②
「もう勃起してる……」
彼女は僕の股間を指でなぞりながら言った。
「そらこの状況なら誰だってするやろ」
「それは相手が私だからですか?」
彼女はいたずらな笑みを浮かべる。
「さぁ?どうやろ」
「さっき私のお酒に何か混ぜたくせに?」
僕は背筋がヒヤリとした。
「別に怒ってませんよ。混ぜるならもっとお酒の残量が多い時にしないと」
「あ、あれなぁ。すぐ気付くかな~とは思ってんけど…」
「口に入れる時の匂いで気付きましたよ。変な匂いがしたし。効果と味的に睡眠薬とかでは無さそうだし…媚薬か何かですか?」
僕は呆気に取られてリアクションが出来なかった。
「そうやけど…てか何で睡眠薬の味知ってるん?」
「飲んだ事あるから」
「ああ…そらそうか…ごめん」
「ちょっと三船さん?別に怒ってないから」と彼女はクスクスと笑う。
「ほんまごめん、やりすぎた。何か一気に罪悪感沸いた…別に乱暴しようとかそういうんじゃないねん」
「そう言う割にこっちは元気なんですねぇ」と彼女は僕の股間をぎゅっとつまんだ。
「ごめん。何て返事したらええか分からん」
「気にしないでくださいってば!私、三船さんだから全然平気」
そう言って彼女は僕のズボンのベルトを慣れた手つきでカチャカチャと外した。次第に僕の胸は高鳴る。
「平気って……もしかして姫野さんはー…」
「三船さんが好きとかじゃないですよ?」
「あっ…そうなんや」
彼女は隣に座ったまま僕の目をじっと見つめる。そして視線に気付いた僕が彼女を見ると、またいつもの調子でニコッと笑った。
「女の人ってね、別に相手の事が好きじゃなくてもエッチな事してあげたくなる人っているんですよ。三船さんはそういう人、いつもおどおどしてるし可愛い…これは母性かな?」
「こんな可愛い子に上からモノ言われるのも悪くないな」
「可愛いなんて言われ慣れてるから何とも思わないですよ。だけど、三船さんに言われると嬉しいなぁ」
そう言うと彼女は立ち上がり、部屋の電気を消した。薄暗い部屋の中はモニターの光だけになる。
彼女は座っている僕の股の間に膝をついて僕を見上げた。
「してる時の顔見られるの恥ずかしいから」
言い終わると、僕の反り勃った性器の裏筋にちゅっとキスをした。
「ええの?」と僕が訊くと「何も言わないで」と彼女は答えた。僕は黙ったまま頷いた。そして彼女は丁寧に何度も性器にキスをして、同時にゆっくりと性器をしごき始めた。
剥き出しになった亀頭からは我慢汁が溢れ出し、彼女は我慢汁を手のひらに付着させてそれを潤滑剤代わりに何度も性器を上下にしごいた。
「あ…あっ…はぁ……」
我慢汁を性器全体にまとわりつかせると、次は亀頭にゆっくりと唾液を垂らした。そして唾液を我慢汁と混ぜ合わせるように両手を使って丁寧にしごき続ける。この時点で少しでも気を抜いたらイキそうだった。
「まだ駄目ですよ」
彼女はまるで僕の心の内を読んでるように一方的に言う。僕は射精を我慢して全身に力が入った。ドクンドクンと脈打つ性器を彼女は握って亀頭を小さな口で咥えた。
彼女の口内はほどよく熱があり、ねっとりとした唾液と温かい舌の感触を感じた。
「はぁ…!…やばっ…めっちゃ気持ちええ…」
彼女は僕を無視して性器に舌を何周も這わせた。溢れ続ける我慢汁を吸い上げながら、頭を前後に振る。
「じゅぽっ…じゅ…んん…」
上目遣いで激しく性器をしゃぶる彼女に興奮し、僕の手は自然と彼女の胸に伸びた。彼女は僕の手が胸に伸びているのが視界に入っていても一切僕から視線を外さず性器をしゃぶり続けた。
僕は恐る恐る胸を揉んだ。しかし彼女は顔色一つ変えなかった。リアクションの無さに戸惑った僕は「ごめんっ」と手を胸から遠ざけた。するとようやく彼女はニコッと微笑んだ。
「どっちやねん」と僕が言うと彼女は性器から口を離して「リアクションしなかったら三船さんはどうするんだろうと思って」と笑った。続けて「いいですよ、触って」と言うと、再び反り勃った性器を咥えた。
Sっ気があっても所詮彼女は20歳の女の子。まだあどけなさが残る顔に白く綺麗な肌。静かに息継ぎをしながら小さい口を必死に開けて、太くなった性器を咥える姿にたまらなく萌えた。
「あー……もうやばい…っ!出そう」
「んー、らめぇ」彼女は性器を咥えながら真っ直ぐ僕の目を見て答える。言葉とは裏腹にピストンのスピードを徐々に上げていく。
「ちょっ!!そんな速くしたらイクって…!」
「んーん」口内で性器に舌を絡める彼女。
「あぁ…もう無理っ…!!」
「んっ!?んん!!…ごほっ!」
