僕が小学5年生の時、クラスに転校してきた女の子にスカートめくりをした。

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僕の小学校時代の思い出話を書こうと思います。

内容はあまりエロくないですが、読んでいただけると嬉しいです。

文章は読みやすいように砕けた文体で書こうと思います。

では始めます。

今から19年前の春。

新年度が始まって、僕が小学5年生になった時。

僕の小学校は毎年クラス替えがあったから新しいクラスだ。

学年全体の人数があまり多くはなかったからお互い知ってるやつが多くて、すぐにみんなクラスに馴染んでいた。

それで4月が終わろうかという頃、クラスに転校生が来た。

「東京都から来ました。〇〇みきです。よろしくお願いします」

女の子ですごく美人だった。

スタイルが良くて、黒くてきれいな長い髪。

教室がざわざわなって、男子も女子もみきに興味津々。

でも当のみき本人はそんなこと全然気にした様子もなくて、ずっと無表情。

僕は緊張しているのかな、それとも冷たい子なのかなって思っていた。

「みんな、学期途中での急な転校生だけど」

担任の女の先生がクラスを静めて話し始める。

「〇〇さんはいわゆる転勤族でね、今までも何度も学校を転校しているの。それでね、この学校にも2か月しかいなくて6月の終わりにはまた別の学校に転校することが決まってるの」

