亜紀のスピンオフ“ドМ女子登場!”より なんと、亜紀に瓜二つの女性がいた。

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私が亜紀と出逢った頃、亜紀は28歳だった。この話は亜紀が20歳の頃の話となる。

彼女がレストランでアルバイトをしていた頃のことになる。土日のかなり忙しいレストランで働いていた時のことだった。

明石原「亜紀ちゃん、3番さんにチーズインハンバーグ、持ってって!」

亜紀「はーい!」

倉科亜紀(くらしな・あき)は、お店の赤い制服を着ていて丸っこい白のエプロンをして黒タイツのミニスカート姿だった。他ウエイトレス2名と40代前半くらいの店長の明石原信之(あかしはら・のぶゆき)が忙しく動いているなか、何もせずぼーっと突っ立っているウエイターの23歳になるフリーターの男、五十嵐悟(いがらし・さとる)がいた。

亜紀「五十嵐さん、ちょっとごめんなさいね。」

亜紀がテーブルに持って行くスプーンの置いてある場所の前を悟がふさいていたので、亜紀が場所を空けるよう要求したのだ。

明石原「おい、五十嵐!この忙しい時に何ぼさっとしとんねん。そんなとこに突っ立っとったら亜紀ちゃんが作業しづらいのがわからんのか?ボン持ってテーブルでも片付けに行かんかい!」※ボン=トレイ

「はい、すいません。」

悟は、トレイを一枚手にしてホールへ向かおうとした。

明石原「何が、“はい、すいません。”や。俺はいっつも言うてるやろ。忙しい時だけは常にホールを見とけって。それにトレイだけ持って行っても何の意味もないやないか。ダスターも持って行かんかい。まったく。なーんも俺の言うことを聞いとらんのやからなあ。」

「ごちゃごちゃとうるさいのう。」

悟は、明石原に聞こえないように小声で言ったが・・・

明石原「おい、五十嵐。何か言うたか?意見があるなら聞こえるように言えや。いらっしゃいませ!」

明石原の後に続いて亜紀たちウエイトレスも「いらっしゃいませ!」と声を出すが・・・

「・・・・・」

明石原「五十嵐!お前も言わんかい!」

悟はお客さんが入店しても無言だったため、明石原が喝を入れた。

「いらっしゃいませ」

明石原「今頃言うても遅い!お客さんが来た時の挨拶は入ってからすぐにせい!それから今のは声が小さいねん。もっとでかい声をだせ!」

悟が明石原から叱られている中、亜紀たち3人は忙しく動いていた。その時厨房の30代後半くらいの調理人チーフ水島陽介(みずしま・ようすけ)がホールの者たちに話しかけた。

水島「おい、この伝票は誰が書いたんや?」

明石原「チーフ、とうしたん?」

水島「どうしたもこうしたもあるかいな!うちのレストランは茶碗がないから茶碗でのライス盛りは出来へんのに、“ライスは茶碗で”なんて書いてる奴がおるんや。」

明石原「あー、五十嵐。お前さっきライスの茶碗が出来るかどうかをお客さんから聞かれとったよなあ?どう答えたんや?」

「それなら・・・」

亜紀「それなら、私です。私が五十嵐さんに出来ると教えてしまいました。」

本当はそうではなかった。悟がお客さんに聞かれている横で亜紀は別のお客さんに別のことを聞かれていて、「はい、出来ます。」と回答したのだが、悟はこれを自分に教えてくれた回答だと勘違いしていたのだ。

とっさに亜紀が悟をかばったのだ。

「それは違います。僕が他のお客さんに倉科さんが回答したことを勝手に勘違いしました。」

明石原「五十嵐、お前早とちりもええとこやなあ。お前がお客さんから聞かれてるのに亜紀ちゃんがそれを回答するわけないやろ。冷静に考えたらわかるようなもんを・・・お前が他のウエイトレスよりも年上やねんから、もっとしっかりしてもらわなアカンねんで。」

繁忙期が過ぎて、店にお客さんが少なくなってきたときのことだった。厨房から水島が出てきて、亜紀に話しかけた。

水島「亜紀ちゃん、なんもあんな奴かばうことあれへんねんで。君までもあいつの悪い病気が伝線してしまうからね。君は、このレストランでは人気者でアイドル的存在やねんから、あいつとは距離を置いたほうがええで。」

明石原「そうやなあ、このお店が繁盛してるのも亜紀ちゃん、君のおかげやで。お客さんから店の若い奴らまでファンクラブが発足してるくらいやもんな。五十嵐がもし君に変なことでもしてきたら俺に言うてや。」

亜紀「変なことって、どういうことですか?」

明石原「それは、君のお尻や太ももでも触ってきたら、痴漢で警察に突き出してクビにでもしたるわ。ぼさーっとして何をしてるんかと目線を追ってみたらいつも3人のウエイトレスの下半身のほうに目をやっとるからなあ。こいつには刑務作業が似合うてるわ。」

悟は、水島と明石原の心無い言葉を横で聞いていて、体をふるわしていた。

「あーそうですか。」

悟は、小声で言った。

明石原「何や。さっきも言うたけど、話しするときはでかい声で言うてくれよ。蚊の鳴くような声ではわからんで。」

悟は、何かを決心したような顔をした。亜紀もその場面を見ていて、何かが起こりそうな予感がしていた。

「じゃあでかい声で話しますよ。こんな店辞めてやる!」

明石原「何、辞めるやと!ちょうどええわ。こっちも以前からお前を辞めさせたかったんや。何か悪いことをしたらこっちから遠慮のお辞めさせられるとこやったけど、お前の方から言うてくれたら、楽でええわ。」

水島「亜紀ちゃん聞いたか?五十嵐が辞めるってよ。」

亜紀「五十嵐さん、ここで短気を起こさんと。お仕事わからんことは私が何もかも教えますから・・・ね。」

「倉科さん、それではアカンわ。君の気持ちはありがたいけど、水島チーフが言うたように、悪い病気が伝線するから、僕は・・・いや・・・俺はここにはおらん方がええわ。」

水島「おー、さっさと出て行けや。茶碗がないことくらい、最初に説明してるよな。お前ここに入ってどれくらいたつねん?1カ月にもなるんと違うんかい!そんなこと俺なんか・・・いやお前以外世界中のみんな一日で覚えられるわ。ホール作業もろくに出来へんし俺ら料理人の作ったオーダーは床に落としたりで台無しにして何べん作り直しをしたことか・・・」

亜紀「水島さん、そこまで言わんといてあげてください。私らよりもあとに入ってきた人がお仕事でミスするのは私らホール係の先輩にも責任がありますから。」

明石原「亜紀ちゃん、俺ら何べんも五十嵐には泣かされてるんや。ひとつも言うこと聞けへんからのう。わからんことは黙ったままで質問すらせえへんし・・・。こいつは今にも俺らをそのナイフフォークで刺そうとしとるで。ほら見てみいや、五十嵐の目ぇを。殺意に満ち溢れてるわ。あー怖ぁ。」

悟は、ナイフフォークに手を伸ばしてナイフを取ろうとしたが、手を放して取るのをやめた。そして、壁にもたれた。

「それだけ言われたら返す言葉がないですね。俺の綻びをたくさん出してくれてすっきりしましたよ。」

明石原「綻びはそんなもんとちゃうやろ、タイムカードを押し忘れとるわ。休憩は、時間になっても戻ってこんとオーバーしとるし、まだまだなんぼでもあるやんけ。」

「俺は喧嘩が出来る男やない。口喧嘩も殴り合いの喧嘩も全く歯が立てへんわ。あんたらにこれだけ綻びを出されたら、謝らなアカンのは俺で、あんたらに謝らせることなんて到底出来るもんやないわ。非があるのは俺の方でしかないねん。」

亜紀「五十嵐さん、喧嘩なんて出来んでもええから、これ以上の争いは止めときましょう。」

水島「亜紀ちゃんはええから。五十嵐君よ、そんなこと当たり前やないか。俺らになんの非があるちゅうんや。」

明石原「辞めるんやろ?はよ着替えて荷物一つ残らず持って帰ってくれや。」

悟は、ロッカーへ向かっていこうとしたが、一つ疑問があると明石原と水島に見えるように人差し指を上に向けた。

「俺は今回辞めることにしたけど、実は逆やったらどうやろなとも思うねん。」

明石原「逆やで?」

「例えば、プロ野球なら審判の判定の不服で抗議をする選手や監督がおるわなあ。プレーする側が暴言を吐いたら、暴力を振るったら、チーフいや水島さん、どうなりますか?」

水島「なんや、その呼び方は?まあええわ。プレーする側は退場になるんやろ?それがどうした?」

亜紀「私。野球のことはようわかりませんけど、どういうことなんですか?」

と亜紀は、明石原に聞いた。

明石原「まあ、それは五十嵐がうんちくを垂れとんのを聞いとこ。俺も何が何なんかようわからんわ。」

「俺は、あんたらを野球の審判みたいに退場させたいねん、辞めさせたいねん。でもあんたらが辞めてしもたらどうなるか?このレストランがまわりませんよね。俺が代わりに店長・チーフの役割をせなアカンことになるわなあ。店長、うんちく垂れてるんやないで。」