膨張した性器から溜め込んだ精液が勢い良く彼女の口内に射精される。それは見なくても分かった。僕は人生で初めて自分の意思で制御できずにイカされてしまった。彼女は当然のようにゴクッと精液を飲み込んだ。
「ちょっと。いくらなんでも出しすぎじゃないですか?」
彼女は乱れた呼吸を整えながら口からこぼれた精液を拭った。
「ご、ごめん。我慢できひくて…」
「謝ってばかりですね」
「ごめ……ん」
「ふふふっ」
彼女は僕を見下ろすように立ち上がった。そしてミニスカートの中に手を伸ばし、スルリとパンティーを脱いだ。
「おいっ!何してんねんっ」
精液と彼女の唾液でベタベタになった股間を晒しながら僕は反射的に立ち上がろうとした。彼女は「はい、おっちんしてぇ」と僕が立ち上がるのを押して阻止した。そして眼前でスカートを捲り上げ、薄く綺麗に処理された陰毛が露になった。
「おいおい…何で脱ぐん?」
「何でって…挿れるからですよ」
「いれる?」言葉に出してハッとした。
「いやいやいや!!それはあかんて!」
「何でですか?そういう事がしたかったからお酒に媚薬混ぜたんでしょ?」
彼女が言った事はもっともだった。
「いや、まぁ…それは否定できんけどやな。せやけどやっぱり…」
「いざそうなると怖くなりました?別に私は三船さんを陥れようとか考えてないですよ。ただ単にエッチがしたいだけ」
「アホぬかせ。そんな上手い話あるか。付き合ってもないのに」
「付き合ってないとエッチしちゃいけませんか?」
「そんな事はないけど…ただ腑には落ちひんな」
「んー、それは私にとってはどうでも良い話かな」
彼女は一瞬ヒヤッとするような冷たい目をした。僕はこれ以上何も言う気が起きなくなった。彼女はソファーに座る僕の首に手を回し、今にも性器同士が触れそうな位置に股がった。僕は再び勃起していた。
「せめてゴムぐらい…!」
「そんなの必要無いですよ」
そう言うと彼女はゆっくりと腰を下げ始める。亀頭が彼女の陰部に触れるのを感じた。「当たってますねぇ」と彼女は笑い、そのまま何の躊躇もなく挿入した。
「ん…ふう…はぁ」
キチキチになった彼女の膣が僕の性器を包み込む。酒の影響かもしれないが彼女の膣内はすごく温もりを感じた。彼女は思考停止した僕なんてまるで無視して腰を上下にピストンする。
「ん…!あっ…あん…」
「はぁ…はぁ」
「気持ちっ…良い…?」
「うん…!…やばい!」
「ふふっ…!な、らよかっ…た……ああんっ」
パコッバコッ!と部屋中にいやらしい音が響く。彼女はまるでバネのように滑らかに腰を上下に跳ねさせた。勢い良く腰を下げると、僕の亀頭は彼女を突き上げるように膣奥へと侵入する。その都度彼女は可愛いらしい喘ぎ声を上げた。
「やぁん…っ!ああ!…はっ…んくっ…!」
吸い付くようにまとわる彼女の膣は容姿と同様に一級品だった。若さ故なのかもしれないが、僕は早々に絶頂を迎えそうになった。
「ああっ…姫野さ…ん、もうイキそうや…!」
「あんっ…あん…もうっ…?…あっ…!」
「はぁ…もう…無理」
僕が言うと彼女はキスが出来そうなほど顔を近付けて「じゃあ、みこって呼んで」と頼んだ。そしてさらに腰の動きを速めた。
「ああ…!やっ…ば…みこ…ちゃん!もうイクッ」
「あんっ、あん!…ん!出してっ…!いっぱい…!」
彼女が腰をグンッ!と下げたタイミングで僕も自ら性器をガンッ!と突き上げて性器が一番奥に食い込んだ瞬間に射精した。彼女は腰を下げたまま僕の精液が出切るまで動かない。
「ふぅ…気持ち良かったぁ」彼女は腰を上げながら独り言のように言った。性器を抜いた彼女の膣から僕の腹の上辺りに精液が滴り落ちた。
「三船さん?大丈夫?」
賢者タイムの僕に彼女は優しく訊いた。
「え…?…ああ、うん。大丈夫」
「ふふっ。なら早くそれ拭いた方がいいですよ。おちんちんカピカピになっちゃう」
そう言って卓上のトレイからおしぼりを取って僕に渡した。僕は言われた通り自分で性器についた精液を拭き取った。そして気になっていた事を彼女に訊いた。
「あのさ、結局付き合うとかは無し…なん?」
「無いですね」彼女は僕の目を見ずにきっぱりと答えた。
「そっかぁ…無しかぁ」僕はあからさまにトーンの落ちた声が出た。
「別に三船さんが駄目とかじゃなくて私に問題があるんです」
「意味分からん。どういう事?」
耳障りだったのか、答える前に彼女は知らないアイドルグループがきゃぴきゃぴ話しているモニターの電源を消した。
「私この先ずっと日本にいないんです。パパが会社を経営しててその都合で海外と日本を行き来する生活になるから」
「えっ…そうなん。いつまでおるん?」
「来月日本を離れます」
急な話の展開に脳が追いつかなかった。