「「えー!!?」

クラスみんなが驚く。もちろん僕も驚いた。

新しい学校に来た日にもう転校していく日が決まってるなんて。

「短い間だけど、みんな仲良くしてあげてね!6月の宿泊学習には一緒に行けるから」

「「はーい!!」

みんなが先生の話に元気よく返事をしたときも、みきは表情を変えなかった。

僕はなんとなくだけどそれが少し悲しげに感じた。

それからすぐに1時間目の授業があって、その後の休み時間。

さっそくみんなみきの机の周りを囲って質問攻め。

「東京ってどんなとこ?」とか「趣味は?」とか。

それをみきはやっぱり表情を変えずに「別に」「特にない」って無愛想に返した。

まるで機械みたいに冷たい感じだったけど、その雰囲気が美人な彼女に絶妙にマッチしてて、僕は取り巻きの外側でただただずっとみきのことを見つめてた。

それでこの時はみんな転校生と話せてるのが嬉しいから気にしてなかったんだけど。

いつまでたってもみきは心を開かないし、むしろ突き放すような感じですらあったから、だんだんみんな話しかけなくなっていった。

僕のクラスはいい奴が多かったから悪口とかはあまりなかったけど、女子はすごく気を使ってる感じだったし、男子も美人だから話したいとは思うのだろうけど敬遠してた。

でも僕だけは違った。

あろうことかみんなから孤立しようとするみきにスカートめくりをしてやろうと思ったのだ。

性格悪い感じがムカつくとかそういうことでは一切なくて、ただ本当になんとなく。

僕は休み時間に席を立ったみきの後ろに近づいて、思いっきりみきのスカートを捲り上げた。

「やったぜ」

なんて僕は言ってたけど、周りは凍り付いてた。

で、パンツは普通だったよね。都会風なおしゃれな服装の割にはシンプルな白。な~んだ。

なんて悠長なことを言ってる場合ではない。

「このっ…!」

見上げるとみきが振りかえって、すごい威圧の目で僕を見ていた。

僕はビビったけど、みきが怒ったり叩いたりしてくるのを期待してワクワクしながら反応を待った。

でも急にみきの表情からふっと威圧感が消えて、僕に言った。

「はっ。ばっかじゃないの」

みきはスカートを整えて教室を出て行った。

見ていた男子には「どんまいどんまい(笑)」って茶化し気味に言われ、女子には「まじでもうやめときなよ」ってドン引かれた。

だが僕は止めなかった。

次のチャンスをうかがい、後ろからまた一気にめくった。

「そりゃ!」

「・・・」

それでみきは僕を見るけど何も言わず、すぐにスカートを整えて立ち去った。

僕は反撃されないことに味を占め、それからもみきのスカートをめくりまくった。

時には事前に察知されてすぐに手を払われることもあったけど、僕はいろんな色や柄のみきのパンツを見ることができた。

でもエロさは全然感じなかったね。

それはたぶん彼女が美人すぎたからだ。

足は細くて長いし、パンツは引き締まったお尻にフィットしてシワ1つなかった。

きれいすぎて逆に、みたいな。

だけど繰り返すうちにみきの反応には変化があった。

それまで無反応のロボットだったみきがだんだんと感情をあらわにし始めた。

「おりゃー!」

「くっ…!またお前か!」

僕がスカートをめくったら、みきがキレる。そしたら僕はすぐに逃げる。

「今日は黄色だー!」

「待てや、コラー!」

「「あははは(笑)」

怒ったみきが僕を教室中追い回す姿を見て、男子はもちろんそれまでスカートめくりを注意していた女子までもが笑ってた。

僕は教室の外に出て階段を駆け下り、一階の下駄箱のところまで逃げた。

「はあっはあっ。ここまでくれば大丈夫だろ」

息を整えながら、スカートめくりと逃げ切り成功にガッツポーズ。

そしたらその時、後ろから襟首を強い力でガッと掴まれた。

「見つけたぞ、コラ」

「え…?(笑)」

振り返るとめちゃくちゃ怒りを表情に滲み出しているみきがいた。

「あはは…来るの早くね?(笑)」

「こう見えて足は速いから」

「あ、そうなの(笑)」

僕はぶっ叩かれると思っていたが、みきはわりかし簡単に手を離した。

「もうっ!あんたのせいで私、クラスで変な子みたいになってるじゃん!」

「でもみんなになじめてきて良かったんじゃない?(笑)」

「良くないわ!」

みきは僕に怒りをぶつけまくる。

「みんなと仲良くなってもどうせ…」

みきはぼそっと言って、近くの閉まっているガラス扉に寄りかかった。

「っていうかなんであんたさ、スカートめくりとかするの?」

「んー…なんとなく?」

「は?まじで迷惑なんだけど」

