『私どうなるの?そんな勇気ない。でも、でも・・・・・』
書き出しから、本人がかなりの苦悩をしょってる、そんな印象から始まった内容は、偶然の恐ろしさを絵に描いたような話だった。
S子はレイプされている。
概要はこんな話だ。
S子の家庭は母子家庭。
彼女の記憶では子供の頃、月に1,2度や家に帰ってくるのがお父さんだった。
母からは仕事の関係でそうなのよ、と聞かされていて、S子もそれを信用していた。
その日も夕方にお父さんが帰ってきたのだが、てっきりお父さんにだっこしてもらえるとはしゃいでいるのに。
母は部屋に戻ってなさいといわれ、一人部屋の中で寂しさに耐えていた。
その時、S子の耳に母の泣き声が聞こえ、声がする部屋に行き、ふすまをそっと開け、中を覗き込んだ。
S子の見た光景は母が縛られており、四つん這いにされ、高くあげられた尻の向こうでお父さんがなにやら持ってその手を動かしているシーンだった。
母が泣いている。
嗚咽とも唸りとも聞こえるその声は、畳に顔を押し付け半分ほど開いた口の奥、喉から搾り出される母の悲しみだった。
お母さんがいじめられている!
あのお父さんがお母さんをいじめてる!
みるみる涙が溢れ出し、いたたまれなくなった挙句、部屋に戻ってもその頬を伝う涙は枯れなかった。
それからも何度もあった。
そのたびにS子は耳に手を押し付け、歯を食いしばった。
◯学生から高◯生になった頃には、もう分かっていた。
私の母親は愛人であり、月に数度の父の帰宅はSEX、それもサディストの父が母を責め、苛む日だったのだ。
自分は愛人の子であり、そのお手当てで母との暮らしが成り立ち、私自身学校に進学ができている事実を。
子供の自分は非力だ。
S子はそれを悲しく受け入れた。
ただ、早くこの家を出たかった。
ある日、通学していた高校から帰ると、玄関に男物の靴がある。
「あいつが来ている」
そう思ったS子は慌てて自分の部屋に向かった時、廊下で男と逢ってしまった。
出会いがしらだった。
その男、つまり父は全裸で手にタオルを下げていた。
留守だった家に上がり、風呂に入っていたのだ。
風呂上りで薄く湯気のたつ父の体は醜く、腹が出ていてなにより目つきがいやらしく、突然出くわした女子高◯生におくびもなくニヤついていた。
「キャーッーーーーー!!」
叫んだ。
突然父は体当たりするかのごとく襲い掛かり、抱きつき、S子の口を塞ぐ!
その驚きをS子は詳細に書いていた。
今となっては忘れてしまいたい出来事を書き残しておくってことは、父に対する憎しみなのか、自分の屈辱を忘れないためなのか。
スカートから下着まで破かれ、脱がされ、足と足が開かれてその間に父が覆い被さる。
口は塞がれて息も苦しい。
「犯される!父に犯される!」
そう思った瞬間、右手のこぶしをにぎり締めて父の鼻筋を殴った。
もんどり打って後ろにひっくり返った父が跳ね起き!
「なんだ!この野郎!」
と叫んだ時、玄関の扉が開いた。
買い物カゴを持った母だった。
S子は跳ね起きて母の元に行き、、顔を胸に当てて号泣した。
下半身は裸で上のセーラー服をやぶかれ放題の無残な娘。
目の前にいる全裸の父。
母はその一瞬、すべてを悟った。
母の顔が鬼の形相になった。
台所に飛んでいき、手に包丁を携えた母は父と対峙した。
髪の毛が逆立っていた。
怒髪天を衝くといったそれがS子の目の前の母だった。
父はその形相にタジタジとなり、その場にくずれ、土下座のように手を床に付け頭を下げた。
「S子、警察に電話して!」
だがS子は動けない、襲われた恐怖、あまりの事に放心状態だった。
「よし、今からこいつを連れて警察に行くのよ!S子、ついといで!」
「やめてくれ、この通りだ!」
土下座する父はいつもの傲慢な父ではなく、母は縛られて泣く母ではなく、そして私はその間で成り行きを泣きながらもじっと見守っていた。
父の土下座で少し怒りが治まったのか、母が
「ともかく、服を着て座敷に座ってちょうだい」
座卓の3人が座り、母はこまごま聞いてきた。
焦点は私が犯されたかどうかだった。
私は、私はウソをついた。
「犯された・・・」
父が、そんなバカなと言ったが、母が
「本人がそう言ってるのよ!!」
と一喝すると、父はそれ以上抗弁しなくなってしまった。
あの傲慢な父は実は肝の小さい男だったのだ。
金で解決だった。
母は法外な額を言った。
「子供を、しかもレイプして、うちの子の一生を台無しにしたのよ!安いくらいだわよ!いやなら警察にいくわ!」
その警察のひとことに父は首を縦に振った。