明石原「聞こえとったんかい?そうなった場合、お前に店長・チーフの役割などさせへんわ。他から応援呼ぶわ。」

「あっそうですか。それなら楽でええねん。退場させた審判は、自分が選手らの役割が出来へん。そのへんの責任は負ってない。・・・。」

明石原「お前何が言いたいねん。俺と水島を首にでもするつもりなんかい?自分は楽して仕事をするんかい?」

「できればそないしたいわ。けど、辞めさせればどうなるか?プレーする野球チームと審判団は別々の職場で、俺らの場合は違う。同じ職場やから周りはみんな俺に何もかも責任を押し付けるようになるのは当然。わざわざ俺があんたらを辞めさせるなど危ない橋は渡らへんわ。」

明石原「じゃあ、プロ野球チームや審判団がどうやの何の関係もあれへんがな。」

水島「クイズまで出して、無駄な時間を取らせるなや。店がすいてても厨房はやることが山積みなんやで。」

「俺は、退場させる権限を持つ審判が羨ましいというてるんや!喧嘩が出来へん男の西郷隆盛の・・・・・あー、間違えた間違えた、ごめんよ、最後の悪あがきしたるわ。あんたらに反抗するのは怖いけど、これだけは言うといたる。」

悟は、わざと「最後」というべきところを「西郷隆盛」などと間違えて言った。声は客席にまで聞こえるくらいの大声だ。数少ない客が注目していた。これが悟の激高しているパターンとも言える。

亜紀「さ、西郷隆盛・・・」

別のシーンでダジャレを言っているのなら笑うことも出来るが、この殺伐とした雰囲気では、亜紀の心境は複雑なものだった。

水島「なんやそれ、西郷隆盛って?しょーもなー。無駄な時間ばっかり取らせる奴やのう。」

明石原「最後の悪あがきって何やねん?」

「弁護士呼んだるわ。言い訳一つ出来へんから。あんたらの方の綻びを出して、すまんかったと謝らせてやるからね。覚悟しとけや。」

水島「弁護士やて?」

明石原「変わったことを言う奴やなあ。民事でも刑事でもないことで。そんなこと今お前がやりそうになった殺人事件でも起こしてから言えよ。」

水島「事件を起こす前に言うといたろっている腹でしょう。冥途の土産とでも言いたかったんじゃないのかな?」

「ええ年した大人がいつまでも馬鹿にしとったらアカンで。弁護士を呼ぶとそっちにとってかなり不利になるからなあ。金をかけてるのは俺や。弁護士は俺の味方だけをするで。徹底的にお前らつるし上げられるからなあ。仕事のやり方まで変えられることになるぞ。」

悟は少し間をおいて、またしゃべり続けた。

「直訴は天下の御法度と言うけど、その直訴を俺はするんやからな。下手したらあんたらが辞めなアカンことになるかもな。俺は、仕事を辞められたら、あとは極楽やけど、はたして君たちはとうかな?き・み・た・ち・は!妻子がおるんやろ?正社員やし、あとが苦しくなるんとちがうかな?」

悟は、年上の上司に「君」をつけて呼んだ。精一杯の嫌味なのだろう。

水島「直訴は天下の御法度なんやろ?それやったらき・み・も・大罪で罰せられるんと違うんかいな。直訴は止めといた方が、き・み・の・ためでもあるから忠告しといたるわ。」

明石原「そうやそうや。き・み・が・損をするだけや。」

明石原も水島も、悟が言った言葉の揚げ足を取るように言い返した。

「あのね、さっきも言いましたけど、私のほうがお金をかけてるんですよ。僕らはお客さんから給料をもらってると店長・・・いや・・・明石原様はよく言っておられたじゃないですが。お金を弁護士に払う私は弁護士にとって何ですが?お客さんじゃないんですかー?それで捕まるのではたまったもんとちゃうわ。」

明石原「ほう、店長という言い方を止めて明石原様か。精一杯の嫌味やなあ。だったら、直訴は天下の御法度などと言うなや。」

「やかましいわ。お前はなんもわかってないんじゃ。今までのことを謝るなら今のうちやで。弁護士呼ぶのやめたるけど・・・お店辞めるのもやめたるけど、さあ、どうする?」

明石「勝手にせいや。弁護士を呼べるもんなら呼んでみいや。」

水島「弁護士を呼べるだけのお金はあるんかな?まだ1か月だけしか働いてなくて、その前は長いこと無職やったと聞いてるけど、大丈夫?」

「き・み・た・ち・に・心配されるようなことと違うんや。なんや俺が弁護士費用のために借金でもしたらおもろいんかいな?まあ俺が借金だらけになってもき・み・た・ち・に・借金を肩代わりしてもらおうなんてこれぽっちも思ってないから。そいつを恐れてるんなら安心しな。」

悟は、「これっぽっち」と親指と人差し指でをカタカナの「コ」の形をつくって明石原と水島に向けて厭味ったらしく言った。厨房の料理人2~3人とウエイトレス2人が、店長とチーフについて会話をしていた。全員が、五十嵐が可哀想だと言っている。

亜紀「五十嵐さん、もうやめよう。後半の営業も始まるし、私がお仕事が終わったら何でも聞くから・・・」

しばらく、悟と明石原たちの言い争いが続いた。その間に亜紀は休憩室へと入った。休憩室は、ドアを開けると事務所があり、すぐ横には畳六畳くらいのくつろくスペースがあり、その向こうには男女別ロッカーがある。亜紀は自分のロッカーから何かを取り出して女子ロッカーから出てきた後でじっと男子ロッカーを見ていた。そして、事務室の机に座った。亜紀は何をするつもりなのか?

しはらくして亜紀が休憩室から出てきた。

悟はロッカー室に行き、服を着替えて荷物をまとめ、店をあとにした。荷物をまとめていると、何か見覚えのない手紙のようなものがあった。悟は手にしたが、中身を見ずにカバンに入れた。言いたいことは全部明石原たちに言った。しかし、水島に言われた弁護士費用が引っかかるだけた。借金をしたごとがない悟は、借金をする勇気などない。お金をどうするべきか悩んていた。

悟が、店を出て行こうとした時だった。

明石原「おい五十嵐、給料どうするんや?銀行振り込み出来へんで。」

「♪瀬戸ワンタン日暮れ天丼夕波こ〜な〜味噌ラーメン♪」

水島「なんやそれ?わけがわからんのじゃ!」

明石原「・・・・・」

「1972年の流行歌“瀬戸の花嫁”の言葉遊びじゃ。そんなこともわからんのか?」

水島「それはわかるがな。何でそこでそのような歌が出て来るのかがわからんって言うてるんじゃ。」

悟は、休憩室の前からレストランの従業員専用出口まで進んだ。

「セクハラ、パワハラ、明石原!」

明石原「何やと!?」

水島「うわー、言いよったなあ」

「あっそーれ、セクハラ、パワハラ、焼け野原、おっと間違えた。明石原!」

明石原「おい、お前、ええ加減にせえよ!」

悟は。明石原をけなす文句を、名前をわざと間違えて二度続けて言い放った。

水島「これはあいつの方からのイジメやで。弁護士呼んでもあいつに断然不利やな。」

悟は、ドアを開けて一目散に逃げて行った。いつもの帰り道を通った。

明石原「あの野郎、灰皿でも投げつけてやりたかったわ。焼け野原って何やねん。西郷隆盛とか、気ぃ狂うてるで、あいつは。」

水島「やめときましょう、店長。灰皿が汚れるだけで、お客さんに出せんようになってしまいますよ。」

明石原「あっそうや、思い出した。」

水島「何を・・・ですか?」

明石原「五十嵐の野郎、面接のときにやたら楽しそうに話しとったことがあってなあ、それが白血病で亡くなった義理の姉の思い出で、その姉がいつも歌うて(うとうて)くれてた歌が♪瀬戸ワンタン~やったって言うとったわ。」