「ならズボンか、見せパン履けばいいじゃん」

「それはさ、なんか嫌」

「なんで?」

「履いたら負けな気がする」

「なんじゃそりゃ(笑)」

負けず嫌い?って思ったが、それはスカートめくりをしつこく繰り返している僕もだった。

結局似たもの同士だったんだな。

それからはだんだん僕はみきとは普通に話すようになって、スカートめくりもしなくなった。

みきも僕以外にはあまり感情を出さなかったけど、クラスのみんなの呼びかけには普通に答えるようになった。

しばらくして席替えがあって僕はみきと隣り同士になった。

「はぁ…。あんたの隣とか」

「よろしくねー(笑)」

「うざっ。でもまあ、よろしく」

みきは辛辣な反応をしていたけど、僕の隣で安心しているようだった。

僕は当時、かいけつゾロリシリーズが好きでよく読んでいた。知っている人も多いのではないかな。

だけどこれを隣で読まれるのをみきは嫌がった。

なぜかというと、かいけつゾロリには下品なシーンが多く、僕が面白いからとみきに見せようとしていたからだ。

みきが嫌がれば嫌がるほど、僕もそれが楽しくてしつこく見せようとした。

だけどある時、ついにみきの堪忍袋の緒が切れた。

「もうほんとキモいから私の横でそれ読まないで。二度とね!」

すごい怖い目で睨まれた。

それからは僕は大好きなゾロリをみきがいないときや、教科書に隠しながらでしか読めなくなってしまった。

でも僕はどうしてもみきにゾロリの良さを知ってほしかったので、やり方を変えた。

僕は家で宿題もそっちのけで、自作のうんこマンという頭がうんこで体にマントを羽織ったヒーローのオリジナルキャラを1時間くらいかけて書いた。

個人的にはものすごい力作が完成し、これを次の日にみきに見せようと思った。

これをみきが笑ってくれたら、かいけつゾロリも読んでくれると思ったのだ。

僕は次の日の朝、登校してからワクワクしながらみきが来るのを待った。

「おはよー」

「あ、みき!これ見て!」

「ん?」

みきがぺらっと紙を広げて、絵をじっと見た。僕は手応えを感じた。

でもみきは紙をぐしゃぐしゃーっと丸めて、そのままゴミ箱に捨てた。

「うんこまぁぁあん!!!」

「こういうの二度と書くな!」

僕は悔しかった。

みきが少しは努力を認めてくれると思っていたからだ。

でも結果はみきの下品なことに対する嫌悪感を強めただけだった。

また別のある日。

体育の時間にクラスの友達に聞かれた。

「〇〇さんってさ、どんな感じ?」

「みき?ゴリラよ(笑)」

「あんな可愛いのに?」

「見た目はね。でも中身はマジでゴリラ(笑)体は細いのに腕っぷしはめっちゃ強くてさ…」

僕が話してる途中で、聞いてた奴らがビクッと反応した気がした。

次の瞬間、僕は後ろからヘッドロックをかけられた。

「誰がゴリラじゃ!」

みきだった。ゴリラ並みの腕力で僕を締め上げてきた。

「ぎぶ!ぎぶぎぶぎぶ!(笑)」

まあ、実際はそこまでの力ではなかったけど、けっこうマジでかけてくるから焦った。

でもみきの体に密着してて良い匂いがすごいしたから、僕はその時ニヤけてたと思う。

みきは彼女が言った通り足が速く、そもそも運動神経が良かった。

でも体育の時間は特に孤立しがちで、僕はこうして絡ませるようなことをしてた。

普通に話しかけてもいいんだけど、それじゃあ面白くないしね。

それからもみきは僕には当たりがきつかった。

でも僕はなんとなくそれがみきの本来の性格とはあまり関係ない感じがした。

案の定、日が経つにつれてみきはいくらか角が取れて丸くなっていった印象だった。

僕の書いた下品な絵にもニヤッとして、その上にお花の絵を書いて仕返ししてくれるぐらいにはなった。

なんだかんだで僕とみきは仲が良かったと思う。

それから時が進んで6月中旬。

宿泊学習があり、僕たち5年生は雄大な自然が広がる場所、そこにある青少年自然の家に1泊2日行った。

みんなオリエンテーリングとかカレー作りとかわいわい楽しくやってた。

僕はその間もみきに絡んでいこうかと思っていたが、班が別々だったのであまり話せなかった。

でも1日目の夜にイベントが起きた。

その日は明るいうちに自然の家の敷地内にある一面芝生のキャンプ場にテントを組み立てていて、そこで寝ることになっていた。

9時半頃に就寝の点呼が終わって、僕はテントの中で友達と話をし始める。

でも昼間に「徹夜するぞー!」とか言ってた奴らが真っ先に寝て、10時過ぎ頃には僕以外みんな寝てしまった。

僕はちょっとトイレに行きたくなってテントを出た。すると当然外は真っ暗。

