコはぬるんぬるんじゃあねえか、カラダだけは馬鹿正直だな、郁子は」
別の男に捕まり、今度は軽く平手打ちを食らう。
「あぁッ!」
嬌声に近い悲鳴を漏らす郁子の透けたコスチュームには、先輩の言う通り愛液で陰毛が張り付き、太腿の間まで雫が滴っている。
「ほらほら逃げらんねえぞ、郁子ちゃん。囚われのお姫様なんだからよ、あんたは」
別の先輩に濃厚な愛撫を受け、魅惑の肉体が妖しく歪んだ。
「に、逃げたりしません…だって感じてますものぉ!」
郁子のマゾ発言に面々から嘲笑が沸き起こる。
散々いたぶられた郁子は、ぐったりとした肉体を男二人に両サイドから抱えられ、俺の前に連れてこられる。
「はあ、はあ、…俊…って…やだっ、勃起してるし!」
郁子は艶めかしい表情の中に、全裸で拘束されフィアンセのソフトな輪姦の前戯に興奮した俺のシンボルに羞恥心いっぱいの表情を浮かべた。
「ははは、責められるカノジョも、カノジョを責められることにコーフンするカレシもともにドMってか?」
亀頭さんの合いの手に、またも哄笑が沸き起こる。
亀頭さんは絶妙なところを責めて来る。
俺たちを精神的に辱めつつも、郁子を目の前で凌辱したりはしない。
また俺を隔離して郁子を嬲るようなこともしない。
郁子が隠し通してきたであろう性癖の襞を剥き出しにしつつ、彼女が恐怖や絶望を感じぬよう、一方で淫靡に責められることに悦びを見出すよう、悦妙なラインを守って郁子をいたぶる。
「カレシ、君が虐められるトコ見て興奮してくれてるよ?どう?」
「どうって…ヤダ…」
と郁子は恥じらう。
「光栄かも、です…」
と、郁子。
「さあ、郁子ちゃん、つぎはどんな方法で責められたいですかぁ、希望を聞きますよ。なにせ、このTさんは女性を責めることに関して、人後に落ちませんよ。芸能界で一、二を争う虐めっ子ですからね」
と、亀頭さん、いやいや、女性を虐めるのが好きで上手なのはこの人だろうけど。
「ええ、そ、そんな恥ずかしいです。これ以上は堪忍してください」
と、郁子はしおらしく哀願。
でもその貌は、まだまだ欲求不満なご様子だ。
「なら、俊、お前選んでやりなよ。郁子ちゃんをどういう風にいたぶってやりたい?郁子ちゃんの責められっぷりをとくと見てやれよ」
俺の視線が、三角木馬に向く…。
「ああ―――ッ、ちょッちょっと、これはもう駄目、駄目ですぅ。ギブアップですッ、いひひいぃ~~ッ」
三角木馬の四脚には、スプリングが仕込んであるので、またがらされた人間の悶えに合わせてロデオが卑猥な展開されるというわけだ。
しかも郁子は全裸にひん剥かれている。
卑猥なレオタードコスをぬぐ捨てるとき、愛液が糸を引いている様子がまたいやらしかった。
すでに、郁子は無論、俺もM的な心理に囚われきっていて、抵抗も怒りも沸いては来なかった。
従属の感覚が心地良いし、愛する女が弄ばれている姿にも興奮をこらえきれなかった。
木馬の台座は尖った稜ではなく、丸みを帯びた山頂にいやらしい突起物がそびえたっていて、それに性穴を犯された郁子はよがり狂う羽目に…。
「んんあああぁぁぁ~~~~ッ」
郁子は半白目を剥いて、嬌声を上げまくる。
「いやあ、良いよ、郁子ちゃん、その調子その調子。時代劇とかで、悪代官に囚われの身になった町娘が拷問を受ける場面とか、そういう艶っぽい悲鳴を上げる演技ができるとヒロインの役をもらえるよぉ?」
と、亀頭さんが茶化す。
「江戸時代とか、こんなエッチで気持ち良い拷問なんてないでしょッ、ましてや彼氏の前で三角木馬とか…ないッ!」