水島「あっそう?それは知らんかったですねえ。」

明石原「普通面接でそんなこと話せへんもんやねんけど、俺が聞いたことに対しては、答えがあいまいやのに、わざわざ亜紀ちゃんを指さして“あの女の子、僕の亡くなった義理の姉によく似てる”なんてぬかしよるねん。」

水島「亜紀ちゃんを指さしよったんですか?普通の神経しとらん奴ですね。」

明石原「まったくや。“あの時は天国の姉のために1人でも頑張ってるところを見せたいんです。”なんて言うとったのに、あんなやる気のない態度では、姉貴は天国で泣いとるに決まってるわ。」

亜紀は、ウエイトレスの1人中条しおり(なかじょう・しおり)と休憩中に話していた。しおりは亜紀より1つ年上になる先輩だ。

亜紀「あぁ、もう私、五十嵐さんには何も聞いてあげることができへんのでしょうか。ここに戻ってくることなんて二度とないですよねえ。」

しおり「亜紀ちゃん、私ね、この間五十嵐さんをいつも降りる駅で見かけたことがあるねん。」

亜紀「えっ、ほんまに!?しおりさん、確かいつも降りる駅って確か・・・」

しおり「そう、S駅。五十嵐さんは西口方面に向かってたで。あとのことは美幸ちゃんに聞いてみたらわかるわ。」

休憩が終わったしおりは、休憩室を出て行った。美幸とは、もう一人のウエイトレスで春日井美幸(かすがい・みゆき)という。彼女もしおりと同じ駅で降りている。しおりは、美幸から悟とは家に向かう方向が同じだったと聞いていた。しばらくすると、美幸が休憩室に入ってきた。美幸は、亜紀と同い年になる大学生のバイトだ。

美幸「亜紀、しおりさんから聞いたで。五十嵐さんのことを心配してるんか?」

亜紀「美幸ちゃん、五十嵐さんのこと詳しく教えて。お願い。」

美幸「府営住宅に入っていくところは見たよ。でもどの棟かはわからんで。5棟あるところの一角やねんけど、偶然にも会えたらいいよねえ。亜紀、そんなに五十嵐さんのことが好きなんか?」

亜紀「ほっとかれへん人なんですよ。なんか年上やねんけど、母性本能をくすぐられるというか、そんな感じ。」

美幸「まあ亜紀は、そういうところが男性にモテるんやと思うわ。今日入ってない男性陣も亜紀のことを気に入ってる人はおるからね。」

そのとき休憩室に誰かが入ってきた。厨房の男子だった。名前は、麻木賢太(あさぎ・けんた)といって、五十嵐と同い年になる者だ。

賢太「厨房でも言うたけど、チーフも店長もあーいう言い方はよくないと僕は思うなあ。あれじゃあ、五十嵐がふてくされるのも無理ないで。」

亜紀「麻木さん。私、どうしても今日のこと自分が悪いような気がしてしょうがないんです。」

賢太「そやなあ、亜紀ちゃん。君、女性やから五十嵐のところまで行こうとなんかせんほうがええわ。それは何も僕の嫉妬ではないで。僕は五十嵐のことはようわからんけど、もしあいつが女嫌いで君が合えたとして、そのあとで追い返されたりでもしたら、何もかもが無駄足になるからなあ。ここは僕に任せてよ。」

賢太は、亜紀が好きだという気持ちを必死に抑えるように話した。亜紀が悟のことが好きなのなら、自分は身を引いて力になってやりたいと思っていた。

美幸「えー、どうするんですか?」

亜紀「実は私、携帯の番号を書いたメモを五十嵐さんのロッカーに・・・男子ロッカーに入るの恥ずかしかったけど、入れといたんです。なんでも聞きますよと一言書いて。でも、それを見て相手にしてくれるかどうかわからんし。」

賢太「五十嵐のロッカーに?ちょっと見てみるわ。」

賢太は、悟のロッカーを開けてみた。しかし、ロッカーは空っぽで亜紀の言っていたメモは見つからなかった。

賢太「ロッカーの中にはメモはないで。亜紀ちゃん、他のロッカーに間違えて入れたなんてことない?」

亜紀「間違いなく入れました。五十嵐さんが店長らと言い争ってる間にロッカーの名札をしっかり確認してから入れといたから。」

賢太「じゃあ間違いなく五十嵐はメモを手にしてるなあ。読んでるかどうかはわからんけど・・・。俺に任せてなんて言うたけど、もしメモを読んでたら、やる必要ないかな?」

美幸「賢太さん、何をしようと考えてたんですか?」

美幸が、興味深そうに尋ねた。

賢太「限られた範囲やろ、美幸ちゃんの話しがここに入る前に聞こえとってんけど、5棟あるうちのどこかやったら一件一件あたってみて、五十嵐の自宅をつきとめようかと思ってたんや。」

亜紀「五十嵐さんから電話がかかって来ると嬉しいけど、あの人だけは私には興味なさそうやと思うねん。男性のみなさん私のことを亜紀と呼ぶのに、五十嵐さんは倉科と呼んでたし。」

賢太「なんか噂やねんけど、あいつは君ら3人の下半身をジッと見つめてたってみんな言うてるで。・・・。ほら、美幸ちゃん。男がおるのに・・・」

美幸は、亜紀の横で椅子に座り、制服のミニスカートを右横にいる亜紀にわかるよう自分の右足部分を捲り上げて、穿いている黒タイツが破れていないかどうかを気にしていて、太ももを見せていた。

美幸「キャー♥賢太さんったらいやーん♥私の太ももを見ちゃあダメェ♥」

美幸は、右足部分をスカートで隠すしぐさをして、あたかも賢太を誘惑しているような物言いで、嫌がっていないけど嫌がるようなセリフを言った。

賢太「そ、そんな嫌がり方、自分から見せといて可愛い子ぶりっ子・・・いや、甘えん坊をしてええんかなあ?僕チンチンがぐんぐんと膨らんできたぞ―。」

亜紀「私、そろそろ戻りますね。美幸ちゃん、あとはごゆっくりね。」

亜紀が出て行って、休憩室は賢太と美幸が二人っきりになった。興奮していた賢太が、美幸に体を近づけて、畳の上で美幸の太ももを触り始めた。

美幸「キャー♥エッチィ♥やめてぇ♥イヤー♥私の太ももを撫で回さないでぇ♥」

賢太「美幸ちゃん、濃紺ブルマー穿いてるの?」

と賢太は息を切らして聞きながら、美幸の濃紺ブルマーが見えるように黒タイツの一部を破り、濃紺ブルマーのクリトリス部分に興奮しながら手を触れた。

美幸「痴漢除けに穿いてるけど、やだー♥エッチィ♥大切なところに手を触れないでぇ♥賢太さんのエッチィ♥」

賢太「ほんまは嫌がってないんやろ?」

美幸「本当にイヤー♥本当にやめてぇ♥」

賢太「じゃあ、泣いてるの?」

美幸「泣いてるよ。」

などと美幸は言っているが、全然泣いてなどいなくて喜んでいた。

賢太「あと他に首筋舐め舐めやおっぱいも揉んでみたいけど、仕事中やから深入り出来へんのが残念やなあ。」

誰かが、二人が楽しんでいるところに入ってきた。2人は慌てて、行為をやめて、我に返った。「何かやっとったか?」と男子従業員のひとりに聞かれたが、「何もないです。」と賢太が答えた。

亜紀が勤務するレストランは、営業が終わった。亜紀たち3人の女子は、着替えが終わり、店を出ていくところだった。夜の9時前後で外はすっかり暗くなっていた。3人が駅に向かって歩いていると、

「中条さん。」

としおりに後ろから声をかける男性がいた。彼は、レストランの常連客で20代半ばくらいの年齢だ。名前は多々良博史(たたら・ひろし)という。サラリーマン風でネクタイを着けている。なぜ客がウエイトレスの名前を知っているのか。それは彼女の名札をチェックしているからだ。

多々良「先を急いでいるところだね。いきなり声をかけてしまってごめんね。邪魔なら退散するから、気にしないでね。」

しおり「いえ、いいですよ。多々良さん。お話聞きますよ。亜紀ちゃん美幸ちゃん、先に帰ってもええよ。」

多々良「中条さん、ありがとう。嬉しいなあ。」

亜紀「じゃあしおりさん、おつかれさまです。」

美幸「おつかれさまです。今日も一日ありがとうございました。」

亜紀「美幸ちゃん、それ以前にバイトしてたお店で言わされてたことでしょう。私らにはおつかれさまだけでええで。」

しおり「美幸ちゃん、今日の店長やチーフの五十嵐さんに対する言い方を聞いて、私も辞めたいわって言うてたもんね。前の店に戻りたくなったんやないの?じゃあ。多々良さん、行きましょう。」