少し話声の聞こえるテントもあったけど、だいたいのテントでは寝静まっていたと思う。

トイレは昼間カレーを作ってた野外の調理場の近くにあったけど、そこまでの道のりがめっちゃ怖かった。

暗い景色の中を、幽霊が出るのではないかと委縮しながら進んだ。

やっとトイレの明かりが見えてホッと一安心。用を足してまた暗い道のりをびくびくしながらテントまで帰る。

その途中。

暗い景色の中にぼうっと人影が現れた。

「うわあっ!!」

「きゃっ!!」

驚いてよく見るとみきだった。

「びびった(笑)」

「私も(笑)どうしたの?」

「俺はトイレ。みきは向こうから来たみたいだけどどこ行ってたの?」

「ヘアゴム忘れたからさ。自然の家に戻って取りに行ってた。」

「わざわざ?」

「うん。私、髪が長いからちゃんとまとめて寝ないと朝が大変なんだよ」

「そうなんだ。でも取りに行く間、怖かったでしょ?(笑)」

「いいや、全然!」

みきは強がっていたが、僕と出くわした時の驚き方と安堵の表情から絶対怖かったと思う。

「そういえばさ、ここの門って空いてた?」

門っていうのは自然の家がある場所全体の入り口の門のこと。

来るときは貸切バスでそこを通った。

「なんで?」

「いや、なんとなく。開いてるのかなって」

たぶん僕はみきがいることで恐怖が半減していたのだろう。

今みきがやって来た方向に歩き始めた。

「ちょっとやめときなって!先生に見つかったら怒られるよ!」

僕を止めようとするみきだったが、僕がどんどん歩いて行くものだから彼女も仕方なさそうについてきた。

それで2人で入り口の門の手前数十メートルの真直ぐな坂道の上まできて、僕は暗闇の先に目を凝らした。

「開いてる…?」

「もう戻ろうよ」

「近くまで行ってみよ」

「えー」

嫌がるみきだったが1人で暗い中を戻りたくなかったのか、結局門までついてきた。

「開いてた」

「もういいでしょ。戻ろ」

みきがそう言った時、坂の上からピカーッと懐中電灯の光がこちらを照らした。

「やばい、先生だ!逃げろ!」

「きゃっ!ちょっと!」

僕の声に驚いたみきと一緒に、そのまま2人で門の外まで走り出た。

「セェーフッ!」

「ていうかさ、私たちに気づいてなかったくない?」

「うん、それは俺も思った」

「おい!(笑)ふざけんなよ!(笑)」

みきはちょっと笑い出しながら僕にキレてた。

門の外は背の高い木々に空が覆われた暗い森で、その中を曲がりくねった下りの車道が続いていた。

「せっかくだしさ、もうちょっと先に行ってみない?」

「え?冗談でしょ(笑)」

だけどみきも少し楽しくなったのか、まんざらでもなさそうだった。

「ほんとにちょっとだけ!」

「うん、分かった(笑)」

僕たちは暗い森の中を好奇心のままに進んでいった。

「ねえ、急に走ったりしないでよ」

「置いて行かれるのが怖いの?(笑)」

「違うよ!はぐれたらまずいじゃん」

そう言いながらもみきは体を委縮させてめちゃくちゃビビっていた。

「ねえ、貞子って知ってる?」

「きゃっ!やだっ!」

「(笑)。そっちの森の奥にさ、白い服を着た女が立って…」

「きゃあああ!!やめてえ!!!」

みきは叫び声を上げて、僕の腕にしがみついてきた。

「それ以上言ったら殴る!本当に殴るからね!!」

「分かった!分かったからちょっと離れて(笑)」

「いーい?もう怖いこと言うのは絶対にダメだからね!」

「うん(笑)分かった(笑)」

僕がうなづくとみきはやっと落ち着いたけど、僕の手だけは両手でぎゅっと握って離さなかった。

きれいな女の子に手を握られている今の状況。

さっきはみきが遠慮なしにがっついてくるものだから全く考える暇もなかったけど、冷静になるとかなりドキドキした。

「あ、あのさ。やっぱ怒ってる?(笑)」

「怒ってるに決まってるでしょ!」

「ごめん(笑)許して(笑)」

「やだ。絶っ対に許さない」

「ごめんって(笑)ほら、僕とみきはさ、すごく仲いいでしょ?(笑)」

僕はノリで言ったつもりだったが、みきは真に受けたような顔をした。

「分かった…。じゃあ許す」

みきは口をすぼめてしぶしぶと言った。なんだかそれがとてもかわいらしかった。

それからはもう僕は胸のドキドキがみきに手を握られているからなのか、暗闇が怖いからなのかよく分からなくなりながらただひたすら森の中を歩いた。

しばらくしてやっと森を抜け、僕たちは満天の星空の下に出た。

「わあ!見て、空が綺麗だよ!」

「ほんとだ、すげえ!」

「ね!こんなの初めて…」

