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僕が初めて風俗を利用した日。それは運命の人だと思いながら3年付き合った彼女と別れた日の翌日だった。
その彼女とは20歳の時から23歳まで付き合った。大学を卒業して社会人になっても付き合いが続いていたから僕は勝手に将来の事を考えていた。
そしてそろそろ同棲や結婚の話をちらつかせようとした夏頃に、彼女から一方的に別れを告げられた。
「ごめん、純くんの他に好きな人ができたから…別れよ」
「は?なにそれ?」
僕の頭は真っ白になった。つまり彼女は浮気をしていた。そして僕は他の男に彼女を寝とられたのだ。うつ向いて黙ったままの彼女に言った。
「意味が分からん。浮気してたって事?相手は誰?」
「職場の…同期の人」
僕は悲しさや悔しさよりもただただ呆れた。3年も付き合っていたのに社会人になってから出会った男にあっさり負けた。
「何だよそれ…マジで意味わかんねぇ」
「ごめん…でもそういう事だから」
「どういう事だよ!?」
僕はつい声を荒げてしまった。僕の怒声に驚いた彼女は一瞬ビクッとしただけで終始うつ向いたままだった。しかし、説明を求める僕に対して彼女はこれ以上何も話そうとしなかった。僕は彼女が話し出すまで待とうと思ったが、らちがあかないと思い自分から口を開いた。
「わかった。もういいよ…ほんと何だったんだろうな、この3年は…マジでないわ」
「うん。ごめん」
「もういいから。じゃあ」
僕は踵を返して彼女の前から消える様に姿を消した。驚きと呆れで不思議と涙は出なかった。彼女との3年の日々がフラッシュバックする。
遊園地や水族館。それに時には映画やボーリングなど色んな所へ行った。正直彼女はセックスが上手ではなかったけれど、それは特に気にはならなかった。裏切られる…とはまさにこの事だろうと思った。
こんな気分だし誰にも会いたくなかったけれど、まだ実家暮らしだった僕に選択肢は無かった。出来るだけ一人で居たかった僕は、母に「―遅くなる―」とメッセージだけ送り一人公園で時間を潰した。
僕は浮気なんて一回もしなかった。たしかに彼女より可愛い女性がいた事は認める。バイト先や今の職場にも何人かいる。だけど向こうから言い寄って来ても拒否できる自信はあった。それに友人からノリで風俗に誘われても一度も行かなかった。一般的に風俗は浮気にはならないかも知れないが、僕の中では浮気にカウントされる。
誘って来た友人も僕に彼女がいる事を知っている。もちろんその友人も風俗ぐらい別にいいだろう。と軽い気持ちなのは分かっていた。だけど僕は何度誘われようが頑なに断った。だから僕は今だに風俗を利用した経験が無い。
特段我慢していた訳では無かったけれど、今思うと青春を一つ失ったようで少しモヤモヤする。律儀に彼女を信じていた自分が馬鹿らしかった。彼女が僕に何一つ不満が無かったか?と言われると自信はないが、それでも残酷な結末だと思う。
結局、その辺の細かい事は何一つ聞けずに僕達は破局したのだ。順風満帆だと思い込んでいた僕にこの現実は痛手だった。けど考えていてもしかたがない。すぐには切り替えられないと思うが、切り替えようと努力しなければ前には進めない。人生はまだ長い!きっとまた違う女性を好きになるさ!と自分に言い聞かせて帰路についた。