S子の母もそこそこ凄い女じゃないか。
逢ってみたいもんだ。
もちろん縛りはしないけどね。
S子の書いていた文章はそれだけじゃなかった。
S子の母はもらった法外な金で、父親の会社の株を買ったのである。
バカな男だが、経営の力は認めていたのだろう。
そして、なかば脅して巻き上げたお金だが、株として父の会社に還元するつもりだったのかもしれない。
すなわち、愛人が株主になった瞬間だった。
母はそれだけでは済ませなかった。
月々のお手当てから生活に使った分以外をすべてコツコツと株に投入していったのだ。
会社内では自社の株の動きに目を配るような男がいなかったことが幸いしたのか、小規模な会社ながら大株主になった。
へぇー、お母さん、凄い。
そして驚きの偶然が生まれる。
大学を出て一年間の就職活動を経て、やっと入社したのが・・・・父の、あの自分をレイプしようとした父の会社だったのだ。
入社式の社長挨拶にS子は度肝を抜かれた。
しかしまぎれもない事実だった。
忸怩たる思いを抱きながら、S子が毎日デスクに向かい、懸命に仕事をこなしている。
母子家庭、愛人、レイプ、金、株、入社までにいたるS子の記述は、実に数奇な生き方を歩んできた内容だった。
S子は今でも父を憎んでいるのは明らかだろう。
その社長は、気づいているのかいないのか、昔自分がレイプしようとした高◯生が、自社の社員に・・気づいていれば何らかの動きがあったに違いないが、それがないってことは気づいてないのか。
さらに驚きの文章で記述が終わっていた。
母からの連絡で
「貴方のお父さんはガンなの。あと1年と聞かされたわ。あなたそれでも父を憎み続けるの?」
まさかの驚きがS子を包む。
なんとまぁ、俺も驚きだ。
なるほど、新たに常務の昇進などや、俺の昇進もひょっとしたら自分の後継を考えて、死ぬまでに経営陣の若返り、いや、社長後継者を考えているかもしれん。
あのいけすかんホモ営業野郎が社長のガンを知ったらえらいことだよ。
あいつなら周りを蹴落としてでも社長ポストを目指すだろうし・・・・嫌な展開だね。
続きを読む。
『私、もう自分の気持ちもわからなくなってきた。どうしたらいいの?課長さん、課長さんが父なら、どれほど嬉しいか・・・・課長さん、助けて欲しい、こんな私でを助けて欲しい!』
社長のガンという事実で終わっていた。
うーん、この文章から考えると遅かれ早かれS子は俺に告白するだろう。
俺はどうしたらいいのだろう。
S子・・・S子・・・あぁ、あの縛られた裸身が脳裏に蘇る。
同時にS子の苦悩がそれにかぶさる・・・・・あくる日、S子は出社してきた。
「課長さん、昨日は休ませてもらってすみません・・・」
「おいおい。俺じゃなく、君の上司にまず言わなくちゃ」
この頃は仕事の体制ですっかり俺の部下気取りだが、筋は通さにゃならん。
「はい、そうですね。行ってきます、それから、ちょっと相談があるんですけど、週末空いてます?」
うへっ、来た!おいおい、まさかね?
俺だって心の準備が必要なんだよ、とは思いつつ
「あぁ、俺はいつも空いてるよ、知ってるだろ?」
「そうですね、えへへ」
屈託のない笑いを見せて背中を見せ、お隣の課長の席に向かった。
お昼前にT子から電話
「なんだい?レズねぇさん」
「茶化さないでよもう・・・、ほら予行演習しておいて本番はしないつもり?A美を誘ったのよ。S子らと3人で飲み会をしたって言ったら、なぜ私を誘わないのよ!ってプリプリよ!チャンスなのよ」
「けどあんたS子一筋じゃないのかい?A美も餌食にするつもりなのか?」
「まぁ餌食なんて、人聞きの悪い。課長さん、もう貴方と私、同じムジナなのよ」
「そりゃそうだけど、今夜はちょっとね。考えたいことがあって一人の方がいいんだけど、金曜の集まりの日じゃダメかな」
「あらダメよ、みんなのいない日に3人で飲もうって筋書きなんだから、」
「ふむ、それじゃぁ今夜かぁ」
「A美とあたしが揃ったら電話いれまーす。待っててね」
さてどうしたもんか・・・ビールに仕込むか。
T子をA美がにこやかに駅の改札口で待っていた。
とりあえず居酒屋で飲み食いし、足らなければ俺の部屋でもう一度飲み食いしようって話になった。
多分、居酒屋から歩いて出られるかどうか分からんけど・・・・それなりの粉末は用意しているのだが、今夜は眠らせてっていうより合意に持ち込みたい。
眠らせてどうこうってのは少々飽きてきた感もあるし、それより合意に持ちこめるかどうか、それができたら面白いじゃないか。
これはT子の数多い?色事経験に頼ってみるしかない。