感動で恐怖が和らいだからか、みきの手が自然に僕から離れた。

森の中が暗すぎたせいか、さっきキャンプ場では暗いと思っていた外の景色がとても明るく感じた。

森を抜けた今僕たちが立っている場所からは、車線の書かれていないかなり幅の広い車道がどこまでもまっすぐに伸びていた。

そして右も左も見渡す限り田んぼや畑で、遠くの方にはただ山々が連なっているだけだった。

ものすごく清々しくて僕は無性に走りたくなった。

「うおおおおおおお!!」

「あ!コラ待て!」

急に走り出した僕をみきが後から追いかけてくる。

「わあああ!!気持ちいいいいいい!!!」

「こらあああ!!待てって言ってるでしょーが!!」

みきが大声を上げるが、僕は止まらなかった。

しばらく走ってやっと止まり、膝に手をついてはあはあと息を整える。

すると後ろから襟首を強い力でガッと掴まれた。

「さっき走るなって言ったよね?」

振り向くとみきがいた。怒っていたが口元は笑っている。

しかも僕と違って全然息が上がっていなかった。

「はあはあっ。体力あるね(笑)」

「お前が無さすぎるんじゃ!」

「お前って(笑)」

僕が体を起こすとみきも手を離した。

「お願いだからもう走らないで!」

「ここってそんなに怖い?さっきの森の中なら分かるけどさ」

「そうじゃなくて。今はただ置いて行かれたくない…」

みきが寂しそうな表情をして僕の手をぎゅっと握った。

みきが弱音を吐くのは珍しかったので、僕はふいに彼女が愛おしくなった。

僕がみきの手を離してつなぎ直すと、ちょっと驚いていたけどみきもつなぎ返してきた。

「それじゃあゆっくり歩いて行こうか!」

「うん!」

「う~え~を~む~う~い~て~♪あ~るこ~お~お~お~♪な~み~だ~が~こぼれ~ないよ~お~お~に~♪」

「古っ!でもいい歌だよね」

「みきも何か歌える?」

「歌えるよ!You are always gonna be my love♪いつぅか誰かとまた恋に落ぉちても♪」

「うまっ!誰の歌?」

「宇多田ヒカルじゃん」

「誰?(笑)」

「えっ、宇多田ヒカルを知らないの!?」

宇多田ヒカルは有名だ。けど僕は当時、音楽はあまり聞かなかったから知らなかった。

知っていたのはお父さんが良く歌っていた昭和の曲と小学校の音楽の授業で習った童謡とかだけ。

でもみきは女性歌手のアップテンポな曲を中心にたくさん知っていて、僕は都会から来た子は違うなあって思ってた。

「みきってさ、東京の前はどこにいたの?」

「千葉」

「あれ、近いね」

「うん。生まれが東京で関東付近の小学校を転々としてたんだけど、今回急に遠くに転勤になっちゃってさ」

「なんで?」

「知らない。親の事情だし。知りたくもない」

みきが転勤の話はあまりしたくなさそうだったので話題を変えた。

「じゃあさ、好きな男の子とかいたことある?」

「あるよ!って言っても幼稚園の時だけどね(笑)私、好きな男の子以外にはモテてたから彼もきっと私のところに来てくれるはず!ってずっと期待してた」

「ほうほう。それで?」

「でも来なかった(笑)それで結局話せず終い。それからは好きな男の子ができたら自分から行かなきゃって思ったけど小学生になってからは全然できなくて(笑)」

転校を繰り返していたからだ。

僕はそう察して話題を変えなければと焦ったけど、みきの方から返してきた。

「あなたはいなかったの?」

「うん。俺はぜ~んぜん!(笑)」

「子供だねえ(笑)」

みきがおちょくるような口調で僕に言った。

でも今はいるかもしれない。隣に。

それからもみきと歌いながら楽しく車道を歩いた。

しばらくして車道は終わり、普段見慣れている車線の書かれた普通の交差点に出た。

でも車は全然通っていなくて、信号の人工的な明かりだけが点滅して変わった。なんだかそれがとても不思議な感じだった。

「どっちに行く?」

「あなたが決めて!」

「うーん。それじゃあ…」

選択肢は3つ。右か左、そしてまっすぐ。

右はこの先何kmどこどこっていう大きな標識に遠そうな地名が書かれているし、まっすぐ先はまた別の道路がいくつかあって歩いて行くのは大変そう。とすると…

「左!」

「左ね!じゃあ行こ!」

左の方は僕たちが今いる側は田んぼや畑に沿っていて、道路を挟んで反対側は民家とかだろう、とにかく真っ暗な道が続いていた。

僕たちは道路脇の歩道を歩き、交差点の明かりからはどんどん離れて行った。

もう普通の道路だからか、僕もみきも弁えて大声を出したり歌を歌ったりはしなくなった。

普段通りの会話をしながら、気ままに歩いていった。