自宅に帰ると父は風呂に入っており、母はリビングでテレビを観ていた。僕が帰ったのを知った母はテレビを一旦中断し、夕食のカレーをダイニングテーブルへと並べ始めた。
「今日は珍しく遅かったわね。休みだったから友達と遠出でもしてたの?」
「別にそんなんじゃないよ」
「ふーん、あっそ。じゃあ彼女だ?由美ちゃんだっけ?」
「違うって」
「なにムスッとしてんのよ…そんなに怒らなくてもいいじゃない。母さん何か悪い事した?」
「してないけど…ちょっとほっといて」
毎度驚かされるが、こういう時の母親の勘は鋭い。
「あんた…由美ちゃんと何かあったんでしょう?どうしたのよ」
「はぁ…」
このままだと母に八つ当たりをしてしまう。僕は観念して母に全てを話した。だからもうこれ以上詮索するなと。だが母は僕の想像を越えるリアクションをした。
「あはは!何よそんな事!?あんたまだ23でしょ?学生の頃にたかだか3年付き合ったぐらいで何落ち込んでんのよ」
「そんな事って…それに普通笑うか?その神経マジで引くわ」
「そりゃあ浮気は駄目だけどさ~。けどあんたらまだ結婚もしてないじゃない。それに婚約もしてないでしょ?ただあんたが自分一人そう予想していただけなんじゃない?」
「だって普通3年も付き合ったら結婚を前提に考えるだろ!?」
「それは人によるんじゃない?5年付き合っても結婚しない人もいれば、付き合って2ヶ月で結婚する人もいる。私もお父さんと付き合って丁度1年で結婚したわよ。だから必ずしも結婚は付き合った日数とイコールじゃないの」
「じゃあ何なんだよ!」
「そうねぇ、一言で言うと相性じゃない?気が合う合わないとかじゃなくて。その相性が合う相手と出会えたら気付いたら結婚してるわよ。だからそんな肩に力入れなくて良いんじゃない?結婚が人生の全てじゃないし、それに今は生涯独身の人も多いでしょ」
「そんなの机上の空論だよ。普通は結婚するだろ」
「その普通はってのがずれてるのよ。結婚して不幸になる人もいる。そりゃ親としてはあんたが結婚して子供が出来たらこれ以上ないぐらい幸せな事だけど…だけどやっぱ最後は自分がしたいかどうかよ。結婚しても子供を授かれない夫婦もいるし。それでもこの人と居たい!って人が現れて初めて結婚を考えたら?」
「……」
「じゃないと、みーちゃんやちーちゃんみたいに早くに離婚しちゃうわよ?あの二人は流れに身を委ねて何にも考えずに結婚したから」
僕には母の姉の子にあたる三姉妹の従姉妹がいる。
このみーちゃんとちーちゃんは僕の5歳上と3歳上の従姉妹の事だ。この従姉妹は二人とも十代で妊娠し結婚して、そして十代で離婚した。二人の結末に親戚中がひっくり返った。ちなみに二人とも容姿はビッチ風で顔はお世辞にも可愛いくない。
「身を委ねてって…単にデキ婚だろ?」
「そうだけど、普通はもっと考えてから子供作るでしょ?その時の彼氏なんて二人とも付き合って数ヶ月とかよ?相性云々ではなくて、若すぎるしさすがに計画性無さすぎよ」
「なっちゃんは?彼氏とかいんのかな?二人の姉を追って同じ様なことにならないといいけど」
なっちゃんは三姉妹の末っ子で僕と同い年だった。幼少の頃から僕はなっちゃんと一番仲が良かったし、姉妹の中では格段に美人だった。父はなっちゃんが上の二人の美を全部吸収しちまったな!とよく笑っていた。それぐらい可愛いかった。間違いなくこれまで出会った女性でベスト3にはランクインする。
もちろん従姉妹だから好きになった事なんか一度もない。だけど成長と共に変化する身体にエロさは感じていた。なっちゃんには悪いが何度かオカズにさせてもらった事もある。