しおりは、多々良の話を聞くために二人と別れた。亜紀と美幸は駅へと向かった。

美幸「五十嵐さんには私ら“あの”秘密を知られてるしな。」

亜紀「あー、あれね。でも今日は麻木さんとあの後で気を晴らしたんやろ。」

美幸「そうやねんけど、五十嵐さんどう思ってるんやろか?亜紀、電話番号を教えたんやろ?あのことをネタに脅されたりするかなあ?」

亜紀「大丈夫。五十嵐さんはそんな人じゃない。そんな人やったら電話番号を教えてないから。」

美幸「ならええけど。賢太さんは私のことを本気になるかどうかやな。でも私も亜紀と同じで五十嵐さんもええと思うねん。二股はあかんのわかってるねんけど、どうしよ?」

亜紀「分かった。私が何とかする。というても五十嵐さんから電話がかかってきてからの話しになるねんけど、五十嵐さんから電話がかかってくるまで待ってくれる?」

美幸「分かった。じゃあ、電話があったら頼むで。しおりさんも一緒に。あ、もう駅に着いたわ。」

一方しおりは多々良の話を聞いていた。近くにある公園のベンチに腰かけている。

しおり「多々良さん、先日は手作りのクッキーありがとうございました。とっても美味しかったですよ。」

多々良「あ、ありがとうございます。でもさっきは急に君の名前を呼んだりしてびっくりしたよね?もし、危険を感じたら真っ先に彼氏の元に帰ってもええからね。」

しおり「か、彼氏・・・ですか?」

多々良「って言うか旦那さんかな?」

しおり「私、結婚しているように見えるんですか?」

多々良「違うの?じゃあ彼氏?結婚してるくらい年を取ってるという意味ではないからね。」

しおり「わかってますよ。」

多々良「君が21歳ってことはこの間上司の人が“もう21になったんや。”とか言うてるのを聞いて知ってるから。」

“違うの?”と多々良は嬉しそうに笑った。偶然聞こえてきたレストランのスタッフ同士の会話が聞こえたのだ。

多々良「おうちで待ってる彼氏のところに帰るんならええよ。」

しおり「私には彼氏も旦那もおりませんよ。でもそれも誰かが話してたんですか?」

多々良「そうじゃなくて、実は・・・用件を言うね。でも軽蔑されるかもしらんことやから、もし軽蔑したなら僕の方から退散するから。」

しおり「いいです。何でも言うてください。」

多々良「ぼ、ぼ、ぼ、僕はすごいフェチ男で・・・君がこの間客席に座ってたところを見て、なんかもうひとりのウエイトレスの子としゃべっているところを見とって。その、君が太ももの上に手を置いて太ももの上で勢いよく手をすべらせてるのを見て、なんかその・・・」

しおり「あー、あの時のことですね。あの子元ウエイトレスで私の親友なんですよ。じゃあ、その後のことも?」

多々良「はい、ジーっと見てました。ごめんなさい。悪いのはわかってたのにどうしても興味を押えられんで、つい。」

しおり「私もタイツの破れが気になってついスカートを捲り上げてしまったんですよ。仲のええお友達と集まったりしたときは無防備になってしまうんですよ。お恥ずかしいところ私の方こそごめんなさい。」

多々良「もう僕ええ年になるのに・・・あれが・・・えーっと・・・すごいことになってるわ。」

しおり「あーほんま。すごいことになってるのがズボン越しによくわかります。」

多々良「中条さん・・・いや、しおりさんがせっかく僕のために二人きりになってお話を聞いてくれてとても嬉しいです。だから思い切って聞きますね。太ももを触ってもいいですか?あーいやいや。そんなのええ訳ない。僕は痴漢や。警察につきだしてください。」

しおり「多々良さん。すごく興奮してますね。少し気持ちを静めましょうか。」

しおりは徐々に体を多々良に近づけていった。

多々良「し、しおりさん。とってもええ香りがする。触っても・・・ええの?」

しおり「もちろんええよ。多々良さんのことはいつも好感が持てる人やと思ってましたから。私の太ももを触ってもええよ。」

多々良「じゃ、じゃあね、僕のお願いを一つ聞いてくれるかな?触った時に“キャー♥エッチィ♥やめてぇ♥”なんて甘えん坊をされると、ただでさえ可愛いしおりさんが可愛い子ぶりっ子をすると余計に触りたくなるし、他のこともやりたくなるから、触られたくないと思ったら逃げてくれたらええからね。じゃあ触るよ。」

と多々良は、ミニスカートを捲り上げて太ももを見せているしおりと体を密着させて、彼女の太ももに手をのせた。

多々良「すごくええ気持ちぃ~」

多々良は、しおりの太ももを膝小僧から付け根までスカートがめくれるくらい触りまくった。

しおり「キャー♥イヤーン♥エッチィ♥やめてぇ♥」

多々良「しおりさん、それ甘えん坊で言うたらアカンって言うたのにぃ。」

しおり「私の太ももを撫で撫でしないでぇ♥それで他に何がやりたくなるの?」

多々良は、しおりのストレートのロングヘアに指をからませて、しおりの髪の香りを楽しみながら、いじっていたのだ。しばらくしてしおりが多々良のやりたいことを悟ったようだ。そしてしおりは自分の髪をかき上げて、自分の頬っぺたを多々良の口元に近づけたのだ。

多々良「まず先にこうやって僕の頬っぺたと君の頬っぺたを重ねあってスリスリ」

しおり「キャー♥ダメェ♥やめてぇ♥頬っぺたをスリスリしないでぇ♥」

多々良は、もうしおりには何も聞かず、首筋を舐め回し始めた。

しおり「イヤーン♥ダメェ♥やめてぇ♥首筋を舐め舐めしないでぇ♥赤ちゃんできちゃう♥」

多々良「えー、嘘や。赤ちゃんなんか出来るかいな。」

しおり「冗談よ。」

多々良は、しおりの耳たぶも舐め回した。しおりの言葉は「イヤーン♥ダメェ♥やめてぇ♥」の決まり文句で、多々良はおっぱいにも手を伸ばし始めた。

一方、悟だが家へ帰ったあとは無気力に過ごしていた。歯を磨いて寝ようとしたが、亜紀が自分のロッカーに手紙を入れていたのを思い出し、カバンを確認した。亜紀の手紙を出して、手紙を読んだ。悟の部屋には、本棚の上に亡くなった義理の姉・真美子(まみこ)の遺影が飾ってあった。真美子は亜紀と瓜二つだ。しかし、悟は、義姉の真美子よりも亜紀の方が気になって仕方がなかった。

【五十嵐さん、私に何でも話してください。必ず貴方の力になります。私の電話番号を書いておきます。〇〇〇―〇〇〇〇―〇〇〇〇LINEID△△△〇〇〇〇倉科亜紀】

「倉科さん、で、電話番号まで。そんなにまでして俺のことを・・・」

悟はつぶやいた。この手紙を読んで悟は亜紀のことが気になりだしたようだ。あの時見た光景、3人のウエイトレスが言っていた“ある秘密”悟はそれを思い出していた。

«悟の見た光景・回想»

事務所内で帰宅時に亜紀としおりが畳に脚を伸ばして座って楽しく雑談をしていた。美幸も会話に加わっていた。悟はロッカーで着替えが終わり、出て来ると3人が無防備に振る舞っているところを目撃してしまったのだ。美幸は素足の黒ハイソックスで体育座りをしていた。悟の正面からみて、美幸のスカートの中が丸見えだった。

美幸は濃紺ブルマーを穿いていた。亜紀は、黒タイツ脚の上で膝小僧あたりから付け根のほうまでゆっくりと3~4回手をすべらせていた。しおりはベージュタイツで、太ももの上で何度か太鼓をたたくようにパチパチとたたいていた。そのあとで「太ももが腫れてしまったかも」とか言ってスカートを捲り上げて、腫れあがっていないかをチェックした。太ももをチラリとさせていたのだ。

そのあとで亜紀が立ち上がって、大胆にも両手を自分のスカートに突っ込んで、食い込み直しを始めたのだ。「こんなことをしたら逆にタイツが破れてしまうわ。」とか言って自分のやったことを自分で非難していた。悟は、3人のとりこになってしまった。悟の目線に気づいた3人は・・・

美幸「キャー♥」しおり「キャー♥」亜紀「イヤーン♥」

「ご、ごめんなさい!」

悟は、3人の無防備な振る舞いにとても興奮していて、チンチンが硬くなっていたのだ。しかし、悟は3人の相手をすることもなく、3人が可愛らしく嫌がっていない悲鳴をあげたのを聞いて、その悲鳴を本気にしてしまい、そそくさと店を出て帰ってしまったのだ。