「ははは、なかなか君の回答はユーモアがあるねえ、でも、このお仕置きを選んだのはそのカレシなんだから、そのスケベっぷりが知れるねえ」
と、亀頭さんは俺を見遣る。
先輩諸氏は、郁子の跨る木馬の台座を振動させる。
「ひゃうううううぅぅぅ――――――、イ、イク…イクかも、イッちゃかもぉ~~~~ッ」
じゅぷじゅぷという卑猥な音が台座から漏れてくる。
その山頂からも愛液がヌルンヌルンと粘り気を帯びて滴る。
「拷問でイクとか、かなりの変態ですよ、この娘」
とTはあきれ顔だ。
「膣痙攣とか、おこしそうッ!」
郁子は卑猥な感想を宣う。
「ああ、ああ、俊、助けてッ、もう、私ダメかも、ク・ク・ク…クリちゃんがッ、ヒクついているぅ~~~ッ」
と、言いつつ、郁子は自分から腰を浮かせ、尻を上下に運動させる。
なかなか下世話な音が、地下室に浸み込んでいく。
「はははは、自分から腰振っておいて、助けてもないもんだろ、郁子ちゃん?俊だって唖然呆然愕然で声も出ないじゃないかよ」
と、揶揄い続ける亀頭さん。
その言葉の通り、俺はぐうの音も出せない。
郁子が嫌がって、泣き叫んで助けを求めているのならわかるが、明らかに、いたぶられ、この連中の注目を浴びながら弄ばれていることに悦んでいるのだから。
「だ、だって仕方がないじゃないですかっ、こんなエッチなやり方でいたぶられて、感じるなっていう方が無理でしょっ、責め手は強し、身は弱し、か弱い女子ですものぉ」
郁子の破廉恥な発言もヒートアップ。
サド男たちのボルテージも最高潮だ、正直俺の興奮も尋常じゃなかった。
「よっしゃ、郁子さんを木馬から降ろせ」
Tの命令で男たちが郁子を抱き上げ、木馬から引きずり下ろしにかかる。
台座の上のシリコンのような男根が郁子の膣からじゅっぷと引き抜かれる。
「あぁ、ちょっと、ま、まだッ、イッてませんけど!」
と郁子が踏ん張る様な表情で宣うと、またまた大爆笑。
「郁子ちゃん、木馬で責められてイク気満々だったのかよ。でもこの程度でイカレたら困るぜ、君を本格的に責める夜はこれから始まるんだしな」
と、亀頭さん。
が、肝心の郁子の方に、そこまでの忍耐力がなかった。
二人係で抱き下ろされる瞬間、郁子の顔が一瞬強張る。
「ああ…だ、だ、だ、だ、だめっ、いやだ、いく、いくいくいくッいっちゃう――――っ、いやあんッ!」
郁子は下腹部を屈指運動させるようにビクつかせるとAV女優の演出顔負けの潮吹きをご披露だ。
ぶっちゅっ、ぶっちゅっといかにもためにため込んだスケベな汁をようやく噴出できたという様な、夥しい潮の量。
その雫が、1メートルは離れたところで拘束されている俺に膝にまで飛び散ってきた。
「さあ、一度くらいオーガズムに達したって許してはあげないよ、郁子ちゃん?」
亀頭さんはますます郁子を気に入った様子だ。
「僕のプライベートルームにご招待した以上、まだまだ君を責め苛みますよぉ」
「の、望むところですっ、も、もう、吊るしも縛りもなんでもござれって感じですよっ」
郁子はよろめきながらも男らの肩を借り立ち上がると、恥も外聞もない、っていう表情で宣言する。
「フィアンセに性癖を知られちゃったけど、良いのかい?」
と亀頭さんは俺に視線を向ける。
「ああん、もういいですっ、生涯の伴侶に私の変態っぷりを知っていてもらいたいですっ、良いよね俊、しっかり見ていて!」
と、郁子。
俺は返事をする代わりに、ギンギンにそそり勃った自分の分身に視線を落とす―――。
「ああ、裸ハリツケとか、最高ッ、やっぱし、一番恥ずかしい虐められ方ですっ、男の人に捕まって一番されて恥ずかしい事ってハリツケにされて弄られることだもんッ」