「なっちゃん?彼氏はいないんじゃない?そういえば姉さんからなっちゃんのそういう話聞いた事ないわね。なんか独立して美容のお店をやりたいからお金貯めてる、みたいな事は少し前に聞いたけど」
「へぇ、そうなんだ。ま、なっちゃんは可愛いからな。そういう仕事が似合ってるよ」
「そうねぇ、ほんとあの子だけ姉妹で顔が違うもんね。上の二人は姉さんそっくりだけど」
「妬みとかないのかな?自分だったら憎悪しかないけど」
「さぁ?けど全員女だから多少はあるんじゃない?コンプレックスというか、そんなのが。なっちゃんは美人だから男も近寄って来やすいだろうし、気をつけてほしいわね」
「だな」
母と話をしていて気が付くと僕は少し気を取り戻していた。これも運命だ、と割り切ろうと努力する事にした。それからもしばらく母と他愛いない話をして、風呂に入ってすぐ寝床についた。精神的にも疲れていたからすぐに眠りにつくと思っていたが、そうならなかった。
なぜそれをしたのか自分でも分からないが、僕は眠りにつくまでの間にスマホで様々な風俗店のホームページをネットサーフィンした。一般的に見ると何の変哲もないホームページだろうが、風俗利用経験のない僕にはとにかく新鮮だった。
家の近所に店舗は無かったが、車で30分ほどで到着する市内には想像よりはるか多くの風俗店が存在した。
(結構風俗店ってあちこちにあるんだな。それにしても高けぇなおい……)
風俗利用経験が無い僕はとにかく料金に驚いた。これなら余裕でゲーム機が買えるじゃないか。と思った。そしてここで初めてソープが本番アリのシステムだと知った。
(なるほど、だからソープは一段と値が張るのか……どうせなら奮発して一回ぐらい経験したいけどなぁ……)
ソープに興味が湧いたが、過去に友人が「地雷を引いて勃たなかった」と言っていたのを思い出した。もし自分もそうなれば金を捨ててる様なものだ。薄給の僕にとってそれは精神的な死活問題だった。それに初心者がいきなり本番アリのサービスを受けるのはハードルが高く感じた。
僕は次にデリヘルを探した。デリヘルなら名の通りデリバリーだからある程度広範囲から店を選べる。従って嬢の選択肢も増える。営業時間も店舗型と比べれば早朝から深夜までとかなり幅広い。それに痛い出費になる事は変わらないが、ソープに比べると安かった。
そして僕はネットでデリヘルについて調べ上げ、ある程度システムが理解できたので一度利用してみようと考えた。で、どの嬢を指名しようか悩んでいる時に料金表の下に小さく書かれた文言を目にして指を止めた。
(そっか…ホテル代もこっち持ちか。え、送迎料も掛かるじゃん。それに指名料高けぇ……)
システム料以外の付加料金を足して計算すると、サービス時間は違えどソープとあまり差がないことに気が付いた。僕は断念せざるをえなかった。
ここまで来ると僕の好奇心は勢いを増した。何としてでも安い店を見つけてやる、と。その勢いでさらにホームページを検索し続けると、とある店のホームページに行き着いた。
「ピンサロ…か」
ソープやデリヘルに比べるとサービスの濃度は落ちるが、これもれっきとした風俗だ。それに素人目に見ても手軽く利用できる事は明白だった。それに料金もかなり安かった。
(フリーなら30分5000円で指名料が一律1000円か…デリヘルの三分の一以下に押さえられるじゃないか!)