亜紀「あーあ五十嵐さん、気づいてくれへんかったね。一緒に遊びたかったのになあ、残念。」

しおり「これで五十嵐さんがお仕事に力を入れてくれたら嬉しかったのにね。まさかと思ったんでしょうね。」

美幸「でも私よくわかったよ。五十嵐さんはかなり興奮してた。黒ハイソックスで濃紺ブルマーはいけると思うわ。」

以上がウエイトレスたちが言っていた、悟に握られていた“ある秘密”である。明石原に3人の美脚を見ていたことを突き止められたが、このことがあったために悟はずっと亜紀たちの美脚が気になっていたのだ。悟は、そのシーンを思い出しながら、ベッドに寝ころんでオナニーを始めたのだ。

しばらくして、悟は、亜紀に真美子を重ね始めた。よく似てる。容姿だけでなく声も話し方も自分に対する愛情も。ただ違うのは亜紀は年下だから、真美子の代わりにはなれない。「お姉ちゃん」と真美子が生きていたころはよく甘えていた。2人が出会ったのは、悟の父と真美子の母が再婚したときだった。悟8歳、真美子20歳だった。二人が初めて顔を合わせたときは、真美子がこう言った。

真美子「悟ちゃん、初めまして。真美子といいます。これからは私が義理のお姉ちゃんだからね。いくらでも甘えてくれていいのよ。よろしくね。」

真美子は母親と一緒に埼玉から悟の住む大阪へと引っ越してきたのだ。父親の暴力や母親のギャンブル癖などが原因で、真美子は悟を連れて家を出たのだ。真美子の父親が手を貸して小さなアパートで真美子と悟が生活していけるようにしていたのだ。二人で暮らすことになった。真美子は、姉として悟のことを誰よりも可愛がっていた。悟が学校でいじめられて泣いて帰ってきても

真美子「悟ちゃん、辛かったね。お姉ちゃんがいつもそばにいるからもう安心だよ。」

と言ってくれたりした。悟は、いつも辛かったり苦しかったりした時には真美子が優しく慰めてくれた。それから真美子にコクる男性がいても、真美子は悟のために断っていたのだ。

«悟の真美子との想い出・15年前の回想・亜紀はどこかで5歳だったが、ここでは出てこない。»

悟は学校から帰宅途中に、真美子が真美子より年上と思われる男性にコクられているところを自宅アパートの入り口あたりで目撃していた。その男性は「真美子ちゃん、君のことがずっと気になっとってん。僕と付き合うてくれへんか?」と言っていた。真美子はもちろん断ったのだが、悟は真美子がどう返事するかを確かめずに自宅に戻った。

夜の9時。二人は布団を引いて寝ていた。悟は明日も学校、真美子も仕事がある。真美子は、スーパーの店員をしている。悟は真美子に布団の中で聞いた。

悟(8歳)「お姉ちゃん、お嫁に行くの?」

真美子「うーん、行かないよ。お姉ちゃんには悟ちゃんがいるから、悟ちゃんをこの部屋にひとりぼっちにしてお嫁になんか行かないわよ。」

真美子は首を振って否定した。悟が弟として大切であることを伝えたかったのだ。

悟(8歳)「ずっと僕のそばにおってくれるの?お姉ちゃんと離れ離れになるのイヤや~」

真美子「もちろん。私はずっと悟ちゃんだけのお姉ちゃんだから、お姉ちゃんはどんなことがあっても悟ちゃんのそばから離れないから、もう泣かないで。」

と真美子は泣きだした悟を自分の布団の中に入れて、抱きしめた。

真美子「涙を拭いてあげるね。お布団で拭いたら汚れちゃうから・・・」

真美子は、涙を流している悟の左頬に自分の右頬を当ててスリスリしたのだ。

悟(8歳)「なんか気持ちええなあ。お姉ちゃんの頬っぺたって、柔らかくてふわふわしてるね。」

真美子「えっ、本当に?もっとしてあげようか?」

悟は再度さっきとは左右逆の頬っぺたをスリスリしてもらった。

悟(8歳)「わーいわーい、何べんやってもらっても気持ちええわ。」

真美子「ところで悟ちゃん、こんな歌を知ってる。♪瀬戸ワンタン日暮れ天丼夕波こ~な~味噌ラーメン♪」

悟(8歳)「あ、知ってる。でも、その歌って・・・」

真美子「そうね。幼い弟のお姉ちゃんが瀬戸へお嫁に行っちゃうって曲だよね。そんな歌なんて歌って欲しくないよね?」

悟(8歳)「歌って欲しくないに決まってるやんか~。お姉ちゃん、僕のためにお嫁に行けへんって言うたのに。お姉ちゃん、どこにも行ったらイヤや~。」

8歳の悟は、泣きかけたが・・・

真美子「お嫁になんか行かないのは本当よ。でもね、ちょっとだけ歌詞を変えて歌ってみたいの。」

真美子も泣きそうになったが、悟を抱きしめて泣くのを止めた。「私が泣いていたのでは示しがつかない。」と真美子は思った。そしてまた悟が涙を流して泣き始めたので、さっきと同じように頬っぺたを当てて涙を拭くようにスリスリしたのだ。

真美子「悟ちゃん、もう涙はおしまいだよ。泣いてなくてもスリスリならいつでもしてあげるんだからね。」

悟(8歳)「うん分かった。もう泣かへん。」

真美子「そうだね、悟ちゃん強い子強い子。よし、じゃあ。続きを歌うね。でも字余りになっちゃうかもね。」

悟(8歳)「字余りでも葉遊びやから普通やで。」

真美子「あっそうか。じゃあお姉ちゃん、自信を持って歌うね。♪♪瀬戸ワンタン日暮れ天丼夕波こ~な~味噌ラーメン♪悟ちゃんとだケーキ一緒に暮らすき焼き♪」

悟(8歳)「お姉ちゃん、ええ曲や。もっと続きが聴きたい。」

真美子「まだ歌詞を考えてなかった。歌ってみたいなんて言ったのにごめんね。続きは明日にして、もう寝ようね。ワンタンも天丼も味噌ラーメンも、それからケーキもすき焼きも、お姉ちゃんがたくさん食べさせてあげるからね。そのためには明日もお仕事を頑張らないとね。悟ちゃん、お姉ちゃんのそばにおいで。寝るのもお風呂に入るのも毎日一緒だよ。」

悟の想い出はここで二人が就寝して終わる。真美子が亡くなってしまうのは、それから5年後のことだった。真美子享年25歳。悟13歳の時だった。

翌日になって、悟は亜紀にLINEメールした。

«LINEメール内容»

「倉科さん。いや、亜紀さん。お話しをしたいことが、山ほどあります。電話をしてもええかなあ。」8:30

亜紀「もちろんいいですよ。五十嵐さん、いえ、悟さんのお話しをたくさん聞きます。今日は私公休日なんです。LINE電話待ってます。」8:33

このメールを読んだ悟はすぐに亜紀にLINE電話をした。そして悟は、亜紀に「会うて話しがしたいなあ。」と言った。亜紀は、会うことを即ОKした。

亜紀と悟は、大阪市内のあるショッピング街で逢った。二人ともかなりおめかしをしている。亜紀は、黒タイツと緑のミニスカートを穿いていた。亜紀は、悟の義理の姉のことは知っていたようだ。でも、義理だということは初めて知った。明石原が亜紀に雑談時に話したのだ。だから、自分が義姉によく似ているということも知っていた。亜紀は、悟の義姉・真美子との想い出話しを聞いた。

亜紀「悟さん、とってもええ話しですね。義理のお姉さんってとっても優しかったんですね。」

「亜紀さんの香りは、お姉ちゃんと同じ香りやで。」

亜紀「香りまでですか?亡くなった時は話しを聞いてるだけでも・・・私・・・」

亜紀は感動して、涙声になった。

亜紀「ごめんなさい。まるで天使のようなお姉さんやったんですね。悟さんのために結婚もせずにずっと生涯お姉さんでいてくれたんですね。そのためにぎゅっと抱きしめてくれた・・・瀬戸の花嫁の言葉遊びは、お姉さんの想い出がこもったお話しやったんや。」

亜紀はここで一息入れて持っていたペットボトルの飲料水を口にした。

亜紀「泣き出したら頬っぺたスリスリで涙を拭いてもらってたんですね。あー、なんか久しぶりに心温まる話を聞いたわ。私の26歳になる兄ちゃんは、私のことなんかどうでもええなんて言うてさっさと結婚してしまったんですよ。」