「えぇ!?嘘やん?じゃあバイトとか大学はどうするん?」
「大学はとりあえずは休学です。バイトの方は来週までですよ。てか、もともと短期の契約ですけど何も聞いてないんですか?」
「全然聞いてない!店長からは人手が増え次第、夜勤から早朝か夕方にシフト変わるとは聞いたけど」
一瞬彼女は驚いた顔をした。しかしすぐにいつも通りのクールな表情に戻ってにこりと微笑んだ。僕は意味が分からなかった。
「じゃあもしかして僕の誘いに乗ってくれたんも…」
「ええ、お礼のつもりですよ。三船さんがずっと仕事教えてくれたんで。それにとても優しくしてくれたし」
「あぁ~…まじかぁ」
察した彼女は何も言わず、黙ったまま僕が顔を上げるのを待った。そして僕が顔を上げたタイミングで目の前に奇抜なデザインをしたシルバーのキーホルダーを差し出した。
「何これ?」
「パパの会社で作ってるものです。良かったら思い出にどうぞ。ちなみに日本では売ってないんですよ?」
「へぇー、めっちゃレアやん。ありがとう」
内心では、こんなん見たら余計に忘れられへんやん!と思ったが彼女の厚意を無駄にしたくなかった。
「これ…カエル?」
「そう。何があってもあなたの元に帰る、からカエルです。早い話またエッチしようって意味です」嘘か真か彼女はクスクスと笑った。
「何かおちょくられる気分やわ」僕は苦笑いを浮かべる。
「そんな事ないですって。また日本に戻ってくるんでその時はまたエッチな事しましょうね。そういう事した人にしかあげてないですから。もちろん全員じゃないですよぉ?」
「うーん、それは喜んでええの?それより何人がこれ持ってるのかが気になるわ。まぁお互い結婚してなかったらしよか」
「結婚してたとしても関係ありませんよ?」
冗談のつもりかもしれないが、僕は彼女の真剣な眼差しにドキリとした。同時に本間に悪い女やで!とも思った。
そして結局一曲も歌う事なく、僕達はカラオケ店を後にした。帰り道、僕はもうすぐ会えなくなる彼女に対して寂しい気持ちでいっぱいになった。一方で彼女は何とでもない様子で淡々としていた。
バイト先の最寄り駅に着くと彼女は「私はタクシーで帰るので…」と言い僕達はその場で解散する事にした。
「ほな、また」
とっとと吹っ切ろうと無理に笑みを浮かべる。すると彼女は僕に近付いて来て「じゃあ…また」とキスをした。しかも彼女は舌を絡ませた。一気に勃起した僕の股間を触り、勃起を確認するとスッと顔を遠ざけ「じゃあね」と笑みを浮かべてタクシーのロータリーへと行ってしまった。
仕返しにそのまま追い掛けて、後ろから胸でも揉んでやろうかと考えたが僕にそんな勇気はなかった。結局情けなく勃起したまま帰路につくはめになった。
シフトを確認すると彼女が辞める来週までに後2回シフトが一緒の日があった。どちらか1日だけでもエロい事をしようと考え、翌日僕はバイトへ向かった。
「うーっす」
「うぃす~」
バックヤードに入ると店長が居た。いつもなら居たとしてもパソコンを見ているのに、今到着したのかスーツからユニフォームに着替えているとこだった。
「珍し。どうしたんすか?今からっすか?」
「せやねん」
「あれ?今日はたしか姫野さんじゃ?」
僕はざわざわと胸騒ぎを感じた。店長も「うーん」とばつが悪そうに声を出す。
「まぁ、早い話彼女辞めたんよ。家庭の事情ってやつ。だから代わりに俺が入るねん」
「え…?辞めたって…来週までいるんじゃなかったんですか?」
僕が何食わぬ顔で訊くと店長は驚いた。
「あ、三船くんも彼女から聞いてた?なーんや、皆には黙っといてって言うとったのに……初めはそう言ってたんやけど急遽早まってしもてなぁ」
「そうなんすか。…あー残念やなぁ可愛いかったのに」
「せやな…本間勘弁してほしいわ」
別に彼女が悪いわけではないのだが、僕は少しだけ人間不信になった。何だかんだ最後はこっちの気持ちなんて理解されないし、自分の都合で話が変わるからだ。
「ちょっと先煙草吸うて来るし時間なったら出といて」店長はリュックから煙草を取り出して外へと出ていく。
「了解っす」
けど何だかんだ彼女と一発ヤれたのは良かったなぁ。僕に少し好意がありそうやったし。あー、再開できる日が待ち遠しいわ。もう多分人生であの子以上に可愛い子と肉体関係持つ事なんて無いやろうし、と僕は思考をなるべくポジティブに切り替えた。
すると、ふと視界に何か揺れる物が目に入った。それは店長の私物のリュックだった。スポーツブランドのロゴが入ったリュック。もちろん見慣れた物だ。だけど少し違和感があった。
「え、あのキーホルダーって…」