途中でみきがあっ!と道路の反対側を指差した。

「見て!あれなんだろ?」

コンクリートの壁に囲まれた、かまくらみたいに中に入れる場所。

僕はそれが何かすぐに分かった。標識も立っているから間違いない。

「あれはね、バス停だよ」

「バス停!?」

「うん。だからあの中に座って待つところがあるはずだよ」

「へー!こんなバス停初めて見た」

「確かに東京とかには無さそうだよね(笑)」

みきは興味津々だったけど、先に進むためにこの時はスルーした。

それからは歩けども歩けどもなんにもない。

とりあえずコンビニとか明かりのある建物を目指して歩こうと言っていたが、ほんとまじの田舎で代わり映えのしない真っ暗な道路だけが続いた。

無目的に歩き続けることにだんだん疲れてきて、僕もみきも足が前に進まなくなってきた。

するとやっと自動販売機の明かりを見つけて、僕たちは駆け寄った。

言い忘れていたけど6月中旬のこの日はけっこう蒸し暑くて、喉はカラッカラだった。

「は~、のど乾いた。あっ」

小銭入れを持っていたみきが飲み物を買おうとした時、ちらっと僕を見た。

「大丈夫だよ。俺もポケットにちょっと入れてるから(笑)」

僕は後でまた飲めるようにペットボトルの爽健美茶を買ったが、みきはファンタのグレープを買ってごくごくと一気飲みしだした。

「炭酸飲料をそんな一気に飲んでお腹とか大丈夫?」

「うん。全然平気だよ」

みきは普通のことのように言ったが、僕はお腹がちょっと弱かったのでものすごく羨ましく思った。

「ところでさ、ここってもしかして神社?」

「神社だね」

赤い鳥居が立っていてその先は真っ暗で何も見えない。

「行ってみる?(笑)」

「やだ。」

「だよね(笑)」

もちろん僕も行きたくないので冗談だ。

入ったら帰ってこられなくなりそうで小学生の僕らには絶対無理だった。

とりあえず一休憩を終えたので、みきに尋ねる。

「ねえ、まだ先に行く?」

「う~ん」

みきはあまり乗り気じゃなさそうだった。

もちろん僕も疲れてたから果てしなく続く暗闇をさらに歩いて行く気力などなかった。

だけど腕時計を見るともうとっくに12時を回っていた。ここからキャンプ場に戻るとするとまた2時間近く歩かなければならない…。

「さっきバス停があったじゃん?とりあえずそこまで戻って休もうよ」

「うん、そうだね」

僕とみきは来た道を引き返して、バス停に向かった。

しばらくしてバス停にたどり着き、車は全然いなかったが一応右左を確認して道路の向こう側に渡った。

「大丈夫だよ。ほんとに何にも無いから」

コンクリートに囲まれた暗がりに入るのをちょっと怖がっていたみきを安心させて、2人で中に入った。

中には壁面に端から端まである木の席が取り付けられていた。

そこに並んで僕とみきは座った。

「今からキャンプ場に帰る?」

「帰らないといけないよね」

僕もみきも分かってはいるが、正直もう体力的にも精神的にも歩きたくはなかった。

「今日はもうここで寝よっか?」

「え?」

「明日のことは明日になってから考えようよ」

「そうだね」

僕の提案にみきも賛成した。というか賛成せざるをえなかっただろう。

僕たちは頭を席の中央に寄せ合って、横になった。

「あっ。今、車が通った」

「ね。今まで全然通らなかったのに」

「もしかして先生が私たちがいなくなったことに気づいて探しに来たんじゃない?」

もちろん何気なくしている会話だ。

だけどほんとにキャンプ場では僕たちがいなくなったと騒ぎになってて、みんなが探しているんじゃないかとちょっと不安になった。

「寝ようか」

「うん、寝よ」

僕は目を閉じた。

「ねえ、あのさ」

「ん?」

「あんたさ、私にずっとスカートめくりしてたじゃん?」

「うん」

「あれめっちゃムカついてた」

「だろうね(笑)」

「うん。毎日、パンツの色言いふらされるしさ。まじで玉を蹴り上げてやろうかと思ったわ」

「うひゃ~(笑)」

僕はお股がひゅんってなった。

「でもさ、それはしたくなかった」

「そりゃされてたら俺のたまたまは今頃…(笑)」

「そうじゃなくて。したらもうスカートめくりしてもらえなくなるかなって」

「はい?(笑)」

「勘違いしないでね。してほしかったわけじゃないけどさ、嬉しかったんだよね」

「嬉しかった?」

「うん。私、今までどこの学校に行っても周りを突き放すような態度だったから、当然誰からも相手にされなくなってさ。でも誰とも仲良くならなかったら転校していくときに悲しくならないからそうしてた」