「僕ね、昨日は自分はこんなに自己主張ができるんやと自分でも驚いてるねん。僕って、仕事は出来へん、みんなに迷惑ばっかりかけてるだけの能無しで、亜紀さん、こんな僕のこと何でも聞いてくれてほんまにありがとうね。」

亜紀「いえいえ。悟さんは何も能無しなんかじゃないです。みんなが汚したあとはお掃除をしてくれてたし、気が利くところもあります。店長もチーフもそれに気づいてないんですよ。あんな人ら上司として失格や。私も近いうちにあのお店辞めるつもりです。美幸ちゃんも、しおりさんも、辞める言うてるし。それから麻木さんって厨房の人も上司2人を嫌ってて辞めるそうです。」

「麻木さんって確か僕と同い年とか言うてた人やったかなあ。」

亜紀「そうです。悟さんと同い年ですよ。麻木君でええんと違いますか?麻木さんは“五十嵐”と呼び捨てでしたよ。」

「まあ、今後会うかどうかはわからんわ。」

亜紀「あのね悟さん。私、お姉さんの真美子さんの生き写しみたいになってるとすごく嬉しいんやけど、悟さんと義理のお姉さんの関係は、もしかしたら、お姉さんが今でも生きてたら二人は義理の姉弟やから恋人同士になって、結婚までしてたんやないかなあと思うんです。」

「実は僕、お姉ちゃんには少し恋心を抱いてたなあ。」

亜紀「姉と弟から始まる恋物語をやってみたいなんて考えてるんやけど、私と悟さんでやってみたいなあ。」

二人のいる場所はショッピング街だ。たくさんの人が行き交うところでもある。

亜紀「人の通ってへんところまで行きましょうか。」

二人は人通りのない場所までたどり着いた。小さな公園だった。

「僕と亜紀ちゃんで。姉弟ごっこするんやな。」

亜紀「悟さん、初めて私を“亜紀ちゃん”と呼んでくれた。嬉しいなあ。」

「お姉ちゃんの“ちゃん”と一緒になってもうたんやで。」

亜紀「それでもええよ。私、悟ちゃんのお姉ちゃんになりたいねん。悟ちゃん、お姉ちゃんのそばにおいで。」

「うん、うん、亜紀お姉ちゃん。ずっと・・・ずっとお嫁に行かんといて。どこにも行ったらイヤや~お姉ちゃ~ん。」

他人が見たら変に思われるシーンとなっている。亜紀より3つも年上の悟が弟になって、年下の亜紀に「お姉ちゃん」と真美子を想い出して甘えているのだ。亜紀も自分のことを悟に対して「お姉ちゃん」と言っているのだ。

悟は、亜紀に抱きしめられて、真美子と同じ匂いをここで感じていた。

亜紀は、悟が涙を流しているのを見て、真美子と同じように頬っぺたをスリスリしてあげたかったが、人目を気にして少し当てただけにした。

「亜紀お姉ちゃんも、真美子お姉ちゃんと同じで頬っぺたが柔らかくてふわふわしてるね。」

亜紀「悟ちゃん、ありがとうね。ちょっとしか出来へんかったけど、あとでお姉ちゃん頑張って、もっともっとしてあげるからね。でも。悟ちゃん。もう涙はおしまいやで。」

「うん分かった。もう泣かへん。」

亜紀「そうだね。悟ちゃん強い子強い子。泣いてなくても、いつでもスリスリしてあげるんやからね。」

真美子に抱きしめてもらい、頬っぺたをスリスリで涙を拭いてもらった、あの想い出の布団の中と全く同じ会話となっているが、亜紀と真美子の違いは、悟より年上か年下か、関東弁か関西弁か、ただそれだけである。

亜紀「♪瀬戸ワンタン日暮れ天丼夕波こ~な~味噌ラーメン悟ちゃんとだケーキ一緒に暮らすき焼き♪」

「歌い方までお姉ちゃんにそっくりやなあ。」

亜紀「ほんまに?私って何から何まで真美子さんに似てるんや。じゃあね、悟ちゃん、お手々つなごう。今日は一日中お姉ちゃんと遊ぼうね。」

「うん!」

真美子との楽しかった想い出の中に亜紀が入り込んで来て、悟の心は満たされていた。

そして数日後、悟は、亜紀だけでなくしおりと美幸とも会うこととなった。この間悟が逃げ出した時の続きをやることにしたのだ。場所は悟の自宅と決まった。

亜紀「悟ちゃん、お部屋綺麗にしてるやん。お姉ちゃん嬉しいなあ。」

しおり「ほんまや。綺麗にしてる。」

美幸「まるでホテルみたい。こんなお部屋でこの間の続きが出来ると思ったらワクワクしてきたわ。」

3人は、悟の綺麗な部屋を見て絶賛した。悟は先に3人のために作っておいた料理を提供した。ロールキャベツを作っていたのだ。亜紀は、緑のミニスカートで黒タイツ、美幸は黄色の分厚い生地で出来たミニスカートで黒ハイソックスを穿いている。おそらく中には濃紺ブルマーを穿いているものと思われる。しおりは、小さくて白色の水玉模様が入った水色のミニスカートでベージュタイツだ。

亜紀「うん、美味しいわ。悟ちゃん、料理やりたかったんか?」

「うん、やりたいとは思ってるけど、いざそれでお金をもらう、つまり仕事をするとなれば、また話しは別やな。」

しおり「無理に料理人を目指すなどと考えることはないと思いますよ。他人の評価なんて千差万別で美味いと言う人もおれば、不味いと言う人もいますから。」

美幸「みんながみんな悟さんの料理を認めてくれたらいいんですけどね。」

亜紀「瀬戸の花嫁の言葉遊びやもんね。」

「そうやねん、僕がこの歌嫌いやと真美子お姉ちゃんの前でお嫁に行ったらイヤや~とメソメソ泣きだしたら、お姉ちゃん全部替え歌を作ってくれたんや。」

亜紀「ケーキ・すき焼きと出てきて、次がロールキャベツやもんね。」

しおり「その次が・・・どんな歌詞になってるの?」

「原曲は、♪若いトンカツ誰もガンモドキ心配するけれドーナツ♪やけど・・・」

亜紀「♪おふロールキャベツおふトンカツオフには一緒にくじゃが♪ロールキャベツはロールケーキでもええんやで。」

しおり「んー、ちょっと待って。その歌詞は・・・・・♪お風呂お布団オフには一緒に♪」

美幸「最初に悟ちゃんとだけ一緒に暮らすと出てきてる訳やから、一緒にというのは、真美子さんと悟さんや。」

しおり「仕事も学校もないオフの時間は・・・悟さん、真美子さんはいつも一緒だよと言うてくれてるんや。」

美幸「8歳と20歳で信じられへんけど、恋人同士も同然ですよね。」

亜紀「お布団の中では抱きしめてくれたうえに泣き虫さんをしてたら頬っぺたスリスリしてもらってたもんね。あっそうや。この間私、スリスリ出来てなかったんや。悟ちゃんごはんが終わったらスリスリしたいね。」

「うん、やりたいやりたい。柔らかくてふわふわをもっと感じてたいなあ。」

美幸「お風呂お布団オフには一緒に・・・この歌詞の続きも聴きたいなあ。」

「♪私の大事なすマーホー弟とふたりんごパイ♪」

しおり「なるほど、上手に歌詞が出来てるわ。でもなんか私・・・泣きたくなってきた。原曲では弟と別れることになるのに、ずっと悟ちゃんを大切にしたいお姉ちゃんの気持ちが出てる歌詞やわ。」

美幸「私もですよ。悟さん、ロールキャベツとっても美味しかったです。」

しおりは歌詞の中に真美子の悟に対する気持ちを読み取り、泣かずにいられなくなったのだ。次に美幸がしゃべりながら体育座りをして、この間と同じようにミニスカートの中の濃紺ブルマーを見せつけた。