誘導尋問じゃねぇけどうまく行為まで持ち込めるかだ。
「乾杯!」
飲み始めて一杯目のジョッキが空になった頃、
「でも、いつも思うけどA美ってスタイルいいなぁ。そんな体のラインの子なんて、あたしの知り合いじゃいないもん」
「あら、そんなことないわよ、服の上だからそう見えるだーけ」
「じゃぁ、服の下は?」
「ちょっとお肉がたるんでる・・・・あははははw」
「そんな事ないでしょ?一度見せてよぅ」
「ダーメ!あはははw」
A美はご機嫌で飲み続けている。
T子はT子でなんとかお色気話に持ち込むよう言葉を選んでおしゃべりだ。
よくやるよ、まったく。
「じゃー服の下を知ってるんは彼氏だけなんだぁーー」
「バカ言わないでよぅ。いないわよ彼氏なんかぁ・・・T子知ってるでしょ!」
「でも恋の道だけは知らず知らずのうちに・・なんちゃってぇ!」
「あは、無理なんよぅ、あたしぃ、無理なんよぅ・・・」
「どうしたのよう、無理ってなによ。今夜は無礼講よ!おっしゃいなぁー、おい私は友達だぞ、わかってる?」
わかってる?って言われるとなんだか悪いことを隠しているみたいな言い方だが、酔ってるA実は言わないことを責められていると勘違いしたようだ。
顔がしょぼくれた。
酔っ払いって、つい心の中をしゃべっちまうんだなぁ。
「秘密よ誰にも言わないでよ、ホントに・・・」
「もちろんよ、友達でしょ!」
友達ほどあてにならないもんはない。
夫婦だってそうだ。
男と女、いや女と女も、これまた狐と狸なんだよね。
「あたしぃ・・・・変態・・・きゃっ!」
手で顔を覆うA美、顔を隠しても言ってしまった以上、もう遅いんだよ。
「あたしぃ、いじめられないとダメなの」
「やっぱり!」
「えっ?」
「い、いえ、何でもないわ、それよりいじめられるって?」
「Mなの」
「じゃぁ縛られたり、叩かれたり・・・」
「痛みが快感なのよぅ、解らないでしょ?」
「うーん、そう聞かれても、縛られたことないし・・・でもね、あなた告白してくれたからいうけど・・ねぇ課長さん。課長さん、実はSなんじゃないの?あたしの直感だけど」
「おいおい何を言い出すんだよ」
「だって、自分の部屋に集まるみんな、すこぶるいい女ばかりよ。でも課長さん誰にも手を出さないどころか口説きもしない・・・いくらしなびた中年だって欲望くらいあるって思うけど?普通に手を出さないんじゃホモがそれともほかの趣味なのか・・・」
おっとそう来たか。なるほど見事な誘導だねT子さん。
じゃぁ俺も答えなきゃなぁ。
「それもそうね・・・」
そう言って、A美がじっと俺を見ている。
よし、ここがタイミング!
「お察しの通り。こんなこと人に言えないし、第一、ずっと自分の性癖に悩んで悩んで悩み倒してきたんだ」
「わかりますぅ、その気持ち・・・」
A美の顔がにやけた酔っ払いから段々真剣な面持ちに変わっている。
体はゆらゆらしているが、顔が真正面から俺を見据えている。
それからA実はこれまでの自分のM性に関わる悲しい事、辛い事をとうとうと喋りだした。
もうT子は引っ込み、A美の告白は俺が正面からそれを受け止め、真剣に聞いてやった。
うん、これで魔法の粉末は出番なしかな。
突然、A美がT子に言葉を投げた。
「T子、悪いけど先に帰ってくんない?課長、いいでしょ?」
「あぁ、そうだな、T子わりぃけど・・」
やった、うまくいったじゃねぇの。
「えーーーー!そんなぁ、あたし仲間ハズレなの!そんなのないわよぅ」
T子が口をとんがらせる。
俺は”あとで呼ぶ”とメモの書き、素早くT子に握らせる。
「わかったわよう、でもA美、この事はもちろん内緒にするけどちゃんと報告しなさいよ」
「はいはい」
生返事のA美がなんとなく緊張しているのが見えてきた。
部屋はなんとS子を連れ込んだ部屋だった。
ベッドでのS子がまた蘇る。
「先にシャワーを浴びてくれ。ただし服はここで、俺の目の前で脱ぐんだよ。シャワーから出るときはもちろんタオル一枚身に。つけるな。もうプレイは始まってるんだ!」
「はい・・・」
まだ少し酔いが残っているのか目がトロンとしていたが、私の命令調の言葉に突然、その目が妖しい光を帯びる。
シャワーの間にT子にメールを入れ、電話でフロントにはあと1名が来ることを告げた。
壁の縄束を見ながら、今夜はどう縛るか頭で想像してみる。
うん、いいねぇ、A実の肉体をどういじめるか?
こんなことを考えるお時間・・・楽しいお時間だなぁ・・・・俺ってマジSなの??
「俺の前に立って足は肩幅だ、手は頭の後ろで組め。俺がなにをしても動くな。動いたら鞭だぜ」