「そっか」

「うん。でも今の学校であなたにスカートめくりをしつこくされて」

「ほんとごめんね(笑)」

「ううん。最初は私にどうして構うのって思ったけど、すごく嬉しくて…なんかよくうまく言えないけど…ありがとう」

「いいよ、別に(笑)」

みきが真面目に話すものだから、気の利いた事が何も言えなかった。

まさかスカートめくりをして感謝されるとは。

だけど僕も嬉しかった。

「それじゃあ寝ようか」

「うん」

僕は再び目を閉じた。

「ねえ?」

「寝よ」

「うん…」

みきは寂しくて会話をしたかったのかもしれない。

でもまた明日キャンプ場に帰らないといけないので、寝ないといけなかった。

やがて僕は眠りについて、いくらか時間が経った頃。

「ううっ…さぶっ!」

僕は震えるような寒さで目が覚めた。

「寒いねー」

「あ、起きてたの?」

「ううん。今起きた」

「俺も。おはよー」

「おはよー」

寝ぼけ口調のみきと一緒に外に出るとまだ真っ暗で、車が少し走っている程度。

腕時計を見ると午前4時前。

「6月なのに朝早くはこんなに寒いんだ。夜中はめっちゃ暑かったのに」

「大丈夫?ジャージ貸してあげようか?」

みきは上下長袖のジャージだったが、僕は暑いと思って半袖だった。

「ううん、いいよ。じゃあ、帰ろうか」

今から帰ればなんとか朝の点呼の時間までには帰れるかも。

僕とみきはぼちぼち会話をしながら歩き、昨日の交差点のところまで来た。

「今度はこのまま反対方向に歩いて行ってみる?(笑)」

「え~」

「もちろん冗談だよ(笑)」

僕たちは昨日は大声で走ったり、歌を歌っていた車道の方に曲がった。

「走る?(笑)」

「やだ。走らないで」

「うん(笑)」

当然昨日の夜のようなテンションではないため、僕とみきはただひたすら歩くだけだった。

そのうち空が明るくなり始め、周りの田んぼや畑もよく見えるようになっていった。

「ここってこんなに広くてきれいな場所だったんだね」

「そうだね~」

2人で何気ない会話をしながら歩いて1時間以上は経っていた。

僕は昨日の疲れが残っていたこともあって、ちょっと気が重くなっていた。

キャンプ場の外に出なければ、今頃テントの中で気持ちよく寝てたのに…なんて考えてた。

でも自分の責任だし、何よりみきを連れて無事に帰らないとという使命感で先に進んだ。

そしてやっと自然の家に続く森の入り口まで来た。

ここまで来るともう少しだ。

僕はみきの手を引いて、自然の家を目指して坂を上がっていった。

森の中は真っ暗だった昨日とは違い、朝の陽ざしが差し込んで、とてもさわやかで気持ちが良かった。

それからやっと自然の家に着き、入口の門を通った。

僕たちは先生がいないかと警戒しながらキャンプ場まで急いだ。

「じゃあね。ばいばい」

キャンプ場に着いて、みきが自分のテントに入る前に僕に手を振った。

その時、ニコッと優しい表情を見せたので、僕はお別れが名残惜しかった。

それから僕も自分のテントに行き、チャックを開けて中に入った。

セェーフッ!と思ったのも束の間。

僕の帰りに目を覚ました1人が眠そうに目を擦りながら、は~っとため息をついた。

「お前どこ行ってたんだよ。みんな探してたぞ」

「…え?」

どうやら昨日の就寝の点呼後、自然の家にヘアゴムを取りに行ったみきが夜中になってもテントに帰って来ていないことに気づいた女子が先生のテントへ行き、報告。

先生はそれぞれのテントを回って、みきがいないか確認。

その時に僕もいないことが分かり、みきと僕のテントの奴らが先生と一緒に僕とみきを探し回っていたらしい。

そしてもしかしたら空いていた門から出たのではないかとちょっとした騒ぎになっていたということだった。

「〇〇さんもいなかったけど、一緒にいたん?」

「いや、まあ…」

他の奴も起きて僕に事情を問い詰めているときに、担任の先生がテントに来た。

「どこ行ってたの…。心配したわよ」

みきのテントの女子が先に無事を報告しに行ったのだろう。

先生はものすごく心配の表情して、安堵のため息をついていた。

それからは普通に朝の点呼を受け、朝食のパン作りが始まった。

野外調理上で小麦粉をこねて…というのはいいとして、僕とみきのテントの奴らには先生が口止めをしたので、噂にはならずに済んだ。

でも僕の元に別のクラスの男の先生が来て、ちょっと険しい表情で言った。

「親御さんには連絡しておいたから。もう二度とこんなことしたらダメだよ」

「え…?」

僕は顔からさーっと血の気が引くのを感じた。

その先生はみきのところにも行って、注意をしていた。

その後でみきが僕の元に浮かない顔でやってきた。

「やばい。お母さんに怒られちゃう」

「お母さん、怖いの?」

「うん。お父さんは優しいんだけど、お母さんはちょっと怖いかも。あんたのところは?」

「俺は両方怖い(笑)絶対にボコボコにされる(笑)」

「そっか…。は~、帰りたくないな」

「うん、俺も」

「でもさ」

「ん?」

「楽しかったよね!」

みきがふふふと笑った。

「そうだね(笑)」

僕は憂鬱だったけど、みきのその笑顔が見れただけでとても満足だった。

それから宿泊学習から帰宅すると案の定、親にめちゃくちゃ怒られた。

お父さんもお母さんもかんかんになってて、怒鳴られた僕はまじで泣いた。

でも高校生の姉だけは、僕と一緒に抜け出したのが女の子だと知って「ませてんなあ(笑)」とゲラゲラ笑っていた。

6月下旬。

また普通に小学校に通う日々に戻った。

この頃のみきは宿泊学習に行く前とは打って変わって優しくなっていた。というより、もともと優しい子だったのだろう。

あんなに嫌がっていたかいけつゾロリにも興味を持ってくれて、僕が一冊貸すと夢中になったみたいだった。

「はい、これ」

ある朝、みきが登校してきて僕に読んだ本を手渡した。

「ごめんね、返すの遅くなって。私読むの遅くってさ」

「ううん、全然いいよ!はい、次のやつ」

僕はみきから本を受け取り、新しい一冊を差し出す。

「え、でも…」

みきはそれを受け取るのをためらった。彼女はあと数日で転校していくのだ。

「もしあれならさ、そのまま向こうに持っていってもいいから!」

「そっか…。ありがとう!」

みきは嬉しそうにニコッとして、本を受け取った。

「他にもさ、ゾロリがおならで地球を救う話もあるよ!」

「へー!どんなの?」

みきが楽しそうに僕に聞く。僕は内容をみきに話してあげた。

「それでゾロリが仲間と一緒に、隕石をおならでぷっぷっぷってね!」

「ふふふふ…あははははは!」

みきは僕の話を聞いて、朗らかに笑った。

僕はその笑っている彼女の横顔がとても愛おしかった。

ああ…みき、好きだ…ほんと大好き

ここ最近、ずっと君のことを考えているよ

でもあと数日で君はいなくなってしまう…

だから…お別れする前にみきに僕の気持ちを伝えるんだ!

僕はみきに告白する決心をした。しかし。

みきが転校する前の日。

「それでさ」

「うふふふ」

僕はみきと幸せな時間を過ごしていた。

今日の放課後、みきに告白するぞ!