亜紀「美幸ちゃん、私をさしおいて、ずるい!」

「亜紀ちゃんごめん。美幸ちゃんの黒ハイソックスと濃紺ブルマーにおもいっきり反応してきたわ。先に美幸ちゃんとやるね。嫌やったら嫌と言うて。」

亜紀「ちょっとだけ辛いけど、今日一日だけやし、全然いいよ。」

美幸「亜紀、今日一日だけやからね。私は無料奉仕のセクキャバ嬢。キャー♥悟ちゃん、濃紺ブルマーを見ないでぇ♥」

「美幸ちゃんもいい香りがするわ。じゃあ靴下に・・・」

悟は、美幸のハイソックスに指を突っ込み、ゴソゴソと指を美幸の靴下の中で動かしてみた。

美幸「キャー♥エッチィ♥やめてぇ♥イヤー♥靴下に指を突っ込まないでぇ♥」

「じゃあ出すよ。」

悟は、靴下から指を出したが、すぐに美幸の太ももを撫で始めた。

美幸「キャー♥エッチィ♥やめてぇ♥イヤー♥太もも撫で撫でしないでぇ♥」

悟はじっくり美幸の太ももを責めて、次に濃紺ブルマーの太ももの付け根に近い部分に人差し指を突っ込み、ブルマーを持ち上げて指を出して、パッチンと音をさせてブルマーを下へ離した。

美幸「キャー♥悟ちゃんったらイヤーン♥ブルマーをパッチンしないでぇ♥」

悟は、美幸の右頬っぺたに自分の左頬っぺたをあててスリスリし始めた。

美幸「キャー♥やだー♥やめてぇ♥8歳でこんなことをお姉ちゃんと一緒にやってたん?泣いてたら涙拭いてくれたんや。」

しおり「私もやってみたい。」

しおりは、悟の右頬っぺたに自分の左頬っぺたをあてた。そして悟は、しおりの頬っぺたに集中し始めた。しおりを押し倒してスリスリした。

しおり「キャー♥悟ちゃんったら、イヤーン♥私、ちょっとあてただけなのにぃ♥」

「しおりちゃん、綺麗な美脚をしているね。」

と意味が重複した言い方で言って、悟はベージュタイツを穿いたしおりの太ももを撫で回した。

しおり「キャー♥エッチィ♥やめてぇ♥イヤー♥私脚で誘惑してないのに・・・太もも撫で撫でしないでぇ。」

「でも、畳の上でのことはよお覚えてるで。バチバチしてたから、まだ腫れたまんまやないのかな?」

しおり「もう腫れてないからやめてぇ♥」

「二人とも全然嫌がってないね。」

美幸「本当にイヤー♥」しおり「本当にイヤー♥」

美幸&しおり「本当にやめてぇ♥」

「じゃあ、二人とも泣いてるの?」

美幸&しおり「泣いてるよ♥泣いてるんだから♥」

本当は、二人とも嫌がってなどなく、泣いてなどもなかった。

美幸「さあ亜紀、ここへどうやって入って来る?」

しおり「横は私ら二人が占拠してるで。」

亜紀「うんそやなあ。私は悟ちゃんを独り占めしたいから、あとでゆっくりと“ドМ女子”になるわ。」

美幸「なるほとドМ女子か。」しおり「うまく言うたなあ。」

「いじめられると可愛らしくなるっていうの僕は好きやなあ。でも真美子お姉ちゃんには。僕の方から頬っぺたにあてたことはなかったなあ。スリスリしてってお願いしたらしてくれてた。」

しおり「ねえ悟ちゃん、私どう?頬っぺたは。」

美幸「あっ、それ私の方も知りたい。」

「もちろん。柔らかくてマシュマロみたいにふわふわしてるで。」

しおり「わー嬉しいマシュマロやって。」

美幸「亜紀ちゃん、聞いた?」

亜紀「あ・、悟ちゃん。お姉ちゃんの頬っぺたのことはどうなん?マシュマロみたいなんて言うてくれてないやん。」

「片方ちょこっとだけでもマシュマロ3つ分くらいやな。」

亜紀「即答やんか。こういうときはちょっと考えて誉め言葉を言う人が多いけど、私のことだけは、どんな時でも忘れてくれてないんや。嬉しい。」

美幸としおりは帰って行った。悟の部屋には、悟と亜紀の二人きりになった。

「なんかちょっと変な気持ちやなあ。今日一日だけのアバンチュールやったわけやけど、僕と亜紀ちゃんだけのデートでないとアカンのに美幸ちゃんとしおりちゃんにまで楽しませてもろたって。他にもやってる人っておるんかなあ?」

亜紀「意外とおると思うで。もしかして真美子お姉ちゃんも悟ちゃんの知らんところでやってたかもね。」

「いや、やってようがやってなかろうが何とも思わへん。だってお姉ちゃんはお嫁に行くなんてことなかったから。ほんまは好きな男性のもとに行きたかったと思うわ。僕、わがままばっかり言うて、お姉ちゃんの幸せをこわしてもうたんかもしらんなあ。」

亜紀「悟ちゃん、そんなことはないと思うなあ。お姉ちゃんにコクってた男性に会ったことってある?」

「コクってたかどうかわわからんけど、一度あるわ。その男性はこう言うた。」

『悟君、ええお姉ちゃんを持ってるなあ。義理やとは思えんわ。ずっとお姉ちゃんに仲良くしてもらいや。』

「なんて言うてた。今思えば、その人がコクってた人で、自分から僕のために身を引いてくれてたんやと思うわ。あー、その人に悪いことをしたなあ。お姉ちゃんにお嫁に行かせてあげなアカンかったわ。」

亜紀「うん、その可能性は高いなあ。でも、自分でなにもかも納得してお姉ちゃんを悟ちゃんに譲ったんやないかと思うなあ。どうしても結婚したいんなら、お姉ちゃん以外で悟ちゃんが幸せになるにはどうしたらええかを話してたと思うで。言うてたの、それだけやった?」

「うん、それ以降全然会うた覚えがないで。」

亜紀「たぶんやけど、その人身を引いたと思うわ。相手が成人男性やったら、身を引かずにねばってたと思うわ。あっそうや、真美子お姉ちゃんと関係のあった人たちは、その男性と・確か、真美子さんにお父さんがおったって言うてたねえ?」

「うん、おった。このお姉ちゃんのお父さんって人が、僕とお姉ちゃんを二人で暮らせるようにアパートの敷金から冷蔵庫や布団まで用意してくれてん。このお父さんには何度もあるところで会うてるけど・・・」

亜紀「あるところってどこなん?私、真美子さんに関係した人らに会うてみたいねん。私を見たときの反応ってどんなもんか知りたいねん。」

「そら瓜二つなわけやから、生きてたんかと驚くやろなあ?」

亜紀「やっぱりやめとく。反応見るためになんてその人たちに失礼や。私なんてことを・・・」

「義理のお父さんには新しい恋人が出来たと紹介出来るから、合わせてもええで。ただ、コクった男性と思われる人は今どこにおるんかがわからんで。」

亜紀「義理のお父さんは、どこにおるの?」

亜紀が、ミニスカートの裾を少し持ち上げて黒タイツの太ももチラリした。悟のチンチンはむくむくと大きくなってきた。

「そんなことより、君の美脚太ももを触りたい~。」

亜紀「キャー♥イヤーン♥エッチィ♥やめてぇ♥私の太ももをを撫で回さないでぇ♥」

「さあ、次は想い出の頬っぺたスリスリやで。」

亜紀「キャー♥イヤーン♥やめてぇ♥頬っぺたスリスリしないでぇ♥悟ちゃん、ダメェ♥お姉ちゃんにそんなこと・・・ダメェ♥」

悟は、「お姉ちゃん」の言うことなど聞かず、首筋→頬っぺた→耳たぶの順に舐め回した。

亜紀「キャー♥ダメェ♥やめてぇ♥イヤー♥首筋舐め回さないでぇ♥お姉ちゃんの言うこと聞きなさい♥」

そして、亜紀の衣服を脱がし、ブラジャーを取ろうとすると、悟は真美子との想い出の中で、一緒にお風呂に入ったことを思い出した。

«悟の真美子との想い出・15年前の回想»