この程度の額なら仮に地雷を引いても諦めがつく。それに地雷だったとしても目をつぶっていればいいだけの話だ。そして僕は早速翌日この店を利用する事を決めた。
翌日。仕事を早く切り上げて例のピンサロのある繁華街へと向かった。店は雑居ビルの地下に位置しており、初見だとなかなか分かりづらい場所だった。地下に降りると店名の表記がある簡素なドアが一枚あり、横に後付け感漂うチャイムのボタンがあった。僕は躊躇しながらそのボタンを押した。
「ピンポーン…ピンポーン」
想像をしていたよりも大きい音量でチャイムが鳴り、数秒後にガチャっとドアが開いた。てっきりこういう店の店員は頬に傷があるような強面な店員だと思い込んでいた。しかし僕を迎えた店員は、イメージと真逆のプラモデルや鉄道模型が趣味だと言いそうな、小太りで黒渕メガネのおとなしそうな奴だった。
店員は呆気に取られた僕を無視して淡々としていた。決して愛想は良くなかった。
「いらっしゃいませ。当店をご利用された事は?」
「あ、いえ。初めてです…」
「そうですか、では簡単にご説明だけ…」
そう言って店員は店のルールを軽く説明した。てっきり僕はフェラ以外にキスやおさわりもオーケーだと思ったいたがそうではないらしい。
店員は「女の子によっては両方NGもあります。それに下半身は全員禁止です」と言った。
「分かりました」
「本日はどの子をご指名で?」
そう言いながら店員は壁に貼ってあるパネル写真に目を向けた。しかしどの嬢の写真もホームページより弱くだがぼかしが掛かっており、まったく見分けがつかなかった。
「うーん…待ち時間が無くてすぐいける女の子が良いですね」
「なら、この内の4名ですね」店員は4人の女の子を順に指差した。僕はその4枚の写真を凝視したが、やはり見分けがつかなかった。こうなれば一か八かである。
「もう…誰でもいいです。おまかせします」
「承知しました。ではフリーでのご利用ということで…コースはどうしましょう?」
「ええっとー…普通はどのくらいなんですかね?」
「大体のお客様は30分をご利用されますが」
「じゃあ30分でお願いします」
「かしこまりました。では先にお会計を…本日はフリーでご利用なので、30分で5000円になります」
僕は財布から五千円札を取り出して店員に渡した。
「ありがとうございます。当店ワンドリンクをサービスさせてもらってます。この中からお好きなものを」
店員はラミネートされたメニューを手渡した。僕はオレンジジュースを注文し、簡易的に区切られたブースに案内された。店内は有線で流行りの曲が流れており、周囲の会話はかろうじて聞こえるぐらいだった。
ブースに案内されて待っている間、周囲を確認した。店内は薄暗く、人に自慢できるほどの視力を有してない僕は女の子の顔をしっかり確認する事はできなかった。ふと隣のブースに目をやると、父ぐらいの年齢のおっさんが大きく股を開いて嬢を間に挟むように座り、股間をしゃぶられていた。見ているこっちが恥ずかしくなった。
すると通路から微妙な空気の揺れを感じた。僕はおっさんから目を離してブースの入口に目を向けた。するとバニーガールの格好をしたスレンダーな女性がオレンジジュースを手に現れた。
「お待たせしました~」
(おおっ……!すげー格好じゃん…バニーガールなんか生で初めて見た)
僕は肝心な嬢の顔よりも先に衣装とスタイルに目がいった。ちなみに隣のおっさんに付いている嬢は学生服のような衣装だった。
おろおろしている僕に彼女は優しく言った。
「ふふっ、もしかしてお兄さん緊張してる?可愛いっ」
「あ、いや、別に。初めてなんでちょっと…」
「そうなんですかぁ?お隣失礼しまぁす」
そう言うとバニーガールの彼女は僕の右隣に腰を下ろした。
「初めまして~ミキナでーすっ」
「ど、どうもっ…よろしく」
「あはは!すっごい緊張してる~」
うつ向きながら答えた僕の胸に彼女は優しく触れた。そしてここで僕と彼女はしっかり顔を向け合った。