郁子は本格的な十の字の磔台にきっちりと手首足首を繋ぎ留められ、うっとりしたような表情を浮かべつつ、心境を吐露した。
「告白しちゃいますとぉ…」
郁子はまたしても恥ずかしい性癖を白状する。
「高校時代、文化祭で走れメロスとか演じた時、私セリヌンティウス役だったんですけど、ステージ上でハリツケのポーズ取らされた時、妙に興奮したんですよ。全校の男子の前で裸でハリツケとかにされたら、それだけで濡れてきちゃいそうだって、思ってましたぁ」
「ド変態!!」
男たちから、淫靡な爆笑が沸き起こる。
マゾヒストという性癖の襞を剥かれ切った郁子は、痴態を晒し続ける。
全裸で十の字に縛られた肉体を、左右からTともう一人の男にSM用の鞭でスパンキングされまくり嬌声の連続だ。
「さあさあ、どうだい、感想は、マゾっ娘郁子ちゃん?」
亀頭さんに感想を求められると、唇の端から唾液を滴らせながら喘ぐように心境を白状させられる。
「ハ、ハリツケ大好き娘、郁子ッ、念願かなって素っ裸で、カレシの前で、鞭で打たれて快感でぇ―――すぅッ、ああぁぁ――――――ッ、つ、続けてくだぁいぃ―――――ッ」
「よし、同意を取り付けた、な」
亀頭先輩はほくそ笑む。
ここからが彼の真の目的だと気が付いたのはだいぶ後のことだ。
すでに地下室の時計は夜明けの4時頃を指していたと思う。
郁子は亀頭さんの提案で、電気椅子の刑、に処せられていた。
「はぐっ…あうう・うう・うう・うううう・うう」
もちろん素っ裸のまま、拘束具付きの椅子に両手を後ろ手に回され、両足を開いた状態で縛られた郁子。
鞭打ちの痕がくっきり残る左右の乳房と、開かれた女陰に伸びる細いコード。
低周波を送り込むクリップで、くりくりに膨らんだ乳首と、おそらくはクリトリスをきっちりと繋がれたのだろう郁子は、プルプルと小刻みに震える。
肌に密着するパッドも二の腕や太腿、足の甲に着けられ、文字通り電流処刑といった風体だ。
「あ、あぁ、や、やだッ、肉体が痙攣する、震えるわッ、こんなのSMじゃないッ、ご、拷問とかッ?」
郁子は悲鳴を上げながら、椅子の上で裸体を反り返らせ、痙攣する。
「んあああぁぁッ、ああぁぁぁ――――――――ッ、発狂しそぉ―――――気絶しそおおおおおお―――――――ッ!!」
「ふふふ、泣けど叫べど、助けは来ないよ、この地下室は完全防音構造だからねえ、存分に君が泣き叫ぶ姿を見せてもらうよ」
「お願いやめてぇぇ―――――ッ」
ついに郁子は哀願を始めた。
が、むせび泣きつつも、SMの焦らしに反応して、不本意な拒絶をしているのはアリアリだった。
「やめて欲しいのかい?」
コードの根元につけられた送電器を操作しつつ、亀頭さんは尋ねる。
「あ、い、いいえぇ、や、やめ、いや…つ、つづけ、続けてくださいぃ、お願いいたします―――――ぅッ」
郁子のリクエストに呼応するように、その返答の言葉を最後まで言い切らぬうち、郁子の悶絶が再び激しくなった。
「うわあああああーあーあーあ―――――――あはははあああああぁぁぁぁ―――――――ッ」
郁子大悶絶、そして、放電を中断されると、かくんと項垂れる、股間からじゅわじゅわと液体を漏らし始める、まさに大失禁だった。
気絶しかかった郁子は、肉体の拘束は解かれ入浴を許されている様子だ。
「俊、お前何興奮してるんだよ、大丈夫だ、郁子ちゃんはちゃんと解放してやるし、介抱もしてやるからよ」
