夏休みの思い出と言われると、いろいろありますが、僕にとって一番印象に残っているのは、小◯生のときのラジオ体操での出来事です。
確か小学三年生の時だったと思いますが、夏休みが始まると、僕は毎朝ラジオ体操に参加していました。
僕の地区は二十人くらいの生徒が参加していたのですが、そのなかには当時六年生だった、とある上級生の女子がいたのです。
三年生にとって六年生というのは、その時点ですでに大人のような存在だったのですが、誰とも分け隔てなく明るく話をするその女子は、ひときわ大人びた雰囲気を醸し出していました。
ある日、いつも通りラジオ体操に行くと、その日たまたま僕は、その上級生の一つ後ろに並んで体操をすることになったのです。
デニムの短いハーフパンツをはいていた彼女が体をかがめるたびに、僕の目の前にはぷりんとしたお尻が突き出され、加えて長い素足やパンツが見えそうで見えない後ろ姿に、僕は子供ながらにドキドキしていました。
しかし、体操が始まってしばらくたったときでした。急に彼女の動きが鈍くなり、音楽にあわなくなっていったのです。その時はそんなに気にしていなかったのですが、それからほとんど時間がたたないうちに、彼女は下を向き、あきらかに動きがぎこちなくなったのです。
さすがにそこまで様子がおかしいと、気になってきたのですが、他の人たちは彼女の異変に気がついておらず、体操しないわけにもいかないので、僕はちらちらと目の前の様子を眺めるばかりでした。
しかし、腰を曲げて下を向く動きになったときです。なんとか皆に合わせようと、彼女も腰を曲げたのですが、その時突然、つきだしたお尻から
「ブリブリッ」
という音が小刻みに発せられました。
その音は決して大きな音ではなく、真後ろにいた僕以外誰も気づいていないようでした。しかし、さっきまで両足できっちり立っていた彼女は、それからというもの、ガニ股になって、明らかに慌てた様子で体操を始めたのです。
彼女の表情がちらちらと見えるたび、あきらかにあせっている様子が見て取れます。おそらく周りにバレないよう必死だったのでしょう。ぎこちなくも、彼女は皆と動きを合わせるため、素足をガニ股にして体操していました。
しかし、そのすぐ後でした。急に彼女の体がブルブルと震えだしたと思うと、ラジオ体操の軽快な音楽を切り裂くように、
「ブリュブリュブリュブリュ」
という大きな音があたりに響き渡ったのです。同時に、ハーフパンツのお尻の部分がこんもりと盛り上がり、太もも部分の隙間からは、茶色い物体がボトボトと下に落ちてきました。すると前のほうから、
「ヒック、ヒック」
と、嗚咽のような声が聞こえてきました。そのときにはもう、皆ざわざわし始め、体操どころではなくなっていました。
彼女が泣き出してもなお、ハーフパンツの隙間からは、しばらくの間、茶色いものがボトボトと絶え間なく地面にたたきつけられていて、彼女の素足と水色のサンダルはまっ茶色になっていました。
結局体操は中断となり、その後しばらくして、誰かが連絡を入れたらしく、彼女は迎えに来た母親と一緒に泣きながら帰っていきましたが、翌日からラジオ体操に姿を見せることはなくなりました。
僕はというと、学校や通学路で元気な彼女を見かけるたび、一連の光景が思い出され、密かにドキドキするようになってしまいました。