「あっ…!!……えっ!?」
先に気付いたのは彼女だった。この薄暗さの中でも分かるほど彼女はまさに顔面蒼白だった。そして僕もすぐに気が付いた。
「やっ…あっ…なっちゃん…」
彼女はおしぼりを僕に手渡そうと手に持ったまま固まっていた。二人とも数秒間唖然と見つめ合った。
「純…あんたこんなとこで何してんのよ?」
「いや、その台詞そのまま返すよ」
そしてまた二人とも無言になった。
「このこと…こんな店で働いてる事…おばさんは知ってんのかよ?」
「知らない。てか言える訳ないじゃん!よりによって…誰かに聞いたの?」
「んな訳ないだろ!フリーで入ったんだからたまたまだよ」
「そうなんだ…私ら会うの結構久しぶりだよね」
「あぁ、一昨年のー…お盆以来か。あの時もこの仕事を?」
「あの時はまだしてない。まだ半年ぐらいだし」
「そっか」
凍り付く二人の間に場違いな音楽が鳴り続く。そして彼女が言った。
「純、ごめん。さすがに私…純にはできないよぉ。お店に払ったお金は後で返すからさ」
彼女はすがるように言った。幼少の頃から見慣れた従姉妹だけどその顔は本当に可愛いかった。これだけ美人なら街中でスカウトされてもおかしくないのに。そうじゃなくてもオーディションなんか受けたらどこかに引っ掛かりそうだなとも思う。
本来の僕ならこの彼女の提案を受け入れて30分話だけをして帰っただろう。しかし先日突然失恋し、初めての風俗に心踊った今のむちゃくちゃな精神状態ではそれは無理だった。
「いいじゃん、やってよ」
「えっ!?でも…」
「従姉妹だったら客でもできないの?もっとキモいおっさんのしゃぶるよりマシだろ」
「そういう訳じゃないけど…」
「じゃあそういう事で!お願いね」
「…分かったわよ。分かってると思うけどこの事誰にも言わないでよ」
「ああ、約束する」
「そっ。じゃあズボン下ろして…パンツも」
「いきなり?」
「何よ?さっきまで緊張してたけど本当に初めて来たの?」
「今日デビューしようと思って…」
彼女は僕のズボンに手を掛けて溜め息混じりで言った。
「まぁ働いてる私が言うのも何だけど、本当にこういう店来る男は最低よ。まじであり得ないわ。それにあんた彼女いるんじゃなかったの?これきりにしときなさいよ」
言うまいか迷ったが気が付くと勝手に声が出ていた。
「昨日振られた。しかも浮気されてて…そっちに行くんだと。こっちは結婚も視野に入れてたのによ…笑えるだろ」
「そうなんだ…ごめん」
「別にいいよ。俺も彼女がいたし風俗行った事無かったから、別れたしどうせなら一度行ってみようと思って。ま、傷心風俗だよ」
「なによそれ。それにしてもほんと今日は最悪だわ」
彼女は僕のパンツを下ろすと、半勃ちで露になった性器を見た。そして眉一つ動かさずに言った。
「きもっ。もうちょっと勃ってんじゃん」
「んな事いちいち言うなよ。一応客だぞ?やるからにはしっかりサービスしろよ」
「何よえらそーに。こんなの半強制じゃない」
「いいからいいから」
そう言うと僕は隣にいる彼女の首に腕を回し、顔を近付けた。
「ちょ!?ちょっと!キスは……んんっ」
僕は抵抗する彼女を無視して唇を覆った。そして胸に手を当てゆっくりと揉んだ。彼女は口を一文字に結び、胸を揉む僕の手を引き剥がそうと腕を掴んだが、それも長くは続かなかった。彼女の口少しずつ緩み、やがて舌が入る隙間が生まれた。
僕はその隙間に舌を入れ、彼女の温かい舌を何周も舐めた。すると彼女も嫌々ながらも僕の舌の動きに合わせて舌を動かした。調子に乗った僕は胸を揉んでいた手で衣装をめくり、すぐ下にある彼女の生乳に触れた。興奮で汗ばんでいた僕の手にすべすべの彼女の胸が直で当たる。
「ちょっと!直は嫌っ!」
「別にいいじゃん。減るもんじゃないし」
「そういう問題じゃっ…!あんっ、うんん」
僕は彼女の言葉を無視して乳首を指で挟んだ。指で挟んだ乳首を数回クリクリとこすると、彼女の乳首はみるみる勃起した。そして僕は何回も彼女の乳首を時計回りに指でいじくった。