そう思っていた。

すると僕とみきが仲睦まじくしているのをクラスの友達が茶化してきた。

「おふたりさん、仲がいいねえ。もしかして付き合ってるの?(笑)」

その友達も悪気があった訳ではないと思う。

でも隣を見ると、みきは黙って顔を伏せていた。

「付き合ってないよ(笑)」

「でもお前らさ、宿泊学習の時、夜2人で抜け出したんやろ?(笑)」

小学生は口が軽い。先生に口止めされていても、結局噂になっていた。

僕は席を立って、空気が重くならないように冗談っぽく友達の肩を掴む。

「いや、別々だったから(笑)」

「嘘やん(笑)2人が愛の逃避行をしてたって聞いたよ(笑)」

「してないから(笑)」

友達とつかみ合いをしながら押し問答。そしたらズバリ言われた。

「お前、〇〇さんのことが好きなんやろ(笑)」

この時、軽く否定すれば良かったんだ。

でも僕は図星を突かれてしまって、思いもしないことを言ってしまった。

「いやいや(笑)誰がこんな人と話さない嫌な奴を好きになるんだよ(笑)」

その時、バーンッ!と机を叩いて、みきが立ちあがった。

急な出来事に教室中がしーんと静まり返った。

「私も…別にあんたのこと何とも思ってないから」

みきはカッと目を見開いて僕に言い放ち、そのまま教室を出て行った。

友達は気まずくなったのかそそくさと退散し、教室は何事もなかったかのようにまたみんな会話を始めた。

やってしまった…

ここ最近みきの優しさに甘えすぎてて、彼女が心の底に抱えているものを忘れていた…

みきを怒らせてしまった…傷つけてしまった…

にぎやかな教室でたぶん僕1人だけが落ち込んでいた。

その後、みきが戻って来たから謝ろうと思った。

でも彼女は僕には目もくれず、転校してきたばかりの頃のような感情を失った冷たい表情で席に着いた。

僕は謝れなかった。

そしてみきが転校する日。

みきと会える最後の日なのに、僕は気まずかった。

隣のみきは僕の方を向かず、話もしてこなかった。

でも僕には分かる。

みきは僕を無視するような冷たい子ではない。

僕が言ったことにその時は怒ったのだろうけど、ただただ悲しかったのだと思う。

実際、授業中に何度かみきと手が触れた時、彼女はビクッとした。

みきも気まずかったのだろう。

みきからは最終日はお昼前まで授業を受けて、その後は先生と少しお話してから行くと聞いていた。

でも4時間目の体育にはみきは出ていなかった。

授業が終わって教室に戻ると、もうみきの席からは荷物が無くなり空になっていた。

僕は慌ててすぐに着替えて、職員室の近くに行ってみた。

そしたら隣の応接室の前にご夫婦がいた。

はあはあと息を切らしてきた僕に2人はちょっと驚いていたが、すぐににっこりとした。

「こんにちは!」

「こんにちは…。あの、その」

「もしかして君、〇〇君じゃないかな?」

「え?はい、そうです」

「そっか!私はみきの父親です。いつもみきと仲良くしてありがとう」

みきの父親が僕にお礼を言った。

隣でほほ笑んでいるみきの母親も、みきから聞いていたほど怖そうな人ではなく穏やかだった。

僕は戸惑った。

2人は当然、宿泊学習の時に僕がみきを連れ出したことを知っているはずだ。

でも怒ってもいいはずなのに、2人は優しい表情で僕を見ていた。

僕はその時、それがなぜだか分からなかった。

でもみきの親にしてみれば、転校を繰り返して今まで友達がいなかった娘と仲良くしてくれる子がいたことが何よりも嬉しかったのだろう。

その時、ガチャンと応接室のドアが開いてみきが出てきた。

「終わったよー。あっ」

みきが僕に気づく。

その時のみきの表情は普通な感じで、何か言いたそうに僕を見ていた。

僕もみきを見つめる。

みきの両親は何も言わずに下がり、僕たちを微笑ましそうに見守っていた。

「あ…その」

ごめんね。

その一言を言えばいいんだ。それできっとみきと仲直りできる。

でも言えなかった。

僕は急に恥ずかしくなって、走ってその場を去ってしまった。

終わった…。

とてもあっさりとした最後だった。

僕はお昼からの授業は何も考えられず、ずっとぼーっとしていた。

僕がみきと過ごした日々…宿泊学習で一緒にした冒険…

すべて幻だったのではないか、そう思えた。

放課後になって、僕がしばらく自分の席でまだぼーっとしていると教室に戻ってきた女子が言った。

「みきちゃんに挨拶してきたー」

え!?まだいるの!!?

僕は我に返ってイスの背もたれから背中を離した。

「まだいたの?」

「うん、さっき駐車場のとこ」

「へー、私も行こうかな」

女子たちの会話を聞いた僕は最後のチャンスだと思って駐車場に走った。

そしたらみきはまだいた!

「ちょ、ちょっと待って!」

みきは両親と車に乗ろうとしている所だった。

両親は僕ににこっとお辞儀して、みきに「待っているね」と言って先に車に乗った。

みきが僕のところにやってくる。

「何?」

「あのその…昨日の…ごめんなさい」

僕は息も整わないまま焦って、ろれつが回らなかった。

そんな僕をみきはもう無表情でじっと見つめていた。

「はい、これ。返す。」

みきが僕に本を差し出した。

僕が持って行ってもいいよって渡したかいけつゾロリだった。

「え…でも」

僕が戸惑っていると、みきはバンッ!と僕の胸に本を押し付け、そのまま車に乗っていった。

僕が呆然としているうちに、みきが乗った車が僕の前を通り過ぎる。

運転していたお父さんが申し訳なさそうな笑顔で頭を下げたのが目に入ったけど、僕はもうショックで何も考えられなかった…。

僕はそれまでの人生で一番憂鬱な気分で学校からの帰り道を歩いた。

みきに最後の最後に嫌われてしまった…

こんな結末を迎えるなんて…

どうしてあの時、すぐに謝らなかったんだ…告白しなかったんだ…

僕の頭の中で取り返しのつかない後悔がぐるぐると回る。

その時、何となくみきから返されたかいけつゾロリをめくるとハガキのようなものがはらりと落ちた。

拾って見ると、それは【〇〇くんへ】という書き出しで始まる僕へのメッセージカードだった。

僕はそこに書かれていたみきの言葉を読んで、涙が溢れてきた。

後悔や安堵、悲しさ、寂しさ、そして愛おしさ

いろんな感情が一度に押し寄せてきて、流しても流しても溢れる涙が止まらなかった。

みきに会いたい…おしゃべりがしたい…その愛おしい笑顔を見たい…

だけど僕の思いはもう届かなかった。

その日は快晴、初恋の女の子とお別れをした日。

それ以来、もうみきとは会っていない。

【〇〇くんへ

短い間だったけどありがとう

あなたのことが大好きでした】

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