ある日のこと。悟は、真美子とお風呂に入っていた時のことだった。前回の回想どおり、お風呂の中でも悟は真美子に頬っぺたスリスリをしてもらっていた。

悟(8歳)「わーい、わーい。頬っぺたスリスリはメチャメチャ楽しいなあ。」

真美子「じゃあ、今度はお姉ちゃんが体を洗うから、お風呂出るね。」

と言って、真美子は湯舟から出た。

悟(8歳)「お姉ちゃん、おっぱい大きいね。」

真美子「キャー♥見ちゃあダメェ♥・・・・・こら、悟ちゃん。どこを見てるの?」

真美子の怒り方は優しかった。だが真美子は、姉と弟なんだからと、自分で自分に言い聞かせて少し悟に厳しくしたつもりだった。

悟(8歳)「少しだけ突っついてみてもええ?」

真美子「ちょっとだけならいいよ。でも本当は姉弟(きょうだい)でこんなことダメなのよ。」

真美子は、お風呂に誘ったのは自分だからと少しは悟のお願いを聞いてあげたのだ。悟は、真美子のおっぱいを人差し指で突っついた。

真美子「キャー♥悟ちゃんのエッチィ♥おっぱい突っついちゃイヤーン♥」

悟(8歳)「そんな甘え方してたら、もっと突っつきたくなるやんか。姉弟ではやったらアカンことなんやろ?」

真美子「じゃあ、もう出ようか?」

悟(8歳)「あ、お姉ちゃん。ちょっと待って。」

と真美子は言って、悟の制止を振り切り、小さい悟の体の両脇に手を入れて持ち上げて、悟を湯舟から出した。

悟(8歳)「待ってって、もぉ~。」

真美子「あー、悟ちゃん。いけないんだ。こんなにおチンチンが硬くなってるじゃない。」

悟(8歳)「そやから待ってって言うたのにぃ。恥ずかしいなあ。」

とここまでを悟は、思い出していたが、実は亜紀とエッチの真っ最中であった。

亜紀「悟ちゃん、また真美子お姉ちゃんとの想い出にひたってたな。どんなことをしてもらっとったん?」

「一緒にお風呂に入った時におっぱいを少しだけ突っつかせてもろたわ。でも僕、そん時からお姉ちゃんのことをひとりの女性として見てたなあ。こうやってこうやって突っついてたなあ。」

と亜紀のブラジャーを外して、おっぱいを真美子と同じように突っついた。そして両手で両おっぱいをつかんで揉んで、最後に舐め回した。

亜紀「キャー♥悟ちゃんのエッチィ♥やめてぇ♥お姉ちゃんのおっぱいを突っついちゃあダメェ♥舐め回しちゃイヤーン♥やめてぇ♥」

「ほんまはええんやろ?」

亜紀「本当にイヤー♥本当にやめてぇ♥」

「じゃあ、泣いてるの?」

亜紀「泣いてる~♥泣いてるんだから~♥」

亜紀は一晩一緒に悟の自宅で過ごすこととなった。

悟は亜紀に、真美子の父親だった人物・来栖雅彦(くるす・まさひこ)に会わせることにした。雅彦がいるのは、更生保護施設である。雅彦は犯罪を犯して、12年間刑務所で懲役刑を受けていたのだ。真美子が亡くなり、元妻、真美子の母親ももうこの世にはいない。

そのため、施設に入ったが、悟を頼りにはしなかったのだ。悟の父親と真美子の母親が子供たちに理不尽な扱いをし、雅彦が子供二人を逃がしてアパートの世話までしたのだが、再婚相手の悟の父親と真美子の母親がアパートまで追ってきて、雅彦が「二人を渡さない」と言って父親と母親を殺害したのだ。

そして、悟は久しぶりの対面となり、亜紀は初めて顔を合わせることとなる。

「お父さん、お久しぶりです。」

雅彦「さ、悟か?」

昔子供のときに会っていた雅彦は、とても背が高かった、だが、今では自分より低くなって、髪の毛も抜けて少しばかり生えている髪の毛は白髪になっている。雅彦は60代後半くらいの年齢だ。

雅彦の部屋は六畳の部屋で他二人が六畳の部屋をそれぞれ利用している。一つの部屋に三つの六畳部屋があるところだ。悟は、先に1人で部屋に入り、亜紀を外で待たせている。

「はい、そうです。刑務所では何度もお姉ちゃんと一緒に面会に行きましたね。」

雅彦「そうだったなあ。お前たち二人月に一度は来てくれたなあ。それだけでわしは癒されたんだよ。ムショ暮らししてる間に真美子が白血病で亡くなってしまうとはなあ。誰か来てるのか?」

「お父さん、俺には恋人が出来ました。」

雅彦「そうか。それはぜひ会ってみたいなあ。」

「これから会わせるけど、驚かんといてくださいね。」

雅彦「驚かないけど、そんなに美人なのか?」

「もうええで。入ってきて。」

雅彦の入っている部屋に亜紀が入ってきた。そして、亜紀が初めて雅彦と顔を合わせることとなる。

雅彦「ま、真美子・・・真美子なのか?」

雅彦は、真美子と瓜二つの亜紀を見て驚いた。本当は生きていたと信じたかったが。そうではない。

亜紀「初めまして。倉科亜紀といいます。残念ですが、真美子さんではないんです。」

雅彦「倉科・・・亜紀さんというのだな?しかし真美子にそっくりだ。悟、驚くなとはこういうことだったんだな。」

「そういうことなんですよ。ちょっとしたサプライズですね。」

亜紀「私が、真美子さんとよく似てるってことはいつも聞いてました。お父さんの驚きようで本当なんやってことがよくわかりました。」

「お姉ちゃんとは一緒にお風呂入ってよく歌を歌いました。瀬戸の花嫁の替え歌言葉遊びです。」

雅彦「真美子とムショに来てくれた時にも言ってたなあ。その歌を聞いたこともあるなあ。」

亜紀「私もその曲を覚えたんですよ。真美子さんと悟さんが作詞した曲を。」

雅彦「聞いてみたいなあ。亜紀さん、顔ばかりでなく声や雰囲気まで真美子とよく似てるよ。」

「じゃあ、歌おうか。」#プル―

悟&亜紀「♪瀬戸ワンタン日暮れ天丼夕波小な味噌ラーメン悟ちゃんとだケーキ一緒に暮らすき焼きおふロールキャベツおふトンカツオフには一緒肉じゃが私の大事なすマーボー弟とふたりんごパイ♪」

続けて歌う・

悟&亜紀「♪泣き虫さんとわんこそばさよならするの洋ナシのタルト僕もう泣かなイカリング弟言ったこ焼きおとこんにゃくだってもんじゃ焼き泣いてもいいの夜鳴きそば優しい男せインドカレーとてもステーキ♪」

最後の「とてもステーキ」だけ、替え歌にはなっているが、言葉遊びにはなっていなかった。

やがて、悟は料理の修行に行くと言い出した。以前に勤めていたレストランの同僚、賢太と一緒にフランスまで行くこととなった。悟は、会うことがあるかどうか分からないと言っていた賢太とここで会うことになるとは思ってもいなかった。

修行へ旅立つ日。空港の前。亜紀・美幸・しおりが迎えに来ていた。

賢太「五十嵐、フランスでの修業は厳しいぞ。俺には金魚のフンみたいにくっついとかんとついていかれへんからな。覚悟して取り組めよ。」

「麻木、見ての通りの男や。お前には迷惑かけてばっかりやと思うけど、よろしく頼むな。」

悟は、賢太が同い年であるため、呼び捨てで呼んだ。

賢太「あっそうや、五十嵐。お前美幸ちゃんとも楽しんだそうやなあ。亜紀ちゃん一筋でないと、修行でも挫折するぞ。」

「一日だけのアバンチュールのことやな。もう亜紀ちゃんだけでないとコリゴリや。亜紀ちゃん以外とはもうせえへんと誓ったから。」

美幸「最後に少しだけ誘惑してあげようか?」

と黒ハイソックスを穿いていた美幸がスカートの裾に手をやると

「もうコリゴリやって言うてるのに。ほら、麻木がふくれっ面しとるやないか。」

しおり「私は、多々良さんと真剣交際するから・・・悟ちゃん、頑張ってね。」

としおりは言いながら、穿いていたミニスカートを捲り上げようとした。ベージュタイツの太ももが少しだけ見えかけたが、

「アカンって、もう。二人とも麻木とその多々良さんって人に内緒で写メールでも送ってきて。それで十分やから。」

賢太「おい、俺はここにおるんやぞ。」

亜紀「二人とももう悟ちゃんをいじめたら、お姉ちゃんの私が許さへんで。」

悟は、亜紀一筋だと決めたのだ。

「亜紀ちゃん。俺かなり仕事がええ加減やった。今度こそ本気でやってみようと思ってんねん。君のことが好きやから選んだ道や。天国のお姉ちゃんにもええとこ見せてやるねん。瀬戸の花嫁替え歌言葉遊びに出て来る料理は全部出来るようになってかえってくるからな。」

亜紀「行ってやりたいと決めたんなら、やってみたらええと思う。でも何か辛いことがあって、誰かと喧嘩にでもなりそうやったら、私に連絡してや。真美子さんの分も私が味方になるから。意地悪する人がおったら、お姉ちゃんに言うてな。」

悟は、フランスへと旅立った。今度は亜紀が見たレストランでの悟ではない悟が日本へ帰ってきた頃には見られるだろう。

※この物語に出て来る登場人物は、架空のもので、実在する人物とは一切関係がありません。

※続きは、完成次第また投稿します。

※最後までお読みいただきありがとうございました。

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