「はぁ…はぁ…ちょっとぉ…おっぱいはだめぇっ。あんっ、んんっ」
「まじで興奮する。お前ちょーえろいな」
僕は指で乳首を触るのをやめると、そのまま彼女の下半身に手を伸ばした。ここまで来るとボーイの言っていた下半身NGという話はどこかへ行った。指が股に触れた時点で彼女も察したのか、胸の時よりも力強く僕の腕を握り制止した。
「下はほんとにだめ!禁止だよ!?言われたでしょ!?」
「嫌?」
「当たりまえでしょ!?って…もぉっ…!ああっ!」
僕は制止を振りほどき、衣装の股の隙間から指を入れた。彼女はびしょびしょではなかったが、ぬるっとした愛液が指に当たった。そこから数センチ奥に指を押し込むと人差し指の第二間接辺りまで彼女の膣に入った。
「んっ…あんっ…んんっ!だめぇ」
僕が指を激しく上下に動かすと、座っていた彼女は腰を浮かせ喘ぎ声を上げた。それに徐々に濡れ始めているのも感じた。いやらしい音は室内のBGMでかき消されたが、指の感触で彼女の膣内がチュクチュクと音を立てているのが分かった。
「風俗嬢の反応は大半が演技ってネットで見たけど…どうやらなっちゃんは違うみたいだね」
「あっ、んっ、ああんっ…やめっ…ほんとに…!」
僕は彼女の言葉を遮るように指の動きを早めた。
「あああ!もう…だめっ…やああんっ!!」
そう言うと彼女は自ら股をM字に開いて痙攣しながらぐったりとした。どうやら絶頂を迎えたようだった。
「うっそ、イッちゃったの?」
僕が驚いて彼女を見ると彼女は僕を睨み付けながら「下を指で触られる事なんかないから!しかたないじゃない」と言った。そして彼女は僕を睨んだまま性器を掴むと「して欲しいんでしょ?」と言った。
「あ、うん。頼むよ」
「はぁ…もう時間少ししか無いから急ぐね」
彼女はそう言いながらギンギンに勃起した僕の性器を小さな口に含んだ。
「ううっ!?」
彼女は咥えると、いきなりギアを上げ勢い良く顔を前後に振ってしゃぶった。それにテクニックも歯が当たって痛かった元カノのフェラとは別物だった。性器を咥えると同時に舌をグリグリと回しながら吸い付くのもたまらなく良かった。情けないが僕は30秒ほどで果てそうになった。
「ああ…イキそ…ああ…イクッ!っっはぁ!!……」
びゅ!びゅ!びゅっ!と精子が勢い良く彼女の口内に吹き出たのが分かった。
「んーっ!」
彼女は精子をこぼれないよう口に全て含み、そして備えていたおしぼりに全て吐き出した。ドロドロッと流れ落ちた精子は自癒行為では見ないほどの量だった。
「濃すぎなんだけどっ…!」
「その方が良いじゃん」
「全然。むしろ後味が残るから嫌なんだけど」
そして丁度このタイミングで室内にアナウンスが流れた。
「8番ブース、ミキナさんっ!フロアタイム残り3分です!」
アナウンスが流れ終わると彼女は「ほら、もう時間よ」と僕に帰るよう促した。
「ありがと。なっちゃんがいたのはまじでビビったよ」
「私も純だと分かった時心臓が止まるかと思った」
立ち上がると彼女は何だかんだ言いながらも僕を見送る為に出口まで一緒に歩いてくれた。そしてボーイが見えた頃に彼女は僕に釘を刺した。彼女は真剣だった。
「ねぇ、この事は本当に黙っててね。約束だからね」
しかし僕は口尖らせながら言ってやった。
「は?何の事?ま、また連絡する。その時は個別でよろしく」
「はぁ!?あんたっ……!!」
「んじゃ!またな」
彼女の美しい顔が鬼の形相に変わると僕は会話を遮った。そのやり時を横目で見ていたボーイは少し怪訝な顔をしたが僕は無視して逃げるように外へ出た。
雑居ビルを出て向かいのコンビニへ向かうと外の喫煙スペースに腰を下ろし煙草に火を点けた。そしてメッセージアプリでなっちゃんのアカウントを探し早速メッセージを送った。
「―さんきゅーな!次は週末にでも頼むよ。もちろん店外で―」
僕が帰って彼女は待機室にでもいるのだろう、メッセージにはすぐに既読が付いた。