俺は軟禁を解かれはしなかったが、夜通し興奮しっぱなしの俺には、差し出されたコーラを一気に飲み干すと気が緩んだ。
興奮はさめやらなかったけど、急激に眠気が襲ってくる―――――。
俺がまた意識を取り戻した時、すでに夕方に近い時間だった。
郁子と二人、亀頭さんの別荘の一室で仲良く寝かしつけられていた。
「郁子…大丈夫かよ…」
俺は気不味い表情で郁子に尋ねる。
「…ンン、何が?俊、ずいぶん長い時間寝ていたよね。目を覚まさないかと思っちゃった」
と郁子は案外のんきだ。
マゾッケを剥き出しにされる調教を施されたとはいえ、男らからあれだけ激しい責め苦を受けたのだ。
やはり女はタフである。
「あれだけいたぶられたっていうのに、カラダは大丈夫なのかよ?」
「ええ、何のこと?」
郁子は何の記憶もないのだという。
ただ、昨夜のパーティの後から眠りこけ、気が付いたら、この部屋で俺と寝ていたというのだ。
手首や足首、乳房の傷もかすかだが残っていたものの、郁子には何の記憶もないという。
亀頭さんは、すでに会社に出かけたとかいうコトで、俺たちをさんざん弄んだタレントTや、俺を誘ってくれた先輩や取り巻きたちの姿もなく、キツネにつままれた心境の俺たちを、悪漢に代わりにハウスキーパーさんが見送ってくれた。
その後、亀頭さんには会っていない。
彼はその直後薬物所持で逮捕され、今は行方知れず。
タレントTも同様に覚せい剤所持で逮捕され、今はあの人は今、という状況。
郁子とは無事結婚し、今も仲良く現在に至るが、彼の夜の事はタブーになっている、というか、郁子に記憶がないから話しても無駄なのだ。
俺をあの調教の夜に誘った先輩も、その後すぐ転職し、今は音信不通だ。
郁子のマゾヒスティックな性癖も、結婚後はまるで鳴りを潜めている。
俺は悪夢、いや淫夢でも見ていたのか、そんな風に思っていたけど、先日驚愕の事実を知る。
あるAV業界の知人が昔オクラになった企画のデモDVDを持ってきたのだ。
「この女、見憶えねえか?」
卑しげに好奇心で顔を赤らめ、知り合いは問うてきた。
マゾヒスティックな女を拷問まがいの手段で散々いたぶり、最後はレイプするという企画もの。
発売する予定の会社が倒産したとかで、世に出ることはなかったらしい。
4篇が挿入されたうちの一話。
そこに登場する豊満なヒロインは確かに俺の良く知る女だった。
乱れる画像に映し出されるモザイクのかけられたカレシという名の男の前で、ハリツケにされ、電流を流され、悶絶する美女。
艶やかに、被虐美に満ちた表情は映画女優顔負けのシロモノ。
散々いたぶられつくしたのち、自ら輪姦を望む女の声。
潮吹き、失神、失神と、これでもかというほどの痴態が映し出され続ける。
いずれも俺の記憶にある光景だった。
「あんたの、女房に似てね?」
そう、その言葉の通り、それは紛れもなく、あの日の郁子と俺の姿だった。
失禁した郁子はその後、タレントT―――モザイクは入っていたが――――と思わしき男らに散々輪姦され、精液まみれになったまま放置される。
目を覚ますと前からバックからまたも穢される、そんな場面に俺の心臓が高鳴る。
最期は悦びの嬌声を漏らし、さらなる暴行を望む郁子のセリフとともに終幕を迎える、そんなストーリーだったが、俺は最後まで直視できなかった。
郁子は、やはりあの後、俺が眠らされた後、強姦されたのだ。
本当に記憶がないのだろうか。
それとも、今でも亀頭さんにあの手この手でいたぶられ、タレントらに辱められ、ソレを悦んだ当時をいまだに押し殺した性癖とともに、記憶の片隅に封印しているのだろうか…。終わり